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ください 5 画像の保存 取扱い防犯カメラの画像が外部に漏れることのないよう 一定のルールに基づき慎重な管理を行ってください (1) 取扱担当者の指定防犯カメラの設置者は 必要と認める場合は 防犯カメラ モニター 録画装置等の操作を行う取扱担当者を指定してください この場合 管理責任者及び取扱担当者

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不動産に係る情報ストックシステム 基本構想 平成 26 年 3 月 国土交通省土地 建設産業局不動産業課

不動産に係る情報ストックシステム 基本構想 < 目次 > 1. はじめに 1 2. 情報ストックシステム構築の目的 1 3. 情報ストックシステムの概要 2 (1) 情報ストックシステム全体構成 (2) レインズとの関係 (3) 情報の集約 1 集約すべき情報項目 2 集約又は連携の方法 (4) 情報の提供 1 情報ストックシステムの利用者 2 情報の提供方法 3 情報ストックシステムの利用場面 利用方法 4 情報ストックシステム導入による効果 メリット 4. 情報ストックシステムの運営 (1) 運営体制 (2) 運営に係る費用負担 10 5. 情報ストックシステムの構築 運用に向けたスケジュール (1) プロトタイプシステムによる試行運用及び効果等の検証 (2) 試行運用を踏まえたシステムの本格構築 運用 10 6. 基本構想実現に向けての課題と対応方針 11 (1) 個人情報保護 情報の最新性 正確性に係る課題と対応 (2) 集約する情報の充実に係る課題と対応 (3) レインズとの連携に係る課題と対応 (4) 技術面に係る課題と対応 7. 基本構想の取り扱いについて 13

1. はじめに 不動産流通市場活性化フォーラム の提言( 平成 24 年 6 月 ) において 物件情報提供の充実及びそのためのシステム等の整備など 市場における 情報の非対称性 を克服するための方策の必要性が指摘された さらに 上記提言を受け設置された 不動産流通市場における情報整備のあり方研究会 では 不動産に係る情報ストック整備のあり方に関する基本的な課題と方向性の検討を行い 不動産ストック整備の具体的なシステムに関する検討は 平成 25 年度において予算措置を講じて 専門的見地からの調査 研究を行い システムの構想を策定するべき との提言がなされたところである ( 平成 24 年 9 月 ) 上記とりまとめを受け 国土交通省においては 平成 25 年度に不動産流通に関して専門的な知識 経験を有する学識者 関連団体等からなる 不動産に係る情報ストックシステム検討 WG を開催し 不動産に係る情報ストックシステムの具体的な構築 運用に必要な以下の事項について各委員から意見を伺った 1 集約すべき情報項目及びその集約方法 2 情報ストックシステムの利用者の範囲及び利用方法 3 情報ストックシステムの運営主体 費用負担 4 本格運用に向けたスケジュール 本構想は 同 WGでの意見を踏まえ 中古住宅の売買取引に必要となるさまざまな情報を効率的に集約 管理し 宅建事業者から消費者に対して情報を適時適切に提供することを可能とする情報ストックシステムの構築 運用に向け そのシステムの基本的な内容を定めることを目的に策定するものである 2. 情報ストックシステム構築の目的 本格的な少子高齢化社会の到来や人口 世帯の減少を迎える我が国においては 既存の住宅ストック数が世帯数を上回るとともに 空き家の増加に直面しており 良質な不動産ストックを活用していくことが喫緊の課題となっている 平成 25 年 6 月 14 日に閣議決定された 日本再興戦略 においても 2020 年までに中古住宅流通市場 リフォーム市場規模を2 倍 (20 兆円 ) に拡大させるという目標を掲げたところであるが 我が国の住宅流通量に占める中古住宅のシェアは 欧米諸国と比べ 依然として低い状態にあり この目標を達成するためには 流通の阻害要因を的確に見極め これに対応していく必要がある この点 中古住宅は新築住宅と異なり 売買取引の際に必要な情報が複雑かつ各方面に散逸していることが多く 宅地建物取引業者の調査 情報集約に係る負担やコストが大きいことなどから 消費者に対して充実した情報を適時 適切に提供することが困難であることが流通促進の課題となっている 1

このような課題に対応するためには 宅建業者が容易に不動産に係る各種の情報を入手し 消費者に対し適時 適切に提供できるよう 不動産取引に関する情報を集約 管理 提供するシステムを整備することが必要である また このようなシステムの整備により 宅建業者から消費者に対して提供される情報が充実するのみならず 修繕履歴等個別建物に関する情報が他の不動産情報と一緒に提供されることにより 例えば 維持管理状況を勘案した物件価格の妥当性に関するコンサルティングやリフォームに係るコンサルティング等宅建業者による幅広いサービスが可能となる このように 情報を集約 管理 提供するシステムを市場インフラとして導入することにより 宅建業者から消費者への適時 適切かつ幅広い情報提供 コンサルティングサービスが普及 定着することが期待される 本システムは このように宅建業者による消費者への情報提供の充実を通じて不動産流通市場の透明性 効率性を向上し もって不動産流通市場の活性化を図ることを目的として構築を検討するものである 3. 情報ストックシステムの概要 (1) 情報ストックシステム全体構成 情報ストックシステムの機能は 大きく 1 情報集約機能 ( インプット ) 2 情報提供機能 ( アウトプット ) 3 情報蓄積管理機能 ( データベース ) の3つの要素から構成する 本構想では このうち システムのありようを決定づける1 情報集約機能に関する事項と2 情報提供機能に関する事項についてその基本的内容を定めるものとする 図 1 情報ストックシステム全体構成イメージ 情報収集 ( インプット ) 情報提供 ( アウトプット ) 情報ストックシステム レインズ 情報保有機関 レインズ 行政機関 ( 国 地方自治体 ) インフラ提供機関 民間サイトなど 地理空間情報等のオープンデータを積極的に活用 情報集約 物件情報 周辺地域情報 データ項目 取引履歴情報 ( レインズ成約情報等 ) 住宅履歴情報マンション管理情報 用途地域等都市計画情報 周辺の価格情報 ( 地価公示 取引価格情報等 ) 周辺環境に関する情報 ( ハサ ート マッフ 公共施設 学区情報等 ) レインズシステムと連携して情報利活用 一部の公開情報につき消費者に情報提供 宅建業者 宅建業者から消費者に情報提供 消費者 インフラ情報 情報蓄積機能 2

(2) レインズとの関係レインズは 宅建業者間で広く取引物件に係る情報を交換することにより 円滑な取引の成立を促すことを目的としており そのために必要な情報を管理 提供する役割を担っている 一方で 情報ストックシステムは 宅建業者から消費者に対する不動産に係る情報提供やコンサルティング等のサービスの充実を目的としており そのために必要な情報を集約 管理 提供する役割を担っている 双方のシステムはそれぞれ役割が異なるが レインズが保有する成約情報を情報ストックシステムに集約し また レインズを利用する際に情報ストックシステムをあわせて利用できるようにすることで 宅建業者から消費者に対して提供する情報が充実し レインズを通じた不動産取引の円滑化に資すると考えられることから 双方のシステムを効果的に連携する仕組みとすることが重要である (3) 情報の集約 1 集約すべき情報項目 情報ストックシステムで集約する情報項目は 中古住宅の取引にあたって宅建業者および消費者が必要とするものを対象とするが これらは大きく1) 物件情報 2) 周辺地域情報の2 種類に分類される このうち 1) 物件情報については 過去の取引履歴情報 ( レインズの成約情報 ) 住宅履歴情報及びマンションの管理に係る情報がある また 2) 周辺地域情報については インフラの整備状況 都市計画等各種法令制限の情報 ハザードマップ 浸水想定区域等防災関係情報 周辺の公共施設等の立地状況 学区に係る情報及び周辺の不動産価格に関する情報がある ( 図 2 参照 ) 過去の取引履歴情報 ( レインズ成約情報 ) 等の物件情報と 都市計画法等の法規制情報 公共施設の位置等周辺地域情報を一覧性を持って提供することで 宅建業者から消費者に対し 充実した情報提供を行うことが可能となるのみならず これらの情報を組み合わせたコンサルティング ( 例えば 過去の成約価格 ( レインズの成約情報 ) や周辺の取引相場 ( 周辺の不動産価格に関する情報 ) 住宅の性能や過去の維持管理状況 ( 住宅履歴情報 ) をもとに売買物件の価格の妥当性についてコンサルティング ) が行われることが期待され システムの利便性に繋がることから 両者の情報を幅広く集約することが不可欠である また 中古住宅の売買取引においては 住宅の質に対する不安が流通の阻害要因となっているとの指摘が存在するところであり 住宅履歴情報やマンション管理情報を集約し 住宅の性能や維持管理に関する情報が宅建業者から消費者に適切に提供されるようにすることが重要である 3

物件情報 周辺地域情報 図 2 集約する情報項目 情報項目物件の過去の取引履歴 成約価格 成約時の物件の状態( 間取り等 ) 住宅履歴情報 建築計画の概要 設計図書等 建築確認済証 住宅性能表示等各種認定等に係る情報 瑕疵保険等保険の利用に関する情報 住宅の維持保全に係る履歴マンション管理情報 管理情報( 管理会社への委託等 ) 会計情報( 管理費 修繕積立金等 ) 修繕履歴 修繕計画 管理規約等インフラの整備状況 ガス 電気 上下水道法令制限の情報 区域区分 地域地区 容積 建ぺい率 防火地域 準防火地域等の都市計画情報ハザードマップ 浸水想定区域等 周辺の公共施設の立地状況 学区情報 市町村役場 医療機関 消防署 警察署 小学校区 都市公園等 周辺の不動産価格に関する情報 取引価格情報 地価公示 地価調査 RMI 固定資産税路線価 情報保有 管理主体レインズ 売り主 ( ただし 住宅履歴情報蓄積機関 ( 一社 ) 住宅履歴情報蓄積 活用推進協議会が保管 ) マンション管理組合 ( マンション管理業者 ) ( 公財 ) マンション管理センター 一部のマンション管理組合の情報に限る 自治体 インフラ提供会社 自治体 国交省 自治体国交省 民間情報提供会社 国交省 自治体等 上記情報項目は 情報ストックシステムに集約する必要性が高いと考えられるものであって かつ 技術的に集約が可能と考えられるものを挙げている 現時点においてこれらの情報項目が全ての情報保有機関について集約可能であるわけではないが 調整が整ったものから集約を行うこととし 情報公開の進展等に伴い 対象とする情報を随時拡大していくものとする また 集約対象とする情報項目についても 今後利用者のニーズや試行運用 ( 後述 ) による検証の結果等を踏まえ 随時見直されていくべきものである なお 行政機関が保有する情報については 現在 政府全体をあげてオープンデータに向けた取組を推進しているところであり 関連施策と連携しながら 集約可能な行政情報を積極的に活用していくこととする 2 集約又は連携の方法 情報の集約又は連携の方法については 以下の4パターンに分類できる 1) 紙情報を電子化したうえでデータベースに登録 2) 電子媒体に格納されたデータを変換したうえでデータベースに登録 3) 別途稼働しているデータベースから定期的にデータを抽出して転送 登録 4) 別途稼働しているデータベースからリアルタイムにデータを抽出して表示 4

図 3 情報の集約又は連携のパターン ( イメージ ) パターン 1) パターン 3) パターン 2) パターン 4) いずれの方法により集約又は連携するかは 集約する情報がどのような状態で蓄積 保管されているかに依存するものであるが 集約の効率性や 情報の最新性 正確性を担保する観点から 可能な限り 別途稼働しているデータベース等から定期的にデータを抽出して転送登録 ( パターン3)) 又はリアルタイムにデータを抽出し表示 ( パターン4)) することが望ましい (4) 情報の提供 1 情報ストックシステムの利用者 情報ストックシステムから情報提供を受ける者 ( システムの利用者 ) としては 主に 中古住宅の売買取引において中心的な役割を担う宅建業者を想定する 消費者 ( 売主 買主 ) に対する情報提供については 情報ストックシステムから提供する情報の性質によって 宅建事業者経由で提供するか 消費者に対して直接提供するか その提供方法を区別して考えるべきである つまり 個人情報に該当し 個人情報保護法等関連法規の規定に基づく取り扱いが必要な情報項目 ( レインズの成約情報及び住宅履歴情報 ) については 宅建業法上の守秘義務がかかる宅建業者により適切な措置を講じた上で提供されることが適当である また 個人情報に当たらない情報であっても 一般に公開されることが予定されていない情報 ( マンションの管理状況に係る情報及びインフラの提供状況に係る情報 ) については 消費者一般に公開するのではなく 各情報保有機関との調整の上 物件購入を検討中の仲介依頼者等限定された範囲の消費者に対し 宅建業者を通じて提供することが適当である 一方 周辺の取引相場や公共施設 ハザードマップ等 既に一般に公開されている情報は消費者に対して直接提供することも可能と考えられる 2 情報の提供方法 さらに 本システムは レインズシステムと適切に連携し 宅建業者がレインズシステムを利用する際にあわせて利用できるものとすることが重要である 例え 5

ば レインズシステム上で登録された売買物件の情報を確認する際に 情報ストックシステムに簡易にアクセスし 情報ストックシステムにより集約された当該物件に係る周辺情報や 過去の取引履歴情報 住宅履歴情報等をあわせて確認できるようにすることで 中古住宅取引の場面において 宅建業者から物件購入を検討する消費者に適切に情報が提供されることが期待される 情報ストックシステムで集約した情報については 不動産取引に必要な情報を効率的に提供するというシステムの目的に鑑み 一つの画面で一覧性を持ち 利用者にとってわかりやすい形で提供されることが望ましい この場合 地理空間情報を活用し 物件の所在地と都市計画情報等法規制に関する情報や周辺施設に関する情報を一覧性をもって地図上に表示するなどして提供することが考えられる 図 4 宅建業者が参照する情報ストックシステム画面イメージ 東京都 区 町 1 丁目 1-1 物件 ( 住所 ) 付近の学校 病院等の周辺施設を地図上に表示 RMI 等の情報を基に周辺地域の月別価格推移を表示 レインズに登録された住所を基に 閲覧している物件の位置を画面上に表示 レインズ上で閲覧している物件の過去の成約価格を表示 物件周辺の用途地域 建ぺい率 容積率を表示 周辺施設との距離を表示 閲覧している物件の住宅履歴情報 マンション管理情報等へのリンクを表示 周辺の不動産取引価格を表形式で表示 また レインズ成約情報 住宅履歴情報等個別建物に係る情報については 特定の物件に紐づけて提供することが望ましい 特定の物件に紐づけられることにより 同一物件に係る複数の情報を一度に取得でき また 過去の成約情報を時系列での価格変化として示すことも可能となる このためには それぞれ別のデータベースから集約する情報を一つに名寄せするための方策を検討する必要がある 名寄せの方策の一つとしては 個別建物に係るそれぞれの情報に含まれる住所等物件を特定するための複数の情報項目 ( 住所 面積等 ) をもとに 同一と考えられる物件を情報ストックシステムが自動的に抽出し 同一物件について各種情報が名寄せされた状態で閲覧できる仕組みとすることが考えられる このように 6

物件を特定するための情報項目が共通してそろっていない場合は 同一の物件のみを特定できず システム上に複数の候補物件が現れ 利用者が目視判断で同一物件か否かを判断することが必要になるため 名寄せをより精度の高いものとするためには このような情報項目の登録内容が各情報間で共通していることが望ましい 具体的な画面イメージ 検索機能等は 実際の利用者のニーズを踏まえ決定する必要があることから 情報ストックシステム構築にあたっては 宅建業者等に対するヒアリング等を実施し そのニーズを把握した上で行うことが適当である 消費者に対して情報を直接提供する方法については 情報ストックシステムに消費者向けのインターフェースを設けることにこだわらず 消費者のユーザビリティ ( 使い勝手 ) を考慮し 公開情報を不動産ポータルサイトの運営事業者等に提供し 当該事業者が提供された情報を加工 編集して消費者に提供することも含め検討すべきである 3 情報ストックシステムの利用場面 利用方法 情報ストックシステムは 中古住宅の売買取引の中で 主に 1) 購入等希望者に対する物件案内 2) 売却等希望者から依頼された物件に関する調査の場面で宅建事業者に活用されることを想定する 例えば 1) 購入等希望者に対する物件案内については 客付 ( 買主側 ) の宅建事業者が 依頼者から提示された条件に合った物件を検索する際に 情報ストックシステムから 学区情報 周辺施設情報 ハザードマップ 過去の成約価格等の情報を取得し システムにより作成されたレポート等により 依頼者の条件に応じた物件を充実した情報を元に案内することなどを想定する 図 5 物件案内における情報ストックシステム利用イメージ 顧客依頼 情報検索 1 候補物件検索 情報整理 レポート作成 2 必要な情報の抽出 整理 3 レポート作成 物件案内 レインズで候補物件を検索 2 必要な情報の抽出 整理 法規制情報 区域区分 市街化区域 用途地域 第一種住居 容積 / 建蔽 300% / 60% 防火地域 過去の成約価格 前回 :XX 年 X 月 XXXX 万円 前々回 :XX 年 X 月 XXXX 万円 住宅履歴情報 登録の有無 あり 建築計画概要 マンション管理情報 登録の有無 あり マンション名 情報ストック 1 候補物件検索 インフラ情報道路情報 XX 市道路情報ガス配管 敷設図 (PDF) 3 わかりやすいレポートの作成 レインズの物件詳細画面から 該当する情報ストックシステム画面を呼び出し 7 資料 : 国土交通省土地総合情報システム HP 国土交通省国土数値情報ダウンロードサービス HP

顧客依頼 情報検索 1 候補物件特定 情報整理 レポート作成 2 必要な情報の抽出 整理 3 レポート作成 物件案内 駅周辺のマンションを探しているんですが 価格は買主 円くらいで ご希望の条件に合った物件を探してみますね あ この物件はいかがでしょうか 客付業者 物件レポート出力 消費者 同じ市内で物件を探しています 子供を転校させたくないのですが 学区を調べますね 町の物件か 町の物件なら同じ小学校に通えます! 学区情報 公園が近くにあるといいですね 小児科も近くにあった方が安心です 大雨や台風時の浸水や土砂災害は大丈夫でしょうか 子どもが大きくなったら住み替えることも考えていて 周辺地域を調べますね この物件は 公園 クリニックが近くにあります! 周辺地域情報ハザードマップを調べますね この地域は被害の可能性が低いと公表されています 過去の売買履歴を見ると価格があまり落ちてないですね 資産としても良い物件だと思います ハザードマップ成約価格 いま ご希望の条件にあう候補物件のレポートを出しますのでご覧ください よかったらこれからいくつか見に行きませんか? 自分の好みにあった間取りに変えたいんだけど 住宅履歴が残っているみたいです リ住宅履歴フォームもスムーズにいくかもしれません 資料 : 国土交通省土地総合情報システム HP 国土交通省国土数値情報ダウンロードサービス HP また 2) 売却等希望者から依頼された物件に関する物件調査については 元付 ( 売主側 ) の宅建事業者が 依頼者の物件に関して 情報ストックシステムから当該物件が存する地域の法令制限 周辺相場情報 周辺施設情報等を参照することで 適切な価格査定等に役立てることなどを想定する 図 6 物件調査における情報ストックシステム利用イメージ 売主確認 情報検索 情報確認 1 物件特定 2 物件情報詳細確認 3 周辺地域の情報確認 価格査定 売主からの物件情報の入手 情報ストックシステムによる検索 1 周辺地域の情報確認 周辺地域情報の例 価格水準推移 地価公示標準地価 周辺の取引価格事例 用途地域 容積率等 公共施設の場所 2 物件情報の詳細確認 法規制情報 区域区分 市街化区域 用途地域 第一種住居 容積 / 建蔽 300% / 60% 防火地域 過去の成約価格 前回 :XX 年 X 月 XXXX 万円 前々回 :XX 年 X 月 XXXX 万円 住宅履歴情報 登録の有無 あり 建築計画概要 マンション管理情報 登録の有無 あり マンション名 インフラ情報 道路情報 XX 市道路情報 ガス配管 敷設図 (PDF) より詳細な情報へのリンク 住宅履歴詳細情報 マンション管理詳細情報 インフラ情報 価格査定 資料 : 国土交通省土地総合情報システム HP 8

売主確認 情報検索 情報確認 1 物件特定 2 物件情報詳細確認 3 周辺地域の情報確認 価格査定 売主からの物件情報の入手 情報ストックシステムによる検索 価格査定 売主 元付業者 ハザードマップ周辺取引 価格情報近隣物件情報 大事に住んできた家だし なるべく高く売れると良いなあ 宜しくお願いします お任せください ちょっと調べてみますね ( 情報ストックシステムで検索 ) [ 周辺地域施設情報を見て ] 近くに病院がありますね 大きな公園もある スーパーも近いですし 周辺環境は良いですね [ 都市計画 ハザードマップを見て ] 第一種住居地域ですから周囲も静か 浸水 土砂災害の危険も低そうですね [ 周辺取引 価格情報を見て ] 最近 このあたりの物件の取引が活発ですね 人気があるエリアだと思います 価格も高水準を維持していますね [ 近隣物件情報を見て ] 近隣の物件も築年数の割に価格が高いし [ 価格査定 ] これならきっと高く売れるんじゃないでしょうか 売出価格の設定は相場より高めでいけると思います 4 情報ストックシステム導入による効果 メリット 情報ストックシステムを導入することにより 宅建業者が中古住宅に関するさまざまな情報を容易に入手できることとなるため 物件探しの早い段階から消費者に対しより充実した情報提供が行われることが期待される さらに 情報ストックシステムから得られる情報を用い 例えば周辺の価格相場等に基づいた価格に関する適切な助言や 物件の維持管理状況に即したリフォームに係るコンサルティング等 宅建業者による付加的なサービスの提供が行われることも期待される このように宅建業者による消費者に対する情報提供やコンサルティングが充実することにより 市場全体の透明性 効率性の向上や中古住宅取引に係る消費者の安全の確保につながり 中古住宅を中心とする不動産流通市場の活性化が期待される 図 7 情報ストックシステムから得られる情報を基にした宅建業者による付加的なサービス ( イメージ ) リフォーム履歴や耐震診断等の建物関連情報 管理組合等のマンション関連情報 法令上の制限等の行政情報の提供による改修への影響等のコンサルティング 物件の維持管理状況に即した価格の妥当性に係る助言 リフォームに係るコンサルティング 早期に物件判断に関わる多様な情報の提供が可能に 情報ストックシステム 資料 : 横浜市 HP エリア情報 学校 保育園 スーパー 医院 病院 介護施設 都市計画 ハザードマップ 資料 : 横浜市 HP 災害時避難場所 公園 緑地 仲介事業者 消費者 交通機関 学校 食料品店 レストラン 病院等の 周辺生活関連情報 の提供による物件探しの支援 当該エリアの相場や推移等の 価格情報 によるコンサルティング 資料 : 国土交通省土地総合情報システム HP 9

4. 情報ストックシステムの運営 (1) 運営体制 情報ストックシステムの運営は システム構築の目的及びシステムが取り扱う情報の性質に鑑み 以下の要件を満たす者が行うことが望ましいと考えられる 1 幅広く宅建事業者等が情報を利用できるよう 公平 公正 安価でのサービス提供ができること 2 個人情報等について個人情報保護法等の法令に基づき適切な取り扱いができること 3レインズとの適切かつ効果的な連携が期待できること 具体的な運営体制については 平成 26~27 年度に実施する試行検証の結果等も踏 まえ 本システムの理念や目的に合致するかたちで適切に構築する必要がある (2) 運営に係る費用負担 情報ストックシステムの運営に係る費用の負担については 受益者負担の考え方を基本としつつ 適切な収支バランスがとれるような事業モデルを構築する必要がある この場合 システムの整備 利用によりどのような主体がどのような利益を得ることができるのかを 今後試行運用 検証 ( 後述 ) により明らかにすることが重要である 5. 情報ストックシステムの構築 運用に向けたスケジュール (1) プロトタイプシステムによる試行運用及び効果等の検証 情報ストックシステムの本格構築 運用に先立ち プロトタイプシステムによる一部地域での試行運用を実施し 1 情報集約 提供等に係るシステム運営上の課題 2システム導入により期待される効果 メリットやシステムの機能等に関する課題 対応方策等の検証を行うこととする 試行運用の実施にあたっては プロトタイプシステム構築に係るコストを抑えつつ 本格運用システム構築時とほぼ同様の情報項目 機能を備えたものとするべく 既に行政情報の電子化 公開が相当程度進んでいる自治体と連携して行うことが望ましい 上記の観点から 試行運用の実施地域については 以下の条件に合致する地域を候補として選定する 1 対象地域において一定規模の不動産取引が行われていること 2 対象地域が都心部から地方部まで一定の広がりをもっており 市役所への移動等情報集約に係る負荷が大きく 情報ストックシステム導入による効果検 10

証に適していること 3 対象地域の行政情報の電子化 公開が相当程度進展していること 期間は平成 26~27 年度を予定し 平成 26 年度にプロトタイプシステムの構築を行い 平成 27 年度に一部地域における試行運用 検証を実施する 事業に係る経費については 国費による負担を検討するが 試行運用においては一部受益者による負担も検討する (2) 試行検証を踏まえた本格運用システムの構築 運用開始 平成 28 年度以降 プロトタイプシステムによる試行運用 検証の結果を踏まえ システム仕様や事業運営スキームを整理したうえで 本格運用のためのシステムの構築に向けた検討を行い 業界団体の参加 協力によりできる限り早期に運用を開始することを想定する なお 本格運用の開始に当たっては 運用開始時から全ての地域で全ての情報項目 機能の搭載を予定するのではなく 運用可能な地域において 集約可能な情報項目を搭載し 順次対象地域や搭載機能を拡充していくことが考えられる 図 8 想定スケジュール 平成 25 年度平成 26 年度平成 27 年度平成 28 年度平成 29 年度平成 30 年度 システム構築 試行 / 本格運用 基本構想 基本設計 プロト仕様書作成 プロト開発 試行運用 検証 仕様書作成 システム開発 本格運用 6. 構想実現に向けての課題と対応方針 (1) 個人情報保護及び情報の最新性 正確性に係る課題と対応 情報ストックシステムに集約 提供する情報のうち 個人情報に該当するもの ( レインズ成約情報及び住宅履歴情報 ) については 当該情報により識別される本人の同意を取得し またはオプトアウトを行う等 個人情報保護法等に基づき その取扱について情報ストックシステム側及び情報保有機関側双方で適切な措置を講ずる必要がある なお 個人情報の取り扱いについては その利用方法等について本人の理解を得ることが 運用に係るトラブルを避ける意味でも必要であることから その利用方法 情報の提供先について広く一般に周知することも必要である 提供する情報の最新性 正確性については 各情報保有機関が提供している元の情報の正確性 最新性に依存せざるを得ず また 情報ストックシステムによる情報の更新頻度による制約を受けることになる このため できるだけ最新かつ正確な情報を提供する機関と連携するとともに 情報ストックシステムにおいても時間 11

的 経済的コストを勘案しつつ 最新の情報を入手 提供する方法を検討する必要がある なお 米国の不動産物件情報システムであるMLS(Multiple Listing Service) では 各種の情報 データを独自に集約 加工して提供する民間調査会社 ( アグリゲーター ) のサービスを利用することにより最新かつ充実した情報提供が可能となっている 我が国においても今後このような民間調査会社によるサービスの発展が期待され このようなサービスを情報ストックシステムにおいて活用することも考えられる さらに 情報ストックシステムが提供する情報の正確性は各情報保有機関の情報利用規約等において提示されている内容 条件等によるものであることや それぞれの情報の更新日 更新頻度を利用者に示し 利用者が情報の最新性 正確性について理解の上利用できるよう措置する必要がある (2) 集約する情報の充実に係る課題と対応 中古住宅の売買取引においては 住宅の質に関する情報が特に重要であるが マンション管理情報 住宅履歴情報については 現在 それぞれマンション管理センター ( マンションみらいネット ) 住宅履歴情報蓄積機関において情報を収集しているが いずれも 取引の対象となる物件等につき網羅的に情報を収集する仕組みではない このため 情報ストックシステムにおいて充実した情報を提供するためには 単にこれらの既にある情報保有機関のデータベースとの連携を図るのみならず 情報量の確保等 情報の収集に必要な施策を積極的に検討する必要がある マンション管理情報については まずは 早期に購入等希望者に提供する必要があるもの ( 維持修繕の実施状況 維持修繕積立金の積立額等 ) を 宅建業者が円滑に集約できるよう 管理組合 管理業者 宅建業者の間で一定のルールを整備し 当該ルールに基づき宅建業者が入手した情報をレインズに登録することなどにより 購入等希望者に確実に情報が提供される仕組みの検討が必要である 住宅履歴情報については 一般社団法人住宅履歴情報蓄積 活用推進協議会が検討を進めている住宅履歴情報の共通フォーマット ( フェイスシート ) 及びその情報を集約するデータベースとの連携を軸に検討する 加えて 住宅履歴情報としての整備がなされていない 個人が保有する設計図書等についても 不動産流通時にその情報が消費者に提供されることが可能となる方法を検討する必要がある (3) レインズとの連携に係る課題と対応 3(2) で述べたとおり 消費者に対し充実した情報提供を行うためには レインズと情報ストックシステムの連携が必要であり 特にレインズに蓄積される成約情報を活用することが重要である この点 特に消費者のニーズが高いと見込まれる情報項目 ( マンションの維持 12

修繕情報等 ) を レインズの登録情報項目に追加することについて レインズシステムに与える負荷や入力に当たっての負担にも留意しながら今後検討が進められるべきである また 情報量の充実を図るためには レインズへの成約報告の必要性を周知することや レインズシステム上の操作を容易にすることなど レインズへの成約報告を促す方法を検討する必要がある さらに レインズと情報ストックシステムの効果的な連携を考えるにあたっては レインズの成約情報を情報ストックシステムに集約するその他の情報と名寄せし 一覧性を持って閲覧できるようにすることが重要である この点 レインズに登録されている住所情報については 現在町丁目レベルまでの登録が必須とされているが 名寄せの精度を確保するためには 住所を特定した記載が必要であり 今後号レベルまでの登録のあり方等必要な方策を検討する必要がある 加えて 既にレインズに蓄積されている過去の成約情報 ( 町丁目レベルまでしか住所が登録されていない成約情報 ) についても その他の情報と名寄せして閲覧するための方策をあわせて検討する必要がある (4) 技術面に係る課題と対応 情報通信技術は変化 進展の早い分野であるため プロトタイプシステムや本格運用システムの構築 運用にあたっては 将来の情報通信技術の進展動向を見極めたうえで適切な技術を選定し また 継続的な運用の中で 適切に拡張や更新を行うことができる仕組みを構築する必要がある また 特定のシステム商品やシステム事業者に依存すること ( ベンダロックイン ) を避けるため 技術仕様等は公開することを前提として情報ストックシステム構築 運用を行う必要がある 7. 基本構想の取り扱いについて 平成 26 年度に構築予定のプロトタイプシステム及び平成 28 年度以降構築を検討する本格運用のためのシステムについては 本構想に沿って検討することを基本とする ただし 本構想は 各情報の公開状況等 現在の条件を前提に検討 策定したものであり それぞれのシステム構築に当たっては 政府によるオープンデータの取組の進展やそれに伴う関連技術 サービスの開発 進展を注視しながら 今後の試行運用 検証の結果も踏まえ 必要に応じて本構想の内容を見直しつつ検討することが必要である ( 以上 ) 13