表 1 GDP 及び主要経済指標の見通し 2013 年 2014 年 2015 年 ( 実績 ) ( 予測 ) ( 予測 ) 実質 GDP * 個人消費支出 * 民間設備投資 * 住宅投資 * 民間在庫変

Similar documents
実質政府消費支出及び総投資 * 工業生産高 * 自動車販売 ( 百万台 ) *** 住宅着工件数 ( 百万件 )*** 原油価格 (WTI ドル/ バレル )**

[000]目次.indd

各資産のリスク 相関の検証 分析に使用した期間 現行のポートフォリオ策定時 :1973 年 ~2003 年 (31 年間 ) 今回 :1973 年 ~2006 年 (34 年間 ) 使用データ 短期資産 : コールレート ( 有担保翌日 ) 年次リターン 国内債券 : NOMURA-BPI 総合指数

【ロシア最新経済金融週報】

ロシア 3節 第 第3節 ロシア 1 マクロ経済動向 ロシア経済は 緩やかな回復基調にある 2014 年 7 以下 輸出 個人消費 消費者物価 金融市場の動 月以降のウクライナ危機発生及びクリミア併合に伴う 向を中心に概観する 欧米からの経済制裁に加え 2015 年以降 原油価格 の下落を主因として

日本経済の現状と見通し ( インフレーションを中心に ) 2017 年 2 月 17 日 関根敏隆日本銀行調査統計局

2019 年 3 月期決算説明会 2019 年 3 月期連結業績概要 2019 年 5 月 13 日 太陽誘電株式会社経営企画本部長増山津二 TAIYO YUDEN 2017

( 億円 ) ( 億円 ) 営業利益 経常利益 当期純利益 金 25, 2, 15, 12, 営業利益率 経常利益率 額 15, 9, 当期純利益率 6. 1, 6, 4. 5, 3, 2.. 2IFRS 適用企業 8 社 214 年度 215 年度前年度差 ( 単位 : 億円 ) 前年

米国の鉄鋼需要はすでにピークを迎えていると見ている 鉄鋼需要産業見ると 自動車販売数は非常に高い水準で好調であるが ピークに達しており 更なる拡大は望めない 住宅 ビル建設向けの需要は堅調であるが若干の拡大程度 一方で エネルギー向け需要は非常に厳しい状況となっているのはご存知のとおりである それら

平成 25 年 3 月 19 日 大阪商工会議所公益社団法人関西経済連合会 第 49 回経営 経済動向調査 結果について 大阪商工会議所と関西経済連合会は 会員企業の景気判断や企業経営の実態について把握するため 四半期ごとに標記調査を共同で実施している 今回は 2 月下旬から 3 月上旬に 1,7

平成24年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度(閣議了解)

我が国中小企業の課題と対応策

現代資本主義論

エコノミスト便り

( 億円 ) ( 億円 ) 営業利益 経常利益 当期純利益 2, 15, 1. 金 16, 額 12, 12, 9, 営業利益率 経常利益率 当期純利益率 , 6, 4. 4, 3, 2.. 2IFRS 適用企業 1 社 ( 単位 : 億円 ) 215 年度 216 年度前年度差前年度

別紙2

生活衛生関係営業の景気動向等調査 平成17年7~9月期

IT 人材需給に関する調査 ( 概要 ) 平成 31 年 4 月経済産業省情報技術利用促進課 1. 調査の目的 実施体制 未来投資戦略 2017 ( 平成 29 年 6 月 9 日閣議決定 ) に基づき 第四次産業革命下で求められる人材の必要性やミスマッチの状況を明確化するため 経済産業省 厚生労働

【No

month_02.pdf

目 次 Ⅰ. 総括編 1. 世界各地域の人口, 面積, 人口密度の推移と予測およびGDP( 名目 ) の状況 ( 1) 2. 世界の自動車保有状況と予測 ( 5) 3. 世界の自動車販売状況と予測 ( 9) 4. 世界の自動車生産状況と予測 ( 12) 5. 自動車産業にとって将来魅力のある国々 (

FOMC 2018年のドットはわずかに上方修正

ベネズエラ経済 (2013 年 2 月 ) 1 経済概要 (1) 政府の各種政策 統計 企画財務省は, チャベス大統領の指示の下, 現行の為替レートである1ドル=4.3ボリバル (BS) を1ドル=6.3BSへ切下げる旨発表した ベネズエラ中央銀行 (BCV) によると,1 月のインフレ率は, 昨年

Microsoft Word - 49_2

<4D F736F F D20819A819A8DC58F49835A C C8E816A2E646F63>

中国:PMI が示唆する生産・輸出の底打ち時期

統計から見た三重県のスポーツ施設と県民のスポーツ行動

サマリー 1 市場の関心は米大統領選の行方に集まっています 世論調査においてドナルド トランプ氏の優勢が報じられると 市場の更なる丌確実性が懸念され リスク資産からの資金流出が記録されました 10 月の MSCI 世界株価指数はマイナス 2.01% MSCI 新興国株価指数は 0.18% と新興国が

ecuador

資料1

Microsoft Word - 732_2

Microsoft PowerPoint - 09macro3.ppt

RW ppt

第2部

nichigingaiyo

[ 参考 ] 先月からの主要変更点 基調判断 3 月月例 4 月月例 景気は 急速な悪化が続いており 厳しい状況にある 輸出 生産は 極めて大幅に減少している 企業収益は 極めて大幅に減少している 設備投資は 減少している 雇用情勢は 急速に悪化しつつある 個人消費は 緩やかに減少している 景気は

(Microsoft Word \214\216\215\206_\203g\203s\203b\203N1\201i2010\224N\223x\214o\215\317\214\251\222\312\202\265\201j.doc)

ニュースリリース 農業景況調査 : 景況 平成 3 1 年 3 月 1 8 日 株式会社日本政策金融公庫 平成 30 年農業景況 DI 天候不順響き大幅大幅低下 < 農業景況調査 ( 平成 31 年 1 月調査 )> 日本政策金融公庫 ( 略称 : 日本公庫 ) 農林水産事業は 融資先の担い手農業者

プレゼン

決算サマリー 2019 年 3 月期第 1 四半期業績概要 売上高 596 億円 ( 前四半期比横ばい ) 営業利益 60 億円 ( 同 34% 増 ) 自動車向けの需要が コンデンサ中心に堅調 2019 年 3 月期業績予想 上期の業績予想を上方修正 自動車 産業機器の電子化やスマートフォンの高機

経済学でわかる金融・証券市場の話③

米国の利上げ見送りと日本の長期化した金融緩和

本日の説明内容 総括 2019 年 3 月期第 1 四半期実績 2019 年 3 月期通期見通し 主要施策の進捗 1

ブラジル中国インド インドネシア ロシア 図表 新興国の消費者物価上昇率 ( 単位 :%)( 資料 :IMF 世界経済見通し ) 通常であれば 成長率が低下すれば 国内の需給バランスが緩和し むしろ物価は低下するのが自然である しかし 中国以外の カ国は逆に物価上

3_2

2018 Brother Industries, Ltd. All Rights Reserved 年度第 3 四半期連結業績概要 16Q3 増減 増減率 () は為替影響 除く増減率 売上収益 1,878 1, % (+6.4%) 事業セグメント利益 224

Microsoft Word - 20_2

Microsoft Word - レポート2016年8月29日自動車関連株

フ ァ ン ド の 特 色 ハイグレード ハイグレード オセアニア オセアニ ニア ボンド マザーファンド マザーファンド を通じて オーストラリア ドル建ておよびニュージーラ ドル建ておよびニュージーランド ドル 建ての 債券等 に投資します 債券等 には コマーシャル ペーパー等の短期金融商品を

01Newsletterむさしの7.indd

Microsoft PowerPoint - 15kiso-macro09.pptx

Microsoft Word - アルパーゲイタス_ALPA4_

2018 年度第 3 四半期運用状況 ( 速報 ) 年金積立金は長期的な運用を行うものであり その運用状況も長期的に判断することが必要ですが 国民の皆様に対して適時適切な情報提供を行う観点から 作成 公表が義務付けられている事業年度ごとの業務概況書のほか 四半期ごとに運用状況の速報として公表を行うも

ヘッジ付き米国債利回りが一時マイナスに-為替変動リスクのヘッジコスト上昇とその理由

部品メーカーの状況 自動車部品メーカー 75 社の 2017 年度通期 (2017 年 年 3 月 ) の業績は 以下のとおりとなった 1. 決算状況 1 日本基準適用企業 63 社 ( ) 前年同期差 前年同期比 売上高 14,135,817 15,044, ,912 +

2017年第3四半期 スマートフォンのグローバル販売動向 - GfK Japan

長と一億総活躍社会の着実な実現につなげていく 一億総活躍社会の実現に向け アベノミクス 新 三本の矢 に沿った施策を実施する 戦後最大の名目 GDP600 兆円 に向けては 地方創生 国土強靱化 女性の活躍も含め あらゆる政策を総動員することにより デフレ脱却を確実なものとしつつ 経済の好循環をより

Microsoft Word - フランス自転車市況-2011.doc

Ⅱ 用語等の説明 今期の状況 来期の状況 前年同期 ( 平成 28 年 4~6 月期 ) と比べた今期 ( 平成 29 年 4~6 月期 ) の状況 前年同期 ( 平成 28 年 7~9 月期 ) と比べた来期 ( 平成 29 年 7~9 月期 ) の状況 前期平成 29 年 1~3 月期 来期平成

untitled

Microsoft PowerPoint _FY162Q決算説明会プレゼン資料QQ_final_web

[ 調査の実施要領 ] 調査時点 製 造 業 鉱 業 建 設 業 運送業 ( 除水運 ) 水 運 業 倉 庫 業 情 報 通 信 業 ガ ス 供 給 業 不 動 産 業 宿泊 飲食サービス業 卸 売 業 小 売 業 サ ー ビ ス 業 2015 年 3 月中旬 調査対象当公庫 ( 中小企業事業 )

目次 調査結果の概要 1 小企業編 中小企業編 概況 3 概況 15 調査の実施要領 4 調査の実施要領 16 業況判断 5 業況判断 17 売上 1 売上 2 採算 11 利益 21 資金繰り 借入 12 価格 金融関連 22 経営上の問題点 13 雇用 設備 23 設備投資 価格動向 14 経営

< E97708AC28BAB82C982C282A282C42E786C73>

第1章

1. 30 第 1 運用環境 各市場の動き ( 4 月 ~ 6 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは狭いレンジでの取引が続きました 海外金利の上昇により 国内金利が若干上昇する場面もありましたが 日銀による緩和的な金融政策の継続により 上昇幅は限定的となりました : 東証株価指数 (TOPIX)

経済・物価情勢の展望(2018年1月)

untitled

マイナス金利付き量的 質 的金融緩和と日本経済 内閣府経済社会総合研究所主任研究員 京都大学経済学研究科特任准教授 敦賀貴之 この講演に含まれる内容や意見は講演者個人のものであり 内閣府の見解を表すものではありません

スライド 1

第 1 四半期の売上収益は 1,677 億円となり 前年からプラス 6.5% 102 億円の増収となりました 売上収益における為替の影響は 前年 で約マイナス 9 億円でしたので ほぼ影響はありませんでした 事業セグメント利益は 175 億円となり 前年から 26 億円の減益となりました 在庫未実現

月例経済報告

<4D F736F F F696E74202D E835A838B94C5817A837D815B B834A E738FEA816A2E >

金融政策決定会合における主な意見

1. 30 第 2 運用環境 各市場の動き ( 7 月 ~ 9 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは上昇しました 7 月末の日銀金融政策決定会合のなかで 長期金利の変動幅を経済 物価情勢などに応じて上下にある程度変動するものとしたことが 金利の上昇要因となりました 一方で 当分の間 極めて低い長

月例経済報告

Ⅱ 用語等の説明 今期の状況 来期の状況 前年同期 ( 平成 29 年 4~6 月期 ) と比べた今期 ( 平成 30 年 4~6 月期 ) の状況 前年同期 ( 平成 29 年 7~9 月期 ) と比べた来期 ( 平成 30 年 7~9 月期 ) の状況 前期平成 30 年 1~3 月期 来期平成

Microsoft Word - kd2018txHP

211 年 2 月 25 日発行 TVI( タス空室インデックス )( 過去 2 年推移 ) ポイント 全域 23 区市部神奈川県埼玉県千葉県 年月 東京都全域 23 区市部 神奈川県 埼玉県 千葉県 29 年 1 月

( 無断転用禁止 ) BRICs 経済研究所レポート 中長期で上昇が期待されるブラジル株 ~2030 年のボベスパ指数は 2005 年実績の 8.4 倍まで上昇する見込み ~ ~ 要 旨 ~ 2006 年 9 月 2 日 ( 土 ) BRI Cs 経済研究所代表門倉貴史 postbr

今回の金融政策報告書では 米国内の投資活動が弱いために輸出が想定ほど伸びていないとしながらも 金融業などサービス関連の好調さを示す分析や 商品価格下落がカナダ企業の投資活動を抑制する動きは底打ちしたとの指摘など カナダ景気に前向きな材料も散見されます 当面は 政策金利の据え置きを続けると見通します

平成10年7月8日

PowerPoint プレゼンテーション

( 出所 ) 中国自動車工業協会公表資料等より作成現在 中国で販売されている電気自動車のほとんどは民族系メーカーによる国産車である 15 年に販売された電気自動車のうち 約 6 割が乗用車で 約 4 割弱がバスであった 乗用車の中で 整備重量が1,kg 以下の小型車が9 割近くを占めた 14 年 8

第45回中期経済予測 要旨

年 車種 主な車種の平均車齢推移 乗用車貨物車乗合車 乗用車計普通車小型車貨物車計普通車小型車乗合車計普通車小型車 昭和 52 年 (1977 年 ) 昭和 53 年 (1978 年 )

当面の金融政策運営について(貸出増加支援資金供給の延長等、12時29分公表)

ファンダの鬼・柳澤 浩と小杉 篤諭の「ファンダメンタルズの学び方、活かし方セミナー!」

PowerPoint プレゼンテーション

中国におけるインフレの行方 中国経済は減速しているものの 過熱の解消にはまだ至っていない 年 9 月のリーマン ショックを受けて 中国は輸出が大幅に落ち込み 景気後退を余儀なくされたが 兆元に上る内需拡大策や 金利と預金準備率の大幅な引き下げをはじめとする拡張的財政 金融政策が実施されたことを受けて

第 3 節食料消費の動向と食育の推進 表 食料消費支出の対前年実質増減率の推移 平成 17 (2005) 年 18 (2006) 19 (2007) 20 (2008) 21 (2009) 22 (2010) 23 (2011) 24 (2012) 食料

年 車種 主な車種の平均車齢推移 乗用車貨物車乗合車 乗用車計普通車小型車貨物車計普通車小型車乗合車計普通車小型車 昭和 53 年 (1978 年 ) 昭和 54 年 (1979 年 )

<4D F736F F D EA993AE8ED48E598BC682CC8CBB8FF EC A834A816A2E646F6378>

Economic Indicators   定例経済指標レポート

<8A C52E786C7378>

39_3

プレスリリース                        2011年9月27日

Newsletterむさしの_2.indd

社会保障給付の規模 伸びと経済との関係 (2) 年金 平成 16 年年金制度改革において 少子化 高齢化の進展や平均寿命の伸び等に応じて給付水準を調整する マクロ経済スライド の導入により年金給付額の伸びはの伸びとほぼ同程度に収まる ( ) マクロ経済スライド の導入により年金給付額の伸びは 1.6

金融調査研究会報告書 新次元の金融政策のあり方

Transcription:

シカゴ連銀シンポジウムによる 2014 年米国経済見通し (1) シカゴ連銀 ( シカゴ地区連邦準備銀行 ) 主催により 2014 年 12 月 5 日に第 28 回年次経済見通しシンポジウムが開催された 同シンポジウムでは 例年 様々な分野の有識者により翌年の経済見通しを取りまとめ 情報共有を行うとともに 各分野の専門家より それぞれの分野 産業の見通しが披露されている 参加者も金融関係や大手メーカー 大学等研究機関 弁護士 コンサル 貿易投資促進機関など多彩な顔ぶれである 今回のシンポジウムに参加した業界関係者や専門家らは 新車販売や住宅着工の伸びに支えられ 2015 年の米国経済は加速し 失業率はさらに低下すると予想した また 消費者動向 自動車 鉄鋼 重機等の今後の見通しについて それぞれ専門家より講演が行われた 2 回にわたって その概要を紹介する なお 図及び表はすべて会議資料から引用または作成したものである 1. 米国経済見通しに関する有識者のコンセンサス William Strauss 氏 ( シカゴ連銀シニアエコノミスト 経済アドバイザー ) 米国実質 GDP 及び主要経済指標について 金融 製造業 自動車 サービス業等の幅広い分野の有識者から 2014~2015 年の見通しが提出され シカゴ連銀で取りまとめた 昨年 12 月に我々が予測した 2014 年の経済指標はかなり正確であり 2014 年の実質 GDP 成長率は予測に近かった 予測との違いを個別に見ていくと 失業率はより速いペースで下落し 民間設備投資はより低調に 在庫の積み上がりペースはより速かった 他方で 工業生産は予想よりも力強さを示し 消費支出は実際の支出額に近い値であった また 新車販売は予想を上回る伸びを示し 住宅着工件数は予想通りであったが 住宅投資の伸びは予想よりもスローペースであった 10 年物米国債に関しては 金利のプラス成長を予想するも 結果は対前年比でマイナスとなった 1 年物米国債は予想通りの低いレートのままである 貿易赤字幅は予想よりもやや規模が大きく インフレ率は予測の範囲内であった 一方 石油価格は予想よりも高いレートとなった 2015 年の各経済指標の見通しを述べると 実質 GDP 成長率は 2.7% と予測しており 高位から低位まで 3% 後半から 1% 後半まで幅がある 失業率は来年末には 5.6% まで改善すると見込んでいる 民間設備投資の伸びは 4.2% となり 前年比 1.5 ポイント減となるだろう 工業生産も前年比 1.1 ポイント減の 3.0% と見込んでいる 一方 個人消費は 2.6% ( 対前年比 +0.6 ポイント ) 新車販売は 16.8 百万台 ( 同 +40 万台 ) 住宅着工は 114.3 万件 ( 同 +14 万件 ) と好調であり 特に住宅投資は 7.5%( 同 +5.1 ポイント ) と大幅な伸びを示すだろう 10 年物米国債利率は 3.0% まで上昇すると見込んでいる 貿易赤字は 2014 年と同規模でさらに拡大すると予測する 石油価格は価格下落傾向が続き 来年末時点ではバレル当たり 83.84 ドルと見込む 24

表 1 GDP 及び主要経済指標の見通し 2013 年 2014 年 2015 年 ( 実績 ) ( 予測 ) ( 予測 ) 実質 GDP * 3.1 2.1 2.7 個人消費支出 * 2.8 2.0 2.6 民間設備投資 * 4.7 5.7 4.2 住宅投資 * 6.9 2.4 7.5 民間在庫変化 ( 十億ドル ) ** 81.8 65.0 50.0 財 サービスの純輸出 ( 十億ドル )** 384.0 415.0 432.9 実質政府支出及び投資 * 1.9 1.2 0.9 工業生産高 * 3.3 4.1 3.0 新車販売 ( 百万台 ) *** 15.5 16.4 16.8 住宅着工件数 ( 百万件 )*** 0.93 1.00 1.14 原油価格 (WTI ドル/ バレル )** 97.39 80.00 83.84 失業率 (%)** 7.0 5.8 5.6 消費者物価指数 * 1.2 1.8 1.7 1 年物国債利率 (%)** 0.12 0.11 0.47 10 年物国債利率 (%)** 2.75 2.36 3.00 * 第 4 四半期の前年同期比 (%) ** 第 4 四半期の値 *** 年間平均 ( 出所 : シカゴ連銀 ) 2. 米国消費支出の動向について Carl Tannenbaum 氏 ( ノーザントラストカンパニー副チーフエコノミスト ) 米国 GDP の約 7 割を占める消費支出は米国経済において重要な要素であり 一方で米国は 幾つかの輸出国 地域の消費者であることに依拠している また 小売売上高 (= 消費量 ) は年平均 4% で成長し続けており インフレ ( ここ 5 年間で年率 2~2.5%) に転換されている GDP に占める消費支出の割合 GDP に占める純輸出の割合 25

米国小売売上高の成長率 ( 自動車除く ) 米国自動車販売台数の推移 (%) ( 百万台 ) ( 出所 : ハーバー アナリティクス ) 図 2 各国 GDP に占める消費支出 純輸出の比較および米国小売 新車販売の動向 米国の失業率に関して見ると アナリストの予想を超えて急速に減少しており 直近の数字では 5.8% まで回復している 一方で 時給は対前年比で 2.1% 増となっており 賃金に関しては目立った好転的な反応は感じられない インフレ率を考慮すると 消費に貢献できるほどの賃金上昇には至っていないということである 景気回復局面において労働賃金を上昇させるには時間を要するとされている 一つの理由は 企業が賃下げを断行することは非常に稀なケースであり 先行きが不透明な中で固定費を上昇させたくないという経営判断が働くことである また フルタイムの働き口が見つかりにくいため パートタイム労働の比率は依然として高止まりしており そこから得られる収入は 彼ら自身が期待しているものよりも少ない 米国失業率の推移 通常の失業率広義の失業率 (U6) 米国労働報酬の変化 平均時給 失業者 + 縁辺労働者 + 経済的理由によるパートタイム従事者 U6= 労働力人口 + 縁辺労働者 雇用コスト指数 26

米国パートタイム従事者の比率 就職を希望する非労働力人口の比率 ( 出所 : 米国労働局 ブルームバーグ ハーバー アナリティクス ) 図 3 米国失業率及び労働市場動向 3. 自動車産業の動向について Haig Stoddard 氏 ( ワーズオートグループ産業アナリスト ) 米国乗用車販売は 2014 年に 1,640 万台と予測されている 2015 年は 1,680 万台まで増加し 2016 年にピークを迎え 1,720 万台に達すると見込まれている 2018 年には循環的な景気後退を迎え その後 2020 年に向けて好転サイクルに入るだろう ( 百万台 ) ( 確定 ) ( 予想 ) ( 予想 ) ( 予想 ) ( 予想 ) 通年 ( 予想 ) 図 4 米国新車販売台数見通し ( 年率換算台数 季節調整済み ) 27

現在の米国車両登録台数は 米国民の運転年齢人口よりもわずかに規模が小さい この関係は リセッション以降は顕著であり 恐らく 2020 年頃まで続くと予想されている 販売台数の伸びは 人口増加と買替サイクルによって牽引されている 平均車齢は 歴史的に見ても年齢を重ねており 2014 年時点では 11.5 歳である 米国では約 13% の世帯が 2020 年まで各年に亘り新車を購入すると予測される これらの予測は 米国経済成長が 2020 年までに 2~3% の増加を毎年維持することを前提としている 中古車市場は長期的に見ればやや縮小する可能性があるが 当面の間は 新車販売を促進するため下取り価格が維持されると見込む 不況以降も自動車リース業界は順調であり 2018~2019 年頃まで同様の傾向が続くであろう 新車販売を牽引するもう一つの要因は 自動車販売に占める低価格車の増加である 一方 高級車には エアバックのような安全性を高めるデバイスだけでなく GPS ガイダンスや衛星ラジオ インターネットアプリケーションといった情報への接続性を高める多くの機能や新しい技術が搭載されている 現在 多くの車両は購入価格に大幅に影響を与えることなく 2016 年の燃費基準を満たしている 今年販売されている新車は 昨年よりもガロンあたり 1 マイルも平均燃費効率は良い その効果にあまり注目されないかもしれないが 運転時間を年間という単位で見れば ガソリン消費に顕著な影響を与えるであろう また 人々はより長く より健康な生活を過ごすようになり 運転する機会や時間も増した そのため 自動車の買替も前世代に比べ 多くの機会を持つようになった 燃料の価格下落傾向は 少なくとも短期的には新車を購入する消費者の意欲に貢献している また 不況により停滞していた買替需要の累積も同様の影響を有するだろう 米国の自動車産業の稼働率は 2013 年に 94% に達した後 2014 年には 98% に達し 2015 年は 100% に迫ると予測されている 2000 年代半ばの自動車工場稼働率は 80% 前後であり 生産レベルもこれに連動し 非常に健全であると認識されていた 現在は 最先端の組立工程が有意に少ない工場が 20~30 か所ほどあり 多くの工場では 3 シフト 24 時間体制で週 5 日間勤務を実行している 28

( 台 ) 米国自動車生産数 ( 台 ) 米国自動車工場稼働率 (%) 図 5 米国自動車生産数および設備稼働率の推移 米国自動車生産は 2013 年に年産 10.9 万台に達した後 2014 年は 11.4 万台と見込まれ 2015 年は 2005 年と同規模の 11.8 万台まで伸長すると予測されている 一方で車両在庫は 2014 年に比べて 2015 年に平均的に高くなることが見込まれる カナダやメキシコの幾つかの工場は 新しい設計の新車生産に向けた段取り替えを行うため 2015 年春先に一時工場をシャットダウンする計画であり これが在庫レベルにも影響を及ぼす また 2015 年 12 月は年間を通して最大の販売量になるだろう 一般的に自動車販売の車種別比率は 2013 年 2014 年と大きな変化はなく 2015 年も傾向は継続し 同様の構成比となることが予想される 興味深いことに多くの車種の比率が減少し 特に大きな比率を占める中小型車種の減少が顕著である 一方で CUV やピックアップトラック バンは構成比率が上昇している ガソリン価格がガロン当たり 3.50 ドルを超えて上昇した場合は 中古型車種の市場シェアは増加するが 短期的にはガソリン価格の上昇は予測されていない また 旧式の大型バンやトラックユーザーの一部は 新型の小型商用バンに移行しつつあり 特に中小企業の間で高い人気となっている 29

( 比率 ) ( 確定 ) ( 推定 ) ( 予想 ) 小型車中型車大型車 高級車 CUV SUV ピックアップ バン 図 6 米国車種別市場シェアの推移 ガソリン価格の低下は ハイブリッド車や電気自動車の市場への浸透を制限していることはデータからも読み取れる 米国における 2012 年時点でのハイブリッド車 電気自動車は 34 モデルであったが 先月末時点では 58 モデルに至っている トヨタプリウスはハイブリッドカーのベストセラー車種であり ユニット当たりの年間販売台数が 1 万 ~1.5 万台と他種に比べて群を抜いている 次期型プリウスは再設計により大幅な軽量化と燃費改善 デザインが修正され ハイブリッド車市場を大きく牽引していくと予想されている 米国自動車市場に占めるハイブリッド 電気自動車の比率 (%) ガソリン価格 (USD) ハイブリッド 電気自動車の車種数 図 7 米国メーカー別市場シェアの推移 30

米国販売シェアをメーカー別にみると 2013 年から 2015 年の間に フォード トヨタ ホンダのシェアは若干減少し GM ヒュンダイ フォルクスワーゲンは平坦である シェアの伸びが期待されるのは フィアットクライスラーとスバルである また 若干のシェアの増加が期待されているのは 日産や BMW メルセデスである ( 比率 ) ( 推定 ) ( 予想 ) 図 8 米国メーカー別市場シェアの推移 その他 今後数年間でガソリン価格が低水準のままである場合 米国政府は 2025 年の燃費基準を 2018 年頃に見直す可能性があるが 大幅な変更には至らないと予想される 米国自動車市場の燃費改善は自然に進んでいくだろう また 景気回復までの間 オートローンの融資基準の緩和は継続されてきたが これは 2016 年または 2017 年まで持続すると見込まれる 31