Microsoft PowerPoint - 3. 資料2 がんゲノム情報管理センターの進捗状況

Similar documents
次世代シークエンサーを用いたがんクリニカルシークエンス解析

2. PleSSision( プレシジョン ) 検査の内容について 網羅的ながん遺伝子解析とは? 月 木新患外来診療中 現在 がん は発症臓器 ( たとえば肺 肝臓など ) 及び組織型( たとえば腺がん 扁平上皮がんなど ) に基づいて分類され 治療法の選択が行われています しかし 近年の研究により

GWB

研究報告書レイアウト例(当該年度が最終年度ではない研究班の場合)

NGSデータ解析入門Webセミナー

1. 研究の名称 : 芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍の分子病理学的研究 2. 研究組織 : 研究責任者 : 埼玉医科大学総合医療センター病理部 准教授 百瀬修二 研究実施者 : 埼玉医科大学総合医療センター病理部 教授 田丸淳一 埼玉医科大学総合医療センター血液内科 助教 田中佑加 基盤施設研究責任者

GWB

Microsoft PowerPoint - 4. 資料3 がんゲノム医療中核拠点病院等連絡会議からの報告

1

資料2 ゲノム医療をめぐる現状と課題(確定版)

する 研究実施施設の環境 ( プライバシーの保護状態 ) について記載する < 実施方法 > どのような手順で研究を実施するのかを具体的に記載する アンケート等を用いる場合は 事前にそれらに要する時間を測定し 調査による患者への負担の度合いがわかるように記載する 調査手順で担当が複数名いる場合には

PowerPoint プレゼンテーション

Microsoft PowerPoint - Ion Reporter?ソフトウェアを用いた変異解析4.6.pptx

nagasaki_GMT2015_key09

一次サンプル採取マニュアル PM 共通 0001 Department of Clinical Laboratory, Kyoto University Hospital その他の検体検査 >> 8C. 遺伝子関連検査受託終了項目 23th May EGFR 遺伝子変異検

医師主導治験取扱要覧

サマリー記載について

質の高い病理診断のために 病理技術 診断基準の標準化を 目指した精度評価を実現します

<4D F736F F D20819B8CA48B868C7689E68F D A8CA9967B5F E646F63>

計画研究 年度 定量的一塩基多型解析技術の開発と医療への応用 田平 知子 1) 久木田 洋児 2) 堀内 孝彦 3) 1) 九州大学生体防御医学研究所 林 健志 1) 2) 大阪府立成人病センター研究所 研究の目的と進め方 3) 九州大学病院 研究期間の成果 ポストシークエンシン

本日の内容 1. 本邦におけるコンパニオン診断システムの規制 2. NGSを用いたコンパニオン診断システム 1 規制上の取扱い 2 評価の考え方と検討課題 3. NGSを用いた遺伝子検査システムに関連した課題 2

さっと読める がんクリニカルシーケンス問合わせ窓口担当者(非医療職)向けテキスト(京都大学医学部附属病院版)

本日の講演内容 1. PMDA コンパニオン診断薬 WG 2. 本邦におけるコンパニオン診断薬の規制 3. 遺伝子パネルを用いた NGS コンパニオン診断システム 1 2 規制上の取扱い 評価の考え方 2

再生医療の制度的な対応の検討について 薬事法等制度改正についてのとりまとめ平成 24 年 1 月 24 日厚生科学審議会医薬品制度改正部会 1 再生医療製品については 今後も 臓器機能の再生等を通じて 重篤で生命を脅かす疾患等の治療等に ますます重要な役割を果たすことが期待される 特に ips 細胞

<4D F736F F F696E74202D A834C A AA89C889EF C835B B E B8CDD8AB B83685D>

第 2 回中部放射線医療技術学術大会 RIS 導入時の時の病院側作業に関して 2009 年 11 月 横河電機株式会社 医療ソリューション本部 1 横河電機株式会社医療ソリューション本部 2006Yokogawa Electric Corporation

スキル領域 職種 : ソフトウェアデベロップメント スキル領域と SWD 経済産業省, 独立行政法人情報処理推進機構


<4D F736F F D A835E838A F8B7982D18AC48DB85F20534F A68CEB8E9A E9A8F4390B38DCF2

【押印あり】日本医学会宛

公募情報 平成 28 年度日本医療研究開発機構 (AMED) 成育疾患克服等総合研究事業 ( 平成 28 年度 ) 公募について 平成 27 年 12 月 1 日 信濃町地区研究者各位 信濃町キャンパス学術研究支援課 公募情報 平成 28 年度日本医療研究開発機構 (AMED) 成育疾患克服等総合研

1. はじめに特定非営利活動法人日本医療ネットワーク協会 ( 以下 JMNA と記す ) では 国立研究開発法人日本医療研究開発機構より 平成 27 年度臨床研究等 ICT 基盤構築研究事業 全国共同利用型国際標準化健康 医療情報の収集及び利活用に関する研究 を受託しました 本研究を遂行するにあたり

成果 本研究の解析で着目したのは 25 の遺伝性疾患とそれらの 57 の原因遺伝子で これらは ACMG が推奨する 偶発的 二次的所見としての遺伝情報の結果の返却を推奨する遺伝子のセットのうち常染色体上のものに相当し 大部分が遺伝性腫瘍や遺伝性循環器疾患の原因遺伝子です 本研究では 当機構で作成し

埼玉医科大学倫理委員会

Using VectorCAST/C++ with Test Driven Development

再発小児 B 前駆細胞性急性リンパ性白血病におけるキメラ遺伝子の探索 ( この研究は 小児白血病リンパ腫研究グループ (JPLSG)ALL-B12 治療研究の付随研究として行われます ) 研究機関名及び研究責任者氏名 この研究が行われる研究機関と研究責任者は次に示す通りです 研究代表者眞田昌国立病院

本事業の意義 実効性 ( 見直しの必要性 ) 医療情報データベース基盤整備事業 ( 平成 23 年度 ~ 10 協力医療機関 ) 日本再興戦略 ( 平成 25 年 6 月 14 日 ) 医療 介護情報の電子化の促進 医薬品の副作用データベースシステムについて データ収集の拠点となる病院の拡充や地域連

Microsoft Word _アンケート集計書HP版 .docx

記 1. 適用対象本通知は 製造販売業者等が GPSP 省令第 2 条第 3 項に規定する DB 事業者が提供する同条第 2 項に規定する医療情報データベースを用いて同条第 1 項第 2 号に規定する製造販売後データベース調査を実施し 医薬品の再審査等の申請資料を作成する場合に適用する GPSP 省

我々のビッグデータ処理の新しい産業応用 広告やゲーム レコメンだけではない 個別化医療 ( ライフサイエンス ): 精神神経系疾患 ( うつ病 総合失調症 ) の網羅的ゲノム診断法の開発 全人類のゲノム解析と個別化医療実現を目標 ゲノム育種 ( グリーンサイエンス ): ブルーベリー オオムギ イネ

統合失調症発症に強い影響を及ぼす遺伝子変異を,神経発達関連遺伝子のNDE1内に同定した

疫学研究の病院HPによる情報公開 様式の作成について

かけはし_049.indd

H27_大和証券_研究業績_C本文_p indd

スライド 1

GWB

<4D F736F F D DC58F49817A81698EC08E7B95FB906A816A816988C482C882B5816A836F B838B2E646F63>

Microsoft PowerPoint - 4_河邊先生_改.ppt

次 Ⅰ. 総論 2 Ⅱ. 重点分野 3 Ⅲ. 人材育成 確保 6 Ⅳ. 情報管理 8 Ⅴ. その他 9 1

研究から医療へ より医療への実利用が近いもの ゲノム医療研究推進ワーキンググループ報告書 (AMED) 臨床ゲノム情報統合データベース公募 対象疾患の考え方の方向性 第 1 グループ ( 主に を目指す ) 医療への実利用が近い疾患 領域の着実な推進 単一遺伝子疾患 希少疾患 難病 ( 生殖細胞系列

平成27年度事業計画書

リード・ゲノム・アノテーションインポート

Microsoft PowerPoint - SNGS_Ana講習会5月29日.pptx

の連携による明確な出口戦略を持って NCを含む臨床研究中核病院などの 拠点 及びそのネットワークが中心となり 拠点外シーズ 拠点外施設も含め all Japan 体制で効率的に研究開発が進められる環境作り ( 1~3) を目指す 1 このような環境が整うことのメリットとしては 我が国における医薬品等

<4D F736F F D E598BC68BA CD89EF8B638E9197BF2E646F6378>

ゲノム解析を取り巻く現状等 (1) 1 人分の全ゲノム解析に要する時間及び費用 時間費用 2003 年 * 13 年間 30 億ドル 2007 年 * 2か月 100 万ドル 2014 年 # 1 週間約 15 万円 出典 )* 水島 - 菅野純子 菅野純夫 次世代シークエンサーの医療への応用と課題

PowerPoint プレゼンテーション

<4D F736F F F696E74202D E48FE A92C789C192CA926D82C982C282A282C45F696E6F75652E >

「組換えDNA技術応用食品及び添加物の安全性審査の手続」の一部改正について

内容 1. はじめに 大規模治験ネットワーク登録医療機関への支援内容 治験実施医療機関情報の登録と公開 登録の条件 事前確認 大規模治験ネットワーク への登録方法 登録の手順 登録でき

Contents

資料 3 1 医療上の必要性に係る基準 への該当性に関する専門作業班 (WG) の評価 < 代謝 その他 WG> 目次 <その他分野 ( 消化器官用薬 解毒剤 その他 )> 小児分野 医療上の必要性の基準に該当すると考えられた品目 との関係本邦における適応外薬ミコフェノール酸モフェチル ( 要望番号

料 情報の提供に関する記録 を作成する方法 ( 作成する時期 記録の媒体 作成する研究者等の氏名 別に作成する書類による代用の有無等 ) 及び保管する方法 ( 場所 第 12 の1⑴の解説 5に規定する提供元の機関における義務 8 個人情報等の取扱い ( 匿名化する場合にはその方法等を含む ) 9

PowerPoint プレゼンテーション

大学院博士課程共通科目ベーシックプログラム

東京医科歯科大学医歯学研究支援センター illumina Genome Analyzer IIx 利用基準 平成 23 年 10 月 1 日医歯学研究支援センター長制定 ( 趣旨 ) 第 1 条次世代型シークエンサーはヒトを含むあらゆる生物種の全ゲノム配列の決定 全エキソンの変異解析 トランスクリプ

アノテーション・フィルタリング用パイプラインとクリニカルレポートの作成

ネットワンシステムズ会社概要 従業員 2,3 0 名 売上 1,6 1 億円 事業拠点国内 17 拠点 グループ会社国内 2 海外 2 NetOneSystemsUSA,Inc. NetOneSystemsSingaporePte.Ltd. トップベンダーと強固なリレーションによる先進技術の利活 推

図 12 HACCP の導入状況 ( 販売金額規模別 ) < 食品販売金額規模別 > 5,000 万円未満 ,000 万円 ~1 億円未満 億円 ~3 億円未満

日本の製薬業界はすごい! 国際市場における創薬シェア 主要医薬品 約100品目 の創出国 アジア唯一の新薬開発国 2016年:世界3位 医薬産業政策研究所 政策研ニュースNo 年3月 国内における主要製造業の 納税者額の推移 高水準の納税額 国内2位 を安定に維持 2

「組換えDNA技術応用食品及び添加物の安全性審査の手続」の一部改正について

IT活用力セミナーカリキュラムモデル訓練分野別コース一覧・コース体系

提言171121

Microsoft Word - 【広報課確認】 _プレス原稿(最終版)_東大医科研 河岡先生_miClear

ノム解析が実施された場合に偶発的 二次的所見としての遺伝情報を知ることが患者にとって有意義としている遺伝性疾患の原因遺伝子です 具体的には 現在示されている 26 疾患 (59 遺伝子 ) のうちから 常染色体上に存在する 57 遺伝子 (25 疾患 ) を本研究の解析対象としました 2KJPN の

H26_大和証券_研究業績_C本文_p indd


PowerPoint プレゼンテーション

日経ビジネス Center 2

れており 世界的にも重要課題とされています それらの中で 非常に高い完全長 cdna のカバー率を誇るマウスエンサイクロペディア計画は極めて重要です ゲノム科学総合研究センター (GSC) 遺伝子構造 機能研究グループでは これまでマウス完全長 cdna100 万クローン以上の末端塩基配列データを

ごあいさつ バイオシミラーの課題 バイオ医薬品は 20 世紀後半に開発されて以来 癌や血液疾患 自己免疫疾患等多くの難治性疾患に卓抜した治療効果を示し また一般にベネフィット リスク評価が高いと言われています しかしその一方で しばしば高額となる薬剤費用が 患者の経済的負担や社会保障費の増大に繋がる

Microsoft Word - cjs63B9_ docx

1. はじめに ステージティーエスワンこの文書は Stage Ⅲ 治癒切除胃癌症例における TS-1 術後補助化学療法の予後 予測因子および副作用発現の危険因子についての探索的研究 (JACCRO GC-07AR) という臨床研究について説明したものです この文書と私の説明のな かで わかりにくいと

<4D F736F F F696E74202D208E7396F22096F296F298418C6782C982C282A282C448502E B8CDD8AB B83685D>

13 (参考資料4-5)松下参考人資料(三菱総研)

PowerPoint プレゼンテーション

北里大学病院モニタリング 監査 調査の受け入れ標準業務手順 ( 製造販売後臨床試験 ) 第 1 条 ( 目的 ) 本手順書は 北里大学病院において製造販売後臨床試験 ( 以下 試験とする ) 依頼者 ( 試験依頼者が業務を委託した者を含む 以下同じ ) が実施する直接閲覧を伴うモニタリング ( 以下

Microsoft Word - all_ jp.docx

セキュリティ委員会活動報告

目 次 頁 公 1 希少疾病治療薬の開発 創薬技術 戦略に関する研究及びそれらに係る 情報提供活動 ア研究助成事業 ( 公募 ) 1 創薬基盤推進研究事業 1 イ調査研究事業 1 1. 一般事業委員会 1 2. 運営委員会 1 3. 医療ニーズ調査班 2 4. 創薬技術調査班 2 5. 技術移転促進

サイト名

がん登録実務について

大規模災害等に備えたバックアップや通信回線の考慮 庁舎内への保存等の構成について示すこと 1.5. 事業継続 事業者もしくは構成企業 製品製造元等の破綻等により サービスの継続が困難となった場合において それぞれのパターン毎に 具体的な対策を示すこと 事業者の破綻時には第三者へサービスの提供を引き継

スライド 1

1. 背景 NAFLD は非飲酒者 ( エタノール換算で男性一日 30g 女性で 20g 以下 ) で肝炎ウイルス感染など他の要因がなく 肝臓に脂肪が蓄積する病気の総称であり 国内に約 1,000~1,500 万人の患者が存在すると推定されています NAFLD には良性の経過をたどる単純性脂肪肝と

メタデータスキーマレジストリ MetaBridge の概要

公共工事等における新技術活用システムについて 別添 公共工事等に関する優れた技術は 公共工事等の品質の確保に貢献し 良質な社会資本の整備を通じて 豊かな国民生活の実現及びその安全の確保 環境の保全 良好な環境の創出 自立的で個性豊かな地域社会の形成等に寄与するものであり 優れた技術を持続的に創出して

1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( はい / ) 上記外来の名称 対象となるストーマの種類 7 ストーマ外来の説明が掲載されているページのと は 手入力せずにホームページからコピーしてください 他施設でがんの診療を受けている または 診療を受けていた患者さんを

300401採用公募・HP原稿

untitled

Transcription:

第 1 回がんゲノム医療推進コンソーシアム運営会議平成 30 年 8 月 1 日 資料 2 がんゲノム情報管理センターの進捗状況 間野博行がんゲノム情報管理センター長 1

がんゲノム情報管理センターの設置 厚生労働省の がんゲノム医療推進コンソーシアム懇談会報告書 ( 平成 29 年 6 月 27 日とりまとめ ) には がんゲノム医療実用化に向けた工程として がんゲノム医療 研究のマスターデータベースである がんゲノム情報レポジトリー ( 仮称 ) を構築し 管理 運営する機関として がんゲノム情報管理センター を新たに設置する必要があるとされ 平成 30 年 6 月に国立がん研究センターにがんゲノム情報管理センターが設置されることとなった 2

がんゲノム情報管理センター 2018 年 6 月 1 日がんゲノム情報管理センター記者発表会がんゲノム情報管理センター資料より改変 ( 国立がん研究センターに設置 :Center for Cancer Genomics and Advanced Therapeutics: C-CAT) 衛生検査所等検査施設 検体 検査報告書 中核拠点病院 配列情報等の元データ 臨床情報 ( ゲノム情報 臨床情報 ) C-CAT AI による解析等 二次利用等 新規治療標的遺伝子等がんゲノム情報レポジトリー 新たな治療 診断法連携病院 エキスパートパネル 臨床的意義づけのついた CKDB レポート 知識データベース (CKDB) 中核拠点病院 連携病院 製薬会社 関係省庁と共に 日本において利用可能な薬剤の最大化に利用 個人情報保護法等関係法令等を遵守する 3

2018 年 6 月 1 日がんゲノム情報管理センター記者発表会がんゲノム情報管理センター資料を改変 がんゲノム情報管理センターの役割 1 がんゲノム診断の質の管理 向上 日本人の臨床 ゲノム情報を国内公的機関に確保し ゲノム医療の精度管理 質の担保 我が国に至適化された知識データベースを作成 中核病院のエキスパートパネル活動に貢献 全国の集計データに基づくがんゲノム医療の国民への説明 行政等への報告 施策等の提言 2 情報の共有 ゲノム中核拠点病院等の間でレポジトリーデータベースの情報を適切な取り決めのもとに共有 よりよい保険医療に活用 3 開発研究 臨床試験の促進 保険外併用療養 臨床試験 医師主導治験等の基盤データとして用い 日本において利用可能な薬剤の最大化に貢献 企業を含む創薬 個別化医療開発への利活用 4 全ゲノム解析の医療応用に向けた検討 人材育成 4

がんゲノム医療推進コンソーシアムが支える 日本人に最適の医療と日本発のゲノム創薬 3 日本人がん患者に最適化されたゲノム医療の提供 1 遺伝子変異の意味づけを海外検査事業者や 海外データベース 文献だけに頼ると 日本人の情報が不足 AA G TA G. T.. C T T C C G. C C TGG 2 そこで C-CAT にゲノム情報に加え 日本の実地診療のデータや 日本の臨床試験の情報を集約 4 日本人のデータに基づく創薬 日本におけるがんの保険医療に必須の基盤情報となる 分子標的薬を認可する際の医療経済予測 あるいは 日本人における遺伝性腫瘍の頻度予測など 様々な形で利用可能な貴重な基盤情報 分子標的薬治験の日本への誘導効果 5

同じ配列データ (FASTQ) でも 変異コールのアルゴリズムにより 結果がかなり異なる シークエンサーが出力するリードの塩基配列データ (+ 各塩基の quality 情報 ) リードをリファレンスゲノム配列にマッピングしたアラインメント情報 Variant Call Format: ゲノム上の変異情報 VCF1 FASTQ ファイル BAM ファイル Caller 1 Caller 2 Caller 3 Caller 4 VCF2 VCF3 VCF4 ゲノム解析の技術 DB は まだまだ発展途上 比較的単純な一塩基変異 (SNV) のコールでさえ caller の違いにより 結果 (VCF) がかなり異なる! 個々の caller で見ても その caller でしか見つからない変異が半分以上 Cai L, et al. Sci Rep 6:36540, 2016 代表的な 4 つの変異 caller のいずれかで検出された全ての変異のうち 複数の caller で共通に検出された変異は 20% 程度であった 検出された変異の数 1 つの caller のみで検出 2 つの caller で検出 3 つの 4 つの https://www.nature.com/articles/srep36540 6

現状では 異なるアルゴリズムの異なるバージョンの日本人のデータが 世界の検査会社に散在するのみ FASTQファイル BAMファイル Caller 1 Caller 2 Caller 3 Caller 4 VCF1.1 VCF2.1 VCF3.1 VCF4.1 VCF1.2 VCF2.2 VCF3.2 VCF4.2 ゲノム解析の技術と情報基盤 (DB) はまだまだ発展途上 Caller やリファレンス DB の更新により 同じ FASTQ でも 解析の時期によって異なるバージョンの VCF が存在し得る VCF1.3 VCF2.3 VCF3.3 VCF4.3 VCF1.4 VCF2.4 VCF3.4 VCF4.4 7

C-CAT の構想 1 当面は 検査会社による VCF を元に CKDB レポートを作成 2 逐次 進化したプログラムにより FASTQ から全データ再解析を行い 保険診療に役立てる 3 第 2 段階として 最新のプログラムと C-CAT 独自のプログラムで Platinum VCF を構築し それに基づく CKDB レポートの作成を検討 がんゲノム情報管理センター (C-CAT) 中核拠点 ゲノムデータ DB エキスパートパネル 登録 登録 FASTQ ファイル メタデータ BAM ファイル ( 統一規格 ) ciscall 検査会社によるVCF VCF VCF がん知識データベース (CKDB) Platinum VCF VCF QC コンソーシアム選定プログラムの 最新バージョンでの変異検出を実施 なんらかの総計ルール ( 共通集合 和集合など ) CKDB レポート返却 レポート作成 CKDB レポート DB 統計解析データ Portal( 一部非制限公開 ) 二次利活用可能なデータはコンソーシアム外とも共有 8

2018 年 5 月 1 日がんゲノム医療中核拠点病院等連絡会議がんゲノム情報管理センター資料より改変 がんゲノム情報管理センター組織図 センター長 患者情報登録 WG エキスパートパネル標準化 WG 副センター長 センター長補佐 治験薬アクセス確保 WG 中核 連携病院整備 運営 WG 情報管理室臨床情報 ゲノム情報を受領し 管理する部門 レポジトリの運用 レポジトリデータの品質等管理 中核病院 検査会社等との連携 ( データの受領 ) ゲノム解析室 FASTQ, vcf 等からゲノム解析を行う部門 ゲノム解析 情報統合室知識データベースに収集するデータの企画 管理 品質保証を行い 中核病院向け CKDB レポート を作成 返却する部門 CKDB( 知識 DB) 構築 CKDB を用いたアノテーション 中核病院へのレポート作成 返却 情報利活用戦略室蓄積されたデータの利活用と それに関連する厚労省等政府や法令等との調整を行う部門 企業 アカデミア等との連携 ( データ利活用 ) 知的財産管理 中核病院との連携 ( 説明 同意関係 ) NW システム管理室 C-CAT 全体のシステム管理 中核病院との接続 セキュリティ対策等を行う部門 C-CAT に関する以下のこと -NW システムの整備 管理 運用 - セキュリティ対策 - システムベンダーとの調整等 運営管理室 C-CAT 全体の会計 事務 運用管理を行う部門 C-CAT に関する以下の事務 - 経理 - 所管会議 - 中核病院からの問い合わせ窓口 - その他事務等 NCC オンコパネル担当 その他パネル担当 インフォームドコンセント 情報利活用 WG 9

2018 年 6 月 1 日がんゲノム情報管理センター記者発表会がんゲノム情報管理センター資料より改変 がんゲノム情報管理センター準備状況 H29 年度 H30 年度 4-6 7-9 10-12 1-3 レポジトリー DB DBのプロトタイプ完成 サーバーハードウェア構築 ソフトウェア仕様の確定 発注 開発 試運転 中核拠点側電子カルテシステム プロトタイプ完成 入力情報の確定 開発 中核拠点側が行う実装に関する技術支援等 CKDB 解析パイプライン構築 中核拠点等との情報連携システム 知識 DB 用の保険収載薬情報 治験情報 文献情報等の収集 定期的なバージョンアップ & キュレーターチームの編成 想定されるパネルに対するパイプライン構築 中核拠点等からのデータ転送 参照システム C-CAT からの報告書送付システムの構築 試運転 試運転 10

ゲノム医療に用いる遺伝子解析手法の検討 がん遺伝子パネル解析 保険医療としてゲノム解析を行う患者は化学療法を受ける患者を想定 多くの患者が外科治療の適応にならず 病理診断目的の生検 ( バイオプシー ) 標本から作った FFPE を解析に使う 高重複度シークエンスが必要 がん遺伝子パネル (100~500 種類の遺伝子解析 ) は がんゲノム医療の普及に適している 長所比較的安価 大型のコンピューター環境が不要短所新しいがん関連遺伝子の発見に限界 2018 年 6 月 1 日がんゲノム情報管理センター記者発表会がんゲノム情報管理センター資料より改変 ホルマリンによって DNA/RNA が断片化 C T 置換エラーの増加 良質の DNA/RNA ホルマリン固定パラフィン包埋検体 (FFPE) 新鮮凍結検体 全ゲノムシークエンス解析に適した良質のゲノム DNA が得られる がんゲノム医療中核拠点病院の要件に新鮮凍結検体の保存体制が明記 開発研究を進め 新たな医療を患者さんに届ける 長所新しいがん関連ゲノム異常の同定 C-CAT の臨床情報収集システムを使って解析することで 海外に比べて大きなアドバンテージ短所高価 大型のコンピューター環境 クラウドが必要 全ゲノムシークエンス解析 11