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自立語と付属語 文法的な面からもう少し詳しく解説します ひとつの文は複数の文節からなります 文 つなみ津波が文節 き来ます文節 そして 文節は自立語だけ あるいは自立語プラス付属語で構成されています つなみ津波 が 自 + 付 き来ます 自 自 自立語 付 付属語 自立語とはその語だけで意味を持ち

Transcription:

作文練習を取り入れた基礎日本語授業の実践研究 張麗珺上海師範大学天華学院 1. 実践研究の背景本研究の目的は ゼロから日本語の勉強をスタートした学習者がまとまりのある文章を書けるようになることをめざして 5 文作文の練習を行い どんな問題点が存在しているかを明らかにし さらに 学習者がこの練習を通してどんな気づきを得ているかを調査することである 日本語専攻卒業生の多くが日系企業に就職し 将来的にはレポートや仕事上の連絡などで日本語を使って文章を書くことが多い 言語学習の際 アウトプットがないと言語の習得が遅いと言われている 本学では 読む 聞く というインプット及び 話す というアウトプットを重視する授業は 1 年生から始まっているのに対して 書く というアウトプットの練習を中心とした作文の授業は 2 年生後半から始まっている そこで 学習者になるべく早い段階で書くことに慣れさせるために 基礎日本語授業に作文練習を取り入れることにした 2. 実践の概要二通 (2005:748-749) は 初級前半の段階では 使える文型や語彙などが限定されていることもあり 授業で扱った学習項目に関連した作文を書くことが多い と述べている 本実践も初級前半の段階での作文練習であり 活動の詳細は以下の通りである (1) 概要 : 実施時期 :2014 年 9 月 2015 年 1 月活動内容 : 基礎日本語授業で習った文型を用いて短い文章 (5 文程度 ) を書く練習及びその修正 学習者のふり返り作業を行う 使用教材 : 新編日語 1 改訂版 上海外語教育出版社 2010 年 (2) 対象 : 日本語専攻 1 年生 30 人 (3) 方法 : 各課が終わった段階で 授業中に 15 分程度で作文を書かせる 課題の内容 作文 教師のコメント 学習者のふり返りといった項目が含まれた 作文シート を作成し ふり返り作業 から学習者の気付きを明らかにする (4) 実践の流れ : 基礎日本語授業は 月 水 金に 4 コマずつあり 週に 12 コマである 各課 を月曜日から始まり 金曜日に終わるというペースで授業を進めていく予定だ

ったが 祝日もあり 学生の習得状況を見ながら調整することもあったため 一週間で 1 課が終わらない場合もあった 作文を書く練習は 1 課が終わった授業の最後の 15 分間を用いて実施した 教師が添削した作文を次回の授業のときに学習者に返し グループ内で読み合い 話し合いをした後 各グループで代表者一人を選び 全員の前で発表するという活動も行った また 各グループが毎回違うメンバーで構成されるように工夫し 毎回の発表者も違う人にする ふり返り内容が記入された 作文シート を再提出させる 教師がすべての 作文シート をポートフォリオにする (5) 結果概要 : 本実践を実施した基礎日本語授業では 新編日語 1 の第 1 課から第 13 課ま で進めたが 第 1 課 ( 五十音図の習得 ) 第 5 課 ( まとめ ) 第 10 課 ( まとめ ) を除いた 10 課の授業で作文練習を行った 詳細は表 1 作文練習一覧 の通り である 3 回目と 4 回目は教科書の 看图说话 ( 絵を見ながら話しましょう ) の練習を用いて 実践を実施した その他の回では 使用文型を提示し 作文 を書くように指示した 表 1 作文練習一覧 回 実施日 課 使用文型 備考 1 9 月 26 日 ( 金 ) 2 ~は~です 2 10 月 10 日 ( 金 ) 3 ~は~にあります / ~に~があります 3 10 月 17 日 ( 金 ) 4 だいがく 教科書 P61 4 10 月 31 日 ( 金 ) 6 大学の生活 教科書 P104 5 11 月 12 日 ( 水 ) 7 ~~~ました 6 11 月 24 日 ( 月 ) 8 形容詞くて ~ 形容動詞で ~ 7 12 月 1 日 ( 月 ) 9 ~V ています 8 12 月 12 日 ( 金 ) 11 ~は~が です 9 12 月 24 日 ( 水 ) 12 ~てもいいです /~てはいけません 10 12 月 29 日 ( 月 ) 13 ~う ( よう ) と思います 3. 結果と考察 3.1 問題発見以下のような問題点を発見することができた (1) 未習得の文型の使用まだ習っていない文型を使って 文を書く学生がいた 例えば ~は~です の練習では 次のような文があった ( 図 1: 作文例 1) それは これまで扱った文型が限られており 書きたい内容がそれらの文型だけで表せなかったため 試しにまだ習っていない文型や語彙を使って作文したからである また 2 回目

の練習では 当該学習者が図 2 のような作文と気づきを得ているようである 未習得の文型の使用は避けたが 新しい文型 ( ~は~にあります ) への理解を深める必要があると述べた 図 1 作文例 1 図 2 作文例 2 (2) 仮名の表記促音や拗音の表記には っ が つ と ちゅ が ちゆ と書かれることが多くみられた 初級段階では 作文の指導や添削に 日本語の表記にも注意する必要がある (3) コンテクストの関連性初級前半の段階では 特に 2 回目の実践までは提示された文型を使って文を書くことができるが コンテクストの関連性には欠如があることが分かった ( 図 3: 作文例 3) 教師がそれについて説明を付け加え また接続詞や接続助詞の習得につれて 文と文とのつながりが自然になる傾向が見られた 図 3: 作文例 3 (4) 教科書の例文のマネ 教科書の例文の主語だけ変更したりして 文章全体の構造をそのまま模倣し

て作文を書く学習者もいた このような例文を模倣しすぎることが何人かの限 られた学習者の作文に見られた (5) 習得の差図 5 と図 6 は だいがく というテーマで 2 人の学習者が書いた作文である 両者とも習った文型や語彙を用いて文を書いたが 文の複雑さ 文と文との接続の自然さなどに関しては 習得の差がついていることがわかった 図 5: 作文例 5 図 6: 作文例 6 3.2 学習者の気づき 10 回の作文練習を通して 学習者がさまざまな気づきを得ていることが分かった 以下 実践の目標である まとまりのある文章を書くこと について 学習者の気づき発見 のみ紹介する 原文は中国語で書かれたものであり 筆者がそれらの 気づき を日本語に訳した 原文は付録 1 の通りである (1) 文を読んで理解することができるが 作文を書くときに 習ったものを応用することはまだできない 文法の使い方がまだ混乱している また 書き違いもあったり 文法項目が増えるにつれて 以前習ったものを忘れたりすることもある (2) まだ習っていない形容詞の過去形を使ってみたが やはり間違った グループ内で作文の読み合い作業をしてよかったと思う 他人の作文を読むことによって 自分の勉強不足に気づいた 例えば 自分の生活に近い話などを記述するといい また 授業で習った 前文 と 読解文 の内容を活用するのもいい 文と文との接続の自然さに工夫する必要がある (3) 厳さんの作文を聞いて それと比べたら 自分の書いた作文はコンテクストの関連性に欠けていることに気づいた 日本語を使うときに 母語 ( 中国語 ) の影響を受けていることにも気づいた 日本語のテンスの使用に気をつけなればならない 学習者の気づき を以上の 3 点にまとめた 学習者のニーズに応じた実践 応用能力をアップさせるための練習を今後の授業に取り入れるように工夫した

い また 学習者の困ったことを常に聞くようにする必要もあると感じた 4. まとめと今後の課題本実践は 日本語科 1 年生を対象とした基礎日本語授業で 作文練習を取り入れてみたものである 習った文型を用いて短い文章 (5 文程度 ) を書く練習及びその修正 学習者のふり返り作業を行うことによって 日本語で文を書くことに慣れさせ 学習者の気づきを調査するものである 3. 結果と考察 に述べたように 学習者の気づきのみならず 教師が今回の実践を通して 数多くの問題を発見することができた ここでは 問題発見 の 5 点と 学習者の気づき の 3 点にまとめることができた 本実践では 学習者の気づき発見を調査することを目的としたが 結果分析のところで なぜこのような気づきを得たかについてはふれることはできなかった また 10 回の作文練習を通して 学習者の作文能力が伸びたことは明らかであるが 具体的にどれぐらい伸びたか 作文能力をどのように評価するかについて 更なる調査研究を行うことを今後の課題としたい 参考文献 (1) 二通信子 (2005) 作文指導 日本語教育学会編 新版日本語教育事典 大修館書店,pp.748-749. (2) 国際交流基金 (2010) 書くことを教える ひつじ書房 (3) 大森雅美, 鈴木英子 (2013) 日本語教師の 7 つ道具シリーズ 3 作文授業の作り方編 アルク (4) 石黒圭 (2014) 日本語教師のための実践 作文指導 くろしお出版

付録 1 学習者の気づき ( 原文 ) (1) (2) (3)

付録 2 授業風景 写真 1: グループ内で作文の読み合い作業をしている風景 写真 2: 添削された作文を発表する様子