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総 説 黒毛和種の受動免疫による呼吸器病ワクチネーション 効果と飼養管理 1)* 佐野公洋 高山直寛 山下政秀 西修 綿貫実 3) 小林康治 1) 山中偉行 3) 大谷智弘 山口麻衣子 上塚俊介 吉田喜義 1) いぶり農業共済組合西部家畜診療所 ( 059 0271 北海道伊達市南黄金町 44 番地 19) いぶり農業共済組合北部家畜診療所 3) いぶり農業共済組合中部家畜診療所 * 連絡担当者 : 佐野公洋 いぶり農業共済組合西部家畜診療所 ( 059 0271 北海道伊達市南黄金町 44 番地 19) TEL:0142 24 7111 FAX:0142 24 7112 [ 要約 ] 自動哺乳装置を使用する黒毛和種繁殖経営の一農場で 哺乳に呼吸器病が多発した 前年に実施した抗体検査で幼齢にウイルスの流行が疑われたため 受動免疫による防除を目的として分娩前 20 90 日のに呼吸器病 6 種混合ワクチンを接種した 接種前と比較しての抗体価は多くの個体で上昇しかつへの移行も良好であったが 呼吸器病発生率は60.0% と低減しなかった の血液検査成績から免疫能の低下 低栄養および群飼によるストレスが示唆されたため 翌年からへワクチン接種を継続すると同時に分娩 30 60 日前から配合飼料の増給 の代用乳給与量の増量 自動哺乳群への導入日齢の延長および哺乳中の群間移動を中止したところ呼吸器病発生率は 25.0% と有意 (P<0.01) に減少した へのワクチン接種により移行抗体を高めても 哺乳期のに低栄養と過大なストレス負荷および妊娠末期の飼料充足率の低下といった基本的な飼養管理に問題がある場合 その効果が十分発揮されないことが示唆された キーワード: 黒毛和種 呼吸器病発生率 呼吸器病 6 種混合ワクチン 受動免疫 飼養管理 [ はじめに ] 近年 管内の黒毛和種繁殖農場では多頭化に伴い 省力化 消化器病の予防および繁殖成績の向上などを目的として自動哺乳装置 ( ロボット ) を導入する農場が増加している 幼齢期からの群飼は単独飼育と比べ 個体毎の健康状態の把握が困難であり 異常牛発見のため定時的観察や検温といった管理が不可欠である しかし 67

黒毛和種の受動免疫による呼吸器病ワクチネーション効果と飼養管理 現場では時間的 労力的な制約から十分実施されることは少なく断続的に発生する呼吸器病の対応に苦慮する事例が多い また 黒毛和種は乳用種に比べ幼齢期の免疫能が劣る [5] のに加え ロボットでは運動量増に伴う栄養要求量の増加 闘争によるストレスおよび同士の接触や共用する乳首 飼槽などからの容易な病原体の伝染といった飼養環境下に置かれるため 代用乳の増量 ペンの広さ 体格差 日齢差に応じた牛群構成および器具 施設の清掃 消毒 換気などの飼養管理とワクチン 抗菌剤などによる予防プログラムを適切に実施しなければ呼吸器病が蔓延する危険性の高い管理方式である 今回 ワクチン接種を行っていなかった 一農場の120 日齢以下のロボット群で数年にわたり呼吸器病が多発 ( 発生率 60% 以上 ) した 前年に実施した発症の抗体検査で 60 日齢以下の6 頭のに BVDウイルス (2/6 頭 33.3%) RSウイルス (4/6 頭 66.7%) の流行が疑われたため 受動免疫による防除を目的として妊娠末期のに呼吸器病 6 種混合ワクチン ( ワクチン ) の接種を実施した の血清抗体価は上昇しへの抗体の移行も良好であったが同発生率は改善されなかった 翌年からへのワクチン接種を継続すると同時に の飼養管理を改善したところ呼吸器病発生率が有意に減少したのでその概要について報告する [ 材料と方法 ] 供試農場と供試牛 : 管内で約 30 頭 育成 哺育牛約 30 頭を飼養する黒毛和種繁殖経営の一農場 2006 年 1 月 2007 年 12 月に分娩した経産 58 頭 2006 年 1 12 月に出生しロボットにより哺育した5 120 日齢の経産牛産子 30 頭 ( 雄 14 頭 雌 16 頭 対照群 ) および2007 年 1 12 月に出生した同 28 頭 ( 雄 16 頭 雌 12 頭 試験群 ) の計 58 頭を用いた 臨床症状と治療 : 呼吸器病発症牛は対照群 13 頭 ( 延べ18 頭 ) 試験群 7 頭であり全例治癒した 初診時 39.6 40.8 の発熱 36 66 回 / 分の呼吸数 発咳 鼻汁漏出および肺胞音の増高などを呈した 治療は抗菌剤 ( ペニシリン カナマイシン フロルフェニコール エンロフロキサシン ) を全頭に投与し 高熱が持続する症例には非ステロイド系鎮痛消炎剤も併用した ワクチン : 分娩 20 90 日前の全頭にワクチン { 牛伝染性鼻気管支炎 (IBR) 牛ウイルス性下痢 - 粘膜病 2 価 (BVD1 牛パラインフルエンザ感染症 (PI3) 牛 RSウイルス感染症 (RS) 牛アデノウイルス感染症(AD7) 混合ワクチン ( キャトルウイン6 京都微研)} を一回接種し への接種は実施しなかった 病原微生物検査 : 呼吸器病発症した対照群 4 頭 試験群 3 頭の鼻腔ぬぐい液を用いた細菌培養検査を実施した また 対照群母子 7 組の経時的 ( : ワクチン接種前後の2 回 :3 30 60 90および120 日齢の5 回 ) に採取した血清を用い IBR BVD(1 2 型 ) RS( 中和試験 ) PI3およびAD7( 赤血球凝集抑制反応 ) 各ウイルスの抗体検査を実施し 併せてワクチンテイク率も調査した 血液検査 : 両群の3 30 60 90および 120 日齢において臨床的に健康で採血が可能であった個体を用い 免疫能の指標として末梢血白血球数 (WBC) 同リンパ球数(Ly) 3 日齢の総タンパク (TP) 栄養度の指標として TP 総コレステロール (Tcho) および血糖の値を比較した また ストレスの指標として臨床的に健康な対照群 7 頭の群を移動する前後の血清コルチゾールを調査した の飼養管理と飼料充足率 : 対照群の妊娠末期はチモシー主体の乾草 (CP8.2% TDN52.0 % ) 約 8kg/ 日と配合飼料 (CP13.5% TDN68%) を0.5kg/ 日給与した 日本家畜臨床感染症研究会誌 4 巻 2 号 2009 68

試験群は対照群と同メニューとし 分娩予定 30 60 日前から配合飼料を1 日 3.0Kg 給与した 両群に給与された飼料充足率を日本飼養標準肉用牛 (2000 年版 ) を用いて比較した の飼養管理 :1 日の代用乳 (CP26% TDN108% FAT20%) 給与量は対照群 600g 試験群は二倍の1200gとし離乳は同 90 120 日齢 同 90 97 日齢で実施した 両群とも3 日齢まで自然哺乳 その後母子分離しカーフハッチで人工哺乳を行い対照群は5 14 日齢 試験群は15 30 日齢でロボットへ移動し2 6 頭の群で飼養した また 対照群は20 80 日齢で哺乳ペンを移動し牛群を再編成していたが 試験群は120 日齢までロボットへ移動時の群編成を変更することなく管理した 比較項目 : 両群の呼吸器病発生頭数 呼吸器病発生率 診療回数および再発頭数を比較し飼養管理改善の効果を判定した [ 成績 ] 細菌培養検査成績 ( 表 1) ではP.multocidaが対照群 75.0%(3/4 頭 ) 試験群 66.7%(2/3 頭 ) M.haemolyticaが対照群 25.0%(1/4 頭 ) で検出されたが他の起因菌は検出されなかった 対照群のウイルス抗体検査成績 ( 表 では No1を除く各でワクチンテイクと考えられる抗体価の上昇がIBR 1 頭 (No BVD1 3 頭 (No2 5 6) BVD2 3 頭 (No3 5 7) PI3 3 頭 (No2 3 4) およびAD7 2 頭 (No4 5) 合計 12 観察された 7 頭全体のテイク率は28.6%(12/4 であった また 3 日齢のの抗体価はNo4のを除きの接種後の抗体価に類似した値を示し 各抗体価は120 日齢まで2 倍以上を保持したが BVD1 BVD2では90 日齢で2 倍以下に低下する個体 (No4 5) が観察された さらに No2 60 日齢のBVD2 No4 120 日齢のRSおよびNo6 60 日齢のBVD1で感染を疑う抗体価の上昇がみられた 血液検査成績 ( 表 3) では対照群が各日齢間の WBC Ly(120 日齢除く ) で低い傾向を示し 日齢と共に増加する細胞数も緩慢で 特に移行抗体量を反映する3 日齢 TPは試験群に比べ有意 (P<0.001) 低くなっていた また TP Tchoおよび血糖は全ての日齢で対照群が試験群を下回る成績を示した TPの 3 30 日齢 Tchoの3 30および60 日齢ならびに血糖の60 日齢では対照群が有意 (P<0.05 0.001) に低い値を示した 図 1は群を移動する前後の対照群の20 日齢代 1 頭 30 日齢代 2 頭 40 日齢代 4 頭の血清コルチゾール値の推移である 平均値では移動前 1.7±1.1 移動後 3.2±2.4と上昇する傾向を認めた 20 30 日齢の3 頭は移動後全て増加し特に20 日齢の値は急激な上昇が観察されたが 40 日齢では上昇したが2 頭 低下したが2 頭あり移動前後とも20 30 日齢の3 頭に比べ低い値を示す傾向にあった の乾物量 (DM) 粗蛋白 (CP) および可消化養分総量 (TDN) の充足率 ( 表 4) は 対照群で97.0% 87.7% 94.5% といずれも不足していたが 試験群では配合飼料の増給により127.1% 87.7% 130.9% 131.7% と充足した 呼吸器病発生頭数 ( 図 は 対照群で日齢を追うごとに増加し91 120 日齢で7 頭と最も多くなったのに対し 試験群では31 60 日齢 4 頭がピークで91 120 日齢での発症牛はなかった 呼吸器病発生率は対照群 60.0% (18/30 頭 ) 試験群 25.0%(7/28 頭 ) と有意に (P<0.01) 減少した 診療回数は同 4.5±3.4 同 3.4±1.0および再発頭数は同 5 頭 (91 120 日齢 ) 同 0 頭でいずれも後者で低下する傾向を認めた ( 表 5) 69

黒毛和種の受動免疫による呼吸器病ワクチネーション効果と飼養管理 表 1 細菌培養検査成績 群 頭数 P.multocida M.haemolytica Moraxella spp. マイコプラズマ 対 照 4 3(75.0) 1(25.0) 0(0) 0(0) 試 験 3 2(66.7) 0(0) 1(33.3) 0(0) ( ) = 検出率 (%) 表 2 ウイルス抗体検査成績 No 母子 ワクチン 検査日齢 IBR BVD1 BVD2 RS PI3 AD7 接種前 0 256 4096 2048 128 256 2048 接種後 24 256 4096 2048 128 256 2048 3 256 4096 2048 512 512 2048 1 30 256 4096 2048 128 256 2048 60 256 4096 1024 128 128 2048 90 256 1024 1024 8 32 2048 120 32 512 512 8 16 2048 接種前 0 32 64 4096 32 128 2048 接種後 25 256 256 4096 32 256 2048 3 256 512 4096 128 512 2048 2 30 128 64 1024 32 256 2048 60 64 64 4096 8 128 2048 90 32 16 512 2 64 2048 120 8 4 256 2 32 128 接種前 0 256 2048 128 512 1024 2048 接種後 41 256 2048 256 512 2048 2048 3 256 2048 256 512 2048 2048 3 30 256 1024 32 512 512 2048 60 64 256 16 128 128 2048 90 16 64 2 128 64 1024 120 4 32 4 8 32 512 接種前 0 256 2048 16 512 256 256 接種後 43 256 1024 16 512 1024 512 3 128 128 16 32 32 64 4 30 128 256 16 32 64 64 60 32 32 8 8 32 32 90 8 8 <2 8 16 16 120 4 4 <2 32 8 8 接種前 0 256 2 2 128 256 32 接種後 43 256 32 8 128 256 128 3 256 16 16 128 256 128 5 30 256 16 8 128 128 32 60 256 2 2 8 64 32 90 64 <2 <2 8 16 16 120 16 <2 <2 2 8 16 接種前 0 256 1024 64 512 2048 2048 接種後 59 256 4096 32 512 2048 2048 3 256 2048 32 512 2048 2048 6 30 256 512 16 512 2048 2048 60 256 1024 4 128 512 2048 90 128 64 4 32 128 512 120 32 64 2 8 32 256 接種前 0 256 4096 128 128 2048 2048 接種後 73 256 4096 512 32 2048 2048 3 256 4096 256 128 2048 2048 7 30 256 2048 128 32 1024 2048 60 256 512 32 32 512 2048 90 256 256 8 2 128 2048 120 64 64 2 2 64 1024 中和試験 :BR BVD1 BVD2 RS 赤血球凝集抑制反応 :PI3 AD7 日齢接種前 = ワクチン接種当日接種後 = 分娩後 3 日目 日本家畜臨床感染症研究会誌 4 巻 2 号 2009 70

表 3 血液検査成績 日齢 群 3 n 30 n 60 n 90 n 120 n WBC / μ l 対照 7,500 ± 141 2 8,783 ± 937 6 7,500 ± 1,442 3 8,680 ± 2,951 * 5 8,610 ± 1,926 10 試験 9,608 ± 3,833 15 9,316 ± 1,465 19 9,100 ± 1.639 10 12,163 ± 2,647 * 16 10,000 ± 2,687 2 Ly / μ l 対照 2,316 ± 911 2 2,731 ± 664 ** 6 2,989 ± 1,639 3 3,777 ± 1,012 5 4,749 ± 1,046 10 試験 2,831 ± 1,264 15 3,899 ± 1,252 ** 19 4,114 ± 845 10 4,670 ± 1,555 16 3,376 ± 1,452 2 TP g/100ml 対照 5.5 ± 0.7 *** 8 5.1 ± 0.3 *** 7 5.6 ± 0.5 10 6.0 ± 0.4 22 6.2 ± 0.4 26 試験 6.8 ± 0.7 *** 11 6.0 ± 0.4 *** 10 6.2 ± 0.4 19 6.4 ± 0.8 8 6.4 ± 0.5 12 Tcho mg/100ml 対照 50.8 ± 18.9 ** 8 76.7 ± 38.0 *** 7 85.2 ± 34.4 *** 10 87.1 ± 38.2 22 75.2 ± 22.6 26 試験 56.5 ± 12.7 ** 11 153.4 ± 31.9 *** 10 178.5 ± 40.0 *** 19 111.0 ± 28.5 8 81.2 ± 31.8 12 血 糖 mg/100ml 対照 104.4 ± 28.4 8 97.1 ± 56.6 7 82.0 ± 13.7 * 10 78.3 ± 28.3 22 79.6 ± 9.6 26 試験 116.6 ± 25.4 11 106.0 ± 16.7 10 96.0 ± 11.5 * 19 86.5 ± 10.9 8 84.5 ± 11.0 12 *** :P<0.001 ** :P<0.01 * :P<0.05 表 4 妊娠末期の飼料充足率 (%) DM CP TDN 対照群 ( 配合 0.5kg) 97.0 87.7 94.5 試験群 ( 配合 3.0kg) 127.1 130.9 131.7 日本飼養標準肉用牛 2000 年版推定体重 450kg 給与飼料粗飼料 : チモシー主体 ( ラップ ):CP8.2% TDN52% 8kg 配合飼料 :CP13.5% TDN68% 表 5 呼吸器病発生率 診療回数および再発頭数 群 出生頭数 呼吸器病発症頭数 発生率 診療回数 再発頭数 対照 30 18 60.0% A 4.5 ± 3.4 5 試験 28 7 25.0% B 3.4 ± 1.0 0 A-B:P<0.01 図 1 群間移動したの血中コルチゾール濃度 図 2 呼吸器病発生頭数 [ 考察 ] 両群に実施した細菌培養検査で 呼吸器病の一次的原因とされる細菌 [1] は対照群の1 頭で分離されたM.haemolyticaのみであった 本試験開始前年に実施した発症の抗体検査で BVD RSの検出率が高く 対照群の3 頭で抗体価の上昇が確認されたことから 本農場で多発する呼吸器病の主因はウイルス感染と考えられた 対照群 7 頭のウイルス抗体検査ではワク 71

黒毛和種の受動免疫による呼吸器病ワクチネーション効果と飼養管理 チン摂取前と比べ接種後 6 頭 12の抗体価が上昇しワクチンテイク率は28.6% であった 経産とはいえ6 種のウイルス抗体を全て高値で保有するとは限らず [2] に対するワクチン接種は対照群の呼吸器病予防効果が期待された また 3 日齢の対照群の抗体価はNo4を除きのワクチン接種後の抗体価に類似した値を示し No4 5のBVD1 2 以外は120 日齢まで2 倍以上の抗体価が維持され 受動免疫はおおむね成功したと考えられたが 対照群の呼吸器病発生率は60.0% と低減しなかった そこで対照群の免疫能およびウイルス 細菌感染と同時に呼吸器病の一次的原因となる栄養度 ストレス負荷状態 [1] を知る目的で血液検査 の抗病性に影響するの妊娠末期の飼養管理状況 [6,7] を知る目的で飼料充足率を調査した その結果 WBC Lyおよび3 日齢 TPならびにTP Tchoおよび血糖はいずれも各日齢で低値を示し 免疫能の低下と低栄養が明らかとなった また コルチゾールの推移は群を移動した際と比較的幼齢の20 30 日齢での移動時に上昇しストレス負荷が大きいことが さらに妊娠末期給与飼料のDM CP TDNの充足率はいずれも100% を下回り満たされていないことが判明した の免疫は栄養と密接に関連しており 免疫担当細胞を構成するアミノ酸 ( 蛋白 ) の摂取不足は同細胞の分化 増殖過程での反応を抑制し そのエネルギー源となる糖の不足は細胞の機能低下を誘導する [3] また コルチゾールの上昇は免疫細胞の機能を抑制すると同時に胸腺の成長促進因子の一つ成長ホルモン産生の低下と胸腺のアポトーシスを誘導するので 胸腺のT 細胞教育機能を強く抑制 [5] した可能性が高い さらに 妊娠末期のの低栄養は胎子の器官形成 [4] 分泌する初乳の品質と量[6] および出生直後のWBC 数を抑制 [5] しその抗病性を低下させる よって対照群には低栄養 ストレ スおよび妊娠末期の低い飼料充足率といった飼養管理の失宣に起因する免疫システムの機能低下があった可能性が高く 呼吸器病発生率を低減できなかったと考えられた 対策として試験群へのワクチン接種を継続すると同時に分娩 30 60 日前から配合飼料 3kgの増給を実施し飼料充足率を改善した また 試験群へは代用乳給与量を倍増して栄養供給を増し ロボットへの導入日齢の延長および哺乳中の群間移動を中止してストレスの軽減を図った その結果 試験群の血液検査成績は対照群と比較し各項目で上昇し 免疫能 栄養状態は改善 試験群の呼吸器病発生率は25.0% と有意 (P<0.01) に減少 診療回数 再発頭数も低下する傾向を認め 今回実施した飼養管理改善の有効性が示唆された また 試験群は対照群と比べ61 日齢以降の発症が1 頭のみと著しく減少し 生産者 我々獣医師に対して労力的 精神的負担が大きい再発牛の発生が皆無であった 低栄養で管理されるのT 細胞数は持続的に低値で推移し T 細胞数の低下に起因する日和見肺炎の発生が容易になるとされるが [5] 試験群に対して実施した代用乳の増量により3 60 日齢のTchoの有意な上昇が示す通り この時期の栄養充足が適切になされた結果 対照群と比較してT 細胞数の低下が少なく61 日齢以降の発症牛および再発牛が減少したのではないかと推察された 今回の成績から 呼吸器病防除の目的でへワクチネーションを実施し移行抗体を高めても 哺乳期のに低栄養と過大なストレス負荷および妊娠末期の飼料充足率の低下といった基本的な飼養管理に問題がある場合 その効果が十分発揮されないことが示唆された [ 謝辞 ] ウイルス抗体検査にご協力いただきました株式会社微生物化学研究所に深謝いたします 日本家畜臨床感染症研究会誌 4 巻 2 号 2009 72

[ 引用文献 ] 1. Cravens, R. L. 2004. アメリカにおける牛呼吸器病症候群の現状と対策. 臨床獣医. 22(6): 15-19. 2. 福山新一. 2008. の感染予防ワクチンプログラム. 日本家畜臨床感染症研究会誌 3 (: 79-84. 3. 大塚浩通. 2006. 生産性向上を目的とした乳牛の臨床免疫について. 家畜診療 53(5) : 265-273. 4. 大塚浩通. 2007. 知っておきたいの免疫防御. 日本家畜臨床感染症研究会誌 2(3) : 79-84. 5. 大塚浩通. 2008. の免疫の特徴と感染症. 日本家畜臨床感染症研究会誌 3( : 111-116. 6. 佐野公洋. 2007. 肉用の育成管理 ( 各論 ). 家畜診療 54( : 83-89. 7. 芝野健一, 黒木智成, 斎藤隆文, 嵐泰弘. 2008. 事故多発黒毛和種繁殖農場におけるの栄養状態と出生の血液性状の関係. 日本家畜臨床感染症研究会誌 3(1) : 1-10. EEffect of passive immunity by the vaccination on the respiratory disease and feeding management in Japanese black calves Kimihiro Sano 1), Naohiro Takayama, Minoru Watanuki, Hideyuki Yamanaka 1), Tomohiro Ohtani, Shunsuke Uetsuka, Masahide Yamashita, Osamu Nishi, Yasuharu Kobayashi 3), Maiko Yamaguchi and Kiyoshi Yoshida 1) Seibu Veterinary Clinic, Hokubu Veterinary Clinic and 3) Chu-bu Veterinary Clinic, Iburi Agricultural Mutual Aid Associations (44-19, Minamikogane, Date, Hokkaido 059-0271, Japan) 73