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支援 相談活動 表-1 示 機能 枠組 常 意識 行 日常業務 取 組 現実的 各相談機能 境目 必 明確 沿 動 相談現場 次 段階 分 実施 1)1 次的相談 :1 回 電話 面接 解決 2 次的相談 及 2)2 次的相談 : 面接 複数回実施 問題解決 役割 担 3)3 次的相談 : 支援者

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目 次 はじめに... p1 1. 発達障害 の定義... p2 発達障害それぞれの特性について... p3 2. 発達障害をめぐる状況... p4 3. 江戸川区の発達障害者 ( 児 ) の現況... p 発達障害者 ( 児 ) 支援の江戸川区の課題... p6 施策の5つの課題 5.


Bulletin of Toyohashi Sozo University 2017, No. 21, 臨床実習指導で実習指導者が倫理的ジレンマと捉えた課題と対処 植村由美子 * 1 大島弓子 * 2 抄録 キーワード : clinical instruct

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化を明らかにすることにより 自閉症発症のリスクに関わるメカニズムを明らかにすることが期待されます 本研究成果は 本年 京都において開催される Neuro2013 において 6 月 22 日に発表されます (P ) お問い合わせ先 東北大学大学院医学系研究科 発生発達神経科学分野教授大隅典

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3) 適切な薬物療法ができる 4) 支持的関係を確立し 個人精神療法を適切に用い 集団精神療法を学ぶ 5) 心理社会的療法 精神科リハビリテーションを行い 早期に地域に復帰させる方法を学ぶ 10. 気分障害 : 2) 病歴を聴取し 精神症状を把握し 病型の把握 診断 鑑別診断ができる 3) 人格特徴

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2013 年度 統合実習 [ 表紙 2] 提出記録用紙 5 実習計画表 6 問題リスト 7 看護過程展開用紙 8 ( アセスメント用紙 1) 9 ( アセスメント用紙 2) 学生証番号 : KF 学生氏名 : 実習期間 : 月 日 ~ 月 日 実習施設名 : 担当教員名 : 指導者名 : 看護学科

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13 Ⅱ-1-(2)-2 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している Ⅱ-2 福祉人材の確保 育成 Ⅱ-2-(1) 福祉人材の確保 育成計画 人事管理の体制が整備されている 14 Ⅱ-2-(1)-1 必要な福祉人材の確保 定着等に関する具体的な計画が確立し 取組が実施されている 15

はじめに 30 Asperger Hans Asperger Asperger Wing Gould Wing Asperger 2 Asperger attention deficit/hyperactivity disorder ADHD ADHD 1990 ADHD 1990

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精神障害 発達障害がある方の就労継続を 支える取り組みについて ~Web システムを活用した例について ~ NPO 法人大阪精神障害者就労支援ネットワーク 久保川良子福島美和子池田浩之

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年中児スクリーニングの事後支援 年中児スクリーニングの事後支援として 22 市町村が園巡回を実施しているが SST は 5 市町村の実施 ペアレントトレーニングは 7 市町村の実施に止まっており 事後支援を実施する市町村の拡大が課題 園巡回 : 専門職が保育所 幼稚園を巡回し 保育士等に指導 助言


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図 2 障害別就職者数 ( 東京都 ) 出典 : 東京都福祉保健局 障害者雇用 就労推進連携プログラム 合理的配慮と職業訓練 る. 今後, 合理的な配慮 が求められると, そういった機会もますます多くなってくるだろう. 働いていく際, 主体的に選択をした, 自分で決めていく, 決めて

第 1 章問題意識と研究目的本章では 筆者の問題意識となったべトナムでの経験を通し 問題の所在を述べた 筆者がベトナム社会でベトナム語を使い生活する中でわかったことは ベトナムで出逢う全ての人が筆者のベトナム語学習に影響を与えていることであった また同じように 学生が筆者以外の日本人との出会いから多

特別な支援を必要とする 子どもの受け入れと対応

回数テーマ学習内容学びのポイント 2 過去に行われた自閉症児の教育 2 感覚統合法によるアプローチ 認知発達を重視したアプローチ 感覚統合法における指導段階について学ぶ 自閉症児に対する感覚統合法の実際を学ぶ 感覚統合法の問題点について学ぶ 言語 認知障害説について学ぶ 自閉症児における認知障害につ

1 施設で生活する高校生の本音アンケート 3 2 調査項目 4 3 施設で生活する高校生の自己肯定感について...5 (1) 一般高校生との比較 5 4 施設で生活する高校生の進路について.7 (1) 希望職種の有無と希望進路 7 (2) 性別 学年による進路の違い 8 5 施設で生活する高校生のア

取材時における留意事項 1 撮影は 参加者の個人が特定されることのないよう撮影願います ( 参加者の顔については撮影不可 声についても収録後消去もしくは編集すること ) 2 参加者のプライバシーに配慮願います 3 その他 (1) 撮影時のカメラ位置等については 職員の指示に従ってください (2) 参





 

1

2. 公認心理師になるためのルート 公認心理師になるためのルートは 図 1 に示すように A~G の 7 つあります 図 1 公認心理師の資格取得方法について 7 つのルートのうち 大学 1 2 年生に関係するのは A ルートと E ルートです A ルートと E ルートを分けるのは 公認心理師法が施

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修士論文 ( 要旨 ) 2017 年 1 月 発達障害者の就労に必要な支援に関する研究 指導森和代教授 心理学研究科健康心理学専攻 215J4052 酒井康衣

Master s Thesis (Abstract) January 2017 A Study of the Support Necessary for the Employment of People with Developmental Disabilities Yasue Sakai 215J4052 Master's Program in Health Psychology Graduate School of Psychology J. F. Oberlin University Thesis Supervisor: Kazuyo Mori

目次第 1 章発達障害の定義 1 1) 発達障害とは 1 2) DSM-5 による変化 1 3) アスペルガー症候群の就労や日常生活における影響について 3 第 2 章発達障害者の発達段階における支援について 5 1) 幼児期の支援 5 2) 児童期の支援 5 3) 思春期の支援 5 4) 青年期の支援 6 5) 発達段階における支援 7 第 3 章発達障害者の就労について 9 1) 発達障害者支援センターに訪れる人とは 9 2) 障害者の雇用について 10 3) 障害雇用状況 10 ⅰ) 障害者雇用状況の実態 10 ⅱ) 平成 24 年度の産業別の障害者の職業状況および職業別の就職状況 12 4) 障害者雇用のメリットとデメリット 14 5) 発達障害者の離職理由 14 第 4 章発達障害者の就労による困難について 16 1) 就労前の困難について 16 2) 就労後の困難について 16 第 5 章発達障害者の就労支援のあり方について 17 1) 就労前の支援について 17 2) 就労後の支援について 18 3) 発達障害者への支援プログラム :TTAP について 18 4) 発達障害者への就労支援への取り組み事例 19 5) 発達障害を持たない学生の就職活動の状況 21 6) 発達障害を持たない学生の離職状況 25 第 6 章調査研究 27 1) 本研究の目的 27 2) 方法 27 ⅰ) 調査対象者 27 ⅱ) 調査時期 27 ⅲ) 調査手続き 28 ⅳ) 倫理的配慮 30 ⅴ) 分析方法 30 第 7 章結果 31 1) 回答の分類 31 ⅰ) 就労前の問題 31 ⅱ) 就労後の状況 32 ⅲ) 就労に関わるサポート 33 ⅳ) 就労後ポジティブな変化 33 ⅴ) その他 34 2) 発達障害者の就労継続の流れについて 48 ⅰ) 就労前の流れ 48 ⅱ) 就労後の流れ 48 第 8 章考察 50 1) 就労前について 50 2) 就労後のネガティブな側面について 51 3) 就労によるポジティブな側面 52 4) 本研究の限界と今後の課題について 53 引用文献 55 参考文献 59

1) 問題 目的発達障害者の就労はさまざまな困難を伴い 発達障害をもつ学生の支援は教育機関の大きな課題である 本研究は発達障害者を対象にして 就労の困難についてインタビューを実施しカテゴリーごとに分けて分析を行い その内容を明らかにすることを主たる目的とした 対象者機縁法によって依頼した発達障害者 8 人を対象とした 対象者は医療機関を受診して自閉症スペクトラムの診断を受けた者とした 平均年齢は 25.87 歳であった 方法インタビューガイドに基づいて 研究担当者が半構造化面接を実施した 面接に要した時間はおよそ 30 分から 60 分程度であった 2) 結果インタビューガイドに沿って実施した面接を録音し 逐語録を起こした 逐語録から主要なセンテンスを抽出し 心理学研究者 3 名で協議し 428 項目の下位カテゴリー ( により表記 ) 63 項目の中位カテゴリー ( により表記 ) 11 項目の上位カテゴリー ( により表記 ) を生成した 就労決定までの流れとしては ( 図 1 参照 ) まず 就活への努力 など 就労の準備 にとりかかる ターゲットを決めるためには 仕事で重視すること などの 仕事の価値観 や マッチング など 仕事をする動機 が影響する 具体的な就活を始めるが 面接の困難 など 就活の困難 に直面することが示される 困難を乗り越えるに 自己理解のアドバイス など 就活で大事なこと に取り組み就労決定に至ることが示された 就労後から就労継続の流れとしては まず 仕事の判断の難しさ などの 判断の難しさ や コミュニケーションの困難 など 対人関係の困難 が見られ 仕事の負担 など 就労の困難 に影響している 就労の困難 により メンタル不調 などの 就労によるネガティブ反応 が生まれるが 本人の 障害の葛藤 や 障害の受容 といった 障害の受け止め や困難から乗り越えるために 一般的なサポート などの サポート を受けることによって 仕事に対しての 目標 や 嬉しい などの 就労によるポジティブな側面 に影響している 就労によるポジティブな側面 が生まれることで 適応する工夫 や ストレス発散 などの 生活の調整 が生まれ 就労継続に至ることが示された 3) 考察本研究では就労の準備をしていたにも関わらず 就職活動の困難さが見られた 特に面接の困難が多く見られた 松村 (2014) が述べていたように 2 面接でほとんど話せないまた意図を読めない対応をしてしまう 3 グループ面接で協力的行動がとれない 4 エントリーシートが書けない といった困難が本研究でも見られた 就労後ではさまざまな困難が見られた 国立特別支援教育総合研究所 (2007) が述べていたように 対人関係が主体の仕事や臨機応変が必要な仕事は困難 があり 本研究のインタビューでも同じ結果であった 一方で就労によるポジティブな側面が確認できた 就労によるポジティブな側面の中で中位カテゴリーの目標が多く見られた 宋他 (2015) は 他者の意見に従順となり 自分で判断し 選択する経験が少ない と述べている つまり 就労することにより資格を取りたいなどの目標を 自己決定することは当事者に大きな意味を持つのではないだろうか 従って 発達障害学生自身が自分の意思で主体的に 自己決定 をしていく力を身に着け 自分で意思決定し選択していくプロセスが重要である ( 宋他,2015) 1

2 図 1. 発達障害者の就労継続の流れ

主な引用文献藤堂栄子 木村志義 前田豊 池田真砂子 松村洋一 金田弘幸 (2013). 発達障害者の中小企業への就労日本 LD 学会第 22 回大会発表論文集 Pp.286-287 橋本創一 熊谷亮 田口禎子 霜田 爲川雄二 (2013). 発達障害児の学校不適応を評価する新たなアセスメント法 ASIST 学校適応プロフィールの開発と適応一般社団法人 LD 学会第 22 回大会発表論文集自主シンポジウム Pp.234-235 川喜多二郎 (1996).KJ 法渾沌を語らしめる中央公論社 604pp 川崎真弘 北城圭一 深尾憲二朗 村井俊哉 山口陽子 船曳康子 (2013). 発達障害者のコミュニケーションにおけるリズム調整電子情報通信学会技術研究書 113(73), 201-205 厚生労働省 平成 25 年障害者雇用状況の集計結果 2015 年 4 月に閲覧 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000029691.html 厚生労働省 ハローワークを通じた障害者の就職件数 3 年間で過去最高を更新 2015 年 5 月に閲覧 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000031ock-att/2r98520000031oga.pdf 厚生労働省 (2012). 新規大学卒業就職者の離職率状況 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000101670.html 2016 年 5 月 11 日に閲覧厚生労働省職業安定局雇用開発部障害者雇用対策課 平成 26 年度 障害者の職業紹介状況等 黒田小夜子 (2010). 決め手はジョブマッチング梅永雄二 ( 編 ) 発達障害の人の就労支援ハンドブック自閉症スペクトラムを中心に金剛出版 Pp.85-99 松村健司 (2014). 発達障害の就労をめぐって首都大学東京学生サポートセンター学生相談室学習相談レポート,8,16-19 小川浩 (2010). 発達障害者の就労支援内山登紀夫 田中康雄 辻正次 ( 編 ) 発達障害者支援の現状と未来図中央法規出版株式会社 Pp.183-199 小川浩 (2011). 発達障害者の職業的課題と就労支援日本児童青年精神医学会機関誌,52,447-452 小川浩 (2012). 発達障害者の職業的課題と就労支援日本児童精神医学会機関誌 52(4),447-552 税田慶昭 (2012). 地域健診と発達障害児のフォロー ( 特集発達障害の見極めと対応 支援 : 乳児期から学童期を中心に ) 教育と医学 11(713),4-11 志賀利一 (2014). 障害福祉サービスにおける就労支援の制度と実際 -レジリエンスに着目して LD 研究 23(4), 400-406 染木史緒 (2012). 青年たちが自分のなりたい姿になろうと思うこと : 就労支援グループから ( 特集発達障害とジェンダー / 男の生き方 女の生き方と自閉症スペクトラムであること ) 広汎性発達障害の明日のために,10(3), 52-55 宋知潤 松久眞実 高瀬智恵 小脇智佳子 (2015). 発達障害学生の就労体験における実践的研究プール学院大学研究紀要 56, 321-333 鈴木慶太 (2015). 民間企業での発達障害者への就労支援の取り組み精神経誌 117(3),221-227 田中尚樹 (2012). アスペ エルデの会におけるここ数年の成人たちの就労状況と課題について ( 特集発達障害のある人の就労をすすめるために広汎性発達障害の明日のために ) 広汎性発達障害の明日のために,11(2), 58-63 梅永雄二 (2016.a). 発達障害者の就労支援 - 自閉症スペクトラム症 (ASD) を中心に教育と医学 4,4-12 梅永雄二 (2016.b). 発達障害のある大学生の就労支援の現状とこれから LD 研究 25(3),321-337 3