資料 3-1 女性が輝く日本 の実現に向けて 平成 26 年 3 月 14 日 厚生労働副大臣 土屋品子
女性が輝く日本 の実現に向けて厚生労働省として検討している主な項目 1 企業の意思決定層への女性の登用促進 2 仕事と家庭を両立しやすい職場環境の整備 3 女性のライフステージに対応した能力開発支援 4 テレワークの普及促進 5 放課後対策の総合的な推進 6 保育士確保対策 7 短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大 8 女性の活躍推進に向けた地域ムーブメントの促進 1
1 企業の意思決定層への女性の登用促進 労働力人口の減少の中 女性の活躍推進としては 就業率の向上 ( 量的な拡大 ) だけでなく 企業の意思決定層への登用等 ( 質的な深化 ) による真の戦力化が必要 一方 女性管理職割合は増加傾向だが 政府目標 (2020 年に 30%) に対する改善スピードは不十分 現状と課題 企業側からみた要因 女性管理職が少ない理由は 知識 経験 判断力の不足 54.2%) 勤続年数の短さ (22.2%) 等に加え 女性が希望しない (17.3%) 現在 課長級以上の女性割合 ( ) は 7.5% 100 人以上規模の民間企業 (2013 年 ) 女性側からみた要因 継続就業が困難だった主な理由は 勤務時間 (65.4%) と 職場の雰囲気 (49.5%) 昇進を望まない女性独自の理由は 両立が困難になる (40.0%) 周りに女性管理職がいない (24.0%) 等 現に 女性管理職の約 7 割は子どもがいない 企業トップの明確な意思の下 女性が若いうちから職域を広げ 意欲と能力を育てる必要 ( まず係長クラスの層を厚く ) 継続就業なくして女性の登用は進まない 働き方の改革を含めた両立支援が重要 現行の主な施策 ポジティブ アクションの推進 企業トップへの浸透 企業の取組促進 企業訪問による働きかけ 企業トップによる宣言 (32 件 (H24.3) 695 件 (H26.3)) 地域毎 業種毎の取組推進等 女性の意欲 能力の向上支援 ホ シ ティフ アクション能力アップ助成金(H26 年度予算案 ) ロールモデル導入支援等 継続就業支援に向けた両立支援 育児休業 短時間勤務制度 次世代育成支援法による事業主の行動計画策定 くるみん認定制度 各種助成金等 今後の対応の方向性 企業の取組みの可視化 ( 情報開示 ) をさらに進めるため 女性登用の実績値等に関するサイト ( 厚労省 内閣府 ) について 統合も視野に 総合データベース化を検討 国会提出中の次世代育成支援対策推進法改正案が成立した際には 新たに設けられる 特例認定 の要件として 働き方の見直しや 育児しつつ活躍する女性を増やすための取組み等を検討 さらに 女性の活躍推進に向け 経営トップや現場管理職を含め社会全体で目的 意義を共有し 政府において一過性でない継続的な取組推進とするとともに 改善の一層のスピードアップを図るため インセンティブ付与を含む推進方策を検討 2
2 仕事と家庭を両立しやすい職場環境の整備 女性が活躍するために 妊娠 出産 子育てを経ても就業が継続できるよう 仕事と家庭を両立しやすい職場環境の整備を支援していく 現状課題 約 6 割の女性が出産 育児により退職 その理由は 家事 育児に専念するため自発的に辞めた が 39.0% 仕事を続けたかったが 仕事と育児の両立の難しさで辞めた が 26.1% など 現行の主な施策 中小企業 両立支援助成金( 代替要員確保コース ) による助成 好事例の提供 職場体制整備を含めたモデルプランを作成し支援 非正規雇用 両立支援助成金( 期間雇用者継続就業コース ) による助成 好事例の提供 育児休業取得等のマニュアルの配布 働き方の見直し 次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画の策定 くるみん認定を促進 男性の育児休業取得促進 中小企業 中小企業の育児休業取得率は 大企業に比べ低い 非正規雇用 育児休業取得率は女性全体で83.6% であるのに対し いわゆる非正規雇用である期間雇用者の取得率は71.6% となっている 非正規雇用でも 職場に育児休業規定があり 利用しやすい雰囲気のところでは 育児休業を取得して継続就業する割合が高い 働き方の見直し 女性にとって子どもを持ちながら働き続けるために必要なこととしては 制度や職場環境 勤務時間が柔軟であること 残業があまり多くないこと が多く挙げられている 子育て期にある30 歳代男性の約 5 人に1 人は週 60 時間以上就業しており 父親の育児参加を妨げている 今後の対応の方向性 中小企業 代替要員の確保のための企業のコスト負担を軽減等の方策を検討 非正規雇用 次世代育成支援対策推進法を延長 強化するとともに 省令 指針等において期間雇用者の両立支援の取組の重要性を強調 働き方の見直し 次世代育成支援対策推進法を延長 強化し 新たなくるみん認定の創設 企業のインセンティブを高めるための方策を検討 3
能力開発支援向けたの再就職に向けた能力開発支援2出産 育児を理由とする離職後続就業に現行の主な取組 キャリア形成促進助成金 ( 育休中 復職後等能力アップコース ) ( 育休中 復職後等の正社員等に訓練を実施した事業主に対する経費 賃金助成 )<25 年度補正 ~> 主な課題 離職 2 再就職 中小企業の実態に即した更なる能力開発の機会の充実が必要 <OFF-JT に支出した企業は 1000 人以上が 9 割超 50 人未満が 4 割弱 (23 年度 )> 非正社員に対しても支援の充実が必要 3 女性のライフステージに対応した能力開発支援 1出産 育児期の継女性一人ひとりの選択に応じ 出産 育児期の継続就業に加え 出産 育児を理由とする離職後の再就職というそれぞれのライフステージに対応した複線的な能力開発支援を実施する 入社 結婚 出産 子育て 1 継続就業 現行の主な取組 キャリア形成促進助成金 ( 育休中 復職後等能力アップコース ) ( 再就職後の女性に訓練を実施した事業主に対する経費 賃金助成 )<25 年度補正 ~> 公的職業訓練 ( 公共職業訓練及び求職者支援訓練 ) < 公共職業訓練の入校者数の56.5%( 委託訓練の入校者数の 74.0%) が女性求職者支援訓練の受講者数の65.5% が女性 (24 年度 )> 民間への委託訓練における託児サービスを実施 教育訓練給付 ( 自発的な訓練を受講した本人に対する費用補助 ) < 受給者の54.5% が女性 ( 平成 24 年度 )> 主な課題 子育て後の再就職という女性のニーズをターゲットにした取組は十分でない 離職のブランクによる実践的能力の開発支援が必要 育児と能力開発の両立の支援が必要 < 公共職業訓練の多くが 5~6 時間 / 日 託児サービスの利用が低調 > 女性が活躍できる再就職等の分野の拡大が必要 < ポリテクセンター ( ものづくり訓練を実施 ) の訓練生の女性比率は 14.2%(24 年度 )> 短時間労働等の多様な働き方に対する支援が必要 < 子どものいる働く母親の約 6 割は短時間労働者 (24 年度 )> 4
4 テレワークの普及促進 子育てや介護等と仕事の両立を促す働き方としてテレワーク ( 特に在宅勤務 ) を普及するため 導入する企業への支援等を実施 テレワークが進まない理由を解消するため 平成 26 年度より以下の新規対策を実施 テレワークモデル実証事業 中小企業 IT 関連以外の様々な産業等の実施が進んでいない部門が参考としやすいテレワークモデルを 総務省と連携した実証事業を通じて構築し 併せて労働時間規制の在り方も含め テレワークの推進上の課題を抽出 テレワーク相談センター 訪問コンサルタント セミナー テレワーク相談センターにおいて 労務管理上の課題等について相談に応えるとともに 総務省と連携し 労務管理やセキュリティ等に関する訪問コンサルティングやセミナーを実施 テレワーク助成金の新設 自宅の PC から会社のネットワークに安全にアクセスする機器等に対する助成を実施 費用の 1/2 を上限 100 万円で助成 目標達成時は 3/4 を上限 150 万円で助成 26 年度予定額約 5 億円 テレワーク導入好事例 ( 育児 介護 ) の周知 子育て 介護のためのテレワーク活用好事例の事例集を作成し 関心ある企業等へ広く周知 テレワークの導入の実態 テレワークが進まない理由 導入企業割合は 11.5% 大手企業が中心 実施部門は 研究 開発 設計部門が多く 経理 会計部門等は少ない セミナー参加者 ( 企業の人事担当者等 ) へのアンケートでは 課題として 以下の指摘 H23 年度国土交通省のテレワーク人口実態調査 ( 労働者が対象 ) によれば テレワーク実施に関するテ メリット として 以下の指摘 テレワーク導入率全体 11.5% 資本金 50 億円以上 35.1% 部門別実施率研究 開発 設計部門経理 会計部門 51.4% 8.6% 情報セキュリティに不安がある 47.9% 労働時間管理がうまくできない 45.1% 業務実績の評価が難しい 37.7% 円滑なコミュニケーションが難しい 32.1% 職場の協力体制を作るのが難しい 29.3% 仕事と仕事以外の時間の切り分けが難しい 過剰労働 長時間勤務となっても認められない コミュニケーション不足してしまう 情報セキュリティの確保に不安がある 過剰労働 長時間勤務となってしまう 47.3% 44.0% 43.4% 41.8% 40.8% 5
緊急プロジェクト 待機児童解消加速化プラン 待機児童の解消に向け 2 年後の子ども 子育て支援新制度の施行を待たずに 地方自治体に対し できる限りの支援策を講じる 足下 2 年間の 緊急集中取組期間 と 新制度で弾みをつける 取組加速期間 で 待機児童の解消を図る 保育ニーズのピークを迎える平成 29 年度末までに待機児童解消を目指す 保育ニーズのピーク 2013(H25) 年度 2015(H27) 年度 2017(H29) 年度 40 万人 20 万人 緊急集中取組期間 緊急プロジェクト 保育緊急確保事業 の活用など 消費税財源確保 5 保育士確保対策 緊急集中取組期間 ( 平成 25 26 年度 ) で約 20 万人分の保育を集中的に整備できるよう 国として万全な支援を用意 地方自治体が更にペースアップする場合にも対応 取組加速期間 ( 平成 27~29 年度 ) で更に整備を進め 上記と合わせて 潜在的なニーズを含め 約 40 万人分の保育の受け皿を確保 新制度等による取組 新制度スタート 取組加速期間 支援パッケージ ~5 本の柱 ~ 待機児童解消を目指す 2 年間前倒し 市町村子ども 子育て支援事業計画の期間 (2015~2019 年度 ) 2019(H31) 年度 取組自治体 1 賃貸方式や国有地も活用した保育所整備 ( ハコ ) 2 保育を支える保育士の確保 ( ヒト ) 3 小規模保育事業など新制度の先取り 4 認可を目指す認可外保育施設への支援 5 事業所内保育施設への支援 保育緊急確保事業その他の消費税財源を用いた施策として行うほか 所要の財源を検討 6
保育士確保に当たっての取組について 待機児童解消加速化プラン により 保育の量の拡大とともに 保育士の確保を支援パッケージの 1 つの柱として推進 保護者は保育の質の確保を強く求めており 保育士の確保への要請が強い 子ども 子育て支援法附則第 2 条第 3 項 政府は 質の高い教育 保育その他の子ども 子育て支援の提供を推進するため ( 略 ) 人材確保のための方策について検討を加え ( 略 ) 子ども 子育て支援法案等に対する附帯決議 ( 参議院 ) 施設型給付 地域型保育給付等の設定に当たっては ( 略 ) 幼児教育 保育の質の改善を十分考慮する ( 略 ) 1 新たな保育士の育成 就業支援 保育士養成約 3.8 万人 意欲ある者の資格取得と保育所への就職を支援 3 保育士の就業継続 保育所保育士約 38 万人 保育士の離職を防止 2 潜在保育士の復帰支援 潜在保育士 60 万人超 潜在保育士の復帰を支援 1 2 4 働く職場の環境改善保育士が働く魅力を感じ 働き続けたい職場環境を構築 保育士確保対策 新たな保育士の育成 就業支援 意欲ある者の資格取得と保育所への就職を支援 認可外保育施設等において保育士になろうとする者の資格取得費用を支援 保育士養成施設の学生に保育の魅力を伝えるなどし 保育士資格を取得後に 保育所で勤務する者を増加 潜在保育士の復帰支援 60 万人超いる潜在保育士の復帰を支援 保育士 保育所支援センターやハローワークによる就職相談等 ブランクによる不安を解消するため 復帰前の実技研修 政府として 保育士の力が今必要とされていることを伝え 4 つの柱の対策を強力に推進し 保護者の期待に応えられるよう 保育士を確保 3 4 保育士の就業継続 保育士の離職を防止 新人保育士等への離職防止の研修 保育の質向上の研修 働く職場の環境改善 保育士が働く魅力を感じ 働き続けたい職場環境を構築 雇用管理の改善のための研修 処遇改善 7
8 子育てが一段落した主婦等による 自らの子育て経験を活かした活躍を支援する 子育てが一段落した専業主婦等 地域子育て支援拠点 従事者 ファミサポ 提供会員 従事者 放課後児童クラブ 子育て支援分野での活躍 児童養護施設等 従事者 保育従事者 小規模保育 家庭的保育 家庭的保育補助者
6 放課後対策の総合的な推進 共働き家庭等の 小 1 の壁 を打破するとともに 次代を担う人材を育成するため 全ての就学児童が放課後を安心 安全に過ごし 多様な体験 活動を行うことができるよう 総合的な放課後対策に取り組む 現状 共働き家庭などの児童に対し 放課後に適切な遊び 生活の場を提供する放課後児童クラブを実施平成 25 年には約 89 万人が利用 * 登録児童数平成 19 年 :749,478 人 平成 25 年 :889,205 人 /* クラブ数平成 19 年 :16,685 か所 平成 25 年 :21,842 か所 また 平成 19 年から放課後子どもプラン ( 放課後子供教室と放課後児童クラブを一体的に 又は連携して実施 ) を開始したが 十分に進んでいるとは言えない 放課後児童クラブを希望しても利用できなかった児童が存在 平成 19 年 :14,029 人 / 平成 25 年 :8,689 人 保育所と比べると開所時間が短い 18 時を超えて開所しているクラブ : 約 62%( 平成 25 年 ) 保育所 : 約 85%( 平成 23 年 ) 平成 26 年度予算案 ( 保育緊急確保事業 ) に 長時間開所するクラブへの支援のための費用を計上 小 1 の壁の打破 子どもが小学校に入学するとこれまで勤めてきた仕事を辞めざるを得ない状況 ( いわゆる 小 1 の壁 ) が存在 対応の方向性 次代を担う人材の育成 待機児童解消 開所時間延長 に当たってのハードルの除去 必要な支援 地域のニーズを把握し 計画的に整備 * 学校の余裕教室の活用促進等による場所の確保 * 子育て経験等を生かした女性の活躍推進等による担い手の確保 文部科学省と連携 協力し 放課後子どもプランを一層推進 全ての児童の多様な体験 活動の機会を拡大 * 学習支援 多様なプログラムの充実 等 9
7 短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大 被用者でありながら被用者保険の恩恵を受けられない非正規労働者に被用者保険を適用し セーフティネット機能を強化 社会保険制度における 働かない方が有利になるような仕組みを除去することで 特に女性の就業意欲を促進して 今後の人口減少社会に備える 短時間労働者及び事業主が保険料の負担増を避けるため雇用 就労調整が発生しているとの指摘がある 適用拡大を進め 適用の要件が変わることにより こうした状況が緩和されることが期待され 働き方に中立的な社会保障制度にも資すると考えられる 年金機能強化法 ( 平成 24 年 8 月成立 ) による改正内容 社会保障 税一体改革の中で 3 党協議による修正を経て平成 24 年 8 月に法律が成立した 短時間労働者への適用拡大 ( 平成 28 年 10 月 ~) 現行 週 30 時間以上 1 週 20 時間以上 2 月額賃金 8.8 万円以上 ( 年収 106 万円以上 ) 3 勤務期間 1 年以上 4 学生は適用除外 5 従業員 501 人以上の企業 ( ) 対象者数 : 約 25 万人 ( ) 現行の適用基準で適用となる被保険者の数で算定 3 年以内に検討を加え その結果に基づき 必要な措置を講じる ( 法律に明記 ) 社会保障制度改革プログラム法 ( 平成 25 年 12 月成立 ) 昨年成立した社会保障制度改革プログラム法においても 短時間労働者に対する厚生年金保険及び健康保険の適用範囲の拡大 が検討課題として明記されている 10
8 女性の活躍推進に向けた地域ムーブメントの促進 女性の活躍推進を全国的な動きにしていくためには 各地域において 経済団体 国 地方自治体等が一体となって各企業の取組みを推進していくことが望まれる 現在 複数の地域において 各労働局の働きかけにより そうした動きを広げてきているところ 地方公共団体 地域の企業経営者 経済団体 地域における PDCA ( 目標設定 達成促進等 ) 自主宣言登録 独自認証 情報発信 意見交換等 地域の有識者等 国 ( 都道府県労働局等 ) 女性の活躍促進に向けた各地域の動き 福岡 平成 25 年 5 月に 女性の大活躍推進福岡県会議 を設立 佐賀 平成 26 年 1 月に 女性の大活躍推進佐賀県会議 を設立 愛知 平成 26 年 1 月に あいち女性連携フォーラム を設立 広島 平成 26 年 4 月に 働く女性応援隊ひろしま ( 仮称 ) を設立予定 富山 県主催 労働局 経済団体後援で 煌めく女性リーダー塾 を開講 香川 四国生産性本部が 女性活躍研究会 を設置 愛媛 愛媛県法人会連合会が 女性活躍推進研究会 設置予定等 引き続き 内閣府とも連携し こうした各地域の動きを全国的に広げていく 11