古河地区ケアマネだより第 65 号 茨城県ケアマネジャー協会古河地区会事務局 : 古河市社会福祉協議会 平成 30 年 4 月発行 TEL:0280-47-0150 FAX:0280-48-0265 HP URL:http://www.koganet.ne.jp/~care/ 平成 29 年度茨城県ケアマネジャー協会古河地区会 ~ 第 3 回研修会 ~ 平成 30 年 2 月 10 日 ( 土 ) 古河市総和福祉センター 健康の駅 2 階視聴覚室にて 茨城県ケアマネジャー協会古河地区会第 3 回研修会が開催されました テーマは 高齢者の嚥下と栄養 について 茨城県西南医療センター病院栄養部主任管理栄養士佐々木貴子先生 リハビリテーション部主任言語聴覚士鈴木智浩先生 摂食 嚥下認定看護師半村博美先生に講義して頂きました その後 参加者 74 名がグループワークを行ない 活発な意見が交わされました ( 内容は次ページ以降に掲載 ) 平成 30 年度総会のご案内 平成 30 年度茨城県ケアマネジャー協会古河地区会総会 日時 平成 30 年 5 月 26 日 ( 土 )13:00~15:30 場所 古河福祉の森会館大ホール 記念講演 平成 30 年介護報酬改定とこれからのケアマネジャーのあり方 講師日本介護支援専門員協会常任理事能本守康氏
高齢者の栄養 茨城県西南医療センター病院栄養部主任管理栄養士 佐々木貴子様 高齢者の栄養 1. 高齢者の特徴 脂肪組織の割合が増加 筋肉 骨格などの除脂肪体重 (lean body mass : LBM) が減少 高齢者は複数の疾患を有している場合が多い ( 糖尿病 慢性腎臓病 高血圧 etc) 生理的年齢は個人差が大きい老化度生理機能日常生活動作 (ADL) は大きく異なる 2. 高齢者の栄養 ADL 低下や嚥下障害を含む機能低下 低栄養 たんぱく質 エネルギー栄養不良が問題 (protein energy malnutrition :PEM) 死亡リスク高くなる 5 大栄養素たんぱく質 ( 血や肉のもと ) 脂質糖質 ( エネルギーのもと ) ビタミンミネラル ( 体の調子を整える ) 3. 高齢者における栄養摂取 エネルギー食物摂取量や咀嚼力や消化機能が低下し エネルギー摂取不足になりやすい たんぱく質年齢と共にたんぱく質合成は低下 高齢者はたんぱく質不足になりやすい 推奨摂取量 : 男性 60g/ 日 女性 50g/ 日 4. 高齢者における水分摂取 体組織の水分量が減少している 一日の必要水分量 ( 目安 ) 現在の体重 25ml 口渇の自覚が比較的乏しい 経口摂取が減少すると安易に脱水状態に陥る
5. 高齢者の低栄養最大の栄養問題 PEM= 血清アルブミン 3.5g/dL 以下 1 年間に 5% 以上の体重減少 低栄養がもたらす影響体重減少 特に LBM 減少 免疫能力低下 ADL 低下 褥瘡につながる 6. 低栄養を改善していくには食事摂取量を増加させる 栄養補助食品 介護食を適宜活用 食事摂取量を増やす為の対応として好きな食べ物を追加盛り付けの工夫 ( 彩り 一口サイズ 食器の変更 ) 食形態を変更 : 本人に合わせる ( きざむ トロミをつける ) トロミをつける際は 配慮が必要 まとめ 高齢者の低栄養を予防体重変化に要注意脱水の予防栄養補助食品や介護食を賢く利用していく事が大事 食べる をサポートするための 茨城県西南医療センター病院リハビリテーション部主任 基礎知識 言語聴覚士鈴木智浩様 介護と医療における食事とは? 居宅の場合 病院の場合 食事が自立しているか? 買出しにいけるか? 栄養は足りているか? 片付けはできるか? 等食事関わる全ての動作を含んで考えることが大事飲み込めるか? むせはないか? どのような形態が食べられるか? 水にとろみは必要か? 等誤嚥性肺炎など病気をいかに防ぐかを考える事が大事
医療的視点を持つ 1 対象物の仕組みを理解する 2 問題点を想定できる 食事での呼吸の方向 吐く 吸う吐く時に飲み込んでいるのはなぜ?: 気管に流れ込むのを防ぐ為 誤嚥のタイプ 1 嚥下前誤嚥 : 食べ物を飲み込もうとする動きが始まる前にだらだらと気道に食べ物が流れて行ってしまう場合 2 嚥下中誤嚥 : 食べ物を飲み込もうとした時に 気道への通り道をふさぐタイミングがずれ 瞬間的に気道に液体等が入ってしまう場合 3 嚥下後誤嚥 : 飲み込んだあと のどに残ってしまっているものが気道に入る場合 不顕性誤嚥むせなかったり 睡眠中に無自覚に唾液や鼻腔粘液が呼吸に伴って 少しずつ気道に入っていく現象 正常な飲み込みって? 誤嚥 窒息をしないこと誤嚥しても出せること まとめ 誤嚥予防のためには 1 誤嚥の仕組みを理解する 2 誤嚥の理由が想像できる
高齢者の嚥下と栄養 茨城県西南医療センター病院摂食 嚥下障害看護認定看護師 半村博美様 安全な食事姿勢 顎の挙上を防ぐ食事介助
1 口量の調整は重要飲んだ後に 喉がゼロゼロしていたり 声がガラガラする場合 喉に食物が残っている可能性がある 食事前口腔ケア嚥下体操唾液腺マッサージ 深呼吸 首の体操 肩の体操 頬の体操唇の体操舌の体操下肢の体操 飲み込むには深い呼吸が必要リラックス呼吸の補助をする斜角筋を鍛えると呼吸が楽になり飲み込みがスムーズに肩甲骨を動かすことで舌を支える舌骨から肩甲骨までをつなぐ筋肉をほぐし舌骨や喉の動きを良くする硬くなっている所をほぐし咀嚼を助ける口唇閉鎖で咀嚼を助け 食べこぼし予防筋力アップで食べ物をスムーズに咽頭へ運ぶ下肢の筋力がつくと姿勢がよくなり深い呼吸 飲み込みに好影響 生活習慣が影響する誤嚥 体幹角度や頚部角度が不適切 食べ方が速い( かき込み食べやすすり食べ ) 食べ物や薬を送り込んでから飲み込む 集中しない食事環境( テレビをみながら ) 外出する時間が少ない 笑う機会が少ない 生きている限り食べ続けたいという思いに添う 患者 家族の幸せ 喜び守るケアが重要
2 月 22 日に福祉の森会館において 茨城県ケアマネジャー協会古河地区会と古河薬剤師会の合 同研修会が開催されました これは 昨年 10 月から 市内 6 ヵ所の特定事業所のケアマネジャー 31 名にご協力頂き 担当 する全ての利用者 (828 例 ) に対して 古河で開発した 在宅服薬気づきシート簡易版 を用いて 服薬管理の実態のスクリーニング調査を行い その結果の報告と ケアマネジャーと薬剤師がお互い顔の見える関係を構築することを目的にしたものです 研修会には80 名ほどが参加し 愛和苑の坂野様に提示頂いた事例をもとに ケアマネジャーと薬剤師が一つのテーブルを囲みグループディスカッションを行い それぞれの役割に多くの気づきを得るものとなりました これから取り組もうとしている両者の連携事業 古河モデル は ケアマネジャーの利用者情報へのアクセス力と薬剤師の専門力を 連結 させて 利用者に薬剤師の専門的価値を届けようとするものです 開発したスクリーニングシートの項目は ケアマネジャーによる気づきの部分と利用者の服薬に関する状況の部分に分かれており 前段の気づきの項目はすでに 顕在化 した問題を抽出し 後段の項目は 薬の問題が隠れている可能性 すなわち 潜在化 した問題を抽出しようとするための項目となっています そしてこの連携事業 古河モデル が目指す方向性を両会で以下のように立てました 市内全ての要介護者の服薬管理が ケアマネジャーからの情報を起点として かかりつけ薬局を中心に他の医療職との連携の下に実行される状態を継続性のある仕組みとして構築すること この古河発の連携事業 古河モデル を 地域利用者の為に育てていきたいと思います 古河薬剤師会ケアマネジャー連携事業担当宇田和夫
ケアマネの仕事に就いて 昨年 4 月より グループホームローズマリーの系列でケアマネをさせていただいております ケアマネは 県南事業所を3 箇所人事異動でまわり 古河で4 箇所目になります 現在は 一人ケアマネです 古河市に異動をしてきて感じたことは 研修も色々あり活気ある市で ケアマネさんも大勢いるという印象でした 各事業所の方や利用者様にも地域の事等を色々教えてもらい日々 勉強をさせてもらい時間の過ぎるのが速いように感じています 今後も自分自身も研修等に参加し 知識を高め ご利用者のよき支援者となり 家族 本人の思いを大切にすることを心掛けるケアマネジメントをしてきいたいと思っております ケアプランセンターローズマリー戸塚央 一般社団法人日本介護支援専門員協会 NPO 法人茨城県ケアマネジャー協会 ( 茨城県支部 ) 入会のご案内について 日本介護支援専門員協会とは公正 中立なケアマネジメントを確立し 介護支援専門員の資質および社会的地位の向上に努めることをもって 国民の健康と福祉の向上に寄与することを目的として設立した職能団体です 会費 ( 新入会費 ) 12,000 円 ( 内訳 ) 本部入会金 1,000 円私たち介護支援専門員の地県協会入会金 1,000 円位の向上と 利用者と家族の本部年会費 5,000 円健康 福祉の増進のために 県協会年会費 5,000 円ぜひ皆さまの入会をお待ちしています 編集後記 今回は 高齢者の嚥下と栄養 についての研修をまとめさせていただきました 生活に直結する 食事を摂る 嚥下する 栄養の大切さ を再確認することが出来た研修でした 専門性の高い講義でしたが 先生たちが丁寧にわかりやく説明を行なってくださいました この経験を活かすことでご利用者の生活の質を上げる事につながると感じました 今後とも利用者のための目標達成のため 多職種の方たちと連携を図っていきましょう