参考 2 麦をめぐる情勢 平成 18 年 3 月 農林水産省
目 次 1 麦の基礎知識 (1) わが国で栽培されている麦の種類 P1 (2) 小麦 大麦の主な用途 P2 (3) 麦の粉食文化 ( 伝統食 ) P5 (4) 麦の生育 ( 小麦の場合 ) P6 (5) 世界の小麦生産量と貿易量 P7 (6) わが国における麦の流通 ( 小麦 ) P8 2 麦をめぐる事情 (1) 麦の需要動向 P9 (2) 麦の生産動向 P11 (3) 麦の生産対策 P15 (4) 新品種の開発 P16 (5) 民間流通の仕組み P17 (6) 麦の管理方式 P18 (7) 国内製粉企業の状況 P19 3 品目横断的経営安定対策の導入に伴う主要食糧法の改正概要 P20
1 小麦の基礎知識 (1) わが国で栽培されている麦の種類 小麦 六条大麦 上から穂をみると 稔実 ( 実がなります ) 小麦は 3 つの実 (3 小花 ) が交互になります ニ条大麦 六条大麦は 6 列 ( 条 ) のすべてに実がなります はだか麦 上から穂をみると 二条大麦は 6 列 ( 条 ) のうちの 2 列 ( 条 ) に実がなります 稔実 ( 実がなります ) 不稔 ( 実がなりません ) はだか麦は 六条大麦と外見はほぼ一緒です はだか麦 と呼ばれるのは簡単に穎 ( えい )( 穀粒を包んでいる皮 ) がとれるためです 1
小麦粉の種類はたんぱく質の量によって薄力粉 ( 菓子用 ) 中力粉( うどん用 ) 準強力粉 ( 中華めん ) 強力粉( パン用 ) に分類 カステラケ-キ和菓子天ぷら粉 うどん即席めんビスケット和菓子 中華めんギョウザの皮 食パン スパゲッティマカロニ 主な用途 ビスケット (2) 小麦 大麦の主な用途 名称薄力粉中力粉準強力粉強力粉デュラム セモリナ たんぱく質の含有 6.5~9.0% 7.5~10.5% 10.5~12.5% 11.5~13.0% 11.0~14.0% 量 原料小麦の種類アメリカ産ウェスタン ホワイト (WW) 国内産豪州産プライムハ-ド豪州産スタンダ-ド (PH) ホワイト (ASW) アメリカ産ハ-ド レッド ウィンタ-(HRW) カナダ産ウェスタン レッド カナダ産デュラム (DRM) スプリング (1CW) アメリカ産ダーク ノ-ザン スプリング (DNS)
小麦粉の特性 小麦粉は たんぱく質 ( グルテン ) の多さで性質が変化 ( グルテニンとグリアジンが結合してグルテンを形成 ) グリアジン : 弾力は弱いが粘着力が強くて伸びやすい + グルテニン : 弾力に富むが伸びにくい = グルテン 加える水の量 副材料や添加物の種類 量 こね方によって粘弾力のバランスが変化 3
大麦の主な用途 二条大麦は ビ - ルや焼酎の原料 六条大麦は押し麦 ( 麦飯 ) や麦茶の原料 はだか麦は主に麦みその原料になります 大麦の種類主な用途 二条大麦六条大麦裸麦 ビ-ル焼酎 押し麦 ( 麦飯 ) 麦茶 みそ 徳川家康も麦ごはん? 徳川家康は麦ごはんを主食としていましたが ある日 家来が気をきかせて 白いごはんの上にほんの少しの麦ごはんをのせたものを食事に出したところ 考えもなしに 麦を食べているのでない と言って 家来をしかりつけたという逸話もあります 1 人 1 年当たり大 はだか麦消費量の推移昭和 35 年 8.1kg 平成 16 年 0.3kg 原麦供給先 国内産豪州産 国内産カナダ産 国内産 大麦の特色庶民の健康食として古くから愛されています 食物繊維は白米の19 倍 ビタミンB 1 も豊富 糖尿病や肥満予防にも役立ちます 4
(3) 麦の粉食文化 ( 伝統食 ) わが国には 米食文化と同様に 麦の粉食文化があり 全国に麦を原材料とする伝統食が数多くあります 主な麦の粉食文化 ( 伝統食 ) 生麩 ( 京都府 ) 稲庭うどんの歴史 小麦粉を水にさらしてもんでいくと でんぷんが流されて まるでガムのような弾力のある物質が残ります これが グルテン です このグルテンに餅粉を混ぜたり 蒸したり茹でたりしてつくる 生麩 は 京料理には欠かせない伝統的な食材です おやき ( 長野県 ) 稲庭うどん ( 秋田県 ) 秋田では うどんに向いている小麦がとれました 江戸時代に 稲庭吉衛門が干しうどん製造所をおこし 1725 年に秋田藩の御用達となり 秋田の特産品として広く認められるようになりました だご汁 ( 大分県 ) 水沢うどん ( 群馬県 ) 讃岐うどん ( 香川県 ) きしめん ( 愛知県 ) ほうとう ( 山梨県 ) 5
(4) 麦の生育 ( 小麦の場合 ) 11 月上中旬播種 ~12 月発芽 12 月中旬 ~2 月下旬麦踏み 日本独特の農作業です 麦踏みにより 霜柱ができたときでも土が持ち上がらず麦の根を傷めません また 踏むことにより茎がたくさん分かれ 根も強くなり麦の生育を助けます 3~4 月茎立ち 4 月下旬 ~5 月開花 生育月旬は関東地方の事例 6 月初旬 ~ 中旬収穫 ( 麦秋の風景 ) 6
(5) 世界の小麦生産と貿易量 世界の小麦生産量は 627 百万トン 貿易量は113 百万トン わが国は 米 加 豪の3カ国から約 5 百万トンを輸入 ( 貿易量の約 5%) 136.8 45.4 25.9 15.1 14.4 ロシア 8.0 92.0 カナダ CW 1CW Durum EU-25 72.1 1.6 中国 1.2 WW HRW DNS 58.7 28.5 凡例 インド 22.6 15.8 アメリカ 生産量 輸出量 オーストラリア ASW PH 16.0 13.5 単位 :100 万トン アルゼンチン 出典 ::USDA Grain : World Markets and Trade 2006 年 2 月 7
(6) わが国における麦流通のイメージ 小麦の流通 国内産 生産量 外国産 総輸入量 約 86 万トン 麦作農家数約 10 万戸 生産者 実需者 普及組織 市町村等が参加し 品質向上 生産コスト低減等の目標設定とその取組を推進 約 500 万トン アメリカ カナダ 約 280 万トン 約 110 万トン オーストラリア約 110 万トン 政府買入れ 約 13 トン 17 年産から 政府買入は ゼロ 国家貿易 により国が 一元輸入 入札取引約 3 割相対取引約 7 割 民間流通連絡協議会 生産者団体と実需者が共催で情報 交換 民間流通取引の仕組みを決定 民間流通約 80 万トン 国 国内産で不足するもの及 び品質的に国内産麦が使 用できないものを輸入 コストプール方式の下 外 国産麦からの輸入差益を国 内産麦の助成に充当 備蓄 月分 : 民間 0.3 か月分 ) 小麦粉調製品 輸入麦製品約 41 万トン (15FY) (17 年 : 需要量の 2.3 ヶ月分 ( 国 2.0 ヶ月分民間 0.3 カ月分 ) 販売需要量の 2.6 か月分 ( 国 2.3 か 製粉企業 (104 社 うち中小 100 社 ) 需要量 約 560 万トン しょうゆ 需要量 企業等 製パン企業 製めん企業 スーパ産業等産地協議会 消費ー 外食約 20 万トン 注 : 数量については 玄麦換算の年間ベース 者8
2 麦をめぐる事情 (1) 麦の需要動向 小麦及び大麦 裸麦は パンやめん 菓子用など幅広い用途で消費され 国民に供給されるカロリーの約 8 分の 1 を占めており 近年の需要量は横ばい 小麦の需要の状況 ( 平成 16 年度 ) 小麦の需要 国内産小麦の需要 大麦 はだか麦の需要の状況 ( 平成 16 年度 ) 大麦 はだか麦の需要 国内産大麦 はだか麦の需要 小麦全体 627 万トン 日本めんを中心に 食用( 製粉用 ) 529 万トン 86 万トン 大麦 はだか麦全体 234 万トン 主食用 加工用を中心に パン用 (159 万トン ) ( 1 万トン ) ( 約 0.1 割 ) 20 万トン 日本めん用 ( 68 万トン ) (42 万トン )( 約 6 割 ) 主食用( 押麦等 ) 8 万トン 8 万トン ( 約 10 割 ) その他めん用 (128 万トン ) ( 4 万トン ) ( 約 0.3 割 ) ( 中華めん等 ) 菓子用 (78 万トン ) (16 万トン ) ( 約 2 割 ) 家庭用等 (96 万トン ) ( 6 万トン ) ( 約 1 割 ) みそ 醤油 工業用 36 万トン (17 万トン ) ( 約 2 割 ) 飼料用等 62 万トン 加工用 106 万トン 10 万トン みそ用 (3 万トン ) (2 万トン ) ( 約 8 割 ) ビール用 ( 74 万トン ) ( 4 万トン ) ( 約 0.6 割 ) 焼酎用 ( 24 万トン ) ( 2 万トン ) ( 約 0.8 割 ) 麦茶用 (5 万トン ) (2 万トン ) ( 約 5 割 ) 飼料用等 119 万トン 1 万トン 国民 1 人 1 日当たり供給熱量 小麦 大麦 はだか麦 326 3 単位 :kcal % 12.7 0.1 家計消費では? 家計調査 ( 平成 16 年 ) によると 米は 1ヵ月 2,437 円 麦は 1ヵ月 3,036 円 内訳 パン 1,925 円 めん類 1,111 円 資料 : 農林水産省 平成 16 年度食料需給表 9
昭和 30 年代後半は 米が 37 年をピ - クとして減少に転じた一方で 小麦は増加傾向で推移 昭和 40 年度以降は 小麦はほぼ横ばいで推移 米は一貫して減少傾向 畜産物油脂類が増加 米及び小麦の消費量の推移 1200 米及び小麦の一人一年当たり供給熱量 ( 昭和 35 年度 ~ 現在 ) (kcal) (kcal) 3,000 国民一人一年当たり供給熱量の構成 ( 昭和 40 年度 ~ 現在 ) 1000 2,500 その他 800 米 2,000 魚介類 砂糖類 いも類 でん粉 600 小麦 1,500 小麦 油脂類 400 1,000 200 畜産物 500 0 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 米 0 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 10
(2) 麦の生産動向 昭和 30 年頃までは 二毛作や麦飯も一般的であり 小麦は 178 万トン 大麦 はだか麦は 258 万トンも生産 その後 海外からの高品質 安価な麦に代替されて 15~20 万トンまで減少したが 生産調整を境に増加し 現在小麦は 88 万トン 大麦 はだか麦は 18 万トンとなっている 麦の生産量 300 ( 万 t) 29 年大麦 258 万 t 日本に麦が入ってきたのはいつ? 250 200 150 100 36 年小麦 178 万 t 小麦 大麦 はだか麦 17 年小麦 88 万 t 大麦 18 万 t 小麦 大麦とも歴史は古く 弥生時代の後期には朝鮮半島を経て伝わったものと考えられています 北海道 50 0 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60 63 3 6 9 12 15 17 ( 年産 ) 麦の作付面積の推移 ( 千 ha) 1,200 福岡 熊本 佐賀 富山 石川 福井 1,000 小麦 大麦 はだか麦 群馬 栃木 埼玉 茨城 800 600 愛知 滋賀 三重 400 200 香川 愛媛 0 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60 63 3 6 9 12 15 ( 年産 ) 11
麦 (4 麦 ) の主産地における作付体系 北海道 11.5 万 ha 1 畑作 8.3 万 ha ( 麦 -てん菜- 豆類 - ばれいしょ ) 転作 ( 麦 ) 3.2 万 ha 佐賀 福岡 2.1 万 ha 2 水田裏作 2.0 万 ha ( 麦 - 稲 ) 2.0 万 ha 3 水田裏作 1.7 万 ha ( 麦 - 稲 ) 滋賀 0.8 万 ha 8 転作 0.7 万 ha ( 稲 - 麦 - 大豆 ) 群馬 1.0 万 ha 6 水田裏作 0.7 万 ha ( 麦 - 稲 ) 栃木 1.6 万 ha 4 水田裏作 0.7 万 ha ( 麦 - 稲 ) 転作 0.8 万 ha ( 稲 - 麦 - 大豆 ) 茨城 1.2 万 ha 5 熊本 0.7 万 ha 9 水田裏作 0.5 万 ha ( 麦 - 稲 ) 愛知 0.6 万 ha 10 転作 0.6 万 ha ( 稲 - 麦 - 大豆 ) 転作 0.8 万 ha ( 稲 - 麦 - 大豆 ) 埼玉 0.8 万 ha 7 水田裏作 0.3 万 ha ( 麦 - 稲 ) 12
麦作 稲作の営農上の補完関係 ( 大規模二毛作 ( 北関東 ) 経営を想定 ) 麦作主な作業耕耘 排水播種鎮圧追肥防除収穫 脱穀乾燥 調製機械 施設の内容 トラクター 耕耘機等( ロータリー サブソイラー等) トラクター 施肥播種同時作業機械(ドリルシーダー) トラクター 鎮圧機(鎮圧ローラー) トラクター 施肥機(ブロードキャスター) 無人ヘリコプター又は乗用管理機等 自脱型コンバイン又は汎用型コンバイン カントリーエレベーター又はライスセンター 育苗施設育苗 トラクター 耕耘機等(ロータリー等)耕起機械 施設の内容乾燥 調製収穫 脱穀防除追肥主な作業 田植田植機 自脱型コンバイン又は汎用型コンバイン 無人ヘリコプター又は乗用管理機等 乗用管理機 カントリーエレベーター又はライスセンター稲作トラクター + ドリルシーダー汎用コンバインカントリーエレベーター乗用管理機 10 月中旬 ~ 下旬 7 月 ~8 月 10 月中旬 ~ 6 月中 ~ 下旬 4~5 月 10 月下旬 ~ 11 月上旬 12 月 ~ 2 月 7 月下旬 ~ 8 月上旬 6 月上旬 ~ 中旬 2 月下旬頃 11 月上旬 ~ 中旬作業時期 13
品質のばらつきがあり 生産性の向上は遅れていることから 実需者ニーズに応えられない状況 都府県の水田転作地帯では これまで作付けほ場の団地化や大型機械の共同利用が進められてきたが 今後はさらに一歩進め 集落営農づくりや法人化が課題 小麦 ( 日本めん用 ) のたんぱく質のバラツキ状況 (%) 80 60 40 20 0 基準値 ASW 北海道 茨城県 8.5% 未満 8.5~9.5 9.5~10.5 10.5~11.5 11.5~12.5 12.5% 以上 都府県の水田転作地帯における組織化 法人化のイメージ 農地の集団的な利用 麦 大豆の収量や生産性を上げるには集落皆でブロック ローテーションでいこう これまでの取組 ASW が均質性に優れているのは? 日本向け ASW は 製めん適性の高い日本めん用小麦 (4 品種 :60%) と製粉適性が高い小麦 (3 品種 :40%) を混麦することにより 安定的な品質を維持 営農の組織化 機械 施設の共同利用 農作業の共同化 担い手に基幹作業委託 経理の一元化等 農家の高齢化も進んでいるので 担い手に任せ 経理も集団で一元化しよう 今後の取組 千円 /60kg 16.0 14.0 12.0 小麦の全算入生産費の推移 10.0 都府県 ( 田作 ) 8.4 8.0 全国平均 6.6 6.0 北海道 ( 畑作 ) ~ 4.0 0 9 10 11 12 13 14 15 16 10.5 ( 注 ) 旧基本計画においては 3 割程度の低減を目標としていたが 全国平均で 1 割程度低減したところ 新たな基本計画では 3 割程度低減を目標としている 特定農業団体法人化 農事組合法人 有限会社等 農事組合法人 組合 高性能な大型機械を共同で使い 生産コストを下げよう 14
(3) 麦の生産対策 国産麦の需要を将来にわたり安定的に確保していくためには 実需者の望む品質 生産性の向上に軸足を置いた施策展開が重要 このため 新基本計画では 小麦を現行の供給水準である 86 万トンに 大麦 はだか麦を 35 万トンに目標設定し 実需者の求める品質の向上と約 3 割のコスト低減に取り組む 新基本計画における麦の生産努力目標等 ( 単位 : 万トン ) 平成 15 年度 平成 27 年度 小麦 86 86 大麦 はだか麦 20 35 農業者その他の関係者が積極的に取り組むべき課題 実需者のニーズに応じた麦種 用途毎の計画的な生産を展開 実需者ニーズの農業者への的確な伝達 産地単位での品質管理の強化 加工適性の高い品種の育成 普及の加速化等により 品質を向上 担い手の生産規模の拡大 収穫期における雨害の軽減等により 生産コストを 3 割程度低減 ( 例 :S 県における小麦栽培 ) 従来の栽培方法 元肥 (11 月上旬 ) 5kg 追肥 (12 月中旬 ~ 3 月上旬 ) 4kg 追肥 (4 月下旬 ) 1~3kg 新たな栽培方法 元肥 (11 月上旬 ) 5kg 追肥 (12 月中旬 ~ 3 月上旬 ) 4kg 追肥 (4 月下旬 ) χ kg この時期の追肥量が決め手 ほ場ごとに葉色を計り 肥料の量を判断 たんぱく質含有量 7~14%( バラツキ ) たんぱく質含有量 10~11%( 最適 ) 実需者が求める品質の向上 15
(4) 新品種の開発 麦類の新品種については 実需者ニーズを踏まえ 日本めん用に適した色相の品種を中心に開発されている 需要が高まっているパン用等の品種開発を一層推進する必要 近年育成された麦類の新品種 麦類の新品種数 日本めん用 : 東北 ネバリゴシ 北陸 六条大麦 : ファイバースノー きぬあずま パン用 : ゆきちから ハルイブキ 六条大麦 : ファイバースノー シンジュボシ 九州 日本めん用 : イワイノダイチ パン用 : ニシノカオリ ミナミノカオリ 二条大麦 : しゅんれい 日本めん用 : 北海道 きたもえ パン用 : はるひので キタノカオリ春よ恋 関東 日本めん用 : イワイノダイチ きぬの波あやひかり キヌヒメ ユメセイキ フウセツ 春のかがやき パン 醤油 中華麺用 : タマイズミ ダブル 8 号ユメアサヒ 六条大麦 : ファイバースノー さやかぜセツゲンモチ 二条大麦 : スカイゴールデン 東海 近畿 中国 四国 日本めん用 : イワイノダイチ ふくさやかあやひかり キヌヒメ さぬきの夢 2000 パン 醤油 中華麺用 : タマイズミ ニシノカオリミナミノカオリ はだか麦 : マンネンボシ 麦種用途等品種数 日本めん用小麦品種小麦日本めん用 13(1) 品種名育成年産地イワイノダイチ平成 11 年愛知パン用等 9(2) イワイノダイチ平成 11 年福岡小計 22 きたもえ平成 12 年北海道大麦六条大麦 4 ネバリゴシ平成 12 年青森二条大麦 2 きぬの波平成 13 年群馬はだか麦 1 ふくさやか平成 14 年滋賀小計 7 総計 29 ( 注 ) ( ) 内は 県または民間育成品種 農林 10 号は緑の革命の立役者? 背丈が低く 多肥にも強くて倒伏せず 収量が高い 農林 10 号 は 戦後アメリカ メキシコに渡り これを基に新しい小麦品種が作られました これらの品種はインド パキスタンで幅広く栽培されるようになり 小麦生産量の増加に大きく貢献 緑の革命 と賞賛されました このプロジェクトの成功によってメキシコの研究所のボ - ロ - グ博士はノ - ベル賞を受賞しました 16
(5) 民間流通の仕組み 麦については 17 年産において 全量が民間流通へ移行 民間流通については 実需者が加工原料たる麦を計画的 安定的に確保できるとともに 生産者が安心して作付けができるよう 播種前契約することが基本 販売予定数量と購入希望数量の差 ( ミスマッチ ) については 最近では縮小傾向であり 国内産麦を 100% 使用した商品も増えている 国内産小麦 100% 使用をセールスポイントとしている事例 1 大手製パン X 社は 全国流通をねらった国産初の内麦 100% 使用の食パンを販売 国産小麦食パン 2 大手製粉 Y 社は 消費者の安全 健康志向の高まりを受け 農家の縁側でおばあちゃんが打つおもてなしのうどん を提供すべく 国内産小麦 100% のめん用粉 麺ノ鄙歌 を開発し 商品化 民間流通麦 ( 小麦 ) の入札価格 ( 加重平均 ) ( 円 /60kg) 2,450 2,392 2,400 2,350 2,300 2,250 2,200 2,150 2,100 2,050 2,187 2,232 平成 12 年産 13 14 15 16 17 18 入札価格 麦のかほり 販売予定数量及び購入希望数量の推移 ( 小麦 ) ( 単位 : 千トン ) 3 栃木県にある Z 社は 栃木県産小麦 100% の小麦粉 麦のかほり を開発し 栃木県が認証する E マークを貼付して 県内の 麦わらぼうしの会 に所属するスーパー等で販売 平成 12 年産 平成 13 年産 平成 14 年産 平成 15 年産 平成 16 年産 平成 17 年産 平成 18 年産 販売予定数量 646 709 725 738 762 786 805 購入希望数量 601 689 648 665 733 782 789 ミスマッチ数量 45 20 77 72 30 4 16 ミスマッチ率 7.0% 2.9% 10.6% 9.8% 3.9% 0.5% 2.0% 17
(6) 麦の管理方式 麦の管理方式については 外国産麦から得た輸入差益を国内産麦の生産振興の財源に充てるコストプール方式が基本 近年 国内産麦の生産増により 麦作経営安定資金が急増してきたことから 麦会計は大幅な赤字が継続 麦会計の収支の健全化を考慮しながら 麦の効率的な管理方式の仕組みを検討する必要 コストプール方式の概要 ( 小麦 ) 政府売渡価格の推移 ( 米国産ウエスタン ホワイト ) 7,833 単位 : 円 /100kg 3,000 2,000 昭和 60 年 62 平成元年 3 5 7 9 10 12 14 16 18 ( 注 ) 平成 9 年は消費税率の変更に伴い 1.9% の上昇となっている 麦会計収支の状況 (4 麦 ) A B 内外麦収 支 ( 億円 ) 内麦生産量内麦振興費外麦輸入量外麦差益 ( 千トン ) ( 億円 ) 1 ( 千トン ) 2-1 ( 億円 ) 2 平成 7 年 662 651 4,716 842 191 12 年 903 911 4,938 778 133 13 年 906 921 5,075 629 292 14 年 1,047 1,067 4,638 524 543 15 年 1,054 1,060 5,301 755 305 16 年 1,059 1,055 5,288 753 302 9,000 8,000 7,000 6,000 5,000 4,000 ( 注 )16 年の数値は 実績見込みである 4,497 18
(7) 国内製粉企業の状況 製粉企業は 全国で 104 社 ( 大手 4 社 中小 100 社 ) 依然 稼働率が低く 特に中小製粉において顕著 中小 大手別小麦粉生産の動向 (A) 中小製粉企業 (100 社 ) 大手製粉企業 (4 社 ) 工場数1工場当たり生産量1人当たり生産量従業員数(人)生産量稼働率工場(%数)従業員数(人)生産 ( 単位 : 千トン ) 量1154 2,998 1,658 0.55 11 50 34 2,215 3,133 1.4 92 75 1工場当たり人当たり生稼働率(%)5 年度 生産量産量 製粉工場の生産量等に関する国際比較 15 年度 (B) 111 2,118 1,489 0.70 13 25 1,171 3,502 3.0 140 小麦粉製造業分野への海外進出状況 B/A 72.1 70.1 89.8 127.8 124.2 98.0 73.5 52.9 111.8 214.3 153.2 119.5 資料 : 製粉工場実態調査 ( 農林水産省調べ ) 素材製造業の稼働率 製粉業界 (15FY) 精製糖業界 (15SY) 製油業界 (15CY) 飼料業界 (15FY) 72%(48%) 80 % 73 % 116% ( 注 )1. 稼働率とは 製造数量を製造能力で除した割合である 2. 製粉業界の ( ) 内の数値は 中小製粉の稼働率である 3.FY は会計年度 CY は暦年 SY は砂糖年度 (14 年 10 月 ~15 年 9 月 ) である 19
民間流通の確保麦作経営 適正かつ円滑な製粉企業等の体質強化年間を通じた固定価格 主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律の一部を改正する法律案の概要 趣旨 内容 内産麦外国反映する売渡方式国産[ 現行 ] [ 改正後 ] 麦安定資金 ( 予算措置 ) 政府無制限買入れ による売渡方式 ( 標準売渡価格 ) 新たな経営安定対策 需給見通しの策定 輸入価格の変動を SBS 方式 ( 民間主体 ) 国家貿易 国家貿易 20
参考資料
消焼酎費みそ 17 年産から 国内産 麦作農家数約 4 万戸 総生産量 約 15 万トン 民間流通連絡協議会 精麦企業 押麦製品(需要量約 4 万トン ( 国内産 10 割 ) 二条大麦 ( 主に焼酎 みそ用 ) 約 8 万トン 六条大麦 ( 主に押麦 麦茶用 ) 約 5 万トン はだか麦 ( 主にみそ 押麦用 ) 約 2 万トン 産地協議会 外国産総輸入量約 27 万トン ( 飼料用含めると約 141 万トン ) 国家貿易により国が一元輸入 入札取引約 3 割相対取引約 7 割民間流通約 11 万トン 政府買入れ約 73トン 政府買入はゼロ 二条大麦約 6 万トン 六条大麦約 4 万トン はだか麦約 1 万トン 国 国内産で不足するもの及び品質的に国内産麦が使用できないものを輸入 (63 社 うち全て中小 ) 需要量約 32 万トンメーカー 需要量約 5 万トン ( 外国産約 5 割 ) 需要量約24 万トン外国産麦約9割者大麦 はだか麦の流通 )麦茶製品(国需要みそメ焼酎メーカー量約4万トン麦茶 ーカー内産約8割)オーストラリア約 25 万トン ( 飼料については その需 カナダ 約 2 万トン 給と価格の安定を図るため の輸入 ) 注 : ビール等自由流通麦 ( 約 5 万トン ) を除く 数量については 玄麦換算の年間ベース 飼料工場等需要約 120 万トン 畜産農家 21
消費ビール用大麦 ( 契約栽培 ) の流通 国内産 契約栽培約 4.9 万トン ビール麦契約農家数約 2 万戸 ビール用途としては二条大麦 ビール大麦契約栽培基本条件 契約は3 年毎に締結 価格は農林水産省告示価格 ( 政府買入価格 ) による ビール会社 ビール大麦需要量 ( 発泡酒用含む ) 約 7.7 万トン ( 国内産大麦約 4.9 万トン 外国産 総輸入量 ( ビール用として ) 約 2.8 万トン ( 契約ベース ) オーストラリア約 22 千トン 国家貿易により国が一元輸入 国内産ビール大麦の供給不足に対応するため 外国産ビール大麦を輸入 外国産大麦約 2.8 万トン ) 国産大麦国産麦芽等 4.9 万トン約 7.7 万トン者国 外国産大麦 2.8 万トン アメリカ 約 3 千トン 輸入麦芽 カナダ 約 3 千トン ビール原料 約 65 万トン 麦芽等 外国産麦芽 総輸入量約 65 万トン 注 : 数量については 玄麦換算の年間ベース ビール原料の 9 割は輸入麦芽 約 73 万トン注 : 発泡酒用玄麦原料も含む 22
民間流通麦の生産者手取り 民間流通麦については 入札価格のほか 麦作経営安定資金 品質向上支援対策 ( 関連対策 ) 契約生産奨励金及び品質取引によるプレミアム さらに流通コスト助成が支払われている 民間流通麦 (18 年産 ) の生産者手取り (60kg) 9,682~9,802 円 品質向上支援対策 270 円相当 初年度 (12 年産 ) における 麦作経営安定資金 と海外の生産コストの格差 ( 60kg) (8,893 円 ) 生産者手取り =11 年産政府買入価格 麦作経営安定資金 (12 年産 :6,463 円 ) 次年度以降 生産費等の変動率により改定 助成金 麦作経営安定資金 6,610 円 入札の基準となる価格 = 10 年 12 月に決定された政府売渡価格 (2,430 円 ) 次年度以降 入札価格 政府売渡価格 (2,700 円程度 ) マークアップ等 (1,300 円程度 ) 買付価格 (1,400 円程度 ) 生産コスト (1,000 円程度 ) 入札価格 2,232 円 品質取引によるプレミアム ( ディスカウント ) 30 円 ~90 円 契約生産奨励金 600 円 18 年産民間流通麦 (A ランク 1 等 ) ( 注 )1. 入札価格については 18 年産小麦の全銘柄加重平均落札価格 2. このほかに流通コスト助成が支払われている ( 注 ) 麦作経営安定資金については 民間流通への円滑な移行を図る観点から 従来の政府買入価格と市場価格との格差分に対する助成として導入 麦作経営安定資金は これまでも麦の担い手である主産地 ( 北海道 群馬 栃木 埼玉 福岡 佐賀 熊本 ) の平均作付規模以上層の農家における生産費の変動等を反映させています 外国産小麦 ( 米国産ウエスタン ホワイト ) 23
品質評価基準の導入 麦作経営安定資金は 17 年産から 需要に応じた良品質麦生産を推進するため 従来の銘柄による区分に替え 品質で評価する品質区分を導入 品質区分の評価基準については 19 年産生産に間に合うよう生産者団体 実需者等による検討会を早急に立ち上げ 実需者ニーズに応じられるよう見直しを開始 18 年産 小麦 ) 新ランク区分方式の概要 ( 注 )1.1 2 等の格差 :1,160 円 /60kg 2. 品質格差 :A-B 500 円 /60 kg B-C 150 円 /60 kg C-D 58 円 /60 kg (1) 品質評価項目 基準値 ( 日本めん用小麦 ) 1 たんぱく 9.5~11.5% 2 容積重 833g/ l 以上 3 灰分 1.60% 以下 4 フォーリンク ナンハ ー 300 以上 (2) ランク区分 ((1) の基準値の達成数等により決定 ) 3つ以上達成 :Aランク 2つ達成 :Bランク 1つ達成 :Cランク 全て未達成 :Dランク (3) 区分導入当初のシェア (A:B:C=3:4:3) を目標に 今後良品質 麦生産に向けてメリハリをつける 品質評価の見直しに関する現行の基準値と実需者が望んでいる基準値の比較 ( 日本めん用小麦 ) 現行基準値 実需者が望んでいる基準値 たんぱく質 9.5~11.5% 10.0~11.0% 容積重 833g/l 以上 840g/l 以上 灰分 1.6% 以下 1.5% 以下 フォーリングナンバー 300 以上 300 以上 ( 注 )1. 新区分における基準値について ( 日本めん用小麦 ) ( 新区分方式検討会報告 ) による なお 日本めん用小麦の新しい区分について ( 最終とりまとめ ) ( 新区分方式検討会報告 ) において 3 年後の基準値については 2 年間の区分の運用状況 区分別シェア等を勘案し 実需者の要望により応えるとともに シェアの適正化が図られるよう 委員会で定める となっている 2. 新区分方式検討会 : 契約生産奨励金について 品質結果に基づくランク区分の導入を検討するため 生産者団体 実需者 学識経験者等を委員として 平成 15 年 4 月 ~8 月にかけて計 4 回開催 24
麦産地改革の推進 実需者ニーズに即した生産 出荷を促進する観点から 各産地が策定する産地改革計画に基づき 産地自らが実施する良品質麦生産に向けた取組みを支援 産地自らが策定する 3 ヵ年 (17~19 年度 ) の産地改革計画に基づき たんぱく質等の成分検査や需要の高い品種 麦種への作付転換等 良品質麦生産のための取組み 担い手づくり 地産地消対策等 各産地の創意工夫による取組みについて助成 また この他に 高品質麦に対する生産奨励支援も実施 麦種 品種別の中期的な生産方針づくり 品質 生産性向上対策 広域 地域流通体制 ロット集約化の推進 産地における麦の担い手の明確化 法人化に向けた取組み ( 総額 34 億円 計画期間分を一括交付 ) 安全性確保の取組支援 ( 残留農薬検査等 ) 地産地消の推進 ( 販売展示会の開催 加工品研究開発等 ) 25