2013 年度臨床心理室事業報告 1.2014 年度目標及び方針 1) 臨床心理室における QI の設定 2) 精神科リエゾンチームにおけるチーム活動への積極的な参加 3) 地域で働く臨床心理士での連携の場を設定 4) 臨床心理室内での研修会 事例検討会の実施 2.2013 年度評価 1) 顧客の視点 : 妊孕性温存に関わる院内の体制作り妊孕性温存に関する院内全体でのシステム作りのための話し合いに 生殖心理カウンセラーでもある奈良が参加をした 話し合い以外の場面でも院内関係者とのやり取りを積極的に行い これまでの活動を振り返りながらシステム構築における重要な役割を担っている 2) 顧客の視点 : リエゾン活動での面接件数の増加入院中の患者さまに対する臨床心理士の面接件数は 昨年度が 348 件であったが 今年度は 432 件と増加し 統計を取り始めた 2006 年から最も多い面接件数を記録した ( 図 1) 依頼件数も昨年度の 104 件から 168 件と大幅に伸びており これまでの活動の中で院内におけるリエゾン活動の認知度が上がっていることが伺える 3) 内部プロセスの視点 : リエゾン活動における情報共有のためのシステム作りリエゾン活動の増加に伴い それぞれが担当する科 病棟での活動を心理室全体で共有する必要性が生じた それに伴い 定期的なカンファレンスの実施を目標とした 今年度は 36 回実施し それぞれのケースの質の向上に役立っていると考えられる 4) 学習と成長の視点 : 臨床心理室での研修会の実施職員教育の一環として 臨床心室内での研修会の定期的な実施を目標としたが ケース数の増加に伴い日程の調整が困難になったため 今年度は2 回の実施にとどまった 3. スタッフ構成 富安哲也( 常勤総合病院部門主任 ) 奈良和子( 常勤クリニック部門主任 ) 澤田俊子( 常勤亀田医療技術専門学校学生相談室兼務 ) 上田将史( 常勤 ) 花田祥子( 非常勤 ) 河田幸子( 非常勤 ) 4. 業務概要 および今年度の報告 1) 外来業務主に心療内科 精神科や小児科などから依頼のあった患者さまに対して心理療法 プレイセラピーなどの個別相談や心理検査を行っている 必要に応じて患者さまのご家族や学校関係者など 関係施設の職員との地域連携も行っている 今年度の外来での個別相談件数は 3322 件で 昨年度よりも 100 件ほど増加した 反面心理検査の実
施件数は 51 件であり 昨年度の 86 件と比べると減少が見られた ( 表 1) 結果的に外来での対応件数そのものはほとんど変わらずに経過している 2) 精神科病棟業務精神科病棟入院中で医師より依頼のあった患者さまに対してカウンセリングや心理検査 家族を含む環境調整などの業務を行っている また臨床心理士が中心となって 作業を中心とした 創作グループ を実施している また昨年度から精神科医 精神科病棟看護師 精神保健福祉士 薬剤師らと話合いを行ってきた病棟での新しい SST を 10 月より開始した 医師や心理士 看護師のみならず薬剤師や栄養士などからの情報提供も取り入れ 入院患者には好評を得ている 3) リエゾン業務精神科コンサルテーション リエゾンチーム ( 精神科 CLT) のメンバーとして 定期的なカンファレンスを行っている 必要に応じて身体科病棟に入院中の患者さまに対して臨床心理学的な介入を行っている また緩和ケアチーム ART センター 脊椎 脊髄外科治療チーム 心不全治療チームなど各科の治療チームにもメンバーとして参加している 緩和ケア科には診療科チームのメンバーとして参加 患者さまへの介入を行うのみならず アロハ会 というアートグループを定期的に行い 様々な角度から統合的な援助活動を行えるよう務めている 乳腺科にも診療科チームのメンバーとして参加 患者さまへ心理面でのサポートを行っている また当院では 2007 年からがん患者の妊孕性温存を開始しており 生殖心理カウンセラーの資格を持ち 日本がん 生殖医療研究会カウンセリング委員でもある奈良が 妊孕性温存の相談や胚 卵子凍結のコーディネーターとしても活動している 今年度は乳腺科以外からの依頼も含め 16 件の相談があった 今年度はリエゾンの依頼件数が飛躍的に伸びており 様々な診療科からの依頼を頂いている ( 図 2) これまでの活動が院内に周知されてきた証拠ではないかと考えられる 結果的にリエゾンの面接件数も過去最高の件数で 現在の臨床心理室の人数で対応できる限界に近づいてきており 今後何らかの対応が必要になってくると思われる 4) その他の院内業務亀田医療技術専門学校の講師 及び学生相談室の相談員や 院内の様々な研修会における講師活動を行っている ( 5. その他の活動 参照 ) 5) コンサルテーション業務地域の保健所や教育現場など 様々な機関へのコンサルテーション活動も行っている ( 5. その他の活動 参照 ) 図 1 表 1 図 2
5. その他の活動 1) 院内活動 富安哲也 アサーションについて 精神科病棟勉強会 2013 年 6 月 12 日 富安哲也 新人のためのストレスマネジメント 院内研修会 2013 年 9 月 3 日 2013 年 9 月 11 日 2013 年 10 月 1 日 2013 年 10 月 22 日 上田将史 思春期 青年期 成人期の発達障害 リハビリ親の会 2013 年 9 月 20 日 上田将史 思春期臨床 ~ 臨床心理士としての関 精神科病棟勉強会 2013 年 11 月 13 日 わり 富安哲也 臨床心理士の考える精神科患者への 精神科病棟勉強会 2013 年 12 月 20 日 接し方 富安哲也 インシデントと性格傾向の関連 平成 25 年度医療安全 感染管理合同研修会 2014 年 1 月 22 日 2) 地域活動 上田将史 平成 25 年度鴨川保健センターデイケアクラブ講師 2013 年 4 月 ~ 富安哲也 平成 25 年度鴨川市特別支援教育専門家チーム 2013 年 4 月 ~ 富安哲也 平成 25 年度鴨川保健センター母子支援事業相談員 2013 年 4 月 ~ 富安哲也 平成 25 年度心の健康フェスティバル相談スタッフ 2013 年 5 月 8 日 上田将史 平成 25 年度心の健康のつどいスタッフ 2013 年 11 月 10 日 3) 講演 講師活動 上田将史 心理学 亀田医療技術専門学校 2013 年 4 月 ~ 富安哲也 心理学 亀田医療大学看護学部 2013 年 4 月 ~ 上田将史 精神保健学 2 立教大学コミュニティ福祉学部 2013 年 9 月 ~ 奈良和子 がん患者と生殖医療について 第 11 回 JISART シンポ 2013 年 6 月 8 日 ジウム教育セミナー 富安哲也 ストレスを減らすコツを学ぼう~ 対 千葉県老健協議会主催 2013 年 9 月 17 日 人援助職のストレスマネジメント 研修会 富安哲也 上手なコミュニケーションのコツ 長狭地区生活支援 介 2013 年 11 月 1 日 護予防サポーター養成講座 富安哲也 心の健康づくりのヒント~ストレス 市原健康アカデミー 2014 年 1 月 21 日 と上手につきあう方法 上田将史 総合病院の心理臨床活動における人 リエゾン心理士の会第 2014 年 2 月 22 日
的 時間的制約との付き合い方 7 回定例研究会 富安哲也 自殺について考える 平成 25 年度安房健康福 12 日 祉センター自殺対策連絡会議 4) 学会発表上田将史 亀田総合病院における精神科コンサ 第 18 回千葉県総合病院 2013 年 4 月 13 日 ルテーション リエゾンチームの連携の現状と課題 精神科研究会 奈良和子 当院における妊孕性温存の取り組み 第 21 回日本乳ガン学会 2013 年 6 月 28 日 について 学術総会 上田将史 チーム医療における心理専門職の実 日本コミュニティ心理 2013 年 7 月 14 日 践 ~コンサルテーションに焦点をあてて 学会第 16 回大会 上田将史 精神科リエゾン領域における催眠活 第 15 回臨床催眠学会 2013 年 11 月 2 日 用の可能性 奈良和子 ステージⅣ 肺癌男性の精子凍結とそ 第 58 回日本生殖医学会 2013 年 11 月 16 日 れを用いた生殖補助医療の可否を緊急の倫理委員会で審議した症例 ~ 臨床心理士の立場から 学術講演会 富安哲也 精神科コンサルテーション リエゾ 第 26 回日本総合病院精 2013 年 11 月 29 日 ン活動における関係性のアセスメント~ 臨床心理士の立場から 神医学会総会 上田将史 富安哲也 当院コンサルテーション リエゾンチームメンバーへの連携に関する面接調査 第 26 回日本総合病院精神医学会 2013 年 11 月 29 日 5) 論文 著作 富安哲也 精神科コンサルテーション リエゾンチ 総合病院精神医学会 25(1):16-22,2013 上田将史他 ームにおける効果の分析 ~フォーカスグループインタビューの結果から 奈良和子 ( 分担執筆 ) がん 生殖医療を支える医療精神的アプローチ 3~ 臨床心理士の立場から がん 生殖医療 = 妊孕性温存の診療医歯薬出版株式会社 (2013.8) 文責 : 富安哲也
( 表 1) 外来面接件数 2010 年度 2011 年度 2012 年度 2013 年度 小児科 293 262 215 250 心療内科 2392 3131 2946 3010 その他の科 38 158 53 61 自費相談 5 3 3 1 心理 知能テスト 57 89 86 51 ( 図 1) 入院中の患者さまに対するリエゾン面接件数 500 450 400 350 300 250 200 150 100 50 0 2010 年度 2011 年度 2012 年度 2013 年度 ( 図 2) 診療科別リエゾン依頼件数 35 30 25 20 15 10 5 0 緩和ケア科 血液腫瘍内科 乳腺科 A R T 腫瘍内科 循環器内科 脊椎 脊髄外科 リウマチ科 膠原病内 小児科 総合診療科 整形外科 救急科 産科 婦人科 呼吸器外科 消化器内科 その他