【資料1】

Similar documents
参考 平成 27 年 11 月 政府税制調査会 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する論点整理 において示された個人所得課税についての考え方 4 平成 28 年 11 月 14 日 政府税制調査会から 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する中間報告 が公表され 前記 1 の 配偶

PowerPoint プレゼンテーション

税・社会保障等を通じた受益と負担について

<4D F736F F D2095BD90AC E937890C590A789FC90B382C98AD682B782E D5F E646F63>

<4D F736F F D2095BD90AC E937890C590A789FC90B382C98AD682B782E D5F E646F63>

女性が働きやすい制度等への見直しについて

第5回基礎問題小委員会 礎5-4

2. 改正の趣旨 背景の等控除は 給与所得控除とは異なり収入が増加しても控除額に上限はなく 年金以外の所得がいくら高くても年金のみで暮らす者と同じ額の控除が受けられるなど 高所得の年金所得者にとって手厚い仕組みとなっている また に係る税制について諸外国は 基本的に 拠出段階 給付段階のいずれかで課

第3回税制調査会 総3-2

Microsoft Word - 第53号 相続税、贈与税に関する税制改正大綱の内容

このページを印刷する 2017 年 11 月 23 日森信茂樹 : 中央大学法科大学院教授東京財団上席研究員 副業 兼業の時代 所得税控除見直 し で不公平を正せ 来年度税制改正の作業が 与党税調で始まっている 連日のように改正案の 断片が報道されているが 全体像がいまだよくわからない そこで これ

PowerPoint プレゼンテーション

法人会の税制改正に関する提言の主な実現事項 ( 速報版 ) 本年 1 月 29 日に 平成 25 年度税制改正大綱 が閣議決定されました 平成 25 年度税制改正では 成長と富の創出 の実現に向けた税制上の措置が講じられるともに 社会保障と税の一体改革 を着実に実施するため 所得税 資産税についても

資料9

<4D F736F F D2095BD90AC E937890C590A789FC90B382C98AD682B782E D5F E646F63>

(0830時点)PR版

改正された事項 ( 平成 23 年 12 月 2 日公布 施行 ) 増税 減税 1. 復興増税 企業関係 法人税額の 10% を 3 年間上乗せ 法人税の臨時増税 復興特別法人税の創設 1 復興特別法人税の内容 a. 納税義務者は? 法人 ( 収益事業を行うなどの人格のない社団等及び法人課税信託の引

第6回税制調査会 総6-3

市場と経済A

2. 改正の趣旨 背景給与所得控除額の変遷 1 昭和 49 年産業構造が転換し会社員が急速に増加 ( 働き方が変化 ) する中 (1) 実際の勤務関連経費が給与所得控除を上回っても 当時は特定支出控除 ( 昭和 63 年導入 ) がなく 会社員は実際の勤務関連経費がいくら高くても実額控除できなかった

資料8-2 平成29年度文部科学関係税制改正事項

2019年度 文部科学省税制改正の概要

第12回税制調査会 総12-1(案とれ)

3. 住宅税制 消費税率の引上げに伴う一時の税負担の増加による影響を平準化し 及び緩和する観 点から 住宅税利について以下のとおり所要の措置を講じます 住宅ローン減税を平成 26 年 1 月 1 日から平成 29 年末まで 4 年間延長し その期間のうち平成 26 年 4 月 1 日から平成 29

平成19年度税制改正.xls

孫のために教育資金を支援するならどの制度?

<4D F736F F D2095BD90AC E937890C590A789FC90B382C98AD682B782E D5F E646F63>

第8回税制調査会 総8-2(案とれ)

注 1 認定住宅とは 認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅をいう 注 2 平成 26 年 4 月から平成 29 年 12 月までの欄の金額は 認定住宅の対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が 8% 又は 10% である場合の金額であり それ以外の場合における借入限度額は 3,000 万円とする

スライド 1

2. 改正の趣旨 背景給与所得控除 公的年金等控除から基礎控除へ 10 万円シフトすることにより 配偶者控除等の所得控除について 控除対象となる配偶者や扶養親族の適用範囲に影響を及ぼさないようにするため 各種所得控除の基準となる配偶者や扶養親族の合計所得金額が調整される 具体的には 配偶者控除 配偶

1. 復興基本法 復興の基本方針 B 型肝炎対策の基本方針における考え方 復旧 復興のための財源については 次の世代に負担を先送りすることなく 今を生きる世代全体で連帯し負担を分かち合うこととする B 型肝炎対策のための財源については 期間を限って国民全体で広く分かち合うこととする 復旧 復興のため

給与所得控除額の改正前後の比較 改正前 改正後 給与等の収入金額給与所得控除額給与等の収入金額給与所得控除額 180 万円以下 収入金額 40% 65 万円に満たない場合は 65 万円 180 万円以下 収入金額 40%-10 万円 55 万円に満たない場合は 55 万円 180 万円超 360 万

第2回税制調査会 総2-2

本資料は 様々な世帯類型ごとに公的サービスによる受益と一定の負担の関係について その傾向を概括的に見るために 試行的に簡易に計算した結果である 例えば 下記の通り 負担 に含まれていない税等もある こうしたことから ここでの計算結果から得られる ネット受益 ( 受益 - 負担 ) の数値については

住宅取得等資金の贈与に係る贈与税の非課税制度の改正

市場と経済A

野村資本市場研究所|顕著に現れた相続税制改正の影響-課税対象者は8割増、課税割合は過去最高の8%へ-(PDF)

1

Microsoft Word 役立つ情報_税知識_.doc

RO ( 改修 Rehabilitate- 運営等 Operate) 方式ハ民間事業者が公共施設等の設計及び建 BT( 建設 Build- 移転 Transfer) 方式設又は製造を担う手法民間建設借上方式 2 優先的検討の対象とする事業及び検討開始時期一優先的検討の対象とする事業建築物の整備等に関

資料3-3.文部科学省における子供の貧困対策の総合的な推進

2011年度税制改正大綱(相続・贈与税)

「経済政策論(後期)」運営方法と予定表(1997、三井)

公共経済分析II

「経済政策論(後期)《運営方法と予定表(1997、三井)

Microsoft PowerPoint - (佐藤委員)統合版 東京都税制調査会報告資料

公益法人の寄附金税制について

平成18年度地方税制改正(案)について

Microsoft PowerPoint - 7.【資料3】国民健康保険料(税)の賦課(課税)限度額について

Microsoft Word - N_ 子供手当て.doc

参考 3 平成 27 年度税制改正に関する提言 ( 要約 ) 基本的な課題 Ⅰ. 社会保障と税の一体改革と今後のあり方 1. 社会保障制度のあり方に対する基本的考え方 我が国の社会保障制度は 中福祉 低負担 であり 高齢化社会の急進展により今後の社会保障給付は急速な増大が不可避とされることから 社会

日本版スクーク ( イスラム債 ) に係る税制措置 Q&A 金融庁

債券税制の見直し(金融所得課税の一体化)に伴う国債振替決済制度の主な変更点について

<4D F736F F F696E74202D2095BD90AC E937888D38CA98F F D8E968D80816A5F8DC58F492E >

PowerPoint プレゼンテーション

Microsoft Word - PPPPFI手法導入における優先的検討に係る指針

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

< F2D E738BC794B A C8892E >

住宅取得等資金の贈与に係る贈与税の非課税制度の改正

(2) 源泉分離課税制度源泉分離課税制度とは 他の所得と全く分離して 所得を支払う者 ( 銀行 証券会社等 ) がその所得の支払の際に 一定の税率で所得税を源泉徴収し それだけで所得税の納税が完結するものです 1 対象となる所得代表的なものとして 預金等の利子所得 定期積金の給付補てん金等があります

障財源化分とする経過措置を講ずる (4) その他所要の措置を講ずる 2 消費税率の引上げ時期の変更に伴う措置 ( 国税 ) (1) 消費税の軽減税率制度の導入時期を平成 31 年 10 月 1 日とする (2) 適格請求書等保存方式が導入されるまでの間の措置について 次の措置を講ずる 1 売上げを税

手法 という ) を検討するものとする この場合において 唯一の手法を選択することが困難であるときは 複数の手法を選択できるものとする なお 本規程の対象とする PPP/PFI 手法は次に掲げるものとする イ民間事業者が公共施設等の運営等を担う手法ロ民間事業者が公共施設等の設計 建設又は製造及び運営

平成 24 年度国民健康保険税税率改定案 1 医療保険分 ( 基礎課税額 ) 現行 改定 増減 伸率 所得割額 4.30 % 4.63 % % 資産割額 % 9.80 % % 税率等 均等割額 17,100 円 18,000 円 900 円 5.3%

金融所得税制の見直し

構成 Ⅰ 所得税改革 下向きジェットコースターの不安 格差への対応 - 所得税の四位一体改革 日本の所得税 - 負担の実態 税額控除制度の効果 Ⅱ 納税者番号制度 適正課税と利便性のための基盤整備 ドイツ ( 税務識別番号 ) イギリス ( 国民保険番号 NINO) オランダ ( 市民サービス番号

スライド 1

「経済政策論(後期)《運営方法と予定表(1997、三井)

平成 31 年度税制改正に関する内閣府主管項目のポイント 1 子ども 子育て支援の推進 子ども 子育て支援における制度の見直しに伴う税制上の所要の措置 ( 国税 地方税 ) 経済財政運営と改革の基本方針 ( 平成 30 年 6 月 15 日閣議決定 ) において 3 歳から 5 歳まで (0 歳から

Microsoft Word 寄付アンケート記者報告.docx

< E9197BF88EA8EAE817995F18D D9195DB8E5A92E895FB8EAE8CA992BC82B5816A817A2E786264>

平成 22 年 12 月 7 日 資料 ( 資産課税 )

2015 年 1 月いよいよ施行! 相続税増税の影響と対策 Part 1 相続税はどう変わる? 影響は? Part 2 相続税の負担を軽減するには?

Microsoft Word - こども保険に関するFAQ.docx

第5回基礎問題小委員会 礎5-1

鳩山政権の経済政策の効果

PowerPoint プレゼンテーション

H28秋_24地方税財源

「経済政策論(後期)《運営方法と予定表(1997、三井)

私立幼稚園の新制度への円滑移行について

Taro-★【2月Ver】01~05. ⑲計

2017 年度税制改正大綱のポイント ~ 積立 NISA の導入 配偶者控除見直し ~ 大和総研金融調査部研究員是枝俊悟

(1) 相続税の納税猶予制度の概要 項目 納税猶予対象資産 ( 特定事業用資産 ) 納税猶予額 被相続人の要件 内容 被相続人の事業 ( 不動産貸付事業等を除く ) の用に供されていた次の資産 1 土地 ( 面積 400 m2までの部分に限る ) 2 建物 ( 床面積 800 m2までの部分に限る

第17回税制調査会 資料1-3

新長を必要とする理由今回合理性の要望に設 拡充又は延⑴ 政策目的 資源に乏しい我が国にあって 近年 一層激しさを増す国際社会経済の変化に臨機応変に対応する上で 最も重要な資源は 人材 である 特に 私立学校は 建学の精神に基づき多様な人材育成や特色ある教育研究を展開し 公教育の大きな部分を担っている

( 参考 ) 平成 29 年度予算編成にあたっての財務大臣 厚生労働大臣の合意事項 ( 平成 29 年 12 月 19 日大臣折衝事項の別紙 ) < 医療制度改革 > 別紙 (1) 高額療養費制度の見直し 1 現役並み所得者 - 外来上限特例の上限額を 44,400 円から 57,600 円に引き上

タイトル

相続人の居住用または事業用の宅地については2 割または5 割評価にするという小規模宅地等の評価減の特例があるが 平成 22 年度税制改正により 原則として申告期限まで居住または事業を継続していなければ適用が認められなくなっている 今回 基礎控除額が引き下げられることと合わせ 都市部の独居老人が亡くな

地域子育て支援拠点事業について

<4D F736F F D204E5F E7182C782E08EE C482C68F8A93BE90C58F5A96AF90C52E646F63>

第16回税制調査会 別添資料1(税務手続の電子化に向けた具体的取組(国税))

豊橋市 PPP/PFI 手法導入優先的検討方針 効率的かつ効果的な公共施設等の整備等を進めることを目的として 多様なPPP/P FI 手法導入を優先的に検討するための指針 ( 平成 27 年 12 月 15 日民間資金等活用事業推進会議決定 ) に基づき 公共施設等の整備等に多様なPPP/PFI 手

中小企業の退職金制度への ご提案について

テキスト編 第 1 章相続税 贈与税とはなにか 目次 1 相続税が課税される理由 1 2 どれくらいの遺産がある場合 相続税は課税されるか 2 3 贈与税が課税される理由 3 4 相続税と贈与税の関係 4 第 2 章相続人と相続分 1 相続人と相続順位 5 2 相続の承認と放棄 14 3 相続人の相

平成19年度市民税のしおり

積立 NISA の創設 1. 改正のポイント (1) 趣旨 背景 1 家計の安定的な資産形成を支援する観点から 少額の積立 分散投資を促進するための 積立 NISA が創設される (2) 内容 1 積立 NISA は 20 歳以上の居住者等が金融機関に開設した非課税口座内に 積立 NISA 専用の累

6 成人年齢引下げに伴い一般 NISA つみたて NISA の対象年齢を 18 歳以上とするこ と 根拠法の制定 恒久化 1NISA 制度が国民の安定的な資産形成に資する恒久的な制度となるよう根拠法 (NISA 法 ) を制定すること 2 口座開設期間を恒久化すること 3 非課税期間を恒久化すること

未成年者控除 障害者控除の見直し 未成年者控除 障害者控除 6 万円 20 歳に達するまでの年数 6 万円 ( 特別障害者 :12 万円 ) 85 歳に達するまでの年数 10 万円 20 歳に達するまでの年数 10 万円 ( 特別障害者 :20 万円 ) 85 歳に達するまでの年数 小規模宅地等につ

Ⅰ 家計の自助努力による資産形成を支援するための税制措置 1. つみたて NISA の制度期限の延長 NISA 制度の恒久化 根拠法の制定等 1つみたて NISA について 平成 49 年までとされている投資可能期間 ( 制度期限 ) を延長することにより 来年以降に投資を開始しても投資可能期間が少

< F31322D89FC90B390C C18F578D8692C7985E5B315D2E6A74>

Transcription:

資料 1 佐藤主光 ( もとひろ ) 一橋大学政策大学院 1

マクロ = 量 ミクロ = 質 視点 教育予算 ( 国 地方 ) の総額確保 財源の内訳 以下で説明 既存の予算配分の見直し = メリハリ 優先順位付け 新たな財源 増税 課税強化 民間資金等の活用 留意点 費用対効果 ( 政策評価 事務事業評価 ) の徹底 教育と税の機能 ( 効果 ) の連結投資と再分配 収益性と公共性の整合化自助努力の促進ボランティアの活用 教育の位置づけ (= 機能 ) に応じた財源 2

狙い教育の位置づけ教育の成果教育レベル 経済政策 長期的経済成長を促進 労働の生産性の向上 = 人的資本の蓄積 専門的 実践的知識の取得 高等教育 財政面 = 将来の税収増 公共政策 社会政策 税の再分配機能との連結 人材育成人間力 幸福度の向上 所得再分配 ( 格差是正 ) 国家公共財 基礎的学力 ( 生きる力 ) の提供 基礎的学力向上 地方公共財 地域社会の活力 地域にあった多 様な人格形成 事前的 再分配 = 世代間の貧困の連鎖の解消 財政面 = 将来の福祉支出 (= 事後的再分配 ) の節減 教育機会の均等化 初等 中等教育 < 基礎知識 > 初等 中等教育 < 応用知識 > 教育全般 ( 幼児教育を含む ) 3

対象 : 高等教育 ( 大学等 ) 機能 : 労働生産性の向上 財源の原則 : 成長 ( 効率性 ) を損なわない 広く薄い課税 教育投資の誘因を促す 受益と負担 のリンク 具体的な財源 課税所得を拡大 ( 所得控除等を縮減 ) した所得税 現行の所得税ままでは課税ベースが狭い 包括的 所得課税 = 勤労所得 公的年金等所得 金融所得等を対象 所得税と授業料 教材費等教育経費控除 ( 給与所得控除の見直しと 特定支出控除 の拡充 ) の組み合わせ 対象 = 社会人 ( リカレント ) 教育 4

真に必要なセイフティー ネットは社会保障によって担保されるべき としつつも 税制も それ自体として再分配機能を適切に発揮 ( 政府税制調査会 抜本的な税制改革に向けた基本的考え方 (2007 年 11 月 )) 課税ベースの拡大を含む所得課税 (+ 資産課税 ) の強化 社会 経済の構造変化を踏まえ 今後どのような世帯に税制上の配慮の重点をシフトしていくべきかについて検討 ( 政府税制調査会 働き方の選択に対して中立的な税制の構築をはじめとする個人所得課税改革に関する論点整理 (2014 年 11 月 ) 夫婦を形成し子どもを産み育てようとする世帯 重視 税制改革の方向性 所得税 相続税等の再分配機能の強化 子育て世帯重視への政策的配慮のシフトただし 再分配は課税に給付 ( 現物 現金 ) を合わせて完結 教育 = 子育て世帯中心の ( 広義の ) 現物給付 5

対象 : 教育全般 ( 幼児教育を含む ) 機能 : 世代間の貧困の連鎖の解消効果 : 1 所得階層の流動化 2 自立の促進と ( 将来的 ) 福祉コストの削減 財源の原則応能課税と低所得世帯への所得移転の連結 (= 再分配機能の担保 ) 具体的財源累進的所得税 ( 所得税の累進構造の強化を含む ) 資産課税 ( 相続税 ) 現物給付狭義 = 児童教育を含む教育サービスの充実広義 = 幼児教育の無償化 高等教育の授業料軽減等 現金給付低所得子育て世帯を対象とした給付付き税額控除税額控除は子供の教育費 ( 授業料の他 教材費 塾等を含む ) に充当 6

財源 支出 消費税 社会保障 ( 年金 医療 介護 ) 社会保障と税の 一体改革 所得税 相続税強化 子育て支援現金給付 = 児童手当等現物給付 = 保育所等の整備 学校教育幼児教育給付 = 授業料補助等 教育と税の一体改革? 7

所得税の累進性 = 再分配力は 1 税率構造 ( 最高税率 ) だけではなく 2 課税ベース ( 控除額 ) の大きさや 3 控除の仕方 ( 所得控除 VS 税額控除 ) による 手厚い所得控除が課税ベースを浸食高所得層 高齢者世帯に有利な所得控除給与所得控除公的年金等控除 再分配の強化 子育て世帯重視 出所 : 財務省資料 8

再分配としての相続税の活用相続税の強化 ( 基礎控除の縮減 最高税率の引き上げ )+ 贈与税の非課税枠 ( 例 : 教育資金 1500 万円非課税枠 ) の拡大 家族内における資金移転 ( 親世代 子世代 ) へのシフト = 家族内再分配 格差の固定化? 強化された相続税 教育に充当することで所得階層の流動化 ( 固定化の回避 ) 贈与税減税 = 家族内移転と相続税強化 = 再分配の棲み分け 応益課税 としての固定資産税の活用教育サービスの充実等が地域の魅力を向上 資本化 = 地価の上昇 固定資産税の増収 足による投票 ( 孟母三遷 ) 教育コストの一部を Self finance ただし 地価を反映した評価が前提 課税評価の見直し = 小規模住宅 農地への軽減措置の圧縮等 9

自助努力の促進 教育資金確保 = 貯蓄 投資口座への拠出 利子 配当に対する非課税措置例 : こども版 NISA? 社会人教育 ( 再チャレンジ ) 支援 = 授業料等に係る特定支出控除の拡充給与所得控除等の改編 PFI PPP の活用 収益事業と公共施設 ( 学校教育 ) の併用例 : 小中学校等 教育施設の集約 再編を図る際 空いた土地について商業施設等の 収益事業 を認める一方 新たな学校施設の管理 運営を ( コスト込みで ) 委託 ボランティアの活用 地域の高齢者 (= 年金生活者 ) を動員放課後教育 ( 見守り ) 社会 実務教育 ( お金の知識など ) の実施コスト ( 人件費 ) が掛らない他 高齢者も地域社会との繋がりを保てる 一石二鳥 10

教育 = 投資であれば 経費は控除することが望ましい教育資金の源泉贈与 = 教育資金一括贈与非課税措置稼得所得 = 所得税控除の措置なし教育投資に対する課税措置の対称性 公平性の確保 社会人教育等に係る経費 ( 授業料等 ) に控除 = 特定支出控除の改編 拡充 11

国 地方とも財政難 公共施設 サービス提供の 持続性 が問われている 公共施設に収益事業を抱き合わせ 公共性を持続させるための収益性の確保 収益性と公共性は矛盾しない 出所 :PFI 推進委員会資料 民間活用の形態 指定管理者制度 市場化テスト PFI 特徴 公共施設 ( 病院等を含む ) の管理 運営を民間事業者に委託委託先は競争入札で決定 政策執行の契約を公共 ( 従来の事業主体 ) と民間 ( 新規参入主体 ) で競争例 : 社会保険料の徴収保育施設運営 施設 事業の建設 資金調達 管理 運営を一括的に民間事業者に委託例 : 公共施設 ( 官庁等 ) 公立病院 学校 12

出所 :PFI 推進委員会資料 13

経済政策 公共政策 国家公共財 地方公共財 成果の範囲財源留意点 社会全体 + 教育を受けた個人 地域および個人 所得税等 ( 自助の促進 ) 非課税貯蓄 投資口座 ( 地域的応益課税 ) 固定資産税等 社会政策 社会全体 ( 応能課税 ) 累進的所得税 + 相続 税 所得税は課税所得の拡大が前提 地方の創意工夫の活用 現物給付 = 教育による再分配の強化貧困の連鎖の解消子育て世帯への政策的配慮の転換 税金以外の財源 民間資金 (PFI/PPP) 高齢者ボランティア 対象 学校施設の管理運営 放課後教育 ( 見守り ) 実務教育 14

課税強化とのセット策で教育を促進 改革の内容効果課題 所得税 ( ゆるやかな目的税 ) 所得課税の強化 + 教育向け特定支出控除の拡充 + 非課税貯蓄 ( 投資 ) 口座の創設 財源確保 所得再分配 社会人教育投資の促進 教育資金の確保 課税所得の拡大所得控除の縮小等 所得捕捉の適正化マイナンバーの活用 拡充 固定資産税 個人住民税 + 給付付き税額控除 教育目的税の創設 子育て世帯への教育支援 応益課税 地方独自の取り組みの財源 相続税 課税強化 再分配 世代間の所得流動化( 格 差の固定化回避 ) 課税ベース ( 課税標準額 ) の拡大 資産の捕捉 評価 15

チームジャパンで教育を支える 財源 公的教育関連支出 社会的利益 経済成長 活性化 基礎研究等 外部性 所得税等 広く薄い課税 ( 直接的には ) 私的利益 給与の増加 雇用機会の拡大等 私学授業料塾代等私的支出 非課税口座 ( 自助 ) 所得連動 型奨学金 授業料 自己負担 教育 ( 幼児 高等教育を含む ) を社会全体で支えるという合意形成が前提説得のためのビジョンと定量評価 低所得層 子育て世帯支援 給付付き税額控除 授業料無償化等 累進的所得税 相続税 16

納税者の信認 = 課税の目的 効果の明確化教育効果の定量化 情報開示政策 ( 事務事業 ) 評価 PDCAの徹底政策目的 ( 理念 ) は手段 = 政策 事業を正当化しない! 共感 の確保子供は 社会全体の財産 = 受益の範囲を子育て世帯に限定しない ( 皆が受益する ) 公共財としての教育 国造り は人づくりから= 長期的視点から教育を評価 ( 社会 ) 投資としての教育 当事者意識? オプトアウト = 公的教育が充実しなくても私学 塾に子供を通わせる 逃げ道 あり 社会保険 = 原則 全ての個人をカバー 17

政策の取捨選択政策の優先順位づけ = メリハリのある予算配分 予算総額の拡大 = 屋上屋を重ねる見直し 政策目的は手段を正当化しない 効率益な手段の選択 屋上屋を重ねる改革 を避ける 既存政策の見直しを合わせたビルドアンドスクラップ 政策の見直しマネジメントサイクル = 政策評価の結果を予算編成に反映 公共部門の文化の転換予算偏重 ( 予算消化主義 ) から成果重視へ手続き重視から結果責任へ 国土交通省 : 政策評価の仕組み 18