茨城県のめざす食育第3章28 第 3 章 茨城県のめざす食育 1 食育を推進する上での本県の特性 (1) 豊かな農林水産物の生産現場 本県は, 北西部に阿武隈山地の南端にあたる八溝山から筑波山に至る山々が連なり, 南部には霞ヶ浦, 北浦を中心とした広大な水郷地帯があり, 変化に富んだ自然に恵まれ, この豊かな条件を活かした農業は全国第 2 位の産出額を誇り, また, 太平洋を望む長い海岸線を有し漁業も盛んです このように, 本県は, 豊かな農林水産物の宝庫ですので, 身近で新鮮な食材に親しみ食することができます また, これを活かし, 生産活動への理解, 食に関わる人への感謝, 食を大切にする心などを醸成するための体験活動の場に恵まれた環境にあります (2) 食育推進運動の強い味方 食育の推進に関わるボランティア 活動は, 地域における食育の推進の大きな力となっています 特に, 食生活改善推進員は, 全国で9 番目に多い約 4,700 人で, 延べ人数で, 年間約 47 万人 (H26 年度 ) にのぼる方々と接しています 食生活改善推進員は, 食育の日等に合わせた, 食育スローガン普及のための声かけ運動のほか, 親子料理教室, 食文化伝承 地産地消の推進のための講習会, 高齢者の低栄養予防のための教室など, 子どもからお年寄りまで全てのライフステージの方を対象とした食育活動を行っています 食生活改善推進員は, 地域における食育を推進する上で, 欠くことのできない存在であり, 本県は, このような人材に恵まれた環境にあります
3章(3) 合言葉は おいしいな ~ 食育スローガンの活用 ~ 本県では, 食育スローガンとして, おいしいな を提唱しております おいしいな は, 食育を実践するためには, 何から始めればよいのか, 基本となる ものを示した本県独自の食育の合言葉です 第一次計画期間の 4 年間では, 食生活改善推進員の方々や学校等の皆様のご協力のも と, 食育スローガンの普及等が図られたことにより, 食育という言葉が浸透し, さらに, 様々な分野にわたる関係者と食育についての共通認識を図るためにも役立ちました また, 第二次計画の5 年間においても, 食育スローガンを通じて, 日常生活の中で食育を実践する大切さを呼びかけてまいりました 第三次計画においても, 引き続き, 県民一人ひとりが自分や家族のことと捉え, 日々の食生活を振り返り, 食育を実践することの大切さを伝えるため, 食育スローガンを継続的に普及してまいります 茨第城県のめざす食育29
茨城県のめざす食育第3章30 食育スローガン おいしいな は, 食育を実践するためには何から始めればよいのか, 基本となるものを示した本県独自の合言葉です 食育とは難しいことではなく, 普段の生活の中で実践できるものです 毎月 19 日の食育 ( しょくいく 4 4 ) の日は, 食育スローガンをチェックしてみましょう おおはよう, ごはんを食べましょう 朝食を食べるには, 早寝早起きが必要になるなど, 生活習慣改善の大きなカギとなります 朝食を食べることや,1 日 3 食規則正しく食べることで, 生活リズムを整えましょう いいただきます, ごちそうさまをいいましょう 命をもらった動植物, 食に関わる方々や料理をしてくれる方々の活動があって, 私たちは食べ物をいただいています 食べ物を大事にする気持ちや, 作ってくれてありがとうの気持ちを表しましょう ししっかり野菜を食べましょう 不足しがちな野菜をしっかり食べましょう 毎日の食事にあと一品野菜のおかずを足すと栄養バランスが整います いいばらきの食べ物を味わいましょう 地域の日常生活や伝統行事等と結びついた食材や料理, 食文化は私たちの誇りです いばらきの豊かな食を味わう機会を大切にし, 食に関する技術や文化を学びましょう ななかよくみんなで食事を楽しみましょう 家族や友人と一緒に食卓を囲み, コミュニケーションをとりながら食事を楽しみましょう
3章2 基本理念と施策の柱 (1) 基本理念 食育を通じて生涯にわたって健全な心身を培い, 豊かな人間性を育む 食育に関する様々な取り組みを推進するにあたって, 県民一人ひとりを始め, 食育に 関わる全ての関係者がめざす共通の目標として基本理念を定めます なお, 食育とは, 食育基本法に基づき, 生きる上での基本であって, 知育, 徳育及 び体育の基礎となるべきもの, 様々な経験を通じて, 食に関する知識と食を選択する力を習得し, 健全な食生活を実践することができる人間を育てる ことを意味するものとします (2)3 つの施策の柱 基本理念の達成のため,3 つの施策の柱に基づく取り組みを推進します 1 食育を通じた望ましい食習慣の形成と健康づくり 生活習慣病を予防するため, 食育を通じた健康づくりを積極的に推進するとともに, 食育を支援する食環境整備を推進します また, 学校や職場, 地域など, 家庭以外の場においても, 対象者の食生活の課題を捉 え, ライフステージに応じて切れ目なく食育を推進します さらに, 県民一人ひとりが自分や家族のことと捉えて食育に取り組むことができるよ う, 食育の基本となる朝食摂取や, 体験活動の場づくり等を推進します 茨第城県のめざす食育31
茨城県のめざす食育第3章32 2 魅力あふれる茨城の食づくり 農林漁業の現場や食材, それらに関わる人材が身近に存在するという地域資源を活か して, 本県の農林水産物や食文化を知る, 味わう, 育てる機会づくりを推進するとともに, 環境と調和のとれた食料生産の大切さを伝え, 食に対する感謝の気持ちと郷土の魅力を実感できる食育を推進します さらに, 魅力あふれる茨城の食をつくる基礎として, 食の安全 安心に関する取り組みや食品に関する正しい知識の普及啓発を図ります 3 食育を広げる環境づくり 県民が身近なところで食育に取り組む機会や情報, 支援が得られるよう, 推進体制の整備や人材確保, 情報提供に取り組み, 食育を広げる環境づくりを推進します また, 食育は様々な分野にわたる取り組みであることから, 保健医療関係者, 教育 保育関係者, 農林漁業関係者, 食品関連事業者, ボランティア等との連携をより一層深め, 自発的かつ連携した取り組みの充実をめざします
3章3 第三次計画における重点項目 ライフステージに応じて, 切れ目なく食育を推進するため, 第三次計画において, 県民一人ひとりを始め, 食育に関わる全ての関係者が一丸となって取り組む6つの重点項目を定めます (1) 学校, 保育所等における食育の充実 保育所, 幼稚園, 小 中学校や高校における食に関する指導の全体計画等の作成が完了しつつあることから, 今後は, 計画に基づく具体的かつ効果的な取り組みを実践し, その成果を評価しながら更なる食に関する指導の充実を図ります 保育所, 幼稚園, 認定こども園における食育の推進 小 中学校等における食育の充実 (2) 高校生から 20 歳代を中心とした若い世代への食育の推進 20 歳代は, 主食 主菜 副菜を揃えた食事を摂る人の割合が他の世代と比べて低い など, 食生活に課題がみられます また, 高校生から 20 歳代は, 自ら食事を選択する機会の増える時期でもあることから, 食を選択する力を習得し, 望ましい食生活を実践するための取り組みを推進します 高校, 大学等における食育の推進 社員食堂等における栄養管理, 情報提供の促進 (3) 生活習慣病の予防及び改善につながる食育の推進 生活習慣病の要因である肥満及び高血圧を予防するため, 適量の食事と適度な運動に より適正体重を維持することの重要性を啓発するとともに, 子どもの頃からの味覚づくりとして適塩の取り組みや成人における減塩, 目標量 (350g/ 日 ) 以上の野菜の摂取など, 望ましい食生活の実践を推進します 生活習慣病予防のための減塩 適塩の推進 肥満予防 やせ予防の推進 運動の推進 茨第城県のめざす食育33
茨城県のめざす食育第3章34 (4) 食育等を通じた高齢者の健康づくり 高齢者にとって食べることは楽しみや生きがいにつながり, 健康の維持にも重要であ ることから, 市町村による介護予防事業での栄養改善や口腔機能向上の取り組みなどを通じて, 一人ひとりに応じた食に関する情報提供や栄養改善の支援を行います 食育等を通じた高齢者の健康づくり (5) 地域の農林水産物を活用した食生活の推進 日本人の長寿を支える 健康な食事 は, 健康や栄養バランス, おいしさや楽しみか ら, 食料生産 流通, 食文化まで, 様々な要因から構成されています 地域の農林水産物を活用し, 主食 主菜 副菜を組み合わせた食事を推進することで, 食を通じた県民の健康づくりと食をめぐる地域力の維持 向上を図ります 地域の農林水産物を活用した 健康な食事 の推進 (6) 食育を支援する食環境整備の推進 外食や中食を利用する人は, 若い世代や働き盛り世代の男性に多いことから, 野菜たっ ぷり, エネルギー 食塩控えめ, 栄養成分表示等に取り組む いばらき健康づくり支援店 制度の推進や, 社員食堂等における栄養管理状況の向上を図ります また, 買い物の場 地域コミュニティの拠点としての魅力向上を目指す商店街の自主的な取り組みや, 買い物弱者問題などの地域の課題を解決する新しいサービス等の事業化に取り組む民間事業者等を支援します 外食 中食等における健康に配慮した食事の提供, 情報提供の推進 食料調達の利便性を高めるための環境整備 社員食堂等における栄養管理, 情報提供の促進