<4D F736F F F696E74202D E372E D58FB097CF979D8CA48F4389EF814094B29088>

Similar documents
日本臨床倫理学会 日本版 POLST(DNAR 指示を含む ) 作成指針 POLST(Physician Orders for Life Sustaining Treatment) 生命を脅かす疾患 に直面している患者の 医療処置 ( 蘇生処置を含む ) に関する医師による指示書 これは日本臨床倫理

日本臨床倫理学会 Ⅱ POLST(DNAR 指示を含む ) 作成に関するガイダンス 生命を脅かす疾患 に直面している患者の 医療処置 ( 蘇生処置を含む ) に関する医師による指示 現在, 広く DNAR 指示 (Do Not Attempt Resuscitation Order) という言葉が用

蘇生をしない指示(DNR)に関する指針

3) 適切な薬物療法ができる 4) 支持的関係を確立し 個人精神療法を適切に用い 集団精神療法を学ぶ 5) 心理社会的療法 精神科リハビリテーションを行い 早期に地域に復帰させる方法を学ぶ 10. 気分障害 : 2) 病歴を聴取し 精神症状を把握し 病型の把握 診断 鑑別診断ができる 3) 人格特徴

2. 延命措置への対応 1) 終末期と判断した後の対応医療チームは患者および患者の意思を良く理解している家族や関係者 ( 以下 家族らという ) に対して 患者が上記 1)~4) に該当する状態で病状が絶対的に予後不良であり 治療を続けても救命の見込みが全くなく これ以上の措置は患者にとって最善の治

【1

看護師のクリニカルラダー ニ ズをとらえる力 ケアする力 協働する力 意思決定を支える力 レベル Ⅰ 定義 : 基本的な看護手順に従い必要に応じ助言を得て看護を実践する 到達目標 ; 助言を得てケアの受け手や状況 ( 場 ) のニーズをとらえる 行動目標 情報収集 1 助言を受けながら情報収集の基本

<4D F736F F F696E74202D2082A082ED82E E9197BF205B8CDD8AB B83685D>

短 報 Frequencies and intensities of clinical nurses experiences of ethical problems: a questionnaire survey Kazumi OGAWA Seitaro TERAOKA Yoko T

する 研究実施施設の環境 ( プライバシーの保護状態 ) について記載する < 実施方法 > どのような手順で研究を実施するのかを具体的に記載する アンケート等を用いる場合は 事前にそれらに要する時間を測定し 調査による患者への負担の度合いがわかるように記載する 調査手順で担当が複数名いる場合には

Microsoft Word - 03:【最終版】ガイドライン解説編

Microsoft Word - 02:【最終版】ガイドライン

手順書03

000-はじめに.indd

Microsoft PowerPoint - 資料4_救急(ガイドライン)

ヘルシンキ宣言

賀茂精神医療センターにおける精神科臨床研修プログラム 1. 研修の理念当院の理念である 共に生きる 社会の実現を目指す に則り 本来あるべき精神医療とは何かを 共に考えて実践していくことを最大の目標とする 将来いずれの診療科に進むことになっても リエゾン精神医学が普及した今日においては 精神疾患 症

WMA医の倫理マニュアル(原著第3版)

「手術看護を知り術前・術後の看護につなげる」

Microsoft Word 年度シニア 呼吸器内科 2014.docx

総合診療

薬学生に対する実践型倫理教育の有効性の検証 Inspection of the validity of the practice type education of ethics to cy student

12_モニタリングの実施に関する手順書 

料 情報の提供に関する記録 を作成する方法 ( 作成する時期 記録の媒体 作成する研究者等の氏名 別に作成する書類による代用の有無等 ) 及び保管する方法 ( 場所 第 12 の1⑴の解説 5に規定する提供元の機関における義務 8 個人情報等の取扱い ( 匿名化する場合にはその方法等を含む ) 9

認知症医療従事者等向け研修事業要領

平成 28 年 10 月 17 日 平成 28 年度の認定看護師教育基準カリキュラムから排尿自立指導料の所定の研修として認めら れることとなりました 平成 28 年度研修生から 排泄自立指導料 算定要件 施設基準を満たすことができます 下部尿路機能障害を有する患者に対して 病棟でのケアや多職種チーム

wslist01

Microsoft PowerPoint - å½fi报説柔ㅂㅯㅼㅚ㇤ㅳㅋ.pptx

Microsoft Word - 退院後生活環境相談員

Microsoft Word - 体裁修正 【登録後修正版】説明資料(案)

H28_クリニカルラダー研修

<4D F736F F D E528E7396AF CF979D88CF88F589EF89EF8B63985E F985E816A2E646F63>

3. 本事業の詳細 3.1. 運営形態手術 治療に関する情報の登録は, 本事業に参加する施設の診療科でおこなわれます. 登録されたデータは一般社団法人 National Clinical Database ( 以下,NCD) 図 1 参照 がとりまとめます.NCD は下記の学会 専門医制度と連携して

MC-80 人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン 1 人生の最終段階における医療及びケアの在り方 1 医師等の医療従事者から適切な情報の提供と説明がなされ それに基づいて患者が多専門職種の医療 介護従事者から構成される医療 ケアチームと十分な話し合いを行い 患者本人による意思

SBOs- 3: がん診断期の患者の心身の特徴について述べることができる SBOs- 4: がん治療期 ; 化学療法を受けている患者の心身の特徴について述べることができる SBOs- 5: がん治療期 ; 放射線療法を受けている患者の心身の特徴について述べることができる SBOs- 6: がん治療期

理念と使命

課題名

<4D F736F F D F9D95618ED282CC94C EF393FC82EA8EC08E7B8AEE8F C9F93A289EF95F18D908F B A97768E862E646F6378>

同意説明文書(見本)

臨床試験の実施計画書作成の手引き

16_27

PowerPoint プレゼンテーション

11総法不審第120号

1. はじめに ステージティーエスワンこの文書は Stage Ⅲ 治癒切除胃癌症例における TS-1 術後補助化学療法の予後 予測因子および副作用発現の危険因子についての探索的研究 (JACCRO GC-07AR) という臨床研究について説明したものです この文書と私の説明のな かで わかりにくいと

臨床研究に関する研修会1

薬剤師のための災害対策マニュアル

(目的)

介護における尊厳の保持 自立支援 9 時間 介護職が 利用者の尊厳のある暮らしを支える専門職であることを自覚し 自立支援 介 護予防という介護 福祉サービスを提供するにあたっての基本的視点及びやってはいけ ない行動例を理解している 1 人権と尊厳を支える介護 人権と尊厳の保持 ICF QOL ノーマ

サマリー記載について

)各 職場復帰前 受入方針の検討 () 主治医等による 職場復帰可能 との判断 主治医又はにより 職員の職場復帰が可能となる時期が近いとの判断がなされる ( 職員本人に職場復帰医師があることが前提 ) 職員は健康管理に対して 主治医からの診断書を提出する 健康管理は 職員の職場復帰の時期 勤務内容

Microsoft PowerPoint - パス学会.pptx

は関連する学会 専門医制度と連携しており, 今後さらに拡大していきます. 日本外科学会 ( 外科専門医 ) 日本消化器外科学会 ( 消化器外科専門医 ) 消化器外科領域については, 以下の学会が 消化器外科データベース関連学会協議会 を組織して,NCD と連携する : 日本消化器外科学会, 日本肝胆

2013 年度 統合実習 [ 表紙 2] 提出記録用紙 5 実習計画表 6 問題リスト 7 看護過程展開用紙 8 ( アセスメント用紙 1) 9 ( アセスメント用紙 2) 学生証番号 : KF 学生氏名 : 実習期間 : 月 日 ~ 月 日 実習施設名 : 担当教員名 : 指導者名 : 看護学科

資料4 学士課程においてコアとなる看護実践能力と卒業時到達目標

患者学講座第1講「医療と社会」

第 4 章治験責任医師の業務 目次 1. 目的と適用範囲 1 2. 治験責任医師の要件 1 3. 治験実施計画書の遵守に関する合意 1 4. 同意説明文書の作成 1 5. 治験分担医師及び治験協力者のリストの作成 2 6. 治験の実施依頼 ( 新規 変更 継続 ) 3 7. 治験の実施等の了承 3

医科診療報酬点数表関係 別添 1 在宅患者支援療養病床初期加算 在宅患者支援病床初期加算 問 1 療養病棟入院基本料の注 6の在宅患者支援療養病床初期加算及び地域包括ケア病棟入院料の注 5の在宅患者支援病床初期加算の算定要件に 人生の最終段階における医療 ケアの決定プロセスに関するガイドライン 等の

岩手医科大学医学部及び附属病院における人を対象とする医学系研究に係るモニタリング及び監査の実施に関する標準業務手順書 岩手医科大学医学部及び附属病院における 人を対象とする医学系研究に係る モニタリング及び監査の実施に関する標準業務手順書 岩手医科大学 第 1.0 版平成 29 年 10 月 1 日

体外受精についての同意書 ( 保管用 ) 卵管性 男性 免疫性 原因不明不妊のため 体外受精を施行します 体外受精の具体的な治療法については マニュアルをご参照ください 当施設での体外受精の妊娠率については別刷りの表をご参照ください 1) 現時点では体外受精により出生した児とそれ以外の児との先天異常

移植治療による効果と危険性について説明し 書面にて移植の同意を得なければならない 意識のない患者においては代諾者の同意を得るものとする 6 レシピエントが未成年者の場合には 親権者からインフォームド コンセントを得る ただし 可能なかぎり未成年者のレシピエント本人にも分かりやすい説明を行い 可能であ

序文 特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会 ( 以下 協議会 という ) は キャリアコンサルタントの養成等に関わる団体を会員とし キャリアコンサルティング技能検定の実施 キャリアコンサルタントの能力の維持 向上 キャリアコンサルティングの普及啓発等の事業に取り組んでいます この度 勤労

私のリビングウィル 自分らしい最期を迎えるために あなたが病気や事故で意思表示できなくなっても最期まであなたの意思を尊重した治療を行います リビングウィル とは? リビングウィルとは 生前に発効される遺書 のことです 通常の遺書は 亡くなった後に発効されますが リビングウィルは 生きていても意思表示

Microsoft Word - <原文>.doc

Slide 1

PowerPoint プレゼンテーション

表紙@C

資料1_事業実施計画書

<4D F736F F D2093FA967B88DA90418A7789EF97CF979D8E77906A89FC92E894C E398C8E313093FA8ED088F5918D89EF8FB E646F63>

研究課題名 臨床研究実施計画書 研究責任者 : 独立行政法人地域医療推進機構群馬中央病院 群馬県前橋市紅雲町 1 丁目 7 番 13 号 Tel: ( 内線 )Fax: 臨床研究期間 : 年月 ~ 年月 作成日 : 年月日 ( 第 版

9 中止基準 ( 研究対象者の中止 研究全体の中止について ) 10 研究対象者への研究実施後の医療提供に関する対応 通常の診療を超える医療行為 を伴う研究を実施した場合 研究実施後において 研究対象者が研究の結果より得られた利用可能な最善の予防 診断及び治療が受けられるように努めること 11 研究


資料 2 救急 集中治療の終末期対応 ~3 学会合同ガイドライン作成の経緯を含めて ~ 日本医科大学大学院医学研究科救急医学分野 ( 同附属病院高度救命救急センター ) 横田裕行 経済 財政一体改革推進委員会第 15 回社会保障 WG( )

統合失調症患者の状態と退院可能性 (2) 自傷他害奇妙な姿勢 0% 20% 40% 60% 80% 100% ないない 0% 20% 40% 60% 80% 100% 尐ない 中程度 高い 時々 毎日 症状なし 幻覚 0% 20% 40% 60% 80% 100% 症状

医療介護分野における現状の個人情報保護法制下の課題 > 保護は追求されているが 活用しないことに対する対策はほとんどされていない > 個人情報保護法は情報取得主体によって異なるルールで運用されている > 情報保護だけではなく 不正利用に関して実効性のある悪用防止の手立てが必要 > 個人情報の定義が曖

平成 30 年 ( 受 ) 第 269 号損害賠償請求事件 平成 31 年 3 月 12 日第三小法廷判決 主 文 原判決中, 上告人敗訴部分を破棄する 前項の部分につき, 被上告人らの控訴を棄却する 控訴費用及び上告費用は被上告人らの負担とする 理 由 上告代理人成田茂ほかの上告受理申立て理由第

琉球大学医学部附属病院 総括 機能種別 主たる機能種別 一般病院 2 を適用して審査を実施した 認定の種別 書面審査および 4 月 23 日 ~24 日に実施した訪問審査の結果 以下のとおりとなりました 機能種別 : 一般病院 2 改善要望事項 認定 機能種別 一般病院 2 該当項目はありません 1

医療事故防止対策に関するワーキング・グループにおいて、下記の点につき協議検討する

国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院医療に係る安全管理のための指針 第 1 趣旨本指針は 医療法第 6 条の10の規定に基づく医療法施行規則第 1 条の11 の規定を踏まえ 国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院 ( 以下 センター病院 という ) における医療事故防止について組織的に

事例

1 がんに対する印象 認識について (1) がんに対する印象 問 1 あなたは, がんについてどのような印象を持っていますか この中から 1 つだけお答えください こわいと思わない( 小計 ) 22.4% 24.6% こわいと思わない 12.1% 13.6% どちらかといえばこわいと思わない 10.

Microsoft Word - 4㕕H30 �践蕖㕕管璃蕖㕕㇫ㅪ�ㅥㅩㅀ.docx

Ⅰ バイタルリンク 利用申込書 ( 様式 1-1)( 様式 ) の手続 バイタルリンク を利用する者 ( 以下 システム利用者 という ) は 小松島市医師会長宛に あらかじ め次の手順による手続きが必要になります 新規登録手続の手順 1 <システム利用者 ( 医療 介護事業者 )>

Microsoft Word _ソリリス点滴静注300mg 同意説明文書 aHUS-ICF-1712.docx

<4D F736F F D20819B8CA48B868C7689E68F D A8CA9967B5F E646F63>

富山西総合病院 医療安全管理指針

Microsoft Word - ① 鏡.docx

ファーストケアチーム 事業実施マニュアル 阿南市保健福祉部福祉事務所 介護 ながいき課 平成 28 年 6 月作成

身体拘束廃止に関する指針 社会福祉法人掛川社会福祉事業会 平成 30 年 5 月 23 日改定

平成19年度 病院立入検査結果について

<4D F736F F D2088E397C3835C815B B838F815B834A815B8BC696B18E77906A>

Microsoft PowerPoint - 参考資料

<4D F736F F F696E74202D E81798E9197BF33817A8FAC8E998B7E8B7D88E397C391CC90A782CC8CBB8FF32E >

<4D F736F F F696E74202D E598BC695DB8C928A8893AE82C682CD>

8. 内部監査部門を設置し 当社グループのコンプライアンスの状況 業務の適正性に関する内部監査を実施する 内部監査部門はその結果を 適宜 監査等委員会及び代表取締役社長に報告するものとする 9. 当社グループの財務報告の適正性の確保に向けた内部統制体制を整備 構築する 10. 取締役及び執行役員は

9(1) 介護の基本的な考え方 9() 介護に関するこころのしくみの基礎的理解 9() 介護に関するからだのしくみの基礎的理解 9(4) 生活と家事 5 9(5) 快適な居住環境整備と介護 9(6) 整容に関連したこころとからだのしくみと自立に向けた介護 4 4 理論と法的根拠に基づき介護を行うこと

001

1 介護 福祉施設で主に取り扱う対象者の病名や障害を含む身体状況 家族構成 資産状況 ( 銀行預金残高を含む ) 緊急連絡先等 の個人情報 一般論として 対象者の病名や障害を含む身体状況は 医師により診断された病名や障害であると考えられるため 改正個人情報保護法第 2 条第 3 項に定 める 病歴

がんの診療の流れ この図は がんの 受診 から 経過観察 への流れです 大まかでも 流れがみえると心にゆとりが生まれます ゆとりは 医師とのコミュニケーションを後押ししてくれるでしょう あなたらしく過ごすためにお役立てください がんの疑い 体調がおかしいな と思ったまま 放っておかないでください な

一般会計負担の考え方

豊川市民病院 バースセンターのご案内 バースセンターとは 豊川市民病院にあるバースセンターとは 医療設備のある病院内でのお産と 助産所のような自然なお産という 両方の良さを兼ね備えたお産のシステムです 部屋は バストイレ付きの畳敷きの部屋で 産後はご家族で過ごすことができます 正常経過の妊婦さんを対

Transcription:

地域医療支援臨床倫理研修会 2018 年 7 月 21 日 2 患者個別の臨床倫理的問題への対処方法 当院での臨床倫理コンサルテーション活動の紹介 臨床倫理 合意形成支援センター 金田浩由紀 臨床倫理とは? 3 臨床倫理とは? 4 臨床倫理 意思決定のプロセスと合意形成のあり方にまつわる問題を考える 治療やケアの選択 意思決定の問題が中心 価値の選択により 治療 ケアの選択を行うこと 臨床倫理 意思決定のプロセスと合意形成のあり方にまつわる問題を考える 治療やケアの選択 意思決定の問題が中心 生命倫理 生命に関する問題に対して規則根拠は何かについて考える 安楽死 尊厳死 臓器移植 生殖医療 再生医療 医療事故 薬害といった医療安全をめぐる問題 遺伝情報に関わる問題 ロボティクスをめぐる問題 環境 平和をめぐる問題 等研究倫理 臨床研究にまつわる生命倫理的問題を考える ヘルシンキ宣言が引用される 最近では 研究活動の公正さについても含む職業倫理 職業に対しての社会的役割を果たすための心がけ 医の倫理綱領 看護者の倫理綱領 ヒポクラテスの誓い ナイチンゲール誓詞が引用される 1

5 意思決定のモデル 6 モデル 医師の役割 患者の役割 情報の流れ パターナリスティック Paternalistic 自律的 Autonomous 命令的 受容的 受動的 命令的 一方向 ( 医師 患者 ) 一方向 ( 患者 医師 ) 共有意思決定 Shared decision making 協働的意思決定 Collaborative decision making 情報供給的 支援的 情報供給的 積極的 双方向知識の相互交換 双方向創造知識の共有 人生の最終段階における医療 ケアの決定プロセスに関するガイドライン 意思決定に必要な要素 7 8 意思決定 医療者 患者 専門的知識 / 経験 論理的思考 社会的公平性 社会的環境 ( 家庭環境, 生活環境など ) アイデンティティ ( 価値観, 死生観など ) 2

当院での臨床倫理の組織 9 臨床倫理コンサルテーションの形式 10 臨床倫理 合意形成支援センター 臨床倫理コンサルテーションチーム 個別的な臨床上の問題に対応 臨床倫理委員会 院内の方針を定める 長所 委員会形式 多角性 (10 人以上 ) 公式的 チーム形式 機動性が比較的 (4~5 人くらい ) 高い 短所 機動性が低い批判的 常時人材が要る 個人 機動性 多角性が低い 組織の立ち上げに参考にした書籍 11 コンサルテーションチームの活動 12 病院倫理委員会と倫理コンサルテーション D. ミカ 前田正一 児玉聡勁草書房 2009 年 [ 活動要領 ] 医療従事者 患者 家族 代理意思決定者 その他の関係者から 臨床の様々な場面の診療やケアにおいて生じる個別的な倫理的諸問題に関して依頼を受け これに応じて臨床倫理コンサルタントが助言助言及び支援支援するものとする [ 実際の活動内容 ] 倫理的問題の整理や分析を行い 解決策の提案を行う 病棟などでカンファレンスを開催 / 参加し 倫理的問題の整理や分析の手助けを行う 意思形成の支援を行う [Motto] できるだけ早く対応すること 依頼がしやすいこと できるだけ実効性のある助言や支援を行うこと 3

どの様な依頼を受けているか? 13 臨床倫理的問題の検討の方法 14 患者 ( 家族 ) が有益な治療を拒否 患者 ( 家族 ) が適応のない治療を要求 守秘義務 / 個人情報保護の問題 患者の意思決定能力が不明 患者の意思決定能力が不十分 意思決定能力のない患者に身寄りがない 患者と家族の意見不一致 患者 ( 家族 ) が治療の中止を希望 患者 ( 家族 ) が治療の差し控えを希望 家族が本人への病名告知を望まない 患者 ( 家族 ) が意思決定をしない 応召義務に抵触する可能性 [ 情報整理 ] [ 分析 ] [ 検討 ] [ 対応 ] 4 分割表 4 分割表医学的無益性 判断能力 医療倫理 4 原則 など対立軸の調整 解消比較考量 推奨内容 支援方法の決定 医学的無益性 15 判断能力と代理判断 16 生物学的無益望まれる生理学的反応が得られない完全な不可逆性 確率的無益介入が成功しない可能性が高い量的な無益 質的無益価値のある結果が得られない価値には意見が分かれる 判断能力の構成要素 1. 病状理解 2. 認識 3. 論理的思考 4. 意向の表明 判断能力がない場合 1. 本人の事前の意向 2. 代理判断 ( 代理判断者は 本人の意向を推定可能な者 ) 3. 考えられる患者の最善 4

判断能力の評価の注意点 17 医療倫理 4 原則 18 意思決定能力が明確に ない と判断されるまで ある と見なして対応する 認知機能と判断能力は必ずしも相関しない ( 医療において その他よりも優先される価値 ) 自律尊重原則患者の自律的な意思決定を尊重せよ 全般的な判断能力を評価するのではなく 特定の医療行為に関して評価を行う 無危害原則患者に危害を及ぼすことを避けよ 一度の評価は永久的なものではない 必要あれば 何度も評価を行う 善行原則患者に利益をもたらせ インフォームド コンセントは無理でも インフォームド アセントを得るように努力する 公正 正義原則利益とリスク 費用を公平に配分せよ 4 分割表 医学的適応 QOL 患者の意向 周囲の状況 医学的適応 [ 疾患について ] 病歴と診断名 急性 / 慢性 重症度 可逆性 治療の有無による予後 [ 医学的介入について ] 目的 効果とその確率 リスクとその確率 他の選択肢 奏功しない場合の計画医学的無益性の判断 患者の意向 判断能力 治療への協力姿勢 インフォームド コンセント ( 知っている情報 理解度 ) 判断能力の判断 QOL 社会復帰の見込み 治療に伴う障害は何か 周囲の状況 家族の意向 守秘義務 公共の利益 5

21 依頼 電子カルテ 電子メール PHS 22 情報 4 分割表 分析 4 分割表 検討 倫理原則 対立軸の調整 解消 助言 電子カルテに記載 PHS 病棟カンファレンスの開催 振り返り 臨床倫理コンサルテーション報告書 匿名化を行い 臨床倫理委員会への報告 議事録を事務で保管 23 医師国家試験問題 24 第 110 回 B-42 34 歳の男性 統合失調症で入院中統合失調症で入院中である である 3 年前に統合失調症と診断され 父親の同意によって医療保護入院となった 精神症状は難治であるが 本人には統合失調症についての病識がなく精神科治療を受ける考えもないため 医療保護入院が続いている 2 週前に肺癌で手術が必要肺癌で手術が必要と診断された 本人に伝えると 手術しないといけないのはわかるが手術は怖い このまま癌で死んでもかまわない と手術を拒否手術を拒否した 一方 父親は手術を希望した 現時点での対応として適切なのはどれか a 抗精神病薬を増量する b 本人の意向を無視して手術を行う c 手術をあきらめるように父親を説得する d 患者の同意を得るための努力をさらに続ける e 地域の精神保健福祉センターに判断を求める 6

医師国家試験問題 25 リスボン宣言 26 第 110 回 C-19 55 歳の女性 飛び降りによる腹部外傷のため救急車で搬入腹部外傷のため救急車で搬入された 1 か月前に胃癌と診断胃癌と診断され ここ数日は絶望してされ ここ数日は絶望して気持ちが不安定になっていた 今朝 自宅マンションの階から飛び降りて受傷した 大量の腹腔内出血があり救命のためには速やかな開腹止血術が必要である ショック状態で患者の意識はなく 意思の表示はできない 患者本人は以前から癌に対する手術治療を拒否以前から癌に対する手術治療を拒否していたが 救急車で付き添って来た夫は開腹止血術や救命治療を希望している リスボン宣言に基づく対応はどれか a 速やかに開腹止血術を行う b 開腹止血術以外の方法で経過をみる c 院内倫理委員会を開催するよう要請する d 本人と配偶者との意見が異なるため 他の家族の意見を待つ e 多職種カンファレンスで方針を決定するまで治療を行わない リスボン宣言は医療従事者が是認し 推進すべき患者の権利 1981 年 ポルトガル リスボンで開催された世界医師会世界医師会総会で採択されたもの 1995 年 インドネシア バリにおける同総会にて改訂 1. 良質の医療行為を受ける権利 2. 選択の自由の権利 3. 自己決定の権利 4. 意識喪失患者の代理人の権利 5. 法的無能力者の代理人の権利 6. 患者の意思に反する行為 7. 情報に関する権利 8. 秘密保持に関する権利 9. 保険教育を受ける権利 10. 尊厳の権利 11. 宗教的支援を受ける権利 7