17. < 参考 1> 施設勢力圏域ごとの高齢者数等を集計 医療機関 ( 診療所 ) の分布から施設勢力圏 ( ボロノイ分割圏域 ) を作成し それに含まれる町丁字の高齢者数等を集計することにより 施設勢力圏域ごとの指標算出を行います 医療機関 ( 診療所 ) データは本マニュアル 15.1 で作成したものを使用します 17.1 ボロノイ分割圏域の作成ボロノイ分割とは 複数個の点 ( 母点 ) に対して 同一距離空間上の 他の点がどの母点に近いかによって 領域分けされた分割のことです 利用者が最も近くの施設に行くとした場合の施設勢力圏域を示す図となり 施設最適配置 ( マクドナルドの Mac GIS) や商圏分析 ( コンビニ ) などに使われています (1) ベクタ (t) ジオメトリツール (G) ボロノイポリゴンをクリック (2) ボロノイポリゴンウィンドウが開く 1 ポイントベクタレイヤの入力 を 診療所 に選択 2 ブラウズ から 施設勢力圏.shp として C:\GISjinzai\ に保存する 1 施設勢力圏を作成する元レイヤ 2 3 123
(3) ジオメトリ ウィンドウの質問には Yes を選択 施設勢力圏の shp が作成される (4) エラーが発生し レイヤが追加されなかった場合は レイヤ ベクタレイヤの追加から 作成された 施設勢力圏.shp を読み込む エラー画面の例 無事に施設勢力圏.shp は作成されますが 自動的に読み込んでレイヤを追加する動作に失敗しています 手動で改めて作成したレイヤを追加する必要があります 次回以降は (3) での質問に No を選択し 手動で作成されたレイヤを読み込むようにするとエラーが発生しなくなります (5) 施設勢力圏のボロノイポリゴンが作成されます 124
17.2 施設勢力圏の表示の変更前図では ポリゴンがすべて塗りつぶされて町丁 字などの情報と重ね合わせてみることができないため 施設勢力圏ポリゴンの表示方法を変更し 重ね合わせて表示させるようにします (1) レイヤ施設勢力圏をダブルクリックもしくは右クリック プロパティ (2) レイヤプロパティが開く 1 スタイル タブを開く 2 変更 をクリック 3 塗りつぶしスタイル を ブラシ無し に変更 4 その他 ボーダーカラー や ボーダースタイル を適宜変更して確定する 1 2 3 4 5 6 125
(3) 施設勢力圏が境界線のみで中抜きで表示されます 施設勢力圏域が可視化される 126
17.3 町丁字と施設勢力圏の空間結合施設勢力圏域ごとに含まれる町丁字を GIS で空間的に結合させます 町丁字の属性テーブルに どの施設の勢力圏域に属しているか情報を付与し それをもとに高齢者数等の集計を行います (1) ベクタ (t) データマネジメントツール (D) 場所で属性を結合するをクリック (2) 場所で属性を結合するウィンドウが開く 1 対象ベクタレイヤを H22 稲城市 に選択 2 ベクタレイヤを結合するを 施設勢力圏 に設定 3 ブラウズ をクリックし temp.shp として C:\GISjinzai\ に保存する 1 2 3 4 (3) 空間結合 ウィンドウの質問には Yes を選択 属する施設の情報が付与された町丁字の shp が作成される 127
(4) エラーが発生し レイヤが追加されなかった場合は レイヤ ベクタレイヤの追加から 作成された temp.shp を読み込む (5) 作成したレイヤ temp を右クリック 属性テーブルを開く どの施設勢力圏に属するか情報が付与されている 町丁字ごとにそれぞれの町丁字から最も近い施設 (P14_007) が選ばれている 128
17.4 施設圏域ごとに町丁字の色分け 町丁目ごとに付与されたどの施設に属しているかの情報をもとに色を塗りわけ 施設勢力圏を可視化します (1) レイヤ temp をダブルクリックもしくは右クリックしてプロパティ (P) をクリックする (2) レイヤプロパティが開く 1 スタイル タブを開く 2 分類された をクリック 3 カラム を P14_002 に変更 施設名が格納されたフィールドです 4 色諧調を選択 5 分類 をクリックし 6 OK ボタンで確定させる 1 2 3 4 5 6 129
(3) それぞれ選択された勢力圏の施設ごとに色分けがなされます 属する施設ごとに町丁字が塗り分けられる 上図ではレイヤの順序を並び替えてあります 130
17.5 施設勢力圏域ごとの高齢者数の集計 QGIS で勢力圏の施設情報を空間的に結合させた町丁字データを Excel に読み込ませることによって 施設勢力圏域ごとの高齢者数の集計を行います 17.5.1 QGIS からのテーブルの出力 (1) レイヤ temp を右クリック 属性テーブルを開く (2) セクションを反転するボタンを押して すべてのレコードを選択する (3) 選択している行をクリップボードにコピーするボタンを押す 131
17.5.2 Excel 上での集計 (1) Excel を起動して 新しいブックに貼り付ける 以降 Excel 上での作業について 本マニュアルでは Excel2010 を使用した画面となっています (2) 一旦 名前を付けて保存する マイドキュメントフォルダに稲城市集計 2.xls として保存する (3) ユーザー設定の並べ替え最も近い施設 (P14_002) ( リストの下のほうにあります ) で並べ替える 1 2 3 132
(4) 神奈川県で違う列に格納されてしまっているデータは 選択して移動させます (5) データ - 小計をクリック Excel2003 では 集計 (6) 集計の設定を行う 1 グループの基準 (A) を P04_002 列 ( 最寄りの施設名称 ) に設定 2 集計の方法 (U) を合計に設定する 3 集計するフィールド (D) を T000573019(65 歳以上人口 ) にする 1 2 3 4 133
(7) 画面左端にできる [2] のボタンを押す 拡大図 施設勢力圏域ごとの高齢者数が集計できます 図では 一部列を省略して表示させています (8) CA 列 T000573019 ( 高齢者数 ) を選択して 右クリック 切り取り (T) 診療所勢力圏域ごとの高齢者数が集計される 134
(9) DU 列で 右クリック 貼り付け (P) (10) 体裁を整える表頭を 診療所 65 歳以上高齢者数 に修正する 罫線を入れるなど報告書向けに体裁を整えます その後 上書き保存します 作成した表は本マニュアル16. の手順により 報告書形式で取りまとめることができます 135
18. < 参考 2>OpenStreetMap から道路を取り込む OpenStreetMap(http://osm.jp/) は商用 非商用を問わずに誰でも自由に利用 編集できる地図データベースです 一般のボランティアによって編集された世界中の地図が無料で利用できるほか QGIS のプラグイン ( 追加機能 ) を用いてダウンロードし QGIS 上に表示することができます 一般の人が編集したデータであるため 公的機関発行のデータに比べ正確性 信頼性に劣るという面もありますが 現在無料で利用することのできない日本の 道路 のシェープデータを得ることができます 本章では OpenStreetMap からデータをダウンロードし 道路ラインのデータを抽出して表示させます 18.1 OpenStreetMap プラグインの有効化 QGIS 上で OpenStreetMap を扱うためのプラグインを有効化します (1) メニューよりプラグイン (P) プラグインの管理をクリックする (2) OpenStreetMap plugin のチェックをつけて有効化し OK ボタンを押してウィンドウを閉じる 136
18.2 OpenStreetMap データのダウンロード プラグインを使用し OpenStreetMap からデータをダウンロードします (1) 稲城市全体が表示されるように表示を調整する 地図移動 拡大 縮小 (2) メニューよりプラグイン (P) OpenStreetMap OSM データのダウンロードをクリックする (3) OSM データのダウンロード画面の を押し C:\GISjinzai\ に inagishi.osm として保存する 範囲は概ね現在表示している領域の座標が自動的に入力されます 137
(4) ダウンロードされ 表示されます OSM からダウンロードされたポイント ライン ポリゴンのデータが表示される 道路のデータは inagishi lines 中に格納されています エラーが出た場合は ネットワーク設定を確認 ( メニューより設定 オプションから ネットワークタブ ) する もしくは 地図の表示範囲を小さくしてダウンロードする範囲を小さくする などの対応を行います 18.3 道路データの抽出 ダウンロードした inagi lines は 道路データのみではなく 河川や鉄道路線のラインデータなども含まれてしまっているため 道路データのみ抽出します (1) レイヤ inagi lines を右クリック 属性テーブルを開く highway に値が入っているものが道路データである highway フィールドに値が入っているものが道路関係の地物です 138
(2) アドバンストサーチをクリックする (3) SQL where 句に highway!= '' と入力して OK ボタンを押します フィールド欄や演算子ボタンを選択して計算式を作成することもできます!= は と等しくない という意の演算子で highway 欄が ( 空 ) でないものを選択しています (4) レイヤ inagi lines を右クリック 選択を名前をつけて保存をクリックする 139
(5) ベクタレイヤに名前をつけて保存するウィンドウが開く 1 名前をつけて保存の ブラウズ を押し C:\GISjinzai\ に 稲城市道路.shp として保存する 2 エンコーディングが SHIFT-JIS であることを確認する 3 CRS の ブラウズ を押す 2 1 3 (6) 参照座標系の選択から JGD2000 / Japan Plane Rectangular CS IX EPSG:2451 を選択して OK ボタンを押す 140
(7) OK ボタンを押して保存する 抽出した道路 shp が作成される (8) 保存したファイルを読み込みます メニューからレイヤ (L)-ベクタレイヤの追加をクリックする ブラウズから C:\GISjinzai\ 稲城市メッシュ人口.shp を選択し Open ボタンを押す 道路データが読み込まれ 表示されます OSM からダウンロードした inagisi points inagisi lines inagisi polygons は非表示にしてかまいません また OSM 地物 パネルも閉じてかまいません 非表示にする 閉じる 道路が表示される 141
19. < 参考 3> アドレスマッチング アドレスマッチングとは 東京大学空間情報科学研究センターが提供する無料のサービスで 一覧データの住所情報もとに街区レベルの位置座標を付与することができます これにより 施設の一覧などを簡単に QGIS 上にプロットして表示させることができます 19.1 作成するデータの準備 施設の一覧を作成し csv ファイルとして保存します 住所を1セルに記述するようにします 作成した一覧の例 ( ここではコンビニの住所一覧 ) 19.2 アドレスマッチングでの座標データの結合 アドレスマッチングサービスを使って 作成したデータに緯度経度の情報を与えます (1) インターネットで 東京大学 CSV Geocoding Service と入力し 検索する 東大のアドレスマッチングサービスのサイトを開く (http://newspat.csis.u-tokyo.ac.jp/geocode-cgi/geocode.cgi?action=start) 142
(2) 下記のような画面が開かれるので以下のように設定する 1 対象範囲 データの範囲と測地系を選択する ここでは 街区レベル ( 緯度経度 世界測地系 ) を選択 2 住所を含むカラム番号 投入する csv ファイルの何列目にアドレスマッチングに使う住所情報があるかを入力する 例としたデータでは 2 列目なので 2 とする 3 入力ファイルの漢字コード シフト JIS(SJIS) にする 4 出力ファイルの漢字コード 入力ファイルと同じにする 5 マッチングオプション 特に操作不要 6 変換したいファイル名 作成した一覧ファイルを選択する 7 送信 をクリックしてデータを送ると しばらくたってからファイルのダウンロード画面が現れるので 名前を付けて保存する 文字化けしたファイルがダウンロードされた場合は 名前を適宜変更します 1 2 3 4 6 7 緯度経度座標が付与される (3) 保存したファイルを Excel で開く fx と fy がそれぞれ経度 緯度である ilvl がマッチングレベルで 1: 都道府県 2: 郡 支庁 3: 市町村 23 区 4: 政令市の区 5: 大字 6: 丁目 小字 7: 街区 地番 8: 号 枝番となっている (4) Excel 上で 上書き保存 を行う この形式でブックを保存しますか? には はい を押す ダウンロードされたファイルそのままでは仕様上 QGIS で読み込むことができないため Excel で改めて保存することで読み込める形になります 143
19.3 QGIS でアドレスマッチングしたデータの表示 アドレスマッチングで付与した緯度経度をもとに 地図上にデータを表示します (1) メニューよりレイヤ デリミテッドテキストレイヤの追加をクリックする (2) デリミティッドテキストファイルからレイヤを作成ウィンドウが開く 1 ファイル名の 参照 を押し アドレスマッチングした csv ファイルを開く 2 レイヤ名を適宜設定する 3 選択されたデリミタを選択し カンマ のみにチェックをつける 4 X フィールドが fx Y フィールドが fy になっていることを確認して 5OK ボタンを押す 2 1 3 csv ファイルの区切り文字を選択する ( 今回はカンマ ) 4 緯度経度が入力されている フィールドを選択する 5 144
(3) 座標参照系の選択ウィンドウでは JGD2000 EPSG:4612 を選択する (2) で 緯経度 世界測地系 を選択していることによります (4) 地図上にプロットされて表示されるので これを shp ファイルとして保存します 作成されたレイヤを右クリック 名前をつけて保存をクリックする 145
(5) ベクタレイヤに名前をつけて保存するウィンドウが開く 1 名前をつけて保存の ブラウズ を押し C:\GISjinzai\ に名前をつけて保存する 2 エンコーディングが SHIFT-JIS であることを確認する 3 CRS の ブラウズ を押す 2 1 3 (6) 参照座標系の選択から JGD2000 / Japan Plane Rectangular CS IX EPSG:2451 を選択して OK ボタンを押す 146
(7) 保存したファイルを読み込みます メニューからレイヤ (L)-ベクタレイヤの追加をクリックする ブラウズから先ほど保存したファイルを選択し Open ボタンを押す 作成したコンビニのデータを地図上に表示できた 施設のポイントが shp ファイルとして表示されます これをもとに 本マニュアル14. や15. などの空間的集計や圏域の分析が行えます 147