高速無線 LAN の 安定な通信のための MC-CDMA 符号ダイバーシチ方式 長岡技術科学大学電気系准教授太刀川信一
Σ 1. 研究背景近年の高度無線情報通信の発展はめざましく ますます その利用範囲は広がっていく 現在の無線 LAN 携帯電話等の通信単一 ( 少数 ) の周波数に 1-1 等の情報を乗じて送る Single Carrier: SC f t 1 例 :DS/SS これからの高速無線 LAN 携帯電話等の通信多周波数にわたって並列に同時に送る f 1 f f M t t t Multi Carrier:MC 例 :OFDM WiMAX
OFDM (Orthogonal Frequency Division Multiplexing) - 直交周波数分割多重 f 領域 t 領域 ±1 ±1 IFFT 逆フーリエ ±1 変換回路 ±1 シリアルに送る f 1 f f 3 f 4 f M-1 f M f
. 従来無線通信の問題と通信方式 無線環境の変化 伝送路特性の変動多くのユーザの同時利用 信号の衝突 混信 ( 従来のアンテナダイバーシチ : 問題点 寸法大 ) 符号系列を乗じ その相関特性を利用することによって上記の軽減化を図る ( パスダイバーシチ RAK 効果あり ) スペクトル拡散方式 (Spread Spectrum:SS) 符号分割多元接続 (Code Division Multiple Access: CDMA) 先に これらに適した新たなダイバーシチ : 符号ダイバーシチを提案した
符号ダイバーシチ 多数の信号系列に同一情報を乗じて送信し 受信側では それらの系列を個々に相関受信し その出力に応じた重み係数を乗じて加算し 安定した出力を得るもの 系列 A1 系列 A 系列 A 系列 A1
これまでに提案したもの 直接拡散スペクトル拡散方式 (DS/SS) を対象とした符号ダイバーシチ技術 系列 A 1 Data 重み係数 g 1 f 1 系列 A 1 BPF A g Σ 受信出力 A A M g M A M ( 問題点 : DS/SS 方式は これからの LAN マルチキャリア MC,OFDM に使用できない )
今回提案する方式 ( 送信機 ) OFDM を用いたマルチキャリア符号分割多元接続 (MC-CDMA) を対象とした符号ダイバーシチ技術 a 11 a 1 a M1 f 1 a 1 a a M f a 1N a N a MN f N Data 系列 A 1 A A M
今回提案する方式 ( 受信機 ) a 11 系列 A 1 重み係数 g 1 f 分離 (FFT) a 1 a 1N Σ a 1 a A Σ 重み係数 g Σ 受信出力 a N a M1 A M 重み係数 g M a M Σ a MN
3. 提案技術の特徴 従来技術との比較 周波数方向に多数の符号系列を乗じて 符号ダイバーシチを行う この点を新しく特許の対象にしている 従来技術では 時間軸だけの符号ダイバーシチで使用制限されていたものが 次世代の高速無線 LAN 用 MC- CDMA に適用可能となった 他局間干渉抑圧効果の他に 従来にはなかった周波数ダイバーシチの効果も期待できる 本技術の適用により 通信品質の安定化 ビット誤り率特性の改善ができるため 送信出力低減化 小型化が可能となり コスト低減の効果も期待できる
4.MC-CDMA 符号ダイバーシチの設計と評価 4.1 システムモデル PN Transmitter PN M d(t) PN 1 PSK or QAM S / P I F F T P / S d'(t) Symbol decide g 1 g PN 1 PN P / S F F T S / P AWGN Interference g M PN M Receiver
重み係数の決定法について [ [ [ [ [ [ [ [ [ ) [( N I S N S N I I S N I S N I S Out = = = [ ) [( [ [ S N I S N I = N [ [ I g = λ λ: 各相関器の自局信号成分出力信号の二乗平均 S : 自局信号 I : 干渉 N : 雑音 [ : 平均信号以外の成分の分散重み係数 g は
4. 割り当てる符号系列 直交 Gold 系列ランダム系列に近い 値系列の合成によるもの 定振幅合成系列各系列はアナログ系列であるが合成したものが定振幅となる
合成した符号系列の形状 直交 Gold 系列の例 多レベル 送信電力を正規化するためアナログ値となる 定振幅合成系列の例 定振幅
4.3 シミュレーションシミュレーション諸元 ( 直交 Gold 系列 ) 表 MC-CDMA 符号ダイバーシチ シミュレーション諸元 ( 直交 Gold 系列 ) Modulation System MC-CDMA code diversity Number of users Digital modulation BPSK,QPSK,16QAM PN sequence Orthogonal Gold sequence Code length 3 Parallel input 18 Number of branches 5 Timing Synchronous Transmission line AWGN and Interference SIR 0 [db(16qam) -10 [db(bpsk,qpsk) Training bit 1000 [bits
BPSK SIR=-10[dB における比較 1.00 CD: Code Diversity 1.-01 BR 1.-0 1.-03 1.-04 CD ON AV CD ON BST CD ON WORST CD OFF AV CD OFF BST CD OFF WORST 0 4 6 8 10 b/n0
16QAM SIR=0[dB における比較 1.00 1.-01 BR 1.-0 1.-03 1.-04 CD ON AV CD ON BST CD ON WORST CD OFF AV CD OFF BST CD OFF WORST 0 5 10 15 b/n0
シミュレーション諸元 ( 定振幅合成系列 ) 表 MC-CDMA 符号ダイバーシチ シミュレーション諸元 ( 定振幅合成系列 ) Modulation System MC-CDMA code diversity Number of users Digital modulation 16QAM PN sequence Const. Amp. Comp. Seq. (Orthogonal cyclic M-seq.) Code length 31 Parallel input 14 Number of branches 31 Timing Synchronous Transmission line AWGN and Interference SIR 0 [db Training bit 1000 [bits
定振幅合成系列による MC-CDMA 符号ダイバーシチ 1.00 1.-01 1.-0 1.-03 1.-04 CD OFF AV CD OFF BST CD OFF WORST CD ON AV CD ON BST CD ON WORST 0 5 10 15
5. 想定される用途 本技術の特徴を生かし 次世代高速無線 LAN(OFDM, WiMAX 等 ) 現行無線 LAN 携帯電話システムに適用できる 上記以外に 電灯線データ伝送 ( 低周波用 10-450Hz, 高周波用 -30MHz) においても効果の得られることが期待される また RF タグ (IC タグ ) 微弱無線使用の各種機器や用途に展開することも可能と思われる
6. 想定される業界 想定されるメーカ 通信管理会社無線 LANの関連機器メーカ無線通信機の関連機器メーカ電灯線データ伝送機器メーカ RFタグ (ICタグ) 微弱無線使用機器メーカ通信システム 機器管理会社 想定される市場規模小規模でも数千万円 (1000 円 * 万台 ) 大規模なら数十億円 (1000 円 *500 万台 )
7. 実用化に向けた工夫 課題 現在 定振幅合成系列の提案により 送信機 伝送信号規格はそのままで 受信機のみの容易な設計変更で適用できる したがって 他の機器を変更せず この方式の製品化が可能であり 産業上有効と思われる 今後 各種伝送路での性能の検討を行い 実用上の品質評価とともに 場所に応じた工夫を考案していく
8. 企業への期待 実際のハードウエア構成 試作を行い ものとしての実験 開発を行ないたい そのためにも 無線 有線通信の回路試作の技術をもつ企業との共同研究を希望 特に OFDM, WiMAX, MC-CDMA といったこれからの無線技術開発中の企業においては 本方式の導入をぜひ御検討願えればと考えている また 各種無線 有線通信装置開発中の企業 あるいは 微弱信号処理分野への展開を考えている企業においても 本技術の導入が有効と思われる
9. 本技術に関する知的財産権 発明の名称 : 無線 LAN/OFDM 用 MC-CDMA 符号ダイバーシチ通信方式 出願番号 : 特願 008-6441 出願日 :008 年 1 月 16 日 出願人 : 国立大学法人長岡技術科学大学 発明者 : 太刀川信一 青木伸次
10. お問い合わせ先 長岡技術科学大学 総務部 産学 地域連携課 知的財産係 五十嵐 TL 058-47 -979 FAX 058-47 -9040 e-mail patent@jcom.nagaoaut.ac.jp 電気系 准教授 太刀川 TL 058-47 -9517 FAX 058-47 -9500 e-mail tach01@vos.nagaoaut.ac.jp