はじめに CPM-Dairy ここがポイント P 3 飼料設計のフロー P 4 ファイルの変換 P 7 操作説明 コマンドの解説 P 8 アイコンの解説 P 9 FeedBank の扱い方 P 15 設計 & 検討 補足 オプティマイズ P 30 結果の検討 P 35 Feeding Sheet P

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試作版 (Ver.0.90) 2008.10 Special Manual for beginners Not for sale

はじめに CPM-Dairy ここがポイント P 3 飼料設計のフロー P 4 ファイルの変換 P 7 操作説明 コマンドの解説 P 8 アイコンの解説 P 9 FeedBank の扱い方 P 15 設計 & 検討 補足 オプティマイズ P 30 結果の検討 P 35 Feeding Sheet P 46 更新について 略 本マニュアルは CPM-Dairy の操作に関する解説です CPM を使うにあたって前提となる栄養の基礎知識は CPM-Dairy BASIC 編 CPM の更なる応用は CPM-Dairy Master 編 ( いずれも未刊 ) をご参照下さい このマニュアルは非公式 & 非売品です 内容に ついて何ら責任を負うものではありません 文中に NF100 参照 とあるのは Dairy Science Update の Nutrition/Feeding の 100 号のことを指す 同様に MG は Management, CH は Calf & Heifer AB は Animal Behavior FP は Forage Production などを参照

これまで飼料設計のために幾多のコンピュータプログラムが開発されてきた それらプログラム ( モデル式 ) は INPUT( 摂取された栄養 ) と OUTPUT( もたらされる生産 ) との関係をなるべく正確に記述しようと 乳牛という ブラックボックス を理解することに多大な努力が払われてきた ブラックボックスを精度高くとらえるモデル式 INPUT Black Box = 動的 OUTPUT 鶏や豚といった単胃動物では この INPUT に対する OUTPUT はかなり高い精度でモデル式が既に確立している しかしながら乳牛においては そのモデル式の精度を向上させることが容易でなかった その最も大きな理由は ルーメンという特異な発酵タンクの存在にあった ルーメンは同じ飼料成分のものを同量投入しても その返答は一様とはならない TDN や DCP などは このルーメンを静的なもの ( いかなる状態でも返答は同じ ) という前提であるため 事実との乖離は回避できない さらに各飼料の DIP(RDP) を一定としたモデル式も 同じ理由により その精度を高めることはできない宿命を背負うことになる 乳牛というブラックボックスを高い精度でとらえるためには ルーメンを 静的モデル としてではなく 動的モデル としてとらえることが必須となる CPM-Dairy の大きな特長は ルーメンに時間軸の概念を取り入れ 動的モデルと位置づけたことによって現実に肉薄できることにある 加えて栄養要求レベルの算出においても単に生産レベルに留まることなく 乳牛を取り巻く環境を加味したサブモデル式を数多く取り込んでおり その精度を一段と高めている 日進月歩の乳牛の栄養学 多岐にわたる栄養的な条件はもちろんのこと 飼料別の給与条件 乾物 摂取量の違いから生ずるルーメンでの発酵レベルの相違などを全て考慮した上で リーストコスト を追求する飼料設計ソフト それが CPM-Dairy である - 3 - はじめに釧路農協連 CPM-Dairy HP:http://www.cpmdairy.com/Index.html

1) 飼料設計の前に とある農場に某大手飼料会社のセールスが通ってきては飼料設計を行っていたが さっぱりと成績が上がらなかった 彼は 乳検成績や粗飼料の分析値といったデータを正確に入力し まじめに PC に向かっていた 単に飼料を売るだけでなく 現場には情報提供でも貢献しようという会社の支援体制のもと 酪農情報へのお勉強にも余念がなかった しかしいつまでたっても農場の経営に貢献することはなかった 彼が犯していた致命的なミスは 本気で農場や牛を観察していないことにあった 慢性的な産褥グループの定員オーバー クロースアップ期の数頭がいつも左腹部を凹ましている そこそこのレベルでしかない畜舎の換気 潜在性乳房炎の頻発させている簡単な原因といった重要なサインがことごとく見過ごしていた いくら長時間 農場で牛を眺めていても 五感から感じ取とることのできる情報の感受性は 放っておいてレベルアップすることはない 断片的な技術や情報を得ること に大半の時間を割きつつも 農場の現実と真剣に相対しないのは 関係機関に属する半可通の人間の悪い癖である そうした結果が お勉強 が先行した 数値合わせ あるいは 飼料設計もどき であり 農場の総合力や経営成果に反映されてこないのは当然に帰結であろう 農場の生産性を向上させるための飼料設計には 農場全体を見渡し 生産性の向上を阻害している要因を軽減 排除する 周辺技術の設計 を伴わなければならない そのためのマニュア 今 何をなすべきか? ルは用意されていない 乳牛から発せられるサインを感度良く感じ取るように本気で農場全体を観察することから始めなければならない さらに飼料設計は 取り巻く環境や乳牛の生産力ばかりでなく 各農場の粗飼料の品質や在庫 労働力や作業体系 好みや考え方なども加味される 設計者から一方的な助言のより成立するものでなく 随時 乳牛の反応を確認しながら フィードバックがなされるべきものである - 4 - はじめに釧路農協連

飼料設計の前段として 収集 確認すべき情報がある 粗飼料分析値や産乳量 成分といった数値で正確に把握できる情報もあるが 現地で確認しなければならないことも少なくない おおよその流れは次のとおりである 1 飼料設計 の対象とな る牛の設定 2 給与する 方法と時間 の確認 3 設計に必要 な情報の収集 ( 飼料 & 牛 ) 4 どれだけ 食えるのか を推定する 5 具体 的設計 1 対象となる牛の設定 つなぎの牛でも 50 頭の搾乳牛に対して 50 通りのエサのメニューが組まれているわけではない 産乳量や牛の太り具合 (BCS) などを考慮しながら いくつかのパターンに分けられる 群飼いされている乳牛の場合 各グループには共通する基準や目的がある その区分分けの基準は農場により様々であるが グループ分けの絶対的な正解は存在しない 但し栄養管理においては 1 つのグループはその頭数が 20 頭でも 50 頭でも1 頭としてみなしていると理解すると良い 留意するべきは 十分な注意を払うべき乳牛 ( 初産牛 産褥期牛 産乳量が高くてエネルギー不足が大きくなりやすい牛 蹄の痛い牛など ) が喰い負けを起こしたり 大きな栄養不足とならないように配慮することである これに問題のある牛群は まずその構成から見直されるべきである 2~5 略 CPM-Dairy BASIC 編を参照 - 5 - はじめに釧路農協連

2)CPM-Dairy の設計フロー CPM による飼料設計の概略は次のとおりである 1 セッションファイルの指定 ( 新規あるいは既存ファイル ) 新規 既存 セッションファイルとともに開いておきたい Feedbank があれば指定する なければキャンセル セッションファイル指定の前に何故 Feedbank が求められるのか? その理由は P17 を参照 2 乳牛を取り巻く諸条件の指定 & 飼料の確認 農場 牛 環境 管理 飼料の選択と分析値の入力 確認 3 栄養 & 飼料の条件指定 そして TRY&ERROR 各アイコンの内容は P9~ 14 を参照 提供された 結果を確認 栄養組成および飼料の使用量 の条件を設定 指定条件をクリ アしながら最安値で試算させる 4 データの保存 印刷など - 6 - はじめに釧路農協連

Ver.1 や 2 で作成したファイルを使用する場合 CPM Dairy Ver.3 以降は 以前のバージョンにはなかった新たな区分が追加されている この ため旧バージョンで作成したファイルを開くと 下記の確認が求められる 右の飼料に近いと推測される飼 料を表示 他を選択するときに は プルダウンにより変更する Ver.3 に変更しようとするファイル名とそ の飼料 ( プルダウンで選択できる ) V2 Value のデータを使うときには にチェックマークを入れる ( 影 になっているセルは変更できない ) 各成分値をチェックし終わったらここをクリック ひとつの飼料が完成し 次の飼料に移る 全ての飼料が終ったら 右上の OK をクリックし 新たな飼料ファイルが完成する Hide: 以前の Ver と Ver3 の値が一致するものを表示しない時に使います その反対は Show all 何故 Edit が必要なのか? NF139(CPM Dairy の開発について ) 参照 1) 炭水化物 (Carbohydrate) の分画についての拡大 A B1 A1 Sugars 糖 A2 Fermentation Acids 発酵酸 B1 Starch デンプン B2 Soluble Avaival 溶解性センイ ( ペクチン βグルカン ) 2) 脂肪酸サブモデルの変更 従来脂肪酸は EE(EE: エーテル抽出物 ) として分析されてきた NF115( 脂質給与における新しいアイデア )&NF140( 脂肪酸のルーメン代謝と小腸消化 ) 参照 - 7 - ファイル変換釧路農協連

コマンドから実施されることの多くはアイコンからも可能なので 使用頻度は少ない 但し Preferences については最初に ( あるいは必要に応じて ) 設定する ( 下図 ) File ファイルの読み書き 印刷 他ファイルへの Import や Export など Edit コピー & ペースト 削除など Preferences 画面やフォントなどの設定 ( 下図を参照 ) View 画面の選択やフォントの指定 Action アイコンと同様のジョブの指定 Help ヘルプファイルなど Reset: 最初の設定に戻す Font の種類により飼料名や Notes(Farm の中のメモ欄 ) などが文字化けすることがある Highlight Mix は Yes P28 参照 最近使ったファイルの参照数 各色の設定 設計者の名前など 単位は Metric(mCal) Basis は AsFed CPM で扱うファイル (Sessions 他 ) を保管するフォルダーの位置を指定 指定しなくても自動的に開くフィードバンクファイル (3 つまで ) - 8 - 操作説明釧路農協連

Constants ( 設定値 ) 通常これらの数値をいじるこ とはない biochol 入りの飼料の場合は FC Bacteria Max Yield NFC Bacteria Max Yield の値を 0.44 とする Reset: 初期値に戻す Farm ( 農場 ) Ration By: 設計者 Farm Name: 農場名 Notes: コメントを入力できる Organization: 所属 Ration: 設計対象群など - 9 - 操作説明釧路農協連

Animal ( 乳牛 ) Type 搾乳牛 (Lactating) 育成 (Heifer) 乾乳 (Dry) を指定 Growth Default のまま使うことを推奨 次ページ 下を参照 Lactation: 産次 ( 表示のみで計算には反映されない ) Current Age: 現在の月齢 ( 計算にはこれが用いられる ) First Calving Age: 初産分娩月齢 Calving Interval: 分娩間隔 ( 月 ) Current Weight: 現在の体重 混成牛群では加重平均をとる Mature Weight: 成長した体重 年に1 回は検証してみる 4 産次の平均体重 (BCS3.0) これらの値は DMI を推定す る大きな要因となっているので 正確に入力する 例 :BCS3.5 で 670kg 670 -(84/2) Calf Birth Weight: 生時体重 妊娠末期の栄養要求量に影響するので 大きめの子牛 Days Pregnant: 妊娠日数 Body Condition Score:BCS Predicted Target Weight and Growth ( 成長レベル ) 上記の設定 ( 初産分娩月齢 分娩間隔 成長した体重 ) に基づいて各ステージの体重が自動計算される これらの値と現実の体重を比較すると農場の現実を窺い知ることもできる 成熟体重比 : 種付 (55%) 初産分娩 (85%) 2 産分娩 (92%) 3 産分娩 (96%) - 10 - 操作説明釧路農協連

Milk Production: 乳量 Price: 乳価 70 円なら 0.070 か 70( 下囲み参照 ) IOF (income over feed cost: 乳代 飼料費 ) に反映される Fat: 乳脂率 Day In Milk: 搾乳日数 ( 分娩後経過日数 ) 泌乳初期 ( 特に0~30 日 ) は DMI の推定に強く影響するので正確に入力する NF139 P9 図 2 参照 Crude Protein or True Protein: 乳タンパク率通常粗タンパク率であるためCrude Protein を選択して入力 乳量や乳成分の設定について ( 評価モード ) 現在の飼料内容を評価するときには 現実の数値を入力する ( 設計モード ) 新たな設計やシミュレーションを行うときには 数値を指定するその時の乳量は平均 110~120% がひとつの指標 明らかに現在が低乳量にあれば目標となる乳量を入力する AT 検定の場合 乳検成績の乳脂率が妥当なものであるかをバルク乳で確認する 飼料設計の対象となるグループの乳成分値を把握する 単位について Feed Bank ではトン扱いなので乳価を 0.070 円と入力すれば 飼料単価は 30,000 円 /tで 30 という具合に kg 当たりの単価をそのまま入力できる 飼料の単価の微妙な違いは飼料設計の結果に影響してくる - 11 - 操作説明釧路農協連

Environment ( 環境 ) 乳牛を取り巻く環境は 生体維持のための栄養要求量や DMI に影響する DMI の抑制要因 & 維持要求量 の決定付けるシートである Current Temperature: 現在の気温乳牛を取り巻く代表的な環境温度を指し 外気温のことではない Current Rel. Humidity: 現在の湿度 Previous Temperature:2~3 週前あるいは前回設計時の温度 Previous Rel.Humidity:2~3 週前あるいは前回設計時の湿度 現状の飼料評価の場合は 現在と以前の気温 湿度はそのとおりに 新たに設計する場合には現在は今後 以前を現在にする Wind Speed: 風速 (m/ 秒 ) 高温や低温時には DMI や生体維持エネルギーに敏感に反応特に育成牛には留意する Hours in Sunlight: 直射日光下で過ごす時間放牧牛 育成や乾乳 Dry lot など向け Storm Exposure: 嵐気圧の変動 寒冷前線や嵐 日本ではほとんど関係ないか Minimum Night Temperature: 夜の最低温度これが低いと日中の暑さを相殺する ( 以前のバージョンにあったパンティングや Night Cooling の代替 ) Mud Depth: ぬかるみの深さ (cm) DMIに影響を与える畜舎内の足元評価にも使える 滑りやすい 蹄病 パーティングなど Hair Depth: 被毛の深さ (cm) 厚みを指し 長さのことではない Hair Coat: 被毛の状態牛体の保温効果 きれいから糞のヨロイだらけまで4 段階評価 Hide: 皮の厚み ( 変更不可 ) 乳牛は薄いになっている 風速 被毛の深さと状態の合わせ技で計算を行なっている 条件をいろいろ設定してみて 牛が食える量 (DMI) や生命維持のエ ネルギー (MetE の maint) の変化をシュミレーションしてみよう! - 12 - 操作説明釧路農協連

Management ( 管理 ) Ionophore 日本では現在使用禁止 チェックなし ルーメンの発酵に影響を与える ( モネンシン ) Activity Tie-Stall Barns Small Free-Stalls Large Free-Stalls Dry Lots Intensive Grazing Continuous Grazing Time Standing Body Position Changes つなぎ 200 頭以下のフリーストールパーラーまでの距離で区分過密状態 パーティンドライロットグ 暑熱による起立等集約放牧を評価して入力放牧 Activity により表示される横臥から立つなど体勢の変化の回数デフォルト値は少なすぎ Distance Walked-Flat 平地での移動距離 (m) ( 畜舎とパーラーの距離 4~6+ 畜舎内 ) Distance Walked-Sloped 傾斜での移動距離 (m) 実際の乳牛の行動は 牛床数に対しての定員過剰や搾乳回数 温度といった環境にも影響される 特に産褥期の牛に厳しい環境が加わると 大きな影響を受けやすい 現バージョンの CPM-Dairy には 飼槽へのアクセスのしやすさ等を評価してもそれを入力する項目がない 現場で DMI へのマイナスとなる要因が認められる場合 Mud Depth の値により調整する - 13 - 操作説明釧路農協連

Edit Feed ( 飼料の分析値の編集 ) 選択した飼料の分析値を編集する 詳細は FeedBank の扱い方 ( 次ページ以降 ) を参照 分析値を見ながら入力 するには Quick Edit の画面が使いやすい Feed dictionaries ( 飼料のデータベース ) FeedBank の中から新たに 追加したい飼料を選択する 定番の飼料や新しい飼料 各農家での粗飼料の分析値などを随時追加していくと 使いやすい飼料データベースができる ここで飼料のタ イプを選択する CPM 用のデータ提供をしてくれない飼料会社は変更する Dictionaries の Forage の中からどれを選択するのが適切 であるかは 27 ページを参照 - 14 - 操作説明釧路農協連

飼CPM-Dairy にはセッションファイル (.SSN) とフィードバンク (.FDB) の 2 種類のファイルである フィードバンクの内容とその使用法を理解すると CPM-Dairy は扱いやすくなる 1) 飼料の名前 1) 飼料の名前 P15 2) Feed Dictionaries と セッションファイル P17 3) Custom Feedbank の作り方 P18 4) 飼料分析値の入力項目 P19 5) 飼料分析値からの入力 P24 6) Mix 機能 P28 飼料名は英語で表記されているので Custom Feedbank(17 ページ参照 ) により日本語化することも可能である しかし慣れれば記号のようなものとして容易に認識される 1 Forage Forage の命名は 料BrmdSil バミューダ サイレージ ClvrSil クローバ サイレージ CrnSilPr コーンサイレージ プロセッサ処理 CrnSilUp コーンサイレージ プロセッサなし AlfGc アルファルファ 青刈 AlfHy アルファルファ 乾草 AlfMl アルファルファ ミール AlfPl リグニン含量 粗アルファルファ ペレット BrlySil 大麦 サイレージ CrnSil6Cp72Ndf11LNdf = 飼料名 & CP & NDF & GrssP 放牧草 GrssHy 乾草 GrssSil グラスサイレージ LegPs マメ科 放牧草 MixPs 混播 放牧草 OrchHy オーチャード 乾草 Hy: 乾草 Sil: サイレージ Gc: 青刈 Ml: ミール Pl: ペレット P(Ps): 放牧 Pr: プロセッサ Up: プロセッサなし Crse: 荒い 切断長の長い Med: 中 Fine: 細かい 切断長の短い - 15 - 操作説明釧路農協連

2 Forage 以外 ( 抜粋 ) BrewersGrnDry ビール粕 ( 乾 ) マーシャギーAminoPlus アミノプラス SoyBest ソイベスト CornGlutFddry コーングルテンフィード ( 乾 ) ル SoyPass ソイパス CornGlutenFdwet コーングルテンフィード SoyPLUS ソイプラス CornGlutMeal コーングルテンミール Zinpro ジンプロ CottonseedDeLint 綿実リント無 ApplePomaceDry リンゴ絞り粕 ( 乾 ) タ CottonseedWhlwLint 綿実リント付 ApplePomaceWet リンゴ絞り粕 ( 生 ) ン CottonseedMeal 綿実ミール BakeryByProdBread 大麦バイプロ ( パンくず ) パ LinseedMealexpell アマニ粕 BakeryByProdCereal 大麦バイプロ ( シリアル粕 ) ク LinseedMealsolv アマニ粕 BakeryByProdCookie 大麦バイプロ ( クッキー粕 ) Lupins ルーピン Barley Grn, ground 大麦粉砕 SoybeanML Solv 大豆粕ミール BarleyGrnWhlgrnd 大麦粉砕 全粒 SoybeanMealExtrd 大豆粕ミール BarleyGrnRst 大麦粉砕 ロースト SoybeanWhlExtrd 大豆粕ミールエクスクルード BarleyGrnFlkd 大麦フレーク BeetPulpPlCp ビートパルプ ペレット SoybeanWhlFlkd 全粒大豆エクスクルード BeetPulpShrdCp ビートパルプ シュレッド SoybeanStmFlkd 全粒大豆フレーク BeetPulpDry ビートパルプ ( 乾 ) SoybeanWhlRaw 全粒大豆 ( 生 ) BeetPulpWet ビートパルプ ( 生 ) SoybeanWhlRst 全粒大豆 ( 加熱 ) CerealTailings シリアル 残渣 Urea 尿素 CitrusPulpDry シトラスパルプ ( 乾 ) CalciumCarbonate 炭酸 Ca CornGrainWhl コーングレイン 全粒 CalciumChlorideAnhy 塩化 Ca CornGrainCrkd コーングレイン 荒挽 CalciumPhosMono リン酸 Ca CornGrainGrndCrse コーングレイン 荒挽 粗 LimestoneGrnd 石灰石 CornGrainGrndMed コーングレイン 荒挽 中ミ MineralPremix ミネラルプレミックス CornGrainGrndFine コーングレイン 荒挽 細ネ MinVit ミネラルビタミン ( ダミー用 ) CornGrnFlkd コーンフレークラエ SaltNaCl 塩 CornGrnStmRld コーンスチームロールルネ SodiumBicarbonate 重曹 CornHM %Crse ハイモイスチャーコーン 粗ル TraceMineralPremix 微量ミネラルプレミックス CornHM %Med ハイモイスチャーコーン 中 VitaminPremixADE ビタミン ADE CornHM %Fine ハイモイスチャーコーン 細 VitaminPremix ビタミンプレミックス Biochlor バイオクロール BrewersGrnWet ビール粕 ( 生 ) コ EnergyBooster エナジーブースター CanolaMealSolv カノーラミール Megalac メガラック CanolaMealMechExt カノーラミール Mepron メプロン CornDistWet ウイスキー粕 ( 生 ) Prolak プロラック CornGermMeal コーンジャムミール CornHominy ホムニーフィード YeastCulture イーストカルチャー FatCottonseedOil 綿実油 Alfalfa CubesJ アルファルファキューブ FatSoybeanOil 大豆油 Alfalfa PellSunJ アルファルファ MolassesBeet 糖蜜 ( ビート ) Alfalfa PelletsJ アルファルファペレット MolassesCane 糖蜜 ( サトウキビ ) Linseed MealJ MolassesDried 糖蜜 ( 乾 ) Lupin FlakeJ ルーピンフレーク OatsGrnWhl オーツグレイン 全粒 Rice BranHiNSCJ OatGrnStmRld オーツグレイン スチームロール J Rice BranJ OatGroatHulless オーツグレイン 皮なし A Rice BranSolJ OatHulls オーツ皮 P Rye FlakedJ OatTailings オーツ残渣 A Safflower MealJ RicemillFeed 米ぬか N Screening PelletsJ スクリーニングペレット RiceBran もみがら SoySauce MealJ しょうゆ粕 SoybeanHullsGrnd 大豆皮 SoybeanHullsPellet 大豆皮ペレット Soybean FlourHtJ しょうゆ粕 StarchCorn コーンスターチ SoybeanWhlRaw しょうゆ粕 WheatGrnGrnd 小麦圧ぺん Sueko FlourJ 末粉 WheatBran ふすま Wheat BranFinJ WheatFlour 小麦粉 GrassSil グラスサイレージ WheatMidds ふすま末粉 WheyAcid ホエイ - 16 - 操作説明釧路農協連

2) Feed Dictionaries とセッションファイル CPM-Dairy には Feed Dictionaries(Feed Bank の集合体 ) として数多くの飼料の分析値が用意されている 右図の一番上にある Ration は現在 飼料設計を行っている飼料の中身であり Commercial からJapan-3 は CPM-Dairy で予め用意されている Feed Bank である 飼料設計を行う際には FeedBank のデータベースの中から必要なものをピックアップし Ration へと写し取っていく Feed Dictionaries セッションファイル Ration Feed Dictionaries とセッションファイルの関係は次のようになっている Commercial から Japan-3 Feed Dictionaries の Commercial からJapan-3 は その分析値を変更できない データベースとして用意されている セッションファイル (Ration) や Custom Feedbank へと写し取られた飼料は コピー元となった Feed Dictionaries 内の飼料とはリンクすることなく 自由に編集 利用できる ( 上図 ) Custom Feedbank ユーザーは農家別や飼料メーカー別といった任意の Feedbank を作成し 保存することができる これを Custom Feedbank という( 作成法は次ページ参照 ) Ration と Custom Feedbank は どの Feed Bank からも任意の飼料を写し取ることができる Ration に写し取った飼料データは編集可能であり なおかつ変更を加えた分析値等はそのコピー元である Custom Feedbank とデータをリンクさせることもできる CPM-Dairy を操作しているとき Commercial からJapan-3 は常時参照できるが 利用したい Custom Feedbank は指定 ( オープン ) してなければならない - 17 - 操作説明釧路農協連 編集可能な Ration や Custom Feedbank は Edit( 他は View)

3) Custom Feedbank の作り方 New Feedbank 命名 農家別の Feed Bank を作っておくと その農家特有の飼料 ( 粗飼料等 ) のデータを整理しやすい 粗飼料では年 品種 番草 バンカー No 収穫月日や分析月日 枝番などを名前に付記しておくと分かりやすい 作成 編集した Custom Feedbank は 必要に応じて保存する ( 右図 ) Custom Feedbank を使う時には File Open Feed Bank により使いたいファイルを指定する ( あるいは最初にセッションファイルを開く前に指定する ) Feed Dictionaries では Custom Feedbank のみ Add/Delete Feeds ボタンが表示され 飼料を追加 削除できる ( 右図 ) - 18 - 操作説明釧路農協連

4) 飼料分析値の入力 Edit Feed により編集したい飼料名を選択する 入力データ 1 価格 乾物率など 2 Protein( 蛋白質 ) 3 Carbohydrate( 炭水化物 ) 4 Fat( 脂肪 ) 5 MinVit( ミネラル ビタミン ) 6 Amino Acids( アミノ酸 ) 通常の分析値入力は Quick Edit の画面により行う CPM-Dairy における予測消化プロセスはかなり適正なものであるが これは同時に栄養組成に対して強い感受性をもつことを意味する 飼料分析値に不適切な入力があると 設計そのものが無意味になってしまう (Garbage in, garbage out) 自給飼料は 基本的には自分で使うものであるため価格設定は 0.01 円とする 各栄養素に関する解説は 20~22 ページを参照 - 19 - 操作説明釧路農協連

Protein ( 蛋白質 ) 分画 Crude Prot A~C 粗タンパク CP Soluble Prot A,B1 溶解性タンパク SIP 算出法 NPN A Non Protein Nitrogen 非タンパク窒素化合物 N P N B1 B2 S ol ubleprot-npn CrudeProt -S olubleprot-ndip NDIP B3,C Neutral Detergent Insoluble Protein NDF 中のタンパク B3 N DIP-ADIP ADIP C A c id Detergent Insoluble Protein 結合蛋白質 BP A DIP CP の分画を図にすると CP SP NDIP NPN ADIP A B1 B2 B3 C タンパク分画の組成と消化 組成ルーメン消化腸管消化 A NH 3 NO 3 アミノ酸 ペプチド瞬時 100 (%/ 時 ) B1 グロブリン アルブミンの一部 200~300 100 B2 ほとんどのアルブミン グルテリン 5~15 100 B3 プロラミン エクステンシンタンパク 変性タンパク 0.1~1.5 80 C メイラード反応産物 リグニンに結合したN 0 0 アミノ酸の組成までの分析値があれば Amino Acids より入力 - 20 - 操作説明釧路農協連

Carbohydrate ( 炭水化物 ) ADF NDF Acid Detergent Fiber 酸性デタージェント繊維 リグニン + セルロース 表示だけで計算には用いられない Neutral Detergent Fiber 中性デタージェント繊維 ADF+ ヘミセルロース pendf physically effective NDF 有効センイ (1.18mmのメッシュに残ったもの) pendf は %NDF から自動計算される %NDF の最初の値は根拠がない限りちょさない方がベター Lignin リグニン Lignin 2.4=Unavail NDF(C) Ash 灰分 ( ミネラル ) Ether Extract 粗脂肪 ( エーテル抽出物 ) NFC Non Fiber Carbohydrates 非センイ性炭水化物 100-(Ash+EE+NDF+CP)+NDIP 炭水化物を整理すると NFC NDF NSC ADF サイレ 糖 でんぷん 溶解性 ヘミセル セルロ リグニン ージ酸 センイ ロース ース A1 A2 B1 B2 B3 C 炭水化物分画の組成と消化組成 算出 ルーメン消化 腸管消化 A1 Silage Acids 1~2 100 A2 Sugar 200~350 100 B1 Starch 20~40 75 B2 Soluble Fiber( ペクチン βグルカン ) NFC (A1+A2 +B1) 40~60 75 B3 ヘミセルロース セルロース NDF-C-NDIP 2~10 20 C リグニン Lignin 2.4 0 0-21 - 操作説明釧路農協連

Fat ( 脂肪 ) 栄養的に意味があるのは脂肪酸 グリセロール (Glycerol) やピグメント (Pigment) などは不消化物として糞中に排出される 乳牛の脂肪に関する栄養学的な見地は進化し続けており CPM のサブモデルプログラムも update されていく 今後 乳牛における脂肪の栄養について理解すべきキーワードは 脂肪酸の種類 飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸 長鎖脂肪酸 (LCFA:Long Chain Fatty Acids) 共役脂肪酸 (CLA:Conjyugated Linpleic Acid) 小腸での消化モデル 繁殖や乳脂率との関連など (NF140 164 などを参照 ) MinVit ( ミネラル ビタミン ) Amino Acids ( アミノ酸 ) 脂肪の組成 微量ミネラル ビタミン類 アミノ酸の組成などは 通常ではその分析値をもたない 特に裏づけがないのであれば デフォルト値をそのまま利用する Quick Edit ( 編集画面 ) 分析値からデータを打ち込むにはこの Quick Edit の画面が便利 - 22 - 操作説明釧路農協連

MEMO - 23 - 操作説明釧路農協連

炭水化物あれこれ 一般に 生草予乾サイレージ化乾草 B1 分画が高く 60~70% あるタンパク質分解酵素による分解が起きてくる長く好気状態にあり 乳酸発酵までに時間がかかったものは ペプチドがアンモニアに変わってしまう このアンモニアはバクテリアが利用するが 概してエネルギー不足の状況である素早く乾いた良質のものは B1 分画がかなり保存されている NFC と NSC 大きな違いは ペクチンが含まれているか否か NFC NSC+ ペクチン NFC=100-(Ash+EE+NDF+NDICP) ペクチンは NSC ではセンイ分として位置づけられているので除かれている しかし反芻動物はこれを消化利用できるため NFC では含んでいる NSC を利用するとき その上限を 42 などとするとトラブルが多発しやすいので注意する - 24 - 操作説明釧路農協連

5) 飼料分析値からの入力 < 十勝農協連 ( 農産化学研究所 ) の場合 > 51 1 2 4 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 3 5 2 3 5 7 8 16 12 11 6 10 3:%CP に入力すると %DM は自動計算 4:3 の一部 (%SP 中を指定 ) 9:8 の一部 (%NDF 中を指定 ) 14:NFC の一部 (%NFC 中を指定 ) 15:NFC の一部 (%NFC 中を指定 ) 13 と 17: 計算により自動表示 (P20 参照 ) 根拠ない限りデフォルト値が無難 このため Feedbank から類似した Forage を選択する際には慎重に OCC 細胞内容物 OCW 総センイ 酵素法によるセンイ分析 ( NDF) NDF との差は NDF 分析法で一部抜け落ちたリグニン等 Oa 高消化性センイルーメン内のセイン分解菌で容易に消化される Ob 低消化性センイリグニンに被覆され 分解されにくい 発酵品質の見方と 給与法の留意点 Master 編参照 - 24 - 操作説明釧路農協連

< ホクレンの場合 > 1 1 2 3 2 4 3 5 6 5 10 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 8 12 7 16 8 3:%CP に入力すると %DM は自動計算 4:3 の一部 (%SP 中を指定 ) 9:8 の一部 (%NDF 中を指定 ) 14:NFC の一部 (%NFC 中を指定 ) 11 15:NFC の一部 (%NFC 中を指定 ) 13 と 17: 計算により自動表示 (P20 参照 ) 下図を縮小コピーして PC の端に貼っておくと便利でしょう CP NFC NDF SP NDIP NSC 溶解 NPN ADIP (BP) サイレージ酸 糖 でんぷん 性センイ ヘミ セル ロース ADF セルロ リグ ース ニン A B1 B2 B3 C A1 A2 B1 B2 B3 C - 25 - 操作説明釧路農協連

< 入力にあたっての留意点 > 乾物率 粗飼料の水分含量は変動するため現場で飼料設計を行う際には 電子 レンジと秤が必須アイテムとなる 水分含量が5% 以上ブレていると 設計と現実の TMR は別物となりやすい その理由は また水分測定のため サイレージを高温乾燥させると揮発性の酸も一緒に飛んでしまい 正確な水分含量とは誤差を生じる どうするか? Master 編を参照 粗飼料の分析値の目安 粗飼料の分析値をそのままでは鵜呑みにできないこともある 飼料設計の際 全体の飼料のバラン スを左右する大きな要因となるため 分析値が妥当なものであるかは確認する 値の ( あくまで ) 目安 DM CP ADF NDF EE NFC CS 25~30 8.5~10.0 25~31 44~54 3.1~3.7 30~40 GS1st 30~35 11.5~13.0 37~41 65~67 3.6~4.0 12~14 GS2nd 35~40 13.5~15.0 35~38 61~63 4.1~4.2 13~15 乾草 1st 84~87 9.3~10.0 38~40 65~68 2.1~2.3 16~20 乾草 2nd 82~87 11.0~12.5 35~38 61~64 2.2~2.6 17~20 分析値に変動を与える大きな要因 サンプリング同じバンカーのサイレージでも 圃場や収穫日 その時の天候 作業者の技量などにより栄養価にも差異を生じる ロールならばなおのこと顕著である ( ある程度の変動を見越した設計も必要 ) バンカー等ではサンプラを用いて数箇所を採取し 全体を代表できるサンプリングを行う サンプルの取り扱い採取したサンプルは空気を抜き 密閉 冷蔵し 早めに分析所に届ける 特に発酵品質は保存状態によって大きく変動する CP など一般に CP 等は近赤外線法によって求められる そのためリードやシバムギなどが混入するほど差異を生じさせてしまうことがある (Master 編参照 ) - 26 - 操作説明釧路農協連

粗飼料の選択について Feed Dictionaries には類似しているかのよう に見える飼料が並んでいる ( 特に forage) そ の中から的確に選択するための基準は コーンサイレージの水分 荒さによる違い 飼料の形状がルーメンでの発酵にどう影響し ているか 粗飼料の状態のよる分析値の変動と設計上の留意 分析値には表れない粗飼料の特徴 その留意点と利用の仕方 特に嗜好性 - 27 - 操作説明釧路農協連

5) Mix 機能 コーンサイレージとグラスサイレージを 2:1 の比率で使いたい 単味の混合比率を指定した飼料がある といった条件があるときに 便利なのが Mix 機能 である 1 指定したい飼料の比率を入力した後 それらの飼料を選択する 上下連続する飼料なら Shift キー あちこちなら Ctrl キーを押しながら選択する 2 Mix アイコンを押し 混合飼料の名前をつける 3 混合を前提とした飼料ができるので これで設計作業を行なう Preferences で Highlight Mixes を Yes にしておくと Mix のエサ名は反転表示される 4 設計終了後 混合した飼料を分けたければ Mix した飼料を選択して UnMix を実行 MakeMixes 機能 <Master 編参照 > - 28 - 操作説明釧路農協連

< 参考 > セッションファイルと FeedBank に関連するメッセージ 1 フィードバンクを指定した後 セッションファイルをオープンする前に下記のメッセージが 表示されることがある ( 先に開けた FeedBank の ) 飼料の成分とこれから開くセッシ ョンファイルの中の飼料成分を比較しますか? のメッセージ はい いいえ 一致する飼料があっても反映させない ( セッション内の一致する飼料について ) フィードバンク の全ての飼料の更新を反映させますか? はい いいえ 下へ 該当する全て飼料を更新 では全く変更しませんか? はい 最初に いいえ とした状態と同じ いいえ 下へ ( 上の青いバーに表記されている飼料については ) 更新を反映させますか? はい この飼料については更新 いいえ この飼料については以前のままとする次いで該当するそれぞれの飼料について確認される 2 フィードバンクを指定しないで セッションファイルを開ける 変更はない また後からフィードバンクを開けても 既に使用しているセッションファイルには 反映されない セッションファイルを閉じる際 内容に変更がなければそのまま終了するが 変更した覚えがないのに保存の確認が表示 ( 右図 ) されるのは ファイルを開ける際にフィードバンクからの影響があったためである - 29 - 操作説明釧路農協連

Mix 機能には次のようなケースにおいても利用できる 1)2 種類の TMR を作りたいが 別々に作るのではなく 1 種類の TMR を作成 給与した後 ミキ サーワゴンに別途配合や単味を追加し 別の種類の TMR として作成 給与したい 先に給与するグループの飼料設計を行い 出来上がった各飼料を Mix 機能によりひとつの飼料として登録する 別グループではこのMix した飼料をメニューに取り込み 諸条件を設定し オプティマイザーにより飼料設計を行う この場合 留意すべき点はMix した取り込んだ飼料の特性は Forage か Concentrate のいずれかである Forage の条件設定で 上限あるいは下限は緩めておかなければならない また出来上がった後 Unmix 化して Forage の比率は確認しておくべきであろう ME と MP に違いが生じるのは 2) コーンサイレージの現物を見ると プロセッサのかかり方が十分ではなかった Feedbank Forage より Pr と Up を選択し これをMix して利用する ただし Mix した飼料成分の値は変更をかけようとすると 下図のような確認メッセージが表示される これは変更しようとする飼料が mix されたものであるため 後にこれを Unmix( 元に戻す ) としても 各飼料の成分値は元のままであり 変更は反映されないことを表している 3) - 30 - 操作説明釧路農協連

セッションファイルと Custom Feedbank の関係 この特長は次のように利用できる 例えば農場別に Custom Custom Feedbank を作成し これに各農場の粗飼料を入力 登録しておくと Feedbank では追複数のグループに同じ粗飼料を給加 削除 編集が与することがあっても セッションファイル毎に同じ分析値の入力する手間が省ける さらに分析値に変更が生じても Custom Feedbank 内の値さえ修正すれば 該当する粗飼料が使われている全てのセッションファイルにその変更を反映させることができ 新たな評価や再設計がスムースに行える 飼料メーカー別に Custom Feedbank を作成しても上記と同様なことも可能であるが セッションファイルを開ける前に指定できる Custom Feedbank はひとつであり 飼料メーカーからのデータは粗飼料と比べると価格以外 成分値の頻繁な変動は非常に少ない このためメーカーから配合などの新しい分析値が提供された際には 飼料メーカー別の Custom Feedbank に登録は行うものの セッションファイルでは 修正が加わった飼料をコピーし直して利用する方がよいであろう 5 5 他のセッションファイ ルでも引用し 価格や 分析値などを修正 - 31 - 操作説明釧路農協連

< 粗飼料の選択について > 通常 粗飼料を分析依頼しても アミノ酸の分画やミクロミネラルなどまで分析値が得られる わけではない マスターフィードディクショナリの Forage より 最も類似していると判断す るものを引用することになるが 選択のための判断基準は次のとおりである 牧草 まずイネ科 マメ科 混播か判断 NDF CP の類似したものを選択 5 コーンサイレージ 1 クラッシャの使用の有無 CrnSil のPr か Up クラッシャが効いているかは現物をみて判断する 2 DM NDF が近似したものを選択 Crse Med Fine 成分値や消化率などの違いは次頁参照 - 32 - 操作説明釧路農協連

< コーンサイレージの水分 荒さによる違い > Feed Dictionaries の forage の中に用意されている類似した飼料 ( コ ーンサイレージ ) の違いを見ると DM のよる相違 水分が高まるほど pendf の比率がやや高まり ChoA1(SilageAcids) が減少 ChoA2(Sugar) が微増 消化速度は ChoB1(Starch) ChoB2(Soluble Fiber) がやや遅くなる Crse Med Fine による相違 (Pr に Fine はない ) 細かくなるほど pendf の比率が大幅に減少 ChoA1(SilageAcids) と ChoA2(Sugar) が微動 消化速度は Cho では B1 から B3 の全てが上昇するが 特に B1(Starch) が飼料全体への影響が高い Pro も B2 B3 とも増加 - 33 - 操作説明釧路農協連

コーンサイレージに限ったことでなく 他の飼料でも加工や形状が発酵の速度を - 34 - 操作説明釧路農協連

< 粗飼料の状態のよる分析値の変動と設計上の留意 > 乳牛の飼料のメインは粗飼料です その品質や嗜好性 食い 込みがよろしくなければ生乳の生産性は大いに揺るがされま す 粗飼料の状態とともに乳牛の採食行動を観察し 分析値 サイレージのヒートダメージ 蛋白質 B3 C の分画が増加 サイレージの酪酸発酵 サイレージの二次発酵 サイレージのカビ - 35 - 操作説明釧路農協連

ADF/NDF 0.80> マメ科 0.79~0.70 混播 <0.70 イネ科 NDF の消化率 40~70% ADF の消化率 35~70% ADL の消化率 0±5% 消化率の変動幅に最も影響を与えているのは ADL( リグニン ) ADL が増えると NDF の消化率が低下センイとセンイを結び付けている金具のようなもの乳が出る草かどうかの粗飼料の評価のポイントルーメンのバランスを - 36 - 操作説明釧路農協連

乳牛を始めとした諸条件 検討したい飼料のデータが揃ったら いよいよ設計段階に入る もし飼料設計で求められるレベルが エネルギーと粗タンパクの充足 それになるべく低価格 といった限られた条件であるのであれば 表計算ソフトを用いて手動で Try & Error を重ねながら答えを探ることも可能であろう しかし現在私たちが設定すべき各種の条件はその比ではなく それらを全てクリアさせながら なおかつルーメンのダイナミックさにも迫ることが求められている CPM-Dairy のオプティマイザーは これが達成できる最も有効な手段である オプティマイザーを操作する前 予め 2 つの条件を設定することができる 栄養的な条件 (By Nutrients By MinVit) と各飼料の条件 (By Ingredients) である 飼料計算のための条件指定 1 栄養素 2 ミネラル ビタミン 3 各飼料 - 30 - 設計 & 検討釧路農協連

1)By Nutrients ( 栄養素の条件 ) ここで設定する諸条件は 飼料設計における重要 なキーポイントとなっている 各項目の意味と設 定する値について確認する DMI 必須 95~105% あたりで検討する 乳牛や環境の諸条件に基づいて予想される DMI が Requirement に列に表示されている この DMI の値が適切なものであるかとは 飼料設計の中で特に重視されるポイントとなる 特に分娩後の経過日数 ( 初期 ) や妊娠の最終段階などの入力値には DMI は影響を受けやすい 現実の DMI との差が大きいのであれば 入力した諸条件や粗飼料の水分などを確認する ME MP 両方とも必須 代謝エネルギーおよびタンパク質 産乳量はもちろんであるが 気温と風と体の汚れなどによっても値は変動する 下限は100 上限は120~125とする 産褥グループでは DMI が小さいため 下限 100をクリアするのは困難な場合もある ME MP って何? NE や RDP(DIP) などはどこにいったの? と感じられる方は BASIC 編を参照 NDF pendf 片方は必須 (pendf の正確な分析値は大抵持ち得ないので NDF を利用する方が無難 ) 正常なルーメン機能の維持することを目的とし 最低限を必ず確保 する NDF の最小値なら30% pendf ならば22~23 NFC Starch Sugar 必須 エネルギー (NFC) の構成 3 つ全て指定すると計算が困難にな ることもあるので 最初は NFC のみから始めても可 最終段階では3つとも指定 NFC は場合によっては上限 42~4 働いても痩せないエサを! 食いたくない粗飼料をあまり混ぜるな! 足が痛くなるエサは嫌だ! 3 でも可能であるが 通常の管理レベ ルであれば 40 程度にまで抑える 円滑な労使交渉に CPM をどうぞ - 31 - 設計 & 検討釧路農協連

Forage 指定 粗飼料の割合 40を下回るなら pendf は低すぎないこと 45 以上なら安心でしょう LCFA 長鎖脂肪酸 最初は外しても良い 最低 0~ 最高 6 Pept NH 3 必須 ペプチドとアンモニア 最低限 105 何故最低が100でないのか HELP を参照 P Met Lys 最初は制限なしで行う リン メチオニン リジン P:100~150 程度 Met Lys:90~120 程度 飼料設計は飼料の濃度 (%) をコントロールするものであるが 乳牛の栄養摂取量は 乳牛が食った量 その濃度 によって決まる 図に示すと右下のように 円の大きさ (DMI) と各栄養素の占める比率によって乳牛が摂取できる栄養レベルが決定されることになる 円が小さくなってくると エネルギーを補充するためにはNFC やFatの比率がより高まってくる しかし大前提として ルーメンの 安定的で良好な発酵を保証する全体のバランスがなければならない 飼料設計ではアミノ酸の組成やミネラルの過不足などといった事項も検討されることではあるが 微細にはまり込んでしまうと 設計は迷走の一途を辿ることになる まずは全体の大まかなバランスから調整していくことが肝要である 飼料のおおよその内訳 Fat ミネラル等 CP NDF NFC 炭水化物 - 32 - 設計 & 検討釧路農協連

ガイドライン これも縮小コピーし PC の端に貼っておくと便利でしょう 単位 産褥期前産褥期ピーク 目標下限上限目標下限上限目標下限上限 DMI % 予測 100 95 105 100 95 105 100 95 105 タンパク質バランス % 要求 100 95 105 100 95 105 100 95 105 NP/MP 65 60 70 65 60 70 ME バランス Mcal/ 日 1 0 4 0-6 2 1-1 3 体重変動 ポンド / 日.25 0 1 0-1.5 0.2 0-0.5 1 炭水化物NFC %DM 33 30 36 38 35 39 40 35 41 Sugar %DM 4 3 6 6 5 9 6 5 9 Starch %DM 23 20 25 24 21 27 25 21 27 Soluble Fiber %DM 7 5 6 7 5 11 7 5 11 NDF %DM 33 30 45 30 28 35 30 28 35 pendf %DM 25 23 35 23 21 28 23 21 26 溶解性DM %DM 43 41 44 43 41 44 43 41 44 Sugar %DM 5 4 6 5 4 8 5 4 8 Starch %DM 21 20 22 21 20 22 21 20 22 Soluble Fiber %DM 6 4 9 6 4 9 6 4 9 NDF %DM 10 9 12 10 9 12 10 9 12 pendf %DM >32 30 40 >32 30 40 >32 30 40 EE1 脂%DM 0 3 0 3 0 3 EE2 %DM 0 3 0 3 0 3 EE1+2 %DM 0 5 0 5 0 5 肪EE3 %DM 0 1 0 4 0 4 EE 計 %DM 0 4.5 0 6 0 7 LCFA %DM 1 3.5 3 2 5 3 2 6 ルーメン N バランス NH 3 % 要求 110 105 150 110 105 150 110 105 150 ペプチド % 要求 110 105 150 110 105 150 110 105 150 溶解性蛋白質 %CP 31 30 40 31 30 35 31 30 35 RDP %DM 11.5 11 13 11.5 11 12 11.5 11 12 アミノ酸バランス Rulquin Met %MP 2.12 2.10 2.50 2.12 2.10 2.50 Lys %MP 6.57 6.50 7.30 6.57 6.50 7.30 Lys:Met 3.1:1 3.0:1 3.3:1 3.1:1 3.0:1 3.3:1-33 - 設計 & 検討釧路農協連

2)By MinVit ( ミネラル ビタミンの条件 ) これに条件をつけるとやりづらくなりやすいため 基本的にフリーの状態としておく ミネラルやビタミンの調整は 大まかな設計ができた後 Report の MinVit のシートを見ながら行う そのため予め飼料のなかにダミーの MinVit を 200 gほど確保しておくと便利 3)By Ingredients ( 飼料の条件 ) 粗飼料は農家での在庫量や使いたい量などといった事情を考慮するものの最初の設計段階においては その上限 & 下限の量はなるべく緩やかにしておく 配合や単味なども常識の範疇において 緩やかに範囲を指定する 選択した飼料の種類が少なすぎると オプティマイズは困難に陥る 諸条件を指定した ら オプティマイザ ーをはしらせる 考える CPM-Dairy 指定した条件を満たす答えが得られれば左 得られなければ右 指定した条件を全て満たす設計ができないと 回答 いいえ を選択すれば条件設定に戻り 再設定できる - 34 - 設計 & 検討釧路農協連

オプティマイザーによる結果が 適切なものであるかを各シートにより確認する 頻繁に見るべきシート 各シートの概要 CNCPS Cornell Net Carbohydrate and Protein System 設計の総括 最重要! Amino Acids アミノ酸別の要求量に対する設計結果 Min Vit ミネラル ビタミン類の要求量に対する設計結果 Met E&P 代謝エネルギーとタンパク質の詳細 食い切れる飼料内容か タンパクの比率 MUN 予測などもある P&E 飼料別のタンパクとエネルギーのレベル Diet Summary 飼料別のコストと量 各栄養素の濃度 Prot Pools 飼料別のタンパク質の分画 (A B1 B2 B3 C) Carb Pools 飼料別のエネルギーの分画 (NFC NDF) Carb Ferm 飼料別の発酵性 Bact Eval Feeding Sheet 設計した飼料給与量を頭数規模などに応じて表にする (P* 参照 ) Batch Mix 栄養素の濃度 ( 乾物と現物 ) Kp&CHO-B3kd 飼料別のルーメン通過と炭水化物 (B3) の様子 Fatty Acids 飼料別の脂肪の組成 P&N Bal リンと窒素のバランス RUP Dig 各シートの詳細は別冊 CPM-Report 詳細解説 を参照 - 35 - 設計 & 検討釧路農協連

CNCPS シートのレイアウト 3 7 6 1 2 4 5 8 9 1 C OST IOF C ost: 一頭当たりのエサ代 IOF(income over feed cost): 生産乳代 -エサ代 2 DMI 設計上の DMI と予測 DMI 対比 3 ME MP ME: 代謝エネルギー MP: 代謝タンパク NP/MP: タンパク質のバランス効率 Bact MP:MP 中のバクテリア P 依存率 4 CP 他 C P: 粗タンパク RUP: バイパスタンパク質 LC FA: 長鎖脂肪酸 EE: 脂肪 5 NDF NFC 他 NDF:NDF 濃度 Forage NDF: NDF の粗飼料比率 (NDF 中 ) pendf: 有効 NDF 含量 (DM 中 ) Lig nin: リグニン NFC:NFC 濃度 SilAcids( サイレージ酸 ) Sugar( 糖 ) Starch( デンプン ) SolFiber( 溶解性センイ ) Lys:Met: リジン対メチオニン 6 Rumen N Balannce ペプチドとアンモニアのバランス 7 Amino Acid Balance メチオニンとリジンのバランス 8 ME MP ME MP からの生産能力 ( 対設定 ) 9 DM Forage 現物中の乾物率 粗濃比 - 36 - 設計 & 検討釧路農協連

CNCPS のシートから 飼料全体のバランスを直感的につかみ取れるよう下図を参考にされたい ( 円の大きさ ) CP Fat ミネラル等 NDF NFC NFC= SilAcids +Sugar +Starch +SolFibe 全体のバ ランスが大 切 - 37 - 設計 & 検討釧路農協連

オプティマイズにより得られた結果 ( 各シート ) には多くの数値が提供される 枝葉の数値にとらわれていると全体のバランスを崩すことになるので 常に全体像を的確に把握するために 検討すべきアウトラインを以下に示す I チェック 1 食えるか!? 予想 DMI が 24kg であっても 成牛のルーメン容量はおよそ 200 リットル ちょっとしたユニットバスくらいのサイズに相当する そこに 24kg の大半を粗飼料で設計するとかさ張って乳牛は食い切れない そこで目安となるのが pendf の供給量 & 容量と関係である MetE&P のシートで確認 要求量 供給 量 容量 条件 :Sup Cap Sup が Cap を上回るようであれば 粗飼料の給与量の上限を抑えるのでなく NDF に上限をやや抑えてみる 畜舎環境や管理レベルが優れているほど 容量に対して供給量は近似させてもよいが その反対の状況あるいは粗飼料の嗜好性が低いのであれば 供給量は抑えめにする pendf の大半は粗飼料由来 粗飼料の pendf は通常デフォルト値を用いるが その値が妥当かは現物を見て判断するか パーティクルセパレータ等で測定する 2~3% のブレでも pendf 供給量には微妙に影響する 育成牛の場合 pendf 容量が小さいため供給量はこれを上回りやすい 食うのであれば - 38 - 設計 & 検討釧路農協連

I チェック 2 エネルギーとタンパク エネルギーとタンパクのバランスをチェックする ME MP が 0 以上ならば要求量以上を満 たしている NP/MP の乳タンパク質の生 産効率は 65±5 であること 詳細は MetE&P のシートを参照 余したタンパクを処理するエネルギー 0.1~0.2 が目安 高すぎるなら その上の Pept NH 3 の充足率を確認する ME 過不足による BCS や乳量の増減予測 BC が 1 増減する日数が短めであれば再検討する Basic 編参照 何故 ME MP なのか? UreaCost って? どうやってコントロールするの? MP 中の Bact と RUP の比率はどうやって決まるのか? 小腸に達するタンパク質の内 ルーメンバクテリア由来とバイパス由来の量 Bact>RUP であること 予測 PUN&MUN MUN は 15 あたりを上限とする - 39 - 設計 & 検討釧路農協連

I チェック 3 炭水化物 エネルギー源 (NDF NFC) の内訳をチェックする NDF 30% 以上確保が無難 pendf 最低限 22~23% を確保 NFC 40% を一応の上限 Sugar 4~6% Starch 25% を一応の上限 (Sugar+Starch=30 以下 ) 上記はオプティマイザーにより制約が予めかけられる項目である NDF ルーメンの安定発酵に不可欠 嵩 (NDF) と反芻性 (pendf) のため 最低限は必ず確保 する NFC 上限 をコントロール 過剰であるとアシドーシスのリスクがある Bank management が優れ 牛の定員過剰がなく 固め食いが認められず 採食回数が確保されているといった条件が整えば42~43とすることも可能である forage に制限があり 副産物の溶解性センイの比率が高いときにはNFCは抑えめにする Lignin 牛にはリグニンに対する要求量があるようである (Van) 最低限 3% 位か? Sil Acids ガイドラインはまだはっきりとしない 上限はあるであろう この酸はバクテリア を増殖させない Sol Fiber ガイドラインは現在不明 スターチを溶解性センイに置き換える方法もあるが 置き換えすぎる ( デンプン 17~18) と乳量は抑制される Starch Sol Fiber プロピオン酸乳酸発酵に貢献酢酸乳酸発酵にならない - 40 - 設計 & 検討釧路農協連

炭水化物の発酵性 Carb Ferm のシート 右図のように飼料がルーメンに入り込んでくる状態が異なれば ルーメン内での飼料の滞在時間に相違がでるため 飼料の発酵性は一定ではないことを意味する CPM-Dairy にはこの時間軸の概念が組み込まれているのが大きな特長のひとつであり 高い精度で乳牛に迫ることを可能としている Relative Intake の数値を 24.5(DM) に合わせ (Apply) 各発酵率を確認する 後で元に戻す (Reset) することをお忘れなく! Ration Guideline(P33) の Fermentability を参照しながら 各分画の発酵性 が妥当なものであるかを確認する DMI が下がる ルーメン通過速度が低下する 発酵性が上昇する - 41 - 設計 & 検討釧路農協連

I チェック 4 ルーメン N バランス ルーメンバクテリアのエサとなる窒素 (N) 源 主な供給源はタンパク質であるが バクテリアによってペプチド (Pept) を必要とするバクテリアとアンモニア (NH 3 ) を必要とするバクテリアがいる そこで Pept(%rqd) 最低限 110% Pept +NH 3 (%rqd) 最低限 110% Pept +5~10g<Pept +NH 3 Pept が全て NH 3 にはならない 現在の CPM-Dairy には 前の作業まで戻る という機能が備わっていない また設計の途中で迷走始めると 少し戻って考え直したい時もある さらに PC のフリーズ等に備えるため 適当な区切り毎にデータを保存しながら作業を進めることを強くお勧めします - 42 - 設計 & 検討釧路農協連

I チェック 5 アミノ酸のバランス アミノ酸バランスは考慮すべき対象ではあるが 優先順位では上位に位置づけられるものではない またアミノ酸の調整は概して高くつきやすいため 最初はMet&Lysの制約なしでオプティマイズを行い 後でコスト (I OF) と Urea Cost を見ながら検討する アミノ酸バランスは 乳成分に重きをおく乳価であるほど より重視されてくる課題である 3.2:1 問題なし メチオニンを加えることも考慮 3.1:1 ガイドライン 3.0:1 Rulquin のバランスを崩しメプロンなどメチオニン添加は逆効果になりうる 目安 :Met2.2( 最低 2.1) Lys6.8( 最低 6.5) 余剰 NH 3 ( 前出 : MetE&P のシート) 高くても 0.4~0.5 程度に抑える Factorial( 階乗 ) 法と Rulquin 法 電卓画面 CPM-Dairy では生体維持 成長 妊娠 産乳のためのタンパクとエネルギーは階乗法 泌乳 のためのアミノ酸要求量には階乗法と Rulquin( 理想タンパク ) 法が使われている ( 選択 ) Met と Lys の調整に入る際 Rulquin 法がお勧め この概念については NF139 を参照 - 43 - 設計 & 検討釧路農協連

I チェック 6 脂肪 長鎖脂肪酸 (LCFA) EE の約 1% 少ない 6% を超えないこと I チェック 6 ビタミン ミネラル ビタミン ミネラルは設計の最終段階で調整される 予めダミーで確保しておいた MinVit を外し MinVit のシートを見ながら行なう ミネラルでチェックすべきは カルシウム リン マグネシウム カリ ナトリウム イオウである 通常のレベルにおいては 微量ミネラル ( 銅や鉄 セレンなど ) にまでこだわる必要性は少ないであろう 配合の中にはビタミン類が予め混ぜられたものもあるが 必要 な牛には十分に与えるべきものであり 配合に含まれていると かえって過不足を生じさせやすく 不経済であることもある - 44 - 設計 & 検討釧路農協連

うまく答えが求まらない! クソッ! オプティマイズによっても解答が求まらない あるいは結果に不満足であるケースは少なくないであろう 落胆する前に CPM-Dairy がオプティマイザーで解答を求めるプロセスを理解するとヒントになるであろう もし トンカツに餃子 バターラーメンが食いたい なおかつ脂肪を取り過ぎないように高度な栄養のバランスも取りたい 所持金は 500 円である という前提に対して これを満足する答えが提供できるであろうか? CPM-Dairy は魔法のソフトではない 使用者が入力した乳牛や環境の諸条件よって栄養要求量が定まり 栄養的制約 と 飼料的制約 の双方をクリアしながら 最低価格で解答を求めようとする 上手く解答が求まらないということは 要求する栄養レベルに対し 指定された条件下での設計が達成されなかったことを意味する さらにリーストコストを達成するために 条件をクリアする限りは単価の安い飼料を制限一杯まで追求するのは道理であるが 各飼料の制限量の設定が現実離れしたものであれば答えはあらぬ方向に向うこととなる CPM-Dairy は使う人の力量が向上するほど より素晴らしい成果がもたらすソフトであり 他の飼料設計プログラムの追随を許さないであろう うまく回答が求まらないとき 次のことを検討してみる DMI に大きな制約がないか 飼料別の給与量の上限と下限を熟慮する 最初のアプローチ段階では 重要なポイント なる栄養素の制約のみをやや緩めで指定し それ以外は外しておく 徐々に 攻めていくのが正攻法である 飼料の中に制限栄養素の優れた供給源を追加するメインとなる粗飼料の品質が悪いのに 高い生産量の設定でないか飼料価格の設定に間違いがないか 設計のノウハウを熟知する人の手順を拝見させてもらうのは 大いに参考になる - 45 - 設計 & 検討釧路農協連

出来上がった設計内容を書き写したり 表計算ソフトなどに入力し直すことのなく利用するのは Feeding Sheet のシートが便利である 飼料を選択し ドラッグ & ドロップ By:Cow 乳牛の頭数に応じて一覧表を作成 Number: 乳牛の頭数 Daily Intake%: 一日一回なら 100% 二回なら 50% Increment: 頭数の増減幅 Num of Increment: 幅 50 頭 増減幅 2 で数 5 とすると 146248350452554 と5つ作る By:Amount 総量に応じて作成 ( ミキサーワゴンの容量を基準とする時など ) Amount to Make: 総量 Increment: 頭数の増減幅 Num of Increment: - 46 - 補足釧路農協連

Round 機能 粗飼料などの場合 総量 824.5kg としても細かい数値は現実的には意味をなさない ミキサーワゴンのスケールなど測定できうる単位とした方が使いやすいため Round( 丸め ) 処置を行なう 先に飼料を選択し Round ボタンを押すと どの単位で丸めるかが指定できる 印刷 & 印刷プレビュー 印刷 あるいは印刷プレビューボタンにより左の画面が出るので 必要な項目にチェックマークを入れて OK ボタンを押す 各シートのレポート (Reports) Ration 内の飼料別の分析値 (Screens) Feed Dictionaries 内の栄養成分値の一覧 (Feedbank-View) などが印刷できる - 47 - 補足釧路農協連

Change からプリンタ設定 ができる 出力先の PDF 化も可能である 印刷の諸設定 ( 用紙サイズや 縦横など ) は File の Page Setup から指定する Export 機能 データを他のソフトで使用したいとき に利用する 保存場所とファイル名を指定する Word や Excel などでも利用可 - 48 - 補足釧路農協連