筑波大学における聴覚障害学生支援 筑波大学聴覚障害学生支援チーム 聴覚障害学生支援の概念 図 a は筑波大学で行われている障害学生支援の大きな概念図となります 二つを支える大学 その中で育つ植物としての学生の活動 このようなバランス立てになっています 今日は その植木鉢の部分にあたる大学の取り組み ( 大学の特徴と障害学生支援 ) についてのご紹介をし その後 植物の 図 a: 学生中心の支援概念図 部分になるチームの活動の紹介をいたします 筑波大学の障害学生支援 聴覚障害学生の場合 手話サークルの活動の一環として情報保障が始まり 2001 年に筑波大学障害学生支援委員会が設置されました 2004 年に聴覚障害学生支援グループとしてグループが確立し 3 年後に 筑波大学障害者支援室 ( 略称 OSD) が設置されました 障害学生支援グループ を 障害学生支援チーム 通訳者 学習補助者 を ピア チューター といいます 大学全体の組織 ( 図 c) の特筆すべき点として 教育担当副学長が障害学生支援室の室長になっています 詳細については お配りしたパンフレットに記載されていますので後でご覧ください OSD の具体的な活動について紹介します 構成しているメンバーはこちらの通りです ( 図 d) 筑波大学の障害学生が主 図 b: 大学内の組織体制図 c: 障害学生支援室 (OSD) 図 d: 一般学生向け講義 体的に取り組んでいるのが この OSD です その中でも中心になっているのが黒丸で示されている専門部会の構成になります 具体的にやっている活動として 1 障害学生の学修支援 2 他大学への情報提供 3 筑波大学の中の一般学生への啓発 指導があります 一般学生向けの講義には二つあります そのうちの一つを具体的に紹介します ( 図 e) 二つの講義を受講することによって 1 単位が認められるようになっています 1の全体オリエンテーションでは 3 障害合同で筑波大学での障害支援の概要説明などを行います そこで 興味を持った障害の養成講座を一つ受講することで 1 単位が認められます その養成講座を受講するとピア チューターとしての活動が始まりますが そのピア チューターに登録するかどうかは個人の判断となっています
ピア チューター というのは 筑波大学が障害学生支援のために設けている制度で す ピア チューターには支援に責任を持って取り組んでほしいという考えから 規定に基づいて大学からの謝金が支払われています 聴覚障害学生支援チーム 植木鉢で育てている植物の部分 学生の活動の説明に移ります チームの構成チームの構成は聴覚障害学生及びチューターからなっています この両者が共同して より良い支援のために協力し合い日々の活動を行っています それぞれから希望者が出て運営担当スタッフとなり 中心的に運営を担っています 筑波大学には聴覚障害学生が 18 人います しかし 情報を受けていない聴覚障害学生もいますのでこれが全てという訳ではありません ピア チューターは 105 名が登録しています ( 図 f) 様々な学類のチューターが在籍しています 幅が広いと言えます しかし 学類ごとによって在籍人数がまちまちなので 図 e: ピア チューターの在籍人数 偏りがあるというような問題点もあります 図 g: 聴覚障害学生とピア チューターの学年の割合 図 f: 筑波大学での支援方法 支援活動について 1 筑波大学での支援方法 ( 図 h) ノートテイク パソコンノートテイク 手話通訳の 3 種類を行っております それぞれの支援活動の方法が可能な割合はグラフの通りです ノートテイク パソコンノートテイクの割合が非常に多いことがわかります 2 派遣システムについて筑波大学では 登録いただいたピア チューターの方々を 聴覚障害学生の希望の講義
やゼミなどに派遣する形で支援を行っています 一般的に言われる 通常の講義 と 集中講義 に分けられて支援が行われております 通常講義に関しては 今年度から CAS というシステムを導入して支援を行っております 通常の講義 も 集中講義 も ピア チューターの支援可能な時間と 聴覚障害学生の支援希望時間の摺合わせ作業を行い 両者が合致すればピア チューターを派遣するという形をとっております 両者の摺合わせ作業を コーディネーター作業 と言います 3CAS について CAS とはコーディネーター アシスタント シス テクニカルスタッフテムの略です 先程お話した OSD と支援チーム内のは研究開発を行うものとして OSD テクニカルスタッフが共同作成したシステムにな直属のものとして置かれていますが ります 今年度は CAS の実用化に伴い この通常講義のコーディネートが ピア チューター及チームと三役とでコーディネート作び聴覚障害学生の在籍人数が増加することによって 業を行うようになりました 今後の更膨大な時間と労力が必要となり学生の力だけでは困なる発展のためにこの傾向を続けて難になってきました そこで 09 年度より 両者のいく予定でおります 摺合わせ作業を自動で行ってくれるアシスタントシステムを導入しました ピア チューター 及び聴覚障害学生が情報を入力して自動でアシスタントしてくれるシステムです ただ 問題がいくつか残っていますので 日常的な運営 運用に使っていくことまでには至っておりません 4 支援活動の派遣についてピア チューターの支援可能な時間と聴覚障害学生の支援希望時間が合致すれば 誰でも全員派遣できるという訳ではありません 派遣回数としては基本的には 1 日 1 コマ 週に3 回が原則です またペア派遣で行うことが基本の形と考えています 新しくピア チューターになって活動される人には 必ず経験 図 h: 支援法別派遣状況 のある高学年のピア チューターとペアで派遣する方法をとって います 通常コーディネーター 集中コーディネーターの 2 名の学生コーディネーターが派遣のルールを検討中です ペア派遣が基本ですが ノートテイクとパソコンノートテイク合わせて 60% 程度しか派遣できておりません ピア チューター登録者は 105 名おりますが まだまだ十分な支援は出来ていません ( 図 i) スタッフとチームについて聴覚障害学生とピア チューターのそれぞれから希望者が出て運営担当スタッフを構成し チームの運営を担当してお 図 i: チームの構成
ります 主に学部の 2.3 年生が担当しております ( 図 j) 私が今年度のチームリーダーです 任期は約 1 年間で 総会において代替わりをしております 1 スタッフの役割と仕事内容 ( 図 k) 図 j: スタッフの役割と仕事内容 チームリーダーの私は チーム総括 渉外の役割です また運営委員会の開催といったものも担当しております 運営員会については後ほど 通常コーディネーターと集中コーディネーターの 2 名のコーディネーターがおります 通常コーディネーターは CAS の管理も合わせて 通常講義へのピア チューターの派遣と調整を担当しております 集中コーディネーターは 通常講義以外の全ての派遣を 担当しております その全ての中には集中講義 及び学内 学外のイベントが含まれています この通常コーディネーターと集中講義コーディネーター そしてチームリーダーの私と合わせて三役と呼ばせております 三役はそれぞれの役割のほかにチームの運営の主体的な 根本的な部分を担う活動を行っております 学期初めの CAS を導入した大規模なコーディネート作業が必要なのですが そのコーディネート作業はいつも三役が責任を持って行っております またチーム全体 ピア チューター 及び聴覚障害学生に開いた相談窓口にもなっております 養成部 企画部 物品 メンテナンス部については 役職ではないのでそれぞれに学生が複数おります 養成部は 養成講座の運営を補助する担当で養成講座の準備と運営を担当します 初心者対象の養成講座が年に2 回開かれます これは障害学生支援技術の聴覚支援の養成講座に当たります 新しいピア チューターを養成するための講座であり 講師はチームに関係する大学院生が担当します そのほかの養成講座としては 経験者対象の養成講座 手話通訳者の養成講座があります しかし それぞれの養成講座を養成部の人たちだけで運営することはできません 当日スタッフ をチーム内から募集をし 多くの聴覚障害学生とピア チューターが協力をして 新しいピア チューターの養成に励んでおります 企画部は大きく分けて4つの活動をしています 1 勉強会の開催です それは養成講座で養成されたピア チューターを対象に養成講座の補助を目的として開催しています これは実際に支援に入る前に不安を取り除くという事を目的としています 経験者対象の勉強会は 支援経験のあるピア チューターを対象に支援技術のスキルアップを目的として開催しています 2 手話勉強会の開催があります チーム内の希望者を対象に初級と中級のレベルに分けて手話を教えています 平日の昼休みの時間を使って勉強会をやっています
3 広報誌の作成です チーム内でピア チューターが多くなり 活動の内容がわかりにくくなってきたため チーム内のことを良く分かってもらおうと広報誌の作成をしました 内容は 今月のチームの予定や 養成講座の当日スタッフの募集 季節に合わせた手話の紹介コーナーなどがあります 広報誌の名前は スッキリと言います ( 図 l) 4チーム内の交流の機会を増やすための様々なイベントの企画や運営をしています 学期の終わりの時には交 流会 昼休みには食事会などを行っています ( 図 m) 昼休みの食事会の様子です 芝生に座ってお話をしながらご飯を食べています 芝生の会 と呼ばれています この写真は人数が 4 人と少ないのですが この写真を撮った時は寒くて人が集まらなかったんです いつもは楽しく喋りながらご飯を食べています 物品 メンテナンス部の活動は大きく分けて 2 つあります 1 支援活動に関する物品の準備とメンテナンスです 2 支援活動に関する物品の申請です 図 k: 広報誌図 l: 食事会の様子 2 運営委員会 運営委員会は月に 1 度程度開催されるスタッフを中心とした会です 参加者はスタッフとスタッフになっていない聴覚障害学生の希望者が参加しております 各役 各部のその月の活動の報告や活動予定の報告をします また 議題をチーム内から出し合い それについての討論をしています 今年度の主な議題には 支援活動後のルーズリーフやログの処理について ピア チューターの派遣制度について チーム内の交流を活発にするための活動について があります チーム内の交流を活発にするための活動 に関して話し合い ワーキンググループをチーム内で設立いたしました 今年度のスタッフには希望者が 8 名いました その 8 名でチーム内の交流を活発にするための企画 立案 運営を行います 今までに行ったものとしては 全ピア チューターアンケートやクリスマス会などを行いました 3 聴覚障害教育 研究支援室 聴覚障害教育 研究支援室とは 簡単にいうと支援活動に使う物品を置いている部屋のことです また聴覚障害学生やピア チューターの交流の場になっています 聴覚障害だ
けでなく運動 視覚 どの障害学生支援チームにも一部屋与えられています 4 総会 聴覚障害学生支援チームで年に一度開催する会です 内容としましては 今年度スタッ フ活動報告及び次年度のスタッフの承認です この場をもちまして今年度スタッフは任期を終え 次年度スタッフに代替えすることになります 年間スケジュール 図 n-1: 年間スケジュール 図 m-2: 年間スケジュール 図 o-3: 年間スケジュール 2009 年度版 4 月から 3 月までの予定を簡単に載せました ( 図 n-1~ 図 n-3) 今までご説明した内容が年間でこのように位置づいております 12 月に今日の宮城教育大学セミナー参加 1 月以降については現在の予定という形になっています 今日は 最初に植木鉢の鉢の説明をし 続いて植物の部分になる学生の活動を説明しました ( 図 a) 現在 大学の支援を受けながら支援学生 聴覚障害学生共にこの植物を育てるために一生懸命活動しています 今後もこの活動を継続していき 最終的に綺麗な花が咲くような活動ができればと思っております これにて筑波大学の発表を終わらせていただきます ご静聴ありがとうございました