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目 次 1 章総則 1.1 適用の範囲 1 1.2 工法概要 2 2 章材料 2.1 補強鉄筋の品質 4 2.2 ATモルタルの品質 4 2.3 定着材の品質 5 3 章設計 3.1 設計一般 6 3.2 補強設計の考え方 6 3.3 使用材料強度 9 3.4 構造細目 9 3.5 本工法を適用するに当たっての留意点 11 4 章施工 4.1 施工一般 12 4.2 施工手順 12 4.3 事前調査 14 4.4 表面処理工 14 4.5 削孔用コアスペース切削工 コア削孔工 15 4.6 埋設溝切削工 16 4.7 鉄筋埋設定着工 17 4.8 帯鉄筋設置工 フレアー溶接工 18 4.9 保護被覆工 下塗材塗布 19 4.10 保護被覆工 保護被覆材塗布 20 4.11 保護被覆工 弾性上塗材塗布 24 4.12 保護被覆工 弾性仕上材塗布 25 5 章品質管理 5.1 補強鉄筋の品質管理 26 5.2 定着材の品質管理 26 5.3.1 ATモルタルの品質管理 ( 配合管理 ) 26 5.3.2 ATモルタルの品質管理 ( 強度管理 ) 27 6 章出来形管理 6.1 出来形管理 28 7 章安全管理 7.1 安全管理 29 7.2 第三者に対する安全管理 29 8 章環境対策 8.1 環境対策 30 付属資料 - 1 AT-P 工法による RC 橋脚耐震補強効果に関する実験効果 31

1 章総則 1.1 適用の範囲 (1) 本設計 施工指針は 鉄筋埋設式 PCM 巻立て補強工法 ( 略称 AT-P 工法 ) によるRC 橋脚耐震補強の施工の基本を示すものである (2) 本指針では 材料 の品質と 施工 および 品質管理 などの要領について示す (1) 本指針は 既設橋脚の耐震補強をする場合を主たる対象として記述している 本工法は 橋脚耐震補強における鉄筋コンクリート巻き立て工法に準じた補強構造として設計 施工を取り扱うこととし 本指針に記載されていない事項は 以下の示方書 指針等の技術基準に準じるものとする 道路橋示方書[Ⅰ. 共通編 ] [Ⅳ. 下部構造編 ] [Ⅴ. 耐震設計編 ] (( 社 ) 日本道路協会 ) 既設道路橋の耐震補強に関する参考資料 (( 社 ) 日本道路協会 ) 設計要領第二集橋梁保全編 5 章耐震補強 ( 日本道路公団 ) 既設橋梁の耐震補強工法事例集 (( 材 ) 海洋架橋 橋梁調査会 ) コンクリート標準示方書各編(( 社 ) 土木学会 ) 吹付モルタルによる高架橋柱の耐震補強工法設計 施工指針(( 財 ) 鉄道総合研究所 ) 吹付コンクリート指針( 案 ) 補修 補強編 (( 社 ) 土木学会 ) (2) 2 章材料 は AT-P 工法で使用する補強鉄筋 ATモルタルおよび定着材の品質と設計用値について示す 3 章施工 は 本工法の効果を発揮させるための施工の要領 注意点を示す 4 章品質管理 は 品質管理について示す 5 章出来形管理 は 出来形管理について示す 6 章品質管理 は 安全管理について示す 7 章環境対策 は 環境対策について示す 1

1.2 工法概要本補強工法は コンクリート橋脚に溝を切削して 溝の中に補強鉄筋を埋め込み 補強鉄筋をエポキシ樹脂で定着させた後 橋脚表面に帯鉄筋を配置して ポリマーセメントモルタル (Polymer-Modified Cement Mortar(PCM)) を巻き立てることにより コンクリート橋脚の耐震補強を図る工法である 本補強工法は コンクリート橋脚内部に切削した溝の中に補強鉄筋を埋め込み エポキシ樹脂を充填して定着した後 橋脚表面に帯鉄筋を配置して ポリマーセメントモルタルを巻き立てることにより コンクリート橋脚の耐震補強を図る工法である 補強鉄筋をコンクリート橋脚内部に埋設 定着させることにより 補強材が橋脚と一体化して橋脚基部における補強筋の座屈 はらみ出しを抑制し 耐力を向上させることが可能である さらに本工法は 従来の橋脚耐震補強工法である鉄筋コンクリート巻き立て工法や ポリマーセメント巻き立て工法の補強厚をできるだけ薄く 補強規模を小さくしようとするもので 鉄筋コンクリート巻き立て工法の約 1/8 ポリマーセメントモルタル工法の2/3 以下で施工できるため 施工性 経済性が共に改善されている 本工法の標準的な概要を図 -1.2.1, 図 -1.2.2 に示す AT-P 工法概要図 図 -1.2.1 2

A T - P 工法 ( 軸方向鉄筋 D19 帯鉄筋 D16 の場合 ) ( エポキシ樹脂パテ ) ( エポキシ樹脂パテ ) 図 -1.2.2 ( ) は鉄筋の公称径 3

2 章材料 2.1 補強鉄筋の品質 本補強工法に用いる鉄筋は JIS 製品とする 本補強工法に用いる鉄筋は JISG3112 に適合した製品とする 2.2 ATモルタルの品質本補強工法に用いるATモルタルは 吹き付け用のAT-PCM 下塗と 保護被覆用のAT -PCM 中塗および上塗り用のAT-PCM 弾性上塗とする ATモルタルは 既設コンクリート面と補強帯鉄筋との間に十分充填し 所定の厚さで鉄筋を被覆することにより 鉄筋によるコンクリート拘束効果を発揮させるとともに 鉄筋の腐食防止を目的に使用される 本工法で用いる吹き付け用のAT-PCM 下塗は コンクリートおよび鉄との付着性に優れ 保護被覆用のAT-PCM 中塗は高い付着性と疲労耐久性に優れている また 上塗り用のAT-PCM 弾性上塗は中性化等に対する抵抗性を有している 表 -2.2.1 および表 -2.2.2 に AT-PCM 下塗と AT-PCM 中塗の品質規格を示す AT-PCM 下塗の品質規格 試験項目 試験方法 規格値 (7 日強度 ) 付着試験 建研式 3.0 N/ 以上表 2.2.1 AT-PCM 中塗の品質規格 試験項目 試験方法 規格値 (4 週強度 ) 圧縮試験 JIS A 1171 24.0 N/ 以上 曲げ試験 JIS A 1171 表 2.2.2 6.0 N/ 以上 4

2.3 定着材の品質 表 -2.3.1 に定着材 AT-ER100 の品質規格を示す 試験項目試験方法試験条件 単位 規格値 比重 JIS K 7112 20 7 日間 1.15±0.10 可使時間温度上昇法 20 分 40±10 圧縮降伏強度 JIS K 7181 20 7 日間日間 N/ 50 以上 曲げ強さ JIS K 7171 40 以上 引張強度 JIS K 7113 20 以上 圧縮弾性率 JIS K 7181 1000 以上 引張せん断強度 JIS K 6850 10 以上 表 -2.3.1 定着材 AT-ER100の品質規格 表 -2.3.2に定着材 AT-ER300の品質規格を示す 試験項目 試験方法 試験条件 単位 規格値 比 重 JIS K 7112 20 7 日間 1.1±0.1 可 使 時 間 温度上昇法 20 分 40±10 圧縮降伏強度 JIS K 7181 20 7 日間日間 N/ 50 以上 曲引 げ張 強強 さ度 JIS K 7171 JIS K 7113 40 以上 20 以上 圧縮弾性率引張せん断強度 JIS K 7181 JIS K 6850 1000 以上 10 以上 表 -2.3.2 定着材 AT-ER300の品質規格 (1) 軸方向鉄筋の埋設溝内の定着に用いる定着材は AT-ER100( 高粘度エポキシ樹脂 ) を用いるものとする (2) 軸方向鉄筋のフーチング部アンカー定着に用いる定着材は AT-ER300( 低粘度エポキシ樹脂 ) を用いるものとする (1) 軸方向鉄筋の埋設溝内の定着に用いるAT-ER100は 十分な引き抜き強度および接着強度を有し ダレに対し十分な粘度があるものとする (2) 軸方向鉄筋のフーチング部アンカー定着に用いるAT-ER300は 十分な引き抜き強度および接着強度を有し 湿潤面においても十分な接着強度があるものとする 5

3.1 設計一般 3 章設計 (1) 鉄筋埋設式 PCM 巻立て補強工法 (AT-P 工法 ) による補強設計は レベル2 地震動に対し要求される既設 RC 橋脚の曲げ耐力 せん断耐力 じん性の向上を満足するよう設計を行うものとする (2) 本工法は鉄筋コンクリート巻き立て補強工法に準じた構造であり 設計は鉄筋コンクリート巻き立て工法と同様の取り扱いで設計することを基本とする (1)(2) 本工法は 鉄筋コンクリート巻き立て補強工法と同種の補強方法であり 補強設計は道路橋示方書 Ⅴ 耐震設計編 (( 社 ) 日本道路協会 ) によるほか 以下の各技術基準 資料の鉄筋コンクリート巻き立て工法と同様の考え方で設計する 設計要領第二集橋梁保全編 5 章耐震補強 ( 日本道路公団 ) 既設道路橋の耐震補強に関する参考資料 (( 社 ) 日本道路協会 ) 3.2 補強設計の考え方 (1) 補強部材は 既設部材と一体に機能するものとする (2)PCM 巻立ての範囲は 橋脚柱基部から柱頂部までとする (3) 補強設計に当たっては じん性の向上を第一とし 次に曲げ耐力の向上をはかる方法とする (4) 補強設計に当たっては せん断耐力や段落し部の曲げ耐力が不足する場合には 破壊形態が 躯体下端の曲げ破壊先行型へ移行するように補強することを原則とする (5) 橋脚基部の曲げ耐力向上を行う場合は 補強に必要な量の軸方向鉄筋をフーチング部にアンカー定着するものとする (6) 躯体の断面寸法の辺長比が1:3を越える橋脚の補強については 原則として橋脚基部の長辺側両壁面を中間貫通鋼材の配置を行う (1)AT-P 工法に使用するATモルタルは 高い接着性能と十分な圧縮強度を有することから 巻き立て部と既設部が一体化して機能するものとして設計を行う (2)AT-P 工法による補強は 橋脚躯体全体の耐力向上を目的としているので 設計要領第二集橋梁保全編 5 章耐震補強 ( 日本道路公団 ) 及び既設道路橋の耐震補強に関する参考資料 (( 社 ) 日本道路協会 ) に示された鉄筋コンクリート巻立て工法と同様に橋脚全体を巻き立てることとした 6

(3)(4) 各技術基準 資料ではレベル2 地震動に対する橋脚の補強は じん性の向上と基部曲げ破壊先行型への移行が基本とされている この基本に従って AT-P 工法による橋脚補強設計は図 -3.2.1のフローの通りとする (5) 橋脚基部の曲げ耐力向上に寄与する補強材は 既設橋脚フーチング部に定着された軸方向鉄筋のみ有効であると考え 橋脚基部の曲げ耐力算定に当たっては フーチング部にアンカー定着した軸方向鉄筋のみ考慮するものとした (6) 壁式橋脚等の壁断面の辺長比が大きくなる場合は長辺部の横拘束筋のはらみだしが生じ十分な拘束効果が得られないことから 躯体を貫通する中間貫通鋼材を配置し横拘束筋の有効長を短くする方法が取られるが 中間貫通鋼材によりじん性を増加させなくても 曲げ耐力の向上のみで所定の耐震性が確保できる場合には 中間貫通鋼材を設けなくてもよいものとする 7

START 設計 施工条件の整理 段落し先行 曲げ初降伏耐力による損傷断面の照査 段落しを補強したと仮定 基部先行 レベル 2 地震動に対する静的照査法による既設橋脚基部の照査 1 補強鉄筋は軸方向アンカー鉄筋 D38@250 横拘束筋 D22@100 を最大値の目安とする ひび割れ耐力 < 降伏耐力 < 終局耐力が成立するか YES NO YES 地震時等価水平力 < 地震時保有水平耐力が成立するか NO 基部アンカー非定着として補強断面を仮定 補強断面変更 段落し部損傷先行の場合段落し部断面補強の決定 曲げ初降伏耐力による損傷断面の照査 基部先行 段落し先行 レベル 2 地震動に対する静的照査法による補強断面基部の照査 NO YES 地震時等価水平力 < 地震時保有水平耐力が成立するか NO 補強横拘束筋は最大断面か 1 YES 基部アンカー定着として補強断面を仮定 補強断面変更 曲げ初降伏による損傷断面の照査 段落し先行 基部先行 レベル 2 地震動に対する静的照査法による補強断面基部の照査 NO 地震時等価水平力 < 地震時保有水平耐力が成立するか NO 補強鉄筋は最大断面か 1 YES YES 基部の照査 ( 場合によっては省略 ) OK NG 基礎の補強が可能 YES NO 補強断面の決定 END 解析方法 構造系の変更等別途検討 図 -3.2.1 AT-P 工法による RC 橋脚補強設計の流れ 8

3.3 使用材料強度 (1) 既設橋脚の鉄筋及びコンクリート強度は設計時の材料強度を使用するものとする (2) 補強部増厚用モルタルの設計基準強度はσck=24N/mm 2 とする (3) 補強鉄筋はSD345とする (1) 既設橋脚のコンクリート及び鉄筋の強度は 当初設計時で使用されている強度を適用する 現存する設計資料がない場合は コンクリート強度は採取コアによる圧縮試験結果を使用し 鉄筋ははつりだし確認した鉄筋が 丸鋼の場合はSR235 異形鉄筋の場合はSD295と想定して設計する (2)(3) 補強部の材料強度は鉄筋コンクリート巻き立て工法に準じた値とする 3.4 構造細目 (1) ATモルタルの保護被覆厚は 帯鉄筋径 ( 最外径 )+16mm( 中塗厚 15mm+ 上塗厚 1mm ) を標準とする その際 異形鉄筋には節加工が施されているため これを考慮して保護被覆厚を決定するものとする ちなみに 帯鉄筋 D16を例にとると 18mm (D16 最外径 )+15mm( 中塗厚 )+1mm( 上塗厚 )= 34mmとなる ( 表 3-4-1 異形鉄筋の節高と最外径を参照 ) (2) 鉄筋埋設用溝の大きさは幅 = 軸方向鉄筋最外径 +8mm 深さ= 軸方向鉄筋最外径 + 4mmを標準とする (3) 軸方向鉄筋をフーチング部に定着する場合の軸方向鉄筋削孔径は D13~D29 φ42mm D32~D38 φ53mm D41~D51 φ64mmを標準とする (4) 鉄筋の継ぎ手は 軸方向鉄筋はガス圧接および機械式継ぎ手を 帯筋はフレア溶接を標準とする (5) 軸方向鉄筋の圧接部の切削溝の大きさは D13~D32 幅 =160mm 深さ=95mm 高さ= 500mmを標準とし D35 以上及び鉄筋かぶりが不足な躯体は 別途検討が必要 フーチング部に定着する軸方向鉄筋の削孔用コア収納スペース切削溝は 幅 =130mm 深さ= 軸方向鉄筋最外径 +4mm 高さ=1000mmを標準とする (6) 補強材の軸方向鉄筋 帯鉄筋の径及び配置は 鉄筋コンクリート巻き立て工法に関する各技術基準によることとする 9

(1) (2) モルタルの保護被覆厚 埋設用溝の標準形状を図 -3.4.1 に示す 図 -3.4.1 AT-P 工法標準断面 (3) 鉄筋の継ぎ手は鉄筋コンクリート巻き立て工法各基準にあわせ重ね継ぎ手は用いないもの とする フレア溶接の継ぎ手形状は各技術基準に従って決定するものとする ( 単位 : mm ) 呼び径 D10 D13 D16 D19 D22 D25 節高 0.8 1.0 1.4 2.0 2.2 2.6 最外径 11 14 18 21 25 28 呼び径 D29 D32 D35 D38 D41 D51 節高 2.8 3.2 3.4 3.8 4.2 5.0 最外径 33 36 40 43 46 58 表 3.4.1 異形鉄筋の節高と最外径 (JISG3112) 10

3.5 本工法を適用するに当たっての留意点本工法は 以下の条件を有する橋脚への採用は十分検討する必要がある (1) アルカリシリカ反応 (ASR) や塩害の被害を受け かぶりコンクリートに著しい損傷が生じているもの (2) コンクリート強度が十分でないもの (3) 鉄筋のかぶりが小さいもの (4) フーチング部の強度が十分でないもの 本補強工法は 既設橋脚のかぶりコンクリートに補強材を定着する工法であることから 確実な補強効果を得る為には健全で十分なかぶりを有することが重要である 従って かぶりコンクリートの健全度を確認のうえ採用の可否を判断する必要がある また かぶりコンクリートを切削して鉄筋を埋設することから 切削溝が十分確保できるかぶり厚さを有することが必要である フーチング部の強度が十分でない場合は フーチング部の補強が必要である 11

4.1 施工一般 4 章施工 本補強工法の施工にあたり 既設橋脚内部に軸方向鉄筋を埋設 定着するという本工法の特 有性を十分に留意し 補強後の橋脚の耐震性 安全性 疲労耐久性 使用性など所要の性能を 確保できるように施工を実施するものとする 本工法の施工に先立ち 既設コンクリ-ト橋脚内部に軸方向鉄筋を埋設 定着するという本工法の特有性を十分に留意して 既設構造物の置かれている環境や損傷状況を十分に調査 把握し 必要に応じて事前 事後対策を実施し 補強後の橋脚の耐震性 安全性 疲労耐久性 使用性など所要の性能を確保できるように施工を実施する 4.2 施工手順 本補強工法の施工手順は 以下を標準とする 1 2 3 4 5 事前調査表面処理工鉄筋埋設定着工帯鉄筋取付工保護被覆工 12

本工法は次に示す施工フロ - を標準とする 事前調査 鉄筋位置探査 採寸 墨出し 表面処理工 高圧水洗 鉄筋埋設定着工 削孔用コアスペ-ス切削 コア削孔( 特殊削孔 ) 削孔用コアスペ-ス断面修復 埋設溝切削 埋設溝定着( 軸方向鉄筋 ) フ-チング部定着( ) 帯鉄筋取付工 帯鉄筋取付 フレア溶接 保護被覆工 下塗材塗布 中塗材定着材塗布 ( 補強ネット ) 弾性上塗材塗布 弾性仕上材塗布 13

4.3 事前調査 本補強工法の施工に先立ち 補強を行う既設橋脚の事前調査を実施し 現寸法を採寸し 損 傷状況および既設鉄筋の配筋状態を十分に調査し 把握するものとする 事前調査では既設橋脚の現寸法を正確に実測し記録する この実寸法に基づいて補強鉄筋を加工するものとする 損傷状況の調査はひび割れの状況 遊離石灰と錆汁の有無 鉄筋の腐食状況など損傷の限度を把握し ひび割れ注入や断面修復等の対策を実施する 漏水やまわり水は補強後の再劣化の原因となるので 止水 防水 排水装置の施工も検討する 事前調査では非破壊検査などで 配置されている鉄筋の位置を把握することが重要である 特に フ-チング部の配筋調査は入念に実施し 軸方向鉄筋と既設鉄筋との干渉を避けるようにする この配筋調査に基づいてコア削孔位置を決定するものとする フ-チング部のアンカ- 削孔にあたり 試掘や試験穿孔を行い ジャンカなどの有無を確認するものとする ジャンカなどにより 所定の削孔長を確保できない場合は 補強鉄筋の径を変更するなどの設計変更を行うものとする 設計図面と現況寸法が異なる場合は 監督員と協議の上確認を行うものとする 4.4 表面処理工 AT モルタルが 所定の接着強度が得られるよう 既設コンクリ - ト表面の汚れや脆弱部を 表 面処理により十分除去するものとする 表面処理は高圧水洗を標準とする 油脂等の汚れや脆弱部 セメントペ - スト等の除去を行い 健全面を露出させる 14

4.5 削孔用コアスペ-ス切削工 コア削孔工 (1) 削孔用コアスペ-ス切削工削孔に先立ち専用穿孔機収納スペ-ス ( 以下収納スペ-ス橋脚基部のそれぞれの位置に設ける (2) コア削孔工 ( 特殊削孔 ) 軸方向鉄筋のフ-チング部への削孔に当たっては 既設鉄筋に損傷を与えないよう慎重に施工する (1) 削孔用コアスペ-ス切削工既設鉄筋の位置を確認の上 削孔位置を決定する 削孔に先立ち 橋脚基部を切削して収納スペ-スを設ける ( 図 -4.5.1, 写真 -4.5.1,2 参照 ) (2) コア削孔工 ( 特殊削孔 ) 削孔は専用穿孔機で行う この時 既設鉄筋を切断したり 損傷を与えないよう十分注意して削孔を行う 削孔径は 下記の表 -4.5.1を標準とする 定着長さは鉄筋径の 20 倍とする 図 -4.5.1 表 -4.5.1 鉄筋径 D13 ~ D29 D32 ~ D38 D41 ~ D51 φ 42 mm φ 53 mm φ 64 mm 写真 -4.5.1 写真 -4.5.2 15

4.6 埋設溝切削工 (1) 専用穿孔機収納スペース ( 以下収納スペース ) の両袖部は保護被覆材 (AT-PCM 中塗 ) を用いて断面修復する 収納スペースの中央部は埋設溝確保のため養生を行う (2) 収納スペースに設けた埋設溝の延長線上の橋脚表面を切削して 軸方向鉄筋埋設溝を設ける (1) 収納スペースの両袖部を下塗り材 (AT-PCM 下塗 ) 及び 保護被覆材 (AT-PCM 中塗 ) を用いて断面修復する 断面修復に先立ち 先に削孔したフ-チング部定着孔は異物が入らぬようにウエスやスポンジ等で養生する 収納スペ-ス中央は埋設溝断面とするため 予定する埋設溝の大きさの型枠材等で養生し 断面修復材の硬化後撤去する ( 図 -4.6.1 参照 ) 下塗り材 (AT-PCM 下塗 ) 及び 保護被覆材 (AT- 図 -4.6.1 PCM 中塗 ) については後述する (2) 収納スペースに断面修復して設けた埋設溝の延長線上の橋脚表面を切削して 軸方向鉄筋埋設溝を設ける 切削に先立ち墨出しを行い 墨出し線に沿ってコンクリ-トカッタ-でカッタ- 切りを行った後 エア-ピックではつり取る 埋設溝の寸法は 軸方向鉄筋の径に合わせて決定するものとする ( 写真 -4.6.1 参照 ) 写真 -4.6.1 16

4.7 鉄筋埋設定着工 (1) 埋設溝充填 定着工エポキシ樹脂定着材 AT-ER100をコ-キングガンを用いて埋設溝内に隙間なく充填する 充填材は埋設溝の隅部に隙間ができぬように入念に行わなければならない 充填後 直ちに軸方向鉄筋 ( 以下鉄筋 ) をフ-チング部定着孔に差し込み 埋設溝内にはめ込む 埋設溝と鉄筋の隙間から溢れ出た定着材をゴムヘラなどでならし 表面を平滑に仕上げなければならない (2) フ-チング部定着工エポキシ樹脂定着材 AT-ER300を定着孔内に流し込み 軸方向鉄筋を挿入し定着させる (1) AT-ER100の施工は 軸方向鉄筋を埋設溝を通じて橋脚内に定着 拘束させる重要な工程であるため 埋設溝の隅部に空気の巻き込みによる空隙ができないように入念に充填を行う 充填に先立ち フ-チング部定着孔に充填材図 -4.7.1 が入らぬように養生する 充填はコ-キングガンを用いて行い 溝内の凹凸に合わせて空気を押し出すように充填し 隅部に空隙をつくらないように入念に行う 充填後 直ちに鉄筋をフ-チング部定着孔内に差し込んで 埋設溝内にはめ込み 定着材が隙間から溢れ出るまでハンマ- 等で叩き込む 溢れ出た定着材は ゴムヘラなどでならし 表面を平滑に仕上げ 表面が指触乾燥するまで養生する ( 図 -4.7.1 参照 ) 配合は主剤 2 : 硬化剤 1 ( 重量比 ) とし 均一な色になるまで充分に混練りする (2) 規定通りに配合した AT-ER300 を フ - チング部 定着孔内に流し込み 表面が指触乾燥するまで養生 する ( 写真 -4.7.1 参照 ) (3) 養生は 気温 5 以上 湿度 85% 以下の環境と する 写真 -4.7.1 17

4.8. 1 帯鉄筋設置工 フレア - 溶接工 (1) 帯鉄筋は補強設計によって算出された鉄筋量を正確に設置しなければならない (2) 帯鉄筋の継手はフレア溶接継手を標準とする (1) 帯鉄筋はコ型に加工した2 本を一組とし 補強設計によって算出された鉄筋量を指定間隔で正確に設置する 設置にあたり 仮固定はサドルバンドを使用する 帯鉄筋はコンクリ-ト表面に密着するように設置する (2) 帯鉄筋の継手はフレア溶接を標準とする フレア溶接継手の施工は 鉄筋溶接継手指針 に従うものとする 鉄筋の継ぎ手位置は同一断面とならぬように相互にずらすこととする 継ぎ手長 鉄筋径の 10 倍とする 4.8. 2 ガス圧接 機械継手工 (1) 軸方向鉄筋の継ぎ手はガス圧接及び 機械式継手を標準とする (1) ガス圧接及び 機械式継手については 現場状況にあわせてその都度検討するものとする 18

4.9 保護被覆工 下塗材塗布 (1) 表面処理を施したコンクリ-ト粗面と保護被覆材であるポリマ-セメントモルタルとの確実な接着を図るために下塗材 (AT-PCM 下塗 ) を塗布する (2) 下塗り材 (AT-PCM 下塗 ) は規定通りの配合比計量と配合手順を行わなければならない (3) 下塗り材 (AT-PCM 下塗 ) はハケ塗りを標準とし コンクリ-ト表面および鉄筋表面に均一にムラなく被覆するものとする (1) コンクリート表面と保護被覆材である AT モルタルとの確実な接着を図るために下塗り材 (AT-PCM 下塗 ) を塗布する (2) AT-PCM 下塗の配合方法 1 配合比 主剤 : 硬化剤 : 水 = 5 :1 : 3 ( 重量比 ) 2 配合手順 1) まず 主剤 5kg と水 3kg とをよく混ぜ合わせた後 硬化剤 1kg を 混入して均一な色になるまで撹拌する 2) 撹拌時間は 3 分間とする (3)AT-PCM 下塗はハケ塗りを標準とする 1 塗布方法 1) コンクリ - ト表面が結露や雨水などで濡れている場合はウエ スなどで十分に拭き取る 2) 塗布は毛ハケ ロ-ラ- 刷毛を使用する 3) 鉄筋裏は塗り残しがないように 特に入念に塗布する 4) 下塗り材のタックがある内に AT-PCM 中塗材を吹き付け またはコテ塗りを行うが 塗布後 30 分の間隔を開ける 2 使用量 0.15 kg / m2を標準とする 19

4.10 保護被覆工 保護被覆材塗布 (1) 保護被覆はAT-PCM 中塗 ( 以下 中塗材 ) およびAT-PCM 定着材 ( 以下 定着材 ) によって施工する (2) 中塗材は規定通りの配合比計量と配合手順で行わなければならない (3) 中塗材の施工は吹き付け またはコテ塗りとする (4) 定着材は規定通りの配合比計量と配合手順で行わなければならない (5) 定着材の施工はコテ塗りとし 層間にAT 補強ネットを ( 以下 補強ネット ) を貼り付ける (1) 1) 中塗材は補強用繊維 ( 以下 PP 繊維 ) を多く配合し 高靱性化したポリマ-セメントモルタルで 吹き付け またはコテ塗りにより施工する 2) 定着材は 中塗材塗布後の表面仕上げに使用し 層間に補強ネットを貼り付けて施工する (2) AT-PCM 中塗の配合方法 配合比 AT-PCM 中塗材 :AT-PCM 混和材 :PP 繊維 = 25 : 1 : 0.135( 重量比 ) 配合手順 1)AT-PCM 中塗材と AT-PCM 混和材を所定の量を計量して モルタルミキサで良く攪拌する 2)AT-PCM 中塗材とAT-PCM 混和材とがよく混ぜ合った後 PP 繊維を混入し 十分に撹拌する 3) 撹拌時間は5 分間とする (3) AT-PCM 中塗の施工は吹き付け またはコテ塗り施工とする 吹き付けの手順は 以下の通りとする 1 施工方法 1)AT-PCM 中塗の吹き付けは 必ず下塗り材のタックがある 内に行い タックがなくなった場合は下塗り材が硬化した後 再塗布をしなければならない 2) 吹き付け前に 中塗り材の流動性状を確認して施工を行う 3) 初めに ホ-スに水を通し 次にセメントノロを圧送する 必ずセメントノロを圧送してから モルタルを圧送する 4) 仮吹きをして ノズル先とエアチップ間距離とモルタルやエア吐出量を調整する 20

5) 鉄筋裏には空気たまりが生じやすいため 留意して入念に二面吹きを行う 6) 圧送ホ-スの長さは20m 以内を標準とする 7) 一度鉄筋表面まで吹き付け 鉄筋裏の空気たまりを無くすために十分に金コテ押さえを行うこと 8) 一回の最大吹き付け厚さは30mm 以内とする 最大吹き付け厚さを超える場合は 2 層以上に分けて施工を行う 9) 吹き付け後 金コテで押さえて平滑に仕上げる 10) 施工時は 施工現場内の温度管理を行い 特に冬期は気温が5 以上であることを確認して施工を行う また 夜間の温度が0 以下となる場合も 温度養生を行う必要がある 11) 施工後 ガンやホ-スを洗浄する際に発生した残材や洗浄水は 外部に漏れ出さない容器内に保管した後 適切に処理をする 2 使用量 18 kg / m2 (10mm 厚 ) を標準とする 3 使用機器 1) 使用機器は下記の規格を標準とする 機器名 規格 数量 発動発電機 25KVA 200V 1 台 空気圧縮機 5.0m3/ 分 50ps 1 台 モルタルミキサ 100L 1 台 モルタルポンプ 3.7kw 1 台 ホッパ- アジテ-タ- 付 1 台 ガン 圧送ホ-スなど Ⅰ 式 2) 空気圧縮機の吐出能力は 0.7Mpa 以上とする エア量が少ないとモルタルを吹き上げることができないので注意する 3) モルタルポンプの圧送能力は 2.3 ~45 / 分必要とし 圧送量可変タイプが また適切な吐出量を維持するためにインバ-タ - 制御のポンプが望ましい さらに ノズルマンの手元でポンプの電源をリモコン操作ができることが望ましい 21

4) 圧送ホ-スの閉塞を防ぐためにアジテ-タ- 付ホッパ-やバイブレ-タ- 付網を使用することが望ましい 5) モルタルガンは必ず吹き付け専用ガンを使用し ガン先ノズルは14~18mm エアノズルの先端内径は4~5mmとするのが望ましい コテ塗りの手順は 以下の通りとする 1 施工方法 1)AT-PCM 中塗のコテ塗りは 必ず下塗り材のタックがある 内に行い タックがなくなった場合は下塗り材が硬化した後 再塗布をしなければならない 2) 鉄筋近傍に塗布する際 空隙が生じないように入念に塗布する 3) 一回の塗り厚は10mm 程度を標準とする (4) AT-PCM 定着材の配合方法 配合比 AT-PCM 定着材 : AT-PCM 混和材 = 25 : 1( 重量比 ) 配合手順 1)AT-PCM 定着材と AT-PCM 混和材を所定の量を計量して モルタルミキサで良く攪拌する 2) 撹拌時間は 5 分間とする 2 使用量 3.6 kg / m2 (2mm 厚 ) を標準とする (5) AT-PCM 定着材の施工はコテ塗りとし 層間に AT 補強ネットを貼り付ける 1 施工方法 1)AT-PCM 定着材を 先に塗布した AT-PCM 中塗の PP 繊維の毛羽立ちが隠れる5mm 程度に薄塗りをして 直ちに AT 補強ネットをシワやフクレが無いように貼り付け 端部を 5cm重ね合わせる 2) 貼付後 再度 AT-PCM 定着材を5mm 程度薄塗りをして表面を平滑に仕上げる 3)AT-PCM 定着材の塗り厚は 10mmを標準とする 22

(6) AT-PCM 定着材の配合方法 配合比 AT-PCM 定着材 : AT-PCM 混和材 = 25 : 1( 重量比 ) 配合手順 1)AT-PCM 中塗材と AT-PCM 混和材を所定の量を計量して モルタルミキサで良く攪拌する 2) 撹拌時間は 5 分間とする 2 使用量 18 kg / m2 (10mm 厚 ) を標準とする 23

4.11 保護被覆工 弾性上塗材塗布 (1) 弾性上塗工は AT-PCM 弾性上塗によって施工する (2) 弾性上塗材 (AT-PCM 弾性上塗 ) は規定通りの配合比量と配合手順を行わなければならない (3) 弾性上塗材 (AT-PCM 弾性上塗 ) の施工はコテ塗りとする (1) 弾性上塗材 (AT-PCM 弾性上塗 ) の施工はコテ塗りで行い 表面を平滑に仕上げる (2) AT モルタル上塗の配合方法 1 配合比 AT-PCM 弾性上塗材 : AT-PCM 弾性上塗用混和材 =11:6( 重量比 ) 2 配合手順 1) 混和液 (AT-PCM 弾性上塗用混和材 ) は使用前に袋を良 く振り 所定の量を計量し 撹拌容器に入れる 2) パウダ-(AT-PCM 弾性上塗材 ) を少量づつ撹拌容器に入れながら ハンドミキサで撹拌する 3) 撹拌時間は3 分間とする (3) AT-PCM 弾性上塗はコテ塗り施工とする 1 施工方法 1) 中塗材の硬化後 AT-PCM プライマ - を塗布し 弾性上塗 材を塗り込み表面を平滑に仕上げる 2) 養生は必要に応じて表面乾燥を防ぐためシ-ト等による直射日光 風等を防ぐ処置と温度が5 以下の場合はジェットヒ-タ - 等による加熱養生を行うものとする 2 使用量 AT-PCM フ ライマー AT-PCM 弾性上塗 0.15kg/ m2を標準とする 1.4 kg / m2 (1mm 厚 ) を標準とする 24

4.12 保護被覆工 弾性仕上材塗布 美装性 耐久性向上のため AT-PCM 弾性仕上材を塗布する 保護被覆材の美装性 耐久性向上のため 表面弾性仕上材 (AT-PCM 弾性仕上材 ) を塗 布する 1 施工方法 1) 施工面に結露や雨水などで濡れている場合は ウエスなどで十分に拭き取る 2) 使用前に缶を良く振って必要量を取り出す 2 使用量 使用量 0.3 kg / m2 (2 回塗り ) を標準とする 25

5.1 補強鉄筋の品質管理 5 章品質管理 補強鉄筋の品質は 製造時の品質記録により確認する 補強鉄筋は JIS 鉄筋を用いるものとし 工場生産時の品質記録により性状を確認する 5.2 定着材の品質管理 軸方向鉄筋埋設溝定着材 (AT-ER100) およびフーチング部定着材 (AT-ER300) の品質は 製造時の品質記録および配合により管理する 1) 鉄筋埋設溝定着材 ( 以下 AT-ER100) の品質管理は 配合を確認し 硬化後の強度を確認するものとする AT-ER100の配合は 主剤 2 : 硬化剤 1 ( 重量比 ) とする 2) フーチング部定着材 ( 以下 AT-ER300) の品質管理は 配合を確認し 硬化後の強度を供試体による引き抜き試験により確認するものとする AT-ER300の配合は 主剤 3 : 硬化剤 1 ( 重量比 ) とする 5.3.1 AT モルタルの品質管理 ( 配合管理 ) AT モルタルの品質は 製造時の品質記録および配合を管理する 1) ATモルタルの配合は 表 -5.3.1のとおりとする AT-PCM 下塗 AT-PCM 中塗 AT-PCM 定着材 主剤 5 : 硬化剤 1 : 水 3 ( 重量比 ) AT-PCM 混和材 1 : AT-PCM 中塗材 25 : PP 繊維 0.135 ( 重量比 ) AT-PCM 混和材 1 : AT-PCM 定着材 25 ( 重量比 ) AT-PCM 弾性上塗 AT-PCM 弾性上塗用混和材 6 : AT-PCM 弾性上塗材 11 ( 重量比 ) 表 -5.3.1 ATモルタルの配合 所定配合後の練り混ぜ時間は3~5 分間とする 26

5.3.2 AT モルタルの品質管理 ( 強度管理 ) AT モルタルは 圧縮強度 曲げ強度および付着強度試験を実施する 1) ATモルタルの強度は 表 -5.3.2-1に示す物性を工場製造時の品質記録および試験成績書により確認する 2) 施工現場におけるATモルタルの品質試験は 圧縮強度 曲げ強度および付着強度試験とし 試験頻度は監督員と協議の上決定するものとする 3) 試験の対象材料は 下記のとおりとする 圧縮 曲げ強度試験 付着強度試験 AT-PCM 中塗 AT-PCM 定着材 AT-PCM 下塗 4) 試験基準試験基準はコンクリート標準示方書施工編に準じ 1 回の強度の試験結果が基準強度 ( 表 -5.3.2-1) の85% 以上で 且つ3 回の強度の平均試験結果が基準強度以上でなければならない AT-PCM 中塗 AT-PCM 定着材の協会規格値圧縮強度 24.0N/ 以上 曲げ強度 6.0N/ 以上 付着強度 5) 試験供試体作製基準 AT-PCM 下塗の協会規格値 3.0N/ 以上表 -5.3.2-1 圧縮 曲げ強度試験供試体 付着強度試験供試体 40 40 160 コンクリート板 27

6.1 出来形管理 6 章出来形管理 (1) 軸方向鉄筋の埋設溝 圧接の切削溝 削孔用の切削溝の出来形管理 (2) フーチング部削孔の出来形管理 (3) フーチング部定着の出来形管理 (4) フレア溶接の出来形管理 (5) 保護被覆の出来形管理 (1) 軸方向鉄筋の埋設溝 圧接の切削溝 削孔用の切削溝の出来形管理 切削終了後にスケールを用いて幅 深さ 高さを計測し管理する (2) フーチング部削孔の出来形管理 フーチング部削孔終了後にスケールを用いて削孔長さ及び 削孔径を計測し管理 する ( 表 6.1.1 参照 ) (3) フーチング部定着の出来形管理 フーチング部定着終了後にあらかじめ設けておいた基準長のマーキング位置より 余長をスケールを用いて計測し確認する ( 表 6.1.1 参照 ) ( 例 ) 1000 mm ( 基準長 ) - 620 mm ( 余長 ) = 380 mm ( 定着長 ) ( 図 6.1.1 参照 ) 測定項目規格値測定基準 削孔長 定着長 設計値以上 -20mm 又は 1D 管理頻度は全数測定 表 6.1.1 施工管理基準値 図 6.11 参考図 (4) フレア溶接の出来形管理 フレア溶接終了後にスケールを用いて継ぎ手長を計測し管理する (5) 保護被覆の出来形管理 保護被覆工終了後に面積と厚さを計測し管理する 厚さは 既設コンクリートに設置した検測用ピンによって管理し 施工前に計測した基準長から施工後に計測した余長を差し引いた数値を厚さとして管理する 検測ピンは1 橋脚毎に4 箇所設置して計測し管理するものとする 28

7.1 安全管理 7 章安全管理 1) 本工法の施工にあたり 発生粉塵に対する安全対策として作業員は保護具を着用して作業を行うものとする 2) 本工法の施工にあたり 有機溶剤作業の安全対策として 作業員は保護具を着用して作業を行うものとする 1) 本工法の施工にあたり 発生粉塵に対する安全対策として 作業員は必ず防塵メガネおよび防塵マスクを着用して作業を行うものとする 防塵メガネおよび防塵マスクを常に清浄な状態を保ち 防塵マスクのフィルターは毎日取替えるものとする 2) 本工法の施工にあたり 作業員はゴム手袋を着用し 上向き作業の場合は保護メガネを着用するものとする 有機溶剤マスクの着用については 作業環境がオープンスペースであるため非着用で作業できるものとする 7.2 第三者に対する安全管理 本工法の施工にあたり 第三者に対する安全対策を講じて施工を行わなければならない 1) 本工法は下部工における施工であるが 必要に応じて橋面上に誘導員を設置して 第三者への災害防止に務めるものとする 2) 発生粉塵 コンクリート片の飛散防止のために飛散防止ネットを張り 第三者への災害防止に務めるものとする 3) その他 必要に応じて第三者への災害防止対策を講じて施工するものとする 29

8.1 環境対策 8 章環境対策 1) 本工法の施工にあたり 発生粉塵の飛散防止対策を講じ施工を行うものとする 2) 本工法の施工にあたり 使用材料による河川汚濁および周辺環境対策を講じて 施工を行うものとする 1) 本工法の施工にあたり 埋設溝切削およびはつり工において発生するコンクリート粉塵の飛散防止対策を講じて施工を行うものとする 切削にあたり 使用する切削工具には全て集塵機能装置を装着したものを使用し 発生粉塵はすべて集塵機内に回収する 2) 本工法の施工にあたり 有機溶剤系および無機系ポリマーセメントを使用するため 必要に応じて河川汚濁および周辺環境汚染対策を講じて施工を行うものとする それぞれの材料の製品安全データシートを熟読し 万一の場合の対策を考慮しておくものとする 30

付属資料 -1 AT P 工法による RC 橋脚耐震補強効果に関する実験結果 橋脚型供試体正負交番載荷試験 既設のRC 橋脚を想定し 鉄筋埋設式 PMM 巻立て補強工法を適用したRC 橋脚供試体を用いて正負交番載荷試験を行い 最大耐力 変形性状, ひび割れの分布などの特性を把握した また従来使用されている補強工法を適用した供試体と結果を比較し 本工法の実用性について検討を行った 1 供試体供試体は実橋のRC 橋脚を想定してモデル化し 工場で製作された橋脚型供試体で 鉄筋埋設式 PMM 巻立て補強工法で補強された鉄筋埋設型供試体 一般的なPCM 巻立補強工法で補強された全面増厚型供試体 補強をしていない既設型供試体の3タイプである 供試体高さは 2480[mm] で柱部分の高さは1600[mm] 柱部分の断面形状は鉄筋埋設型が幅 350[mm] 全面増厚型が幅 385[mm] 既設が幅 300[mm] の正方形である 鉄筋埋設型の構造概要図を図 -3.1.1 全面増厚型の構造概要図を図-3.1.2 既設型の構造概要図を図- 3.1.3に示す 補強材の仕様をに示す 供試体の軸方向筋は全てSD295D16 帯筋にはSD295D13の鉄筋を用いた 表-3.1.1に補強鉄筋の材料定数を示す コンクリートは 材齢 28 日における設計基準強度を24[N/mm2] としたコンクリートを使用した 表 -3.1.2にコンクリートテストピースのコンクリート試験結果を示す また表 -3.1.3にPMMテストピースの試験結果を 表-3.1.4にエポキシ樹脂の材料定数を示す 表 -3.1.3 ポリマーセメントモルタル試験結果 表 -3.1.1 降伏強度 ヤング係数 ポアソン比 (N/mm 2 ) (kn/mm 2 ) SD295 D16 385.6 207.1 0.35 表 -3.1.2 コンクリート試験結果 タイプ 圧縮強度ヤング係数引張強度ポアソン比 (N/mm 2 ) (kn/mm 2 ) (N/mm 2 ) - 既設 33.0 29.6 2.37 0.29 全面増厚 31.7 29.6 2.30 0.29 鉄筋埋設 34.3 29.6 2.43 0.29 タイプ 圧縮強度ヤング係数引張強度ポアソン比曲げ強度 (N/mm 2 ) (kn/mm 2 ) (N/mm 2 ) - (N/mm 2 ) 既設 - - - - - 全面増厚 41.6 20.3 2.76 0.33 4.60 鉄筋埋設 48.4 23.8 3.05 0.17 5.01 表 -3.1.4 エポキシ樹脂 圧縮強度 ヤング係数 引張強度 曲げ強度 (N/mm 2 ) (kn/mm 2 ) (N/mm 2 ) (N/mm 2 ) エポキシ樹脂 80.7 1.7 65.1 124.0 31

図 -3.1.1 鉄筋埋設型供試体 側面図 柱断面図 図 -3.1.2 全面増厚型供試体 側面図 柱断面図 図 -3.1.3 既設型供試体 側面図 柱断面図 32

2 載荷方法および測定項目 2.1 載荷方法試験装置を図 -3.2.1に示す 供試体は水平に設置し 下フーチングをPC 鋼棒 上フーチングを六角ボルトによって固定した 載荷方法は, 既設型供試体の橋梁上部構造の反力を想定し 200[kN] の一定軸力を導入した後 水平正負交番載荷を行った 水平力は変位制御で δyずつ漸増させながら与えた ここで 引張側鉄筋のひずみを測定し 降伏ひずみ (1475μ) に達した時の載荷点の水平変位をδyとした 試験状況の写真を写真 -3.2.1に示す 図 -3.2.1 載荷試験装置平面図 写真 -3.2.1 橋脚型供試体設置状況 a) 柱基部側より b) 柱頭部側より 33

3 試験結果および考察 3.1 ひび割れ発生荷重ひび割れ発生荷重の理論値および試験値を表 -3.3.1に示す 理論値はコンクリート試験の結果を用いて道路橋示方書を参考に算出したものである ひび割れ発生荷重は試験値が理論値よりも大きく上回る結果が得られた これは巻き立てる際に用いるPMMの強度が既設コンクリートの強度に比べて大きかったこと また PMMが普通コンクリートよりもじん性などの変形性能に関して優れた性質を持っているためと考えられる とりわけ全面増厚型の試験値と理論値の比が大きいことからもこのことがいえる 3.2 最大荷重 初期降伏変位 δyおよび最大荷重時の変位を表 -3.3.2に示す 理論値はコンクリート試験の結果を用いて道路橋示方書を参考に算出したものである ここで δy0は, 最外縁鉄筋が降伏ひずみに達した時の変位とする 初期降伏時および最大荷重時はひび割れ発生時とは反対に 試験値が理論値を下回る結果が得られている 初期降伏は試験の際の値の読みとり方によりばらつきが見られるが 最大荷重に関しては, 特に既設型の変位における試験値と理論値の比が0.41と試験値が大きく下回っている 鉄筋埋設型は初期降伏時は試験値が理論値を下回るが 最大荷重時の荷重に関しては理論値を下回っているが 変位は精度良く計算できているといえる 全面増厚型は若干理論値を試験値が下回るものの 最大荷重時の試験値と理論値の比は他の2 体に比べ変位 荷重が同じ値をとっている 表 -3.3.1 ひび割れ発生荷重 表 -3.3.2 初降伏荷時および最大荷重時 鉄筋埋設 全面増厚 既設 ひび割れ時 試験値 試験値 理論値 理論値 P(kN) 27.4 13.0 2.11 δ(mm) 3.74 1.42 2.63 P(kN) 31.1 15.5 2.01 δ(mm) 4.06 1.23 3.30 P(kN) 13.3 8.91 1.49 δ(mm) 3.67 1.95 1.88 鉄筋埋設 全面増厚 既設 初期降伏時 試験値 最大荷重 試験値 試験値 理論値 理論値 試験値 理論値 理論値 P(kN) 48.7 84.9 0.57 75.6 106.3 0.71 δ(mm) 11.8 20.2 0.58 33.3 34.2 0.97 P(kN) 65.2 89.2 0.73 78.1 114.1 0.68 δ(mm) 14.1 17.8 0.79 23.8 31.5 0.76 P(kN) 27.6 47.3 0.58 28.6 47.6 0.60 δ(mm) 18.9 26.8 0.70 19.6 47.8 0.41 3.3 水平荷重 - 変位曲線各供試体の水平荷重 - 変位曲線を図 -3.3.1に示す 鉄筋埋設型は荷重が低下することなく変位が伸びつづけているのがわかる 3δy0で最大荷重に達した後 荷重を保ったまま10δy0 まで載荷することができた 試験機の制約により 負側に-12δy0まで漸増させ試験を終了した 全面増厚型は7δy0まで一定の耐力を保っていたがその後急激に耐力が低下し 9δy0まで載荷した既設型は 他の2 体よりも最大荷重が小さく また 全面増厚型同様に荷重が少しずつ減少していくのがわかる 2δy0で最大荷重に達した後 耐力が低下し 5δy0まで載荷し 負側に-11δy0 漸増させ載荷を終了した 34

荷重 (kn) 図 -3.3.1 水平荷重 - 変位曲線 100 75 50 25 0-25 -50-75 -100-150 -100-50 0 50 100 150 変位 (mm) a) 鉄筋埋設型 荷重 (kn) 100 75 50 25 0-25 -50-75 -100-150 -100-50 0 50 100 150 変位 (mm) b) 全面増厚型 荷重 (kn) 50 40 30 20 10 0-10 -20-30 -40-50 -150-100 -50 0 50 100 150 変位 (mm) c) 既設型 35

3.4 包絡線 各供試体の包絡線を図 -3.3.2 に示す 包絡線を見ると 鉄筋埋設型と全面増厚型の耐力が既設型の耐力を上回り 補強鉄筋による補強効果が十分であることがわかる また, 鉄筋埋設型と全面増厚型の耐力がほぼ同程度であることより 埋設された鉄筋が補強筋として機能していることがわかる 変形性状については 全面増厚型は荷重の減少が見られるが 鉄筋埋設型は荷重の減少が見られず終局まで補強筋がその効果を発揮していたと思われる 100 50 鉄筋埋設型 全面増厚型 既設型 図 -3.3.2 包絡線 荷重 (kn) 0-50 -100-15 -10-5 0 5 10 15 δ/δy 3.5 ひび割れ性状 各供試体の柱ひび割れ性状を写真 -3.3.1~ 写真 -3.3.3 に示す 図, 写真ともに 右側が柱基部 左側が上フーチング側である 鉄筋埋設型のひび割れは 柱全体に均等に進展しており 良好なひび割れ分散性が見られる 3δy0を過ぎたあたりから基部に軸方向のひび割れが発生した 全面増厚型は 初期ひび割れのひび割れ幅が大きくなるように進展していき 荷重が2δy0 を過ぎたころで基部の部分に軸方向にひび割れが新たに入っているのがわかる 軸方向に垂直な方向のひび割れは 荷重が大きくなるにつれ基部に集中して入るようになった 既設型も全面増厚型と同様に 初期ひび割れのひび割れ幅が大きくなるように進展していき 荷重が大きくなるにつれ基部に集中して入るようになった 36

4 まとめ 本試験では 鉄筋埋設式 PCM 巻立て補強工法 (AT-P 工法 ) による既設鉄筋コンクリート橋脚の耐震補強効果を検証することを目的とし 橋脚の耐震補強効果を検証するための橋脚型供試体正負交番載荷試験を実施した 実橋を想定し 本工法を適用した橋脚型供試体の正負交番載荷試験を行い その耐力性能や変形性能について把握した これらの試験で得られた結論を以下に示す 鉄筋埋設式 PCM 巻立て補強工法 (AT-P 工法 ) は 従来のポリマーセメントモルタル巻立て工法とと同程度の保有耐力の向上が見込めることがわかった 変形性能に関しては 鉄筋埋設部のエポキシ樹脂の定着力によって ひび割れ分散性およびじん性の向上が従来の工法よりも優れていることがわかった 以上より 施工が適切に行われれば 鉄筋埋設式 PCM 巻立て補強工法 (AT-P 工法 ) は 既設 RC 橋脚の耐震補強工法として適用可能であることがわかった 37

初版第一回改訂第二回改訂第三回改訂第四回改訂 平成 16 年 6 月平成 18 年 9 月平成 19 年 9 月平成 20 年 9 月平成 22 年 11 月 お問合せ先 事務局株式会社アーテック 877-0045 大分県日田市亀山町 4-4 TEL (0973)23-9083 FAX (0973)22-8092