脂質異常症編 脂質異常症 ( 高脂質血症 ) について 悪玉コレステロール 善玉コレステロールとは生活習慣の見直しや薬物治療 日本人の約 200 万人の方が罹患していると言われる脂質異常症 ( 厚生労働省平成 26 年 患者調査の概況 ) 栄養バランスの偏った食事や運動不足などの生活習慣が原因となりこの脂質異常症を放置すると動脈硬化から狭心症や脳梗塞を引き起こし 時には突然死に至ることもあります 日常生活をどう改善見直しすればいいのか 食生活の見直しの他に運動の在り方など更には薬物療法がどのように進められるのか? そういった内容をお伝えいたします ( イラスト等ファイザー製薬等の Hp を利用させていただきました ) 悪玉コレステロール (LDL) は血管の動脈の壁に入り込む 善玉コレステロール (HDL) はそれを取り 除く 体内に存在する脂質にはコレステロール 中性脂肪 遊離脂肪酸などがあります コレステロール等の脂肪は油に溶けやすく水には溶けません お肉を入れた煮物のだし汁の上部に油状の物が浮かんでいることでお分かりのように水と油は分離した状態となります マヨネーズもそうです 元の素材はオリーブオイル等の脂と水溶性のお酢で 水と油らが混ざるように卵の成分のレシチンが乳化剤 ( 油と水を混じらせる ) の役割をしています そうすることで分離せずにマヨネーズが出来るわけです コレステロールは脂質の一種でアポタンパクと言うタンパク質と結合してリポ蛋白 ( 脂質とたんぱく質が結合したもの ) を形成しています この状態において水溶性の血液の中でもコレステロールが溶けて血流の中に入り込むことが可能となります このリポ蛋白の比重の大きさで VLDL( 比重のかなり低いリポ蛋白 ) LDL( 比重の低いリポ蛋白 ) HDL( 比重の重いリポ蛋白 ) 等に分類されます もちろんリポ蛋白に含まれるコレステロールの割合 リン脂質や中性脂肪の割合が異なってきています
コレステロールは体内で細胞膜や胆汁酸 ( 消化液 ) 副腎皮質ホルモンや性ホルモン( 男性ホルモン 女性ホルモンなど ) ビタミンDの原料となります 人体を維持するのに無くてはならない構成成分です コレステロールには悪玉の LDL コレステロール (LDL) と善玉の HDL コレステロール (HDL) とに分けられています コレステロールの 7~8 割は体内の中の肝臓で作られて ( 合成 ) されています 悪玉の LDL は肝臓で作られ血流の流れに乗って全身に送られて先程の物質 ( 消化液 ホルモン 細胞膜等 ) に有効に活用されています しかしこの悪玉の LDL が過剰になると血液中に溜まってしまいます 悪玉の LDL は動脈の壁に入り込みこれが動脈硬化の原因となります もちろん健康な血管壁であれば入り込む隙はないのですが 活性酸素のような酸化ストレスを受けた動脈壁や血圧の高い状態が続いた血管 高濃度の糖に晒されたドロドロの血管などでは特に狙われやすく 動脈硬化が起こりやすくなります 一方 善玉の HDL は動脈にたまったコレステロールである LDL を引き抜いて肝臓に戻す役割を果たします 動脈硬化においては悪玉の LDL が高すぎること 善玉の HDL が低すぎることのいずれも問題になってきます 食事由来の脂質の 1 つである中性脂肪も増えると肥満や脂肪肝の原因となり動脈硬化を引き起こすので注意が必要です 脂質異常症の約 9 割は動物性脂肪に偏った食生活や運動不足 喫煙などの生活習慣によるものです 遺伝からくる家族性の脂質異常症は 1 割程度と言われています 一般に閉経後の中年期の女性ではコレステロールの値が高くなると言われてます 中年期になるとエストローゲン ( 女性ホルモン ) の分泌が減少する関係が原因と言われています エストローゲンを活用する 例えば大豆製品にエストローゲン様の物質が多く含まれ積極的に大豆製品を摂取するとコレステロールの低下効果や骨密度の改善を期待することが出来ます 中年期以降の女性の脂質異常症に関して治療が必要かどうかは他の合併症を鑑みて医師が判断します 男性に比較して女性での虚血性心疾患や脳梗塞の発生率は低いと言われていますので 治療の対象となるのか? 動脈硬化の進展を頚部エコーや鎖骨下動脈エコーを観察して本来は判断されるべきかもしれません 脂質異常症とは? 悪玉コレステロール (LDL) の上昇中性脂肪 (TG( トリグリセリド )) の上昇善玉コレステロール (HDL) の低下のどれかを満たした時に診断される病気です 脂質異常症は 症状自体はすぐに発現しません しかし脂質異常症は 動脈硬化を悪化させる因子になります 動脈が固くなることで硬化症が進行すると 脳梗塞脳出血
心筋梗塞狭心症など脳や心臓に重篤な病気が起こります これらの病気は予兆なく突然起きますし 起きてしまった場合は命に関わることも多い病気です そのため これらの病気が起こる前に脂質異常症を治療することが大切になります 脂質異常症の治療には食事療法 ( カロリー 脂質を制限する ) 運動療法 ( カロリー 脂質の消費量を上げる ) 両治療が基本となります 脂質異常症は高 LDL 低 HDL 高中性脂肪の 3 つのタイプに分かれます なかでも一番多いのが悪玉の高 LDL 高中性脂肪の 2 つで 割合はほぼ同程度です 善玉の低 HDL はそれほど多くないと言われています 従来 高脂質異常症 と呼ばれたのは高 LDL 高中性脂肪から派生した表現で 今では低 HDL も含まれ 脂質異常症 という表現となっています 健康診断などで検査を受けた人の中で自分の血中コレステロール値について自覚している人は意外と少なく 数値が異常だと分かったとしても 症状がなければ多くの人は受診まで至りません もちろん検診はあくまでもスクリーニングですので検診で引っかかったと言え 即治療という分けではありませんが 脂質異常症を放置すると徐々に動脈硬化が進み 狭心症 脳梗塞などで突然死に至ることも珍しくありません 悪玉コレステロール (LDL) が高い人はまず動物性脂肪の摂取を極力減らす努力をしましょう ただし食事だけの問題ではありません ( 食事由来の割合は 2 割程度 ) 家族性の脂質異常症の場合は別ですが 生活習慣が原因の場合は生活を変えれば改善するはずです そのためすぐに薬物治療には至りません まずは生活習慣の見直しや改善がなされるべきであります 高 LDL に対して運動はあまり効果がないと言われています 食事療法の効果が高くコレステロールや飽和脂肪酸の摂取量を減らすとその効果が上がります もちろん食事が偏っていて高カロリー食や高コレステロール食を日頃から摂取している方の場合に適応します 日頃からバランスの良い栄養価の富んだ食事を心がけている方の場合には見直しは必要ないでしょう 高齢者の方でコレステロールの摂取を控えなくてはいけないと思い込み お肉もほとんど食べられない方 卵も気にされている方がおられますが 特別極端に偏った異常に大量の特定の素材に集中したものを食 べない限りはお好きにされても全然問題ないし 生体の調整機構が うまく働いていますのでご心配無用です 偏った食事には気を付けて
ましてやコレステロールの7~8 割が肝臓で合成されていることを考えると 食事からの影響はごくごく少ないものと考えられます お好きな物を適量にお食べ下さい これがダメ あれがダメ では体に良くありません 中性脂肪の高い人には 男性はお酒をよく飲む方 女性はお菓子や甘いものが好きな方 という具合に男性 女性でその傾向がきれいに分かれるので性別によって生活指導が変わります 中には性に関係なくお酒が好きな方 甘いものが好きな方がいます いづれにしてもその方の食生活の様子を観察しながらの指導となります 食事に含まれるコレステロールが血中のコレステロール値に与える影響は 個人差が非常に大きいのが特徴です 日本人は 食事のコレステロールに反応する人 しない人の割合が半々くらい コレステロールの摂取量と血中コレステロール値が比例しない人も多いと言われています こうした理由で 厚生労働省が作成する 日本人の食事摂取基準 2015 年版 では コレステロールの摂取上限値が撤廃されました また体内でコレステロールの 7-8 割が合成されていて食事から由来する割合は体内で作られる量から比べると極々少ない量といえます 更には生体にはフィードバック機構が完備していて余分なコレステロールを摂取すれば体内での合成を抑えようと働き 食事からの摂取が少なければ体内で多く合成しようとします そういう意味で上手く体内でのバランスが整っていると言えます ただしその量が過剰になれば体内での調整機構は上手く作動せずにバランスが壊れてしまうことになります 過ぎたるは及ばざるが如しです ほどほどに しかもバランスを考えての食生活を とのことです 言えるのは少々卵を食べ過ぎたからと言って気にする必要はないし 1 日 1 個まで など昔の決まりなどは既に陳腐化している内容と言えるようです だからと言って好きに食べていいと考えるのは誤解です 脂質異常症の人の中には コレステロール摂取量が多いために発症する人も確実にいます ほどほどにバランスよく食事をする 大切なことです LDL や中性脂肪が高い場合の薬物療法はどのように? 食事を改善しても効果がなければ 薬物治療の対象となります 動脈硬化がない人には薬は必要ありません 血液中のコレステロール値だけではこの動脈硬化の程度がどの程度かは分かりません まずは頸動脈エコーで動脈硬化があるかどうかを調べ 動脈硬化が確認された人に対して薬物治療を行うこととなります 高 LDL の患者さんに対して 9 割以上で使うのがスタチン (HMG-CoA 還元酵素阻害薬 ) という種類の薬です スタチンは安全性と有効性が確立した薬で動脈硬化が3 割程度予防することが出来ます スタチンは コレステロールが末梢血管に運ばれた時に 細胞がコレステロールを利用するためのゲート (LDL 受容体 ) を開かせる作用を持っています 細胞がコレステロールをどんどん受け入れれば血液中の LDL がたまらず LDL 値は下がっていきます スタチンの効果を高めるために エゼチミブ ( 商品名ゼチーア ) という薬を併用することもあります エゼチミブは 小腸コレステロールトランスポーター阻害薬と呼ばれコレステロールが小腸から吸収されるのを阻害し LDL 値を下げる働きがあります 中性脂肪が肝臓で作られる過程をブロックするのがフィブラートで 中性脂肪を下げるのに高い効果を発揮します
この薬は リポ蛋白リパーゼ (LPL) という酵素が中性脂肪を分解するのを促してくれます フィブラートの問題は 腎臓の悪い人に使いにくいことです 多くのフィブラートは腎臓から排せつされるので 腎臓が悪い人が使うとフィブラートがうまく排せつされず 血中にたまってしまいます そのため副作用が出やすく注意が必要となります 善玉の HDL を増やす特効薬は 運動 善玉の HDL には食事はほとんど関係なく効果のあるのが運動です 低 HDL の原因は 喫煙 肥満 運動不足の 3 つですが 多くの場合 運動すれば数値は上がります 運動は 中性脂肪が高いタイプにも有効です 特に効果的なのが有酸素運動です マラソン選手は HDL 値が高い人ばかりです 走るなら少し息がはずむ程度の軽いジョギングがいいでしょう 肝心なのは継続すること 中断しないよう 無理のない運動を選ぶ必要があります 早歩きでも何でもいいので とにかく続けることが大切です 有酸素運動に加え 筋力トレーニングも重要です 筋肉の動きが活発になると糖の利用が増え 糖尿病のリスクが下がります 動脈硬化にはストレスも関与するため 筋肉を使ってストレス解消できれば一石二鳥となります 昔は高脂血症といわれていましたが 悪玉コレステロールや中性脂肪は高いことが問題ですが 善玉コレステロールは低いことが問題となります そのため現在は 高脂血症から脂質異常症と呼ばれるようになりました 生活習慣の見直し 一方で薬物療法は どの脂質が異常かで変わります ただし脂質異常症の多くの方は 複数の数値が異常であることが多いです 動脈硬化の直接の原因となることが多いのは 悪玉コレステロール (LDL) です そのため複数の脂質異常がある方は まず LDL を下げるお薬からはじめることが多いです コレステロールの合成過程コレステロールは肝臓でアセチル-CoA を原料として HMG-CoA が作られます この HMG-CoA は HMG-CoA 還元酵素によってメバロン酸へと変換されます そして コレステロール合成の速度は HMG-CoA 還元酵素の働きに依存しています HHMG-CoA 還元酵素を阻害することによって肝臓でのコレステロール合成を抑制することができます その結果 肝臓の中に溜められていたコレステロールの絶対量が減ります 肝臓に蓄えられていたコレステロール量が減るため この減った分のコレステロールを血液中に存在するコレステロールから補おうとします 具体的には 肝臓に存在する LDL 受容体の数を増加させます 肝臓の LDL 受容体の数が増えるので その分
だけ血液中の LDL コレステロールが肝臓に取り込まれるようになります これによって 血液中の LDL コレステロール値を下げることができます LDL を下げるお薬は スタチン系というお薬が第一選択薬になります このスタチン系の効果が不十分な場合 ゼチーアなど他のお薬を追加します 一方で LDL が正常値で TG が高い場合は フィブラート系のお薬が選択されます なおフィブラート系とスタチン系のお薬を両方使用すると 横紋筋融解症という筋肉が溶ける病気が出現しやすいため 原則禁忌となっています そのため脂質異常症は お薬を色々と組み合わせるのは危険です また 単独でも横紋筋融解症が出現することがあります 横紋筋融解症は CK という筋肉中に含まれる物質が血液内で上昇していないか 採血で見ることで早期に発見ができます HMG-CoA 還元酵素を阻害薬悪玉コレステロール (LDL) を下げるスタチン系には 6 種類のお薬があります その中で効果が強いストロングスタチンは ロスバスタチン ( 商品名 : クレストール ) アトルバスタチン ( 商品名 : リピトール ) ピタバスタチン ( 商品名 : リバロ ) です 一方で効果がやや落ちるのがスタンダートスタチンといい 以下の 3 種類があります プラバスタチン ( 商品名 : メバロチン ) ローコールリポバス 6 種類のお薬があれば 6 種類の特徴があります 例えば ストロングスタチンのクレストールは 最も新しいお薬です 最大投与量が他のお薬よりも多く 最も効果が高いスタチン系と考えられています 2017 年末にジェネリック医薬品も登場し患者さんの財布にも優しい薬となりました また 最も古いスタチン系のお薬はメバロチンですが メバロチンは他のお薬が肝臓で代謝されるのに対して 腎臓で代謝されるお薬です そのため 他のお薬は肝臓の機能障害がある方は使用しづらいですが メバロチンは肝機能障害がある人にも比較的使いやすいお薬となっています このように 一番新しいお薬も一番古いお薬にも一長一短あります 薬物治療を開始した方は 定期的に採血が行われます 脂質異常の効果は症状では確認できません 検査値で科学的数値の推移を観察することになりますが はたしてコレステロールの値や電気伝導での血管抵抗検査による動脈硬化の進展検査だけで血管内の動脈硬化の実態とその危険率を予測できるのかは?? の印象です 血管内の動脈の肥厚を直接観察することが出来れば薬が必要かどうか判明いたします プラバスタチン ( 商品名 : メバロチン ) やロスバスタチン ( 商品名 : クレストール ) は水溶性のスタチンで 他のスタチンは脂溶性のスタチンと言われています 安全性の問題で水溶性のスタチンは高
く脂溶性のスタチンに関しては? が若干ついたりしています 脳内での神経細胞は自前でコレステロールを合成しています このコレステロールの合成が抑えられると脳神経細胞が弱体化する可能性があります 年齢と共に神経細胞が減少している上に脳内での神経細胞の減少を引き起こすことには疑問も呈されています また スタチン系で多い副作用には肝機能障害横紋筋融解症これらの副作用は採血によって確認できます そのため定期的に脂質も含めて検査を行う必要があります 特に脂質異常症のお薬は 投薬初期に副作用が出現することが多いので 投与後 3 か月以内に血液検査を調べて異常が無ければ 比較的安心してお薬が継続できることが多いと考えます もしスタチン系で効果が不十分な場合は ゼチーアが併用されることがあります 一般にスタチンを最大まで増量したときに得られる LDL-コレステロール低下の上乗せ効果が期待できます このスタチンにゼチーアを併用すると違う機序で作用するため 血清 LDL コレステロール値は約 25% 低下することが分かっています そのためスタチン系でも不十分な方はゼチーアを追加することでさらなる効果を期待します 小腸コレステロールトランスポーター阻害薬エゼチミブ ( 商品名 : ゼチーア ) コレステロールは体内で合成される経路以外にも 食事として小腸から吸収することによってもコレステロールが蓄えられます そのため 食事由来のコレステロール吸収を抑えることができれば 血液中のコレステロール濃度を下げることができます このときのコレステロール吸収には輸送体としてコレステロールを汲み上げるポンプが関係しており この輸送体として小腸コレステロールトランスポーターがあります そのため この輸送体を阻害すると小腸からのコレステロール吸収が抑制されますこのように 食事由来のコレステロール吸収を小腸で阻害する薬としてエゼチミブ ( 商品名 : ゼチーア ) があります コレステロールから胆汁酸への変換を促進する薬プロブコール ( 商品名 : シンレスタール ロレルコ ) 肝臓で合成されたコレステロールは血液中へ移行します しかし 全てのコレステロールが血液の中へ移行するわけではなく 胆汁酸へと変換されて排泄される場合があります つまり コレステロールから胆汁酸へと変換された後にこの胆汁酸の排泄を促進させれば その分だけコレステロール値が下がるはずです このように コレステロールから胆汁酸への変換を促進する薬としてプロブコール ( 商品名 : シンレスタール ロレルコ ) があります
陰イオン交換樹脂薬コレスチミド ( 商品名 : コレバイン ) 肝臓から排泄された胆汁酸は 全てがそのまま糞便として排泄されるわけではありません 消化管へと排泄された胆汁酸は小腸から再び吸収されて肝臓へと戻っていきます そこで この胆汁酸が小腸から再び吸収される過程を阻害します その結果 胆汁酸が減少します 胆汁酸の原料はコレステロールであるため 胆汁酸の排泄を促進させることによって間接的にコレステロール値を減らすことができます 陰イオン交換樹脂は胆汁酸を吸着することで 胆汁酸の再吸収を抑制します このように 胆汁酸の再吸収を抑制することでコレステロール値を下げる薬としてコレスチミド ( 商品名 : コレバイン ) があります フィブラート系薬ベザフィブラート ( 商品名 : ベザトール SR) フェノフィブラート ( 商品名 : リピディル トライコア ) トリグリセリド ( 中性脂肪 ) は LPL( リポ蛋白リパーゼ ) という酵素によって分解されます これによって分解されたトリグリセリドは遊離脂肪酸として脂肪細胞などに取り込まれます そのため この LPL の数を増やせば血液中に存在するトリグリセリドの分解が進み トリグリセリドの値を下げることができます また トリグリセリドの合成を抑えることでも血液中に存在するトリグリセリドの濃度を抑えることができます 血液中に存在するトリグリセリドの分解を促進したり トリグリセリドの合成を抑制したりする薬としてベザフィブラート ( 商品名 : ベザトール SR) フェノフィブラート( 商品名 : リピディル トライコア ) などがあります なお 重篤な副作用として横紋筋融解症があります ニコチン酸誘導体薬トコフェロールニコチン酸エステル ( 商品名 : ユベラ N) ニコチン酸はビタミンの一種であり ビタミン B3 とも呼ばれます 脂肪細胞から遊離脂肪酸として分解され これが血液に乗って肝臓に流入するとトリグリセリドが合成されます そのため 脂肪細胞から遊離脂肪酸が遊離する過程を阻害することができれば血液中のトリグリセリドを減らすことができます ニコチン酸は他にも複数の作用点が報告されていますが このようなニコチン酸誘導体としてはトコフェロールニコチン酸エステル ( 商品名 : ユベラ N) などがあります EPA 製剤薬 イコサペント酸エチル ( 商品名 : エパデール ) 薬
青魚に含まれる成分 ( 不飽和脂肪酸 ) から生成された薬であり 血液中のトリグリセリドを下げる働きがあります また 抗血栓作用として血液を固まりにくくする作用も有します このように 多用な機序によって動脈硬化を抑制します このような作用を示す薬としてはイコサペント酸エチル ( 商品名 : エパデール ) などがあります 横紋筋融解症に関して HMG-CoA 還元酵素阻害薬 ( スタチン系薬剤 ) やフィブラート系薬の重篤な副作用として横紋筋融解症があります 横紋筋とはいわゆる 筋肉 のことです 足や腕などを動かす時には筋肉を使って動かします 横紋筋融解症ではこの筋肉としての横紋筋が壊され 溶け出していく病気です これによって筋肉細胞の成分が血液中に流れ出し しびれや筋肉痛 脱力感などの症状を引き起こします 重症になると腎不全に陥り 死に至ることもあります HMG-CoA 還元酵素阻害薬 ( スタチン系薬剤 ) とフィブラート系薬を併用することによって 横紋筋融解症が表れる頻度が高くなります 注意が必要だし血液検査は定期的に副作用の早期発見にも大切です