第 6 次茨城県へき地保健医療計画 平成 25 年 1 月 茨城県
目 次 1 基本的事項 1 (1) 計画策定の目的 1 (2) 計画の期間 1 2 へき地保健医療対策の現状と課題 1 (1) へき地を取り巻く状況 1 (2) 医療提供施設の現状 3 (3) へき地保健医療対策の課題 4 3 へき地保健医療対策の目標 5 4 へき地等の医療提供体制を構築する各主体の役割 5 (1) 県の役割 5 (2) へき地医療を担う医師, 医療機関等へき地医療関係者の役割 5 (3) へき地を有する市町の役割 5 (4) 医療の提供を受ける住民の役割 5 5 へき地保健医療対策に係る具体的支援策 6 (1) へき地医療支援機構の強化について 6 (2) へき地医療を担う医師の動機付けとキャリアパスの構築について 6 (3) へき地等の医療提供体制に対する支援について 7 (4) へき地等の歯科医療体制について 7 (5) へき地等の医療機関に従事する医療スタッフについて 7 6 計画の推進 8
第 6 次茨城県へき地保健医療計画 1 基本的事項 (1) 計画策定の目的 1 へき地における住民や患者の実情を踏まえ, 本県のへき地保健医療の充実を図るため, 本計画を定める 1 へき地 無医地区, 準無医地区その他へき地診療所が設置されている等, へき地保健医 療対策の対象となっている地域 (2) 計画の期間 この計画の期間は, 平成 25 年度から平成 29 年度までの 5 か年とする 2 へき地保健医療対策の現状と課題 (1) へき地を取り巻く状況ア過疎地域の現状本県では, 大子町及び市町村合併以前に過疎地域であった旧山方町, 旧美和村, 旧緒川村, 旧御前山村 ( 現常陸大宮市 ), 旧金砂郷町, 旧水府村, 旧里美村 ( 現常陸太田市 ), 旧七会村 ( 現城里町 ) が過疎地域自立促進特別措置法 ( 平成 12 年法律第 15 号 ) により引き続き過疎地域としての指定を受けている また, 山村振興法 ( 昭和 40 年法律第 64 号 ) により過疎地域の一部, 日立市及び高萩市の一部が地域指定を受けている イ無医地区等の現状平成 21 年 10 月末に行った無医地区等調査では, 本県には, 無医地区が20 地区, 無医地区に準じる地区が1 地区あり, 交通網の整備等により, 前回調査から無医地区数が3 地区減少したところであり, 総数はここ20 年間ほぼ横ばいとなっている また, 無歯科医地区は21 地区, 無歯科医地区に準じる地区は1 地区あり, こちらもほぼ横ばいの状況となっている 1
2 3 ( 表 1) 無医地区数 準無医地区数の推移 平成元年度 平成 6 年度 平成 11 年度 平成 16 年度 平成 21 年度 無医地区数 (A) 19 21 23 23 20 準無医地区数 (B) 0 0 0 1 1 合計 (A+B) 19 21 23 24 21 ( 厚生労働省 : 無医地区等調査 ) 2 3 ( 表 2) 無歯科医地区数 準無歯科医地区数の推移 平成元年度 平成 6 年度 平成 11 年度 平成 16 年度 平成 21 年度 無歯科医地区数 (A) 21 23 22 25 21 準無歯科医地区数 (B) 0 0 0 0 1 合計 (A+B) 21 23 22 25 22 ( 厚生労働省 : 無医地区等調査 ) 2 無医地区 無歯科医地区医療機関 ( 歯科医療機関も含む ) がない地域で当該地区の中心的な場所を起点としておおむね半径 4kmの範囲内に50 人以上居住している地域でかつ容易に医療機関を利用できない地区 3 準無医地区 準無歯科医地区無医地区 無歯科医地区には該当しないが, 無医地区 無歯科医地区に準じた医療の確保が必要な地区と都道府県が判断し, 厚生労働省に協議することができる地区 2
( 表 3) 無医地区 準無医地区 無歯科医地区 準無歯科医地区の状況 市町名 地区名無医地区準無医地区無歯科医地区準無歯科医地区 常陸太田市 里川 里川 天竜院 天竜院 上武生 上武生 高萩市 上君田 上君田 下君田 下君田 横川 横川 中戸川 中戸川 大能 大能 若栗 若栗 北茨城市 小川 小川花園 常陸大宮市 久隆 久隆 北冨田 北冨田 仲河戸上 仲河戸上 大岩 大岩 油河内 油河内 相川 桧山 相川 桧山 城里町 塩子 塩子 赤沢 赤沢 大真 大真 大子町 北吉沢 北吉沢 栃原 大沢 栃原 大沢 合計 6 市町 20 地区 1 地区 21 地区 1 地区 ( 平成 21 年 10 月末現在 ) (2) 医療提供施設の現状アへき地医療支援機構県立中央病院に設置された茨城県へき地医療支援機構は, 本県におけるへき地医療対策に係る施策の一元的な企画 調整を行っている 3
イへき地診療所県内 3か所のへき地診療所が, 無医地区等における地域住民への医療を提供している 北茨城市立水沼診療所常陸大宮市国保美和診療所城里町国保七会診療所 ウへき地医療拠点病院県内 4か所のへき地医療拠点病院が, 巡回診療やへき地診療所への医師派遣, 代診医派遣等を行っている 北茨城市立総合病院茨城県立中央病院石岡第一病院常陸大宮済生会病院 エその他の医療機関へき地診療所, へき地医療拠点病院以外にも民間医療機関がへき地に暮らす住民に対して健康診断や巡回診療を行い, 一部地域においては, へき地の医療提供体制における大きな役割を果たしている (3) へき地保健医療対策の課題へき地における保健医療の現状は, 必ずしも十分とは言えず, 一般地域との保健医療水準の格差が存在しており, 県民が等しく適切な保健医療を受けられるよう, へき地保健医療体制を充実させる必要がある また, 医師不足により, へき地医療支援機構やへき地診療所, へき地医療拠点病院は十分に運営できる体制にあるとは言えない状況にあり, へき地医療に従事する医師や看護師等の人材の確保が必要となっている さらに, へき地では医療資源が乏しいなどの課題があり, 救急患者の搬送及び受入れ体制の充実が必要となっている 加えて, へき地には交通手段を持たない高齢者も多いことから, 交通手段の確保 充実により, 最寄りの医療機関を容易に利用できるようにしてへき地の医療を確保する必要がある 4
3 へき地保健医療対策の目標 無医地区等の地域住民が安心して医療を受けられる体制の整備 へき地医療に従事する医師, 看護師等人材の養成 確保 へき地における患者輸送体制の確保 4 へき地等の医療提供体制を構築する各主体の役割 へき地等の医療提供体制を構築する各主体は, お互いに横断的に連携 協力を図りな がらそれぞれの役割を果たすものとする (1) 県の役割 へき地医療支援機構におけるへき地医療支援事業の企画 調整 へき地医療に従事する医師, 看護師等人材の養成 確保 へき地診療所, へき地医療拠点病院への運営費, 設備 施設整備費の助成 (2) へき地医療を担う医師, 医療機関等へき地医療関係者の役割 ( へき地診療所 ) へき地における総合的な診療の提供 へき地医療拠点病院との連携体制の確保 へき地医療拠点病院における研修への積極的な参加 ( へき地医療拠点病院 ) 医師その他医療従事者の確保及びへき地診療所への派遣 無医地区への定期的な巡回診療の実施 へき地医療従事者に対する研修の実施 へき地診療所への診療支援 (3) へき地を有する市町の役割 へき地医療を担う医師や看護師等の生活環境や勤務環境の整備 無医地区の住民の患者輸送体制の確保 住民に対する健康づくりに関する啓発の実施 (4) 医療の提供を受ける住民の役割 へき地医療を担う医師, 看護師等の重要性や生活面での実情等を理解し, 市町, 地域コミュニティ等とともにへき地医療に従事する医師, 看護師等を支える役割 喫煙の防止による疾病の予防や健康診断の定期的な受診による疾病の早期発見等, 自身の健康管理に留意する役割 5
5 へき地保健医療対策に係る具体的支援策 (1) へき地医療支援機構の強化についてアへき地医療支援機構の役割県は, へき地医療対策に係る施策を一元的に企画 調整するための機関として県立中央病院に茨城県へき地医療支援機構を設置している 茨城県へき地医療支援機構は, へき地医療対策の各種事業を円滑かつ効率的に実施するため, 茨城県へき地医療支援計画策定会議において, へき地医療支援計画を策定し, 次の事業を行うものとする なお, へき地への医師派遣の調整に当たっては, 保健福祉部内に設置している地域医療支援センターと連携を図るものとする 1 へき地における総合的な診療計画の企画 調整 2 へき地医療拠点病院とへき地診療所間の医師派遣の調整 3 へき地医療拠点病院における医師等の派遣登録業務及び当該人材のへき地診療所への派遣業務に係る指導 調整 4 へき地医療従事者に対する研修計画 プログラムの形成 5 へき地医療拠点病院の活動評価 6 非常勤医師の配置などのへき地で勤務を希望する医師への情報提供 7 へき地診療所への診断支援を行う遠隔医療についての検討 8 市町村が設置運営するへき地診療所に対する支援 9 総合医のへき地診療所への配置の支援 イへき地医療支援機構が行う取組に対する支援 1 地域医療に意識の高い医師で, かつ, へき地で相当の診療経験を有する者を専任担当者として配置し, 専任担当者が現場の医師と行政のパイプ役として, へき地医療対策の各種事業に対し助言 調整等が行えるよう支援を行う 2 他都道府県の施策の情報収集等, へき地医療の現状把握に努めるとともに, 関係市町との連携強化を図りながら, へき地医療支援機構の機能強化に向け, 積極的に支援を行う 3 医師確保については, へき地医療支援機構が地域医療支援センターと連携を図り, 事業を実施できるよう支援を行う 4 全国へき地医療支援機構等連絡会議 等を通じて, 他都道府県の施策等の情報収集を行い, へき地医療支援機構の活動評価を行う (2) へき地医療を担う医師の動機付けとキャリアパスの構築についてア医師の育成過程等におけるへき地医療への動機付け修学資金や地域枠を活用している医学生等を対象とした本県の地域や医療の現状を学ぶためのセミナー等を開催し, 地域医療に従事する使命感や意欲の醸成を図る 6
イ安心して勤務 生活できるキャリアパスの構築修学資金や地域枠を活用して卒業した医師をはじめとする若手医師を対象に, 県内医師不足地域で一定期間従事しながらでも医師として必要な技術が身につけられるキャリアパスの構築に取り組む (3) へき地等の医療提供体制に対する支援についてアへき地医療機関に対する支援策へき地診療所及びへき地医療拠点病院に対する運営費及び設備 施設整備費の助成を行い, へき地における医療提供体制の維持に努める イ情報通信技術 (IT) による診療支援 IT を活用し, へき地医療に関する情報を共有するとともに, 必要に応じた専門 医療の提供体制の推進を図る ウドクターヘリの活用方策無医地区及びへき地診療所からアクセスしやすい場所にヘリコプターの離着陸場であるランデブーポイントを整備し, へき地においても迅速に第三次救急医療を受けられるよう救急搬送体制の充実を図る エ患者輸送体制の確保 無医地区の住民の交通手段を確保するため, 市町における患者の輸送体制を引き 続き維持する オ在宅医療の充実 在宅医療に係わる関係機関が連携して, へき地の実情に応じた継続的な在宅医療 提供体制の充実を図る (4) へき地等の歯科医療体制について 県歯科医師会等関係団体と連携して, 無歯科医地区の歯科医療の提供を図る (5) へき地等の医療機関に従事する医療スタッフについて 修学資金の貸与等により, へき地をはじめとする県内の看護職員の養成 確保を 図る 7
6 計画の推進本計画の推進にあたっては, へき地医療支援機構のもとで協議 調整を図るものとする また, 関係市町においては, 本計画に基づき, それぞれの地域の特徴を活かした市町事業実施計画を策定してへき地保健医療の充実を図るものとする 8