第 5 学年 2 組国語科学習指導案平成 28 年 11 月 29 日熊本市立帯山小学校指導者溝上剛道 1 単元名和の文化について調べよう 和の文化を受けつぐ- 和菓子をさぐる 2 単元について (1) 本単元は 読むこと と 話すこと 聞くこと の複合単元である 和の文化について説明する という目的を意識していろいろな本や資料を読んだり 伝えたい内容や目的に合わせて資料を活用して説明したりすることをねらいとしている 教材 和の文化を受けつぐ - 和菓子をさぐる は 序論 本論 結論の三部構成で書かれた説明文である 本論では 歴史 他の文化とのかかわり 支える人々 という 3 つの観点から和菓子について説明している 結論部では和菓子の魅力についてまとめるとともに 和の文化全体に視野を広げ それらの観点で和の文化について考えていくことが日本の文化を受けついでいくことにつながると述べている こうした筆者の主張や述べ方に着目して読んでいくことで 自分自身が和の文化について調べ伝えるという活動への意欲を高めるとともに 調べる観点や調べたことの伝え方についても見通しをもつことができる教材である これまで子どもたちは 各教科 領域等で調べ活動を経験してきているものの 観点を明確にして調べるという経験はほとんどない 本教材で取り上げられている 3 つの観点のよさを中心に 筆者の述べ方について検討する活動を通して これまで漠然と調べ活動をしていたであろう子どもたちは どんな観点で調べ 伝えるか という新たな視点を獲得することができるであろう (2) 本単元の指導事項の系統は 次の通りである 情報活用 系統 4 年くらしの中にある 和 と 洋 を調べよう くらしの中の和と洋 読解の基礎 系統 5 年筆者の考えをまとめて伝え合おう 動物の体と気候 情報活用 系統 5 年和の文化について調べよう 和の文化を受けつぐ - 和菓子を探る 自分の考えを深める 系統 5 年わたしたちとメディアのつながりについて考えよう テレビとの付き合い方 目的に応じて 複数の本や文章などを選んで比べて読むこと ( 読カ ) 目的や意図に応じて 事柄が明確に伝わるように話の構成を工夫しながら 場に応じた適切な言葉遣いで話すこと ( 話 聞イ ) 文や文章にはいろいろな構成があることについて理解すること ( 伝イ ( キ )) (3) 本学級の子どもの実態は次の通りである 下表は 本単元の指導事項にかかわるアンケート調査の結果である どちらの項目についても全体でみれば あてはまる が多いが どちらかと言えば が半数以上を占める これは 目的に応じて資料を読み 話の組み立てを工夫 などの内容に対して 明確に自己評価ができる基準を持てていないことに起因しているとも考えられる 実際 アンケートを取った際にもそうした内容について 子どもたちから質問がいくつかあった 子どもたちが明確な基準をもって自己評価ができるような指導が必要であると言える 質問項目 国語の授業で目的に応じて資料を読み, 自分の考えを話したり, 書いたりしていますか 国語の授業で意見などを発表するとき, うまく伝わるように話の組み立てを工夫していますか よく あてはまる どちらかと言えば あてはまる どちらかと言えば あてはまらない あてはまらない 10 18 4 2 8 19 7 0
1 学期末実施の初見の説明文 ( サクラソウとトラマルハナバチ ) についてのワークテスト ( ぶんけい ) の正答率は 以下のとおりである 正答率設問本教材とのつながり誤答部分点正答 1トラマルハナバチのどんなところが サクラソウに合っていますか 二つ書きましょう 2サクラソウとトラマルハナバチは どのようにして強い結びつきを気づいてきたと述べていますか トラマルハナバチの 何が サクラソウに合っているのかを読み取る問題 何が の部分は 本教材での 観点 の読み取りにつながる サクラソウとトラマルハナバチの関係について 筆者の考えを読み取る問題 本教材でも 文章構成に着目しながら 筆者の考えをとらえていく 12% (4 人 ) 8% (3 人 ) 20% (7 人 ) 18% (5 人 ) 68% (23 人 ) 76% (26 人 ) 1 は どんなところ を問う問題であるが キーワードではなく 文で書きぬいてしまった子が 4 人いた 残りの誤答および部分点の子は 体言を書きぬいていたものの 不適切なものだった 2 では 誤答のうち無回答が 1 人いた 残りの 2 人は 結論部に着目することはできていたものの 筆者の考えの中心をとらえることができていなかった 部分点の 5 人は 本論 1 2 をまとめた部分の 体の形を変えたり 生活周期を調節したり の後者しか書けていなかった 1 学期の中心的な指導事項 文章構成をもとに要旨をとらえる について ほとんどの子どもが結論部に着目することはできていた しかし どの部分が筆者の考えの中心かを文章構成と結び付けて考えることについては定着が不十分な子がいることが分かった (4) 指導にあたっては 次の点に留意する < 研究の視点 1: 身につけさせたい力とその系統の明確化 > 前学年の説明文単元では 目的に応じて引用したり要約したりする学習を経験してきている また 5 年生の 1 学期には 動物の体と気候 の単元で 序論 本論 結論の構成に着目しながら要旨をとらえることを学んでいる さらに 新聞記事を読み比べよう では 2 社の新聞を比較しそれぞれの書き手の意図について考える学習を行ってきた そこで 本単元では これまで学習してきた 構成 要旨 書き手の意図 をとらえる力を活かしながら 目的を意識して読む 力を身につけさせていきたい さらに次単元では わたしたちとメディアのつながり について考えるために説明文 テレビとの付き合い方 を読む学習へとつながっていく 動物の体と気候 要旨をとらえる 序論 本論 結論 新聞記事を読み比べよう 書き手の意図を読む 和の文化を受けつぐ - 和菓子をさぐる 目的を意識して読む テレビとの付き合い方 文章に対して多面的に読む 例と意見の関係 < 研究の視点 2: 主体的 協働的な学習の手立て > 読解と表現をつなぐ単元のゴールの設定 第 1 次では 結論部の 和菓子の世界は 知るほどにおくが深いものです に着目させ 知るほどにおくが深い和の文化発表会をしよう というゴールを設定する 上記の単元のゴールを意識して本文を読むことができるように 和の文化を受けつぐ から 和の文化のおく深さを伝える工夫を読み取ろう という読みの課題 ( 第 2 次 ) を設定する 結論をもとにして 本論を予想する活動 第 1 次では 教材文のまとめの段落のみを提示し 自分だったらどのように説明するかを考えさせた上で 教材文と出合わせる 説明内容と述べ方について自分なりの考えを持った上で教材文を読むことで おくの深さを伝える工夫 について 内容 述べ方 の両面に着目できるようにする < 研究の視点 3: 身につけさせたい力と直結した評価の工夫 > 振り返りの視点として 今日の学習でわかったこと や 自分が取り入れたい工夫 など具体的に示すことで 身につけさせたい力と直結した評価ができるようにする
( ) 3 単元の目標 複数の本や資料を 目的を意識して読むことができる 伝えたい内容や目的に合わせて 資料を活用して説明することができる 4 単元の評価規準 関心 意欲 態度 話すこと 聞くこと 読むこと 和の文化について調べて説明するという目的を意識して読み 進んで調べてみたい課題を探したり 資料の提示の仕方を工夫して話したりしようとしている 集めた情報を観点ごとに整理し 必要な情報を選んだり組み合わせたりしている 事柄が明確に伝わるように 説明の工夫をしている 自分の意見や知識と比べたり 説明の構成や資料の使い方に注意したりして聞き 自分の考えをまとめている 文章だけでなく図表や写真等の情報を利用するなど 効果的な読み方をしている 観点や構成に着目して内容を的確に理解して要旨を捉え 自分の考えを明確にしながら読んでいる 自分の課題を解決するために 複数の本や文章を比べて読み 必要な情報を選んでいる 5 学習計画 ( 全 13 時間 本時は 5 時間目 ) 次時学習活動教師のかかわり評価規準 ( 評価方法 ) 一 1 学習計画を知 り 単元全体の 見通しを持つ 2 教材文の構成と 観点をとらえ 第 2 次の見通しを持つ 二 3 本論 1~3の内 容と述べ方を読 み取る 4 5 本時 6 述べ方に対する自分の考えをまとめる 三 7 取り上げる題材と観点を決め 本や資料で調べる 和の文化 に対する既有知識を引き出しながら 単元のゴールを設定する 観点や順序性に対する自分なりの考えを持った上で教材文を読むことで 述べ方に着目させる 筆者が 和菓子の世界のおくが深いところ を伝えるためにどのような工夫をしているかについて 内容 述べ方 の 2 点に着目して読み取っていく 本論 1 では 歴史 という観点 年表を使った説明を取り上げる 本論 2 では ほかの文化とのかかわり という観点と写真を使った説明を取り上げる 本論 3 では 支える人々 という観点 各段落でどんな 支える人々 について述べているかを取り上げる 文章構成図を活用しながら 前時までに読み取った 内容 述べ方 を文章全体として俯瞰的にとらえられるようにし 要旨や述べ方に対する自分の考えをまとめさせる 並行読書で読んできた内容を伝え合い 発表で何を伝えたいか そのためにどんな観点で調べるかについて グループで話し合わせる 関 和の文化 について関心を持ち 調べて説明するという目的を意識して文章を読もうとしている ( ノート ) 読 文章の構成をとらえている ( ノート ) 読 目的を意識して 筆者が 和菓子の世界のおくが深いところ を伝えるためにどのような工夫をしているかについて 内容や述べ方から読み取っている ( 観察 ノート ) 読 わたしたちが和の文化を受けついでいくとはどういうことかについて 自分の考えをまとめている ( ノート ) 読 自分の課題を解決するために 必要な情報を選んでいる ( ワークシート )
8 9 四 12 13 必要な情報を選び 説明の内容を考える 10 説明の構成と資料を考える 11 リハーサルを行い 説明の内容や仕方を見直す 和の文化 の魅力を伝えるプレゼンテーション大会を行う 集めた情報が伝えたいことに合うものかを検討させるとともに 集めた情報に合わせて伝えたいことを変更していってもよいことを知らせる 発表の構成を考えるために 説明文の読み取りで扱った文章構成図と同様の形式のものを準備しておく 2~3 グループで互いの発表を見合い アドバイスし合う場を設定する どの 和の文化 により興味をもち 受けついでいきたいと思うかという視点で聞くように助言する 話聞 集めた情報を観点ごとに整理し 必要な情報を選んだり組み合わせたりして 説明する内容を考えている ( ワークシート ) 話聞 伝えたいことを意識して 事柄が明確に伝わるように発表の構成や資料を考えている ( ワークシート ) 話聞 発表の構成や資料の使い方を意識して 発表する内容を見直している ( ワークシート ) 話聞 伝えたいことを意識して 事柄が明確に伝わるように資料を活用して説明したり 自分の意見や知識と比べながら発表を聞いて感想を述べたりしている ( 観察 )
6 本時の学習 (5/13 時 ) (1) 目標 筆者が 支える人 という観点で 和菓子の世界のおくの深さ を伝えるために どんな内容をどのように述べているかを読み取ることができる (2) 展開時間学習活動 主な発問 指示 子どもの反応 支援 手立て評価規準 ( 方法 ) 教具 10 1 本論 3 で 筆者がどんな 支える人 を取り上げているかを読み取り 本時の課題を確かめる 和菓子の文化は どのような人に支えられ 受けつがれてきたのでしょうか 和菓子を作る職人 (13 段落 ) 和菓子作りに関わる道具や材料を作る人 (14 段落 ) 和菓子を味わい楽しむ多くの人 (15 段落 ) 本時のめあて ( 課題 ) 筆者は 支える人 という観点で 和菓子の世界のおくの深さ を伝えるために 何を どのように 述べているだろう 30 2 おくの深さ を伝えるための筆者の工夫を読み取る (1) グループで話し合う (2) 全体で話し合う 5 3 本時の学習でわかったことや自分が取り入れたい工夫をまとめる (1) ペアに話す (2) 文章にまとめる 筆者の中山さんは 本論 3で 和菓子の世界のおくの深さ について どんな 内容 を どんな 述べ方 で伝えているかを読み取りましょう 内容 < 和菓子を作る職人たち> 職人から職人へ受けつがれてきた技術 技術だけでなく感性も < 道具や材料を作る人たち> 昔ながらの手作業 和菓子づくりに欠かせない上質な材料 < 和菓子を味わい楽しむ多くの人 > 食べる人がいなければ 和菓子はいずれなくなってしまう 述べ方 まず また 一方 のつなぎ言葉 写真の活用 和菓子を味わい楽しむ多くの人 は 本当に和菓子の文化を支えているといえるのか さらに15 段落は必要なのかを問い 児童の思考をゆさぶる 筆者はなぜ15 段落の 和菓子を味わい楽しむ多くの人 について述べているのでしょう 和菓子を食べるというのは ふつうあまりおくが深いとは思わないけど わたしたちが何気なく和菓子を食べていることが 実は和菓子の文化を支えていることを伝えるため 今日の学習でわかったことや自分が取り入れたい工夫などを書きましょう 和の文化のおくの深さを伝えるには 技術が職人から職人へと受けつがれてきたことや 技術だけでなく感性も大切にしていることなどを取り上げるとよいと思った また 職人だけでなく 最後に それを味わい楽しむ多くの人 を取り上げることで わたしたちも実は和の文化を支え 受けついでいく一人なのだということがわかっていいと思った ワークシート 写真資料 読 和菓子の世界のおくの深さ を伝えるための筆者の工夫について読み取ってい る ( ノート )