米国大統領選挙の展望 構成 1. 大統領選挙の行方 2. 選挙後の政策を考える 2 1. 大統領選挙の行方 3 69

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米中間選挙結果とインプリケーション

期待に反して共和党によって ねじれ議会 が解消された場合には オバマ政権は自らの政策を推し進め難くなる 議会の主導権を共和党に掌握されるからである 現在の ねじれ議会 であれば 少なくとも上院においては 多数党を占める民主党が ある程度は政権の意向を代弁してくれる これが共和党議会となれば 議会の立

米中間選挙結果と今後の経済政策への影響-追加減税やオバマケア廃止の軌道修正は必至

る傾向がみられる 自由貿易協定が個人の経済状況に与えた影響 全体支持候補年齢学歴大卒大学高卒クリントントランプ 大卒以上中退以下良い影響 40% 51% 24% 66% 42% 31% 32% 56% 43% 42% 30% 悪い影響 45% 32% 68

大学の無償化を加えると 経済効果は大きく拡大 クリントン候補の政策をやや詳細にみると 歳入面では 主に高所得者への増税を目指す一方 支出面では インフラ投資の拡大や大学の学費補助の他 オバマケアの拡大などが盛り込まれている ( 表 2) 大学の学費関連については 責任ある連邦予算委員会 (CRFB)

構成 1. 中間選挙の結果 P 4 2. 中間選挙後の論点 P 9 2

米国の大統領選挙はクリントン氏優位で終盤戦 焦点は議会選挙へ 両候補に共通する保護主義的な政策 トランプ氏の 米国第一主義 など 米国は閉鎖的な政策に進む瀬戸際 TPP 実現には時間が必要に トランプ氏勝利の場合 不透明感が著しく高まり 利上げの障害に クリントン氏勝利の場合 安心感から短期的には円

むしろ 中間選挙への政治的な計算は オバマ政権による政策運営の障害となっている面が目立つ 好例が冒頭に上げたTPAである 民主党の場合 オバマ政権の通商アジェンダの推進に対しては 労働組合などの主要な支持者に反対論が根強い 選挙を最優先したい議会のリーダーとしては この時期に敢えて支持者の反感を買う

株式:マーケット・フォーカス

一部新興国市場が動揺 アルゼンチンは前四半期から経済危機に陥っていましたが トルコでは 6 月に再選された大統領が米国と対立したこと等を契機に 8 月に通貨が急落しました ブラジルや南アフリカ インドの通貨も下落が加速する局面が見られ 中国元も緩やかに値を下げました これまでのところ個別国の問題とい

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2. 富裕層減税で一致する共和党候補トランプ氏の提案が普通であると驚かれたのは 富裕層減税の路線が維持されたからだ それまでの選挙戦でトランプ氏は 富裕層に対しては増税を行い 減税の中心を中間層とする意向を示唆していた 最高税率の引き下げを重視してきた共和党にとって 富裕層増税は政治的に踏み込むこと

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Q1: 先に行われました第 1 回テレビ討論会についてどう思われましたか? A: 9 月 27 日 ( 日本時間 ) のテレビ討論会では 民主党候補のヒラリー クリントン氏と共和党候補のドナルド トランプ氏が初めて直接対決しました 選挙にはまだ時間がありますし 今回のテレビ討論会だけで 何らかの結論

1. 世界における日 経済 人口 (216 年 ) GDP(216 年 ) 貿易 ( 輸出 + 輸入 )(216 年 ) +=8.6% +=28.4% +=36.8% 1.7% 6.9% 6.6% 4.% 68.6% 中国 18.5% 米国 4.3% 32.1% 中国 14.9% 米国 24.7%

現代資本主義論

アウトルック

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スライド 1

2016 年 11 月 8 日利が確実になっていた 前回の本報告でも述べた通り この時点はトランプ氏と陣営 共和党支持者の熱意も低下し トランプ氏が大敗を喫する可能性も高くなっていた しかし大詰めの選挙戦は FBI( 米連邦捜査局 ) のコミー FBI 長官が米議会へクリントン氏の私用メール問題に関

ねじれ議会で高まる米国経済の減速リスク

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大統領選挙 上下両院議会選挙を前にした 米国政治情勢と TPP の行方 1. はじめに 昨年から1 年以上に渡り戦いが展開されてきた米国大統領選挙は 11 月 8 日の投票日をあと約 2 週間後に控え いよいよ最終局面に突入している これまでクリントン候補が若干のリードを保つ形で推移してきた両党大統

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米国大統領選の動向と TPP 議会審議への影響について 1. はじめに 11 月の米大統領選挙に向けて 2 月 1 日のアイオワ党員集会を皮切りに始まった予備選挙 党員集会は 重要州の投票が集中するいわゆるスーパー チューズデー等を経て 両党における候補が絞られてきた 共和党側では 出馬当初には躍進

トランプ新大統領の今後の注目点

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2016 年米国選挙 : 市場の反応および推測されること 11 月 8 日は 次の 4 年間で誰がその国を導いていくかを決めるため米国市民が招集される日である 最新の世論調査は事実の疑念性を高めており 2 人の主要候補者間の支持率の差が近日かなり接近していることがわかっている 当然のことながら 共和

1.ASEAN 概要 (1) 現在の ASEAN(217 年 ) 加盟国 (1カ国: ブルネイ カンボジア インドネシア ラオス マレーシア ミャンマー フィリピン シンガポール タイ ベトナム ) 面積 449 万 km2 日本 (37.8 万 km2 ) の11.9 倍 世界 (1 億 3,43

1.ASEAN 概要 (1) 現在の ASEAN(216 年 ) 加盟国 (1カ国: ブルネイ カンボジア インドネシア ラオス マレーシア ミャンマー フィリピン シンガポール タイ ベトナム ) 面積 449 万 km2 日本 (37.8 万 km2 ) の11.9 倍 世界 (1 億 3,43

果の平均は 残留が 44% 離脱が 40% と僅差ながら残留が離脱を上回っている ( 第 1 表 ) ただしここで 調査方法毎の平均をみると インターネットを通じたオンライン調査の結果 は 残留が 40% 離脱が 41% と拮抗状態にあるのに対し 電話調査では残留が 47% 離脱 が 38% と残留

2. 政党支持率政党支持率は 自民党が前回に比して 増加 が 2 社から 5 社に増え 減少 が 7 社から 3 社に減少した 立憲民主党は 前回に比して 増加 が 6 社 減少 が 2 社 変わらず 1 社となっており 前回と同じ結果になっている 他の政党は大きな変化がない 表 1 参照 3. 憲

過去の結果をみると 中間選挙では政権の実績に対するチェックが働くという点から 与党が議席数を減らす傾向があり 今回もこうした状況にある その一方 上院では改選 35 議席中 民主党の議席が26 議席と多く 過半数 (51 議席 ) の確保にはすべての改選議席を維持したうえで 2 議席を上積みする必要

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遡れば 改革派保守と目される識者たちは 2012 年のオバマ大統領再選を契機に 路線修正の必要性を強調し始めていた 3 その主張が集約されたのが Room to Growである 発表にあわせて実施されたセミナーに マコネル上院院内総務を始めとする共和党の議会指導部メンバーが登壇したことも 改革派保守

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_トランプ政権誕生について

米国中間選挙 : 上院は共和党 下院は民主党が過半数を獲得 ねじれ議会へ 上院の現議席と中間選挙の結果 下院の現議席と中間選挙の結果 ~ 上院は共和党が過半数を維持し議席数を拡大 ~ ~ 下院は民主党が過半数を奪回 ~ 合計 :100 議席過半数 :51 議席 外円 : 現在の議席 合計 :435

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トランプ政権が発足-選挙公約から政策の軌道修正は不可避

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2016 年 メキシコペソ もとの状況と今後の 通し <メキシコペソ / 円は下落 > < 政策 利とインフレ率の推移 > メキシコペソは もとまで軟調に推移してきました しかし 原油先物価格は2016 年 2 に安値をつけて下落が続いてきた理由として 1 統領選 2メ以降 持ち直す展開

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【ロシア最新経済金融週報】

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キヤノングローバル戦略研究所 (CIGS) ダニエル C スナイダーセミナー 米国中間選挙: その結果と米外交政策にもたらす意味 講演要旨 開催日 :2018 年 11 月 12 日 会場 : キヤノングローバル戦略研究所会議室 CopyrightC2018 CIGS. All rights res

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Jan-80 Jan-82 Jan-84 Jan-86 Jan-88 Jan-90 Jan-92 Jan-94 Jan-96 Jan-98 Jan-00 Jan-02 Jan-04 Jan-06 Jan-08 Jan-10 Jan-12 Jan-14 Jan-16 丸紅ワシントン報告 図表 1 製造

1. 米国大統領選挙 (1) 一段と混沌の度合いを増す選挙戦共和党の大統領候補はドナルド トランプ氏 1 人に絞られた 一方 民主党ではバーニー サンダース氏が残ってはいるが ヒラリー クリントン氏が指名獲得に必要な代議員の過半数を超えたため 同氏が大統領候補となることがほぼ確実となった 前回 3

予算編成、税制改革の動向-未だ詳細は不明。議会共和党からの支持が鍵だが、政策協調の可能性は低い。

夢真ホールディングス IR セミナー 大岩川源太 ( 新生ジャパン投資投資インストラクター ) 2017 年 5 月 25 日 ( 木 ) 夢真ホールディングス本社 22 階会議室 Copyrights(c)2016 gentajuku all rights reserved.

【Market Insights】トランプ氏と共和党の勝利~資産運用は「時流に流されない」のがよい~

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2 / 6 不安が生じたため 景気は腰折れをしてしまった 確かに 97 年度は消費増税以外の負担増もあったため 消費増税の影響だけで景気が腰折れしたとは判断できない しかし 前回 2014 年の消費税率 3% の引き上げは それだけで8 兆円以上の負担増になり 家計にも相当大きな負担がのしかかった

丸紅ワシントン報告 年 11 月 3 日 丸紅米国会社ワシントン事務所長今村卓 米国中間選挙 4 速報 共和党は下院で 60 議席以上伸ばす 1948 年以来の大勝 民主党は上院の過半数を確保でき

平成 26 年 11 月 11 日 在ボスニア ヘルツェゴビナ日本国大使館 2014 年ボスニア ヘルツェゴビナ国政選挙結果 11 月 10 日 ボスニア ヘルツェゴビナ (BH) 中央選挙管理委員会が 2014 年 10 月 12 日に行われたBH 国政選挙の最終結果を確定しました この選挙結果は

経済財政モデル の概要 経済財政モデル は マクロ経済だけでなく 国 地方の財政 社会保障を一体かつ整合的に分析を行うためのツールとして開発 人口減少下での財政や社会保障の持続可能性の検証が重要な課題となる中で 政策審議 検討に寄与することを目的とした 5~10 年程度の中長期分析用の計量モデル 短

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また インドネシアの経常収支は 年 ~ 月期には対名目 GDP 比 +.8% と黒字であったが 年 7 ~9 月期には同.% と大幅な赤字に転じた 経常収支の悪化が続くなか 年 月には米国の量的金融緩和第 弾 (QE) 縮小観測が生じたことを背景に 両国の通貨には大幅な下落圧力がかかった また同時期

P. 2 P. 4 P. 5 P. 6 P. 7 P. 9 P P.11 P.14 P.15 P.16 P.16 P.17 P.19 P.20 P.22 P P P P P P P P P

P. 2 P. 4 P. 5 P. 6 P. 7 P. 9 P.10 P.12 P.13 P.14 P.14 P.15 P.17 P.18 P.20 P P P P P.25 P.27 P.28 Copyright 2016 JAPAN POST BA

2017年上半期の為替相場展望

今回の金融政策報告書では 米国内の投資活動が弱いために輸出が想定ほど伸びていないとしながらも 金融業などサービス関連の好調さを示す分析や 商品価格下落がカナダ企業の投資活動を抑制する動きは底打ちしたとの指摘など カナダ景気に前向きな材料も散見されます 当面は 政策金利の据え置きを続けると見通します

みずほインサイト 米州 2016 年 11 月 18 日 トランプノミクスと持続的成長財政の景気押し上げ効果は短命 欧米調査部主席エコノミスト小野亮 トランプ氏の勝利は 拡張的財政と規制緩和 ( トランプノミクス ) へ

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みずほインサイト アジア 2016 年 12 月 27 日 中国為替操作国認定問題の行方認定の可否と人民元レートへの影響の考察 みずほ総合研究所調査本部アジア調査部 米国が中国を為替操作国として認定することは現行基準ではできないが トランプ氏が公約通り大統領就任初日に財務長

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つのシナリオにおける社会保障給付費の超長期見通し ( マクロ ) (GDP 比 %) 年金 医療 介護の社会保障給付費合計 現行制度に即して社会保障給付の将来を推計 生産性 ( 実質賃金 ) 人口の規模や構成によって将来像 (1 人当たりや GDP 比 ) が違ってくる

14 日本 ( 社人研推計 ) 日本 ( 国連推計 ) 韓国中国イタリアドイツ英国フランススウェーデン 米国 図 1. 1 主要国の高齢化率の推移と将来推計 ( 国立社会保障 人口問題研究所 資料による ) 高齢者を支える

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米国の TPA( 貿易促進権限 ) の行方と 今後の TPP 交渉について ( 前編 ) はじめに 昨年 11 月 中国で行われたTPP 首脳会合では 過去数か月の大きな進展を歓迎する とともに 閣僚等に対して この協定の妥結を最優先とすることを指示した などとする首脳声明が発表された この会合に先


( 億円 ) ( 億円 ) 営業利益 経常利益 当期純利益 2, 15, 1. 金 16, 額 12, 12, 9, 営業利益率 経常利益率 当期純利益率 , 6, 4. 4, 3, 2.. 2IFRS 適用企業 1 社 ( 単位 : 億円 ) 215 年度 216 年度前年度差前年度

無党派層についての分析 芝井清久 神奈川大学人間科学部教務補助職員 統計数理研究所データ科学研究系特任研究員 注 ) 図表は 不明 無回答 を除外して作成した 設問によっては その他 の回答も除外した この分析では Q13 で と答えた有権者を無党派層と定義する Q13 と Q15-1, 2 のクロ

(2) 円安を予想する割合が大幅に増加 [ 参照 : 別紙レポート 5 ページグラフ 3] 今後 3 ヶ月程度の米ドル / 円相場の見通しについて 円安になる と回答した個人投資家の割合が 51% と 前回調査時の 32% から大きく高まりました 米国の年内追加利上げの可能性がかなり高まってきたとみ

不安定な政治が常態化した米国


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証券レビュー第 56 巻第 号 米国大統領選挙の展望 16.9.6. 欧米調査部長安井明彦 Copyright Mizuho Research Institute Ltd. All Rights Reserved.... わからないことが起こっている 英国の国民投票で残留勝利を予測した度合い (%pt) 12 8 6 4 2 世論調査投票者予測モデルブックメーカーボランティア専門家 ( 注 ) 残留( 確率 ) - 離脱( 確率 ) 16 年 6 月 23 日時点 ( 資料 )Fisher(16) により作成 1 68

米国大統領選挙の展望 構成 1. 大統領選挙の行方 2. 選挙後の政策を考える 2 1. 大統領選挙の行方 3 69

証券レビュー第 56 巻第 号 秋が近づくとともに漂い始めた クリントン逃げ切り の気配 どちらに投票するか ( 世論調査 ) 5 4 クリントン トランプ 3 16/1 16/2 16/3 16/4 16/5 16/6 16/7 16/8 ( 資料 )Real Clear Politics 調査より みずほ総合研究所作成 ( 年 / 月 ) 4 注目されたら負け の選挙 このままトランプの信任投票となれば クリントンの楽勝も 各候補の好感度 ( 世論調査 ) 相手候補への批判票 と考える割合 ( 世論調査 ) ブッシュ (92 年 ) ドール (96 年 ) ゴア ( 年 ) ケリー (4 年 ) マケイン (8 年 ) ロムニー (12 年 ) 過去に負けた大統領候補 7 6 5 4 3 クリントン (16 年 ) トランプ (16 年 ) 6 4 4 共和党支持者民主党支持者 4 8 12 16 ( 年 ) ( 注 )1. ポジティブな評価 - ネガティブな評価 2. 選挙年 4 月の調査 ( 資料 )Gallup 調査より みずほ総合研究所作成 ( 資料 )Pew Research Center 調査より みずほ総合研究所作成 5 7

得票率53% 率上昇支持率 米国大統領選挙の展望 本来はクリントンの楽勝 = 同一政党三連勝 現状維持の選挙ではないはずだが 大統領選挙の勝利政党 クリントンの得票率試算 大統領 ( 第一期当選年 ) 第一期 第二期 第三期 アイゼンハワー (1952 年 ) 共和 共和 民主 ( ケネディ ) ケネディ (196 年 ) 民主 民主 共和 ( ニクソン ) ニクソン (1968 年 ) 共和 共和 民主 ( カーター ) レーガン (198 年 ) 共和 共和 共和 ( ブッシュ ) クリントン (1992 年 ) 民主 民主 共和 (G.W. ブッシュ ) ブッシュ ( 年 ) 共和 共和 民主 ( オバマ ) オバマ (8 年 ) 民主 民主?? ( 資料 ) みずほ総合研究所作成 54 53 (52 5.9% 51 )5 49 48.9% 48 47 46.9% 不支持率 44% 46 成長率 (1.1%) 45 1 2 3 4 5 6 ( 実質 GDP 成長率 ) 成長率上昇 ( 注 )1. 支持率は選挙年の6 月末 2. 実質 GDP 成長率は投票年の第 2 四半期 ( 資料 )Ablamowitz(12) より みずほ総合研究所作成 支持 6 有権者の不満はうっ積も アウトサイダー支持は 無視できない少数派 に止まる 米国が進んでいる方向性に満足しているか トランプとサンダースの支持率 9 8 7 6 5 4 3 満足していない 満足している 198 1985 199 1995 5 15 ( 年 ) 5 45 4 35 3 25 15 トランプ 5 サンダース 15/1 15/4 15/7 15/ 16/1 16/4 ( 年 / 月 ) ( 資料 ) ギャロップ社調査より みずほ総合研究所作成 ( 注 ) 共和党支持者 ( トランプ ) 民主党支持者( サンダース ) における支持率 ( 資料 )Real Clear Politics 資料より みずほ総合研究所作成 7 71

証券レビュー第 56 巻第 号 トランプ支持は白人男性 労働者階層に限定 非白人等に広がらない どちらに投票するか ( 世論調査 ) トランプとロムニーの支持率比較 ( 世論調査 ) 9 8 7 トランプ クリントン (%pt) 5 45 4 35 トランプ ロムニー 6 3 5 25 4 3 15 男性白人女性ヒスハ ニック黒人 5 白人男性女性大卒未満大卒以上 ( 注 )16 年 5 月 14~17 日調査 ( 資料 )Fox News 調査より みずほ総合研究所作成 ( 注 )1. トランプはクリントンとの支持率の差 (16 年 5 月 16~19 日調査 ) 2. ロムニーは12 年大統領選挙でのオバマとの得票率の差 ( 出口調査 ) ( 資料 )Washington Post 資料より作成 8 非白人の存在感は上昇 白人からの高得票率に頼った勝利は難易度が高い 大統領選挙人獲得数 クリントン 269 人 (27 人超で当選 ) トランプ ベースライン 242 人 18 人 年以降 同一政党勝利 ( 民主 18 州 +DC 共和 22 州 ) オバマ (16 年 ) 332 人 6 人 民主 26 州 +DC 共和 24 州 Swing State シナリオ 281 人 年以降 最低 2 回共和が勝利 ( ノースカロライナ インテ ィアナ ハ ーシ ニアオハイオ ネハ タ フロリタ コロラト ) 中西部シナリオ ( 白人票中心 ) 261 人 オハイオ インテ ィアナ ヘ ンシルハ ニアアイオワ ウィスコンシン ミシカ ン ( 資料 ) みずほ総合研究所作成 9 72

米国大統領選挙の展望 テレビ討論会 サプライズ等で文脈は変わるのか? 今後のスケジュール 本選挙 16 年 9 月 26 日第一回大統領候補テレビ討論会 ( ニューヨーク州ヘムステッド ) 月 4 日副大統領候補テレビ討論会 ( バージニア州ファームビル ) 月 9 日第二回大統領候補テレビ討論会 ( ミズーリ州セントルイス ) 月 19 日第三回大統領候補テレビ討論会 ( ネバダ州ラスベガス ) 11 月 8 日投票日 新体制発足 17 年 1 月 3 日新議会 会期開始 1 月 日大統領就任式 ( 資料 )New York Times 資料等より みずほ総合研究所作成 2. 選挙後の政策を考える 11 73

証券レビュー第 56 巻第 号 いずれの候補も 大きな政府 に傾斜 保護主義は共通も 対外政策が相違点に 各候補の主張 < クリントン > < トランプ > < 伝統的な共和党の路線 > 年金 医療保険を強化年金を維持年金 医療保険を抑制 インフラ投資重視インフラ投資重視歳出抑制 保護主義 (TPP 反対 ) 保護主義 (TPP 反対 ) 自由貿易 国際主義 米国第一主義 不法移民合法化 不法移民強制退去 ( 資料 ) みずほ総合研究所作成 12 支持者の価値観に変化の兆し 先入観を捨てて二大政党を見直す必要 年金 通商政策の見方 ( 世論調査 ) 通商を機会とみる割合 ( 世論調査 ) 8 7 6 5 4 3 7 6 5 4 共和党 民主党 共和党支持者 トランプ支持者 年金削減反対 民主党支持者 共和党支持者 トランプ支持者 FTA 反対 民主党支持者 3 1 3 5 7 9 11 13 15 ( 年 ) ( 資料 )Pew Research Center 調査 (16 年 3 月 17~27 日 ) により作成 ( 資料 ) ギャロップ社調査により作成 13 74

米国大統領選挙の展望 選挙後の政策とリスク 1 財政赤字は拡大傾向に転換へ 米国の財政収支 (GDP 比 ) 財政収支の変化 (GDP 比 ) 4 2 2 4 6 2 8 4 12 財政収支 過去 5 年の平均 5 6 7 8 9 11 12 13 14 15 ( 年度 ) 6 8 11~15 年度 ( 実績 ) クリントン案 17~26 年度 トランプ案 ( 資料 )CBO 資料より みずほ総合研究所作成 ( 注 ) 初年度の財政赤字額が継続した場合との差額を累積 ( 資料 )CBO, Tax Policy Center, CFRB 資料等により みずほ総合研究所作成 14 両候補の力点には違い クリントンは歳出拡大中心 トランプは減税中心 各候補の提案 (GDP 比 ) 税制による税引き後所得の変化 25 12 8 6 クリントン案 トランプ案 15 歳出歳入財政赤字 4 2 5 15 年度クリントン案 15 年度トランプ案 2 4 ~ ~4 4~6 6~8 8~ 低所得 高所得 ( 注 ) クリントン案 トランプ案は 年間の累計 ( 資料 )CRFB, CBO 資料により作成 ( 注 )X 軸は所得階層 ( 資料 )TPC 資料により作成 15 75

証券レビュー第 56 巻第 号 2 閉じた政策が選ばれるリスク : 新政権下での TPP 議会承認は至難の業 各候補の主張 クリントン トランプ TPP に対する評価雇用を増やし 安全保障に資するという条件を満たしていないもっともひどい通商合意の一つ ない方が良い TPP と為替操作為替操作 ( 対策 ) が TPP の一部でないことを懸念している TPP は日本に為替操作をやめさせることもできない ひどい合意だ TPP と中国 (TPP の ) 原産地規則が中国に迂回輸出の機会を与えている それが TPP に反対している理由のひとつである TPP は中国が裏口を使って利益を得るための合意である ( 資料 ) 各種報道によりみずほ総合研究所作成 16 米議会は為替報告書を強化済み 日本は監視リスト入り 為替報告書 16 年 4 月報告書での評価 1988 年法 15 年法 1 顕著な対米貿易黒字 1 顕著な対米貿易黒字 2 顕著な経常収支黒字 2 顕著な経常収支黒字認定基準 3 経常収支の調整阻止 もしく 3 継続的 一方的な為替市場は 不公正な競争的優位獲得への介入のための為替操作 1 交渉 (IMFの場を含む) 実施 1 二国間交渉実施 2 一年間の交渉で結果が出ない場合の対抗措置認定後の措置 OPIC 経由融資の禁止 政府調達への参加禁止 IMFへの調査要請 通商交渉締結時に考慮 1 対米貿易収支 2 経常収支 3 介入 ( 純外貨購入 ) 監視リスト ( 億ドル ) (GDP 比 %) (GDP 比 %) ( 継続的購入 ) 億ドル以上 3% 超 2% 超 8ヶ月以上 認定基準 2 項目以上 中国 3,657 3.1 3.9 ドイツ 742 8.5 日本 686 3.3. メキシコ 584 2.8 1.8 韓国 283 7.7.2 イタリア 278 2.2 インド 232 1.1 1.8 フランス 176.2 カナダ 149 3.3. 台湾 149 14.6 2.4 英国 15 5.2 ブラジル 43 3.3.1 ( 注 )1988 年法はOmnibus Trade and Competitiveness Act of 1988, 15 年法はTrade Facilitation and Trade Enforcement Act of 15. ( 資料 ) 財務省資料によりみずほ総合研究所作成 ( 注 )15 年の実績 ( 資料 ) 財務省資料によりみずほ総合研究所作成 17 76

米国大統領選挙の展望 自国中心的な外交政策による 力の空白 が 地政学リスクの高まりを招く懸念 米国は自国重視の外交をすべき ( 世論調査 ) 中国は米国に代わって覇権国となるか ( 世論調査 ) 55 5 45 9 8 7 代わった / 代わる 代わらない 4 6 35 5 3 4 25 3 15 1964 1969 1974 1979 1984 1989 1994 1999 4 9 14 ( 年 ) ( 資料 ) Pew Research Center 資料により作成 フランス英国ドイツ韓国日本 ( 注 )15 年 3 月 25~27 日調査 ( 資料 )Pew Research Center 調査により作成 18 3 下院では共和党が多数党維持の公算大 決められない政治 再現のリスク 上院選挙の状況 下院選挙の状況 ( 選挙区の帰趨 ) 民主党 共和党 ( 選挙区の帰趨 ) 民主党 共和党 確実 確実 44 41 177 2 + 優勢 + 優勢 45 44 183 215 + やや優勢 + やや優勢 45 46 19 226 + 拮抗 + 拮抗 46 54 193 242 ( 注 ) 数字は議席数 ( 過半数は51 議席 ) ( 資料 )Cook Political Reportより みずほ総合研究所作成 ( 注 ) 数字は議席数 ( 過半数は218 議席 ) ( 資料 )Cook Political Reportより みずほ総合研究所作成 19 77

証券レビュー第 56 巻第 号 党派対立は深刻化 超党派の協力は頻度が低下 大統領 議会多数党の組み合わせと実績 議会多数党 開始年 大統領 実績 上院 下院 1981 レーガン ( 共和 ) 共和 民主 レーガン減税 83 レーガン ( 共和 ) 共和 民主 85 レーガン ( 共和 ) 共和 民主 税制簡素化 87 レーガン ( 共和 ) 民主 民主 89 ブッシュ ( 共和 ) 民主 民主 91 ブッシュ ( 共和 ) 民主 民主 増税による財政再建 (OBRA91) 93 クリントン ( 民主 ) 民主 民主 増税による財政再建 (OBRA93) 95 クリントン ( 民主 ) 共和 共和 福祉改革 (PRWORA) 97 クリントン ( 民主 ) 共和 共和 財政黒字化 (BBA97) 99 クリントン ( 民主 ) 共和 共和 1 ブッシュ ( 共和 ) 共和 共和 ブッシュ減税 (EGTRRA) 3 ブッシュ ( 共和 ) 共和 共和 ブッシュ減税 (JGTRRA) 5 ブッシュ ( 共和 ) 共和 共和 7 ブッシュ ( 共和 ) 民主 民主 9 オバマ ( 民主 ) 民主 民主 景気対策 医療制度改革 ( オバマケア ) 11 オバマ ( 民主 ) 民主 共和 13 オバマ ( 民主 ) 民主 共和 15 オバマ ( 民主 ) 共和 共和 ( 注 ) 議会多数党は会期開始時点 ( 資料 )CQ 資料等により みずほ総合研究所作成 クリントンの経済政策による効果は 議会との妥協で縮小する可能性 クリントン政権下の実質 GDP ( 兆ドル ) 22 21 現状維持 クリントン案 現実的な妥協案 1% 19 18 17 16 16 17 18 19 21 22 23 24 25 26 ( 年 ) ( 資料 )Zandi et al (16) より みずほ総合研究所作成 21 78

米国大統領選挙の展望 トランプの極端な経済政策はリスク 議会はトランプを制御できるのか? トランプ政権下の実質 GDP ( 兆ドル ) 22 21 19 現状維持 トランプ案 7% 18 17 16 財政赤字移民排斥保護主義 16 17 18 19 21 22 23 24 25 26 ( 年度 ) ( 資料 )Zandi et al (16) より みずほ総合研究所作成 22 まとめ 1. 大統領選挙の行方 トランプの信任投票となれば クリントンの楽勝も 2. 選挙後の政策を考える 財政赤字は拡大傾向に転換へ 閉鎖的な政策 決められない政治 のリスク 23 79

未来を選びきれない過渡期の選挙に? 証券レビュー第 56 巻第 号 経済 : 金融危機後の 未来 低成長 格差拡大に特効薬なし外交 : 対テロ戦争後の 未来 閉じる政策の誘惑政治 : オバマ後の 未来 不人気候補 世代交代足踏み 24 本資料は情報提供のみを目的として作成されたものであり 取引の勧誘を目的としたものではありません 本資料は 弊社が信頼に足り且つ正確であると判断した情報に基づき作成されておりますが 弊社はその正確性 確実性を保証するものではありません 本資料のご利用に際しては ご自身の判断にてなされますようお願い申し上げます 25 8