Microsoft Word - 103第Ⅱ章第2節.doc

Similar documents
以前 製造業 食料品製造業 畜産食料品製造業

以前 製造業 食料品製造業 畜産食料品製造業

製造業 ページ 303 調査対象数 1,695 調査対象数 1,541 調査対象数 971 調査対象数 464 総資本経常利益率 (%) 自己資本経常利益率 (%)

Microsoft Word - 005第Ⅰ章第1節.doc

製造業 食料品製造業 畜産食料品製造業

Microsoft PowerPoint - 001表紙.ppt [互換モード]

平成 22 年基準 秋田県鉱工業生産指数月報 平成 30 年 12 月分 鉱工業生産指数の推移 季節調整済指数全国 東北 : 平成 27 年 =100 秋田 : 平成 22 年 =

3 地域別の業種リストを確認 対象業種の判断は 日本標準産業分類のに基づいて行われます 経営力向上計画の 2 事業分野と事業分野別指針 欄の 事業分野 ( ) が 次ページ以降の7 都府県別の業種リストにおける対象業種 ( ) に該当するかどうかを確認して下さい 経営力向上計画の 事業分野 ( )

第 10 表 産業大中分類別, 性別, 常用労働者の1 人平均月間現金給与額 規模 5 人以上 TL 調査産業計 年次及び月次 平成 20 年 300, , ,080 48, , ,954 60, , ,246 32,505 平

第 10 表 産業大中分類別, 性別, 常用労働者の1 人平均月間現金給与額 規模 5 人以上 TL 調査産業計 年次及び月次 平成 17 年 313, , ,854 50, , ,534 61, , ,321 36,193 平

14, , , , , , ,

News Release 2018 年 8 月 1 日 香川県内民間企業の 2018 年夏季ボーナス支給見込み アンケート調査結果について 百十四銀行 ( 頭取綾田裕次郎 ) では 香川県内に本社または主工場をもつ民間企業 640 社を対象として 2018 年夏季ボーナスの支給予想について アンケー

(Microsoft Word - \214\213\211\312\202\314\212T\220\340.doc)

(Microsoft Word - 21\212T\220\340)

平成 22 年度エネルギー消費統計結果概要 経済産業省資源エネルギー庁平成 24 年 4 月 エネルギー種別に見ると 最終エネルギー消費総量の 37.5% が燃料 54.8% が電力 7.4% が熱となっています 調査の対象となった非製造業 製造業 ( 石油等消費動態統計対象事業所を除く ) 業務部

平成 25 年 3 月 19 日 大阪商工会議所公益社団法人関西経済連合会 第 49 回経営 経済動向調査 結果について 大阪商工会議所と関西経済連合会は 会員企業の景気判断や企業経営の実態について把握するため 四半期ごとに標記調査を共同で実施している 今回は 2 月下旬から 3 月上旬に 1,7

(Microsoft Word - 20\212T\220\340.doc)

印刷用統計表_ xls

News Release 2018 年 12 月 27 日 香川県内民間企業の 2018 年冬季ボーナス支給見込みアンケート調査結果について 百十四銀行 ( 頭取綾田裕次郎 ) では 香川県内に本社または主工場をもつ民間企業 630 社を対象と して 2018 年冬季ボーナスの支給予想について アン

波及効果の具体的計算方法 直接効果の推計 1 ( 需要増加額の推計 ) 合計額 ( 単位 : 百万円 ) 開催運営費 10.0 来場者支出額 90.0 飲食費 0.6 交通輸送費 3.0 広報関連経費 1.5 施設 機器レンタル料 1.0 アルバイト人件費 1.6 警備料 2.3 宿泊費

28付属統計表(全体)

29付属統計表(全体)

目次 調査結果の概要 1 小企業編 中小企業編 概況 3 概況 15 調査の実施要領 4 調査の実施要領 16 業況判断 5 業況判断 17 売上 1 売上 2 採算 11 利益 21 資金繰り 借入 12 価格 金融関連 22 経営上の問題点 13 雇用 設備 23 設備投資 価格動向 14 経営

産業廃棄物の排出 処理状況について 1. 調査方法 (1) 調査対象 1 調査対象 2 対象業種 3 対象廃棄物 47 都道府県 日本標準産業分類( 平成 19 年 11 月改訂 )/ 総務省 をもとに抽出した産業廃棄物の排出が想定される大分類 18 業種廃棄物の処理及び清掃に関する法律に規定する産

(Microsoft Word - HP-2_\222\262\215\270\214\213\211\312\202\314\212T\227v\(H27\)P1-7.doc)

産業連関表から見た県経済.xps

Microsoft Word iip(速報).doc

Microsoft Word iip(速報).doc

お金をめぐる最近の動き



北陸 短観(2019年6月調査)

Microsoft Word iip(速報).doc

Microsoft Word - 49_2

北陸 短観(2016年12月調査)

北陸 短観(2019年3月調査)

[ 調査の実施要領 ] 調査時点 製 造 業 鉱 業 建 設 業 運送業 ( 除水運 ) 水 運 業 倉 庫 業 情 報 通 信 業 ガ ス 供 給 業 不 動 産 業 宿泊 飲食サービス業 卸 売 業 小 売 業 サ ー ビ ス 業 2015 年 3 月中旬 調査対象当公庫 ( 中小企業事業 )

Ⅱ モデル分析

30付属統計表(全体)

28付属統計表(全体)

都道府県別有効求人倍率 ( 季節調整値 ) 令和元年 5 月 広島 東京 岡山 福井 岐阜 愛知 富山 石川 香川 大阪 鳥取 群馬 三重 長野 新潟 島根 宮城 愛媛 京都 茨城 山口 熊本 福岡 大分 静岡 徳島 山形 福島 宮崎 秋田 奈良 栃木 和歌山 兵庫 岩手 山梨 千葉 鹿児島 埼玉

2 業種別排出量産業廃棄物の業種別排出量を図 1-2 及び表 1-1 に示す 調査の結果 電気 ガス 熱供給 水道業 ( 下水道業を含む ) からの排出量が最も多く 約 100,543 千トン ( 全体の 25.7%) 次いで建設業が約 81,845 千トン ( 同 20.9%) 農業 林業が約 8

H26-5-all

H26-5-all

第1章

宮崎労働局 宮崎労働局発表平成 26 年 8 月 29 日解禁 報道関係者各位 雇用失業情勢 ( 平成 26 年 7 月分 ) Press Release 照会先 宮崎労働局職業安定部 部 長 上村有輝 職業安定課長 森山成人 労働市場情報官 多田真理子 ( 代表電話 )0985(38)8823 平

3.届出排出量・移動量の経年変化の概要について

Microsoft PowerPoint - 木工çfl£æ¥�HP訟輛çfl¨ .ppt [äº™æ‘łã…¢ã…¼ã…›]

製造業3. 東北の産業構造 ( 製造業 ) (1) 製造業 1 概況 製造品出荷額等は 16 兆 7,600 億円で前年比 6.2% の増加 平成 26 年の東北地域の製造品出荷額等は 16 兆 7,600 億円で前年比 6.2% と3 年連続の増加となった また 全国に占める割合は5.5% と前年

日本経済の現状と見通し ( インフレーションを中心に ) 2017 年 2 月 17 日 関根敏隆日本銀行調査統計局

ニュースリリース 中小企業の雇用 賃金に関する調査結果 ( 全国中小企業動向調査 2013 年 月期特別調査 ) 年 4 月 8 日株式会社日本政策金融公庫総合研究所 3 割の企業で正社員は増加 3 社に 1 社で給与水準は上昇 従業員数 2013 年 12 月において

2. 利益剰余金 ( 内部留保 ) 中部の 1 企業当たりの利益剰余金を見ると 製造業 非製造業ともに平成 24 年度以降増加傾向となっており 平成 27 年度は 過去 10 年間で最高額となっている 全国と比較すると 全産業及び製造業は 過去 10 年間全国を上回った状況が続いているものの 非製造

産業廃棄物の排出及び処理状況等(平成20年度実績)

別 前年同期比増減率 単位 : 社 % 繊維製品 パルプ 紙 化学 石油 石炭 黒転

3-3. 個別分析の結果 (1) 産業活動と純流動量の量的変化の状況 1) 産業業種別出荷量の推移全国貨物純流動調査における年間出荷量は 90 年調査 (89 年実績 : 3,610 百万トン ) から 95 年調査 (94 年実績 :3,556 百万トン ) にかけて バブル経済の崩壊などにより個

第3章 総務省統計局が提供する地域メッシュ統計の編成項目_2 経済センサス

全産業供給指数の作成方法について

○統A 1(1-6).xls

1 概 況

有価証券報告書・CG報告書比較分析

⑤資料4~8高卒状況の推移

過去 10 年間の業種別労働災害発生状況 ( 大垣労働基準監督署管内 ) 令和元年 4 月末現在年別 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 対前年比全産業 % (6

一企業当たりの事業所数は 14. 事業所 ( 前年度差.6 事業所減 ) 常時従業者数 499 人 ( 前年度比.8% 減 ) 売上高は 23.4 億円 ( 同 2.9% 減 ) 製造企業の一企業当たりの売上高は 億円 ( 前年度比 3.9% 減 ) 営業利益は 1 億円 ( 同.6%

平成 28 年度エネルギー消費統計における製造業 ( 石油等消費動態統計対象事業所を除く ) のエネルギー消費量を部門別にみると 製造部門で消費されるエネルギーは 1,234PJ ( 構成比 90.7%) で 残りの 127PJ( 構成比 9.3%) は管理部門で消費されています 平成 28 年度エ

我が国中小企業の課題と対応策

別 前年同期比増減率 単位 : 社 % 母集売上高経常利益純利益集計団 18/3 期従来 19/3 期 18/3 期従来 19/3 期 18/3 期従来 19/3 期社数社数実績予想予想実績予想予想実績予想予想 繊維製品

⑤資料4~8高卒状況の推移(更新)_

2010 年 12 月環境経済観測調査統計表 目次 ページ 表 1(1) 主業別 資本金別対象企業数及び回答率 1 表 1(2) 主業別 資本金別回答企業数及び構成比 1 表 2-1 我が国の環境ビジネス全体の業況 資本金別 主業別 2 表 2-2 発展していると考える環境ビジネス 資本金別 主業別

第 70 回経営 経済動向調査 公益社団法人関西経済連合会 大阪商工会議所 < 目次 > 1. 国内景気 2 2. 自社業況総合判断 3 3. 自社業況個別判断 4 4. 現在の製 商品およびサービスの販売価格について 8 参考 (BSI 値の推移 ) 11 参考 ( 国内景気判断と自社業況判断の推

愛媛の工業 ( 速報 ) - 平成 30 年工業統計調査 ( 速報 ) 結果から - 平成 29 年の愛媛県の製造業について ( 従業者 4 人以上の事業所 ) この速報は 平成 30 年 6 月 1 日現在で実施した 平成 30 年工業統計調査 をもとに 愛媛県内の製造事業所 ( 従業者 4 人以

平成10年7月8日

平成24年度エネルギー消費統計結果概要

けた この間 生産指数は 上昇傾向で推移した (2) リーマン ショックによる大きな落ち込みとその後の回復局面平成 20 年年初から年央にかけては 米国を中心とする金融不安 景気の減速 原油 原材料価格の高騰などから 景気改善の動きに足踏みが見られたが 生産指数は 高水準で推移していた しかし 平成

前年同期比及び季節調整済前期比の推移 ( 全産業 ( 金融業 保険業を除く )) 前年同期比季節調整済前期比景気後退期 売上高 % H H H H 年 4 6

<8A C52E786C7378>

Microsoft PowerPoint - 【H ~】企業立地促進法優遇措置.ppt

前年同期比及び季節調整済前期比の推移 ( 全産業 ( 金融業 保険業を除く )) 前年同期比季節調整済前期比景気後退期 売上高 % H H H H 年 10

1. 売上高と利益の動向 ( 第 1 図 第 2 図 ) (1) 売上高 ( 金融業 保険業を除く )( 第 1 表 ) 売上高は343 兆 5,978 億円で 前年同期 (345 兆 3,293 億円 ) を1 兆 7,315 億円下回り 対前年同期増加率 ( 以下 増加率 という ) は 0.5

1. 自社の業況判断 DI 6 四半期ぶりに大幅下落 1 全体の動向 ( 図 1-1) 現在 (14 年 4-6 月期 ) の業況判断 DI( かなり良い やや良い と回答した企業の割合から かなり悪い やや悪い と回答した企業の割合を引いた値 ) は前回 ( 月期 ) の +19 から 28 ポイ

滋賀県内企業動向調査 21 年 1- 月期定例項目結果 1. 自社の業況判断 (1) 自社の業況判断 DI は 四半期連続のプラス水準を維持も は 四半期ぶりにマイナス水準に低下 1. の動向 ( 図 1-1) 今回の調査 (1 年 1- 月期 ) での自社の業況判断 DI は前回 (-9 月期 )

第 2 章 産業社会の変化と勤労者生活

(Taro-\222\262\215\270\225[.A4\207B.jtd)

資料1

障害者雇用率発表資料

<4D F736F F D E9E935F817A E88C481758BC68EED95CA81418DE095CA82C982DD82BD974193FC905A93A79

Updated Jan 2009 企業価値評価用データレポート ValuePro Valuation Data Report サンプル エクイティ リスク プレミアムサイズ リスク プレミアム 本文およびデータ等の著作権を含む知的所有権は株式会社プルータス コンサルティング ( 以下 当社 という

商業販売額の動向 平成 27 年 6 月の商業販売額は38 兆 4360 億円 前年同月比 0.9% の増加となった これを卸売業 小売業別にみると 卸売業は26 兆 9790 億円 同 0.9% の増加となった 小売業は11 兆 4570 億円 同 0.9% の増加となった なお 商業販売額の季節

2. 有期契約労働者を雇用しているか 設問 1 パート アルバイト 契約社員 嘱託 派遣社員などの有期契約労働者を雇用していますか 選択肢 1 雇用している 2 雇用していないが 今後雇用する予定 3 雇用していないが 以前雇用していた 4 雇用しておらず 今後も雇用しない予定 全体

< F31332D91E682518FCD8AE98BC682CC8EFB89768D5C91A C4>

Microsoft Word - 03_雇用表の概要

毎月勤労統計調査平成22年06月分結果確報

管内 ( 東北 6 県 ) の経済動向 平成 27 年 1 月 15 日 < 管内の経済動向 > ~26 年 11 月の経済指標を中心として ~ 全体の動向 : 緩やかな持ち直し傾向にあるものの 一部に弱い動きがみられる 鉱工業生産 : 生産は一進一退で推移している 個人消費 : 持ち直し傾向にある

( その 2 鉱業 ) 寄附金交際費等寄附金支出額交際費等支出額損金算入法人数金額法人数金額法人数金額限度額 100 万円以下 万円超 万円 万円 20

企業物流短期動向調査 ( 日通総研短観 ) 調査結果 ( 抜粋 ) (2008 年 9 月調査 ) 2008 年 10 月 株式会社日通総合研究所 ホームページはこちら

景況 貴社の景況 平成 3 年 期の 貴社の景況判断 BSI を全産でみると 大企 中堅企は 上昇 超 中小企は 下降 超となっている 先行きを全産でみると 大企 中堅企は 上昇 超で推移する 中小企は 下降 超で推移するとなっている 貴社の景況判断 BSI( 上昇 - 下降 社数構成比) ( 単位

英語活用実態調査(企業・団体)2015_2015年11月版

第 3 節食料消費の動向と食育の推進 表 食料消費支出の対前年実質増減率の推移 平成 17 (2005) 年 18 (2006) 19 (2007) 20 (2008) 21 (2009) 22 (2010) 23 (2011) 24 (2012) 食料

経済見通し

次に 製造業における製造品出荷額の構成比について 図 および図 に示す 福島県の製造業は 情報通信機械器具製造業 の割合が高く 次いで 化学工業 電子部品デバイス電子回路製造業 の順である 特に 情報通信機械器具製造業 は全国の構成比と比較して非常に高く 全国の情報通信機械器

中小企業の雇用・賃金に関する調査結果(全国中小企業動向調査(中小企業編)2015年10-12月期特別調査)

Transcription:

国内における生産 収益と設備投資及び業種間の関連性について 1 ~ 月期報で分析した通り 大企業の製造業において 設備投資と生産 収 益との相関が循環を経過する毎に弱くなっており バブル崩壊以降 企業は体質改善 をすることで過剰設備を解消してきたことがうかがえた 1 ~ 月期報においては 注 1) 循環別にベクトル自己回帰モデル (Vector Autoregressive 以下 VARモデルという ) による分析を試みたが 循環別では推計期間が短かった事により 統計的に有意な結 果が得られなかったため 分析結果を記載するには至らなかった そこで本稿では 充 分な自由度を確保するため推計期間をバブル崩壊前後の二期間とし 製造業における 生産 収益と設備投資の関係について再度検証するとともに さらに業種間の生産及 び設備投資の関係に変化があるのかを検証していく (1)VAR モデルの設定 1 変数 今回 VAR モデルを用いた分析するにあたり 法人企業統計調査注 ) のデータを使用 注 ) して 大企業 中小企業の規模別及び業種別 ( 製造業のうち15 業種 ) に設備投資 生産 収益の代理変数を以下の通り設定した 設備投資は 業種別及び企業規模別における金額の差を標準化するため 土地を 除く新設固定資産 / 固定資産 ( 当期末 )- 土地 ( 当期末 ) を算出し代理変数とし た 以下 新設設備投資比率 という 生産の代理変数は 生産の成長率として売上高前同期比 ( 以下 売上高前比 という ) を用いた 収益の代理変数は 総資本経常利益率 ( 以下 ROA という ) を用いた なお 上記の各変数は 四半期の値の変動幅が大きいため 後方 期移動平均を 行った 期間 バブル崩壊前後での比較を行うために 分析対象期間は バブル崩壊前を昭和 55 ~ 平成 5 (5 期分 以下 前期 という ) バブル崩壊後を平成 ~1 ~ 月 期 ( 期分 以下 後期 という ) とした 注 1) 複数の変数が 主にお互いの過去の値により決定されると考えるモデル 注 ) 法人企業統計調査四半期別調査は 各調査期末現在で仮決算を行い 本支店 全事業所を通じての総計を記入させており また 連結決算ではなく 単独決算の数値を記入させている 注 ) 企業区分については 法人企業統計調査の場合 当該調査の区分に従い 資本金 1 億円以上の階層の企業を大企業 資本金 1 千万円以上 1 億円未満の階層の企業を中小企業とする - -

データ生成過程のチェック VAR モデルで分析するにあたり 各変数は定常でなければならないため 二期間の 業種別 (15 業種 ) 変数別 ( 変数 ) 企業規模別 ( 区分 ) の計 18 系列 ( 二期間 15 業種 変数 区分 ) に対して ADF(Augmented Dickey-Fuller) 検定を行ったところ 注 1) 階差 1 でデータの定常性が概ね確認された () 製造業における売上高前比 ROA と新設設備投資比率の関係 製造業における売上高前比及び ROA の新設設備投資比率に対する関係に変化が 注あったかを確認するため 二期間に対して 業種別及び企業規模別にグレンジャー因果 ) を計測し 比較を行った 1 大企業における売上高前比 ROA と新設設備投資比率の関係 ~ バブル崩壊以後 大企業において 売上高前比及び ROA の 新設設備投資比率への因果性が希薄化 ~ 大企業の状況をみると 売上高前比から新設設備投資比率の因果性が確認され た業種は 前期では 石油製品 石炭製品製造業などの 業種であったが 後期では木 材 木製品製造業のみと大きく減少した ROA についてみても 因果性が確認できた業 種が 前期の 9 業種から後期で 業種と減少しており バブル崩壊後 大企業において 売上高前比 ROA ともに新設設備投資比率に対する因果性が弱まっている状況が 推測される ( 第 Ⅱ-- 表 ) なお この VAR モデルをもとにした検証結果は 大企業において 生産 収益と設 備投資の相関は 循環を経過する毎に弱くなっている という 1 ~ 月期報の分析 結果を裏付けるものであった 注 1)18 系列中 15 系列において 5% 水準で階差 1 でデータの定常性が確認された 階差なしでも定常性が確認された系列が5 系列あったが 系列間での整合をとるため 本稿の分析では すべて階差 1 をとったデータを用いることとする 注 )VARモデルを用いて各変数を説明する場合 その変数の過去の値で説明するよりも他の変数の過去の値を加えて説明した方が優れているかどうかで因果関係を判断する方法 この考え方をグレンジャーの意味での因果性という 本稿において 因果性といった場合 このグレンジャー因果性を意味する ラグの次数は 使用するデータが四半期データであることを考慮し また 二期間それぞれについて自由度を確保するために 8 次 ( 分 ) とした - 7 -

第 Ⅱ-- 表グレンジャー因果性結果 ( 大企業売上高前比 ROA 大企業新設設備投資比率 ) 業種 - 8 - 売上高前比 ROA 前期後期前期後期 食料品製造業 * 木材 木製品製造業 ** * ** * パルプ 紙 紙加工品製造業 *** 印刷 同関連業化学工業 ** * 石油製品 石炭製品製造業 *** ** 窯業 土石製品製造業 ** 鉄鋼業 ** * 非鉄金属製造業金属製品製造業 * 生産用機械器具製造業 ** *** *** 業務用機械器具製造業 *** 電気機械器具製造業 *** 自動車 同附属品製造業 ** その他の輸送用機械器具製造業 ( 注 )*** は 1% ** は 5% * は 1% の有意水準で 因果性がない という帰無仮説が棄却できることを示す ( 以下同じ ) 資料 : 法人企業統計調査 ( 財務省 ) さらに業種別の状況を確認するために 後期で ROA において因果性がみられた業 種 ( 石油製品 石炭製品製造業 生産用機械器具製造業 ) 及びみられなくなった業種 ( 業務用機械器具製造業 自動車 同附属品製造業 ) について 新設設備投資比率を 要因分解してみる ( 第 Ⅱ--1 図 ) 要因分解は 新設設備投資比率を 土地を除く 新設固定資産 / 固定資産 ( 当期末 )- 土地 ( 当期末 ) という式を用いて算出したことか ら 分子の 土地を除く新設固定資産 の変動要因を新設投資要因 分母の 固定資産 ( 当期末 )- 土地 ( 当期末 ) の変動要因を固定資産要因 ( 逆サイクル ) とした なお 法 人企業統計調査における固定資産は 減価償却費が控除された金額であることから 新規投資が行われなければ 減価償却により固定資産額は毎期減少し それにより逆 サイクルである固定資産要因はプラスに寄与した動きがあらわれる 逆に 減価償却分 を超える大規模な新規投資が行われれば 新設投資要因はプラスに寄与し 固定資産 も新設設備投資により拡大するため 固定資産要因はマイナスに寄与する動きがみら れることとなる 選択した 業種は共通して 前期において 大きな固定資産要因の寄与がみられた が 後期に入ると寄与は顕著に縮小しており 企業は固定資産を大きく増加させるような 設備投資を行っていないことが推測される 因果性が確認された石油製品 石炭製品製造業及び生産用機械器具製造業をみる と 石油製品 石炭製品製造業では 新設投資要因は 後期において 1 までマイナ ス方向で推移してきたが それ以降 ROA の改善を受けてバブル期にも近い水準で堅 調に推移してきた しかし 直近では 経済危機の影響を受けて固定資産を減少させる

動きもみられている 生産用機械器具製造業では 前期と比較すると新設投資要因の 動きは小さいものの ROA の推移と連動しており 小規模だが機敏な設備投資を行っ ていることが推測される 因果性がみられなくなった業務用機械器具製造業及び自動 車 同附属品製造業をみると 両業種とも後期において ROA は安定的に上昇している にもかかわらず 新設投資要因は前期と比較すると小規模になっており 設備投資を抑 制している様子がうかがえる 第 Ⅱ--1 図大企業における業種別新設設備投資比率の要因分解 ( 前同期比 ) < 石油製品 石炭製品製造業 > 固定資産要因新設投資要因新設設備投資比率 ROA( 右目盛 ) 1 1 55 5 57 58 59 1 元 5 7 8 9 1 11 1 1 1 15 1 17 18 19 1 < 生産用機械器具製造業 > 固定資産要因新設投資要因新設設備投資比率 ROA( 右目盛 ) 9 1 1 7 5 1 1 55 5 57 58 59 1 元 5 7 8 9 1 11 1 1 1 15 1 17 18 19 1 < 業務用機械器具製造業 > 55 5 57 58 59 1 元 5 7 8 9 1 11 1 1 1 15 1 17 18 19 1-9 - 固定資産要因新設投資要因新設設備投資比率 ROA( 右目盛 ) 1 1 1 8 8

1 1 < 自動車 同附属品製造業 > 固定資産要因新設投資要因新設設備投資比率 ROA( 右目盛 ) 1 9 55 5 57 58 59 1 元 5 7 8 9 1 11 1 1 1 15 1 17 18 19 1 ( 注 ) 新設設備投資比率の要因分解は以下の通り 新設設備投資比率 (A)= 土地を除く新設固定資産 (B)/ 固定資産( 当期末 )- 土地 ( 当期末 ) (C) より ΔA ΔB/C ΔC B/C [ 新設投資要因 ] [ 固定資産要因 ]( 逆サイクル ) 資料 : 法人企業統計調査 ( 財務省 ) 9 中小企業における売上高前比 ROA と新設設備投資比率の関連 ~ 中小企業において ROA の新設設備投資比率に対する因果性は高い ~ 次に 中小企業についても 売上高前比及び ROA の新設設備投資比率に対する 因果性の変化を確認してみると 売上高前比においては 前期 後期とも新設設備 投資比率に対する先行性がみられた業種がほとんどなく 逆に ROA では 因果性が確 認できた業種が 前期の 業種から後期の 5 業種と増加した ( 第 Ⅱ--5 表 ) 第 Ⅱ--5 表グレンジャー因果性結果 ( 中小企業売上高前比 ROA( 因 ) 中小企業新設設備投資比率 ( 果 )) 業種 - 7 - 売上高前比 ROA 前期後期前期後期 食料品製造業木材 木製品製造業パルプ 紙 紙加工品製造業 ** * 印刷 同関連業化学工業石油製品 石炭製品製造業窯業 土石製品製造業 鉄鋼業 * 非鉄金属製造業 *** 金属製品製造業 * ** 生産用機械器具製造業 ** 業務用機械器具製造業 * 電気機械器具製造業 *** ** *** 自動車 同附属品製造業 * その他の輸送用機械器具製造業資料 : 法人企業統計調査 ( 財務省 ) しかし 生産の代理変数として用いた 法人企業統計調査により算出された売上高前 同期比 は 中小企業においてはサンプルの影響を受けてボラタイルであることが推

測される この振れが売上高前比のグレンジャー因果性のテスト結果に影響していると思われることから 確認のために 法人企業統計調査の企業規模別の売上高前同期比と鉱工業指数及び規模別製造工業生産指数の推移を比較すると 大企業においては 鉱工業指数と相似した動きであるのに対して 中小企業では 規模別製造工業生産指数との乖離がみられる ( 第 Ⅱ--1 図 ). 第 Ⅱ--1 図法人企業統計調査の売上高 ( 前同期比 ) と鉱工業指数及び規模別製造工業生産指数の比較 < 大企業 > < 中小企業 > 1. 1.1 11.1 11. 1. 1.1.. 売上高前比 ( 大企業 ) 鉱工業指数 ( 右目盛 ) 5 7 8 9 1 11 1 1 1 15 1 17 18 19 1 資料 : 法人企業統計調査 ( 財務省 ) 鉱工業指数 規模別製造工業生産指数 ( 中小企業庁 ) 9 8 7.1.. 売上高前比 ( 中小企業 ) 規模別製造工業生産指数 ( 右目盛 ) 5 7 8 9 1 11 1 1 1 15 1 17 18 19 1 9 8 7 このように 法人企業統計調査の中小企業の売上高前同期比は 生産の代理変 数としては振れが大きいため 中小企業の生産の代理変数を規模別製造工業生産指 数としてグレンジャー因果性テストを再度試みた注 ) しかし 規模別製造工業生産指数 を用いても 新設設備投資比率を先行するという業種は 業種と少なく 売上高前同 期比を用いても規模別製造工業生産指数を用いても 中小企業においては 生産が設 備投資を先行するという結果は得られなかった ( 第 Ⅱ-- 表 ) 第 Ⅱ-- 表グレンジャー因果性結果 ( 中小企業生産 ( 因 ) 中小企業新設設備投資比率 ( 果 )) 業種 パルプ 紙 紙加工品工業 鉄鋼業 生産 非鉄金属工業 * 金属製品工業 *** 一般機械工業 輸送機械工業 精密機械工業 窯業 土石製品工業 化学工業 資料 : 法人企業統計調査 ( 財務省 ) 規模別製造工業生産指数 ( 中小企業庁 ) そこで 中小企業の新設設備投資比率の動向については ROA との関係に着目し 注 ) 規模別製造工業生産指数のデータの制約上 突合可能な業種及び後期のみを対象とした - 71 -

後期において ROA( 因 ) と新設設備投資比率 ( 果 ) のグレンジャー因果性が 5% 有意 水準で確認された 業種について 大企業と同様に新設設備投資比率を要因分解して みる ( 第 Ⅱ--1 図 ) 業種とも大企業と同様に 後期に入ると 固定資産要因の寄与は小さくなっており 中小企業においても 固定資産を増加させるような設備投資を行っていないことが推測 される 非鉄金属製造業では 1 以前の新設投資要因は 比較的活発に動いてい る様子がうかがえたが 1 以降では ROA と新設設備投資比率も連動しているもの の ROA の大幅な改善と比べると小規模なものであった 金属製品製造業では 新設 投資要因の寄与の大きさは全期間を通して大きな差がみられなかったが 17 以降の ROA の改善を受け 固定資産要因 新設投資要因ともに増加していることから ROA の変化に機敏に反応していると推測される 電気機械器具製造業では 前期と比較す ると ROA の推移と連動してはいるものの 新設投資要因の寄与は小さく 新設設備投 資比率の規模としては収縮している様子がうかがえる 第 Ⅱ--1 図中小企業における業種別新設設備投資比率の要因分解 ( 前同期比 ) < 非鉄金属製造業 > 1 固定資産要因新設投資要因 1 新設設備投資比率 8 ROA 8 9 8 7 5 1 1 55 5 57 58 59 1 元 5 7 8 9 1 11 1 1 1 15 1 17 18 19 1 < 金属製品製造業 > 55 5 57 58 59 1 元 5 7 8 9 1 11 1 1 1 15 1 17 18 19 1-7 - 固定資産要因新設投資要因新設設備投資比率 ROA

< 電気機械器具製造業 > 15 1 固定資産要因新設投資要因新設設備投資比率 ROA 5 5 1 55 5 57 58 59 1 元 5 7 8 9 1 11 1 1 1 15 1 17 18 19 1 ( 注 ) 新設設備投資比率の要因分解は以下の通り 新設設備投資比率 (A)= 土地を除く新設固定資産 (B)/ 固定資産( 当期末 )- 土地 ( 当期末 ) (C) より ΔA ΔB/C ΔC B/C [ 新設投資要因 ] [ 固定資産要因 ] 資料 : 法人企業統計調査 ( 財務省 ) また この因果性テストは ラグを ( 注 5 参照 ) としているため これらの業種につい て 今般の中小企業の ROA の悪化は 設備投資に対して 先まで影響を与えるであ ろうことを示唆している () 自動車 同附属品製造業における売上高前比 ROAと新設設備投資比率及び製造業全体の売上高前比との関係 ~ 自動車 同附属品製造業の売上高前比が製造業全体へ与える影響をみると バブル崩壊後は崩壊前よりもインパクトのピークは大きく しかも収束が早い~ 日本において 自動車産業は産業の中で影響力が大きいことは産業連関表の影響力係数からも明らかであり ( 第 Ⅱ--7 表 ) 裾野が広い産業であることは言うまでもないため 大企業の自動車 同附属品製造業に着目し 売上高前比 ROAと新設設備投資比率の関係及び製造業全体の売上高前比との関係を確認する - 7 -

第 Ⅱ--7 表影響力係数一覧 (5 部門 時価評価 ) 順位 部門 影響力係数 順位 部門 影響力係数 1 乗用車 1.9 食料品 たばこ 飲料 1.551 その他の自動車 1.71 7 衣服 その他の繊維製品 1.189 合成樹脂 1.877 8 出版 印刷.9719 鉄鋼 1.57 9 建築及び補修.978 5 事務用 サービス用機器 1. 公共事業.98 化学基礎製品 1.18918 1 鉱業.957 7 その他 1.1779 窯業 土石製品.9811 8 医薬品 1.157 その他の土木建設.98 9 化学最終製品 1.155 非鉄金属.919 1 再生資源回収 加工処理 1.1517 5 その他の対事業所サービス.911 11 その他の輸送機械 1.18 農林水産業.9177 1 パルプ 紙 紙加工品 1.17975 7 石炭 原油 天然ガス.88988 1 その他の電子 通信機械 1.1 8 通信 放送.8787 1 その他の電気機器 1.119 9 対個人サービス.858571 15 重電機器 1.1158 調査 情報サービス.85189 1 一般機械 1.189 1 公務.898 17 民生用電子 電気機器 1.958 運輸.87 18 プラスチック製品 1.889 その他の公共サービス.78995 19 通信機械 1.8855 水道 廃棄物処理.7889 繊維工業製品 1.7 5 電力.788 1 電子計算機 同付属装置 1.5578 ガス 熱供給.797 金属製品 1.955 7 金融 保険 不動産.758 製材 木製品 家具 1.1 8 商業.791 精密機械 1.9 9 住宅賃貸料 ( 帰属家賃 ).5887 5 その他の製造工業製品 1.5 5 石油製品 石炭製品.57918 ( 注 ) 表の並び順は影響力係数の降順である 資料 : 平成 19 (7 ) 簡易延長産業連関表 ( 平成 1 基準 ) 第 Ⅱ-- 表の業種別のグレンジャー因果性結果 ( 大企業売上高前比 ROA ( 因 ) 大企業新設設備投資比率 ( 果 )) でみた通り バブル崩壊以後 自動車 同附属品製造業において ROAが新設設備投資比率を先行する関係が弱くなっている 各変数の推移をみてみると 1~1 月期以降 経済危機の影響を受けて売上高前比及びROAは急落しているものの 後期を通してみると 新設設備投資比率は一貫して低調なのにも関わらず 売上高前比及びROAとも顕著な低下傾向がみられなかった これを定量的にみるために タイムトレンドにより回帰式を算出した結果が参考の通りである 前期においては 設備投資 売上高前比及びROAのすべての係数はマイナスと右下がりのトレンドを示していたが 後期においては 新設設備投資比率は横ばいに近いマイナスの係数 売上高前比及びROAはともにプラスの係数と逆の符号になっている このことからも 前期から後期にかけて 大企業の自動車 同附属品製造業において 売上高前比 ROAと新設設備投資比率の関係に変化があったことがうかがえる ( 第 Ⅱ--15 図 ) - 7 -

第 Ⅱ--15 図自動車 同附属品製造業 ( 大企業 ) の新設設備投資比率 売上高前比及びROAの推移 ( 新設設備投資比率 ) ( 売上高前比 ) 8 7 5 1 1 1 8 前期 =.7-1.8Time 前期 (ROA) 後期 =17. -.18Time 55 5 57 58 59 1 元 5 7 8 9 1 11 1 1 1 15 1 17 18 19 1 後期 =15.77-1.75Time =-9.1 +1.58Time 5555758591 元 5 7 8 9 1111111511718191 1 1 前期 =5. -.9Time 後期 =-.15 +.1Time 5555758591 元 5 7 8 9 1111111511718191 ( 参考 ) 各変数のタイムトレンドによる回帰式 < 前期 > 新設設備投資比率 =.7-1.8Time 売上高前比 =5. -.9Time ROA=15.77-1.75Time < 後期 > 新設設備投資比率 =17. -.18Time 売上高前比 =-.15 +.1Time ROA=-9.1 +1.58Time ( 注 )1. 後期において 1~1 月期以降の売上高前比及び ROA の急落は特異な状況であるため 各変数の回帰対象期間から除外をした. 回帰式を算出するにあたり 各変数間の係数の比較を可能するため指数化した 資料 : 法人企業統計調査 ( 財務省 ) 次に VARモデルの分析手法の一つであるインパルス応答関数注 ) により 影響の大きさ及び伝播の長さについて 前期と後期の比較を行う 売上高前比から新設設備投資比率への結果を見ると 後期は前期と比較してショックに対するインパクトも小さく バブル崩壊以後 自動車産業において 売上高前比が新設設備投資比率に与える影響度が小さくなっている様子が インパルス応答関数を用いた分析によってもうかがえた ROAの結果をみると インパクトは後期において大きく縮小しているものの 1 期後にピークをむかえ その後収束する様子が確認された 仮に 単純にこの結果を当てはめると 今般のROAの急激な低下は新設設備投資比率に対して 半先まで影響することになる ( 第 Ⅱ--1 図 ) 注 ) インパルス応答関数とは ある時点で任意の変数に対して何らかのショックがあった場合に VARを構成する各変数間のフィードバック関係を通じて 変数相互の時間を追った関連をみるものである - 75 -

第 Ⅱ--1 図 累積インパルス応答関数 ( 大企業自動車 同附属品製造業売上高前比 ( 大企業自動車 同附属品製造業 ROA 新設設備投資比率 ) 新設設備投資比率 ).7...5 前期後期.5....1 前期後期....1. 1 5 7 8 9 1 11 1 1 1 15 1 ( 期 ).1 ( 注 )1.VAR モデルの次数は AIC 基準により決定した ( 以下同様 ). 自由度修正済みコレスキー分解を選択した ( 以下同様 ) 資料 : 法人企業統計調査 ( 財務省 ) 1 5 7 8 9 1 11 1 1 1 15 1 ( 期 ) また 大企業の自動車 同附属品製造業の売上高前比が製造業全体の売上高へ与える影響の変化についても確認すると 後期は前期よりも収束期間は短いものの インパクトのピークは早く大きい このことから バブル崩壊後も 自動車 同附属品製造業の生産が製造業全体の生産に与える影響力が依然としてあることが推察される ( 第 Ⅱ- -17 図 ) 第 Ⅱ--17 図累積インパルス応答関数 ( 大企業自動車 同附属品製造業売上高前比 製造業大企業売上高前比 ) 資料 : 法人企業統計調査 ( 財務省 ).18 前期.1 後期.1.1.1.8.... 1 5 7 8 9 1 11 1 1 1 15 1 ( 期 ) () まとめ 1 ~ 月期報において 生産 収益と設備投資の関係について時差相関を用いて分析した結果に対し VARモデルを用いて再検証を試みた その結果 時差相関か - 7 -

らの分析と同様に バブル崩壊以後 大企業において 国内において 設備投資 ( 新設設備投資比率 ) は生産 ( 売上高前同期比 ) 及び収益 (ROA) との相関が弱くなっている様子がうかがえた また 日本において中心的な産業である自動車 同附属品製造業を例にとり 同産業の生産 ( 売上高前同期比 ) が製造業全体の生産 ( 売上高前同期比 ) に与える影響度の変化について インパルス応答関数を用いてみたところ バブル崩壊後においても 影響を受ける期間は短いものの 影響の大きさはバブル崩壊前よりも大きいことが確認された - 77 -