設備工事の概算手法 ( 機械設備 )( その 2) 主席研究員 小池光宏 1 はじめに 機械設備のコスト管理について 官庁施設の設計段階におけるコスト管理ガイドライン では 概算工事費算定に使用する数量の算出は概略平面図からの拾い並びに類似施設の実績値より算出される資機材の数量を使用する と示されているが 設計の初期段階ではシステムが確定していない等の理由により 妥当な概算価格を算定できず 過去の実績値 ( 円 / m2 ) を使用することが多かった 本研究は 昨年度検討を行った システム変更 管種変更 単価の異なる地域の変更に対応可能で 改修工事における数量の把握にも利用可能なコスト管理手法について 引き続き空気調和設備配管及び給排水衛生設備配管の検討を行った なお 検討には国土交通省発注の完成工事 ( 設計変更含む ) の内訳書の数量および複合単価 (H24) を用いている 2 概算手法としての必要事項 概算手法を検討する上で一般的に考慮しなければならない事項については 以下のとおりと考える (1) 全体工事に占める金額割合が大きい項目を適切に捉える (2) 設計により金額が大きく変動する項目を適切に捉える (3) 効率的な算出を行える ( 数量及び単価は大くくりにする ) (4) 仕様変更への対応が可能である ( 例 : 配管 保温の種類 ) (5) システム間での比較が可能である ( 例 : ダクト方式 ファンコイルダクト併用方式 ) (6) 各設計段階で必要な精度がある (7) 特殊な工事 改修工事に準用が可能である (8) 検証が可能である 上記の事項を考慮のうえ 機械設備の概算算定方法についてまとめた私案を表 1に示す 表 1 機械設備における各設計段階の数量及び単価 ( 例 ) 主要機器 主要機器廻り コスト配分表作成段階数量企画設計図による基本設計図による実施設計図による 基本設計着手段階基本設計審査段階実施設計審査段階備考 見積り ( 複数社が望ましい ) 単価実績 or 超概略見積り実績 or 概略見積り SIBC 統計分析に数量基本設計図による実施設計図によるよる 単価 実績 or 合成単価 合成単価 ( 対応する仕様ごと ) その他の機器数量 単価主要機器に対する比率代表機器単価 * 台数 ダクト 配管 ダクト 配管付属品 共通費 and 税 項目 数量 単価 数量 単価 SIBC 類似モデルによる 延べ面積あたりの換算数量 SIBC 統計分析に SIBC 類似モデルによる指標合成単価よる ダクト 配管に対する比率 共通費積算基準 ( 率 )+ 積上げ 概算数量 ( 仕様ごとが望ましい ) 合成単価 ( 対応する仕様ごと ) ダクト 配管に対する比率 段階が進むに伴いその他機器より移行 検証等の必要に応じダクト 配管に移行 段階が進むに伴い主要機器に移行 経費率計算プログラム or 早見表による 73
3 概算手法 機械設備工事は空気調和設備 ( 空気調和設備 換気設備 排煙設備 自動制御設備 ) と給排水衛生設備 ( 衛生器具設備 給水設備 排水設備 給湯設備 消火設備等 ) に区分される また 空気調和設備 給排水衛生設備はさらに機器設備 ダクト設備 配管設備に区分される これらの工事費をどのように算出するかが 機械設備の概算算出の大きな課題である 本稿では 概算算出担当者 が 基本設計審査段階 で用いる概算手法として 空気調和設備配管 ( 冷却水配管 ) 給排水衛生設備配管( 給水配管 排水管 ) を 合計金額から換算する方法 と 数量から換算する方法 を用いた手法について述べる 3.1 空気調和設備配管 ( 冷却水配管 ) の概算手法配管に関しては これまで トン単価 と言われる質量あたり単価が多く使用されてきたが 空調システムによる数量の把握 管種を変更する際の対応等を考慮し 基本設計審査時段階で利用できる数量および単価について 実績値を利用した配管数量の換算手法と基準となる単価の設定方法 について検討を行う なお 検討に使用する配管は使用実績の多い配管用炭素鋼鋼管 ( 白 ) を使用する 検討に用いる冷却水配管の口径別合成単価の構成について図 1に示す 合成単価 ( 円 ) ( デッキプレート開口切断 ) 必要に応じ計上する項目であり ここでは 円としている 6, ( デッキプレート開口切断 ) 5, 形鋼振れ止め支持 4, 総合調整スリーブ 3, 配管 22,5 2, 13,7 1, 11,9 2 25 32 4 5 65 8 1 125 15 2 25 3 口径 (A) 図 1 冷却水配管の呼び径別合成単価の構成 a. 換算方法によるコスト算出手法 1 冷却水配管の合計金額から換算する手法 ここでは 昨年の冷温水配管同様に 冷却水配管の合計金額 ( 円 ) を特定の口径の複合単価 ( 指標複合単価 ) により換算長さを求め 概算額を算出する手法について述べる 換算式 換算長さ = 冷却水配管の合計金額 ( 円 ) / ( 指標複合単価 )(m) 冷却水配管の合計金額 : Σ ( 口径毎の実長さ ( 口径毎の複合単価 )) 74
指標複合単価 : 代表となる口径の複合単価 価格式 冷却水配管関連の価格 = 換算長さ (m) 指標合成単価 ( 円 /m) 指標合成単価 : 代表となる口径の合成単価 冷却水配管の複合単価による換算の可能性について 1A を指標合成単価とし 各口径の複合及び合成単価を用いて 様々な規模の建物について検証を行った結果を表 2 図 2に示す 表 2 冷却水配管の複合単価による換算の検証 (1A の複合及び合成単価の場合 ) 建物規模モデル ( 延べ面積 ) 75 形 (712 m2 ) 15 形 (1,442 m2 ) 3 形 (4,232 m2 ) 6 形 (6,912 m2 ) 15 形 (13,647 m2 ) 3 形 (31,46 m2 ) 1 Σ( 実長さ 複合単価 ) 647,7 826,2 1,221,84 2,781,3 8,523,27 21,742,28 2 換算長さ (1 11,9) 54 69 13 234 716 1,827 3 2 合成単価 (13,7) 739,8 945,3 1,411,1 3,25,8 9,89,2 25,29,9 4 Σ( 実長さ 合成単価 ) 741,9 948,2 1,393,44 3,16,48 9,665,72 24,61,52 5 比率 (3/4) 1. 1. 1.1 1.1 1.1 1.2 各モデルの5 比率 (3/4) の値が1に近い値であることから サンプルと同程度の構成比率であれば 概算額の算定として使用可能であると考察する 換算長さ (m) 2,5 2, y = 2E 6x 2.92x + 13.34 R² =.8142 1,5 1, 換算長さ 多項式 ( 換算長さ ) 5 211 5, 1, 15, 2, 25, 3, 35, 図 2 冷却水配管延べ面積あたりの換算長さ ( 複合単価 (1A) 換算 ) ( 例 ) 延べ面積 1, m2の庁舎の冷却水配管関連工事の直接工事費を求める 延べ面積あたりの換算長さ図または 近似線の計算式 Y =.2 X 2 -.92 X + 13.34 より冷却水配管の換算長さは約 211m 冷却水配管関連の価格( 換算長さ 指標合成単価 (1A より ) 211m 13,7 円 /m = 2,89,7 円 75
b. 換算方法によるコスト算出手法 2 冷却水配管の数量から換算する手法 数量だけが既知のデータでも 換算長さを算出し 延べ面積当たりの換算長さ ( 図 4) を作成することで概算額を算出することができる ここでは 呼び径毎の数量を特定の口径 ( 指標口径 ) に換算する換算係数として ( 口径 + Y) / ( 指標口径 + Y) を用いた手法について以下に述べる 換算式 換算長さ = Σ( 口径ごとの実長さ 換算係数 )(m) 換算係数 : ( 口径 + Y) / ( 指標口径 + Y) 価格式 冷却水配管関連の価格 = 換算長さ (m) 指標合成単価 ( 円 /m) 指標合成単価 : 代表となる口径における合成単価 Yは指標合成単価と ( 口径毎の合成単価 / 換算係数 ) の比が一定になるよう設定する定数で 指標口径を価格割合が大きい口径 1A として試算した結果 Y=-2が最も近似する数値となった 換算は屋内一般配管を標準とする 機械室内の配管は 図 3の1 屋内一般配管と2 機械室配管の比率がおおよそ1.28 倍であることから 換算係数を ( 口径 + Y) 1.28 / ( 指標口径 + Y) として換算を行う 試算結果を図 4に示す ( 例 )Y=-2を代入して換算した 1A と15A 換算の単価比較 = 13,7 : 22,5 / ((15 2) / (1 2)) = 13,7 : 13,846 1 : 1 合成単価 ( 円 /m)/ 換算係数 1A を 1 とした単価比率 3 29 1 ( 口径 -2) での加工した合成単価 ( 円 /m)(11a 基準 ) 2 機械室 ( 口径 -2) で加工した合成単価 ( 円 /m)(11a 基準 ) 3 口径で加工した合成単価 ( 円 /m)(31a 基準 ) 4 ( 口径 -2) で加工した配管の複合単価 ( 円 /m)(11a 基準 ) 25 2 25 193 使用割合が少ない 15 1 166 164 141 141 127 127 128 125 131 19 1 97 11 121 96 131 133 13 14 5 2 25 32 4 5 65 8 1 125 15 2 25 3 口径 (A) 図 3 冷却水配管の口径別合成単価比率 換算計算例 15A 長さ13mの配管を指標口径の口径 1A で換算する場合の例換算長さ 13 ((15-2) / (1-2)) = 13 1.625 = 21.125(m) 冷却水配管関連の価格指標合成単価 13,7 円 /m 21.125(m) 13,7 = 289,412 円 76
換算長さ (m) 2,5 2, y = 2E 6x 2.95x + 13.54 R² =.8319 1,5 1, 換算長さ 多項式 ( 換算長さ ) 5 29 5, 1, 15, 2, 25, 3, 35, 図 4 冷却水配管延べ面積あたりの換算長さ ( 換算係数 (1-2) 換算 ) ( 例 ) 延べ面積 1, m2の庁舎の冷却水配管関連工事の直接工事費を求める 延べ面積あたりの換算長さ図または 近似線の計算式 Y =.2 X 2 -.95 X + 13.54 より冷却水配管の換算長さは約 29m 3.2 給排水衛生設備配管 ( 給水配管 ) の概算手法給水設備のシステムは大きく分けて 直結給水方式 (2 階建て程度の建物 ) 高置水槽方式( 直結給水の出来ない建物 ) ホ ンフ 加圧方式( 直結給水できない建物で高置水槽を設けない ) の3 方式に区分できる ここでは 冷却水配管と同様に 実績値を利用した配管数量の換算手法と基準となる単価の設定方法 について検討を行う なお 検討に使用する管種は使用実績の多いステンレス鋼管 (SUS) を使用する 検討に用いる給水配管の合成単価の構成については図 5による 合成単価 ( 円 ) 7, 6, 5, 4, ( デッキプレート開口切断 ) 必要に応じ計上する項目であり ここでは 円としている 保温 : 天井内 GW( アルミカ ラスクロス ) ( デッキプレート開口切断 ) 形鋼振れ止め支持スリーブ保温配管 3, 2, 1, 16,8 4,93 5,72 6,98 12,4 3,18 3,88 4,92 2 25 3 4 5 6 8 1 125 15 2 25 3 図 5 給水配管の呼び径別合成単価の構成 口径 (SU) 77
1 直結給水方式 a. 換算方法によるコスト算出手法 1 給水配管の合計金額から換算する手法 ここでは 給水配管の合計金額 ( 円 ) を特定の口径の複合単価 ( 指標複合単価 ) により換算配管数量を求め 概算額を算出する手法について述べる 換算式 換算長さ = 給水配管の合計金額 ( 円 ) / ( 指標複合単価 )(m) 給水配管の合計金額 : Σ( 口径毎の実長さ ( 口径毎の複合単価 )) 指標複合単価 : 代表となる口径の複合単価 価格式 給水配管関連の価格 = 換算長さ (m) 指標合成単価 ( 円 /m) 指標合成単価 : 代表となる口径の合成単価 給水配管の複合単価による換算の可能性について 25A を指標合成単価とし 各口径の複合及び合成単価を用いて 様々な規模の建物について検証を行った結果を表 3と図 6に示す 表 3 給水配管の複合単価による換算の検証 ( 直結給水方式 :25A の複合及び合成単価の場合 ) 建物規模モデル ( 延べ床面積 ) 75 形 (682 m2 ) 75 形 (841 m2 ) 75 形 (988 m2 ) 15 形 (1,94 m2 ) 15 形 (1,34 m2 ) 15 形 (1,634 m2 ) 1 Σ( 実長さ 複合単価 ) 551,34 484,62 539,98 494,88 1,62,52 95,88 2 算長さ (1 3,18) 173 152 17 156 334 285 3 2 合成単価 (4,93) 852,89 754,29 838,1 769,8 1,646,62 1,45,5 4 Σ( 実長さ 合成単価 ) 877,65 759,5 87,63 737,46 1,596,37 1,44,74 5 比率 (3/4).97.99 1.4 1.4 1.3.98 直結給水方式は小規模施設が主であり 完成施設において75 形 15 形に集中したため 75 15 形それぞれ3 施設を抽出した 各モデルの5 比率 (3/4) の値が1に近い値であることから サンプルと同程度の構成比率であれば 概算額の算定として使用可能であると考察する 換算長さ (m) 4 35 3 25 2 167 15 1 y =.7257x.787 R² =.38 換算合計累乗 ( 換算合計 ) 5 2 4 6 8 1, 1,2 1,4 1,6 1,8 2, 図 6 給水配管延べ面積あたりの換算長さ ( 複合単価 (25SU) 換算 ) 78
( 例 ) 延べ面積 1, m2の庁舎の給水配管関連工事の直接工事費を求める 延べ面積あたりの換算長さ: Y =.7257 Ⅹ.787 より 約 167m 概算額: 換算長さ 指標合成単価 (25SU) より 167 4,93 823,31 円 b. 換算方法によるコスト算出手法 2 給水配管の数量から換算する手法 冷却水配管と同様に 各口径の配管の長さを特定の口径 ( 指標口径 ) に換算する換算係数として ( 口径 + Y) / ( 指標口径 + Y) を用いた手法について述べる 換算式 換算長さ = Σ( 口径ごとの長さ 換算係数 )(m) 換算係数 : ( 口径 + Y) / ( 指標口径 + Y) 価格式 給水配管関連の価格 = 換算長さ (m) 指標合成単価 ( 円 /m) 指標合成単価 : 代表となる口径における合成単価 Yは指標合成単価と ( 口径毎の合成単価 / 換算係数 ) の比が一定になるよう設定する定数で 直結給水方式 ( 実績の口径 2SU~5SU) において指標口径を価格割合が大きい口径として25SU で試算をした結果 Y=5が最も近似する数値となった 換算は屋内一般配管を標準とする 機械室内の配管は 図 7の1 屋内一般配管と2 機械室配管の比率がおおよそ1.2 倍であることから 換算係数を ( 口径 + Y) 1.2 / ( 指標口径 + Y) として換算を行う 試算結果を図 8に示す ( 例 )Y=5を代入して換算した 25SU と4SU 換算の単価比較 = 4,93 : 6,98 / ((4 + 5)/(25 + 5)) = 4,93 : 4,653 1 : 1 合成単価 ( 円 /m)/ 換算係数 25A を 1 とした単価比率 18 16 14 12 1 8 6 4 2 127 131 127 13 99 1 97 98 81 82 78 79 1 ( 口径 +5) での加工した合成単価 ( 円 /m)(125su 基準 ) 3 呼び径で加工した合成単価 ( 円 /m)(325su 基準 ) 2 機械室 ( 口径 +5) で加工した合成単価 ( 円 /m)(125su 基準 ) 4 ( 口径 +5) で加工した配管の複合単価 ( 円 /m)(125su 基準 ) 12 9 129 96 72 75 図 7 給水配管の口径別合成単価比率 14 14 138 13 16 15 8 8 78 2 25 3 4 5 6 8 1 125 15 口径 (SU) 166 126 95 79
換算長さ (m) 4 35 3 25 y =.7515x.7829 R² =.3718 2 168 15 1 5 換算長さ累乗 ( 換算長さ ) 2 4 6 8 1, 1,2 1,4 1,6 1,8 2, 図 8 給水配管延べ面積あたりの換算長さ ( 換算係数 (25 + 5) 換算 ) ( 例 ) 延べ面積 1, m2の庁舎の給水配管関連工事の直接工事費を求める 延べ面積あたりの換算長さ : Y =.7515 Ⅹ.7829 より 約 168m 概算額: 換算長さ 指標合成単価 (25SU) より 168 4,93 828,24 円 直結給水方式における手法 1 及び手法 2で求めた近似式は 類似しているが 決定係数 R 2 は.38であり相関関係はかなり低いので 使用するにあたっては注意が必要 2 高置水槽方式 a. 換算方法によるコスト算出手法 1 給水配管の合計金額から換算する手法 ここでは 給水配管の合計金額 ( 円 ) を特定の口径の複合単価 ( 指標複合単価 ) により換算配管数量を求め 概算額を算出する手法について述べる 換算式 換算長さ = 給水配管の合計金額 ( 円 ) / ( 指標複合単価 )(m) 給水配管の合計金額 : Σ( 口径毎の実長さ ( 口径毎の複合単価 )) 指標複合単価 : 代表となる口径の複合単価 価格式 給水配管関連の価格 = 換算長さ (m) 指標合成単価 ( 円 /m) 指標合成単価 : 代表となる口径の合成単価 給水配管の複合単価による換算の可能性について 価格割合が大きい3SU を指標合成単価とし 各口径の複合及び合成単価を用いて 様々な規模の建物について検証を行った結果を表 4 と図 9に示す 8
表 4 給水配管の複合単価による換算の検証 ( 高置水槽方式 :3SU の複合及び合成単価の場合 ) 建物規模モデル ( 延べ床面積 ) 6 形 (6,97 m2 ) 6 形 (9,255 m2 ) 15 形 (12,42 m2 ) 15 形 (18,578 m2 ) 3 形 (26,349 m2 ) 3 形 (3,395 m2 ) 1 Σ( 実長さ 複合単価 ) 5,542,92 9,275,81 5,456,19 8,715,69 18,566,21 24,935,12 2 換算長さ (1 3,88) 1,429 2,391 1,46 2,246 4,785 6,427 3 2 合成単価 (5,72) 8,173,88 13,676,52 8,42,32 12,847,12 27,37,2 36,762,44 1 Σ( 実長さ 合成単価 ) 8,6,88 13,487,74 7,833,7 12,329,17 26,643,73 35,474,63 5 比率 (3/4) 1.1 1.1 1.3 1.4 1.3 1.4 高置水槽方式は中規模から大規模での採用が主であり 完成施設において6 形以上に集中したため 6 15 3 形それぞれ2 施設を抽出した 各モデルの5 比率 (3/4) の値が 1に近い値であることから サンプルと同程度の構成比率であれば 概算額の算定として使用可能であると考察する 換算長さ (m) 7, 6, y =.1885x 1.19 R² =.918 5, 4, 3,84 3, 2,45 2, 1, y =.243x 1.1632 R² = 1 換算合計 (1 系統 ) 換算合計 (2 系統 ) 累乗 ( 換算合計 (1 系統 )) 累乗 ( 換算合計 (2 系統 )) 5, 1, 15, 2, 25, 3, 35, 図 9 給水配管延べ面積あたりの換算長さ ( 複合単価 (3SU) 換算 ) ( 例 ) 延べ面積 2, m2の給水配管関係工事費の直接工事費を求める 1 給水配管方式 2 系統 延べ面積あたりの換算長さ : Y =.1857 Ⅹ 1.19 より 約 3,84m 概算額: 換算長さ 指標合成単価 (3SU) より 3,84 5,72 21,965, 円 2 給水配管方式 1 系統 延べ面積あたりの換算長さ : Y =.243 Ⅹ 1.1632 より 約 2,45m 概算額 : 2,45m 5,72 円 /m 14,14, 円 81
b. 換算方法によるコスト算出手法 2 給水配管の数量から換算する手法 冷却水配管と同様に 各口径の配管の長さを特定の口径 ( 指標口径 ) に換算する換算係数として ( 口径 + Y) / ( 指標口径 + Y) を用いた手法について述べる 換算式 換算長さ = Σ ( 口径ごとの長さ 換算係数 )(m) 換算係数 : ( 口径 + Y) / ( 指標口径 + Y) 価格式 給水配管関連価格 = 換算長さ (m) 指標合成単価 ( 円 /m) 指標合成単価 : 代表となる口径における合成単価 Yは指標合成単価と ( 口径毎の合成単価 / 換算係数 ) の比が一定になるよう設定する定数で 高置水槽方式において指標口径で 試算した結果 3SU Y=が最も近似する数値となった 機械室内の配管は 1 直結給水と同様に 換算係数を ( 呼び径 + Y) 1.2 / ( 指標呼び径 + Y) として換算を行った試算結果を図 1に示す 3,743 3,743 2,45 2,45 図 1 給水配管延べ面積あたりの換算長さ ( 換算係数 (3 + ) 換算 ) ( 例 ) 延べ面積 2, m2の給水配管関係工事費の直接工事費を求める 1 給水配管方式 2 系統 延べ面積あたりの換算長さ : Y =.226 Ⅹ.992 より 約 3,743m 概算額 : 換算長さ 指標合成単価 (3SU) より 3,743 5,72 21,41, 円 2 給水配管方式 1 系統 延べ面積あたりの換算長さ : Y =.228 Ⅹ 1.1671 より 約 2,4m 概算額 : 2,4m 5,72 円 /m 13,728, 円 82
給水配管方式には 飲用系と雑用水系を同一の配管系で給水する場合 (1 系統 ) と 飲用系と雑用水系を別々の配管系で給水 (2 系統 ) する方式の2つの方式がある 図 9 及び図 1は完成施設の実績より1 系統 2 系統における近似式である 1 系統のサンプルが2 点しかないため相関はしているが利用には注意が必要である なお 2 系統の近似式との比率では1 系統の数量は2 系統の65% となった 3ポンプ加圧方式 a. 換算方法によるコスト算出手法 1 給水配管の合計金額から換算する手法 ここでは 給水配管の合計金額 ( 円 ) を特定の口径の複合単価 ( 指標複合単価 ) により換算配管長さを求め 概算額を算出する手法について述べる 換算式 換算長さ = 給水配管の合計金額 ( 円 ) / ( 指標複合単価 )(m) 給水配管の合計金額 : Σ ( 口径毎の実長さ ( 口径毎の複合単価 )) 指標複合単価 : 代表となる口径の複合単価 価格式 給水配管関連の価格 = 換算長さ (m) 指標合成単価 ( 円 /m) 指標合成単価 : 代表となる口径の合成単価 給水配管の複合単価による換算の可能性について 価格割合が大きい1SU を指標合成単価とし 各口径の複合及び合成単価を用いて 様々な規模の建物について検証を行った結果を表 5と図 11に示す 表 5 給水配管の複合単価による換算の検証 ( ホ ンフ 加圧方式 :1SU の複合及び合成単価の場合 ) 建物規模モデル ( 延べ床面積 ) 75 形 (746 m2 ) 15 形 (1,562 m2 ) 3 形 (2,97 m2 ) 6 形 (6,954 m2 ) 15 形 (13,647 m2 ) 3 形 (31,46 m2 ) 1 ( 実長さ 複合単価 ) 79,9 1,6,88 2,382,42 4,669,12 7,986,22 11,365,61 2 換算長さ (1 12,4) 57 86 192 377 644 917 3 2 合成単価 (16,8) 957,6 1,444,8 3,225,6 6,333,6 1,819,2 15,45,6 4 Σ( 実長さ 合成単価 ) 1,63,91 1,561,55 3,585,4 6,876,65 11,51,85 16,52,56 5 比率 (3/4).9.93.9.92.94.93 ホ ンフ 加圧方式は小規模から大規模での採用があり 完成施設においても各モデルより施設を抽出した 近似式において決定係数 R 2 が最も大きくなる口径での試算の結果 各モデルの5 比率 (3/4) の値が.9に近い値で揃っていることからサンプルと同程度の構成比率であれば 概算額の算定として使用可能であると考察する 83
換算長さ (m) 1,2 1, y = 1.1272x.6588 R² =.934 8 768 69 6 y =.3723x.7472 R² =.7148 4 2 換算合計 (1 系統 ) 換算合計 (2 系統 ) 累乗 ( 換算合計 (1 系統 )) 累乗 ( 換算合計 (2 系統 )) 5, 1, 15, 2, 25, 3, 35, 図 11 給水配管延べ面積あたりの換算長さ ( 複合単価 (1SU) 換算 ) ( 例 ) 延べ面積 2,m2の給水配管関係工事費の直接工事費を求める なお 換算式より求められた換算長さには表 55 比率より (1 /.9 1.1) の補正を行う 1 給水配管方式 2 系統 延べ面積あたりの換算長さ : Y = 1.12772 Ⅹ.6588 より 約 768 1.1 = 845m 概算額 : 換算長さ 指標合成単価 (1SU) より 845m 16,8 14,196, 円 2 給水配管方式 1 系統 延べ面積あたりの換算長さ : Y =.3723 Ⅹ.7472 より 約 69 1.1 = 67m 概算額 : 67m 16,8 円 /m 11,256, 円 b. 換算方法によるコスト算出手法 2 給水配管の数量から換算する手法 冷却水配管と同様に 各口径の配管の長さを特定の口径 ( 指標口径 ) に換算する換算係数として ( 口径 + Y) / ( 指標口径 + Y) を用いた手法について述べる 換算式 換算長さ = Σ ( 口径ごとの長さ 換算係数 )(m) 換算係数 : ( 口径 + Y) / ( 指標口径 + Y) 価格式 給水配管関連の価格 = 換算長さ (m) 指標合成単価 ( 円 /m) 指標合成単価 : 代表となる口径における合成単価 Yは指標合成単価と ( 口径毎の合成単価 / 換算係数 ) の比が一定になるよう設定する定数で 高置水槽方式において指標口径及び係数のした結果 1A Y=5が最も近似する数値となった 機械室内の配管は 1 直結給水と同様に 換算係数を ( 呼び径 + Y) 1.2 / ( 指標呼び径 + Y) として換算を行った試算結果を図 12に示す 84
換算長さ (m) 1,2 1, 834 8 y = 1.226x.666 R² =.9298 y =.4545x.7334 R² =.739 648 6 4 2 換算合計 (1 系統 ) 換算合計 (2 系統 ) 累乗 ( 換算合計 (1 系統 )) 累乗 ( 換算合計 (2 系統 )) 5, 1, 15, 2, 25, 3, 35, 図 12 給水配管延べ面積あたりの換算長さ ( 換算係数 (1 + 5) 換算 ) ( 例 ) 延べ面積 2, m2の給水配管関係工事費の直接工事費を求める 1 給水配管方式 2 系統 延べ面積あたりの換算長さ: Y = 1.1226 Ⅹ.666 より 約 834m 概算額: 換算長さ 指標合成単価 (1SU) より 834m 16,8 14,11,2 円 2 給水配管方式 1 系統 延べ面積あたりの換算長さ : Y =.4545 Ⅹ.7334 より 約 648m 概算額 : 648m 16,8 円 /m 1,886,4 円 3.3 給排水衛生設備配管 ( 排水配管 ) の概算手法排水設備の配管には 汚水管 雑排水管及び衛生器具との接続配管としての鉛管の3 種類がある サンプルにおける延べ配管長と延べ面積の相関について検討した結果を図 13に示す 各配管共相関を確認できたが 鉛管については相関がかなり低くいことからここでの検討外とした また 排水の方式としては 汚水 雑排水を1 系統で流す合流方式 汚水 雑排水を2 系統で流す分流方式 の2 方式に区分できる ここでは 実績値を利用し2 種類の排水方式において検討する なお 昨年度排水用鋳鉄管の製造が中止されたことから 排水用塩ビライニング鋼管で検討を行うこととした 検討に用いる排水配管の合成単価の構成については図 14による 85
延べ配管長 (m) 25 2 15 排水管長汚水管のみ鉛管長線形 ( 排水管長 ) 線形 ( 汚水管のみ ) 線形 ( 鉛管長 ) y =.727x + 51.681 R² =.923 y =.66x 16.9 R² =.8288 1 5 y =.31x + 29.998 R² =.2995 5, 1, 15, 2, 25, 3, 35, 図 13 排水配管の延べ面積当たりの延べ長さ 合成単価 ( 円 ) 4, 35, 3, 25, 2, 15, ( デッキプレート開口切断 ) 必要に応じ計上する項目であり ここでは 円としている ( デッキプレート開口切断 ) 形鋼振れ止め支持スリーブ保温配管 保温 : 天井内 GW( アルミカ ラスクロス ) 15,4 1, 5, 11,2 2 25 32 4 5 65 8 1 125 15 2 25 3 図 14 排水配管の呼び径別合成単価の構成 口径 (A) a. 換算方法によるコスト算出手法 1 排水配管の合計金額から換算する手法 ここでは 排水配管の合計金額 ( 円 ) を特定の口径の複合単価 ( 指標複合単価 ) により換算配管長さを求め 概算額を算出する手法について述べる 換算式 換算長さ = 排水配管の合計金額 ( 円 ) / ( 指標複合単価 )(m) 排水配管の合計金額 : Σ ( 口径毎の実長さ ( 口径毎の複合単価 )) 指標複合単価 : 代表となる口径の複合単価 価格式 排水配管関連の価格 = 換算長さ (m) 指標合成単価 ( 円 /m) 指標合成単価 : 代表となる口径の合成単価 排水配管の複合単価による換算の可能性について 1A を指標合成単価とし 各口径の複合及び合成単価を用いて 様々な規模の建物について検証を行った結果を表 6 及び図 15に示す 86
表 6 排水配管の複合単価による換算の検証 (1A の複合及び合成単価の場合 ) 建物規模モデル ( 延べ床面積 ) 75 形 (746 m2 ) 15 形 (1,562 m2 ) 3 形 (3,74 m2 ) 6 形 (6,954 m2 ) 15 形 (13,647 m2 ) 3 形 (31,46 m2 ) 1 Σ( 実長さ 複合単価 ) 875,79 1,346,53 1,583,53 9,392,71 11,997,16 19,22,4 2 換算長さ (1 11,2) 78 12 141 839 1,71 1,715 3 2 合成単価 (15,4) 1,21,2 1,848, 2,171,4 12,92,6 16,493,4 26,411, 4 Σ( 実長さ 合成単価 ) 1,2,61 1,834,65 2,135,83 12,799,7 16,274,45 26,463,4 5 比率 (3/4) 1. 1.1 1.2 1.1 1.1 1. 各モデルの5 比率 (3/4) の値が1に近い値であることから サンプルと同程度の構成比率であれば 概算額の算定として使用可能であると考察する 延べ長さ (m) 2,5 2, 1,5 1,37 1,24 1, 5 y =.685x + 24.365 R² =.94 y =.575x + 65.22 R² =.9565 換算長さ ( 合流 ) 換算長さ ( 分流 ) 線形 ( 換算長さ ( 合流 )) 線形 ( 換算長さ ( 分流 )) 5, 1, 15, 2, 25, 3, 35, 図 15 排水配管延べ面積あたりの換算長さ ( 複合単価 (1A) 換算 ) ( 例 ) 延べ面積 2, m2の庁舎の排水配管関連工事の直接工事費を求める 1 合流方式 延べ面積あたりの換算長さ図または 近似線の計算式 Y =.685 X + 24.365 より排水配管の換算長さは約 1,37m 排水配管関連の価格( 換算長さ 指標合成単価 (1A より ) 1,37m 15,4 円 /m = 21,98, 円 2 分流方式 延べ面積あたりの換算長さ図または 近似線の計算式 Y =.575 X + 65.22 より排水配管の換算長さは約 1,24m 排水配管関連の価格( 換算長さ 指標合成単価 (1A より ) 1,24m 15,4 円 /m = 18,541,6 円 87
b. 換算方法によるコスト算出手法 2 排水配管の数量から換算する手法 ここでは 呼び径毎の数量を特定の口径 ( 指標口径 ) に換算する換算係数として ( 口径 + Y) / ( 指標口径 + Y) を用いた手法について以下に述べる 換算式 換算長さ = Σ( 口径ごとの長さ 換算係数 )(m) 換算係数 : ( 口径 + Y) / ( 指標口径 + Y) 価格式 排水配管関連の価格 = 換算長さ (m) 指標合成単価 ( 円 /m) 指標合成単価 : 代表となる口径における合成単価 Yは指標合成単価と ( 口径毎の合成単価 / 換算係数 ) の比が一定になるよう設定する定数で 試算した結果 指標口径は1A Y=11が最も近似する数値となった 機械室内の配管は 図 16の 1 屋内一般配管と2 機械室配管の比率がおおよそ1.14 倍であることから 換算係数を ( 口径 + Y) 1.14 / ( 指標口径 + Y) として換算を行う 試算結果を図 17に示す 合成単価 ( 円 /m)/ 換算係数 1A を 1 とした単価比率 16 14 12 1 8 6 114 114 99 1 119 14 72 72 72 1 ( 口径 +11) での加工した合成単価 ( 円 /m)(11a 基準 ) 2 機械室 ( 口径 +11) で加工した合成単価 ( 円 /m)(11a 基準 ) 3 口径で加工した合成単価 ( 円 /m)(31a 基準 ) 4 ( 口径 +11) で加工した配管の複合単価 ( 円 /m)(11a 基準 ) 17 94 63 115 114 11 99 66 64 123 17 7 145 126 79 4 2 4 5 65 8 1 125 15 2 口径 (A) 図 16 排水配管の口径別合成単価比率 換算長さ (m) 2,5 2, 1,5 y =.672x + 25.51 R² =.99 y =.57x + 63.769 R² =.9589 1, 5 換算長さ ( 合流 ) 換算長さ ( 分流 ) 線形 ( 換算長さ ( 分流 )) 線形 ( 換算長さ ( 合流 )) 5, 1, 15, 2, 25, 3, 35, 図 17 排水配管延べ面積あたりの換算長さ ( 換算係数 (1 + 11) 換算 ) 88
( 例 ) 延べ面積 2, m2の庁舎の排水配管関連工事の直接工事費を求める 1 合流方式 延べ面積あたりの換算長さ図または 近似線の計算式 Y =.672 X + 25.51 より排水配管の換算長さは約 1,394m 排水配管関連の価格( 換算長さ 指標合成単価 (1A より ) 1,394m 15,4 円 /m = 21,467,6 円 2 分流方式 延べ面積あたりの換算長さ図または 近似線の計算式 Y =.57 X + 63.769 より排水配管の換算長さは約 1,215m 排水配管関連の価格( 換算長さ 指標合成単価 (1A より ) 1,215m 15,4 円 /m = 18,711, 円 4 まとめ 今回検討した空気調和設備の冷却水配管 給排水衛生設備の給水配管 排水配管の換算方式による概算金額の算出方法は システム検討を行う設計の初期段階から数量等が明確になる実施設計段階など 設計の各段階において換算方法の使い分けを行うことで充分使用する事が可能と考えられる システムの違いへの対応についても ここで検討した給水方式 排水方式の違いによる分析結果より 十分対応可能な算定方法と考えられる また 材料および仕様の違いへの対応方法は 換算長さに乗ずる合成単価を構成する部材の単価を変更することで対応可能であり 地域等による単価の違いも同様の手法で対応可能と考えられる 以上から ここで検討した手法は 2 概算手法としての必要事項 で設定した条件を ほぼ満足する結果となっている なお ここで検討した各部材の概算に用いる係数等については 分析に採用したサンプル施設における傾向を示した数値等です 今回システム別の分析において サンプル不足により1 万m2を超えるサンプルが1~2 施設となっており この特定の施設により係数等に影響が出ていることが推察されます 今回は空気調和設備及び給排水衛生設備の配管について検討を行ったが 各検討において モデルとなる大規模施設が少ないことから 大規模施設のサンプルを増やしよりデータの精査を進めると共に 今後他の項目についても検証を進めていきたい 89