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さらに, 乾燥を受けたコンクリート試験体の水和および中性化の程度を確認するため, 化学分析によって水酸化カルシウムおよび炭酸カルシウムの生成量を算出した 2. 実験の概要 2.1 使用材料および調合使用材料は表 -1 に, コンクリートの調合およびフレッシュ性状試験結果を表 -2 に示す 2.2 試


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報告鉄鋼スラグ水和固化体のポンプ圧送性に関する実験的検討 田中亮一 * 羽渕貴士 * 松永久宏 * * 高野良広 要旨 : 実機レベルで鉄鋼スラグ水和固化体のポンプ圧送試験を実施し, 配合による管内圧力損失の違いや, 品質に及ぼす影響などを把握した その結果, 水平換算距離 m 程度のポンプ圧送は問題なく実施可能であり, スランプや強度指数等の配合要因が圧力損失やポンプ圧送性に及ぼす影響程度を把握した また, 羽根沈入型粘度計を用いて求めたウェットスクリーニングモルタルのレオロジー特性 ( 塑性粘度, 降伏値 ) から鉄鋼スラグ水和固化体の圧送時の圧力損失を推定できる可能性があることがわかった キーワード : 鉄鋼スラグ水和固化体, ポンプ圧送性, 圧力損失, レオロジー特性. はじめに環境負荷の低減および循環型社会を目指すために, リサイクル材を有効利用する技術開発が必要となっている このような背景のもと, コンクリートの代替が可能な新しい材料として, 鉄鋼生産の製鋼過程で発生する製鋼スラグと高炉スラグ微粉末を主材料とした鉄鋼スラグ水和固化体が開発され ), これまでに消波ブロックや被覆ブロックとして港湾工事に利用されている 現在, コンクリート工事においてポンプ施工は必要不可欠な工法であり, この鉄鋼スラグ水和固化体をその他構造物へ広く適用する場合には, 材料の運搬 打込み方法としてポンプ施工技術を確立しておくことは重要である そこで鉄鋼スラグ水和固化体のポンプ打設における安定的な計画と操業を可能とすることを目的として, 各種の配合および施工条件 ( 吐出量 ) でポンプ圧送実験を行った 本報では, ポンプ圧送時に圧送量を実測してポンプ車ピストンの吸い込み効率を測定した結果と, 管内 圧力測定による圧力損失 ( 配管 m あたりの圧力損失 ) およびポンプ圧送前後の品質変化を示し, 鉄鋼スラグ水和固化体の圧送性に及ぼす影響要因について検討を行った 表 - 鉄鋼スラグ水和固化体の使用材料 材料 記号 種類 物性値 高炉スラグ微粉末 P 密度 :.88g/cm, 比表面積 :,cm /g 普通ポルトランドセメント NP 密度 :.6g/cm, 比表面積 :,cm /g フライアッシュ 密度 :.g/cm, 比表面積 :,6cm /g SS- 社製,-mm 表乾密度 :.g/cm, 吸水率 :.8% 製鋼スラグ SS- 社製,-mm 表乾密度 :.g/cm, 吸水率 :.6% SS- 社製,-mm 表乾密度 :.9g/cm, 吸水率 :.99% 混和剤 d 高性能減水剤, ポリエーテル系 配合 配合の特徴 表 - 鉄鋼スラグ水和固化体の配合ペースト率配合強度強度指数スランプ空気量 s/a 単位量 (kg/m ) ( 空気 (N/mm (P+NP (cm) 量を含む ) ) +.)/W W P NP SS- SS- SS- d 標準 8.. 7. 9..8 89 97 9 969. ペースト率大 W 大 強度指数大 8...7..96 6 6 88 79 969.6 高スランプ.. 7. 9..8 89 97 9 969.9 P 大 小 強度指数大 8.. 7. 9..8 89 7 67 67 9 969. W 大 強度指数小 8.. 7. 9.. 97 99 9 969.7 スラグ変更 8.. 7. 9..8 89 97 9 9. 配合 粗骨材の最大寸法 (mm) スランプ (cm) 表 - の配合 W/ 空気量 単位量 (kg/m ) W S G 減水剤 --. 8.. 6. 7 99 8 968.99 * 東亜建設工業 ( 株 ) 技術研究開発センター ( 正会員 ) * 東亜建設工業 ( 株 ) 技術研究開発センター博 ( 工 ) ( 正会員 ) * J スチール ( 株 ) スチール研究所 ( 正会員 ) * 新日本製鐵 ( 株 ) 技術開発本部環境 プロセス研究開発センター ( 正会員 ) s/a

(P: ポンプ主油圧計,P~P: 圧力計 ) 図 - 配管および圧力測定位置. 実験概要. 配合および使用材料実験は鉄鋼スラグ水和固化体 6 種類と比較用の合計 7 種類で行った 鉄鋼スラグ水和固化体の配合および使用材料を表 -, 表 -に示し, の配合を表 -に示す 既往の実績の多い配合条件をもとに本実験における標準的な配合を配合, これに対して細骨材率を減じてペースト率を増加させた配合, 高性能減水剤の増加によりスランプを大きくした配合, 粉体量をほとんど変えずに高炉スラグ微粉末を増加しフライアッシュを減少させた配合, 単位水量を増加させた配合, 粗骨材に用いた製鋼スラグの種類を変更した配合 とした なお, 比較用のには 減水剤を使用した一般的な配合 (--) を用いた. 圧送条件図 -にポンプ圧送時の配管( 輸送管 ) と圧力測定位置を示す コンクリートポンプ車はピストン式 ( シリンダ径 mm, シリンダ容積.68m ) を使用し, 配管はコンクリートポンプ車の吐出口を除き インチ管 () を使用して, 配管実長は約 6m, 水平換算距離は約 99m ( コンクリートのポンプ施工指針で示されているの水平換算長さ ) で換算した場合 ) とした また, 吐出量は (6m /h 程度 ), (m /h 程度 ), (m /h 程度 ) の 水準とし, アジテータ車 台あたり.m の材料を吐出量ごとに製造して圧送試験を行った. 試験項目試験項目を表 -に示す フレッシュ状態の品質試験は圧送前後に行い, 試料の採取は圧送前が荷卸し地点でアジテータ車から直接行い, 圧送後はフレキシブルホースの先端で行った また, 圧送前後の材料を mmふるいでウェットスクリーニングしてモルタル分とした試料に対して羽根沈入型粘度計 ) を用いた測定を行い, レオロジー定数 ( 塑性粘度および降伏値 ) を求めた 硬化後の試験は, 圧送前後に供試体を作製して標準水中養生を行い, 材齢 7 日および 8 日において圧縮強度試験と静弾性係数試験を行った 表 - 試験項目 試験項目 内容 スランプ (JIS ) 空気量 (JIS 8) フレッシュ 単位容積質量 圧送前後で測定 コンク (JIS 6) リート コンクリート温度 (JIS 6) 硬化コンクリート 配合 レオロジー定数 ( 塑性粘度, 降伏値 ) 圧縮強度 (JIS 8) 静弾性係数 (JIS 9) 管内圧力 ポンプ主油圧 吸い込み効率 ウェットスクリーニングしたモルタル試料で測定 圧送前後で供試体を作製し, 材齢 7,8 日で測定 圧力計 点で連続測定ポンプ車のピストン主油圧計より測定筒先で 6 ストローク分の吐出量を測定し算出 表 - フレッシュコンクリートの試験結果 配合の特徴 標準 ペースト率大 W 大強度指数大 高スランプ P 大 小強度指数大 W 大強度指数小 スラグ変更 -- 圧送速度 試験条件 スランプ (cm) 空気量 単位容積質量 (kg/m ) コンクリート温度 ( ) 圧送前 9..7 89. 圧送後 7.. 67. 圧送前..7 9. 圧送後 6.. 6. 圧送前 7.. 96. 圧送後..6 6. 圧送前 7..6 89. 圧送後..8 8. 圧送前 8..7 9. 圧送後..6 9. 圧送前 7..8 9. 圧送後..8 7. 圧送前..9 6. 圧送後 7.. 67. 圧送前..9 6. 圧送後..7 67. 圧送前..6 69. 圧送後..9 6. 圧送前.. 67. 圧送後..8 6. 圧送前 8..6 6. 圧送後 6..8 6. 圧送前 8..9 6. 圧送後 8..7 6. 圧送前..7 89. 圧送後 9.. 9. 圧送前..8 99. 圧送後 8.. 66. 圧送前 9..8 6. 圧送後 8..6 8. 圧送前 7.. 8. 圧送後.. 8. 圧送前 8.. 7 9. 圧送後.. 8. 圧送前 7.. 8. 圧送後.. 79. 圧送前.. 79. 圧送後..9. 圧送前.. 96. 圧送後 7.. 69. 圧送前..6. 圧送後..8.

スランプの変化量 (cm) ( 変化量 = 圧送後 - 圧送前 ) - - -6-8 - 普配合 空気量の変化量..... -. -. -. -. -. -. - - ( 変化量 = 圧送後 - 圧送前 ) - - ( 変化量 = 圧送後 - 圧送前 ) - 普配合 単位容積質量の変化量 (kg/m ) 普配合 図 - 圧送前後のフレッシュ性状 圧送後の圧縮強度 (N/mm ) 圧送後の静弾性係数 (kn/mm ) 軽量骨材コンクリート ( 土木学会式 ) 普普普 圧送前の圧縮強度 (N/mm ) 圧送前の静弾性係数 (kn/mm ) 圧縮強度 (N/mm ) 図 - 圧送前後の圧縮強度 図 - 圧送前後の静弾性係数 図 - 圧縮強度と静弾性係数の関係 静弾性係数 (kn/mm ) ( 土木学会式 ) 圧力測定は, 図 -に示す箇所にフラッシュダイヤフラム型圧力計を 箇所 (P~P) 設置して行った 管内圧力は, 測定された圧力波形より圧力が安定した 波形分を抽出し, 定常状態の部分を読み取ってその平均値とした また同時に, コンクリートポンプ車のピストン ストローク駆動時間を算出し, 実測吐出量の算定に用いた また, ポンプ主油圧はポンプ車のピストン主油圧計 (P) で確認した また, 鉄鋼スラグ水和固化体の圧送効率を調査するために, 配管出口で 6 ストローク分の吐出量を測定し, その値とピストンシリンダの 6 ストローク分の容積との比をとって吸い込み効率を求めた. 実験結果. フレッシュ状態の試験結果フレッシュ状態の試験結果を表 -に示し, 圧送前後の関係を図 -に示す スランプは圧送前後に ~cm 低下しており, 特に圧送時の変化量が大きくなる傾向があった 空気量の変化量はほぼ全てのケースで.% 以内にとどまっており, また, 単位容積質量の変化量も 9kg/m ( 設計量の % 程度 ) 以内と小さく, 圧送による影響は少ないと考えられる. 硬化コンクリートの試験結果圧送前後の圧縮強度および静弾性係数の関係を図 -, 図 -に示し, 図 -に圧縮強度と静弾性係数の関 表 -6 吸い込み効率 圧送速度.87.8.9.9.89.86 配.9.9.88.9.9.9 合.97.9.9.87.9.88 普.89.88.8 表 -7 実測吐出量 圧送速度. 8.9... 7. 配 9. 9. 7.6.7.6 7.8 合 66.. 9..9.7 7.7 普. 8. 7. 単位 (m /h) 係を示す 圧縮強度および静弾性係数ともに圧送による影響はほとんどなかった の土木学会式 ) に比べ, 圧縮強度 N/mm 以下では静弾性係数が約 ~% 小さくなっているのに対し,N/mm 以上の範囲ではほぼ等しい値となった. 圧送性の評価 () 圧送状況今回用いた 6 種類の鉄鋼スラグ水和固化体の水平換算距離 m の圧送は閉塞などの問題もなく, 全て順調に実施できた () 吸い込み効率および実測吐出量吸い込み効率および実測の吐出量の測定結果を表 - 6, 表 -7に示す 鉄鋼スラグ水和固化体の吸い込み効率は.8~.97( 平均.9) となり, 圧送速度が大きくなると若干大きくなる傾向を示したが, とほぼ同等の値であった

() 管内圧力 管内圧力の測定結果を図 -6に示す ここで, 水平換算距離はポンプ施工指針 ) のの場合より算出した値を用いた 管内圧力全体としては, 配合 および配合 が大きくなっており, 配合 が小さくなった また, 水平換算距離 ~m( 圧力計測点 P~P7) の 配合 6 7 8 区間におけるベント管やテーパー管の前後の管内圧力において逆勾配が生じた 既往の研究 ) の中で今回と同様の現象が生じたとの報告があり, その原因としては, 圧送されるコンクリートが連続的な液体ではなく, 管壁 配合 や前後のコンクリート塊に衝突することで不連続的になり, 衝突で発生した圧力を圧力センサが計測したためだと推察されているので, 今回も同様のことが生じていたと思われる () 圧力損失 水平管 m 当りの圧力損失を求めるため,~ 区間 の管内圧力を用いて圧力損失を算出した この区間で圧力損失を求めた理由は, 前述したベント管等による管内圧力の逆勾配の影響を排除するためである 実測吐出量と圧力損失の関係を図 -7に示し, 図中にはスランプ 8, cmのの圧力損失 ) と水中不分離性 水平管 m 当りの管内圧力損失 ( - MPa/m) ピストン前面圧 (MPa) 6 7 水中不分離性コンクリート ( スランプ 8cm) 実測吐出量 (m /h) 図 -7 実測吐出量と圧力損失の関係 6 7 実測吐出量 (m /h) ( スランプ cm) 図 -8 実測吐出量とピストン前面圧の関係 普 普 6 7 8 配合 6 7 8 配合 図 -6 管内圧力測定結果 6 7 8 配合 6 7 8 配合 6 7 8 普通コン 6 7 8

普配合 圧送 圧送前 圧送 圧送前 圧送 圧送前 圧送後 圧送後 圧送後 普配合 普配合 普配合 図 -9 各配合のウェットスクリーニングモルタルの塑性粘度 降伏値 (Pa) 圧送 圧送前圧送後 普配合 降伏値 (Pa) 圧送 圧送前圧送後 降伏値 (Pa) 圧送 圧送前圧送後 普配合 図 - 各配合のウェットスクリーニングモルタルの降伏値 圧力損失 ( - MPa/m) 圧力損失 ( - MPa/m) 圧送前吐出量 ~6m /h 圧送後吐出量 ~6m /h 圧力損失 ( - MPa/m) 圧力損失 ( - MPa/m) 圧送前吐出量 ~m /h 圧送後吐出量 ~m /h 塑性粘度 (Pa s) 図 - 塑性粘度と圧力損失の関係 圧力損失 ( - MPa/m) 圧力損失 ( - MPa/m) 圧送前吐出量 ~m /h 圧送後吐出量 ~m /h コンクリート ( 水中不分離性混和剤量.kg/m, スランプフロー ~cm) の圧力損失 6) を併記した 図 -7の結果より, 吐出量の増加とともに水平管 m 当りの圧力損失は大きくなることがわかった また, 本実験で用いた配合では, 配合毎にばらつきはあるもののに比べて同じ吐出量に対する圧力損失は大きくなる場合が多かった ここで, 配合 を基準とした場合, 配合,,の圧力損失が比較的大きくなり, 配合 が同等, 配合 が小さくなった この結果に与えた配合要因を検討すると, 配合 は高炉スラグ微粉末を増加させてペースト率を 大きくしたため粘性が上がり, 圧送抵抗が上昇したと考えられる 配合 はスラグの種類を変えたものであるが, 結果に与えた影響要因については現状では明確ではな い 配合 は単位水量の増加により流動性が向上したと考えられる 配合 は高スランプ配合で圧送抵抗が減少すると思われたが, 配合 よりも大きい結果が得られた これは, 配合 の圧力計測点 の値が他の配合と異なり上に凸となっているためと考えられ, 圧力損失を求める際にこれが影響して値が大きくなったと考えられる ここで, ピストン前面圧 (P) と実測吐出量の関係を図 -8 に示す 各配合において同じ配管長で実験を行って

いるので, この結果は図 -7と同じような傾向を示すが, 図 -8では配合 の値が配合 よりも小さくなっている よってこの結果からは配合 のコンクリートポンプ車への負荷は小さかったと考えられ, 図 -7における配合 の圧力勾配は実際よりも若干大きめに計測されたのではないかと推察される. レオロジー特性試験結果羽根沈入型粘度計によるウェットスクリーニングモルタルのレオロジー特性の試験結果を図 -9, 図 - に示す 塑性粘度および降伏値は圧送後に大きくなる傾向にあり, 塑性粘度に関しては圧送の方がその変化量が大きくなった 図 -は塑性粘度と圧送実験で得られた圧力損失の関係を表わしたもので, 上段が圧送前の塑性粘度, 下段が圧送後の塑性粘度を用いた結果である 圧送前後で塑性粘度に違いがあるが, 圧送後の関係を比較した場合, 圧送速度が大きくなる方が同じ塑性粘度に対する圧力損失の値が大きくなっている また, 図 -に降伏値とスランプの関係を示す 配合の違いによる多少のばらつきはあるものの, 鉄鋼スラグ水和固化体のスランプとウェットスクリーニングモルタルの降伏値には相関が認められた これらの関係を用いることで, 鉄鋼スラグ水和固化体の圧送計画を立てる段階で事前にモルタルのレオロジー特性を把握しておけば, 想定している圧送速度 ( 吐出量 ) における圧力損失が推定できる可能性が考えられる 但し, この結果は限られた鉄鋼スラグおよび配合により得られたものであり, さらなるデータ蓄積が望まれる. まとめ鉄鋼スラグ水和固化体のポンプ圧送実験を行った結果, 以下のことがわかった () 今回用いた配合の m の圧送は, 問題なく実施できることを確認した () スランプや強度指数等の配合要因が圧力損失やポン スランプ (cm) 普 降伏値 (Pa) 図 - 降伏値とスランプの関係 () 羽根沈入型粘度計を用いてモルタルのレオロジー特性を把握することで, 鉄鋼スラグ水和固化体のポンプ圧送における圧力損失が推定できる可能性があることがわかった 本研究は,( 社 ) 日本鉄鋼連盟が経済産業省補助事業として実施した スラグ利用に係る研究開発 の中で実施したものである 謝辞本実験を進めるにあたり, 徳島大学橋本親典教授には多大なご協力を頂きました ここに深く感謝の意を表します 参考文献 ) 鉄鋼スラグ水和固化体技術マニュアル,( 財 ) 沿岸開発技術研究センター,. ) 土木学会 : コンクリートのポンプ施工指針 [ 平成 年版 ],pp-,. ) 室賀陽一郎ほか : モルタルの粘性評価試験装置の開発, 土木学会年次学術講演会,VoI., 部門,V-6,.9 プ圧送性に及ぼす影響程度を確認した ) 土木学会 : コンクリート標準示方書 [ 構造性能照査 () 水平換算距離 m 程度のポンプ圧送を行った場合, 編 ],pp.8,. スランプロスは ~cm 程度であり, 圧送の方がスランプロスは大きくなることがわかった また, 空気量と単位容積質量の変化は小さかった () 圧縮強度と静弾性係数は, 圧送による変化は小さか ) 粟田ほか : 現場循環圧送によるフレッシュコンクリートのポンプ圧送性能評価に関する基礎的研究, コンクリート工学年次論文集,Vol.6, No., pp.7-76,.6 った 6) 土木学会 : 水中不分離性コンクリート設計施工指針 ( 案 ),pp,99.