国土技術政策総合研究所 プロジェクト研究報告

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Microsoft Word - (新)滝川都市計画用途地域指定基準121019

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参考資料 ( 美祢都市計画区域 ) 目次 1. 区域区分の二次検討 25 23

3. 市街化調整区域における土地利用の調整に関し必要な事項 区域毎の面積 ( 単位 : m2 ) 区域名 市街化区域 市街化調整区域 合計 ( 別紙 ) 用途区分別面積は 市町村の農業振興地域整備計画で定められている用途区分別の面積を記入すること 土地利用調整区域毎に市街化区域と市街化調整区域それぞ

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市街化調整区域の土地利用方針の施策体系 神奈川県 平塚市 神奈川県総合計画 神奈川県国土利用計画 平塚市総合計画 かながわ都市マスタープラン 同地域別計画 平塚市都市マスタープラン ( 都市計画に関する基本方針 ) 平塚都市計画都市計画区域の 整備 開発及び保全の方針 神奈川県土地利用方針 神奈川県

能勢町市街化調整区域における地区計画のガイドライン

NITAS の基本機能 1. 経路探索条件の設定 (1) 交通モードの設定 交通モードの設定 とは どのような交通手段のネットワークを用いて経路探索を行うかを設定するものです NITASの交通モードは 大きく 人流 ( 旅客移動 ) 物流( 貨物移動 ) に分かれ それぞれのネットワークを用いた経路

指定標準 適用区域 建ぺい率 容積率 建築物の高さの最高限度 m 用途地域の変更に あたり導入を検討 すべき事項 ( 注 2) 1. 環境良好な一般的な低層住宅地として将来ともその環境を保護すべき区域 2. 農地等が多く 道路等の都市基盤が未整備な区域及び良好な樹林地等の保全を図る区域 3. 地区計

中央新幹線(東京都・名古屋市間)環境影響評価書【神奈川県】

2

第 4 章居住誘導区域 第 4 章居住誘導区域 1. 居住誘導区域 (1) 居住誘導区域の定義等居住誘導区域とは 都市再生特別措置法 * に定める 都市の居住者の居住を誘導すべき区域 のことで 都市計画運用指針 * において 人口減少の中にあっても一定のエリアにおいて人口密度を維持することにより 生

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目次 Ⅰ 運用基準の策定にあたって P1 1 策定の目的 P1 2 運用基準の位置づけ P1 Ⅱ Ⅲ 土地利用のあり方 P1 地区計画の活用 P2 1 地区計画とは P2 2 地区計画の活用類型 P2 (a) 地域資源型 P3 (b) マスタープラン適合型 P3 (c) 街区環境整序型 P3 (d)

目次 1. 市街化調整区域の土地利用方針について... 1 (1) 策定の目的... 1 (2) 方針の位置付け 市街化調整区域の課題 土地利用の方針... 3 (1) 土地利用の基本的な方針... 3 (2) 地区ごとの土地利用方針 開発計画等の調整

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3. 同意方針 3-1. 共通事項 (1) 上位計画との整合性 ( ア ) 地区計画が 都市計画区域マスタープラン等における土地利用の基本的な考え方と整合していること ( イ ) 地区計画が 市町都市計画マスタープラン等と整合していること 考え方 市街化調整区域は 本来市街化を抑制する区域であること

4. 都市機能誘導区域 4.1 都市機能誘導区域設定の基本的な考え方 (1) 都市機能誘導区域とは医療 福祉 商業等の都市機能を都市の中心拠点や生活拠点に誘導し集約することにより これらの各種サービスの効率的な提供を図る区域のことです 原則として 居住誘導区域内において設定します これらの都市機能は

大谷周辺地区 及び 役場周辺地区 地区計画について 木原市街地 国道 125 号バイパス 役場周辺地区 (43.7ha) 美駒市街地 大谷周辺地区 (11.8ha) 地区計画の概要 地区計画とは住民の身近な生活空間である地区や街区を対象とする都市計画で, 道路や公園などの公共施設の配置や, 建築物の

Microsoft Word - H30 市税のしおり最終版

1. 目的 本町の第 3 次総合計画において 本町の将来像である ( みんなが主役 やすらぎと健康福祉のまち ) の実現に寄与すべく 本町の市街化調整区域における地区計画の運用にかかる基本的な方針を示すため 市街化調整区域における地区計画運用指針 ( 以下 運用指針 という ) を策定しました この

(2) 居住誘導区域の届出制度居住誘導区域を設定 公表すると, 居住誘導区域外での一定規模以上の建築行為, 開発行為に対して届出義務が生じます 具体的には, 下表に示すように,3 戸以上の住宅の新築, 開発行為が対象になります 当制度の運用により, 生活利便性の高い地域への緩やかな誘導を図り, 都市

(2) 市原市における区域設定の考え方本市においては 更級地区における商業集積や沿岸における工業地帯の形成等 これまで特色ある土地利用展開を行ってきた経緯を踏まえ 居住誘導区域の設定に合わせ地域の特性に応じた区域を設定します 市原市における区域設定の考え方 市街化区域 1 居住誘導区域 2 一般居住

4. 地区計画の基本的な考え方 1. 市街化を抑制すべき区域 という市街化調整区域の基本理念は 地区計画の策定によってその性格が変わるものではないこと 2. 開発行為を伴う地区計画については いたずらに市街地を拡大しないよう その必要性 周辺の公共施設の整備状況 自然環境 景観や農林業との調和等の観

図 1 平成 19 年首都圏地価分布 出所 ) 東急不動産株式会社作成 1963 年以来 毎年定期的に 1 月現在の地価調査を同社が行い その結果をまとめているもの 2

Microsoft Word 八尾市市街化調整区域における地区計画のガイト

第 1 章基本計画の策定 1 策定の趣旨 総合計画基本構想では 豊かな自然と歴史 文化につつまれ人と人がつながる市民創造都市高岡 をまちの将来像に掲げ 17 のめざすまちの姿を目標として設定しています 第 3 次基本計画は 基本構想で示した市の基本的な取り組みの方向性に基づき 中期的な視点に立って

計画的な再開発が必要な市街地 特に一体的かつ総合的に再開発を促進すべき地区 市町名 名称 再開発の目標 土地の合理的かつ健全な高度利用及び都市機能の更新に関する方針 特に整備課題の集中がみられる地域 ( 課題地域 ) 地区名 西宮市 C-4 浜脇 ( 約 175ha) 居住環境の向上 良好な都市景観

第3 復興整備計画 参考様式集

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松山広域都市計画地区計画の決定

計画書

長岡市立地適正化計画概要版目次 1. 立地適正化計画制度の概要... 1 (1) 立地適正化計画策定の背景と目的... 1 (2) 立地適正化計画制度... 1 (3) 立地適正化計画の位置付け... 2 (4) 計画の対象区域... 2 (5) 計画期間 長岡市の現状と将来見通し.

Microsoft Word - ●決定⑤地区計画-2.docx

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イメージ図 ( 医療施設の場合 ) イメージ図 ( 誘導施設 : 地域医療支援病院の場合 ) 5 届出を要しない軽易な行為などについて都市再生特別措置法第 108 条並びに都市再生特別措置法施行令第 35 条 第 36 条の規定により 以下の行為は届出の対象となりません 軽易な行為その他の行為で政令

(案)

1-2 立地適正化計画の役割 立地適正化計画は 都市全体の観点における居住機能や都市機能の立地 公共交通の充実に関する包括的なマスタープランであり 以下のような役割があるとされています 1 都市全体を見渡したマスタープラン 立地適正化計画は, 居住機能や医療 福祉 商業, 公共交通等のさまざまな都市

(2) 小学校区別人口特性 2010 年の校区別総人口は 学校区の順に多い 2010 年の校区別人口密度は の順に高くなっており 学校区の殆どの区域と 学校区の一部区域は DID 地区となっている 2040 年の推計人口は 学校区で 2010 年人口を上回る若しくは横ばいの見込みであるが その他の殆


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金沢都市計画地区計画の変更

2 都市計画法第 34 条第 11 号に係る区域指定の許可基準について 都市計画法の趣旨 施策の方針市街化調整区域において, 市街化区域に隣接又は近接し, 一体的な日常生活圏を構成している市街化の進行した一定の区域を条例で指定し, 予定建築物を周辺環境と調和する用途に制限することにより, 許可の対象

7-3 上田城南地域 (1) 将来像 ( 将来像 ) 水と緑と多様な都市機能が調和し快適な暮らしの環境が整ったまち ( 基本目標 ) 千曲川をはじめ産川や浦野川 小牧山や上田原古戦場 半過岩鼻など奇景や原風景の残る豊かな自然や農地を大切に保全するとともに 秩序ある都市空間づくりを進めます 良好な住環

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TRY TRY TRY TRY TRY 5

( 新 ) 藤沢都市計画住宅市街地の開発整備の方針 平成年月 神奈川県 藤沢 住宅 -1

Ⅰ 用途地域指定の基本方針 1 用途地域別 市街地像 と指定の基本方針 1 2 境界の設定 4 3 用途地域見直しの時期 5 4 その他の地域地区や地区計画の活用 6 Ⅱ 用途地域の指定基準 第一種低層住居専用地域 7 第二種低層住居専用地域 9 第一種中高層住居専用地域 11 第二種中高層住居専用

生産緑地制度の概要 市街化区域内の農地で 良好な生活環境の確保に相当の効用があり 公共施設等の敷地に供する用地として適している 500 m2以上 *1 の農地を都市計画に定め 建築行為や宅地の造成を許可制により規制し 都市農地の計画的な保全を図る 市街化区域農地は宅地並み課税がされるのに対し 生産緑


目 次 1 基本方針 再開発を促進すべき地区等の整備又は開発の方針... 2 別表再開発促進地区の整備又は計画の概要... 3 都市再開発方針図 ( 総括図 )... 6 都市再開発方針附図

和泉市の宅地開発における制度

境港農業振興地域整備計画書変更理由書 平成 24 年 月 鳥取県境港市

1. 市街化調整区域における地区計画ガイドライン策定の目的市街化調整区域は 市街化を抑制すべき区域であるとともに 豊かな自然環境を育成 保全すべき区域である そのため 都市計画法において開発行為や建築行為が厳しく制限されている 本市都市計画マスタープランにおいても 将来都市構造の基本的な考え方の一つ


交通結節点が備えるべき機能を整理すると 最も基本となるものとして があり これに加えて 都市機能の誘導 集積を促進させ 都市内の中心的な拠点地区を形成する 及び 都市の顔 となる 交通結節点の計画 整備の検討においては 先に示した の三種の機能がそれぞれ交通結節性 人の交流や景観等の面で役割を果たし

Microsoft Word - 10.問題Ⅳ-1-用

(4) 対象区域 基本方針の対象区域は市街化調整区域全体とし 都市計画マスタープランにおいて田園都市ゾーン及び公園 緑地ゾーンとして位置付けられている区域を基本とします 対象区域図 市街化調整区域 2 資料 : 八潮市都市計画マスタープラン 土地利用方針図

スライド 1


PowerPoint プレゼンテーション

都市再生整備計画の目標及び計画期間 都道府県名 茨城県 市町村名 坂東市 ( 旧猿島町 ) 地区名 猿島地区 面積 800 ha 計画期間 平成 16 年度 ~ 平成 20 年度 交付期間 平成 16 年度 ~ 平成 20 年度 目標 地域資源を活用した交流人口の拡大と良好な居住環境を形成するまちづ

区域の整備 開発及び保全の方針地区整備計画 久世荒内 寺田塚本地区地区計画 名称久世荒内 寺田塚本地区地区計画 位置城陽市久世荒内 寺田塚本及び平川広田 面積約 22.1ha 建 築 物 等 に 関 す る 事 項 地区計画の目標 土地利用の方針 地区施設の整備方針 建築物等の整備方針 地区の区分

2. 各学区のまちづくりの方向性と将来ビジョン 第 3 章で整理した各学区の現状 課題等を踏まえ 学区ごとにまちづくりの方向性 ( 基本方針の 3 つの柱の何に該当するのか ) を整理します 方向性を踏まえ 施策の柱ごとに具体的なビジョンを検討します (1) 常盤学区 1 まちづくりの方向性 1-1

Microsoft Word 同意指針(公表).doc

市街化区域及び市街化調整区域の区域区分の見直し方針案 小野市 1 区域区分見直しの基本的な考え方区域区分見直しの考え方は 都市計画運用指針 を踏まえ 次のとおりとする (1) 目標年次におけるフレームの設定区域区分の見直しについては 都市計画区域マスタープラン 市町マスタープラン等に示された都市の将

平成 29 年 7 月 20 日滝川タイムライン検討会気象台資料 気象庁札幌管区気象台 Sapporo Regional Headquarters Japan Meteorological Agency 大雨警報 ( 浸水害 ) 洪水警報の基準改正 表面雨量指数の活用による大雨警報 ( 浸水害 )

県産材の需要拡大の推進について(枠組み)


加賀市農業委員会農地等の利用の最適化の推進に関する指針 平成 30 年 1 月 26 日制定 加賀市農業委員会 第 1 指針の目的 農業委員会等に関する法律 ( 昭和 26 年法律第 88 号 以下 法 という ) の一部改正法が平成 28 年 4 月 1 日に施行され 農業委員会においては 農地等

2-2 需要予測モデルの全体構造交通需要予測の方法としては,1950 年代より四段階推定法が開発され, 広く実務的に適用されてきた 四段階推定法とは, 以下の4つの手順によって交通需要を予測する方法である 四段階推定法将来人口を出発点に, 1 発生集中交通量 ( 交通が, どこで発生し, どこへ集中

大阪狭山市市街化調整区域における地区計画のガイドライン(案)

(5) 老上西学区 1 まちづくりの方向性 1-1. 生活拠点の形成と交通環境の充実 既存の生活拠点を中心とした 50 戸連坦制度の厳守等により市街地の拡散を抑制するこ とで 利便性の高い生活環境を維持していくものとします 老上西学区は 東側から南側にかけての一帯が市街化区域に含まれ ( 主 ) 大

Microsoft Word - 4_居住誘導区域_170222


問 2. 現在 該当区域内に居住していますか 1. 居住している % 2. 居住していない % 無回答 % % 単位 : 人 1.9% 32.7% 65.4% 1. 居住している 2. 居住していない無回答 回答者のうち 居住者が約 65

第 2 章立地適正化計画の基本方針 第 2 章立地適正化計画の基本方針 1. 沼津市における立地適正化計画の導入について (1) 沼津市における立地適正化計画の活用方針 立地適正化計画は 本市を持続的に発展させるため 居住 と 交流 に一体的に取り組み 将来の目指すべき都市像 * を実現する計画とし

コンパクト プラス ネットワークの形成 1

Microsoft Word 交通渋滞(有明アーバン)_181017

北部大阪都市計画彩都地区計画 ( 案 ) 北部大阪都市計画彩都地区計画を 次のとおり変更する 1. 地区計画の方針 名称彩都地区計画 位 置 茨木市大字粟生岩阪 大字宿久庄 大字清水 大字佐保 大字泉原 大字千提寺 大字大岩 大字福井 大字大門寺 大字生保 大字安威 山手台一丁目 山手台三丁目 山手

2 1 都市計画の目標 基本理念 愛知の都市づくりビジョン 平成 29 年 3 月 の都市づくりの理念である 時代の波を乗りこなし 元気と暮らしやす さを育みつづける未来へ の考え方を受け 元気 と 暮らしやすさ に対応した本区域の基本理念を定めます 広域からヒトやモノが集まるとともに 歩いて暮らせ

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1調査の目的

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かごしまコンパクトなまちづくりプラン ( 立地適正化計画 ) 素案概要版 - 目次 - 1. 立地適正化計画の概要 2 2. 計画策定に係る基本的な考え方 4 3. 居住誘導区域 6 4. 都市機能誘導区域 8 5. 誘導施設 届出制度 目標値の設定 都市機能及び

1. 研究の目的 東日本大震災の発生や台風 集中豪雨による災害の頻発をふまえ 災害対応 危機管理のための被害想定やハザードマップの作成が各地で進んでいる 不動産評価にも災害リスクが考慮されつつある一方で ハザードマップの公表や警戒区域の指定が不動産価値の低下につながることを懸念する声もある しかし


圏央道スマートインターチェンジ周辺地域の土地利用方針 目次 1 策定の背景 目的 位置づけ 1 (1) 背景 1 (2) 目的 1 (3) 位置づけ 1 2 対象地域 2 (1) 対象地域の範囲 2 (2) 対象地域の特性 3 (3) 対象地域の特性と課題の整理 7 3 スマートインターチェンジ周辺

に基づく保安林指定計画地 (8) 自然環境保全法 ( 昭和 47 年法律第 85 号 ) 第 14 条第 1 項に規定する原生自然環境保全地域及び同法第 22 条第 12 項に規定する自然環境保全地域が指定されている土地の区域 (9) 自然公園法 ( 昭和 32 年法律第 161 号 ) 第 13

目次 1. 策定の目的と位置づけ (1) 策定の目的 1 (2) 市街化調整区域における地区計画運用基準の位置づけ 1 2. 市街化調整区域における土地利用方針の基本的な考え方 (1) 市街化調整区域における土地利用方針 2 (2) 市街化調整区域における地区計画の運用にあたっての基本的な考え方 3


地域経済分析システム () の表示内容 ヒートマップでは 表示する種類を指定する で選択している取引価格 ( 取引面積 mあたり ) が高い地域ほど濃い色で表示されます 全国を表示する を選択すると 日本全国の地図が表示されます 都道府県単位で表示する を選択すると 指定地域 で選択している都道府県

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工業地域用途地域の一つで 主として工業の業務の利便の増進を図る地域のこと 住宅や店舗は建てられるが 学校や病院 ホテルなどは建てられない 高次都市機能行政 教育 文化 情報 商業 交通 レジャーなど都市自体が持つ住民生活や企業の経済活動に対する各種のサービス機能のうち 受益圏が広域にわたる質の高い機

Microsoft Word - さいたま市都市計画道路見直し指針1/3.doc

目次 方針策定の背景 1-1. 用途地域指定の基本的な考え方 1-2. 住居系 [ 第一種低層住居専用地域 ] [ 第二種低層住居専用地域 ] [ 第一種中高層住居専用地域 ] [ 第二種中高層住居専用地域 ] [ 第一種住居地域 ] [ 第二種住居地域 ] [ 準住居地域 ] [ 田園住居地域 ]

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第 4 章土地適性評価手法の活用例 1. 土地利用の類型別の土地適性評価例 (1) ケーススタディの目的 複数の都市をモデルケースとして土地適性評価を実施し 土地利用類型毎に評価の目的に沿って適切に計算できるか 分かりやすくマップ化できるかどうか検証する (2) ケーススタディの内容 土地利用の類型別の土地適性評価を複数の典型市街地 (1 大都市圏の郊外市街地 2 地方中心都市 3 計画的な開発整備が行なわれた市街地 ) をモデルにケーススタディを行なう 国土数値情報や基盤地図情報のほか 各地方公共団体が保有する都市計画基礎調査等の既存の各種地理空間データを土地適性評価プログラムに入力し 居住系 集客系 産業 物流系 農業系 自然系の5つの基礎的な土地利用類型に対する適性評価値を算出するとともに 10m メッシュ及び街区単位で評価結果をマップ化する (3) ケーススタディの諸元 1 対象市街地 大都市圏の郊外市街地( 三大都市圏の政令指定都市の A 市郊外 ) 地方中心都市( 地方圏の人口 20 万人程度の B 市全域 ) 計画的な開発整備が行なわれた市街地( 新住宅市街地開発事業等で計画的に開発された C 市の一部 ) 2 入力データ 国土数値情報 基盤地図情報 土地利用現況図(A 市 B 市 C 市の都市計画基礎調査 ) デジタル道路地図データベース 公共交通ネットワークデータ( 鉄道 バスの路線図 時刻表等 ) - 52 -

3 評価方法指標項目の点数化 ウェイト及び減点率については 第 2 章第 4 項に記述した考え方に沿って 各ケーススタディにおいて設定した 4 出力データ 10m メッシュ及び街区単位で評価結果をマップ化した - 53 -

(4) ケーススタディの結果 (A 市 ) 1 現況の土地利用 ( 土地利用現況図 ) 図 4-1-1 土地利用現況図の例 (A 市 ) 2 現況の土地利用 (10m メッシュ化 ) (10m メッシュ化の方法 ) 第 3 章第 3 項の (3) ステップ3の方法を用いて 10m メッシュの区画の地図データの取り込みを行った 図 4-1-2 土地利用現況図の 10m メッシュ化の例 (A 市 ) - 54 -

3 現況の土地利用 (100m メッシュ化 ) (100m メッシュ化の方法 ) 第 3 章第 3 項の (3) ステップ3の方法を用いて 100m メッシュの区画の地図データの取り込みを行った 図 4-1-3 土地利用現況図の 100m メッシュ化の例 (A 市 ) 4 道路条件 ( デジタル道路マップ ) 図 4-1-4 デジタル道路マップの例 (A 市 ) - 55 -

5 地形勾配 居住系 集客系及び産業 物流系の土地利用において 地形勾配の不適合性を反映する減点率を2 章 4.(1) に示す補完式を用いて任意に設定できるが ここでは次のように設定した 隣接メッシュ間の勾配 (8 方向 ) の最大値 : A1 減点率 : R1 A1 2% のとき R1=1.0 2%<A1 20% のとき 上に凸の2 次式で減少 20%<A1 のとき R1=0 算出した地形勾配の減点率を 10m メッシュでマップ化した >= 図 4-1-5 地形勾配の評価結果の例 (A 市 ) - 56 -

6 同種土地利用の集積度 半径 50m の範囲内の自メッシュと同じ土地利用のメッシュの割合 ( ただし公益系土地利用 ( 広幅員道路 河川等 ) メッシュは分母 分子ともに含めない ) を算出し 5つの基礎的な土地利用類型毎に 同種土地利用の集積度の適性評価値を次のように設定した 自メッシュと同じ土地利用のメッシュの割合 : A2 同種土地利用の集積度の適性評価値 : P1 A2=100% のとき P1=100 点 100%>A2>0% のとき 上に凸の2 次式で減少 A2=0% のとき P1=0 点算出した同種土地利用の集積度の適性評価値を 10m メッシュでマップ化した 図 4-1-6 同種土地利用 ( 集客系 ) の集積度の評価例 (A 市 ) - 57 -

7 街区インフラの充実度 当該メッシュが含まれる幅員約 6m 以上の道路で囲まれた領域 ( 街区 ) の面積が 10ha 以下のとき 10ha 以下の街区が連坦した面積を算出し 街区インフラの充実度の適性評価値を次のように設定した 当該メッシュが含まれる幅員 6m 以上の道路で囲まれた面積 10ha 以下の街区が連担した面積 : A3 街区インフラの充実度の適性評価値 : P2 A3=20ha 以上のとき P2=100 点 20ha>A3>5ha のとき 線形増加 A3=5ha のとき P2=50 点算出した街区インフラの充実度の適性評価値を 10m メッシュでマップ化した 図 4-1-7 街区インフラの充実度の評価例 (A 市 ) - 58 -

8 居住系の土地適性評価結果 第一段階は加重計算処理として 各 10m メッシュについて 居住系の土地利用に対して積極的に適していることの適性評価値を 第 2 章第 4 項 (3) に記述した考え方に沿って 評価項目 ( 加算的点数の項目 ) のウェイトを次のように設定し そのウェイトを用いて 評価項目の点数を加重平均して基礎評価値を計算した 表 4-1-1 居住系の土地適性評価の評価項目毎のウェイトの設定の例 (A 市 ) 指標項目 重み付け 道路条件 何らかの道路との距離 10 街区基盤 街区インフラの充足度 20 鉄道駅 ( 乗降客数 ) までの距離 10 公共交通 公共交通に乗車するまでの所要時間 20 中心部までの所要時間 5 生活基盤 病院までの所要時間 10 小学校までの距離 10 土地利用 同種用途の集積度 10 隣接用途の親和度 10 次に第一段階で算出した基礎評価値に減点率を乗じて最終的な適性評価値を計算し 10m メッシュで評価結果をマップ化した 表 4-1-2 居住系の土地適性評価の評価項目毎の減点率の設定の例 (A 市 ) 指標項目 減点率の設定 道路条件 国 県道との距離 該当 何らかの道路との距離 該当 生活基盤 消防署からの距離 該当 土地利用 隣接用途の親和度 該当 保安林 公園等 該当 地形条件 地形勾配 該当 浸水想定地域 該当 土砂災害危険個所 該当 - 59 -

図 4-1-8 居住系の土地適性評価結果の例 (A 市 )(10m メッシュ ) - 60 -

9 集客系の土地適性評価結果 第一段階は加重計算処理として 各 10m メッシュについて 集客系の土地利用 に対して積極的に適していることの評価値を 第 2 章第 4 項 (3) に記述した考え 方に沿って 評価項目 ( 加算的点数の項目 ) のウェイトを次のように設定し その ウェイトを用いて 評価項目の点数を加重平均して基礎評価値を計算した 表 4-1-3 集客系の土地適性評価の評価項目毎のウェイトの設定の例 (A 市 ) 指標項目 重み付け 道路条件 2 車線以上道路との距離幅員約 6m 以上道路との距離 10 10 街区基盤 街区インフラの充足度 20 公共交通 鉄道駅 ( 乗降客数 ) までの距離 20 公共交通に乗車するまでの所要時間 10 土地利用 同種用途の集積度 20 隣接用途の親和度 5 次に第一段階で算出した基礎評価値に減点率を乗じて最終的な適性評価値を計算し 10m メッシュで評価結果をマップ化した 表 4-1-4 集客系の土地適性評価の評価項目毎の減点率の設定の例 (A 市 ) 指標項目 減点率の設定 道路条件 幅員約 6m 以上道路との距離 該当 生活基盤 消防署からの距離 該当 土地利用 保安林 公園等 該当 地形条件 地形勾配 該当 浸水想定地域 該当 土砂災害危険個所 該当 - 61 -

図 4-1-9 集客系の土地適性評価結果の例 (A 市 )(10m メッシュ ) - 62 -

10 産業 物流系の土地利用の土地適性評価結果 第一段階は加重計算処理として 各 10m メッシュについて 産業 物流系の土地利用に対して積極的に適していることの評価値を 第 2 章第 4 項 (3) に記述した考え方に沿って 評価項目 ( 加算的点数の項目 ) のウェイトを次のように設定し そのウェイトを用いて 評価項目の点数を加重平均して基礎評価値を計算した 表 4-1-5 産業 物流系の土地適性評価の評価項目毎のウェイトの設定の例 (A 市 ) 指標項目 重み付け 道路条件 国 都道府県道との距離 20 2 車線以上道路との距離 20 土地利用 同種用途の集団性 10 次に第一段階で算出した基礎評価値に減点率を乗じて最終的な適性評価値を計算し 10m メッシュで評価結果をマップ化した 表 4-1-6 産業 物流系の土地適性評価の評価項目毎の減点率の設定の例 (A 市 ) 指標項目 減点率の設定 生活基盤 小学校までの距離 該当 土地利用 隣接用途の親和度 該当 保安林 公園等 該当 地形条件 地形勾配 該当 浸水想定地域 該当 土砂災害危険個所 該当 - 63 -

図 4-1-10 産業 物流系の土地適性評価結果の例 (A 市 )(10m メッシュ ) - 64 -

11 農業系の土地適性評価結果 第一段階は加重計算処理として 各 10m メッシュについて 農業系の土地利用に対して積極的に適していることの評価値を 第 2 章第 4 項 (3) に記述した考え方に沿って 評価項目 ( 加算的点数の項目 ) のウェイトを次のように設定し そのウェイトを用いて 評価項目の点数を加重平均して基礎評価値を計算した 表 4-1-7 農業系の土地適性評価の評価項目毎のウェイトの設定の例 (A 市 ) 指標項目 重み付け 土地利用 同種用途の集団性 20 農用地区域に該当 20 地形条件 地形勾配 10 次に第一段階で算出した基礎評価値に減点率を乗じて最終的な適性評価値を計算し 10m メッシュで評価結果をマップ化した 表 4-1-8 農業系の土地適性評価の評価項目毎の減点率の設定の例 (A 市 ) 指標項目 減点率の設定 土地利用 保安林 公園等 該当 土砂災害危険個所 該当 - 65 -

図 4-1-11 農業系の土地適性評価結果の例 (A 市 )(10m メッシュ ) - 66 -

12 自然系の土地適性評価結果 (A 市 ) 第一段階は加重計算処理として 各 10m メッシュについて 自然系の土地利用に対して積極的に適していることの評価値を 第 2 章第 4 項 (3) に記述した考え方に沿って 評価項目 ( 加算的点数の項目 ) のウェイトを次のように設定し そのウェイトを用いて 評価項目の点数を加重平均して基礎評価値を計算した 表 4-1-9 自然系の土地適性評価の評価項目毎のウェイトの設定の例 (A 市 ) 指標項目 重み付け 土地利用 同種用途の集団性保安林 公園等 10 20 地形条件 地形勾配 10 次に第一段階で算出した基礎評価値に減点率を乗じて最終的な適性評価値を計算し 10m メッシュで評価結果をマップ化した 表 4-1-10 自然系の土地適性評価の評価項目毎の減点率の設定の例 (A 市 ) 指標項目 減点率の設定 地形条件 土砂災害危険個所 該当 図 4-1-12 自然系の土地適性評価の例 (A 市 )(10m メッシュ ) - 67 -

(5) ケーススタディ結果 (B 市 ) 1 居住系の土地適性評価結果 (4) の8と同様 図 4-1-13 居住系の土地適性評価結果の例 (B 市 )(10m メッシュ ) 図 4-1-14 居住系の土地適性評価結果の例 (B 市 )( 街区 ) - 68 -

2 集客系の土地適性評価結果 (4) の9と同様 図 4-1-15 集客系の土地適性評価結果の例 (B 市 )(10m メッシュ ) 図 4-1-16 集客系の土地適性評価結果の例 (B 市 )( 街区 ) - 69 -

3 産業 物流系の土地適性評価結果 (4) の10と同様 図 4-1-17 産業 物流系の土地適性評価結果の例 (B 市 )(10m メッシュ ) 図 4-1-18 産業 物流系の土地適性評価結果の例 (B 市 )( 街区 ) - 70 -

4 農業系の土地適性評価結果 (4) の11と同様 図 4-1-19 農業系の土地適性評価結果の例 (B 市 )(10m メッシュ ) 図 4-1-20 農業系の土地適性評価結果の例 (B 市 )( 街区 ) - 71 -

5 自然系の土地適性評価結果 (4) の12と同様 図 4-1-21 自然系の土地適性評価結果の例 (B 市 )(10m メッシュ ) 図 4-1-22 自然系の土地適性評価結果の例 (B 市 )( 街区 ) - 72 -

(6) ケーススタディ結果 (C 市 ) 1 居住系の土地適性評価結果 (4)-2の8と同様 図 4-1-23 居住系の土地適性評価結果の例 (C 市 ) (10m メッシュ ) 図 4-1-24 居住系の土地適性評価結果の例 (C 市 ) ( 街区 ) - 73 -

4 集客系の土地適性評価結果 (4) の9と同様 図 4-1-25 集客系の土地適性評価結果の例 (C 市 )(10m メッシュ ) 図 4-1-26 集客系の土地適性評価結果の例 (C 市 )( 街区 ) - 74 -

5 産業 物流系の土地適性評価結果 (4) の10と同様 図 4-1-27 産業 物流系の土地適性評価結果の例 (C 市 )(10m メッシュ ) 図 4-1-28 産業 物流系の土地適性評価結果の例 (C 市 )( 街区 ) - 75 -

6 農業系の土地適性評価結果 (4) の11と同様 図 4-1-29 農業系の土地適性評価結果の例 (C 市 )(10m メッシュ ) 図 4-1-30 農業系の土地適性評価結果の例 (C 市 )( 街区 ) - 76 -

7 自然系の土地適性評価結果 (4) の12と同様 図 4-1-31 自然系の土地適性評価結果の例 (C 市 )(10m メッシュ ) 図 4-1-32 自然系の土地適性評価結果の例 (C 市 )( 街区 ) - 77 -

(7) 考察国土数値情報や基盤地図情報をベースとして 各地方公共団体が保有する都市計画基礎調査等を土地適性評価プログラムに入力し 基礎的な土地利用類型に対する適性評価値を算出し 10m メッシュ及び街区単位で評価結果をマップ化することができた 大都市圏の郊外市街地 (A 市 ) では 丘陵部に開発許可により開発された住宅地が駅を中心に広がっている状況を反映して 地形勾配の条件や同種土地利用 ( 集客系 ) の集積度 街区インフラの充実度について適切に評価され 居住系の土地利用についての評価が高い区域が多くみられた 一方で 集客系 産業 物流系の土地利用については 駅周辺や広幅員の幹線道路沿いの一部に限定的に評価が高い区域がみられた 農業系 自然系の土地利用については 農振農用地や森林地域の指定や現状の土地利用を反映して農地や森林が残るエリアに評価が高い区域がみられた 地方中心都市 (B 市 ) では 主要駅に近い中心市街地等に居住系の土地利用についての評価が高い区域がみられ 一定の基盤整備がなされた郊外にむけて居住系の評価が比較的高い区域が広がっている状況がみられた 集客系 産業 物流系の土地利用については 交通機関の整備状況や現状の施設の集積度を反映して高い評価の区域がみられた 10m メッシュと街区単位での評価を比較すると 10m メッシュの評価は土地利用条件の詳細を把握するのに優れているが 街区単位の評価でもその状況の概略を把握することが可能であり 各地域の傾向を把握する資料として有用と考えられる 一方 郊外部では道路で区分した街区の範囲が広くなり 農業系や自然系の評価には使い難いと考えられるケースもみられた 計画的な開発整備が行なわれた市街地 (C 市 ) では 居住系の土地利用については 駅周辺の計画的な開発地において評価が高い区域がみられるものの 広幅員幹線道路沿いは低い評価の区域が帯状にみられた 集客系の土地利用については 駅に近接したエリアに高い評価区域がみられ 広幅員幹線道路沿いにも評価が比較的高い区域が広がっている状況がみられた 産業 物流系の土地利用については 広幅員幹線道路沿いに評価の高い区域が帯状に広がっている状況がみられた 今回のケーススタディにおいては 土地適正評価値で色別に分類し ランク付けは行なわず 各マップ上の相対的な評価に留まっており 評価結果の値を対外的にどのように説明するか 評価目的や説明の対象者を念頭に 今後検討が必要と考えられる 10m メッシュ単位で評価した結果については 地方公共団体等において都市内の各地域の傾向を把握する参考資料として用いることが可能と考えられるが 入力したデータの精度を考慮すると 外部への情報提供においては 街区単位で表示するマップを用いる等 情報の秘匿性の確保について検討することが必要と考えられる - 78 -

2. 土地利用の非効率地区の評価例 (1) ケーススタディの目的 人口減少社会において 集約型の都市構造への転換が重要な政策課題となっており 土地利用の適正化を図るため 土地適性評価プログラムを活用して土地利用の非効率地区を抽出する (2) ケーススタディの内容 国土数値情報や基盤地図情報のほか 各地方公共団体が保有する都市計画基礎調査等の既存の各種地理空間データを土地適性評価プログラムに入力し 土地適性評価プログラムを活用して居住系の土地利用の適性評価値を算出する その結果を用いて現状では居住系の土地利用がなされているものの 居住機能の適性評価値が特に低い地区を抽出し 10m メッシュで土地利用の非効率地区をマップ化する (3) ケーススタディの諸元 1 入力データ 国土数値情報 基盤地図情報 土地利用現況図(A 市の都市計画基礎調査 ) デジタル道路地図データベース 2 評価方法指標項目の点数化 ウェイト及び減点率については 第 2 章第 4 項に記述した考え方に沿って設定した 3 出力データ 10m メッシュで評価結果をマップ化 - 79 -

(4) ケーススタディの結果 (A 市 ) 1 居住系の土地適性評価結果 ( 再掲 ) 図 4-2-1 居住系の土地適性評価結果の例 (A 市 ) 2 居住系の土地利用の非効率地区の抽出 (A 市 ) 居住系の土地利用がなされているものの 居住機能の適性評価値が 20 点未満のメッシュを抽出しマップ化した 図 4-2-2 居住系の土地利用の非効率地区の例 (A 市 ) - 80 -

(5) ケーススタディ結果 (B 市 ) 1 居住系の土地適性評価結果 ( 再掲 ) 図 4-2-3 居住系の土地適性評価結果の例 (B 市 ) 2 居住系の土地利用の非効率地区の抽出 (B 市 ) (4) の2と同様 図 4-2-4 居住系の土地利用の非効率地区の例 (B 市 ) - 81 -

(6) ケーススタディ結果 (C 市 ) 1 居住系の土地適性評価結果 ( 再掲 ) 図 4-2-5 居住系の土地適正評価結果の例 (C 市 ) 2 居住系の土地利用の非効率地区の抽出 (C 市 ) (4) の2と同様 図 4-2-6 居住系の土地利用の非効率地区の例 (C 市 ) - 82 -

(7) 考察 居住系の土地利用に関する適性評価値が特に低いメッシュについて ケーススタディを行った地域の実際の土地利用や立地条件 周辺の市街地環境についてみると 様々なケースがあるが 類型化すると次のような土地が該当することが挙げられる 宅地として利用されているものの市街地の外延部に位置し 丘陵地に近接した斜面地 駅や小学校からの距離が相当程度あり アクセシビリティが悪い土地 計画的に開発された地域からはずれ 区画街路の密度が低い土地 洪水ハザードマップで浸水想定区域とされている土地 国 県道等からの距離が近接している土地このような土地が多い地域については 土地利用の適正化の検討が必要と考えられ 例えば都市再生特別措置法に基づく立地適正化計画の検討において 居住誘導区域に含めないこと等が考えられる 今後 土地適性評価プログラムを地方公共団体の政策判断に利用しやすくするためには 適性評価値が著しく低い土地について 土地適性評価において著しく低い評価となった理由が それぞれどの指標項目によるものか またどの程度影響しているものか マップ上で識別できるように改良することが考えられる 適性評価値が特に低い地区の抽出した結果については 入力したデータの精度を考慮すると 10m メッシュ単位で評価した結果については 地方公共団体等において 土地利用の適正化のための施策検討において参考資料として用いることが可能と考えられるが 外部への情報提供においては 街区単位で表示するマップを用いる等 情報の秘匿性の確保について検討することが必要と考えられる - 83 -

3. 医療など公共的サービスへのアクセシビリティの評価例 (1) ケーススタディの目的 人口減少社会において 集約型の都市構造への転換が重要な政策課題となっており 公共交通を軸とした都市機能の適正立地を図るため 土地適性評価プログラムを活用して医療など公共的サービスへの公共交通によるアクセシビリティの評価を行う (2) ケーススタディの内容 国土数値情報や基盤地図情報等の既存の各種地理空間データのほか 交通事業者が保有する鉄道及びバスの運行計画をもとに鉄道やバス路線の日中の運行頻度等のデータを土地適性評価プログラムに入力し 土地適性評価プログラムを活用して医療など公共的サービスへのアクセシビリティを算出する その結果を用いて 100m メッシュで医療施設等のアクセシビリティをマップ化するとともに 一定時間内に医療施設等にアクセス可能な人口 人口割合をグラフ化する (3) ケーススタディの諸元 1 入力データ 国土数値情報 基盤地図情報 公共交通ネットワークデータ( 関東地方整備局のバス IC カードデータなど ) 2 出力データ 100m メッシュで評価結果をマップ化 一定時間内に医療施設等にアクセス可能な人口 人口割合をグラフ化 - 84 -

(4) ケーススタディの結果 1 公共交通ネットワークデータの作成 ( データの入力 ) 国土数値情報の公共施設データから医療施設 ( 総合病院 各種病院 診療所等 ) 小学校等のデータを入手するとともに 鉄道データから駅のデータ バスのデータからバス停留所 バス路線のデータを入力した さらに 交通事業者が保有する鉄道及びバスの運行計画を元に バス停留所やバス路線について確認するとともに 路線データを用いて駅 バス停間の所要時間 運行本数 ( 日中の1 時間当たり運行本数 ) を入力した 図 4-3-1 鉄道駅 バス停のデータ入力 2 総合病院までの所要時間 ( 総合病院までの所要時間の計算 ) 総合病院までの公共交通によるアクセスの利便性を評価するため 各 100m メッシュから最寄の総合病院までの最短の所要時間を計算し 100m メッシュでマップ化した 最短の所要時間の計算に当たっては メッシュの中心から総合病院までの最短経路に沿って 徒歩時間 公共交通を利用する場合には公共交通の待ち時間の期待値及び公共交通の所要時間を計算し それらを合算した - 85 -

図 4-3-2 総合病院までの公共交通による所要時間の計算例 (100m メッシュ ) ( 注 ) 本課題とは別の研究課題 ( アクセシビリティ指標の開発 ) の成果を土地適性評価プログラムで表示 さらに 各メッシュ人口をもとに 一定時間内に総合病院に公共交通でアクセス可能な人口のほか 当該市の総人口に対する割合について算出し グラフ化した 図 4-3-3 一定時間内に総合病院にアクセス可能な人口割合の計算例 ( 注 ) 本課題とは別の研究課題 ( アクセシビリティ指標の開発 ) の成果を土地適性評価プログラムで表示 - 86 -

(5) 考察 国土数値情報や基盤地図情報等の既存の各種地理空間データのほか 鉄道及びバスの運行頻度等のデータを土地適性評価プログラムに入力することにより 総合病院までの所要時間の分布が地図上に明らかにすることができるとともに 一定時間内に総合病院に到達できる人口 人口割合を明らかにすることができた 医療など公共的サービスへのアクセシビリティの状況を地図上に示すとともに 人口密度の分布を重ね合せることにより 人口密度が一定以上あるにも関わらず公共交通サービス水準が低いエリアを抽出することが可能となり 高い施策効果が見込まれる地区を効果的 効率的に顕在化させることが可能になったと考えられる また この評価手法を用いることにより 公共交通サービスの観点から 同程度の人口規模の複数の都市における都市の集約化 ( コンパクトシティ ) の状況について 比較評価することが可能になったと考えられる - 87 -