福島県内での復興支援事業 ①

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(審31)資料5-1 住民意向調査の結果及び住民帰還等に向けた取組について

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平成 30 年 3 月 6 日 大熊町住民意向調査調査結果 ( 速報版 ) 復興庁 福島県 大熊町 調査の概要 1. 調査対象 : 世帯の代表者 (5,218 世帯 ) 2. 調査時期 : 平成 30 年 1 月 4 日 ~1 月 18 日 3. 調査方法 : 郵送配布 郵送回収 4. 回答者数 :

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資料2

3 歯科医療 ( 救護 ) 対策 管内の歯科医療機関の所在地等のリスト整理 緊急連絡網整備 管内の災害拠点病院 救護病院等の緊急時連絡先の確認 歯科関連医薬品の整備 ( 含そう剤等 ) 自治会 住民への情報伝達方法の確認 病院及び歯科診療所での災害準備の周知広報 - 2 -

復興 5 年間の現状と課題 ( 概要 ) 復興期間 10 年の折り返し平成 23~27 年度 集中復興期間 平成 28~32 年度 復興 創生期間 インフラ復旧は概ね終了 住宅の再建が最盛期 被災者の心身のケアや 産業の再生が重要 福島においては 順次 避難指示を解除 住民の帰還に向けた環境整備を進

平成 31 年度 税制改正の概要 平成 30 年 12 月 復興庁


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資料 1 復興 8 年間の現状と課題 平成 31 年 3 月 8 日

1 2 3 CONTENTS

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復興大臣 竹下亘様 要望書 平成 27 年 1 月 29 日 福島県南相馬市長桜井勝延

避難状況 1. 避難先自治体 いわき市相馬市南相馬市 福島市 郡山市 会津若松市白河市 福島県内のの市町村 福島県外 n = 1, 現在の住居形態 応急仮設住宅 ( プレハブ型 無償 ) 応急仮設住宅

平成17年度社会福祉法人多花楽会事業計画(案)

災害公営住宅藤が原アパート入居者募集 ( 随時募集 ) 災害公営住宅入居者募集について 県営藤が原アパート5 号棟は, 東日本大震災により住宅を失った方のための公営住宅 ( 賃貸住宅 ) です 現在, 入居者を随時募集しています 申込書類を提出された方を先着順で受付しておりますので, どうぞお気軽に

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資料1 受援計画策定ガイドラインの構成イメージ


中間指針第四次追補に関するQ&A集

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<ハード対策の実態 > また ハード対策についてみると 防災設備として必要性が高いとされている非常用電源 電話不通時の代替通信機能 燃料備蓄が整備されている 道の駅 は 宮城など3 県内 57 駅のうち それぞれ45.6%(26 駅 ) 22.8%(13 駅 ) 17.5%(10 駅 ) といずれも

避難指示区域等内の県立高等学校の状況 他校の施設や仮設校舎にサテライト校を開設して教育活動を展開してきたが ふたば未来学園高校や小高産業技術高校の開校など 新たなステージに移行 校名 相馬農業高校飯舘校 震災後の状況 双葉高校いわき明星大学サテライト ( いわき市 ) 平成浪江高校本宮高校サテライト

原発被災自治体の今後の財政と町民町税等の負担 伊藤久雄 ( 認定 NPO 法人まちぽっと理事 ) 東日本大震から はや 8 年 執拗な国や福島県の帰還政策のもとでも 容易に帰還はすすまない 帰還政策の帰趨は 帰還した人々 帰還しなかった ( できなかった ) 人びとの生活基盤と それぞれの市町村財政

愛する飯舘村を還せプロジェクト 負げねど飯舘!! 活動支援金ご協力のお願い これまで 子どもたちのために と 皆さまからお預かりしている支援金は 避難 ( 計画的避難の早期完了 ) や健康管理を含め 未来ある子どもたちを守るための活動に大切に使わせていただきます 今後計画的避難が進むにつれて 私たち

福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律 について <1. 特定復興再生拠点区域の復興及び再生を推進するための計画制度の創設 > 従来 帰還困難区域は 将来にわたって居住を制限することを原則とした区域 として設定 平成 29 年 5 月復興庁 地元からの要望や与党からの提言を踏まえ 1 帰還困難区

資料4-2:福島県教育委員会・二本松市教育委員会提出資料


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地域子育て支援拠点事業について


住宅を新築する場合の支援制度 1 被災者生活再建支援金 ( 加算支援金 ) 自然災害 ( 津波 地震 ) により 住宅が全壊 半壊解体した世帯 又は長期避難世帯が 新しい住宅を建設 購入する場合に支給されます 支給額 : 最大 200 万円 複数世帯 :200 万円 単身世帯 150 万円 申請期限

資料 目 次 事業方針 実施計画 みんなで福祉の風土を広げよう 住民 関係機関 団体のネットワークで身近な福祉活動を進めよう 一人ひとりの安全で安心な暮らしを守ろう Ⅳ 推進基盤の強化 主な年間行事等

平成18年度標準調査票

資料 4 平成 29 年 1 月 27 日記者会見 土地区画整理事業に関する土地利活用意向調査の実施結果について 復興推進本部都市整備推進室 1 土地利活用意向調査の目的 市内 4 地区の土地区画整理事業は 平成 29 年度末を目標に全ての宅地引渡しが完了できるよう鋭意工事を進めております 地権者へ

学んで、考えてみよう 除染・放射線のこと 使い方

CONTENTS Vol.64 No.9 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~

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1. 手助けを必要とする人へ 困ったときはお互いさま の精神でたすけあい活動に取り組みます ( 対人援助活動 ) 2. 支え合い助け合いのある地域社会づくり活動に取り組みます ( 社会活動 ) その後すぐに 30 名ほどの会員が集まり チームをつくって被災地への支援活動を始めた 毎月車で現地へ向かい


NO. 2 事業名 埋蔵文化財発掘調査事業 ( 鹿島区 ) 事業番号 A-4-2 事業実施主体 南相馬市 交付期間 H24-H26 総交付対象事業費 55,014( 千円 ) 復興事業 ( 防災集団移転 ) に伴い市内に所在する遺跡について 発掘調査事業を実施する 鹿島区内遺跡数 9 遺跡 対象面積

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4 災害時における他機関 他施設との協定の締結状況災害時に他機関 他施設との協定を結んでいる施設は 97 施設で 1 か所と締結している施設が多くありました 締結先は 地元自治会 町内会 病院 近隣施設 社会福祉施設 物流会社 福祉ネットワーク 市町村等でした 図 2 災害時における他機関 他施設と

全体版

01 【北海道】

東京電力が取り組む福島復興推進策

3 地域コミュニティ活動について 地域コミュニティ活動 への参加について よく参加している 時々参加している とい う回答は 55.4% となりました また 参加したことはない と回答された方以外を対象に 地域コミュニティ団体の課題と 思うもの を尋ねたところ 回答が多かったものは 以下のとおりです

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放射線被ばくによる小児の 健康への影響について 2011 年 5 月 19 日東京電力福島原子力発電所事故が小児に与える影響についての日本小児科学会の考え方 本指針を作成するにあたり 広島大学原爆放射線医科学研究所細胞再生学研究分野田代聡教授の御指導を戴きました 御尽力に深く感謝申し上げます

チェック式自己評価組織マネジメント分析シート カテゴリー 1 リーダーシップと意思決定 サブカテゴリー 1 事業所が目指していることの実現に向けて一丸となっている 事業所が目指していること ( 理念 ビジョン 基本方針など ) を明示している 事業所が目指していること ( 理念 基本方針

地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(第7次地方分権一括法)の概要

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アンケート調査の概要 目的東南海 南海地震発生時の業務継続について 四国内の各市町村における取り組み状況や課題等を把握し 今後の地域防災力の強化に資することを目的としてアンケート調査を実施 実施時期平成 21 年 11 月 回答数 徳島県 24 市町村 香川県 17 市町 愛媛県 20 市町 高知県

実用化開発事業と同様 実用化開発に取り組む企業等についても必要に応じ事業化支援 ( 経営支援 ) を行う 支援内容: 企業訪問 面談 課題抽出 解決支援 ( 事業化戦略の構築 見直し 資金調達における市場調査 体制構築 ビジネスモデルの作成 販路開拓支援等 ) ( 上記の支援内容を事業者ごとに整理し

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著者慶長寿彰 : 世界銀行

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年 1 1 月 2 9 日東京電力ホールテ ィンク ス株式会社福島復興本社 福島復興本社における賠償 除染 復興推進に関する取り組み状況 ~ 福島復興への責任を果たすために ~ トピックス福島県産品購入促進に関する取り組み 1 原子力損害賠償の進捗状況 2 ~ 4 除染等推進活動状況

市町村における住民自治や住民参加、協働に関する取組状況調査

老発第    第 号

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学力向上のための取り組み

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Ⅰ 東日本大震災の概要 発生日時平成 23 年 3 月 11 日 14:46 マグニチュード 9.0 地震型 被災地 震度 6 弱以上県数 津波 被害の特徴 死者行方不明者 海溝型 農林水産地域中心 8 県 ( 宮城, 福島, 茨城, 栃木, 岩手, 群馬, 埼玉, 千葉 ) 各地で大津波を観測 (

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区(支部)社協会費関係相談記録

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第3 復興整備計画 参考様式集

その後 海岸の方まで歩いて案内していただいた 住宅地を抜けると急に視界が開け 海岸の前は空き 地が広がっていた 現在は防波堤の内側に防災樹林植えるための工事が行われていた 改めて 津波の 被害がいかに甚大であったかを痛感した < 久之浜の海岸の様子 > < 防災緑地の工事について > また 住民の方

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資料1 第3回災害救助に関する実務検討会における意見に対する回答

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震災一周年を控えた生活者の意識を電通が調査

区(支部)社協会費関係相談記録

130309弘前大学シンポジウム0305.pptx

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担当係:環境防災課環境係

当面の事業概要 < 平成 25 年度 > 実施設計業務委託 < 平成 26 年度 > 市道 1504 号線電線共同溝整備工事 道路改築工事 < 平成 27 年度 > 市道 1504 号線電線共同溝整備工事 市道 1504,1505,1507 号線道路改築工事 < 平成 28 年度 > 市道 1504

文部科学省では 被災者の生活再建に関連して 就学援助のほか 教員やスクールカウンセラー ボランティアの配置を充実することにより 子供たちの学習支援や心のケアに向けた対応を行っています 被災児童生徒就学支援等事業 (H30 予算額 ( 案 ) 52 億円 (H29 予算額 62 億円 )) 東日本大震

国土技術政策総合研究所 研究資料

(1) 家庭的保育事業 項目 国基準 区分 保育業者 家庭的保育者 市町村長が行う研修を修了した保育士 保育士と同等以上の知識及び経験を有すると市町村長が認める者 家庭的保育補助者 市町村長が行う研修を修了した者 数 0~2 歳児 3:1( 家庭的保育補助者を置く場合 5:2) 保育を行う専用居室


宅地の補修工事に関する費用の貸付 被害建物に関する相談窓口 応急仮設住宅の提供 被災者生活再建支援金 住宅の応急修理制度 住宅の補修工事に関する費用の貸付 ( り災証明書の提出が必要です ) 被災家屋等

問 2. 現在 該当区域内に居住していますか 1. 居住している % 2. 居住していない % 無回答 % % 単位 : 人 1.9% 32.7% 65.4% 1. 居住している 2. 居住していない無回答 回答者のうち 居住者が約 65

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福島県立医科大学復興基本構想 計画 福島県復興計画 医療拠点しての復興基本構想 計画 県民の心身の健康を守るプロジェクト 県民の健康保持 増進 地域医療の再構築 最先端医療提供体制の整備 被災者等の心のケア 1 福島県 県民健康管理調査 2 最先端診断 治療拠点整備による早期診断 早期治療 医療関連

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Transcription:

福島県内での復興支援事業 東日本大震災における日本赤十字社の復興支援事業 ( 平成 26 年 12 月 31 日現在 ) 1. 海外救援金による復興支援事業 日本赤十字社では 海外の100の赤十字社 赤新月社を通じて海外から寄せられた 海外救援金 ( 約 600 億円 ) により さまざまな復興支援事業を実施している この海外救援金を財源とした復興支援事業については 海外の新興国や発展途上国で発生した大規模災害において実施する場合はあったが 日本赤十字社をはじめ 海外の赤十字社でも先進国での大規模災害における復興支援事業ははじめて実施するものであった 日本赤十字社では 寄せられた海外救援金を有効に活用するため 本社に 東日本大震災復興支援推進本部 を設置し 専任の本社職員をはじめ 委託 派遣スタッフを配置した また 岩手 宮城 福島の被災 3 県にも本社嘱託職員を派遣し 被災地のニーズ調査を担当させるとともに 被災 3 県支部が事業の窓口として連携を図りながら復興支援事業に取り組んだ 復興支援事業を実施するにあたって 世界と被災地をつなぎ生活再建 教育 福祉サービス 医療の基盤づくりを支援し 安全で安心な社会の復興に貢献する という全体ビジョンをもとに 生活再建支援 教育支援 福祉サービス支援 医療支援 原子力発電所事故への対応 と各分野別のビジョンから構成される 東日本大震災復興支援事業基本計画 を策定した 東日本大震災復興支援事業基本計画 全体ビジョン わたしたちは 世界と被災地をつなぎ 生活再建 教育 福祉サービス 医療の基礎づくりを支援し 安全で安心な社会の復興に貢献します 分野別ビジョン 日常生活を取り戻し コミュニティを再生するために必要な支援を行い 生活再建支援復興に向かう被災地の人々の生活基盤づくりに貢献します教育の現場で失われた物 場 安心を届けることで 教育支援次世代を担う子どもたちの将来の基盤づくりに貢献します失われた福祉サービスの回復を支援し 高齢者の方や障害を持った方々が福祉サービス支援安心に暮らせるための基盤づくりに貢献します地域の医療連携体制の復旧と災害対応能力の強化を支援し 医療支援被災地の方々の命と健康を守るための医療基盤づくりに貢献します放射能による影響への正しい知識と被ばく状況を把握できる環境を整え 原子力発電所事故への対応人々の原子力事故 放射能に対する不安の軽減に貢献します基本方針 1. 国際赤十字のネットワークの効果的な活用 2. 広大な被災地域における公平かつ迅速な事業実施 3. 国 県 市町村 他団体との協調 4. 国内外に対する説明責任の確保 5. 日本赤十字社の資源を最大限活用し ハード ソフトの両面から支援を実施 6. 地域に根づく活動への継承 発災直後 被災 3 県では救護活動を中心に行っていたが 時間の経過に伴い 平成 24 年度以降被災 3 県支部が主体となって各県独自の復興支援事業を実施することとなった 福島県内での復興支援事業 1

海外救援金 世界各国の赤十字社 赤新月社 日本赤十字社が行う復興支援事業 1. 生活再建支援 2. 教育支援 3. 福祉サービス支援 4. 医療支援 5. 原子力発電所事故への対応 海外救援金は 国内外の個人 団体から寄せられ た東日本大震災義援金と 区別して 復興支援事業費に 充当している 2. 日本赤十字社 ( 本社 ) 主体の復興支援事業 1. 生活再建支援 (1) 生活家電セットの寄贈日本赤十字社は被災された方の生活支援の一環として 仮設住宅や借り上げ住宅等の入居者に テレビ 洗濯機 冷蔵庫 炊飯器 電子レンジ 電気ポットの生活家電セットを寄贈した 平成 23 年 4 月に寄贈事業を開始し 平成 24 年 12 月末で事業は終了したが 福島県では県内の避難者へ43,367セット 県外避難者に20,250セット 合計 63,617セットを寄贈した なお 岩手県では18,694セット 宮城県では49,045セット寄贈されている cnobuyuki Kobayashi (2) 川内村仮設コミュニティセンター建設支援原発事故の影響により 川内村は全村民が避難し 役場機能を郡山市の ビッグパレットふくしま に移転した 村民は応急仮設住宅に入居し 避難生活が長期化することにより 住民同士のつながりが失われることが懸念されることから 日本赤十字社では ドイツ赤十字社から寄せられた海外救援金を財源として 村民の地域交流の拠点となるコミュニティセンター建設を支援した 完成したコミュニティセンターは 村民にとってストレス解消 情報交換の場及び子どもの学習 子育て支援の場となっている また 緊急避難区域の解除に伴い 平成 25 年 3 月にコミュニティセンターも川内村に移設され 子どもたちの交流の場として活用されている (3) 浪江町民への健康調査事業浪江町は 役場機能を多くの町民が避難している二本松市に設置したが 二本松市から離れたいわき市にも2,000 人を超える多くの町民がおり 浪江町の気候と似ているため 移り住む町民が年々増えつつあった いわき市内の浪江町民は 市内の借り上げ住宅に分散して生活しているため 孤立しやすい状況にあった 町民への行政サービスが十分にいきわたらず 中でも保健サービスにおける町民の不安を解消するため 浪江町の依頼により 平成 24 年 10 月からいわき市に避難している浪江町民約 2,000 人を対象に 日本赤十字社の看護師による訪問健康調査を実施した 不慣れな土地での生活にストレスを抱える町民に寄り添い 心の叫びに耳を傾けながら彼らの健康を見守る取り組みが続けられている 福島県内での復興支援事業 2

2. 教育支援 (1) 飯舘村小学校仮設体育館建設支援事業原発事故により全村避難を余儀なくされた飯舘村の草野 飯樋 臼石の3つの小学校は 避難先の川俣町の中学校の教室を間借りして学校生活を行っていたが 国の補助を受け仮設校舎を建設 日本赤十字社では 補助事業の対象外であった仮設体育館の建設を支援し 平成 24 年 4 月 20 日に開校式が行われた 民がいわき市に避難しており 子どもたちも市内の幼稚園 保育園に分散 援センターの機能を併せ持つ あおぞらこども園 の建設を支援した この あおぞらこども園 の完成により 保護者が安心して子供を預けて働ける ようになり 町民のコミュニティ再建にも寄与している (3) スクールバス寄贈事業 住宅や借り上げ住宅で生活し 子どもたちも遠距離通学や転校を余儀なく されていた そこで 日本赤十字社ではスクールバスを寄贈し 仮設住宅 や借り上げアパートから通学する小 中学生を支援している 福島県 対象地域実施時期支援形態配備したバス 大熊町 平成 23 年 10 月 ~ 平成 24 年 7 月運行委託大型バス (50 人乗り )2 台 平成 24 年 8 月車両寄贈大型バス (50 人乗り )2 台 いわき市平成 24 年 8 月運行委託大型バス 1 台 いわき市 ( 保育園 ) 平成 24 年 4 月 ~ 平成 25 年 3 月車両寄贈マイクロバス (29 人乗り )1 台 車両寄贈 車両寄贈 マイクロバス (29 人乗り )1 台中型バス (42 人乗り )1 台 大型 (48 人乗り )2 台 (4) 給食運搬車寄贈事業 原発事故により会津若松市に移転している大熊町では再開した幼稚園 小 中学校の学校給食のための給食運搬車両や食器 調理器具を支援し 温かく栄養の取れた給食により子どもたちの成長を応援している 市町村名支援先数量深皿 1,000 個南相馬市鹿島区給食センターカレー皿 ( 大 )540 個 ( 小 )5,150 個 1 南相馬市南相馬市立原町第二小学校食器消毒保管庫各校 1 台南相馬市立石神第二小学校 2 大熊町 ( 会津若松市 ) 永和給食センター河東給食センター 大熊幼稚園 (1) 永和給食センター分 : 箸等 21 品目 (2) 河東給食センター分 : 強化磁器食器 ( 菜皿 ) 等 17 品目 (3) 給食コンテナ 配膳台 1 式給食運搬車両 1 台 福島県内での復興支援事業 3

(5) サマーキャンプ震災により 生活環境や教育環境が大きく変化した子どもたちは たくさんの精神的ストレスを受けている 子どもたちに日常生活を離れ大自然の中で多くの仲間たちとともに 思いきり体を動かして楽しく過ごしてもらうことを目的として サマーキャンプ を実施した 平成 24 年度 平成 25 年度に岩手県 宮城県 福島県で被災した小学 5 年生 ~ 中学生を対象に北海道のルスツリゾートで 芋ほり 乗馬体験のほか 赤十字救急法や高齢者理解のプログラムを学ぶサマーキャンプを実施し たくさんの子どもたちが元気いっぱい参加しました 平成 24 年度 3,451 人 ( 福島県からは1,549 人 ) 平成 25 年度 2,337 人 ( 福島県からは1,032 人 ) 3. 福祉サービス支援 (1) 相馬市に災害公営住宅を建設震災により 相馬市は津波の被害により多くの住宅が被災した 日本赤十字社は台湾赤十字組織からの海外救援金を財源に 相馬市内の狐穴 南戸崎 馬場野山田 細田東の4 団地に災害公営住宅 井戸端長屋 (4 団地 46 戸 ) 建設の一部を支援した この 井戸端長屋 では 長屋式の共同住宅に共同食堂スペースなどを設け 被災した高齢者や障がい者の孤立 孤独化を防ぎ お互い助け合い安心して生活できるように工夫されている (2) 新地町に被災高齢者共同住宅を建設台湾赤十字組織からの救援金により 新地町に被災した高齢者の孤立 孤独化を防ぎ お互い助け合い生活できるよう被災高齢者共同住宅建設費を支援した (3 棟 22 戸 ) (3) 社会福祉施設等に福祉車両を寄贈津波による被害を受けた沿岸部では 社会福祉施設の所有する車両の流出 故障により 施設への送迎等福祉サービスの提供に支障が生じていた 日本赤十字社では これら社会福祉施設や被災地域の市町村を対象に 福祉車両や軽自動車を寄贈した 福島県内では 社会福祉施設や市町村に福祉車両 153 台を寄贈し 障がい者 要介護者 高齢者に必要な福祉サービスの提供を行うことが可能となったほか 市町村が行う保健福祉事業にも活用されている (4) 社会福祉施設に介護用ベッドを寄贈施設や病院に入所していた避難者を受け入れた施設を対象に 介護用ベッド ( 介護用ベッド サイドレール マット ) を寄贈した 福島県内では 23 施設に96 台の介護用ベッドが寄贈された (5) 肺炎球菌ワクチン接種事業岩手県 宮城県 福島県の被災 3 県の70 歳以上の高齢者を対象に指定医療機関での肺炎球菌ワクチンの接種費用を支援した 仮設住宅等で慣れない生活を送っておりストレスを抱えている高齢者の罹患リスクが高いといわれている肺炎については 肺炎球菌を原因とするものが一番多いといわれており 今回の予防接種は この肺炎球菌の働きを抑えるも 福島県内での復興支援事業 4

のであり 福島県では約 18 万人分を助成している 5. 原子力事故対応 (1) 福島県内にホールボディカウンターを寄贈原発事故の影響により 放射線による健康への不安を多くの県民が抱えていた 福島県では 県民の内部被ばくの状況を測定するため 体内に蓄積された放射性物質の量を測定するホールボディカウンターを整備することとした しかし ホールボディカウンターは高額であり 福島県独自で整備するのが難しいことから 日本赤十字社では海外救援金を財源に福島県をはじめ 福島市 郡山市 白 た (2) 福島県内に食品放射線量測定器 ( ベクレルモニター ) を寄贈放射線による健康への影響に対する不安を解消するため 県内の自治体では 空間線量の測定や内部被曝測定検査等の対応を行っていたが 福島県内で収穫された農作物 くだものなど食品から国の安全基準を上回る放射線量が検出され 食に関する不安や福島県に対する風評被害が問題になった 日本赤十字社では 福島県と協議し 県の予算では対応しきれなかった台数分として食品放射線量測定器 ( ベクレルモニター ) を福島市 二本松市 川内村に106 台寄贈した (3) 福島県民の健康管理調査支援原発事故以来 全県民を対象とした健康管理調査が行われているほか 震災の影響により浜通りの医療機関が打撃を受け 福島県立医科大学附属病院への受診が集中しています 必要な検査機器を整備するため 災害対応血液検査システムなどの医療機器を支援しました 福島県内での復興支援事業 5