資料2-1

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平成 29 年度厚生労働科学研究費補助金 ( 厚生労働科学特別研究事業 研究代表者 : 武藤真祐 ( 東京医科歯科大学医歯学総合研究科臨床教授 )) 情報通信機器を用いた診療に関するルール整備に向けた研究 情報通信技術の進展に合わせ 情報通信機器を用いた診療が普及してきているが 更なる普及 推進のた


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Microsoft PowerPoint - 【厚労省】説明資料_ pptx

Microsoft Word - M 平成30年度診療報酬改定の基本方針

政策課題分析シリーズ14(本文4)

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医療法人社団鉄祐会のご紹介 診療所名 医療法人社団鉄祐会祐ホームクリニック ( 東京都文京区 ) 祐ホームクリニック石巻 ( 宮城県石巻市 ) 診療内容在宅医療 (24 時間 365 日対応 ) 組織体制 68 名医師 29 名 ( 常勤 6 名 非常勤 23 名 ) 看護師等医療専門職 11 名事

301226更新 (薬局)平成29 年度に実施した個別指導指摘事項(溶け込み)

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2. 平成 9 年遠隔診療通知の 別表 に掲げられている遠隔診療の対象及び内 容は 平成 9 年遠隔診療通知の 2 留意事項 (3) イ に示しているとお り 例示であること 3. 平成 9 年遠隔診療通知の 1 基本的考え方 において 診療は 医師又は歯科医師と患者が直接対面して行われることが基本

Point

平成 30 年度診療報酬改定に向けた検討について H29/1/16WG 厚労省提出資料 平成 30 年度診療報酬改定に向けた検討の方向性 平成 30 年度診療報酬改定に向けて 以下の遠隔医療形態モデルも参考に 委員からご指摘のあった初診に関する取扱いも含め 対面診療に比べて患者に対する医療サービスの

02 入職 (1 年目 ) 2 写真 ( 脇さん ) No.1 就活している学生の皆さんへ! 私の場合は 条件がかなり限定的だったため 決めやすかったのですが 病院の特徴と薬剤科がどのような仕事内容なのかをしっかり説明して頂ける病院にしました それは 入職後に望んだ条件ではないのが分かったとしても

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骨粗しょう症調査

2 成分が同一の剤形変更 例 タケプロンOD 錠 15mg タケプロンカプセル 15mg ユリーフOD 錠 4mg ユリーフ錠 4mg コカールドライシロップ 40% カロナール細粒 20% ( 粉砕 ) レボフロキサシン錠 500mg レボフロキサシン細粒 10% 患者に説明 ( 価格 服用方法等

2 院内処方 ( 入院外 投薬 ) 及び院外処方 ( 薬局調剤 ) における薬剤点数薬剤点数階級別件数の構成割合を入院外の投薬 ( 以下 院内処方 という ) 薬局調剤( 以下 院外処方 という ) 別にみると ともに 500 点未満 が最も多く それぞれ 67.0% 59.4% となっている また

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政策課題分析シリーズ14(本文2)

【資料1】結核対策について

3 薬局サービス等 (1) 健康サポート薬局である旨の表示 健康サポート薬局 である旨を表示している場合 健康サポート薬局 とは かかりつけ薬剤師 薬局としての基本的な機能に加えて積極的な健康サポート機能 ( 地域住民による主体的な健康の維持 増進を支援する機能 ) をする薬局をいいます (2) 相

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デンマークの ICT 国家戦略 ( デンマーク電子政府戦略 ) デンマークの ICT 国家戦略の中心は 電子政府戦略である 1990 年代半ばから 行政間 行政内のデジタル化を推進し 2000 年代からデジタル化による抜本的な 行政の効率化 を目指してきた デンマーク電子政府戦略

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I

(2) レパーサ皮下注 140mgシリンジ及び同 140mgペン 1 本製剤については 最適使用推進ガイドラインに従い 有効性及び安全性に関する情報が十分蓄積するまでの間 本製剤の恩恵を強く受けることが期待される患者に対して使用するとともに 副作用が発現した際に必要な対応をとることが可能な一定の要件

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総合診療

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④資料2ー2

1

に効果のあった医療機関及び薬局での事例 ( 学会ガイドライン STOPP クラ イテリア プレアボイド等 ) の収集と分析を行う必要がある 2. 高齢者の多剤服用 ( ポリファーマシー ) 対策のためのガイドライン等 高齢者の薬物動態等を踏まえた投与量の調整 ( 止めどき 減らしどき ) や薬物相互

201601

佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

愛媛県病院薬剤師会 プレアボイド講演会(安永)

により算定する ただし 処方せんの受付回 数が 1 月に 600 回以下の保険薬局を除く により算定する 注の削除 注 4 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合 ( 削除 ) しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険薬局において調剤した場合には 基準調剤加算として所定点数に32 点を加算する

薬学生に対する実践型倫理教育の有効性の検証 Inspection of the validity of the practice type education of ethics to cy student

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る として 平成 20 年 12 月に公表された 規制改革推進のための第 3 次答申 において 医療機器開発の円滑化の観点から 薬事法の適用範囲の明確化を図るためのガイドラインを作成すべきであると提言したところである 今般 薬事法の適用に関する判断の透明性 予見可能性の向上を図るため 臨床研究におい

記 1. 適用対象本通知は 製造販売業者等が GPSP 省令第 2 条第 3 項に規定する DB 事業者が提供する同条第 2 項に規定する医療情報データベースを用いて同条第 1 項第 2 号に規定する製造販売後データベース調査を実施し 医薬品の再審査等の申請資料を作成する場合に適用する GPSP 省

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私たちの人生 病気やケガのリスクと 経済的影響は? 50 ( 千人 ) 1, 通院入院 ( 歳 )

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抗精神病薬の併用数 単剤化率 主として統合失調症の治療薬である抗精神病薬について 1 処方中の併用数を見たものです 当院の定義 計算方法調査期間内の全ての入院患者さんが服用した抗精神病薬処方について 各処方中における抗精神病薬の併用数を調査しました 調査期間内にある患者さんの処方が複数あった場合 そ

資料3

後期高齢者医療制度のしおり_2013

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3 電子情報処理組織の使用による請求又は光ディスク等を用いた請求により療養の給付費等の請求を行うこと ( 以下 レセプト電子請求 という ) が義務付けられた保険医療機関 ( 正当な理由を有する400 床未満の病院及び診療所を除く なお 400 床未満の病院にあっては 平成 27 年度末までに限る

<様式2> 個人情報ファイル簿(単票)

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Microsoft PowerPoint - 10.【資料3】オンライン資格確認等システム検討状況

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がん登録実務について

資料 1 薬の処方せんの使用期間の徒過の防止について 現状 処方せんの使用期間は 交付の日を含めて 4 日以内 ただし 特殊の事情があると認められる場合は 医師の判断により延長が可能 医療機関が用いる処方せんの使用期間欄の記載は 文字が小さく患者が見落としやすい 処方せんに使用期間を記載すること以外

1 分析の主旨 ビタミン剤 うがい薬 湿布薬 保湿剤に関しては 医療費適正化の観点か ら 診療報酬改定で様々な対応を行ってきている 本分析は 2012 年度から2016 年度 ( 平成 24 年度から平成 28 年度 ) の調剤レセプトのデータを用いて これらの医薬品の薬剤料 数量等の推移を示したも

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静岡県立静岡がんセンター臨床研究事務局の業務手順書

お知らせ 柔道整復師の資格を取得される皆さま 関係の皆さまへ 平成 30 年 4 月から 柔道整復療養費の受領委任を取り扱う 施術管理者 になる場合は 実務経験と研修の受講が必要となる方向で 以下のとおり検討しています 柔道整復療養費の受領委任の取扱いを管理する 施術管理者 になるための要件について

に 正当な理由がない限り無償で交付しなければならないものであるとともに 交付が義務付けられている領収証は 指定訪問看護の費用額算定表における訪問看護基本療養費 訪問看護管理療養費 訪問看護情報提供療養費及び訪問看護ターミナルケア療養費の別に金額の内訳の分かるものとし 別紙様式 4を標準とするものであ

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北里大学病院モニタリング 監査 調査の受け入れ標準業務手順 ( 製造販売後臨床試験 ) 第 1 条 ( 目的 ) 本手順書は 北里大学病院において製造販売後臨床試験 ( 以下 試験とする ) 依頼者 ( 試験依頼者が業務を委託した者を含む 以下同じ ) が実施する直接閲覧を伴うモニタリング ( 以下

1 1 調査の目的 調査の概要 1 平成 28 年 4 月より レセプトの電子請求を行っている保険医療機関及び保険薬局について 公費負担医療に係る給付により自己負担がない患者 ( 全額公費負担の患者を除く ) から求めがあった場合にも明細書の発行が義務づけられたことを踏まえ 保険医療機関 保険薬局及

別添 1 抗不安薬 睡眠薬の処方実態についての報告 平成 23 年 11 月 1 日厚生労働省社会 援護局障害保健福祉部精神 障害保健課 平成 22 年度厚生労働科学研究費補助金特別研究事業 向精神薬の処方実態に関する国内外の比較研究 ( 研究代表者 : 中川敦夫国立精神 神経医療研究センタートラン

薬事法における病院及び医師に対する主な規制について 特定生物由来製品に係る説明 ( 法第 68 条の 7 平成 14 年改正 ) 特定生物由来製品の特性を踏まえ 製剤のリスクとベネフィットについて患者に説明を行い 理解を得るように努めることを これを取り扱う医師等の医療関係者に義務づけたもの ( 特

2009年8月17日

認知症医療従事者等向け研修事業要領

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更に検討が必要な事項等 ( 抜粋 ) 平成 30 年 9 月 28 日第 6 回医薬品医療機器制度部会資料 2( 抜粋 ) テーマ 3 薬局 薬剤師のあり方 医薬品の安全な入手 (1) 医薬分業とかかりつけ薬剤師 薬局について 処方箋受取率が 70% を超えて医薬分業が進展し 医療保険では調剤医療費

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セッション 6 / ホールセッション されてきました しかしながら これらの薬物療法の治療費が比較的高くなっていることから この薬物療法の臨床的有用性の評価 ( 臨床的に有用と評価されています ) とともに医療経済学的評価を受けることが必要ではないかと思いまして この医療経済学的評価を行うことを本研

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助成研究演題 - 平成 27 年度国内共同研究 (39 歳以下 ) 改良型 STOPP を用いた戦略的ポリファーマシー解消法 木村丈司神戸大学医学部附属病院薬剤部主任 スライド 1 スライド 2 スライド1, 2 ポリファーマシーは 言葉の意味だけを捉えると 薬の数が多いというところで注目されがちで

目次 1. 本書の概要 目的 概要 インタフェース仕様 患者 ID の検索 患者基本情報の検索 患者基本情報の登録 患者基本情報の更新 診療情報

査を実施し 必要に応じ適切な措置を講ずること (2) 本品の警告 効能 効果 性能 用法 用量及び使用方法は以下のとお りであるので 特段の留意をお願いすること なお その他の使用上の注意については 添付文書を参照されたいこと 警告 1 本品投与後に重篤な有害事象の発現が認められていること 及び本品

Transcription:

資料 2-1 1 規制改革推進会議医療 介護ワーキング グループ ICT の活用による薬局の かかりつけ 機能強化の方向性 医療法人社団鉄祐会株式会社インテグリティ ヘルスケア武藤真祐 2018 年 12 月 10 日

自己紹介 2 武藤真祐 医療法人社団鉄祐会理事長 株式会社インテグリティ ヘルスケア代表取締役会長 Tetsuyu Healthcare Holdings Co-Founder and Medical Director 日本循環器専門医 医学博士 米国医師資格試験合格 ( カリフォルニア州 ) 経歴東京大学医学部附属病院 三井記念病院にて循環器内科に従事後 宮内庁で侍医を務める その後マッキンゼー アンド カンパニーを経て 2010 年医療法人社団鉄祐会を設立 2015 年シンガポールで Tetsuyu Healthcare Holdings を設立 東京大学医学部卒業 東京大学大学院医学系研究科博士課程修了 INSEAD Executive MBA Johns Hopkins Bloomberg School of Public Health (MPH) 公職東京医科歯科大学臨床教授 産業構造審議会 2050 経済社会構造部会委員他

要旨 3 福岡におけるオンライン服薬指導の実証結果 事例数は少なく 在宅医療のケースのみであることから 検証範囲は限定的である 普及に向けては 外来のケースも含めて多様なケースを想定した検討を行うことが望ましい オンライン服薬指導の普及にむけた論点整理 実際のプロセスを整理すると 処方箋の受け渡しにかかる課題が大きい 安全性の観点から薬の取扱いや コスト負担などの実務指針を示すことが望まれる 医療の質向上に向けた ICT 活用の方向性 副作用の不安への対応や多剤処方への対策が必要とされる中 患者宅での服薬管理 相談は重要となる 薬剤師の付加価値を高め 患者に質の高い医療を提供していく ICT をより評価し 推進してほしい

オンライン服薬指導の実証結果 4

現状の医療プロセスの対応状況 5 医療プロセスの対応状況 ( はオンライン対応可 ) 診療計画 / 予約 問診診察処方会計 調剤 / 服薬指導 服薬相談 患者の状態や疾患に応じた治療計画の策定 対面と組み合わせたスケジュール 診察前の患者の状態の把握 ( モニタリングデータの共有等 ) リマインド通知 ビデオコール 診療記録 処方せんの発行 保険点数計算 ( レセプト ) クレジット決済 処方せんの受領 調剤 服薬指導 患者からの相談への対応 診療予約 電子処方箋 議論開始 オンライン化 議論開始 一気通貫の医療を実現するには 処方 と 調剤 / 服薬指導 のオンライン化が必要

2018 年 7 月 18 日調剤報酬方針決定を受け オンライン服薬指導の実証 6 福岡市にて オンライン服薬指導における 戦略特区 を申請 オンライン診療を受けている患者様のかかりつけ薬局へ YaDoc を導入 オンライン診療後のオンライン服薬指導を実証 服薬指導 ( 調剤薬局 ) 服薬指導 ( 患者宅 ) 薬剤の配送依頼 ( 調剤薬局 ) 薬剤の手渡し ( 患者宅 ) 患者さんご家族 これまで薬剤師さんの訪問タイミングで自宅にいることができず 薬の話が聞けなかった これからはオンラインで ( 自営の ) 仕事の間に一緒に話が聞けるので安心

福岡市におけるオンライン服薬指導の実施結果と考察 7 戦略特区 ( かつ 僻地離島の条件に合致する地域 ) に限られるため 対象患者数が少なく 十分な事例が集まっていない 福岡市では 早くから開始したものの 3 例にとどまり いずれも在宅医療の患者である 在宅患者においては これまでも薬剤師の訪問により自宅での服薬指導を受けていたことから オンライン化による患者にとっての有用性は限定的にとどまった 有用性 医師と薬剤師との情報共有や 患者居宅での残薬管理や定期的な服薬フォローなど 期待される ICT 活用の有用性について検証を行えていない 安全性 多剤投与や禁忌など 調剤前に確認が必要な事例はなく 安全性に留意すべき点での課題を洗い出すところまでに至っていない 実行可能性 貸与端末であったため バッテリー切れや操作ミスなどによるトラブルはあったものの 回を重ねることで 問題なく操作は行えた通信環境に左右されるところも大きく 通信の安定性は課題 現在 実証が行えているのは在宅医療のみであり 今後の普及を踏まえると外来も含めた実証が必要

8 オンライン服薬指導の普及に向けた 論点整理

診療 服薬指導のパターン 9 # 種別診療服薬指導論点 A-1 対面対面 ( 通常パターン ) A-2 A-3 外来 オンライン オンライン 対面 オンライン - 処方箋の患者宅への郵送にかかる費用負担 - 処方箋の有効期限 - 特定処方箋の送付先の確認方法 - オンライン服薬指導の実施タイミングの決定方法 - 薬の受渡し方法 / 配送の取り決め B-1 訪問訪問 - 処方データの薬局への事前送付の取り決め B-2 オンライン訪問 - 処方データの薬局への事前送付の取り決め B-3 在宅 オンライン オンライン - 特定処方箋の送付先の確認方法 - オンライン服薬指導の実施タイミングの決定方法 - 薬の受け渡し方法 / 配送の取り決め

10 オンライン服薬指導の論点 薬局の指定 薬局は 患者が選択する必要があり 医師が薬局へ処方箋を郵送するには あらかじめ 患者のかかりつけ薬局を共有しておく必要がある ( かかりつけ薬局がオンラインに対応しているかなども事前に把握しておくことが必要 ) どのように担保するのか 実運用を踏まえた検討が必要 処方箋の受け渡し 郵送では受領までに時間がかかる上 患者と薬局双方への送付が必要 ( 当日中に授受できない ) 薬局での処方箋の到達確認とその後の服薬指導を実施するタイミングの調整が必要 処方箋の電子化と合わせ 全体プロセスのオンライン化が必要 服薬指導に必要な情報の共有 薬の受け渡し / コストの負担 薬剤師が質の高い指導を行うには 病名や採血結果などの情報が必要 院外処方はお薬手帳でわかるが 院内処方はわからない 医師からの患者情報の共有方法も含めて検討されることが望ましい 薬剤により取扱いが注意なものは 品質の担保が必要 配送にかかるコスト負担の考え方が不明 薬剤種別による対応指針や配送コストの取扱いなど基準があることが望ましい 参考 : 調剤済み薬剤の郵送又は配送に当たっては 薬剤師による利用者への直接の授与と同視しうる程度に 当該薬剤の品質の保持や 利用者本人への確実な授与等がなされることを確保するため 登録薬局開設者は必要な措置を講ずること ( 薬生発 1110 第 2 号平成 29 年 11 月 10 日 ) 服薬指導の解禁にあたり 現場での混乱を避けるためにも実務上の不明な点について方針を示すことが望ましい

11 医療の質向上に向けた 薬剤管理における ICT 活用の可能性

オンライン服薬指導内容対象患者像ICT の活用が期待される領域 12 調剤時調剤後 ( オンライン診療に限らず実施 ) オンライン診療後 処方箋に基づく処方内容の確認と服薬指導 オンライン服薬相談 患者からの求めに応じた自宅での服薬指導または薬に関する相談の受付 オンライン服薬管理 服薬管理が必要な患者に対する 薬剤師による定期リマインド / フォローを実施 オンライン診療患者 調剤された薬の服薬方法や 副作用の可能性など 調剤後に不安があり 相談したい方 複数個所で薬を処方され 飲み合わせなどが気になる方 服薬スケジュールが複雑でコンプライアンスに課題がある方 ( 抗がん剤など ) 副作用の心配がある場合 注射剤や吸入薬など 実際に投薬する際に指導が必要な場合 調剤時の 服薬指導 だけではなく 調剤後の患者宅での服薬をフォローする 服薬相談 服薬管理 にも注目

想定される患者像 13 想定される患者像例 外来 / 勤労世代 注射剤使用 薬局では十分な相談の時間が持てない 注射剤の使用方法に不安 自宅での投与の様子をビデオチャットでサポート 外来 / 勤労世代 新薬投与 ( 抗がん剤など ) 過去に副作用あり 新薬への不安が大きい 処方後 オンラインでの症状管理 服薬相談 外来 / 高齢者 多剤投与 薬局へは家族の方が代理で受取 飲残しも多く 残薬が課題 自宅で家族の方と一緒に薬の効用と用法を説明 在宅 / 高齢者 訪問服薬指導 現在 薬剤師が訪問 ( タイムラグあり ) 処方後のフォローなど 随時相談への対応力強化 自宅での薬物治療の可能性が広がる中で 副作用の不安への対応や多剤処方への対策などが必要となる患者が増えている

ICT を活用した かかりつけ薬局 機能強化の方向性 14 患者さんへの付加価値の提供 かかりつけ薬局 機能強化の方向性 かかりつけ 登録 アプリで かかりつけ薬剤師 登録 相談受付可能予約枠などを設定 いつでもつながる 安心 を提供 服薬指導 相談 オンラインで薬に関する相談へ対応 対応可能な時間枠を設定し予約受付 あらかじめ問診で相談内容を確認することでスムースに対応 残薬管理 ビデオチャットで自宅での薬の保管状況や残薬を確認 飲み忘れないように 管理方法などを指示し アドヒアランス向上 薬剤師さんへの働きやすい環境の提供 患者管理 担当する患者さんを YaDoc 上で管理 メッセージ機能により 必要に応じて フォローの連絡 業務効率化 ビデオチャットで状況を把握することで 訪問の頻度を最小化 相談内容を問診や写真等で共有することで 情報共有を効率化 労務管理 患者からの相談を予約枠で管理 相談への対応状況は ビデオチャットやメッセージの履歴で管理 患者への付加価値を向上していくことに加え薬剤師の働き方改革につなげていけないか

医薬連携による疾患管理モデル 高度薬学管理を要する抗がん剤治療の場合 15 4 結果共有 / 提案 1 治療計画策定 医師 2 服薬リマインド かかりつけ薬剤師 症状記録 ( 問診 画像 ) アラートメッセージ 受診 ( 来院 ) 3 服薬相談 ( オンライン ) 患者 ICT を活用した医薬連携により服薬アドヒアランスの向上 重症化予防が期待される

ICT を活用した医薬連携モデルの意義 高度薬学管理を要する抗がん剤治療の場合 16 医療機関 医師 / 薬剤師の現場での負担を軽減しながら よりプロフェッショナルを生かした形で機能最適配置が行える ( 医師 薬剤師の働き方改革の推進 ) 計画的な薬剤師による服薬管理の導入によるこれまで副作用管理目的で行っていた入院日数の短縮 回転率の向上 ( 病院の経営効率改善 ) 医師 医師単独では 短時間の診察では説明が難しい 副作用やその対応を補完することができる 受診の間の患者の状態を視覚的にも把握でき 適切な判断が行える 薬剤師 患者から送信される情報や副作用に関する問診回答結果をもとに 総合的な判断が可能 情報があらかじめ整理され ビデオチャットで 計画的に対応ができるため 業務への負担が少なくて済む 患者 副作用について 自身の症状に照らして相談ができ 理解が深められる 薬剤治療における不安が解消され 安心して治療に専念できる 患者の状態を把握した適切な診断 オンライン化による専門性の発揮 アプリを通じた相談による治療への安心 ICT を活用することで 医療現場の負担を軽減しながら患者さんが安心して治療を継続できる世界を実現していく

まとめ 17 特区で実証は行われているものの 今後の普及に向けては 外来も含めて多様なケースを想定した検討が望ましい 検討においては 電子処方箋の運用も見据えた一連のプロセスでの有用性 安全性の検証と実務上の不明な点を解消する指針を示してほしい 自宅での薬物治療の可能性が広がる中で 薬剤師の付加価値を高め 患者に質の高い医療を提供していく ICT をより評価し 推進してほしい