H 沖縄会レジュメ税務

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本稿で取り扱う 家族信託や福祉信託に代表される民事信託は 委託者が健康な間に自分の意思で自分の老後の生活 介護等に必要な資金の管理および給付などのために また 遺言代用信託として残された家族への財産の分配のために その保有する不動産 預貯金等を信託するものです 受益者の利益を保護し 受託者の信託事務

#210★祝7500【H30税法対策】「登録免許税ほか」優先暗記30【宅建動画の渋谷会】佐伯竜PDF

投資法人の資本の払戻 し直前の税務上の資本 金等の額 投資法人の資本の払戻し 直前の発行済投資口総数 投資法人の資本の払戻し総額 * 一定割合 = 投資法人の税務上の前期末純資産価額 ( 注 3) ( 小数第 3 位未満を切上げ ) ( 注 2) 譲渡収入の金額 = 資本の払戻し額 -みなし配当金額

別紙様式 7( ひな型 ) ( 日本工業規格 A4) 別紙様式 7( ひな型 ) ( 日本工業規格 A4) 申請者がと年月日をもって売買契約を締結した指名金銭債権に伴う別紙記載の不動産の質権又は抵当権の移転の登記につき 租税特別措置法第 83 条の2 第 1 項の規定の適用を受けたいので 租税特別措

 

(1) 相続税の納税猶予制度の概要 項目 納税猶予対象資産 ( 特定事業用資産 ) 納税猶予額 被相続人の要件 内容 被相続人の事業 ( 不動産貸付事業等を除く ) の用に供されていた次の資産 1 土地 ( 面積 400 m2までの部分に限る ) 2 建物 ( 床面積 800 m2までの部分に限る

(2) 源泉分離課税制度源泉分離課税制度とは 他の所得と全く分離して 所得を支払う者 ( 銀行 証券会社等 ) がその所得の支払の際に 一定の税率で所得税を源泉徴収し それだけで所得税の納税が完結するものです 1 対象となる所得代表的なものとして 預金等の利子所得 定期積金の給付補てん金等があります

6 課税上の取扱い日本の居住者又は日本法人である投資主及び投資法人に関する課税上の一般的な取扱いは 下記のとおりです なお 税法等の改正 税務当局等による解釈 運用の変更により 以下の内容は変更されることがあります また 個々の投資主の固有の事情によっては異なる取扱いが行われることがあります (1)

b c.( 略 ) 2 不動産取得税の軽減に係るの発行信託会社等の地方税法附則第 11 条第 12 項に基づく不動産取得税の軽減のための同法施行令附則第 7 条第 12 項に規定するの発行等については 以下のとおり取り扱うものとする イ ロ.( 略 ) 載があること c d.( 略 ) 2 不動産取

契約をするとき 契約書に貼る印紙税不動産取引で取り交わす契約書は 印紙税の対象となります 具体的には 不動産の売買契約書や建物の建築請負契約書 土地賃貸借契約書 ローン借入時の金銭消費貸借契約書等がこれに当たります 印紙税の額は 契約書に記載された金額によって決定されます 原則として 収入印紙を課税

13. 平成 29 年 4 月に中古住宅とその敷地を取得した場合 当該敷地の取得に係る不動産取得税の税額から 1/2 に相当する額が減額される 14. 家屋の改築により家屋の取得とみなされた場合 当該改築により増加した価格を課税標準として不動産 取得税が課税される 15. 不動産取得税は 相続 贈与

相続税計算 例 不動産等の評価財産の課税評価額が 4 億 8 千万円 生命保険金の受取額が 2 千万円 現金 預金等が 4 千万円 ローン等の債務及び葬式費用等が 3 千万円である場合の相続税を計算します 相続人は妻と 2 人の子供の 3 人です ( 評価額を計算するには専門知識を要します 必ず概算

【表紙】

49 年 12 月 31 日までの間 源泉徴収される配当等の額に係るの額に対して 2.1% の税率により復興 特別が源泉徴収されます b. 出資等減少分配に係る税務個人投資主が本投資法人から受取る利益を超える金銭の分配 ( 分割型分割及び株式分配並びに組織変更による場合を除く 以下本 1において同じ

旧なお 当該投資法人が租税特別措置法第 83 条の2 第 3 項の規定の適なお 当該投資法人が租税特別措置法第 83 条の2 第 3 項の規定の適用を受けることができる日は 当該特定資産取得後 1 年以内であるこ用を受けることができる日は 当該特定資産取得後 1 年以内であることに留意するものとする

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この特例は居住期間が短期間でも その家屋がその人の日常の生活状況などから 生活の本拠として居住しているものであれば適用が受けられます ただし 次のような場合には 適用はありません 1 居住用財産の特例の適用を受けるためのみの目的で入居した場合 2 自己の居住用家屋の新築期間中や改築期間中だけの仮住い

平成29年 住宅リフォーム税制の手引き 本編_概要

不動産の移転等のかかる主要な税制 不動産の移転等にかかる主要な税制は以下のとおりである ここに示した税制については その時点以降は法令等が変更されることになどより 変更される可能性がある また 実務上の法令の解釈 適用については 所管省庁 弁護士 税理士 会計士などの専門家の確認が必要となり 記載さ

特別障害者一人につき 75 万円を所得から控除することができます 障害者控除は 扶養控除の適用がない16 歳未満の扶養親族を有する場合においても適用されます ⑶ 心身障害者扶養共済掛金の控除 P128 条例の規定により地方公共団体が実施するいわゆる心身障害者扶養共済制度による契約で一定の要件を備えて

スライド 1


2. 改正の趣旨 背景 (1) 問題となっていたケース < 親族図 > 前提条件 1. 父 母 ( 死亡 ) 父の財産 :50 億円 ( すべて現金 ) 財産は 父 子 孫の順に相続する ( 各相続時の法定相続人は 1 名 ) 2. 子 子の妻 ( 死亡 ) 父及び子の相続における相次相続控除は考慮

1 有価証券届出書の訂正届出書の提出理由 平成 19 年 4 月 3 日付をもって提出した有価証券届出書の記載事項のうち 記載内容の一部を訂正するとともに 添付書類を差し替えるため 本有価証券届出書の訂正届出書を提出するものであります 2 訂正箇所及び訂正事項 第二部ファンド情報第 1 ファンドの状

⑷ 納税猶予の打ち切り P. 49 Q. 納税猶予の対象の農地を売却する場合 納税猶予が打ち切られてしまうのですか ⑸ 市町村合併と納税猶予 P. 54 Q.B 町が平成 3 年 1 月 1 日現在特定市であるA 市に合併される場合 旧 B 町の農地等は生産緑地の指定を受けていないと納税猶予の特例は

経 [2] 証券投資信託の償還 解約等の取扱い 平成 20 年度税制改正によって 株式投資信託等の終了 一部の解約等により交付を受ける金銭の額 ( 公募株式投資信託等は全額 公募株式投資信託等以外は一定の金額 ) は 譲渡所得等に係る収入金額とみなすこととされてきました これが平成 25 年度税制改

海外財産の相続 : 事例研究 ~ 米国の財産の相続手続き ( 第 4 回 ) 三輪壮一氏三菱 UFJ 信託銀行株式会社リテール受託業務部海外相続相談グループ米国税理士 これまで 海外に財産を保有する場合の 海外相続リスク の存在 特にプロベイト手続き等の相続手続きの煩雑さについて 米国の例を基に説明

法関係法人税法関係 zeimu QA テーマ分類別索引 法人税

e. 未成年者に係る少額上場株式等の非課税口座制度 ( ジュニア NISA) 未成年者に係る少額上場株式等の非課税口座制度に基づき 証券会社等の金融商品取引業者等に開設した未成年者口座において設定した非課税管理勘定に管理されている上場株式等 ( 平成 28 年 4 月 1 日から平成 35 年 12

(****) 非課税口座に設けられる勘定は 毎年 非課税管理勘定 (NISA) 又は累積投資勘定 ( つみたて NISA) のいずれかに限ります 更に 2016 年 4 月 1 日から2023 年 12 月 31 日までの期間 未成年者に係る少額上場株式等の非課税口座制度 ( 通称ジュニアNISA)

2. 適用を受けるにあたっての 1 相続発生日を起算点とした適用期間の要件 相続日から起算して 3 年を経過する日の属する年の 12 月 31 日まで かつ 特例の適用期間である平成 28 年 4 月 1 日から平成 31 年 12 月 31 日までに譲渡することが必要 例 平成 25 年 1 月

( 注 3) その他の少額上場株式等の非課税口座制度の詳細については 証券会社等の金融商品取引業者等にお問い合わせ下さ い b. 利益を超える金銭の分配に係る税務個人投資主が本投資法人から受取る利益を超える金銭の分配 ( 平成 27 年 4 月 1 日以後開始事業年度に係る利益を超える金銭の分配につ

2. 適用を受けるにあたっての 1 相続発生日を起算点とした適用期間の要件 相続日から起算して 3 年を経過する日の属する年の 12 月 31 日まで かつ 特例の適用期間である平成 28 年 4 月 1 日から平成 31 年 12 月 31 日までに譲渡することが必要 例 平成 25 年 1 月

Asakura ミニマムテキスト 2 所有権保存登記の抹消 (1) 申請人 所有権登記名義人が単独で申請する (2) 添付情報 a 登記識別情報 所有権登記名義人の登記識別情報が必要 b 印鑑証明書 所有権登記名義人が単独で申請するが, 真意で申請したことを確認するために必要

( ロ ) 出資等減少分配に係る税務個人投資主が本投資法人から受取る出資等減少分配 ( 所得税法第 24 条に定めるものをいいます 以下 本 ( ロ ) 出資等減少分配に係る税務 において同じです ) のうち本投資法人の税務上の資本金等の額に相当する金額を超える金額がある場合には みなし配当 ( 計

日本版スクーク ( イスラム債 ) に係る税制措置 Q&A 金融庁

スポンサー企業 増減資により 再生会社をスポンサー企業の子会社としたうえで 継続事業を新設分割により切り分ける 100% 新株発行 承継会社 ( 新設会社 ) 整理予定の事業 (A 事業 ) 継続事業 会社分割 移転事業 以下 分社型分割により事業再生を行う場合の具体的な仕組みを解説する の株主 整

問題 1 1 問題 1 1 納税義務者 相続税の納税義務者及び課税財産の範囲 課税価格 1 納税義務者 ⑴ 次に掲げる者は 相続税を納める義務がある 1 居住無制限納税義務者 ( 法 1 の 3 1 一 ) 相続又は遺贈により財産を取得した個人でその財産を取得した時において法施行地に住所を有するもの

10. 中途解約時の取扱 原則 信託期間中の解約はできません やむを得ない事由等により に定められた期間前にお申出がある場合には応じることがございます 11. 以下の事由によりは終了します (1) 契約期間が満了したとき (2) 信託財産となっている株式の発行会社について 次の各号いずれかに該当した

PowerPoint プレゼンテーション

1 1. 課税の非対称性 問題 1 年をまたぐ同一の金融商品 ( 区分 ) 内の譲渡損益を通算できない問題 問題 2 同一商品で 異なる所得区分から損失を控除できない問題 問題 3 異なる金融商品間 および他の所得間で損失を控除できない問題

「上場インデックスファンドNifty50先物(インド株式)」繰上償還(確定)のお知らせ

課税上の取扱い

 

< 本制度の仕組みの概要 > 5 ポイント付与 委託者 当社 3 自己株式の処分 1 役員株式交付規程の 制定 2 信託 < 他益信託 > を設定 ( 金銭を信託 ) 3 払込 受託者 ( 予定 ) 三井住友信託銀行 ( 再信託受託者 : 日本トラスティ サービス信託銀行 当社株式 株式交付信託 信

N 譲渡所得は 売却した土地や借地権 建物などの所有期間によって 長期譲渡所得 と 短期譲渡所得 に分けられ それぞれに定められた税率を乗じて税額を計算します この長期と短期の区分は 土地や借地権 建物などの場合は 売却した資産が 譲渡した年の1 月 1 日における所有期間が5 年以下のとき 短期譲

7 平成 28 年 10 月 3 日 処分庁は 法第 73 条の2 第 1 項及び条例第 43 条第 1 項の規定により 本件不動産の取得について審査請求人に対し 本件処分を行った 8 平成 28 年 11 月 25 日 審査請求人は 審査庁に対し 本件処分の取消しを求める審査請求を行った 第 4

〔問 1〕 抵当権に関する次の記述のうち,民法の規定によれば,誤っているものはどれか

( 資産流動化信託に不動産が活用されるに至った歴史的背景 ) 1990 年代のバブル経済の崩壊により土地神話が崩壊し 不動産は右肩上がりの値上がりを続ける特別 な資産から 価格が上下動する普通の財産であるとの認識が広がり 不動産を持っていれば儲かる時代 は終わりを告げた こうした中 債務超過に陥った

投資主が受け取る配当等の額については 原則どおり配当等の額を受け取る際に20%( 所得税 )( 平成 25 年 1 月 1 日から平成 49 年 12 月 31 日までは復興特別所得税とあわせて20.42%) の税率により源泉徴収された後 総合課税の対象となります ( ロ ) 出資等減少分配に係る税

4. 認可地縁団体設立のメリット デメリット メリット デメリット 1. 不動産の登記 自治会等で法人格を取得することにより 団体名で不動産の登記ができます 不動産の相続の際のトラブルを避けることができます ( 代表者が変更しても 不動産登記の変更は不要となります ) 1. 登記費用 地縁団体は 公

160112S8 サムポローニア 8 変更点のご案内 この度 サムポローニア 8( ) を下記のとおり変更いたしましたので ご案内申 し上げます 1. 変更の内容今回の主な変更内容を 各システムごとに以下に説明いたします 1.1 総合メニュー V5.3.0 (1) 総合メニューの日

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相続の基礎 ~ 「相続」を学ぼう!! ~ 生前贈与①有価証券

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(4) 宅地建物取引士の欠格要件について定める第十八条第一項の五号の二の次に次の号が 付け加えられました 五の三暴力団員等 ( 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第二条第六号に規 定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者 ) (5) 更新日前でも手数料を

て 次に掲げる要件が定められているものに限る 以下この条において 特定新株予約権等 という ) を当該契約に従つて行使することにより当該特定新株予約権等に係る株式の取得をした場合には 当該株式の取得に係る経済的利益については 所得税を課さない ただし 当該取締役等又は権利承継相続人 ( 以下この項及

○不動産を贈与した場合の申請書の様式・記載例(オンライン庁)

平成16年版 真島のわかる社労士

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ことも認められています 施行日前 ( 平成 26 年 3 月 31 日以前 ) にリース契約を締結し リース資産の引渡しを行ったリース取引についてこの特例により賃貸借処理を行っている場合には 旧税率の 5% が適用されます 3. 資産の貸付け に関する経過措置指定日の前日 ( 平成 25 年 9 月

土地建物等の譲渡損失は 同じ年の他の土地建物等の譲渡益から差し引くことができます 差し引き後に残った譲渡益については 下記の < 計算式 2> の計算を行います なお 譲渡益から引ききれずに残ってしまった譲渡損失は 原則として 土地建物等の譲渡所得以外のその年の所得から差し引くこと ( 損益通算 )

基本問題 1 第 1 問抵当権変更債務者更改による新債務担保 登記記録に次のような登記事項の記録 ( 登記事項一部省略 ) がある甲区分建物について, 平成 28 年 6 月 28 日, 司法書士法務太郎は, 関係する当事者全員から後記事実関係を聴取し, 登記の申請手続に必要なすべての書類を受領する

N 譲渡所得は 売却した土地や借地権 建物などの所有期間によって 長期譲渡所得 と 短期譲渡所得 に分けられ それぞれに定められた税率を乗じて税額を計算します この長期と短期の区分は 土地や借地権 建物などの場合は 売却した資産が 譲渡した年の1 月 1 日における所有期間が5 年以下のとき 短期譲

純プラチナ上場信託(現物国内保管型)

※ 住民票の除票に記載された住所は,被相続人の登記記録上の住所と一致している必要があります。被相続人の最後の住所が,登記

東京リーガルマインド 無断複製 頒布を禁じます 不動産登記法 一所有権保存 1 74 条 1 項 1 号保存 申請書 1 不登 74 条 1 項 1 号前段 登記の目的 所有者 所有権保存 市 町 丁目 番 号 A 添付書類住所証明情報 (A の住民票の写し ) 代理権限証明情報 (A の委任状 )

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[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

4. 繰上償還および付随する重大な約款変更の内容および理由 < 内容 > 本 ETF の信託期限を無期限から平成 31 年 2 月 14 日までに変更し 同日を信託終了日として繰上償還を実施します 繰上償還に伴い償還金支払いに関する規定に所要の変更を行います < 理由 > 本 ETF は平成 23

き一 修正申告 1 から同 ( 四 ) まで又は同 2 から同 ( 四 ) までの事由が生じた場合には 当該居住者 ( その相続人を含む ) は それぞれ次の 及び に定める日から4 月以内に 当該譲渡の日の属する年分の所得税についての修正申告書を提出し かつ 当該期限内に当該申告書の提出により納付

積立 NISA の創設 1. 改正のポイント (1) 趣旨 背景 1 家計の安定的な資産形成を支援する観点から 少額の積立 分散投資を促進するための 積立 NISA が創設される (2) 内容 1 積立 NISA は 20 歳以上の居住者等が金融機関に開設した非課税口座内に 積立 NISA 専用の累

給与所得控除額の改正前後の比較 改正前 改正後 給与等の収入金額給与所得控除額給与等の収入金額給与所得控除額 180 万円以下 収入金額 40% 65 万円に満たない場合は 65 万円 180 万円以下 収入金額 40%-10 万円 55 万円に満たない場合は 55 万円 180 万円超 360 万

128 Z E I K E I T S U S H I N 10. 3

公募株式投資信託の解約請求および償還時

d. 少額上場株式等の非課税口座制度 ( 通称 NISA) 少額上場株式等の非課税口座制度に基づき 証券会社等の金融商品取引業者等に開設した非課税口座において設定した非課税管理勘定に管理されている上場株式等 ( 平成 26 年から平成 35 年までの 10 年間 新規投資額で毎年 100 万円を上限

ゴルフ会員権の売却と損益通算 1. 概要 個人で所有する預託金方式のゴルフ会員権の場合 総合課税の譲渡所得として その売却損は損益通算できま す ( 所基通 33-6 の 2) ゴルフ会員権やレジャークラブ会員権は優先的プレー権と預託金返還請求権の 2 要素があり 売却した場合は譲渡所得になります

信託の会計処理①

の範囲は 築 20 年以内の非耐火建築物及び築 25 年以内の耐火建築物 ((2) については築 25 年以内の既存住宅 ) のほか 建築基準法施行令 ( 昭和二十五年政令第三百三十八号 ) 第三章及び第五章の四の規定又は地震に対する安全上耐震関係規定に準ずるものとして定める基準に適合する一定の既存

Monthly 2009/09/01(14:45) 2 ノイズ 1989 年末から2000 年 3 月あたりまで日経平均株価は上昇しています (ITバブルと言われた頃)[ グラフ1] 続いて [ グラフ2] は1985 年 1 月から2009 年 8 月までの日経平均株価の推移を表しています このグ

上場株式等の配当等に対する課税

特定口座一般口座株式等の譲渡 売却などが該当 ) による所得は 申告分離課税の対象となっており 原則として お客さまによる譲渡損益の計算や申告納税の手続きが必要です 特定口座には これらの事務負担を軽減する機能があります 特定口座の機能 上場株式等の譲渡損益の計算 管理を行います 特定口座内に保管す

配偶者の税額軽減特例の有利な受け方 配偶者がいる場合の 相続税の具体的な計算例は以下の通りです 1. 設例 自宅 預貯金等の相続財産の遺産額 =2 億円 法定相続人 = 配偶者 + 子 2 人の合計 3 人 実際の遺産分割は 法定相続分の通りとする 未成年者控除 外国税額控除 生命保険金の非課税枠金

Microsoft Word 連発1923号 税制改正関連法案について(お知

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Aさん : 何ですか 課税の繰り延べ課税の繰り延べって? 減税とは違うのですか? 税理士 : はい 買換特例には 根本的には税金は減らす効果はなく あくまで納税時期を遅らせることしかできないのです 課税の繰り延べの意味 税理士 : 今お持ちの駅前にある不動産を 2 億円で売却し 郊外の賃貸用マンショ

届出書の記載要領 市町村長殿 森林の土地の所有者届出書 年月日 住所法人にあつては 名届出人氏名印称及び代表者の氏名電話番号 次のとおり新たに森林の土地の所有者となつたので 森林法第 10 条の7の2 第 1 項の規定により届け出ます 所有権の移転に関する事項 土地に関する事項 様式は正しいか? 記

暦年課税の贈与を毎年する人のデータ 暦年課税の贈与は 現金を贈与するのか不動産を贈与するのかで違ってきます 土地は路線価方式または倍率方式で評価し建物は固定資産税評価額で評価しますので 現金での贈与の場合よりも税率は低くなります ただし不動産の贈与では 土地や建物の贈与または共有持分の贈与になります

4. 土地 住宅用建物に係る不動産取得税の特例の延長土地や住宅に対する投資を促進し 都市や地域の活力を高める観点から 土地及び住宅用建物に係る軽減税率 3%( 本則 4%) 及び宅地評価土地の取得に係る不動産取得税の課税標準の特例 ( 固定資産税評価額の 1/2) の適用期限 ( 平成 27 年 3

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2017 年度税制改正大綱のポイント ~ 積立 NISA の導入 配偶者控除見直し ~ 大和総研金融調査部研究員是枝俊悟

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収用等の特例 1. 収用特例の利用方法 個人が収用や土地区画整理事業で公共事業に不動産を収用された場合は 以下の 2 つの課税の特例があります 法人の場合も ほぼ同様の特例が措置法 64 条と 65 条の 2 に用意されています 類型個人法人 1 収用等の代替資産取得の特例措置法 33 措置法 64

源泉徴収票不交付の届出書 源泉徴収票不交付の届出書 源泉徴収票不交付の届出書 ( 英語版 ) 公的年金等の源泉徴収票 ( 及び同合計表 ) 平成 年分公的年金等の源泉徴収票 平成 年分公的年金等の源泉徴収票合計表 公的年金等の源泉徴収票 ( 及び同合計表 )( 平成 28 年 1 月 1 日以後提出

私たちの市税

土地の譲渡に対する課税 農地に限らず 土地を売却し 譲渡益が発生すると その譲渡益に対して所得税又は法人税などが課税される 個人 ( 所得税 ) 税額 = 譲渡所得金額 15%( ) 譲渡所得金額 = 譲渡収入金額 - ( 取得費 + 譲渡費用 ) 取得後 5 年以内に土地を売却した場合の税率は30

17

が消費税の課税対象となります 土地や建物を売った場合の譲渡所得の税金計算のしくみ 譲渡所得の計算のあらまし 個人が 土地や建物を売却し 利益 ( 譲渡益 ) が生じた場合には その利益に対して所得税と住民税がかかります この課税対象となる利益のことを 税法上 譲渡所得 ( 金額 ) と呼んでいます

あすてっぷ KOBE 登録グループ企画 発信 DAY 成年後見などの終活支援に参画しませんか? ~ 家族も役立つ相続 遺言 ~ 日時 : 平成 29 年 10 月 29 日 ( 日 ) 13:30~16:30 場所 : あすてっぷ KOBE ( 神戸市男女共同参画センター ) 2 階セミナー室 4

Transcription:

~ 信託と課税を理解しよう ~ 司法書士 谷口毅 鳥取市西町五丁目 160 番地 2 つばさ司法書士事務所 TEL 0857-50-0918 FAX 050-3156-1017 dream@office-tsubasa.net 1

総論 2 種類の課税のされ方を理解しよう 1 受益者等課税信託通常の信託において適用 受益者が資産を保有するとみなす 2 法人課税信託受益者のない信託 受益証券発行信託等 受託者を法人とみなし 資産を保有すると考える 法人課税信託は極めて不利なので 受益者等課税信託になるように設計する 受益証券を発行しないこと 受益者が欠けないことが重要 2

総論信託において理解すべき 6 つの税金 グループ A 収益と損失に注目 1 所得税グループ B 資産の移動に注目 1 贈与税 2 相続税 3 譲渡所得税グループ C 不動産の所有権移転 登記に注目 1 不動産取得税 2 登録免許税 3 つのグループに分類すると 理解しやすい! ( 税法上の正しい分類ではありません ) 3

グループ A 所得税受益者等課税信託における所得税実務 1 信託設定時の義務 契約の日の属する月の翌月末日までに 信託に関する受益者別調書 信託に関する受益者別調書合計表 を税務署に提出 ( 自益信託の場合は不要 ) 2 信託期間中の義務 毎年 1 月 31 日までに 信託計算書を税務署に提出 3 受益者の変更があったときの義務上記 1 の資料を税務署に提出 4

グループ A 所得税信託期間中の所得税の申告 受益者が信託財産に属する収益 損失を有するとみなす 受託者の存在は無視 ( パススルー課税 ) 賃料等の収益が発生した場合 受益者が確定申告を行う 赤字が出ても損益通算不可 翌年度の黒字との通算もできないし 当該信託の信託財産以外の黒字とも通算できない 信託ごとに損益計算書を作成 事務量が増加する点がデメリット 5

グループ B 贈与税 相続税 譲渡所得税 資産の移転に注目して課税される税 税務上の基本的な考え方 1 受益権の価値は 信託財産の価値に等しい 2 受益権が移転することは 信託財産が移転するのと同じこと 6

グループB 贈与税 相続税 譲渡所得税信託の開始時 1 自益信託 A 委託者受益者 所有権移転 受益権 B 受託者 税務上 資産の移転はない A の財産が所有権から受益権に形を変えただけ 贈与税 相続税 譲渡所得税 全て非課税 7

グループB 贈与税 相続税 譲渡所得税信託の開始時 2 他益信託 A 委託者 所有権移転 B 受託者 受益権 C 受益者 AからCに資産が移転したものとみなす 1 贈与税無対価ならCに課税 2 相続税非課税 3 譲渡所得税対価ありならAに課税 8

グループB 贈与税 相続税 譲渡所得税信託の開始時 3 自己信託 A 委託者受託者 受益権 B 受益者 所有権の移転はないが B に資産が移転したものとみなす 1 贈与税無対価なら B に課税 2 相続税非課税 3 譲渡所得税対価ありなら A に課税 9

グループB 贈与税 相続税 譲渡所得税信託の開始時 4 遺言信託 A( 死亡 ) 委託者 所有権移転 B 受託者 受益権 C 受益者 相続により A から C に資産が移転したものとみなす 1 贈与税非課税 2 相続税 C に課税 3 譲渡所得税非課税 10

グループB 贈与税 相続税 譲渡所得税受益者変更時 1 受益権の贈与 売買等 A 旧受益者 受益権 B 新受益者 A から B に資産が移転したものとみなす 1 贈与税無対価なら B に課税 2 相続税非課税 3 譲渡所得税対価ありなら A に課税 11

グループB 贈与税 相続税 譲渡所得税受益者変更時 2 受益権の相続 A( 死亡 ) 旧受益者 受益権 B 新受益者 相続により A から B に資産が移転したものとみなす 1 贈与税非課税 2 相続税 B に課税 3 譲渡所得税非課税 12

グループ B 贈与税 相続税 譲渡所得税受託者変更時受託者の死亡 辞任 etc A 旧受託者 所有権移転 B 新受託者 所有権が移転しても 受益権は移転していない つまり 資産の移動はないものと考える 贈与税 相続税 譲渡所得税 全て非課税 13

グループ B 贈与税 相続税 譲渡所得税信託終了時 1 帰属権利者が受益者 A 清算受託者 残余財産の 所有権移転 B 受益者 帰属権利者 所有権は移転しているが B の有する受益権が残余財産の所有権に形を変えただけと考える 贈与税 相続税 譲渡所得税 全て非課税 14

グループ B 贈与税 相続税 譲渡所得税信託終了時 2 帰属権利者が受益者以外 A 清算受託者 残余財産の 所有権移転 B から C に資産の移転があったと考える C 帰属権利者 B 今までの受益者 1 贈与税無対価の場合 C に課税 2 相続税非課税 3 譲渡所得税対価ありの場合 B に課税 15

グループ B 贈与税 相続税 譲渡所得税信託終了時 3 受益者の死亡により終了 A 清算受託者 残余財産の 所有権移転 相続により B から C に資産の移転があったと考える 1 贈与税非課税 2 相続税 C に課税 3 譲渡所得税非課税 C 帰属権利者 B( 死亡 ) 今までの受益者 16

グループ C 不動産取得税 登録免許税 不動産取得税は 不動産の所有権移転に注目して課税される 登録免許税は 登記に注目して課税される どちらも 形式的な権利の移転の場合は非課税 17

グループC 不動産取得税 登録免許税信託開始時 1 自益信託 他益信託 A 委託者 形式的な 所有権移転 B 受託者 不動産取得税は非課税 形式的な所有権の移転に過ぎないと考える 登録免許税 1 所有権移転分非課税 ( 形式的な移転 ) 2 信託分 1000 分の 4( 土地は 1000 分の 3) 18

グループC 不動産取得税 登録免許税信託開始時 2 自己信託 A 委託者 信託財産への 権利の変更 A 受託者 不動産取得税は非課税 そもそも所有権の移転がない 登録免許税 1 権利の変更分不動産 1 個につき 1000 円 2 信託分 1000 分の 4( 土地は 1000 分の 3) 19

グループC 不動産取得税 登録免許税受託者変更時受託者の死亡 辞任 etc A 旧受託者 形式的な 所有権移転 B 新受託者 受託者の変更は 形式的な所有権移転に過ぎず 実質的に権利は移動していないと考える 不動産取得税 登録免許税 共に非課税 20

グループC 不動産取得税 登録免許税受益者変更時受益権の贈与 売買等 A 旧受益者 受益権 相続 売買 贈与 etc B 新受益者 不動産取得税は非課税 債権の移転であり 不動産の権利移転ではない登録免許税不動産 1 個につき 1000 円 信託目録の変更 受益者 の表示を書き換える 21

グループC 不動産取得税 登録免許税委託者変更時委託者の地位の移転等 A 旧委託者 委託者の地位 相続 委託者の地位の譲渡 etc B 新委託者 不動産取得税は非課税 不動産の権利移転ではない登録免許税不動産 1 個につき 1000 円 信託目録の変更 委託者 の表示を書き換える 22

グループ C 不動産取得税 登録免許税信託目録の記録事項の変更登記 委託者の変更受益者の変更委託者又は受益者の住所氏名変更信託の目的 信託財産の管理方法 信託の終了自由 その他の信託条項の変更登録免許税不動産 1 個につき 1000 円 23

グループ C 不動産取得税 登録免許税信託財産の運用時 1 信託財産である金銭で建物を建築した時所有権保存と信託の登記 不動産取得税受託者に課税登録免許税保存分 1000 分の 4 信託分 1000 分の 4 24

グループ C 不動産取得税 登録免許税信託財産の運用時 2 信託財産である金銭で不動産を購入した時所有権移転と信託の登記不動産取得税受託者に課税登録免許税移転分 1000 分の 20 土地は平成 29 年 3 月 31 日まで 1000 分の 15 信託分 1000 分の 4 土地は平成 29 年 3 月 31 日まで 1000 分の 3 25

グループ C 不動産取得税 登録免許税信託財産の運用時 3 信託財産である不動産を売却した場合所有権移転と信託の抹消の登記不動産取得税買主に課税登録免許税移転分 1000 分の 20 土地は平成 29 年 3 月 31 日まで 1000 分の 15 抹消分不動産 1 個につき 1000 円 26

グループ C 不動産取得税 登録免許税信託終了時 1 信託の開始から終了まで 委託者のみが引き続き元本受益者であり かつ帰属権利者であるとき 受託者 B 残余財産 委託者に復帰 帰属権利者 A 委託者であり 元本受益者 不動産取得税非課税 登録免許税 ( 移転分 ) 非課税 登録免許税 ( 抹消分 ) 不動産 1 個につき 1000 円 27

グループC 不動産取得税 登録免許税信託終了時 2 帰属権利者が元本受益者であり かつ委託者兼元本受益者から相続又は合併により受益権を取得した者であるとき 受託者 B 残余財産 委託者からの相続 合併と同視 帰属権利者 C 委託者兼元本受益者の相続人 不動産取得税非課税登録免許税 ( 移転分 ) 1000 分の 4 登録免許税 ( 抹消分 ) 不動産 1 個につき 1000 円 28

グループ C 不動産取得税 登録免許税信託終了時 3 委託者 ( 又は相続人 ) 以外に残余財産が帰属したり 元本受益権が移っていたりした場合 受託者 B 残余財産 実質的に権利が移転している 帰属権利者 C 不動産取得税課税登録免許税 ( 移転分 ) 1000 分の 20 登録免許税 ( 抹消分 ) 不動産 1 個につき 1000 円 29

グループ C 不動産取得税 登録免許税信託終了時 4 自己信託の終了により 信託財産が委託者兼受託者の固有財産に変更された場合 受託者 A 残余財産 所有権移転ではなく 権利の変更 帰属権利者 A 不動産取得税非課税登録免許税 ( 変更分 ) 不動産 1 個につき 1000 円登録免許税 ( 抹消分 ) 不動産 1 個につき 1000 円 30