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1. はじめに 腹腔鏡の学び方 ある目的地に行くのに 初めの駅で電車を降りました 案内書には 1 駅を出て 郵便局の角を右に曲がって 100m ほど行くとスーパーマーケットがあり そこを左に曲がってください 2 正面に丸いドーム型の建物がみえます その建物の前を左に曲がって 次の曲がり角 を右に 次の曲がり角を右に曲がるとつきます と書いています 目的地に着くには ほかの道順もありそうです 近道のようですが 危険なところがあるかもしれません 狭い道を迷路のように行く方法もあるかも知れません

これを腹腔鏡に書き換えてみます 1 駅を出て ( 適切な位置にポートを入れて ) 郵便局の角を右に曲がって( 脾結腸極より腹膜を切って ) 100m ほど行く ( 下降結腸を脱転する ) とスーパーマーケットがあり ( 性腺静脈があり ) そこを左に曲がってください( そこで腎の裏側に入ってください ) 腹腔鏡手術は 安全域の狭い手術です 自分の知らないところに入り込むと 迷路に入ったようになり そこには危険がいっぱいです 必ず 自分の知っているメルクマールをきちんと出して その地図の上を歩いていくような手術をしてください 2. 共通手技 1) トロカーポート挿入 1 トロカーのもち方 挿入する手 ( 右手 ): 基本的なもち方は中指を伸ばしてもつ 左手は必ず 筒の部分を持って 挿入をコントロールする 2 トロカー挿入 皮膚切開 :10mm, 5mm によって皮膚切開の適切な大きさがある 小さすぎる : 挿入時に腹壁がテント上になり 臓器損傷の原因となる 大きすぎる : 大きければよいというものではない 大きすぎると手術中にトロカーが抜けたり 入りすぎたりして手術がやりにくくなる 挿入のポイント 先が腹膜を破るまでは 腹壁に垂直に トロカーを左右にねじりながら挿入 この際 回転の軸がずれてはいけない ずれると たとえば 壁側腹膜と筋肉の間で剥離されてしまい 術中操作が非常にやりにくくなる 先端が腹膜を破ったら一定の方向にねじるって入れる 先が腹壁に出るまで 一定の力をトロカーに加え続ける 途中で力を緩めるとそれまで刺入されたラインと違うラインにはいり よくない トロカーを腹壁に挿入するというよりは トロカーを一定の力でねじっていたら腹壁のほうが相対的にあがってくるイメージ 適切な皮膚切開の場合 トロカー挿入時にあまり力は要らない 挿入時気腹圧があがり アラームが鳴るのは 皮膚切開が小さく

力で挿入を試みている場合が多い 基本的に上手にはいったトロカーは固定の必要はない 2) 気腹 1 気腹圧 : 基本的にはトロカー挿入時は 12mmHg でおこなう その後は状態に合わせて 8mmHg 褐色細胞腫では低い圧から徐々に上げていく 特に後腹膜鏡は高 CO2 血症や 皮下気腫をきたしやすいのでトロカー挿入後は気腹圧を可能な範囲で下げる 2 流量 : 流量の設定は 高 ハイフローに設定する 2. トロカーの挿入の位置 1) カメラポートカメラポートは術者の眼にあたり 一番大事なポートである 1 カメラポートの基本 カメラポートの位置は 術者と対象臓器とモニター ( モニターは術者と正対するところに置く ) をむすんだ直線上が理想である (Co axis 理論 ) モニターに映し出される映像は 体外から腹壁から透けて見えた場合 自分の目で見えるであろう映像と一致するのが 体感と映像が一致しベストである

腎摘 副腎摘除などは 側臥位にて手術をおこなう その最大の利点は重力にて 腸管などの手術の妨げになる臓器が下方に引っ張られ 手術に必要な視野が作られる点である ただ カメラポートの位置が低い ( 体の正中に近い ) と 腸管や血管などが視野の妨げになり手術が難しくなる 2 術者のポートの基本的な考え方 術者のポート位置も基本的には Co axis 理論に基づく 対象臓器に正対して 左右な手が不自由なく操作できる場所がベストである 3 対象臓器の予測 上記の内容に従うと カメラ 術者のポートの位置を決定するのに最も重要なポイントは 対象臓器がどこにあるか体表から予測することである 体表から後腹膜臓器 ( 腹腔内臓器と違い後腹膜臓器は側臥位になっても位置がかわることがない ) である腎や副腎の場所を予測するのに最もよい指

標は側臥位でも場所の変わることのない骨である よく 臍や乳頭などを 指標にした記載を見かけるが これらの指標は obsity の具合などにより側 臥位になると大きく位置が移動するのであまりよい指標とはならない 上図のごとく 側臥位にて剣状突起と 12 肋骨先端をむすんだ線の垂線上に 副腎が位置する そのやや尾側に腎静脈が位置する 4 各術式のトロカーポートの部位 経腹的腎摘 : 腎摘は剥離範囲が広いが 最も操作が大変な腎血管を対象臓器としてトロカーを留置する 12 肋骨と剣状突起を結んだ線の垂線と腹直筋外縁と交わるところを基本的にはカメラポートとする 症例によってはやや外側においたり 肋骨弓下縁におくこともある カメラポートを入れたら 対象臓器の位置が予想していた位置にあるかを確認し これから入れる術者ポートの位置の微調節をおこなう 術者の両手ポートはカメラ軸に左右対称になるように留置する 術者の両手のポートは術者が最も自然な手の幅で操作できる位置に留置する トロカーの経は術者の右手 12mm 左手 5mm で行っているが 不慮の事態に対応できるように両手を 12mm にしてもかまわない

経腹的副腎 : 腎摘除術とほぼ同様だが 副腎のほうが対象臓器が頭側にあるため 肋 骨弓下縁にカメラポートを留置する

5. 腹腔鏡下根治的腎摘除術 ( 左側 ) 1) トロカーポートの位置 2) 手術手順 ( 左 ) 1 腸管の癒着があれば鋏 ( コールド ) にて切開し癒着の剥離を行う 2 腹膜の切開手技下降結腸外側 (Toldt 白線 ) にて腹膜を脾湾曲部から腎下極まで切開する 使切開の道具は鋏 ( 電気メス コールド ) を使用 ポ気腹ガスが腹膜の下に入ることで容易 必ず腹膜と下の組織を剥離して遊離してから切開 注下にある組織 (Fusion fascia Gerota fascia) に切り込んではいけない 外側の Lateroconal fascia に入り込まないように注意する 3 下行結腸 脾臓の脱転手技腹膜や fusion fascia を動かしてみて 血管が動く膜が腹膜や fusion fascia の層 血管が動かない層が Gerota fascia の層 Fusion fascia と Gerota fascia の間の層の剥離を行う 最初に fusion fascia の一部の切開し これから剥離をすすめる層にはいる 適切な層に入ったら その層を見失わないように剥離する 腎と Fusion fascia の付着部を電気メスもしくは鋏にて切離する 脾臓 ~ 腎の腹側の間の剥離は一箇所のみ深く剥離するのではなく 視野がとれる範囲で均等に剥離をしてゆく 上方の剥離のメルクマールは脾臓が脱転すること 可能であれば腎上極で下の筋肉が見えるところまで剥離する 腎内側の剥離は性腺静脈 尿管が見える層まで剥離する 使基本的には鉗子 切開は電気メス 電気メスが周囲に当たるような場所はリガシュアーを使用 ポここの処置は 左手の鉗子で適切な方向に組織を牽引することが 上手に剥離するが鍵である 一度剥離した層を見失わないように注意する 一見 剥離ラインがわからないようでも 適切な方向に牽引をかければわかることが多い 剥離した層が広がるまでは 左手は組織を把持し牽引したほうが視野を作りやすいが ある程度剥離層が広がってきたら 組織を把持するのではなく鉗子を開いてリトラクターとして牽引をしたほうが視野がよい 特に腎と脾臓 膵臓間を剥離する際には 右手の補助下に左手を剥離ライン直上いれて そこで鉗子を開いて引くという動作が有効である 腎の腹側を剥離して性腺静脈のラインにうまくはいれない時は 剥離ラインが一枚腹側の層のことが多く 腹側の脂肪がうまく腹側に落ちないときは腎側についている Fusion fascia を一枚切開するとよい 視野の作り方としては 左手鉗子にて腎全体 ( 腎周囲の脂肪も含めて ) を下からすくい上げるように外方に牽引

すると良い 注ここでの操作でもっとも気をつけなければならないことは 周囲臓器の損傷と Gerota 筋膜への迷入である 膵臓の損傷は致命的な合併症となるので細心の注意を 要する 剥離のラインが腹側過ぎると 膵尾部が露出したり 腹腔内に再度剥離ライ ンが入ってしまうことがある 出来るだけ 腎側のラインで剥離をすすめる ただし Gerota fascia 切開し腎周囲脂肪に迷入した場合 Cancer の手術として問題があるこ と 腎周囲の脂肪が露出して手術が非常にやりにくくなるので 注意を要する 3 性腺静脈の剥離 手技腎側の脂肪と腹側の脂肪の谷間に性腺静脈が薄い膜ごしに見えるのを確認す る 性腺静脈が見える範囲が中枢 末梢に広がるように剥離をする 一部分だけ 穴を掘るような剥離ラインにならないようにする 十分な範囲性腺静脈が剥離され たら 性腺静脈の腹側にて 膜を鈍的に切開し 腎後面の Psoas muscle 全面の層 に剥離をすすめる 腎と muscle にて作られたスペースを左右に広げるように展開 する 使鉗子 ポ性腺静脈が見えた時点で すぐに腎後面に入ろうとせずに 性腺静脈を左右に 広く剥離をしてから後面に入ること 後面に入る際に左手にて腎と腎側の脂肪を一 塊にして十分に外方に牽引 圧排しておかないと 剥離ラインが腎側によってしま い腎周囲脂肪の中に入ることになる また 剥離ラインが末梢側 ( 腎より ) にはい ると 血管も末梢で処理しなければならなくなる その結果 複数回の血管剥離 クリッピングが必要になるので できるだけ本幹で処理できるように中枢よりで剥 離を心がける 4 腎茎に向かって剥離 手技腎茎に向かって 腎茎周囲の脂肪 リンパ管の剥離をすすめる まず イメ ージする剥離ライン沿って 表面の Gerota 筋膜を切開する 続いて 剥離してゆ く塊を鉗子にて血管などがないことを確認しつつ細かい束にする その束をリガシ ュアーにて凝固 切断を繰り返し腎茎血管へアプローチする 使鉗子 リガシュアー ポ腎後面に入れる鉗子のトラクションが一番重要 ポイントは 鉗子を先が奥の 筋肉に当たるまでしっかり奥にいれ シャフトの部分で牽引をかけるようにする 鉗子の位置が浅いと上手なトラクションはかけられない 次にトラクションの向き が非常に重要 上方への牽引だけでなく斜め横や 場合によっては手前に引いたほ うが良いこともある 牽引のポイントは 剥離する膜や血管にピーンとなる程度の テンションがかかっていること 剥離自体は片手の鉗子一本で行うので テンショ ンがかかっていない膜などは効果的な剥離を行うことはできない 腎茎に向かって 剥離をすすめてゆく際に 剥離をすすめる塊の表面にはまだ Gerota 筋膜がかぶっ

ているので 先に Gerota 筋膜を切開したほうが効率的に剥離がすすめられる Gerota 筋膜を切開することで 剥離してゆく束が脂肪なのか リンパ管なのか 血管なのかがはっきりする 注腎茎に向かって剥離する際 鉗子を開く時には必ず 鉗子の先に何があるのかカメラで確認しながらゆっくり開く 思わぬところに静脈がいても 常に目視 確認することで 不用意な血管損傷 出血を避けることができる 5 血管剥離手技動脈を剥離し ヘモロックにてクリッピング ヘモロックは中枢側よりかけて 中枢 2 本 末梢 1 本かける 続いて 腎静脈の剥離 腎静脈尾側は大抵動脈剥離の際に終了している 尾側から可能な範囲で腎静脈後面の剥離をする 続いて腎静脈頭側の剥離に移る 腎静脈の表面 頭側の脂肪の表面にはまだ Gerota 筋膜がかぶっていることが多いので まず Gerota 筋膜を切開する そうすると 腎静脈の表面 性腺静脈の分岐 副腎中心静脈の分岐が明らかとなる この状態で 腎静脈頭側の脂肪を muscle に向かってをする 決して静脈そのものを剥離しようとしてはいけない 腎静脈頭側の剥離が muscle まで剥離できれば腎静脈は自然と遊離された状態になる この状態で 腎静脈後面へ尾側 頭側どちらからも鉗子を入れてみて 十分剥離されていて 十分なスペースがあることを確認する その後 静脈を GIA もしくはヘモロックにて処理する 使鉗子 リガシュアー ヘモロック GIA ポ腎茎血管の処置においても 最も重要なのは左にトラクションである 血管がある程度のテンションをもって 直立するように牽引をかける 牽引の向きは 上方向だけでなく 手前方向に引くようにするのも一つのコツである 血管の剥離は鉗子にて行うほうが早い 腎動脈直上にてゆっくり鉗子を開いて剥離を開始する 動脈の脇から剥離を開始するとなかなか 動脈表面の膜やリンパ管が剥離でない 動脈直上にてリンパ管などが左右に分かれたら 小さな束にしてリガシュアーにて凝固 切断する 静脈の剥離は 血管を直接剥離してはいけない 血管周囲の組織を尾側 頭側から剥離することで自然に遊離される 静脈は盲目的な操作にて容易に出血し 止血不能になるので 後面などを剥離する際も 尾側もしくは頭側からカメラにて目視した状態で剥離を行う エンドリトラクトミニを用いた盲目的な剥離は 静脈には決して行ってはならない 注血管周囲のリンパ管など組織をリガシュアーにて凝固 切断する際は 必ず束上に遊離する 束上になったものをリガシュアーにて処理することで リガシュアーで不用意に血管を損傷することを防げる 決して 遊離されていない組織を リガシュアーなどで処理してはいけない 腎静脈頭側を剥離する際 副腎中心静脈より末梢側に細い枝があることが多い これを損傷すると 多少出血し 視野が悪くなるのでそのような血管があることを認識し注意して剥離する

6 副腎の処理 T1 症例で 腫瘍が腎上極にないものは副腎を基本的には温存する T2 以上の症例は副腎を摘除する 手技副腎摘除の方法は 腹腔鏡下副腎摘除術 を参照 ここでは 温存の方法を記載する まず 剥離ライン ( 副腎と腎との間 ) 上の Gerota 筋膜を切開する 副腎をよけるかたちで 腎周囲脂肪を剥離し腎皮膜を露出させる 剥離は 上方は腎被膜に沿って横隔膜脚の方向に向かって行う また 腎内側は腎後面の muscle をめざして剥離をする 使鉗子 リガシュアーポ副腎が脂肪の少ない症例では 目視することができるが 出来ないことも多い 出来ない場合は 腎被膜に沿って剥離を行うことで副腎損傷を予防できる 脂肪の中を切離していく操作は 出血を伴いラインがわかりづらい操作である 早いうちに被膜を出し 腎後面の muscle の層に到達することが上手に剥離するコツである 注遊離されていない 組織 ( 脂肪 ) にリガシュアーを咬みこむと副腎を損傷する可能性がある 脂肪をリガシュアーにて切離するときは 必ず鉗子にて剥離し 副腎などがないことを確認してから行う 7 腎周囲剥離手技腎上極より腎外側を剥離する 可及的に難しくなったら腎下極からの剥離に切り替える 使鉗子 リガシュアーポ左手にての牽引が重要である 切離ラインに適切なテンションがかかるようにする そうすれば 電気メスにてスムーズに切開できる 脂肪は一つの塊ではなく いくつかのブロックに分かれている 脂肪を切開するときはむやみにリガシュアーなどで切離するのではなく そのブロックの切れ目で剥離 切離するように心がける 注この段階で注意することは 不用意な鉗子操作による多臓器損傷である 手術の大半が終了した安堵感と 操作が広い空間を必要する為 不用意に挿入した鉗子にて腎 脾臓 肝臓などを損傷することがある この時間帯の多臓器損傷は意外と多い 8 臓器摘出手技 5mm ポートより挿入した鉗子で 摘出する腎を把持し エンドキャッチにて救いやすいように吊り上げておく オペレータの 10mmポートよりカメラを入れる この際 気腹チューブをオペレータの 10mmポートに付け替える カメラポートより エンドキャッチⅡを挿入 広がったリング内に腎を落下させる 使鉗子 エンドキャッチⅡ ポ鉗子にて腎を把持する際 腎の下側にエンドキャッチのリングが広げられるス

ペースを作るようにする エンドキャッチⅡのリングを開く際 腎の下側で開くようにする 他の場所でリングを開いてから 適切場所にもってこようとしてもうまくいかない リングを開く際 エンドキャッチⅡの筒の部分が 腹壁の外に出ると 脱気されてしまい視野が急激に悪くなる 筒を腹腔内ないに入れた状態で 腎下方にすべり込ますようにリングを開くのがコツである 注周囲臓器の損傷に十分気をつける

3. 腹腔鏡下根治的腎摘除術 ( 右側 ) 1) トロカーポートの位置 2) 手術手順 ( 右 ) 1 肝下面の癒着があれば鋏 ( コールド ) にて切開し癒着の剥離を行う 肝三角間膜は肝を挙上した際 付着部からの出血する可能性があり 最初に切離しておく 2 腹膜の切開手技腎下極より 上極に向かって腹膜の切開を行う 内側のメルクマールは IVC 縁まで そこから外側に向かい 肝下面の腹膜の切開を開始する 外側は横隔膜脚付近まで切開する 切開開始部位は IVC 縁 ( 下図 B) でもかまわないが このラインは結腸間膜の脂肪 (Fusion fasia 内の血管や脂肪 ) を切断するラインであり その際はその認識をもって行う Fusion fascia の折り返しのライン ( 下図 A) が最も出血が少なく 脂肪内に迷入しにくいラインである 使切開の道具は鋏 ( 電気メス コールド ) を使用 ポ必ず腹膜と下の組織を剥離して遊離してから切開 切開ラインが外側過ぎると

後の腹膜の腹側への脱転が面倒になる また 切開ラインが内側でも構わないが 腹側の脂肪からのある程度出血があることを認識した上を行わなければならない 注横隔膜近傍での電気メスの使用は注意する 不安なら 鋏によるコールド切開 でも良い 肝横隔膜靭帯を切離する前に肝臓を挙上しすぎると肝の付着部より出血 するので注意する 3 上行結腸 十二指腸の脱転 手技腹膜や fusion fascia を動かしてみて 血管が動く膜が腹膜や fusion fascia の 層 血管が動かない層が Gerota fascia の層 Fusion fascia と Gerota fascia の間 の層の剥離を行う 最初に fusion fascia の一部の切開し これから剥離をすすめる 層にはいる 適切な層に入ったら その層を見失わないように剥離する 右の場合 は鉗子にて鈍的に剥離すること比較的容易に的確な剥離ラインがわかりやすい 一 箇所のみ深く剥離するのではなく 視野がとれる範囲で均等に剥離をしてゆく 十 二指腸を腹側に脱転すると IVC が透けて見えてくる 頭側 尾側に向かって IVC が見える範囲をひろげてゆく 頭側の剥離の際 表層の組織で突っ張るものがあれ ば電気メスにて切除する 比較的太い血管もあり 不用意に切開すると出血する 使基本的には鉗子 切開は電気メス 電気メスにて切除が難しい場所はリガシュ アーを使用 十二指腸近傍での電気メスの使用は避け 鋏にて切開する ポここの処置は 左右の鉗子を上手に使い 腹側の脂肪や 十二指腸を腹側に脱 転するのがポイント 左手にて腎側を 右手にて腹側臓器を牽引 剥離をするとう まくいく ( 逆の手の場合もある ) 十二指腸損傷が最も怖いので ガーゼなどで鈍的 に剥離するのも一つの方法である 鈍的に剥離をして 十二指腸がうまく腹側に脱 転できないときは 十二指腸の覆うように薄い膜がかぶっていることがある この 場合はこの膜を切離すると容易に脱転される ( 下図 ) IVC は膜ごしに視認できれ ばよい 無理に IVC を剥離する必要はない

注ここでの操作でもっとも気をつけなければならないことは 十二指腸の損傷である 十二指腸近傍で電気メスを使用すると 思ったよりも広い範囲が熱変性を起こすことがあり危険である 十分な距離が取れないときは鋏にてコールド切開する 4 性腺静脈の同定 腎後面への剥離手技 IVC の薄い膜ごしに性腺静脈の分岐部を確認する 性腺静脈の分岐部が確認されたら その部位の性腺静脈の外側にて膜を鈍的に切開し 腎後面の Psoas muscle 全面の層に剥離をすすめる 腎と muscle にて作られたスペースを左右に広げるように展開する 使鉗子ポ後面に入る際に左手にて腎と腎側の脂肪を一塊にして十分に外方に牽引 圧排しておかないと 剥離ラインが腎側によってしまい腎周囲脂肪の中に入ることになる 適切はラインで腎後面にはいると 腎側の脂肪が露出することなく 腎側の脂肪と IVC 側の脂肪との境目がわかるので その境目で剥離をする 5 腎茎に向かって剥離手技腎茎に向かって 腎茎周囲の脂肪 リンパ管の剥離をすすめる 剥離してゆく塊を鉗子にて中に血管などがないことを確認しつつ細かい束にする その束をリガシュアーにて凝固 切断を繰り返し腎茎血管へアプローチする 左腎摘のように Gerota 筋膜が剥離ラインの妨げになるとはあまりないが 表層の脂肪やリンパ管があれば 先に処理したほうが血管剥離が容易になることもある 使鉗子 リガシュアーポ腎後面に入れる鉗子のトラクションが一番重要 ポイントは 鉗子を先が奥の筋肉に当たるまでしっかり奥にいれ シャフトの部分で牽引をかけるようにする 鉗子の位置が浅いと上手なトラクションはかけられない 左手鉗子をよい場所に入れるには右手の鉗子のアシストが必要 まず 右手鉗子にて腎を持ち上げスペースを作ったところに 左手鉗子をクロスするように入れる 次にトラクションの向きが非常に重要 上方への牽引だけでなく斜め横や 場合によっては手前に引いたほうが良いこともある 牽引のポイントは 剥離する膜や血管にピーンとなる程度のテンションがかかっていること 剥離自体は片手の鉗子一本で行うので テンションがかかっていない膜などは効果的な剥離を行うことはできない 注腎茎に向かって剥離する際 鉗子を開く時には必ず 鉗子の先に何があるのかカメラで確認しながらゆっくり開く 思わぬところに静脈がいても 常に目視 確認することで 不用意な血管損傷 出血を避けることができる 6 血管剥離 副腎遊離手技動脈を剥離し ヘモロックにてクリッピング ヘモロックは中枢側よりかけて 中枢 2 本 末梢 1 本かける 続いて 腎静脈の剥離 腎静脈尾側は大抵 動脈

剥離の際に終了している 尾側から可能な範囲で腎静脈後面の剥離をする 続いて腎静脈の剥離に移る 腎静脈と IVC の分岐部頭側は後副腎静脈などが IVC より分枝しており 不用意に鉗子操作を行うのは出血の危険がある そこで 右側の場合は動脈処理後に腎と副腎の剥離を行ってもよい 腎を鉗子にて上下に動かすと 副腎の大まかな場所は同定でき おのずと剥離ラインはわかる 腎上極の腎と副腎の間 ( 肝下面 ) で剥離を開始する 鉗子にて脂肪を分け 血管はリガシュアーにて処理する まず この部位にて腎後面の筋肉の層に向かって剥離を行う 筋肉の層に到達した後 剥離ラインを IVC 側 ( 手前側 ) にすすめてゆく ある程度 剥離をすすめたところで 腎内側より再度 腎を挙上すると腎静脈は自然と遊離された状態となる 決して静脈そのものを剥離しようとしてはいけない 腎副腎間の剥離がすめば 腎静脈は自然と遊離された状態になる この状態で 腎静脈後面へ尾側 頭側どちらからも鉗子を入れてみて 十分剥離されていて 十分なスペースがあることを確認する その後 静脈を GIA もしくはヘモロックにて処理する 使鉗子 リガシュアー ヘモロック GIA ポ腎茎血管の処置においても 最も重要なのは左手のトラクションである 血管がある程度のテンションをもって 直立するように牽引をかける 牽引の向きは 上方向だけでなく 手前方向に引くようにするのも一つのコツである 血管の剥離は鉗子にて行うほうが早い 腎動脈直上にてゆっくり鉗子を開いて剥離を開始する 動脈の脇から剥離を開始するとなかなか動脈表面の膜やリンパ管がはがれない 動脈直上にてリンパ管などが左右に分かれたら 小さな束にしてリガシュアーにて凝固 切断する 静脈の剥離は 血管を直接剥離してはいけない 血管周囲の組織を尾側 頭側から剥離することで自然に遊離される 静脈は盲目的な操作にて容易に出血し 止血不能になるので 後面などを剥離する際も 尾側もしくは頭側からカメラにて目視した状態で剥離を行う エンドリトラクトミニを用いた盲目的な剥離は 静脈には決して行ってはならない 注血管周囲のリンパ管など組織をリガシュアーにて凝固 切断する際は 必ず束上に遊離する 束上になったものをリガシュアーにて処理することで リガシュアーで不用意に血管を損傷することを防げる 決して 遊離されていない組織を リガシュアーなどで処理してはいけない 7 腎周囲剥離手技腎上極より腎外側を剥離する 可及的に難しくなったら腎下極からの剥離に切り替える 使鉗子 リガシュアーポ左手にての牽引が重要である 切離ラインに適切なテンションがかかるようにする そうすれば 電気メスにてスムーズに切開できる 脂肪は一つの塊ではなく いくつかのブロックに分かれている 脂肪を切開するときはむやみにリガシュアー

などで切離するのではなく そのブロックの切れ目で剥離 切離するように心がける 注この段階で注意することは 不用意な鉗子操作による多臓器損傷である 手術の大半が終了した安堵感と 操作が広い空間を必要する為 不用意に挿入した鉗子にて腎 脾臓 肝臓などを損傷することがある この時間帯の多臓器損傷は意外と多い 8 臓器摘出手技 5mm ポートより挿入した鉗子で 摘出する腎を把持し エンドキャッチにて救いやすいように吊り上げておく オペレータの 10mmポートよりカメラを入れる この際 気腹チューブをオペレータの 10mmポートに付け替える カメラポートより エンドキャッチⅡを挿入 広がったリング内に腎を落下させる 使鉗子 エンドキャッチⅡ ポ鉗子にて腎を把持する際 腎の下側にエンドキャッチのリングが広げられるスペースを作るようにする エンドキャッチⅡのリングを開く際 腎の下側で開くようにする 他の場所でリングを開いてから 適切場所にもってこようとしてもうまくいかない リングを開く際 エンドキャッチⅡの筒の部分が 腹壁の外に出ると 脱気されてしまい視野が急激に悪くなる 筒を腹腔内ないに入れた状態で 腎下方にすべり込ますようにリングを開くのがコツである 注周囲臓器の損傷に十分気をつける

4. 腹腔鏡下根治的腎摘除術 ( 右側 ) 1) トロカーポートの位置 2) 手術手順 ( 右 ) 1 肝下面の癒着があれば鋏 ( コールド ) にて切開し癒着の剥離を行う 肝三角間膜は肝を挙上した際 付着部からの出血する可能性があり 最初に切離しておく 2 腹膜の切開手技腎下極より 上極に向かって腹膜の切開を行う 内側のメルクマールは IVC 縁まで そこから外側に向かい 肝下面の腹膜の切開を開始する 外側は横隔膜脚付近まで切開する 切開開始部位は IVC 縁 ( 下図 B) でもかまわないが このラインは Fusion fasia 内の血管や脂肪を切断するラインとなる Fusion fascia の折り返しのライン ( 下図 A) が最も出血が少なく 脂肪内に迷入しにくいラインである 使切開の道具は鋏 ( 電気メス コールド ) を使用 ポ必ず腹膜と下の組織を剥離して遊離してから切開 切開ラインが外側過ぎると 後の腹膜の腹側への脱転が面倒になる また 切開ラインが内側でも構わないが

腹側の脂肪からのある程度出血があることを認識した上を行わなければならない 注横隔膜近傍での電気メスの使用は注意する 不安なら 鋏によるコールド切開でも良い 肝横隔膜靭帯を切離する前に肝臓を挙上しすぎると肝の付着部より出血するので注意する 9 上行結腸 十二指腸の脱転手技腹膜や fusion fascia を動かしてみて 血管が動く膜が腹膜や fusion fascia の層 血管が動かない層が Gerota fascia の層 Fusion fascia と Gerota fascia の間の層の剥離を行う 最初に fusion fascia の一部の切開し これから剥離をすすめる層にはいる 適切な層に入ったら その層を見失わないように剥離する 右の場合は鉗子にて鈍的に剥離すること比較的容易に的確な剥離ラインがわかりやすい 一箇所のみ深く剥離するのではなく 視野がとれる範囲で均等に剥離をしてゆく 十二指腸を腹側に脱転すると IVC が透けて見えてくる 頭側 尾側に向かって IVC が見える範囲をひろげてゆく 頭側の剥離の際 表層の組織で突っ張るものがあれば電気メスにて切除する 比較的太い血管もあり 不用意に切開すると出血する 使基本的には鉗子 切開は電気メス 電気メスにて切除が難しい場所はリガシュアーを使用 十二指腸近傍での電気メスの使用は避け 鋏にて切開する ポここの処置は 左右の鉗子を上手に使い 腹側の脂肪や 十二指腸を腹側に脱転するのがポイント 左手にて腎側を 右手にて腹側臓器を牽引 剥離をするとうまくいく ( 逆の手の場合もある ) 十二指腸損傷が最も怖いので ガーゼなどで鈍的に剥離するのも一つの方法である 鈍的に剥離をして 十二指腸がうまく腹側に脱転できないときは 十二指腸の覆うように薄い膜がかぶっていることがある この場合はこの膜を切離すると容易に脱転される ( 下図 ) IVC は膜ごしに視認できればよい 無理に IVC を剥離する必要はない

注ここでの操作でもっとも気をつけなければならないことは 十二指腸の損傷である 十二指腸近傍で電気メスを使用すると 思ったよりも広い範囲が熱変性を起こすことがあり危険である 十分な距離が取れないときは鋏にてコールド切開する 10 性腺静脈の同定 腎後面への剥離手技 IVC の薄い膜ごしに性腺静脈の分岐部を確認する 性腺静脈の分岐部が確認されたら その部位の性腺静脈の外側にて膜を鈍的に切開し 腎後面の Psoas muscle 全面の層に剥離をすすめる 腎と muscle にて作られたスペースを左右に広げるように展開する 使鉗子ポ後面に入る際に左手にて腎と腎側の脂肪を一塊にして十分に外方に牽引 圧排しておかないと 剥離ラインが腎側によってしまい腎周囲脂肪の中に入ることになる 適切はラインで腎後面にはいると 腎側の脂肪と IVC 側の脂肪との境目がわかるので その境目で剥離をする 11 腎茎に向かって剥離手技腎茎に向かって 腎茎周囲の脂肪 リンパ管の剥離をすすめる 剥離してゆく塊を鉗子にて中に血管などがないことを確認しつつ細かい束にする その束をリガシュアーにて凝固 切断を繰り返し腎茎血管へアプローチする 左腎摘のように Gerota 筋膜が剥離ラインの妨げになるとはあまりないが 表層の脂肪やリンパ管があれば 先に処理したほうが血管剥離が容易になることもある 使鉗子 リガシュアーポ腎後面に入れる鉗子のトラクションが一番重要 ポイントは 鉗子を先が奥の筋肉に当たるまでしっかり奥にいれ シャフトの部分で牽引をかけるようにする 鉗子の位置が浅いと上手なトラクションはかけられない 左手鉗子をよい場所に入れるには右手の鉗子のアシストが必要 まず 右手鉗子にて腎を持ち上げスペースを作ったところに 左手鉗子をクロスするように入れる 次にトラクションの向きが非常に重要 上方への牽引だけでなく斜め横や 場合によっては手前に引いたほうが良いこともある 牽引のポイントは 剥離する膜や血管にピーンとなる程度のテンションがかかっていること 剥離自体は片手の鉗子一本で行うので テンションがかかっていない膜などは効果的な剥離を行うことはできない 注腎茎に向かって剥離する際 鉗子を開く時には必ず 鉗子の先に何があるのかカメラで確認しながらゆっくり開く 思わぬところに静脈がいても 常に目視 確認することで 不用意な血管損傷 出血を避けることができる 12 血管剥離 副腎遊離手技動脈を剥離し ヘモロックにてクリッピング ヘモロックは中枢側よりかけて 中枢 2 本 末梢 1 本かける 続いて 腎静脈の剥離 腎静脈尾側は大抵 動脈剥離の際に終了している 尾側から可能な範囲で腎静脈後面の剥離をする 続いて

腎静脈の剥離に移る 腎静脈と IVC の分岐部頭側は後副腎静脈などが IVC より分枝しており 不用意に鉗子操作を行うのは出血の危険がある そこで 右側の場合は動脈処理後に腎と副腎の剥離を行ってもよい 腎を鉗子にて上下に動かすと 副腎の大まかな場所は同定でき おのずと剥離ラインはわかる 腎上極の腎と副腎の間 ( 肝下面 ) で剥離を開始する 鉗子にて脂肪を分け 血管はリガシュアーにて処理する まず この部位にて腎後面の筋肉の層に向かって剥離を行う 筋肉の層に到達した後 剥離ラインを IVC 側 ( 手前側 ) にすすめてゆく ある程度 剥離をすすめたところで 腎内側より再度 腎を挙上すると腎静脈は自然と遊離された状態となる 決して静脈そのものを剥離しようとしてはいけない 腎副腎間の剥離がすめば 腎静脈は自然と遊離された状態になる この状態で 腎静脈後面へ尾側 頭側どちらからも鉗子を入れてみて 十分剥離されていて 十分なスペースがあることを確認する その後 静脈を GIA もしくはヘモロックにて処理する 使鉗子 リガシュアー ヘモロック GIA ポ腎茎血管の処置においても 最も重要なのは左にトラクションである 血管がある程度のテンションをもって 直立するように牽引をかける 牽引の向きは 上方向だけでなく 手前方向に引くようにするのも一つのコツである 血管の剥離は鉗子にて行うほうが早い 腎動脈直上にてゆっくり鉗子を開いて剥離を開始する 動脈の脇から剥離を開始するとなかなか 動脈表面の膜やリンパ管が剥離でない 動脈直上にてリンパ管などが左右に分かれたら 小さな束にしてリガシュアーにて凝固 切断する 静脈の剥離は 血管を直接剥離してはいけない 血管周囲の組織を尾側 頭側から剥離することで自然に遊離される 静脈は盲目的な操作にて容易に出血し 止血不能になるので 後面などを剥離する際も 尾側もしくは頭側からカメラにて目視した状態で剥離を行う エンドリトラクトミニを用いた盲目的な剥離は 静脈には決して行ってはならない 注血管周囲のリンパ管など組織をリガシュアーにて凝固 切断する際は 必ず束上に遊離する 束上になったものをリガシュアーにて処理することで リガシュアーで不用意に血管を損傷することを防げる 決して 遊離されていない組織を リガシュアーなどで処理してはいけない 13 腎周囲剥離手技腎上極より腎外側を剥離する 可及的に難しくなったら腎下極からの剥離に切り替える 使鉗子 リガシュアーポ左手にての牽引が重要である 切離ラインに適切なテンションがかかるようにする そうすれば 電気メスにてスムーズに切開できる 脂肪は一つの塊ではなく いくつかのブロックに分かれている 脂肪を切開するときはむやみにリガシュアーなどで切離するのではなく そのブロックの切れ目で剥離 切離するように心がけ

る 注この段階で注意することは 不用意な鉗子操作による多臓器損傷である 手術の大半が終了した安堵感と 操作が広い空間を必要する為 不用意に挿入した鉗子にて腎 脾臓 肝臓などを損傷することがある この時間帯の多臓器損傷は意外と多い 14 臓器摘出手技 5mm ポートより挿入した鉗子で 摘出する腎を把持し エンドキャッチにて救いやすいように吊り上げておく オペレータの 10mmポートよりカメラを入れる この際 気腹チューブをオペレータの 10mmポートに付け替える カメラポートより エンドキャッチⅡを挿入 広がったリング内に腎を落下させる 使鉗子 エンドキャッチⅡ ポ鉗子にて腎を把持する際 腎の下側にエンドキャッチのリングが広げられるスペースを作るようにする エンドキャッチⅡのリングを開く際 腎の下側で開くようにする 他の場所でリングを開いてから 適切場所にもってこようとしてもうまくいかない リングを開く際 エンドキャッチⅡの筒の部分が 腹壁の外に出ると 脱気されてしまい視野が急激に悪くなる 筒を腹腔内ないに入れた状態で 腎下方にすべり込ますようにリングを開くのがコツである 注周囲臓器の損傷に十分気をつける

5. 腹腔鏡下副腎摘除術 ( 左側 ) 1) トロカーポートの位置 2) 手術手順 ( 左 ) 1 腸管の癒着があれば鋏 ( コールド ) にて切開し癒着の剥離を行う 2 腹膜の切開手技下降結腸外側 (Toldt 白線 ) にて腹膜を脾湾曲部から腎下極まで切開する 使切開の道具は鋏 ( 電気メス コールド ) を使用 ポ気腹ガスが腹膜の下に入ることで容易 必ず腹膜と下の組織を剥離して遊離してから切開 注下にある組織 (Fusion fascia Gerota fascia) に切り込んではいけない 外側の Lateroconal fascia に入り込まないように注意する 3 下行結腸 脾臓の脱転手技腹膜や fusion fascia を動かしてみて 血管が動く膜が腹膜や fusion fascia の層 血管が動かない層が Gerota fascia の層 Fusion fascia と Gerota fascia の間の層の剥離を行う 最初に fusion fascia の一部の切開し これから剥離をすすめる層にはいる 適切な層に入ったら その層を見失わないように剥離する 腎と Fusion fascia の付着部を電気メスもしくは鋏にて切離する 脾臓 ~ 腎の腹側の間の剥離は一箇所のみ深く剥離するのではなく 視野がとれる範囲で均等に剥離をしてゆく 上方の剥離のメルクマールは脾臓が脱転すること 可能であれば腎上極で下の筋肉が見えるところまで剥離する 腎内側の剥離は性腺静脈 尿管が見える層まで剥離する 使基本的には鉗子 切開は電気メス 電気メスが周囲に当たるような場所はリガシュアーを使用 ポここの処置は 左手の鉗子で適切な方向に組織を牽引することが 上手に剥離するが鍵である 一度剥離した層を見失わないように注意する 一見 剥離ラインがわからないようでも 適切な方向に牽引をかければわかることが多い 剥離した層が広がるまでは 左手は組織を把持し牽引したほうが視野を作りやすいが ある程度剥離層が広がってきたら 組織を把持するのではなく鉗子を開いてリトラクターとして牽引をしたほうが視野がよい 特に腎と脾臓 膵臓間を剥離する際には 右手の補助下に左手を剥離ライン直上いれて そこで鉗子を開いて引くという動作が有効である 腎の腹側を剥離して性腺静脈のラインにうまくはいれない時は 剥離ラインが一枚腹側の層のことが多く 腹側の脂肪がうまく腹側に落ちないときは腎側についている Fusion fascia を一枚切開するとよい 視野の作り方としては 左手鉗子にて腎全体 ( 腎周囲の脂肪も含めて ) を下からすくい上げるように外方に牽引

すると良い 注ここでの操作でもっとも気をつけなければならないことは 周囲臓器の損傷と Gerota 筋膜への迷入である 膵臓の損傷は致命的な合併症となるので細心の注意を 要する 剥離のラインが腹側過ぎると 膵尾部が露出したり 腹腔内に再度剥離ライ ンが入ってしまうことがある 出来るだけ 腎側のラインで剥離をすすめる ただし Gerota fascia 切開し腎周囲脂肪に迷入した場合 腎周囲の脂肪が露出して手術が非 常にやりにくくなるので 注意を要する 4 性腺静脈の同定 手技副腎摘除の際の内側の剥離のメルクマールは性腺静脈である 下図のごとく 副腎中心静脈は性腺静脈より内側 ( 中枢側 ) にあるので 性腺静脈が見えるところ まで腹側の脂肪を脱転しておいたほうがよい 性腺静脈を広く視認できるように剥 離をせずに 直接腎静脈を同定 剥離をすすめると 穴掘り手術のようになり視野 が悪く危険である 腎側の脂肪と腹側の脂肪の谷間に性腺静脈が薄い膜ごしに見えるのを確認する 性腺静脈が見える範囲が中枢 末梢に広がるように剥離をする 一部分だけ 穴を掘るような剥離ラインにならないようにする この際 性腺静脈を剥離する必要はなく 薄い膜越しに視認できたら そのラインで頭側に剥離を進め腎静脈を同定する 使鉗子ポ性腺静脈が見えた時点で 性腺静脈を剥離するのではなく 左右に広く見えるように腹側の脂肪の脱転をする 5 中心静脈の剥離手技腎静脈を中枢に向かって剥離を進めると中心静脈が出てくる 静脈そのものを剥離するのではなく 静脈の両脇を剥離することで自然と中心静脈は剥離されて浮いてくる 十分剥離されたら メタルクリップもしくはヘモロックにて結紮し 切断する

使鉗子 リガシュアーポ 1 このとき腎が内側に落ちてきて操作しづらいときは助手用のトロカーを追加して腎を外側に牽引するとよい 副腎静脈が同定される前に この助手鉤を入れる場合 ( 腎周囲の脂肪の多いような症例 ) があるが この場合 牽引に伴い腎静脈 中心静脈の走行が自分のイメージと異なって見えることがあるので注意する 時々 腎を動かして腎の位置 形を考えるとよくわかる 2 膵側が張り出して操作しづらい場合の多くは脾臓の脱転が不十分のことが多い 3 中心静脈のやや末梢のところに細い血管があることが多い 非常に細い血管 ( 後副腎静脈 ) ではあるが出血すると視野の妨げになるので気づけば早めに処理する 注副腎中心静脈の形態はいろいろあり目視 確認することで 不用意な血管損傷 出血を避けることができる 6 副腎後面の展開手技中心静脈切断後 副腎側の切除断端をメルクマールにして副腎後面の展開を行う 下の層の構造物が見えたら その層を広げる 使鉗子ポ左の副腎中心静脈は 下図のごとく 正面から見るとおむすび型の岬の頂点から 側方から見ると副腎の前面から出ている

ということは 中心静脈の断端をメルクマールにしてその下側をすくい上げ 丁寧に展開すれば副腎を損傷する可能性は低い ( もちろん そのあたりに腫瘍が局在している場合はそのとおりにはいかない ) 操作のイメージとしては左手鉗子にて中心静脈断端の下縁を上方にそっとトラクションをかけ その下側にできた縦状の繊維を右手鉗子にて下側 (aorta をめざして ) に剥離をするような操作である 注上図の縦状の繊維は血管もしくはリンパ管である 右手鉗子で剥離の際 鉗子を開くときには 鉗子の先に何があるが見ながらゆっくりみながら行う 副腎と下の層の間にある脂肪はすべて副腎側につけるようにする 決して その脂肪の中に入り込むような方向に剥離を進めてはいけない 7 ブリッジの形成手技前操作にてできたスペースに左手鉗子を入れて副腎を上方に牽引する そうす

ると左右両サイドに 血管 リンパ管よりなる束が形成される その束を小さな束 に分けて リガシュアーにて切離していく 使鉗子 リガシュアーポ 副腎側の脂肪をしっかり副腎側につけ 筋肉層をきれいに出すことで きれいなブリッジができる ブリッジを作る際に 鉗子の引き方 鉗子の先の場所が重要

注 左右のブリッジを均等に切離してゆく どちらか一方のみを切離すると カウンタートラクションがかからなくなり剥離が難しくなる フリッジの束の中には正常副腎や 大きな血管が入っていることが予想される 必ず 鉗子にて小さくわけて 中に副腎などが入っていないことを視認する 大きなブリッジのまま リガシュアーで端から切断するような手技はよくない 8 腎と副腎間の遊離手技左右のブリッジを切離しつつ 腎と副腎間を遊離する まず 表面の Gerota 筋膜のみを切開し その後に腎周囲の脂肪を小さな束に分け 切離していく 副腎摘除の際は腎被膜に沿って切離する

使鉗子 リガシュアーポ腎周囲の脂肪を剥離する際 正常副腎があることがある この部は比較的正常副腎を損傷しやすい場所なので 十分注意する 腎の被膜を早いうちに露出させることが安全に剥離を進める上では重要である ( もちろん 腎被膜を露出させなくても 腎と副腎の脂肪間で遊離を進めていくことは可能である 注両側のブリッジの処理が終了してくると 副腎の可動性がでて 予想以上に横隔膜ドーム近傍で操作を行っていることがある 横隔膜に注意しつつ なるべく横隔膜によらずに ( 副腎を頭側に押し付けることなく ) 手術をおこなう 9 臓器摘出手技副腎周囲の脂肪を鉗子にて把持し エンドキャッチにてすくいやすいように吊り上げておく オペレータの 10mmポートよりカメラを入れる カメラポートより エンドキャッチを挿入 広がったリング内に副腎を落下させる 副腎の場合は たいていは皮切を広げることなくカメラポートから摘出できる 臓器摘出後 再度気腹を行いドレーン留置をおこなう 使鉗子 エンドパウチ 注周囲臓器の損傷に十分気をつける

6. 腹腔鏡下副腎摘除術 ( 右側 ) 1) トロカーポートの位置基本的に腎摘と同様だが カメラは高い ( 頭側 ) のほうがみやすいので肋骨弓と腹直筋の交わるところに留置 Obsity の強い人は やや外側に留置する (IVC をやや外側から見えるように ) 2) 手術手順 ( 右 ) 1 肝下面の癒着があれば鋏 ( コールド ) にて切開し癒着の剥離を行う 肝三角間膜は肝を挙上した際 付着部からの出血する可能性があり 最初に切離しておく 2 腹膜の切開腹膜を下の図のごとく切開する 腫瘍があまり大きくない場合は 肝下縁に横切開を IVC 内側までいれ IVC に沿って尾側に切開を入れる 腫瘍が大きい場合は 腎と副腎間に IVC 内側まで切開をいれ IVC にそって頭側に切開し 肝下縁で再度外側に向かって切開する 視野不良が不良のとき 腎の可動性が悪い場合には 若干腎外側に切開を加えると腹膜切開窓が広くなり また 腎の可動性が増して視野がよくなることがある リトラクターで肝を挙上をする際に 三角間膜を切開していたほうが 付着部からの出血を予防できるし 視野も良い 使切開の道具は鋏 ( 電気メス コールド ) を使用 ポ腹膜を少し切開すると気腹ガスが腹膜と脂肪の間にガスが入る それを利用し

て 必ず腹膜と下の脂肪を遊離してから切開 腹膜切開が不十分だと つぼ穴手術のようになって視野が悪くなる 内側はしっかり IVC 縁と IVC に沿って切開 外側も腎の外側 肝三角間膜まで切開を入れる 注腹膜を遊離せずに切開し 不用意な出血をさける 3 腎と副腎間の遊離手技腎と副腎間にある脂肪を切離して 腎と副腎間にスペース作る 十分なスペースを作ることで 副腎の可動性を確保する ( 中心静脈など処理の際 腎と間に十分なスペースがないと 副腎の可動性が悪く手術がしづらくなる ) 遊離のメルクマールは下は筋層がみえるまでで 外側は脂肪のなくなるとこまで十分におこなう 腎の可動性が悪い場合には 腎外側の腹膜切開をくわえる 使鉗子 リガシュアーポ気腹ガスが腹膜の下に入ることで容易 必ず腹膜と下の組織を剥離して遊離してから切開 腎副腎間で広いスペースを作ることが 副腎の可動性をよくして 今後の操作を容易にする 注腎副腎間にも 細い静脈が必ずある スペースができないうちにこれらから出血すると 比較的止血に難渋する 鉗子を開くときには必ず 血管がないが注意をする 4 右副腎摘除のストラテジー 上図の点線 の所は 血管が豊富な部位なので 副腎周囲の剥離がすすんでいない 状態では 手をつけずにおいておく そのため まず 1 の腎副腎間の安全な部位に スペースを作る 次に 2 の安全な部位より副腎の後面に入り ブリッジを作る

5 ブリッジの作成手技副腎と IVC 間にスペースを作り 副腎の後面にスペースを作る 後面に鉗子が入ったら 鉗子のシャフト部で副腎を牽引しブリッジを形成する 使鉗子 リガシュアーポ 副腎後面の入り方 副腎を外側に変移させ IVC の際で後面の筋肉の層に到達する 副腎は可動性のある臓器であり 鉗子の操作で容易に動く 出血 副腎損傷しないように注意しつつ 副腎を外側に変移させると IVC 副腎間に隙間ができ そこの谷間の膜を鉗子にて鈍的に破ると容易に後面の筋肉の層に入れる ブリッジの形成

注 IVC 後面に正常副腎や腫瘍が伸びている症例もある 術前に画像をチェックしておく 6 中心静脈結紮手技左手鉗子にて副腎に適切なトラクションをかけ 中心静脈に向かって剥離をすすめる 中心静脈が同定できたらメタルクリップにてクリッピング ( 中枢 2 本 末梢 1 本 ) 使鉗子 リガシュアー クリップ

ポこの部の剥離のポイントは副腎のどの方向にトラクションをかけるかが一番大事となる 前項でも述べたが 上図にトラクションをかけるには鉗子の先を副腎の奥にではなく 鉗子の先は筋肉の層に添わす形でおくまでいれ シャフトの部分で副腎を牽引する こうすることで不用意な副腎損傷も避けられる トラクションは横方向のみでなく 副腎自体を浮かすような方向にかける 中心静脈や 副腎と肝の間には通常 2 層ほど膜がかぶっている ( 他の部位ではすでに剥離されているのが残っている ) 中心静脈などを剥離の際は いきなり中心静脈を捜そうとせずに 上に載っている膜をはがすようにしていくと自然に露出される このとき 中心静脈の奥 ( 副腎 肝の間 ) も中心静脈剥離に先駆けてしておいたほうが 中心静脈の剥離は容易となる 中心静脈は副腎の岬状の先端から出ており 剥離ラインも副腎近傍となる 中心静脈剥離の際 副腎を損傷しやすいので どこまで副腎があるのかをよく確認しつつ中心静脈の剥離をおこなう 注この部を剥離の際 IVC より短肝静脈が出ていることがある 損傷は大量出血につながるため 視認された場合には早い段階でリガシュアーにて処理をしておく 7 肝副腎間剥離手技肝と副腎の間を組織をリガシュアーに切離 使鉗子 リガシュアーポここでのポイントは 左手鉗子にて有効に尾側に牽引をかけることと 肝をスネークリトラクターにて副腎のエッジが見えるように牽引をかけること

注正常副腎が肝下面のどこまで伸びているかをきちんと確認しながら切離を進める 後述する 左側のブリッジを先に処理しているとトラクションがかからず処理が難しくなるので ブリッジの処理はバランスをよく考えておこなう 8 左側のブリッジの処理手技左側に残っているブリッジの処理をおこなう ブリッジが直立するようにトラクションをかけ いくつかの束に分けるように剥離をする ここは血管が多く存在 ( 後副腎静脈や副腎動脈 ) しているので 鉗子を開く際には血管の有無を必ず確認する 大きな血管はクリッピング 小血管はリガシュアーで処理する 使鉗子 リガシュアーポブリッジに適切にトラクションかけ 束をすばやく作ることがポイント 注周囲が剥離されているとはいえ 血管が多く出血の可能性がある部なので 血管の損傷に注意する 9 副腎遊離手技副腎を完全に遊離する ポ副腎をつかまずに上手にトラクションをかける 鉗子をひらいたまま 副腎を引っ掛けるように牽引するのも一つの方法である 注副腎そのものを把持すると 損傷の可能性あり 10 摘出手技副腎周囲の脂肪を鉗子にて把持し エンドキャッチにてすくいやすいように吊り上げておく オペレータの 10mmポートよりカメラを入れる カメラポートより エンドキャッチを挿入 広がったリング内に副腎を落下させる 副腎の場合は たいていは皮切を広げることなくカメラポートから摘出できる 臓器摘出後 再度気腹を行いドレーン留置をおこなう 使鉗子 エンドパウチ注周囲臓器の損傷に十分気をつける