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イチゴ あまおう の開発 普及と知的財産の保護 福岡県農業総合試験場野菜育種部部長 福岡県農業総合試験場企画情報部研究員 三井寿一末信真二 はじめに福岡県における27 年度の野菜産出額は644 億円で全国の第 9 位に位置しています その中でイチゴの生産額は 175 億円であり 県野菜生産額の 27% を占める 本県で最も重要な野菜品目です 福岡県におけるイチゴ生産は192 年代後半から行われ 県内全域で栽培されるようになりました 1983 年に とよのか が導入されたことをきっかけとして 産地として大きく飛躍しました とよのか はそれまでの品種に比べて 美味しく 香りが豊かであることから 博多とよのか のブランド名で全国的に高く評価され 福岡県は代表的なイチゴ産地として成長しました そのため 生産者は 果実の温度を上昇させて着色を良くするために 果実に陽光があたるように 葉よけ や 玉出し と呼ばれる煩雑な作業を行って品質向上に努めてきました しかし さちのか や とちおとめ など着色が優れた品種が広まってきたことから とよのか の着色の不足が目立つようになりました また イチゴの収穫やパック詰めなどの作業は 1 果ずつ手作業で取り扱う必要があるため これらの作業の省力化が強く求められていました そこで 福岡県農業総合試験場では 厳寒期にも果実が赤く色づく 美味しい 果実が大きく 収穫 パック詰めが省力できる 品種を目指し 新品種の育成に取りかかりました 表 1 福岡県の主要野菜産出額 (27 年 ) 順位 品目 産出額 ( 億円 ) 割合 (%) 1 いちご 175 27.2 2 なす 63 9.8 3 ねぎ 57 8.9 4 トマト 51 7.9 5 レタス 36 5.6 以下略 野菜合計 644 1 あまおう 育成の背景 とよのか には優れた特長がある一方で 果実の色素 含量が少ないことから赤色が薄く 特に 1 2 月の厳寒 期には低温のために着色が進まないまま成熟してしま い 収穫物の外観品質が劣るという問題がありました あまおう の育成経過 1996 年 2 年に美味しい品種 果皮が赤い品種 果実が大きな品種などを相互に交配して種子を採り 毎年 約 7, 株の実生株を育てて その中から 優れたものを選抜していきました 選抜にあたっては 果実形質 食味 生育特性 生産現場での栽培適性などを多くの項目について評価しましたが これらの調査 選抜には大変な手間と多くの時間がかかりました その結果 食味が優れる 久留米 53 号 ( 現 独立行政法人九州沖縄農業研究センター久留米研究拠点育成系統 ) を母親 果実が大きく 着色が優れる 92 46 ( 福岡県農業総合試験場育成系統 ) を父親として1996 年に交配した中から 現在の あまおう ( 福岡 S6 号 ) が生まれました 21 年 11 月に 福岡 S6 号 として品種登録を申請し 25 年 1 月に登録を完了しました なお あまおう は商標であり 品種名は 福岡 S6 号 と言います 49 tokugikon

あまおう の特長 あまおう は とよのか に比べて果実の着色が良好で厳寒期にも赤く色づき 果皮の張りが良く 光沢が優れます このため とよのか で必須であった 葉よけ や 玉出し という着色促進のための作業を軽減できます 果実の形は とよのか に比べて丸く 表面の溝が少なく 形が整っています 果汁の糖度は とよのか と同程度かやや高く 酸度が高いため食味は良好です 果実の大きさは とよのか より大きく 果実一つの重さの平均が とよのか の 1.2 倍程度あります これは収穫される果実の中で大きな果実が発生する割合が高いということでもあり 重さが2g 以上の果実の割合が とよのか では 19% であるのに対し あまおう では 35% もあります このため 小さな果実を扱う作業が減り 手作業で行う収穫やパック詰め作業が楽になります 表 2 あまおう の果実形質 品種あまおうとよのか 果実の形球円錐円錐 果皮の色濃紅鮮紅 果肉の色淡紅黄白 果汁の糖度 (% ) 9.9 9.1 果汁の酸度 (mg/1ml) 765 731 平均果重 (g) 15.5 13.1 2g 以上の果実割合 (%) 35 19 注 )1. 調査年 :2 年 2. 糖度 :Brix 値 酸度 : クエン酸換算値平均果重 2g 以上の果実割合 : 全収穫期の商品果 あまおう の命名 品種名が 福岡 S6 号 という消費者が馴染みにくい名称では販売できません そこで 22 年の初出荷を前に販売用に名称を広く募集しました その結果 県民の皆さんから1,913 件の応募があり その中から あまおう が選ばれました あまおう は新品種 福岡 S6 号 の果実の特長を表す4 つの言葉 あ 赤い ま 丸い お 大きい う 美味い の頭文字と 甘いイチゴの王様になるように という願いが込められています 品種名と販売名を別にした理由については後で説明します 名称の決定後 新品種 あまおう の紹介のために命名者や名称募集に応募した小学校の児童を招き 県知事をはじめ イチゴ生産者 流通関係者が参加する披露会 図 2 あまおう の圃場での生育状況 あまおう とよのか 図 3 果実の形態 とよのか るのか 49 ちのか 53 92 46 福岡 6 ( あまおう ) 図 1 あまおう の系譜 図 4 あまおう の披露会 tokugikon 5

が開催されました これが イチゴ あまおう の世の 中へのデビューとなりました あまおう の栽培拡大 とよのか から あまおう への品種の切り替えは これまでにない早さで進められました 栽培面積は 導 入した 22 年が 8ha 23 年が 22ha 24 年が 368ha と急速に広がり 導入 4 年後には系統共販取扱い のイチゴ栽培面積の 98% 383ha に達しました この 急速な普及のために農業総合試験場ではこれまでにない 数量の原々種苗を増殖して JA 全農ふくれんに譲渡し JA 全農ふくれんは種苗センターでさらに増殖して生産 者へ親株の配布を進めました 県関係機関 JA 全農ふ くれん JA の連携と生産者の意欲が実を結んでわずか 4 年間で品種更新をほぼ完了しました しかし 品種育成直後より急速な品種更新をおこなっ たため あまおう の普及初期には栽培技術が十分に 確立できていませんでした そのため 品種の普及を進 めながら 農業総合試験場 県関係機関 農業団体 JA 生産者が協力して 栽培試験 栽培優良事例の収集 データや情報の分析を行い 栽培技術を作り上げていき ました 4 3 2 1 図 5 あまおう栽培面積の拡大 ( 系統共販面積 ) 販売のための努力 栽培面積 21 22 23 24 25 26 1 8 6 4 2 % 年度 図 6 大きな果実販売のための 1 段詰め容器れまで最も大きな規格であった 3L サイズ (1 果重 28 37g) よりもさらに大きな果実を販売するために1 段詰めのパックやホールトレイパックが作られました これらは とよのか の時代にはなかったものですが 現在では あまおう の大果性を活かした販売形態として市場に定着しています また 果実品質維持のための努力も必要でした その一つが収穫適期の判断です あまおうは気温が高くなると収穫後でも着色が進み 店頭に並んだ時に赤くなり過ぎる可能性が高くなります 一定の品質を保つためには 時期別に どの位着色したら収穫するのか基準を設定することが必要でした あまおう 生産者は定期的に皆で基準の目あわせを行い 適期に収穫することで品質維持に努めています あまおう の PRのために 福岡県知事は自ら真っ赤な法被を着て青果市場でトップセールスを行うなど県をあげての取り組みを行いました 県と JA 全農ふくれんは ブランド化推進事業 を展開し テレビCM 新聞や雑誌への掲載 プロモーションビデオの作成など広報に努めました このように あまおう の果実の大きさ 赤さ 味の良さなどの特長を活かしながら 県 生産者 農業団体が一体となってブランド化の推進に努めてきました 販売方法も変革が必要でした それまでの包装形態は 2 段詰めの 3g パックだけで良かったのですが あまおう は今までの品種に比べて果実が大きく 既存の販売規格では収まらないサイズが発生します そこで こ 海外への販路拡大 野菜 果実 花などの園芸農業の振興を農業施策の 柱としている本県にとって 国内における農産物価格の 51 tokugikon

23 年度 低迷は 農業経営の圧迫だけでなく 生産者の意欲減退に繋がる非常に重要な問題です この状況のなか 農業生産の活力を高めるための方策として販路の拡大が求められており その対応の一つが農産物の輸出です また 近年 アジア諸国の経済発展はめざましく 多くの富裕層が誕生するなど輸出しやすい環境が生まれています 福岡県では1992 21 年に香港で小規模ながらアンテナショップを設置して県産品を紹介していました あまおう に関しては 22 年に香港へのルートを開拓し 23 年に 1.4t を輸出しました その後 台湾 シンガポール タイ アメリカ ロシアと輸出先を拡大してきました 総輸出量は 27 年には 7t と順調に伸び あまおう は県産農産物の輸出においても牽引役となっています あまおう の輸出の目的として 販路の拡大と経営基盤の安定化 はもちろんですが 生産者の意欲と自信の増加 輸出検疫等に対応した栽培管理のレベルアッ プ マスコミ報道による産地の知名度アップ などの副次的効果が期待されています あまおう のブランド化戦略 福岡 S6 号 ( あまおう ) を福岡県のブランド品種として振興するにあたり この品種を栽培し 収穫販売できるのは福岡県内の生産者だけに限定することとしました そのため 県は苗の供給者となる JA 全農ふくれんに対し 苗の譲渡は県内の生産者のみに限定することを条件として 通常利用権の許諾を行いました 栽培を県内に限定した理由は 県内農家の利益と産地競争力を確保することもありますが 品質の良い果実を生産し ブランド力を高めるためには栽培管理の指導が行き届く県内に限定することが良いと考えられたからです そのために あまおう を福岡県と JA 全農ふくれんが協力して戦略的に振興していく体制を整えました また 前述のとおり あまおう という名称は果実及び加工品販売のための商標ですが 品種の通常利用権者であるJA 全農ふくれんがこの商標権者となって販売に活用しています このように商標を別に取ることにより 種苗を育成者権で護ると同時に 果実やその加工品のブランドを商標で護ることが可能となっています さらに 23 年には中国で品種登録出願をするとともに 香港 中国 韓国 台湾において あまおう ( 甘王 ) の商標登録を行い積極的に海外展開を行っています 福岡県の知的財産権戦略 図 7 香港での販売 あまおう のような県を代表する知的財産が生まれた 8 7 6 5 4 3 2 1 1.4 23.4 24 4. 25 51.7 26 7.4 27 一方で 日本のイチゴ品種が海外に勝手に持ち出され 栽培されたものが輸入されていると疑われる事例が発生していました 県は品種の権利をしっかり保護する体制を取った上で オリジナル品種を育成 活用することが今後の県農業の発展に欠かせないと考え 23 年に福岡県農産物知的財産権戦略を策定しました これは知的財産権の取得促進 新品種の流出防止及び違法輸入農産物の流入阻止を柱として方針を決めたものです この戦略に基づき 同年 農業総合試験場内に農産物知的財産権センターが設置されました 本センターでは知的財産権に関する情報提供や啓発をするとともに 権 図 8 あまおう輸出量の推移 利侵害の調査 保護に関する業務を行っています tokugikon 52

知的財産保護の取り組み る情報の共有や県をまたがる侵害対応等 各県が連携し てこの仕組みを活用しています 例えば 26 年には全 あまおう については許諾を受けずに栽培 販売されるという育成者権侵害が25 28 年度にかけて8 件起こっています このような事案に対して 農産物知的財産権センターは 関係機関の協力を得ながら 侵害行為の阻止と再発防止を行っていますが 迅速に適切な対応をとるため 27 年に 農産物権利侵害対応マニュアル を作成しました 国の主要なイチゴ品種の見分け方を説明したパンフレットを共同で作成し 育成者権の啓発に利用しています 最後に イチゴは福岡県の野菜生産にとって重要な品目であり その中で あまおう はブランドの柱となって県農業の牽引役となっています 私たちは あまおう にとどまらず 他の品目でも高品質な県オリジナル品種を活用した農業振興を今後も目指していきます さらに 県では違法農産物の輸入差し止めにも必要な DNA 識別技術の開発を進め あまおう をはじめとする重要な県育成品種については迅速なDNA 識別を行えるよう体制を整備しました このことによって 育成者権侵害が疑われる事案に対し あまおう であるという確認をとって 対応できるようになりました 今後も県オリジナル品種の開発と振興を行っていくためには 知的財産権の確保をしっかり行っていくことが大切だと profile 末信真二 ( すえのぶしんじ ) 平成 2 年 福岡県に採用 平成 13 年 久留米地域農業改良普及センター野菜係 平成 18 年 農業総合試験場野菜育種部にてイチゴ育種に従事 平成 21 年 同企画情報部知的財産管理課現在に至る 考えています また インタ ネットを利用した取引が普及し 侵害発生地域も広域化しています 対象範囲が広くなると 育成者権についての啓発活動や侵害対応は県単独では困難です そこで 福岡県が呼びかけ 18 道県の参画で 23 年に農産物知的財産保護ネットワークを立ち上げ 各県の農産物に関する知的財産の担当者と育成品種情報や侵害情報を共有することにしました 参加県は徐々に profile 三井寿一 ( みついひさかず ) 昭和 56 年 福岡県に採用 昭和 59 年 福岡県農業総合試験場環境保全部 平成 6 年 同野菜花き部にてイチゴの育種に従事 平成 15 年 同野菜育種部現在に至る 増加し 現在 41 道府県となっており 知的財産権に関す 図 9 イチゴ品種を見分けるためのパンフレット ( 農産物知的財産保護ネットワーク作成 ) 53 tokugikon