第 1 章生物の特徴 ( 教 p22~) 1 生物の多様性と共通性生物の多様性 ( 図表 16-1,2) 地球上には様々な環境があり これらの環境に応じた多種多様な生物が生活している それらの生物には以下のような共通点が見られる 生物にみられる共通点 1 でできている膜によって外部と仕切られ ( 図表 17-3A) をおこなう 2 をおこなう : 生物体内での化学反応を伴う物質の変化のこと ( 図表 17-3B) 3 生殖によって増殖するを子孫に受け継ぐことで増殖する ( 図表 17-3C)
これらを満たす最小の単位が である 4 ( ) を有する : 外部環境が変化しても 体内の環境を一定の範囲内に維持するはたらき ( 図表 17-3D) 5 刺激を受容し 反応する 6 する遺伝物質であるはわずかずつ これらの共通点から 生物は以下のように定義される 生物とは 1 2 3
それでは 生物はどのように地球上に誕生し どのような過程を経て 現在のような多様性を獲得したのだろうか 生物の共通性と多様性の起源 地球が誕生したのは約 46 億年前 そして約 40 億年前に最初の生命が誕生したと考えられている 化石などの証拠から 最初の原始生物は現在の細菌類のようなものであったと考えられている 細菌類 : ( 核膜をもたないからなる ) では どのように生命が誕生してきたのか? 生物体は有機物からなる よって無機物から有機物が作られねばならない 有機物 : 生物体を構成する炭素を含む化合物の総称 e.g.
無機物 : 有機物の対義語 生物に由来しない物質 炭素を含む場合もある e.g. どのような環境下で 無機物から有機物ができるのか 生命のようす化学進化で生命の起源を探る ミラーの実験 ( 図表 254-1C) ミラーの実験 生命のようす謎にあふれる生命の起源無機物から有機物が合成されることを実験的に示した メタンアンモニアアミノ酸生命誕生? 水素など ( 有機物 ) このような過程をという 当時 原始地球の大気組成はメタンやアンモニア ( ) で構成されると考えられていた その後 別の研究者によって原始大気の組成 ( ) でも同様に有機物ができることが証明された
また は多量のエネルギーを含むため 化学進化の場として有力である ( 図表 254-1E) 生命のようす生命の材料はどこから? 生命のようす熱水噴出口と化学進化 約 27 億年前ストロマトライト ( が 作る構造 ) が存在 ( 図表 255-3) を行う生産者 光合成 : 太陽の光エネルギーを用いて 無機物 ( 一般的な植物は ) から有機物を作り出す働き が遊離するため この後 約 15 億年前海水中のO 2 が気化し 大気中へ の形成へ シアノバクテリア出現 シアノバクテリア写真 酸素が増加したことにより 好気的な条件 (O 2 を使う ) で生育する生物が増加 酸素を使うことで より効率的にエネルギーを作り出すことができる
約 5 億年前オゾン層がを果たす 紫外線は生物に有害である することで 生物が ( 参考 ) 生物の化学的特性 ( 図表 36-1) 生物の化学組成は水 タンパク質 DNA 炭水化物 脂質などである 中でも割合が最も多い水の特徴は特に重要である ( 図表 36-2) をもつため 様々な物質を溶かすことができる ( ) 温まりにくく冷めにくいので 細胞内の環境を安定に保つ ( が大きい ) : このように生物にとって重要な水が で存在できる環境が地球にはある
細胞の多様性 細胞の大きさと形 ( 図表 18-2,19-3) 1665 年コルクの切片を自作顕微鏡で観察し 初めて細胞の存在を発見する 1674 年自作顕微鏡でプランクトンなどの微生物を観察 1838 年植物のからだは細胞からできていると提唱 1839 年動物のからだは細胞からできていると提唱 長さの単位 1/1000mm= 1/1000μm=
顕微鏡の種類 ( 図表 15) 光学顕微鏡 : 可視光 ( ) を利用 分解能は ( 観察の対象 ) ヒトの細胞 細菌類 分解能 :2 点を最小の間隔 ( 肉眼 ; ) 電子顕微鏡 : 波長の短い電子線 ( 波長 0.001~0.01nm) を利用 試料は真空中に置く 波長の短い波を用いたほうが 試料を真空中に置くのは 電子線がに当たって乱れるのを防ぐため ( 観察の対象 ) ウイルス タンパク質分子 透過型: 試料は薄い切片にする 分解能は 走査型: 試料に電圧をかけ 表面の凹凸を調べる 分解能は 光学顕微鏡から透過型電子顕微鏡の比較のアニメ 電子顕微鏡で見る生命 物質の世界
ミクロメーターの使い方 ( 図表 14-1) 顕微鏡下で試料の長さを測る道具 ミクロメーター接眼ミクロメーター : 接眼レンズ内に入れて使用する 等間隔に目盛りが振ってある対物ミクロメーター : ステージに置いて使用する 1mm を100 等分した目盛りがついている ( ) 使い方接眼ミクロメーターを入れた接眼レンズで 対物ミクロメーターの目盛りを見ることで 接眼ミクロメーター 1 目盛りの長さを算出する 対物 接眼
対物ミクロメーターが一致しているから と接眼ミクロメーター なぜ 対物ミクロメーターの上に直接試料を載せて測らないのか? 理由 1: 目盛りと試料の 理由 2: 測定したいところに 接眼ミクロメーターはの方向を自由に変えることができる ことで 目盛り
多細胞生物の誕生 ( 図表 24-2) 最初に誕生した共通祖先が長い年月をかけて 環境に適応しながら変化していった結果 多細胞生物が誕生したと考えられる単細胞生物 :1つの細胞が個体となる生物 ( ): 細胞が形態的 機能的な差を獲得すること : 同じ形と働きに分化した細胞が集まったもの : 組織がいくつか集まって まとまりのある働きをするもの 多細胞生物 : 様々な機能を有する異なった複数の細胞からなる生物
単細胞生物と多細胞生物単細胞生物 :1つの細胞が個体となる生物様々なを有する ( 例 ) 大腸菌 ( 図表 24-1A) 細菌類の細胞は 内部に複雑な構造はみられない ( 例 ) ゾウリムシ ( 図表 24-1A) ゾウリムシ ( 食物の消化 吸収 ) 食胞 ( ) 収縮胞細胞口 ( 生殖に関わる ) 小核 ( 食物の摂取 ) ( 生命活動に関わる ) 大核 ( 運動に関わる ) 繊毛 細胞肛門 ( 物質の排出 )
( 例 ) ミドリムシ ミドリムシ 眼点 ( ) 核小体核 ( 光合成 ) 葉緑体 鞭毛 ( 運動 ) 感光点 ( ) 収縮胞ミトコンドリア 細胞群体 : 単細胞生物が集まって 1つの集合体を作っているもの 多細胞生物との違いは オオヒゲマワリ ( ボルボックス ) ( 図表 25-3) クラミドモナス ( 単細胞 )
体細胞生殖細胞 ボルボックス 細胞群体 細胞質連絡 多細胞生物 : 様々な機能を有する異なった複数の細胞からなる生物 e.g. ヒドラ ヒドラ 細胞が互いに連絡し 分業している 消化細胞神経細胞腺細胞刺細胞 感覚細胞 筋細胞 ( 図表 24-1B) 様々な役割を持った細胞
ウイルスについて ( 図表 19-4) 我々の体に異常を引き起こす病原体として 様々なウイルス ( インフルエンザウイルス ノロウイルス エボラウイルスなど ) が知られている これらのウイルスは生物か? 一般的にウイルスは生物とは言えない その理由には以下の点が挙げられる 1 ウイルスは遺伝物質 (DNA または RNA) とタンパク質からできており 細胞をもたない 2 代謝が見られない 3 でないと増殖できない
細胞の構造にみられる共通性 細胞の構造細胞は核と細胞質からなる細胞質 ( の部分 ) 細胞小器官 ( 特定のはたらきをもつ構造体 ) 細胞質基質 ( 細胞質中の液体成分 ) に包まれる核 核膜には孔 ( 核孔 ) が多数存在 ( 図表 20-A) などの塩基性色素でよく染まる染色体が存在 1~ 数個の核小体が存在 染色体 : と呼ばれるタンパク質にDNA ( ) が巻きついてできている ( 図表 50-2) 核小体 : リボソーム ( タンパク質合成に関与する細胞小器官 ) の構築がおこなわれる場所 染色体の構造
原核生物と真核生物 ( 図表 22-1) 原核生物 :DNAを包む核膜を持たない細胞( ) からなる生物 染色体はまた ミトコンドリアなど他のも見られないがリボソームは存在する e.g. 真核生物 :DNAを包む核膜を持つ細胞( なる生物様々なをもつ ネンジュモ ユレモ 大腸菌透過型 大腸菌走査型 ) から ( 発展 ) 細胞分画法細胞 を抑えるため低温でホモジナイズ 器官をを ( 細胞を壊す ) 用いる遠心分離機 ( 遠心力によって沈殿させる ) 遠心分離機
大きさや密度によって細胞小器官を分離できる沈殿と上澄み液に分け 分離を続けると以下の順に分離することができる このような方法を細胞分画法という ( 図表 23-4B) 細胞膜の構造と働き ( 教 p42 発展 ) 細胞膜は外界との仕切りになっており リン脂質からできているリン酸 ( ) 脂肪酸 ( ) リン脂質は親水性の部分をに向けて 二重層を作るその間に様々なタンパク質がモザイク状に分布
タンパク質 これを流動モザイクモデルという ( 図表 44-1) 流動モザイクモデル 細胞質基質 ( サイトゾル ) ( 図表 21G) ゾル ( 流動性を持つ構造 ) ( 流動性を失った構造 ) 例 ) 温めて溶けたゼラチン ( ) を冷やすと ゼリー ( ) になる水 タンパク質 ( 酵素 ) アミノ酸 グルコース( 糖 ) などを含む基本的な化学反応の場であるまた 主に植物の細胞では 細胞質基質が一定方向に流動する様子が観察できる ( ) ( 図表 48-1A) 原形質流動
原形質流動のおこる仕組み 細胞質にはミクロフィラメントと呼ばれる 主にアクチンタンパク質からなる繊維が含まれている ( 図表 48-3) これらは細胞骨格 ( 教 p43 発展 ) を構成し 細胞のなどの役割を果たしている ゾル ゲル網目状構造 ( 細胞の保持 ) シャジクモの細胞原形質流動 液胞 拡大図 アクチンフィラメント上をミオシンとよばれるタンパク質が動く ( 図表 49-4B) 運ばれる果粒 モータータンパク : エネルギーを運動に変換するタンパク質のこと 細胞骨格 ( アクチン ) モータータンパク ( ミオシン ) 進化関連の最先端研究 筋タンパク質に見る進化
原形質流動は細胞内のに重要な役割を果たす ( ) アメーバ運動 ( 図表 48-1A,49-4A) アメーバ広義の原形質流動であるただし こちらは物質の輸送ではなく が 細胞のすることで 細胞の移動に利用される
( 図表 21F) 生命活動に必要なエネルギーを作り出す ( ) 細胞小 器官 酸素を用い エネルギーをとり出す ( ) 独自の環状 DNAをもち で染色される ( 酸素存在下では 還元型は ) また 分裂して に増殖することができる : ここでは細胞分裂とは独立してという意 ( 図表 138-2) : 内膜のひだ : グルコースを分解する ( クエン酸回路 ) : 分解したグルコースを利用してエネルギーを得る ( 電子伝達系 ) 細胞呼吸
C 6 H 12 O 6 + O 2 + H 2 O CO 2 + H 2 O + エネルギーグルコース有機物を酸化的に分解することでエネルギーを得る エンゲルマンの実験 ( 図表 21H) 光合成を行う細胞小器官 で包まれている独自のDNAを持ち ミトコンドリアと同様に分裂して半自律的に増殖することができる ( 一般的な光合成の反応式 ) 光エネルギー 二酸化炭素 + 水 6CO 2 12H 2 O 有機物 + 酸素 + 水 C 6 H 12 O 6 6O 2 6H 2 O 酸素はすることが を用いた実験から明らかになっている つまり 光合成とは水を分解し 二酸化炭素を有機物に変える反応である ( ルーベンの実験 ; 図表 149B) ルーベンの実験
( 葉緑体の構造 ) ( 図表 21H) : 二酸化炭素を利用し有機物を合成する場 : 光合成色素を含み 光エネルギーを吸収する : チラコイドが重なった部分 光合成 葉緑体 光合成色素 クロロフィル( 緑色 ) カロテノイド( 黄 ~ 橙色 ) フィコビリン( 紅色, 青色 ) ( 図表 147-3) 生物種によって有する光合成色素は異なる ペーパークロマトグラフィーや薄層クロマトグラフィー (TLC;Thin Layer Chromatography) によって色素を分離できる ( を利用 ) ( 図表 148) 光合成色素の分離
液胞 ( 図表 21L) で発達している糖 有機酸 無機塩類 アミノ酸 色素 ( アントシアンなど ) を含み 水分調節 物質の貯蔵に関与する ( 図表 21J) ( 主成分はペプチドグリカン ) と ( 主成分はセルロースやペクチン ) のみに存在し 細胞の形や強度を保つ リグニンが蓄積すると細胞は死に する e.g. ( 水や無機養分の通路 ) スベリンが蓄積すると細胞内に空気が蓄積し する e.g. 樹皮 ( 寒暖 乾燥から身を守る ) クチンが分泌されるとする e.g. 照葉樹の表皮 細胞壁 細菌の細胞壁細胞壁はに近い性質をもつ 抗生物質 ペニシリンの抗菌作用 : 溶質分子も溶媒分子も自由に通す性質
( 図表 20C) の構造で 物質の分別 濃縮 分泌に関与 ゴルジ体やで発達細胞内外ちぎれる酵素やホルゴルジ小胞モンを分泌 ( 図表 20D) 棒状の構造で 動物と一部の植物 ( 藻類 コケ シダ植物類 ) に見られるぼうすいたいべんもう細胞分裂のときの紡錘体 鞭毛 繊毛の形成に関与 中心体 繊毛 鞭毛 コケ精子 マウス精子 アミノ酸からタンパク質を合成する場原核細胞にも存在し 電子顕微鏡レベルでないと観察できない
( 図表 20B) の構造で タンパク質の修飾などをおこなうリボソームの付着したと付着していないがある タンパク質 リボソーム 小胞体とリボソーム タンパク質合成 動物細胞シミュレーター 植物細胞シミュレーター