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海外原子力ニュース 2009 年 7 月 米国... 1 米産業界と推進派の米議員 処分場計画で DOE 長官に書簡...1 三菱重工 米ルミナントと US-APWR2 基の供給交渉を開始...1 ターキーポイント原子力発電所 6 7 号機が AP1000 で COL 申請...2 エクセロン社が原発新設で計画変更 サイト認可を先に取得へ...2 エクセロン社が NRG 社の買収提案を撤回...3 兵器級 Pu を使った MOX 燃料 米 TVA の軽水炉で照射へ...4 B&W 社 ディアブロキャニオン原発の圧力容器上蓋を製造...4 WH とショー V C サマー原発のメンテ受注...5 WH が米制御メーカー買収 NRC 認証の計装技術に注目...5 GE 日立のウラン濃縮子会社 サイレックス法技術で実証試験ループ起動...5 米国 ロシア... 6 米ロ首脳が原子力協力で共同声明 原子力協力協定発効へ努力...6 ロシア 米電力に濃縮ウランを直接供給...7 米国 フランス... 7 アレバ社とノースロップ グラマン社 米で EPR 機器工場に着工...7 ベクテル アレバ連合 ユニスター社と EPC 契約の条件規定書に調印...7 カナダ... 8 加 AECL NRU 炉の運転再開は年末頃...8 加ノルディオン社 RI 供給問題でメープル炉計画の復活を AECL に要請...8 MAPLE 炉の復活は困難と AECL が見解...9 カナダ BP 社 オンタリオ州の 2 地点で新規計画の申請取り下げ...9 カナダ 中国... 10 カナダと中国 トリウム燃料利用で協力協定... 10 英国... 10 英政府 核不拡散強化で新戦略... 10 英政府 ロールス ロイス社軸に機器製造研究センターを設置へ...11 イタリア... 12 議会で原子力への復帰法案が可決... 12 ロシア... 13 ロシア ノボボロネジ II-2 計画が進展... 13 レニングラード Ⅱ2 号機建設が許可へ... 13 韓国 日本... 13 ソウルで日韓原子力協定交渉がスタート... 13 ベトナム... 14 ベトナム原子力建設評価委が原子力導入プレ FS を承認 国会提出へ... 14 インド... 14 インドがロシアの技術支援で原子力潜水艦完成... 14 インド 米国... 15 インドの原子力 2 サイトに米企業が原子炉輸出へ... 15 オーストラリア 米国... 15 豪ウラン業者 米ユタ州の鉱山で操業開始へ... 15 リビア カナダ... 16 民生用原子力分野で協力覚書... 16 国際... 16 IAEA 次期事務局長に天野氏を選出... 16 G8 が排出量半減の目標再確認 原子力発電の促進も... 16

米国 米産業界と推進派の米議員 処分場計画でDOE 長官に書簡米国の原子力エネルギー協会 (NEI) と全米公益事業協会 (NARUC) は7 月 9 日 米エネルギー省 (DOE) のS チュー長官がユッカマウンテン処分場計画を取りやめる判断を下したことに伴い 原子力発電事業者による放射性廃棄物基金 (NWF) への処分経費払い込みを停止させるよう同長官に書簡で要請した 米国の原子力発電事業者は 放射性廃棄物政策法 (NWPA) に基づき 消費者からの電気料金を通じて原子力発電量 1kWhあたり0.1セント 年間で7 億 7000 万ドルの拠出金をNWFに払い込んでいる しかし チュー長官が処分場計画を取りやめ 最小限の予算しか措置せず 特命の専門家委員会勧告に基づいて使用済み燃料の管理政策と代替計画を定めると判断した以上 もはやNWFへの支払いを継続する理由は無いとNEIらは断言 処分オプションを中止するのであれば 支払いの方も中止するのが妥当との見解を示した NEIのM フェーテル理事長によると 原子力事業者がこれまでに払い込んだ基金は30 0 億ドル以上にのぼり NWFの現在の残高は220 億ドル 年間の利子だけで10 億ドル以上が生み出されているにも拘らず 議会の指示により処分計画のために使われた金額はわずかだという NARUCも 経費を98 年から電気料金に上乗せしてNWFに払い込んでいることを 原子力発電所を擁する州の納税者達に説明するのは非常に難しい と強調 基金の最終的な使途について誰も明確な説明ができないまま 払い込みが続けられていると指摘した なお チュー長官に対してはこのほか 4 月末にJ マケイン上院議員を含む17 名の共和党員が連名で質問状を提出 就任後六週間で処分場計画の打ち切りを決めた理由 その法的根拠 深地層処分を科学的 技術的側面から適格とみなした全米科学アカデミーらの結論を疑わせる研究結果を発見したのか などについて 6 月 1 日までに回答するよう求めていた また 6 月中旬には超党派の議員 25 名 ( 共和党 17 名 民主党八名 ) がチュー長官に連名書簡を送り ユッカマウンテン計画と米原子力規制委員会 (NRC) による認可審査の継続を求めている 議員らは 使用済み燃料処分戦略の要である同計画が日程どおり進まなかった場合や 受け入れ容量が拡大されなかった場合などに予想される不都合について列記 50 以上の科学的調査に基づいて決定した同計画の代替案を特命の専門家委員会が見つけ出せるとは考え難く 他の候補地を選定するのにさらに20 年 150 億ドルの予算が必要だと訴えた さらに 同計画の科学 エンジニアリング的側面について議会とDOEに助言 勧告する立場にある放射性廃棄物技術審査委員会 (NWTRB) は7 日 チュー長官およびN ペロシ下院議長 R バード上院仮議長に宛てた書簡の中で 処分場計画の認可審査は科学技術的に意義深い と指摘し その継続を促した 同委のB ギャリック委員長は審査手続きを通じて技術的な課題をフルに評価することが可能になり ネバダ州も含めたすべての関係者がそれぞれの論点を特定し 主張していく一助になると強調している 三菱重工 米ルミナントとUS-APWR2 基の供給交渉を開始三菱重工業は7 月 7 日 米国の電力会社ルミナントがコマンチェピーク原子力発電所で採用する最新型加圧水型軽水炉 US-APWR 二基のプラント供給契約交渉を開始することで合意し 覚書 (MOU) に調印した 1

両社はこれを受け 契約内容の精緻化に向けた詰めの作業に入ることにしている また プロジェクトの資金貸付に向けて日本貿易保険 (NEXI) など日米の金融機関との協議も本格化させる このプロジェクトは テキサス州ダラス近郊のコマンチェピーク原子力発電所に新規プラント (3 4 号機 ) を増設するもので 採用されるUS-APWRに関する米国原子力規制委員会 (NRC) の各種審査が順調に進んでいることなどを受け 今回のMOU 調印となった 同社のUS-APWRは2007 年 3 月 ルミナントによる複数の原子力発電技術に対する評価の結果 選定された世界最大級の最新型 PWRで電気出力 170 万 kw 同社はこれまでにも数多くの原発機器を米国に輸出してきたが 2006 年 7 月 ワシントンDCにMNE Sを設立してUS-APWRの販売活動を本格化していた その後 ダラスやピッツバーグなど全米四か所に現地事務所を設置して 米国政府 電力業界への対応を強化 人員体制も2009 年度内には倍増させ 200 人以上に拡充する予定 US-APWRの設計認証 (DC) は 2008 年 2 月にNRCに受理され 現在審査中 また ルミナントも2008 年 9 月に コマンチェピーク3 4 号機の建設運転一括許可 (C OL) をNRCに申請 同 12 月に受理されている これにより 2011 年 12 月までにN RCは審査を完了 その後 最終的なCOL 認可が取得できる見込みとなっている 同社は1970 年以来 国内 23 基のPWRプラントの建設実績があり 現在 24 基目のP WRを建設中 また プラントの運転開始後も幅広くアフターサービスを提供している ターキーポイント原子力発電所 6 7 号機がAP1000でCOL 申請米原子力規制委員会 (NRC) は7 月 16 日 フロリダ パワー & ライト (FPL) 社がターキーポイント原子力発電所 6 7 号機の建設 運転一括認可 (COL) を申請したことを明らかにした 同申請はすでに6 月 30 日付けでFPL 社が提出済みだったが NRCは今月になり 同申請書のセキュリティー等に関する詳細を除いた一般公開用文書をウェブサイト上に公表したもの マイアミの南 25マイルに位置するターキーポイント サイトでは 現在 火力発電ユニット三基のほかに 原子力ユニットである3 4 号機 ( 各 PWR 76 万 kw) が稼働中 FP L 社の計画では 両機ともにウェスチングハウス社製のAP1000( 出力 110 万 kw) を採用する予定で 6 号機は2018 年 7 号機は20 年の運開を目標としている 両機の建設計画についてFPL 社は07 年 10 月 フロリダ州の公益事業委員会 (PSC) に対して 同計画が州民の利便性と必要性にかなっている証明の交付を申請 翌 08 年 4 月に同 PSCから最終承認を受けた FPL 社によると 両機を40 年間操業することにより約 930 億ドルの燃料費が節約され 地元経済が浴する恩恵は10 年間で60 億ドルに達するという また 建設期間中に創出される雇用は3600 人分 完成後も高給の技術系正規雇用が800 人分確保されると強調している さらに 40 年間に排出が抑制されるCO2の総量は2 億 6600 万トンに及ぶとともに フロリダ州のエネルギー自給率は大幅に改善されるとしている 一方 同計画の総コストは1 20 億 ~170 億ドルの範囲と見られている エクセロン社が原発新設で計画変更 サイト認可を先に取得へ米テキサス州ビクトリア郡で新規原子炉の建設計画を進めていたエクセロン ニュークリア 2

社は7 月 1 日 建設 運転一括認可 (COL) の審査を中断し 同建設予定サイトの早期立地認可 (ESP) を先に取得する方針を米原子力規制委員会 (NRC) に伝えた 建設戦略変更の理由として同社は 近年の国内経済の不透明感に加え 連邦政府による融資保証制度の利用枠が限定的であり 経済的な検討の必要性に迫られたからと説明 建設と原子炉技術の選定に関する決定を最高 20 年間先送りし それまでの間は 目に見える確実な活動であるサイト評価やその承認の取得に専念するとしている ただし 交通インフラの改善やサイトの基礎整備など 大規模な建設準備作業の実施は保留する 同社の副社長はまた 建設決定までのスケジュールを大幅に変更しただけだ と強調 ビクトリア市南部の同サイトは新たな原子炉の建設に適した地点だと改めて指摘する一方 現時点では経済面での現実的な問題のため しばらくの間 決定を保留せざるを得ない状況にあると説明した エクセロン社は昨年 9 月 ビクトリア郡にGE 日立製 第三世代プラスの原子炉設計である ESBWR( 高経済性 単純化 BWR) 二基の建設を想定したCOLをNRCに申請 しかし 同設計が米国の設計認証取得前で不確定要素が多いとして 今年 3 月には設計をABWRに変更する旨 NRCに連絡していた ESPの取得手続きでは NRCがサイトの安全性評価や環境影響 緊急時計画などを実施 サイトに特定した認可を発給することで 同サイトが評価エリアにおける基準を満たしていることを証明する 事業者が後に 建設工事に踏み切る判断を下した場合 ESPはCOL 申請の一部となり COLとして別途 NRCの審査と承認を受けることになる ESPの申請に際し エクセロン社は最初のCOL 申請の改定版を提出する考えは無く C OL 用に収集した研究データなどの多くをESP 申請に流用する計画 申請は今年の末 ~ 来年初頭になるとしている なお 同社はイリノイ州のクリントン原子力発電所サイトについて ( 現時点で新設計画がないためCOLは未申請だが )2007 年にすでにESPを取得済みである エクセロン社がNRG 社の買収提案を撤回米シカゴの大手電力会社であるエクセロン社は7 月 21 日 同社が昨年 10 月からニュージャージー州のNRG 社に働きかけていた買収提案を終結させると発表した 同日にNRG 社が開催した年次総会で NRG 社側の取締役候補者四名全員が圧倒的多数で再選されたのに加え 取締役会を拡大してエクセロン社の推す候補者五名を加える との提案も株主達から却下されたためだと同社では説明している 同社は昨年 10 月 19 日に NRG 社の発行済み普通株のすべてをエクセロン社株 0.48 5 株と交換するとの買収提案をNRG 社に提示した 買収総額は62 億ドルに相当したが N RG 社側では 当社を甚だしく過小評価している としてこれを拒否 エクセロン社はその後も 株式交換提案の期限を数回にわたって延長したほか NRG 社の株主から普通株の買い付けを進めて攻勢をかけたが 一方のNRG 社も 他社の電力小売事業購入計画を発表するなどして対抗していた NRG 社株主総会での決定を受けたエクセロン社は NRG 社の株主達は意見を表明した 当社は提示した買収額レベルを引き上げたくはない とコメント 九か月間に及んだ攻防を終結し 前に進んでいくとの見解を表明している 3

兵器級 Puを使ったMOX 燃料 米 TVAの軽水炉で照射へ米エネルギー省 (DOE) で核利用に関わる国家安全と国際的な核不拡散の任務を担っている国家核安全保障局 (NNSA) は7 月 14 日 軽水炉でのMOX 燃料の照射についてショー アレバMOXサービス社がテネシー峡谷開発公社 (TVA) と契約交渉に入る同意書を交わしたと発表した MOXサービス社は1999 年 NNSAがサウスカロライナ州サバンナリバー サイトで進めているMOX 燃料製造施設 (MFFF) 計画について 設計 建設および操業を受注 米国内に少なくとも34トン存在すると見積もられている兵器級プルトニウムを 兵器として利用できない軽水炉用 MOX 燃料に作り変えるというNNSAの計画に協力している MFFF が完成すれば年間で3.5トンの兵器級プルをMOX 燃料に製造することが可能だが 現在の日程では操業開始は16 年頃とみられている 原子炉でMOX 燃料を燃焼するには 実際の核解体プルトニウムを使った実規模先行照射集合体 (LTA) の照射試験が認可手続き上 必要であるため 2005 年 4 月に認可を受けたデューク エナジー社が四体のLTAをカトーバ原子力発電所 1 号機 (PWR 120.5 万 kw) に装荷し 約 3 年間照射試験を実施した しかし この契約が昨年 12 月に満了した後 MOXサービス社とデューク社との再契約交渉がまとまらず NNSAではMOX 燃料を受け入れる原子力事業者を探していた TVAは今後新設する原子炉のみならず 既設のセコヤー 1 2 号機 ( 各 PWR 118. 6 万 kw) とブラウンズフェリー 1~3 号機 ( 各 BWR 115.5 万 kw) でのMOX 利用を検討中 MOXサービス社ではTVAの評価作業の進展状況により これらのうちの二基以上でMOX 燃料の照射ができるよう 来年夏頃にもTVAと交渉を始めたいとしている B&W 社 ディアブロキャニオン原発の圧力容器上蓋を製造米国のバブコック & ウィルコックス (B&W)NPG 社は7 月 20 日 カリフォルニア州で稼働するディアブロキャニオン原子力発電所用に製造を請け負った二つの取替え用圧力容器上蓋のうち最初の一つの製造を完了したと発表した パシフィック ガス & エレクトリック (PG&E) 社が所有 運転するディアブロキャニオン発電所では110 万 kw 級 PWRが二基稼働中だが 両機ともに80 年代中ごろに運転を開始した 圧力容器の取替え用上蓋の製造は 仏アレバ社がPG&E 社から受注した契約の一部をB&W 社が請け負ったもの 2 号機の圧力容器上蓋の製造はインディアナ州マウントバーノンにあるB&W 社の機器製造工場で行われた B&W 社は2007 年 10 月に日本製鋼所から上蓋の鍛造品を受け取り 被覆加工 機械加工 溶接作業を開始 制御棒駆動機構を取り付けて組み立てた上蓋一式は7 月の第三週に発電所サイトに向けて出荷された 現地では発電所の今秋の計画停止に合わせて アレバ社が既存の上蓋と交換設置することになっている なお B&W 社のマウントバーノン工場は 米機械学会 (ASME) から原子力用プラント機器に関する品質保証である N-スタンプ 製品の製造認証を取得しており 米国内で唯一 高圧原子炉圧力容器の製造を承認されている 米国では長年にわたって原子力発電所用の大型機器が国外で製造されていたが B&W 社では米国内における大型機器製造能力の維持を希望 1 号機用の取替え用上蓋は2010 年第 1 四半期に完成させ 後続の製造受注につなげたいとしている 4

WHとショー V Cサマー原発のメンテ受注東芝のグループ企業であるウェスチングハウス (WH) 社は7 月 28 日 同社とショー グループの企業連合がサウスカロライナ エレクトリック & ガス (SCE&G) 社から V C サマー原子力発電所のメンテナンスおよびエンジニアリング業務を受注したと発表した この契約で同企業連合は サマー原発の既存の1 号機 (PWR 100 万 kw) だけでなく 2016 年と19 年に運転開始が予定されている同 2 3 号機 ( 各 AP1000,110 万 k W) についても メンテナンスや改修 燃料交換および設計エンジニアリング サービスを提供する 同企業連合はすでに昨年 5 月 新設の二基についてSCE&G 社からエンジニアリング 資材調達 建設 (EPC) 契約を獲得しており 今回の契約もその延長で結ばれたとしている SCE&G 社は現在 サウスカロライナ州営の電力水力発電会社であるサンティー クーパー社と共同でV Cサマー 1 号機を所有しており 新設予定の同 2 3 号機についても両社は昨年 3 月に共同で 建設 運転一括認可 (COL) を米原子力規制委員会 (NRC) に申請済みだ WHが米制御メーカー買収 NRC 認証の計装技術に注目東芝のグループ会社であるウェスチングハウス (WH) 社は7 月 31 日 米国の原子力発電所向け制御装置供給メーカーであるCSイノベーションズ (CSI) 社の株主と 同社の買収に関する契約を締結したことを発表した CSI 社が開発したFPGA(Field Programmable Gate Array) を用いた制御システム技術は 原子力プラントの安全系デジタル制御システムに適用できる技術として 米国原子力規制委員会 (NRC) の認証を今年 3 月に取得している FPGAは 機能や論理ゲート間の接続などを プログラムできる集積回路で 原子力発電所の安全上重要な計装システムに使用されるため NRCの審査を受け 認証を得たもの この集積回路を採用することで 部品調達が容易になるほか メンテナンスもしやすくなるという WHは CSI 社のこの技術を 既設原子力発電所の安全系制御システムのリプレースに適用していく方針 また 現在 米国では 30 基以上の原子力プラントの新規建設が計画されているが WH は 米国で14 件のCOL 申請が行われている AP1000 にこの技術を採用した制御装置を採用する 現在 世界各国において 電力の安定供給と地球温暖化防止の観点から 原子力発電プラントの新規建設や既設プラントのさらなる有効活用などに対する需要が急速に高まっている このような背景のもと 今後とも東芝およびWHは 市場の要望に応え提案 受注活動を展開していく考えだ CSI 社は04 年に設立 米国アリゾナ州にある 原子力発電所向けの制御装置を扱っており 売上高は約 200 万米ドル GE 日立のウラン濃縮子会社 サイレックス法技術で実証試験ループ起動米国のグローバル レーザー エンリッチメント (GLE) 社は7 月 30 日 ノースカロライナ州ウィルミントンで サイレックス法によるウラン濃縮技術の商用化実証テスト ループを起動したと発表した 5

米国 ロシア GLE 社はGE 日立ニュークリア エナジー社の子会社で 大手のウラン生産業者であるカナダのカメコ社も24% 資本参加 豪州のサイレックス システムズ社から取得した濃縮技術 ( 六フッ化ウランを励起するレーザー分子法 ) の商用化 および運用の独占実施権により ウィルミントンでU235を8% まで濃縮可能な 処理能力 3500トン~6000トンSWUの商用濃縮施設の建設を計画している 6 月 30 日には 建設 操業の認可申請書を米原子力規制委員会に提出済みだ 今回起動したテスト ループで GLE 社はサイレックス法の商業規模での実行可能性を確認するとともに 商業規模施設の機器や設備 プロセスの設計を進める 今年末までに同ループから収集する情報により フル スケールの商業施設建設を実行に移すか否か最終的に評価 判断する予定で 建設への移行が決まれば操業開始までの詳細な日程を設定することになるとしている 米ロ首脳が原子力協力で共同声明 原子力協力協定発効へ努力米国のオバマ大統領とロシアのメドベージェフ大統領は7 月 6 日 モスクワでの会談後に両国の原子力協力に関する共同声明を発表し 昨年凍結されていた民生用原子力利用に関する協力協定については発効に向けて協力していく考えであることを明らかにした 声明の中で両大統領は 今年 4 月のロンドン金融サミットにおける両国の核削減等に関する合意内容を実行に移すため 民生用施設における高濃縮ウラン利用の最小化や 核物質の統合 転換などを通じて世界の原子力施設の安全保障レベルを向上させることで長期的な協力関係を一層拡大し 深めていくことを宣言 両国の核兵器解体から出たプルトニウムを処理し 低濃縮ウランとして米国の民生用原子炉で利用する協力に言及したほか 2005 年の首脳会談合意に基づき 米露それぞれが設計した第三国の研究炉から高濃縮ウランを回収し それらの炉を低濃縮ウラン仕様に転換する協力についても 継続して実施していくことを確認した また 原子力平和利用における保障措置促進の重要性に鑑み 国際的な保障措置システムの効率化や強化で二国間および多国間の協力を拡大していく点でも合意 クリーンで安全 価格も手頃な原子力の平和利用を促進させるという両国共通の展望を共有し 国際社会に対して両国は次の様な点でさらなる努力を提供していくとしている すなわち (1) 革新的で有望な原子力システムの開発 (2) 信頼性のある燃料サイクル サービスの提供メカニズムと手法の研究 (3) 核不拡散体制を保証できる燃料サイクル サービスの設立に向けた国際的アプローチの研究 (4) 国際的な保障措置システムの改良 など 両国はさらに 昨年 8 月のグルジア紛争により 正式調印したにも拘らず米議会への承認申請を取り下げるに至った両国の二国間原子力協力協定について触れ 発効に向けて努力していくことを明言 今回合意した第一次戦略兵器削減条約 (START1) の後継条約の年内締結とともに 両国の関係修復を印象づけている なお 両国首脳はこの日 START1の後継条約の下で核弾頭配備数の上限を1500~ 1675 発 大陸弾道弾ミサイル等の運搬車両数も1100~500まで削減することなどで合意したほか 米露間の協力推進機関となる 大統領委員会 の設置を決めている 座長は米露両国の大統領 進行役を両国の外務大臣が務めるほか 課題分野ごとに作業部会を設置していく すでに決まっている13 部会のうち 原子力エネルギー 原子力安全保障 部会の担当 6

者として ロスアトム社のS キリエンコ総裁と米エネルギー省のD ポネマン副長官が エネルギー 環境 部会の担当者には ロシア エネルギー省のS シュマトコ大臣と米エネルギー省のS チュー長官の名が挙がっている ロシア 米電力に濃縮ウランを直接供給ロシアのウラン製品 サービス販売企業であるテクスナブエクスポート (TENEX) 社は 7 月 22 日 米国のコンステレーション ニュークリア エナジー社に原子炉用低濃縮ウランを直接供給する長期契約を結んだと発表した 今回の契約はTENEX 社にとって 5 月に日本の中部電力 6 月に米国の四つの原子力発電会社 ( エクセロン社 アメレンUE 社 ルミナント社 およびパシフィック ガス & エレクトリック社 ) と結んだのに続く 6 社目の長期供給契約で ロシアの四つの遠心分離濃縮工場から製品を出荷する計画だ コンステレーション社に対しては 2015 年から25 年の間に同社で必要とする原子燃料の一部を補う程度の低濃縮ウランを供給すると説明している 米国 フランス アレバ社とノースロップ グラマン社 米でEPR 機器工場に着工米国のノースロップ グラマン シップビルディング社は7 月 22 日 同社と仏アレバ社の合弁企業であるアレバ ニューポートニューズ社が 世界最大規模の原子力機器製造エンジニアリング施設の起工式をバージニア州ニューポートニューズ市で執り行ったことを明らかにした この施設はアレバ社が開発した第三世代プラスの原子炉設計であるUS-EPR( 米国向け欧州加圧水型炉 ) 用の主要大型機器を製造するためのもの ニューポートニューズ市のノースロップ グラマン社に隣接する約 33 万平方フィートの敷地に 米国で今後 35 年間に新設される原子炉のために 圧力容器や蒸気発生器 加圧器などの機器を供給できるフル スケールの製造施設を3 億 6000 万ドル以上の資金を投じて建設する すべての規制承認手続きが順調に進み 資金調達の都合が付けば 2012 年頃の操業開始が可能になるとしている 起工式では アレバ社のA ローベルジョンCEOが大型シャベルを手にし ノースロップ グラマン シップビルディング社のM ペッターズ社長 地元のJ フランク市長 T ケイン州知事らとともに建設サイトに鍬入れを行った 同 CEOは 同施設が完成すれば500 人分以上の雇用が地元に生み出されると強調 ただ単に原子炉を造るのではなく 米国産業全体に活力を与えるような産業を育成したい との抱負を述べたと伝えられている ベクテル アレバ連合 ユニスター社とEPC 契約の条件規定書に調印米国のベクテル社は7 月 21 日 同社とアレバ社の企業連合が 米国で建設されるEPR 初号機となるカルバートクリフス3 号機建設計画でユニスター社とエンジニアリング 資機材調達 建設 (EPC) 契約の条件規定書に調印したと発表した 同規定書には契約条件と関係項目の概要が明記されており EPC 契約全体の交渉における重要ステップ また カルバートクリフス3 号機のEPC 契約は特に ユニスター社の原子力事業モデルとして認可 開発 建設されるUS-EPRシリーズの最初の標準契約と位置づけられている アレバ社では 米国でのEPR 初号機建設実現に向けた大きな節目となった と 7

形容 ベクテル社も 原子力事業に60 年以上携わった当社としても このチャンスには興奮している と述べ 同社が新規原子炉建設に必要なすべての専門的知見と経験を有している点を強調した カナダ 加 AECL NRU 炉の運転再開は年末頃カナダ原子力公社 (AECL) は7 月 8 日 5 月の重水漏れによりオンタリオ州チョークリバーで停止中のNRU 炉について 様々な修理オプションを評価した最新の結果によると 運転再開は早くても今年 11 月頃になるとの見通しを発表した AECLによると 同炉の停止期間は重水漏れした容器や漏洩個所の状態 修理戦略 および停止が長引いた後に運転再開する際の必要項目など 最新情報の分析に基づく実態データで決まる このため 同公社では運転再開までの作業を三段階に分け 現在 フェーズⅠの作業である原子炉状態の総合的な評価や複数の修理オプションのテスト 修理作業の全体計画作りなどを ( 事故発生直後から計算して ) 二か月半の日程で実施中 これらの作業いかんで フェーズⅡの修理戦略を定めると説明した 修理方法は今後数週間以内に決定予定だが フェーズⅡではその修理方法や規制上の条件 修理を要する範囲のさらなる分析等の状況に応じて 二か月程度を要するとAECLでは予測 原子炉のテストと運転再開段階に入るフェーズⅢでは さらに二か月程度かかると見込んでいる 現在までのところ アクセス口から最も近い約 9メートルに位置する原子炉底部の重水漏れ個所の徹底的な分析調査を実施 圧力容器外周の6 割以上を遠隔 非破壊方式で検査し 合計九か所を特定した 漏洩個所の容器壁面が減肉しているのが明らかになったとしている 最良の浄化 補修方法を決定するにあたっては AECL 所属の専門家が外部のエンジニアリング会社と共同で作業を進めている また 原子炉容器の点検 補修に先立ち 訓練とテストを行うため AECLは容器の実物大模型を作成したほか 実機と同じ高さの原子炉断面模型も作成中 可能な限り早い時期に安全に同炉を運転再開できるよう24 時間体制で作業中だと強調した 加ノルディオン社 RI 供給問題でメープル炉計画の復活をAECLに要請医療用アイソトープ (RI) 生産炉であるNRU 炉の運転再開が年末になるとしたカナダ原子力公社 (AECL) の7 月 8 日付けの発表を受け RI 販売業者のMDSノルディオン社は同日 カナダ政府とAECLは代替計画だったメープル (MAPLE) 炉を完成させることにより RIの生産不足に取り組むべきだとの見解を発表した NRU 炉はテクネチウム造影剤の原料となるモリブデンを含め 世界の医療用 RI 需要の約半分を生産しているが 運転開始後すでに52 年が経過 ノルディオン社は 世界需要の3 割を供給するオランダ ペッテン炉の運転状況に触れ 同炉も今月中旬から約 4 週間の計画停止に入り 来年初頭まで修理のため停止予定である点に言及した 世界のRI 供給の脆弱性を克服するという観点から 同社は NRU 炉に替わってMAPL E 炉を操業するという長年の誓約を果たすよう カナダ政府からAECLに指示することが重要だ と断言 MAPLE 炉施設によって カナダは革新的で重要性を増しつつある核医学分 8

野においてリーダーシップを維持できるとの見解を表明している 同社はまた 政府はMAPLE 原子炉を操業できない理由について様々な議論を提示したが 多くの組織や専門家は政府とは反対の意見を表明している と指摘 同社は 国際的な専門家連合の支援やすでに存在するインフラ等により MAPLE 炉は安全に稼働することが可能で 同炉のいかなる技術的な課題も克服できると考えていることを強調した 熱出力 各 1 万 kwのri 生産炉をチョークリバーに二基建設するというMAPLE 炉計画は 1996 年にノルディオン社とAECLの協定により開発が始まった しかし 反応度係数など設計上の問題により 2005 年になっても同計画は完了せず 投資総額も当初計画の二倍近い3 億 5000 万ドルに増大 06 年の協定により ノルディオン社はMAPLE 炉の建設費用ごと所有権をAECLに引き渡し 同炉が08 年に運開して以降 同炉の生産するR Iは約 40 年間に渡ってノルディオンに供給されることが決まっていた それにも拘らず カナダ政府とAECLは昨年 5 月 ノルディオン社への事前連絡なしにM APLE 炉計画の中止を発表 NRU 炉の運転認可切れ後は 認可の延長でRI 需要に対応するとの見解を示していた なおノルディオン社はこのほか MAPLE 炉計画以外の代替案として ロシアのカルポフ物理化学研究所におけるモリブデン99(Mo99) 生産の実行可能性調査で6 月 15 日に同研究所と合意に達したと表明 さらに カナダ国内のTRIUMF 国立研究所ともMo99の生産可能性調査で4 月に合意していたことを明らかにしている MAPLE 炉の復活は困難とAECLが見解カナダ原子力公社 (AECL) は7 月 30 日に声明を発表し 昨年 5 月に開発計画を中止したMAPLE 炉について 技術的および規制上重大な問題があり 即座に修理して医療用アイソトープ (RI) の生産不足に対応することは難しい との見解を表明した これは 7 月 8 日にRI 販売業者のMDSノルディオン社が 故障したNRU 炉の復帰が遅れるのであればMAPLE 炉を完成させて対応すべきだ と意見表明したのに対する措置 A ECLは NRU 炉を代替するRI 生産専用炉として開発が始まったMAPLE 炉計画を中止した理由として反応度出力係数 (PCR) の問題を挙げている カナダ原子力安全委員会は同機が負のPCR 値で稼働するよう すなわち出力の上昇に伴い炉心反応度が減少するという設計に認可を与えたが 03 年 6 月に同機起動を試みた際 試験データの分析はわずかに正のPCR 値を示したという その後 昨年 5 月までの間に韓国や米国など複数の専門研究所を交えて広範囲な化学分析と試験を実施したにも拘らず この問題は解決できず 同機が正のPCR 値を示す原因についても特定できなかったとAECLは説明 技術的なリスクのほかにも付属の処理施設を稼働させる必要性や規制当局による承認の問題などがあり MAPLE 炉計画の復活には少なくとも5 ~6 年 徹底的な研究分析が必要との判断を示している カナダBP 社 オンタリオ州の2 地点で新規計画の申請取り下げカナダのブルース パワー (BP) 社は7 月 23 日 オンタリオ州ブルース郡で計画していたブルース発電所増設計画 およびハルディナンド郡ナンティコックでの新規原子力発電所建設計画の認可申請を取り下げ 既存原子炉の改修工事に専念すると発表した BP 社は現在 ブルースA 発電所 (CANDU 炉二基 ) とB 発電所 (CANDU 炉四基 ) を操業しているが これらのうち五基は2015 年以降に大規模な改修もしくはリプレースが必 9

要になるとの判断から 同サイト内に新たに四基 400 万 kw 分の新規原子炉建設を計画 昨年 9 月に提出した環境影響声明書 (EIS) が原子力安全委員会 (CNSC) の審査を受けていた また ナンティコック郡ではエリー湖産業パーク地区に二基 220~320 万 kw の新規原子炉を建設するため 昨年 10 月にCNSCにサイト準備認可を申請していた 同社はすでに 両サイトに関する認可申請を取り下げるほか 環境評価も停止する意向であるとCNSCおよびカナダ環境評価庁に通達 計画中断の理由としては オンタリオ州における電力需要の低下と最近の市場状況を挙げており 過去 5 年間に様々なオプションを検討した結果 630 万 kwの新規建設よりも既存原子炉の改修の方が最も経済的との事業判断を下すに至ったと説明している 同社はまた どちらのサイトも 市場の状況さえ良好であれば原子炉の建設に非常に有望であることが確認できた と述べるとともに 同社がアルバータ州およびサスカチュワン州で進めている原子力発電導入可能性調査にはまったく影響しないことを強調した カナダ 中国 カナダと中国 トリウム燃料利用で協力協定カナダ原子力公社 (AECL) は 中国で稼働するCANDU 炉 ( 加圧重水炉 ) でのトリウム燃料の利用について評価するため 中国の第三秦山原子力発電公司 (TQNPC) 中核北方核燃料元件公司 (CNNFC) および中国核動力研究設計院(NPIC) と協力協定を締結したと7 月 14 日に発表した 中国では現在 上海南西部にある秦山第三期原子力発電所でCANDU6 型炉二基 ( 各出力 72.8 万 kw) が稼働中 同協定により両国は CANDU 炉でトリウム燃料をフル スケールで利用する商業的 技術的な可能性について 技術開発と実証を行っていくことになった 両国は昨年 11 月 PWRの使用済み燃料から回収したウランをCANDU 炉で利用する可能性を探る協力協定に署名しており 今回の協定は 前回協定に付随していた補完プログラムのフェーズⅡに当たる 現在進行中のフェーズⅠでは トリウム利用案の経済的な実現可能性について共同調査中で 今年 10 月 31 日までに完結する予定だ AECLでは 原子力ルネッサンスが世界的に推進力を増すにつれて ウランに代わる原子炉燃料オプションを模索する国々が増加していくと予測 ウランと同様 核分裂物質であるトリウムは中国やインドなど多くの国で容易に採掘可能であり 埋蔵量もウランの3~4 倍と見込んでいる 英国 英政府 核不拡散強化で新戦略英国のG ブラウン首相は7 月 16 日 来年 5 月に核不拡散条約 (NPT) のレビュー会議がニューヨークで開催されるのに先立ち 21 世紀の核問題に対する英国の取組み戦略を示した 2010 年への道 を公表し 世界で民生用原子力導入に広く道が開かれるよう 原子力研究中核拠点 を英国に設置することなどを提唱した ブラウン首相は 核不拡散と安全な民生用原子力利用の促進にあたり 英国が主要な役割を 10

果たしていくと断言しており 2010 年への道 とともに核不拡散問題に関する声明も公表 地球温暖化や世界レベルの貧困 エネルギー不足に取組む上で原子力は大きな役割を担うとの観点から 今回の戦略策定の目的は核物質の防護や核兵器拡散に対する緊急の行動計画 核兵器の無い世界の樹立に必要なパートナーシップの育成などで適切な条件整備していくことであると強調した 具体的な方策として同首相が挙げたのは 第一に 原子力研究中核拠点 を英国に創設し すべての国が原子力を平和利用する権利を現実のものとし 民生用の原子力利用を世界全体で促進していくこと 同拠点では テロリストや敵対的意思を持つ国家による原子力の核兵器への転用が難しくなるよう コスト効率や核拡散抵抗性の高い燃料サイクルなどの民生用原子力技術を開発する 同拠点の設立のために英国政府は産官学および諸外国と連携し 最初の5 年間に2000 万ポンドの予算を計上するとしている もう一つの方策は 原子力安全保障とテロ対策のさらなる強化 英国はこのための支援を必要とするいかなる国の要請にも応じると同首相は強調しており 来年の原子力科学検査予算に 300 万ポンド増額 原子力安全保障を核不拡散の枠組みの新たな柱とするため 国際的なコンセンサスを確立したいとしている 民生用原子力利用の安全な拡大方策として 首相はこのほか プルトニウムの長期管理体制を整備するための手続きを開始すると明言 差し当たり 秋までに同手続きと政策決定のタイミングについて議論した文書を二度にわたり公開する予定だ また 燃料供給保証制度に関する英国案を早急に固め 9 月の国際原子力機関 (IAEA) 総会で提案する計画だと強調した 新たに原子力の導入を希望する国に対して 核不拡散義務の遵守と引き換えに燃料供給を保証するIAEA 主導のシステムに参画したいとの意向を表明している 英政府 ロールス ロイス社軸に機器製造研究センターを設置へ英国の民間企業 規制改革省 (BIS) およびエネルギー 気候変動省 (DECC) は7 月 15 日に 英国における低炭素産業戦略 を公表し 低炭素経済に移行するための一方策として 先進的原子力機器製造研究センター (NAMRC) を設置することを明らかにした 同戦略は 低炭素経済における電力供給方法について 再生可能エネルギーや二酸化炭素回収 貯留 (CCS) 機能付き火力発電とともに原子力の民生利用を拡大する必要があると指摘 新規原子炉の発注が途絶えた90 年代以降 英国では大型機器の製造能力を含めた技術力や優秀な技術者の供給チェーンが弱体化したことから NAMRCで製造業者の専門的知見や慣行等を大学の研究開発能力と統合し 英国におけるサプライ チェーンの再開発 強化を図るとしている 同戦略はまた 英国の新規原子炉建設計画で海外の原子炉設計企業による第三世代プラスの標準設計が採用される可能性と それらがその他の世界市場においても共通に展開される可能性についても指摘 英国の供給チェーンが国内で主要な原子炉供給者となることに成功すれば 世界の新規原子炉建設市場でもチャンスの獲得につなげることができると強調している NAMRC 設置のために英国政府は1500 万ポンドを投入する計画 位置づけとしては既設の二つの先進的製造センターおよびセラフィールドにある原子力研究所の機能を補完する役割を担わせる 英国の原子力供給チェーン企業 約 30 社による連合と大学で構成することとし 原子力機器の製造 組立てのプロセスや人材育成開発プログラム 管理手続きなどを共同で開発することになる また 同企業連合では 昨年 7 月に民生用原子力市場への参入計画を 11

発表したロールス ロイス社が技術力や商慣行 および市場アクセスなどの部分で主導的役割を果たすとしている なお ロールス ロイス社の発表によると NAMRCの発足は2011 年の予定 先進的な機器製造の研究センターとしてネットワークを拡大するとともに 産学の戦略的パートナーシップを通じて 高付加価値の付いた機器製造プロセスと技術の開発を目指したいとしている イタリア 議会で原子力への復帰法案が可決イタリアのC スカヨラ経済発展相は7 月 9 日 イタリアに原子力発電復活への道筋を開く法案が上院で承認され 議会として正式に可決したことを自身のウェブサイト上で発表した イタリアはチェルノブイリ事故翌年 (1987 年 ) の国民投票で脱原子力政策を採択して以来 国内ですでに閉鎖していた一基に続き 稼働中だった原子炉三基をすべて閉鎖するなど徹底した脱原子力政策を遂行したが EU 内で三番目に高い電気料金や 世界最大の化石燃料輸入率などに対処するため 原子炉全廃後 約 20 年を経てついに正式に原子力ルネッサンスを迎えることになった 今回承認された法案は 原子力などエネルギー分野の措置も含めてイタリア全体での経済改革や企業の発展 競争力の強化を図る目的で昨年 8 月に政府が提出していたもの 原子力発電への復帰 と題した部分では 政府が六か月以内に新たな原子力発電所建設候補地を選定するほか 放射性廃棄物の管理基準や建設計画で影響を受ける住民への補償方法を策定することが明記された 原子力復活による利点としては特に 電気料金の軽減と 温室効果ガスの排出削減を通じて地球温暖化防止のための国際的な数値目標達成を挙げている また 専門家や技術者などで構成される原子力規制当局を創設し 緊急時対策や周辺住民および従業員の安全対策 環境防護に責任を負わせるとともに 年に一回議会への報告を義務付けるとしている 昨年 5 月に発足した第三次ベルルスコーニ政権は 選挙公約としていた原子力の復活を実行に移すために着々と政策を推進 すでに今年 2 月 イタリア電力公社 (ENEL) が仏電力 (E DF) と協力協定を結び 国内に少なくとも四基の欧州加圧水型炉 (EPR) を建設するための実行可能性調査 (FS) を実施することになっている スカヨラ経済発展相の見通しでは 2013 年にも最初の原子炉の基礎掘削を開始し その 5 年後を目処に運転を開始したい考え ただし 課題も山積しており 地元紙によると法案成立に反対していた環境派政党議員らは受入れ自治体探しの難しさを指摘したほか 四基の建設費用は200 億 ~250 億ユーロと見積もられ 経済的にも環境的にも暴挙だ と述べたと伝えられている 今回の原子力関係法案可決でイタリアが脱原子力政策に終止符を打ったことについて 欧州の原子力産業界の連合体である欧州原子力産業会議 (FORATOM) は 歴史的な決断だ と高く評価 欧州全域での原子力復活が一層強力な推進力を持って継続し さらに多くの国々が 原子力の支持 こそが今や抑え難い風潮であると認識していくことになると指摘した 12

ロシア ロシア ノボボロネジII-2 計画が進展ロシアの原子力発電担当企業であるエネルゴアトム社は7 月 13 日 ノボボロネジ原子力発電所 Ⅱ 期工事 2 号機 (PWR 117 万 kw) の建設プロジェクトで 12 日に原子炉建屋の基盤コンクリート打設を実施したと発表した 発表資料によると 1 年前に実施した1 号機のコンクリート打設は 連邦政府による200 7~10 年 および15 年までの開発目標プログラムの開始を宣言するものだったが 今回の 2 号機の作業により 一連の建設計画が幕開けすることになったとしている 両機ともAES -2006と呼ばれるロシアの標準型 PWRで 1 号機は12 年 2 号機は13 年に運開する予定である レニングラードⅡ2 号機建設が許可へロシアの原子力発電担当企業であるエネルゴアトム社は7 月 21 日 同国の原子力安全規制当局であるロシア連邦環境 技術 原子力監督庁がレニングラード原子力発電所 II 期工事の2 号機について建設許可を発給したと発表した 認可の有効期限は2019 年 7 月 14 日である 同発電所の建設はロシア連邦の2007 年から2015 年までのエネルギー産業発展目標計画の一環となるもの 現在 レニングラード原子力発電所では 100 万 kwのrbmkが四基稼働中だが これらはまもなく炉寿命を向かえる これらのリプレースと位置づけられるⅡ 期工事 (VVER 二基 各 117 万 kw) の建設については 2007 年 8 月に1 号機の着工準備作業が開始され 08 年 10 月に本格着工した 原子炉設計は AES2006 と呼ばれるシリーズで ロシアが中国で建設した田湾原子力発電所 (100 万 kw 級 VVER 二基 ) と類似している エネルゴアトム社としては 今年中に原子炉建屋のほかにセキュリティー施設と補助建屋および タービン建屋について基盤プレートのコンクリート打設を完了させたい考えで 1 号機の運開は2013 年 2 号機については2014 年となる計画だ 韓国 日本 ソウルで日韓原子力協定交渉がスタート日韓原子力協力協定の第一回締結交渉が7 月 30 日 ソウルで開催された 日本側から外務省の佐野利男 軍縮不拡散 科学部長を交渉団長に関係省庁の関係者が 韓国から権海龍 ( クォン ヘリォン ) 外交通商部国際経済局長を交渉団長に関係者が出席した 今回の交渉では 今後の進め方や 協定内容に関する協議を行った 日本は米国 英国 フランス カナダ 豪州 中国の六か国と二国間協定を 欧州原子力共同体 ( ユーラトム EU27か国が加盟 ) とも協定を結んでおり ロシアとは協定締結 国会批准をこれから行う段階 カザフスタンとも協定締結交渉を行っており 今回 韓国とも締結交渉入りしたもの 日本はこのほか法的拘束力のない協力文書をインドネシア ベトナム アラブ首長国連邦 (U AE) との間で署名している 13

ベトナム ベトナム原子力建設評価委が原子力導入プレFSを承認 国会提出へベトナムの国家原子力発電所建設評価委員会は7 月 20 日 同国における原子力発電導入に関するプレ フィージビリティ スタディ ( プレFS) の報告書内容に合意 これを投資報告書として10 月の国会に提出することが確実な情勢となった模様 これにより 導入計画に関連した諸案件の動きが加速されることが見込まれる 日本としても今後 国会承認後のステップである正式なフィージビリティ スタディ (FS) の受注等に向け活動強化の必要性が高まっている ベトナムでは2002 年から03 年にかけて 原子力発電の必要性や経済性のほか 炉型比較 サイト 環境評価 燃料 / 廃棄物 安全 法規制 人材育成 融資等に関する検討であるプレFSを日本の協力により実施 その報告書は昨年末まで改訂作業が行われ 2020 年までに初号機の運開を目指し 候補地である中南部ニン トゥアン省の二地点それぞれに100 万 kw 原子炉を二基ずつ 合計四基 400 万 kw 建設する ことが明記された この間 昨年 6 月にベトナム原子力法が国会を通過し 原子力導入に向けた法的基盤が整備された また その後 9 月には フック計画投資大臣を委員長とする国家原子力発電所建設評価委員会 関係省の副大臣ら22 名で構成 が発足し 同報告書の内容を評価していたもの 今回の同委の合意により プレFS 報告書および同委の評価書は近日中に国会常務委員会に提出され 10 月からの国会審議にかけることが検討される 今後のステップとしてベトナムは 投資検討プロジェクトである正式なFSを2~3 年かけて実施する計画 このFS 結果の首相による承認と閣議決定を受けて プラント入札が行われることになる なお 日本は昨年 5 月に ベトナム商工省 (MOIT) と経済産業省との間で原子力協力文書 (MOC) を締結しており 人材育成や法整備など 各種の協力を実施中である インド インドがロシアの技術支援で原子力潜水艦完成インドのM シン首相は7 月 26 日 インド南部のアンドラプラデシュ州のビシャカパトナム海軍造船所でインド初の国産原子力潜水艦 アリハント の進水式に出席し 同国の軍事的技術力の進歩を披瀝した 原子力潜水艦の建造は同国の先進技術型造船計画 (ATV) の枠組みの中で進められているもので ロシアの技術支援協力によって実現 国内の大手重電企業であるラーセン & トゥブロ (L&T) 社も最新の3Dモデリングなどを活用した詳細なエンジニアリング実施で貢献したとしている 一般的に伝えられるところによると アリハント は排水量 6000トン 全長 110メートル 船幅 15メートルの弾道ミサイル搭載原子力潜水艦 (SSBN) で 推進力としては出力 8 万 kw 40% の濃縮ウランを燃料とするPWRを搭載 約 2 年間の試験航海を経て 実戦配備される予定だという 完成した一隻のほかに 少なくとも三隻が建造中といわれている シン首相は演説の中でロシアへの謝辞を述べると共に これまで原子力潜水艦製造能力を持っていた米露中英仏の五か国のグループに 新たにインドが加わることができたと評価 他 14

国を脅かしたり 敵対的な野心を抱くつもりもない と強調したほか 国を防護し 世界の技術的な進歩に合わせていくために必要な措置はすべて講じる と述べ あくまで不断の警戒が目的であるとしている インド 米国 インドの原子力 2サイトに米企業が原子炉輸出へインドを訪問していた米国のH クリントン国務長官は7 月 20 日 インドのM シン首相との会談後に同国のS クリシュナ外相と共同記者会見を行い インドの二地点で米国の複数の原子力企業による原子力発電所建設がインド政府によって承認された と発表した 昨年 1 0 月に ブッシュ前政権が民生用原子力分野における米印協力協定に調印後初めて 民間レベルでの協力が具体化することになった 会見の中で同国務長官は これら二地点の案件により 数十億ドル規模の米国製原子炉がインドに輸出され 両国に雇用を創出するとともにインド国民のエネルギー需要を満たすことになるだろうと強調した 地元紙の報道によると これらの地点としては南部のアンドラプラデシュ州および西部のグジャラート州が有力だという ただし 同長官は米国企業がこれらの重要なビジネス チャンスを確実なものとするために 今後インド側が賠償責任に関する立法を承認することを求めており 実際の輸出にはさらなるハードルが残されていることを示唆した また 会談後に米国務省が発表した資料には 両国が今後 原子力協力協定の第 123 条項に従い 米国製原子炉から出る使用済み燃料の再処理について協議と手続きを開始する予定であることが明記されている 記者会見の席でインドの地元メディアはクリントン国務長官に対し オバマ政権は供給国グループ (NSG) が定めるように濃縮と再処理の技術移転禁止政策を取るつもりか と質問 同長官は 明らかに反対しない インドとの協定はまとまったばかりであり インドの場合のように適切な手段の範囲内で注意深い保障措置の下で行われるのであれば それは適切といえる と述べた 承認を受けていない非適切な移転には当然反対する一方 正しい方法で行うことは可能との判断を示しており 非承認で危険な技術移転をいかにして防ぐかについて インド側から意見を求めている最中であることを明らかにしている オーストラリア 米国 豪ウラン業者 米ユタ州の鉱山で操業開始へ豪州に本社を置くウラン生産業者であるホワイト キャニオン ウラニウム (WCU) 社は 7 月 29 日 米ユタ州南東部に位置するダネロス ウラン鉱山から 今年の秋にも高品位 U3 O8の出荷が可能になるとの見通しを明らかにした 同社が公表した第 2 四半期の報告書によると 連邦政府の土地管理局は今年 5 月 新たなウラン鉱山に対する認可としてはユタ州で30 年ぶりとなる最終承認をダネロス鉱山に対して発給 これを受けたWCU 社は直ちに地下設備の開発作業を開始しており 換気用とアクセス用の二つの斜坑開発のほか 貯水設備などサイトのインフラ整備も日程通り進展中だ これらの開発およびウラン鉱の生産は 同社の第 2 四半期末現在の現金準備高である450 万ドルの範 15

囲内で賄えると同社では見込んでいる リビア カナダ 民生用原子力分野で協力覚書リビアの地元メディアが伝えたところによると リビアとカナダは7 月 29 日に民生用原子力利用分野の協力覚書に調印した 首都トリポリでの調印式には リビア側から全国人民委員会 ( 内閣 ) 対外連絡 国際協力部門の対米州大臣が カナダ側は駐リビア大使が署名に臨んだ模様 両国の協力項目は ウランの探鉱 採掘 抽出および輸送のほか 医療用放射線技術の利用促進 海水淡水化技術の開発管理など 原子力安全や環境および経済の防護 両国のみならず国際社会の法に準じた核不拡散対策を優先するとしている 国際 IAEA 次期事務局長に天野氏を選出国際原子力機関 (IAEA) は7 月 2 日 M エルバラダイ事務局長の後任を選出する特別理事会をウィーンの本部で開き 複数回の投票の結果 在ウィーン日本政府代表部の天野之弥大使 (62 歳 ) を選出した IAEA 事務局長に日本人が就任するのは初めて 天野大使は今年の12 月 1 日に第五代事務局長として正式就任する 任期は4 年 最終的に同日の事務局長選挙では 天野大使のほか 南アフリカから上級外交官のA ミンティ氏 スペインのL エチャバリOECD 原子力機関 (NEA) 事務局長の三氏の選挙となった 理事会は35か国から構成され 事務局長選出には三分の二以上の24か国以上の支持が必要 最初の投票で最下位となったエチャバリ氏を除き 次に残った二人の決戦投票を三回行ったものの 三回とも天野氏 23 票 ミンティ氏 12 票で変わらなかったため 次に一位 二位の優劣を決める投票を行った その結果はやはり同数であったため まず一位の天野氏の信任投票に入り 天野氏信任 23 票 不信任 11 票 棄権一票となり この棄権一票が出たことにより 選出に必要な三分の二が23 票となったことで 天野氏の事務局長就任が この日だけでも六回目の投票で決着した 同氏は3 日の理事会で次期事務局長に任命され 最終的には9 月のIAEA 総会で正式に選出される G8が排出量半減の目標再確認 原子力発電の促進も G8ラクイラ サミット ( イタリア ) が7 月 8~10 日に開催され G8 首脳宣言 では 温室効果ガスを2050 年までに世界全体の50% 削減する目標を全ての国が共有することを表明した また 先進国全体では 1990 年または より最近の複数の年と比して 50 年までに80% またはそれ以上削減するという目標も明記された 原子力発電については 原子力安全 核セキュリティー 核不拡散の3Sを根本的な前提として 費用効果分析 研究 インフラおよび人材開発 プラント建設 運転 廃炉および廃棄 16

物管理を含むあらゆるレベルでの国際的な協働を促進する としている IAEAの役割も強調した上 我々は原子力エネルギーの民生利用に関心を持つすべての国々に対し 建設的な国際協力に関与するよう呼びかける としている また 成果文書の一つとして 不拡散に関するラクイラ声明 が取りまとめられ イランや北朝鮮の核開発問題などの脅威を指摘したほか 原子力の平和利用と核燃料サイクルにも言及 新興国での原子力教育 訓練分野などへの組織的な取組みを歓迎した 17