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Transcription:

順天堂大学スポーツ健康科学研究第 12 号,11~21 (2008) 11 原著 鉄棒における 前方浮腰回転ひねり倒立 ( アドラーひねり倒立 ) の技術に関するモルフォロギー的一考察 原田睦巳 齋藤良宏 鹿島丈博 冨田洋之 加納實 A morphological study of technical skills of ``Stoop in shoot and 1/2 turn through hand stand'' on the Horizontal bar Mutsumi HARADA, Yoshihiro SAITO, Takehiro KASHIMA, Hiroyuki TOMITA and Minoru KANO Abstract The skill of ``Stoop in shoot and 1/2 turn through handstand'' is a combination skill of a forward stoop in shoot, a half body twist, and then handstand. ``Stoop in shoot and 1/2 turn through handstand'' has possibility that a lot of di culty points and the connection bonus can be acquired. The purpose of this research is to ˆnd out the ešective technique of ``Stoop in shoot and 1/2 turn through handstand'' from morphological point of views. Result of the research: 1. Whenthe shoulders wereatthesame levelas the bar, the athletes were required to against the inertia, which acted on the upper body to move toward the direction of rotation. 2. When the shoulders were under the bar, the athletes were continued to against the inertia. At the same time, the athlete started to extend one's lower back. It is thought ešective technique that ``anticipation of the movement'' for ``Stoop in shoot and 1/2 turn through handstand'' to handstand position. 3. In the release phase, the athlete initiated the body twist while extending the lower back. At the mean time, the athlete still kept the body against the inertia. These motions together resulted in the successful handstand positioning so as the e cient body twist. Also, by bending the pivot arm and pull up the body, the athlete successfully created the quick twist motion. 4. Side shift of the body at the handstand position was minimized by relocation of the pivot arm over the bar toward the opposite direction of the twist. Key words: Horizontal bar, Technical skill, Morphology 体操競技研究室 Seminar of Gymnastics. はじめに. 体操競技の採点規則体操競技における演技の評価は F.I.G( 国際体 操連盟 ) によって作成された Code of Points( 採点規則 ) に基づいてなされる 6). 採点規則はほぼ 4 年周期で改定され, 次のオリンピックに向けた採点規則が発表されることになっている. 現在施行されている2006 年版採点規則では大幅なルール改定が行われ, 長年踏襲されてきた10 点満点が廃止された. 技は A 難度から F

12 順天堂大学スポーツ健康科学研究第 12 号 (2008) 難度までの 6 段階に区分され, 全ての技に難度点が与えられるようになった 6). 演技の得点は,A スコアと B スコアの総計で表示されることになり,A スコアは演技の価値点に係わり, 行われた技の難度の高い順に 9 技と終末技を合わせた10 技の難度点と要求グループの点数, さらに組み合わせ加点 ( ゆか つり輪 鉄棒 ) の総和で算出される加点方式である. 一方,B スコアは演技の実施に係わり, 従来の10 点からの減点方式である 6). このように, 演技の採点は難しい技の演技構成 (= 非日常的驚異性 ), 実施の完璧さ 実施欠点のない演技 美しい動きの表現 (= 姿勢的簡潔性 ) に重きがおかれている 8). このような採点の方向性は2008 年オリンピック 北京大会においても変化はないと思われる. 本研究で取りあげる 前方浮腰回転ひねり倒立 ( 以下, アドラーひねり倒立とする ) は,2001 年版採点規則では D 難度であり,0.1の加点が与えられていた. 現行の採点規則では, 同じく D 難度ではあるが,0.4の難度点が与えられるようになった 5)6). また, 現行の採点規則では組み合わせ加点という, 難しい技を連続して行った場合に与えられる加点が, ゆか つり輪 鉄棒の 3 種目に限定された 6). さらに各種目において組み合わせ加点の詳細な制限が設けられるようになり, 選手 コーチは演技価値点を上げるために努力している. 鉄棒における組み合わせ加点は D 難度以上の技からの手放し技や,C 難度以上の手放し技の連続が対象となる 6). その中で アドラーひねり倒立 は, 組み合わせ加点が獲得できる条件を満たしており, 現行の採点規則が施行されてから, 実施する選手が増加してきている. この技は,1985 年版採点規則までは, 倒立位で行うことを要求されてはいなかったが,1989 年版採点規則より倒立位で実施することが難度認定を行う上での必要条件となった 3)4).. 鉄棒の運動特性鉄棒の運動特性として, 金子は次のように述べている. 器械の改良とそれに伴う急速な技術開発による 振動系の技の多様さとその雄大な運動の魅力は静的な姿勢保持や力技を鉄棒の領域から放逐してしまった. 長い間, 採点規則における鉄棒の演技構成の要素としては, 演技は静止することなく, 振動, 回転の技をもって構成する としか規定していなかったが,1970 年代からはさらに多様化が進み, 手放し技や終末技の開発に拍車がかけられるようになってきた. そして, 鉄棒運動において鉛直面運動の雄大さを殺さずに まろやかな味 に腐心する傾向も, 伸腕体勢を支えている雄大さへの技術開発も, 或いはスピーディーなさばきに支えられる接触回避への傾向も, 全て鉄棒における技の近代的特性を示すものであり, 前近代的な特性から大きく変革してきたことが伺える 8). 一方, 現行の採点規則では 現代的な鉄棒の演技は, 器械の特性を生かし様々な握り手によってバーに近づいたり離れたりする振動技, ひねり技, 手放し技の流動的な連続によってダイナミックに表現されなければならない と述べている 6). また, 男子種目にとって鉄棒は体操競技の華とされており, スピードと雄大な手放し技は人々を魅了するに十分なものをもっている.. アドラーひねり倒立本研究で取りあげる アドラーひねり倒立 という技は, 前方浮腰回転から振り出し, ひねりを融合させて倒立位へとなる技である. この技の出現は定かではないが,1965 年発行の研究部報に, 演技構成の一部に記載されていることから1965 年前後に行われ始めた技であると考えられる 10). 現在のように倒立位になるのではなく, 前方浮腰回転を行い, 肩転移を行う前にひねりを加えて再び懸垂になる技であった. その後,1973 年の中日カップにおいて, ソ連のシューキン選手が 1 回ひねりを行い, 倒立位になるさばきを発表している 11). アドラーひねり倒立 は難度点に加え, 組み合わせ加点を獲得できる可能性があるため, 高得点を目指す世界の多くの選手によって演技に組み入れられるようになってきている. 表 1 は,2004 年から2007 年までの国内 2 次選考競技会よりアドラーひねり倒立が実施された回数及び割合を示し

順天堂大学スポーツ健康科学研究第 12 号 (2008) たものである.2004 年には,16.7 であったが, 2007 年には,37.5 と急激な増加傾向を見せている. この技の理想像は,1/2 ひねりを実施する際に, 左右へのブレがなく, 両手で順手握りを行ったときに倒立位にあることと考えられる. 図 1 はアドラーひねり倒立の連続局面図である.. 研究目的このように, 現行の採点規則により鉄棒における アドラーひねり倒立 の実施が増加しているが, 技術的な研究はほぼ皆無である. そこで本研究は, アドラーひねり倒立 の有効な技術をモルフォロギー的観点から明らかにすることを目的 表 1 年号 ( 年 ) アドラーひねり倒立の実施回数及び割合 参加者 ( 名 ) 実施回 ( 回 ) 実施率 ( ) 2004 36 6 16.7 2005 72 15 20.8 2006 46 15 32.6 2007 72 27 37.5 とする.. 研究方法 13. 実験構成本研究は, 客観的資料を作成するために, D.H.f.K 2) 方式に準じて実験場面を設定し, ソニー社製 HDD デジタルビデオカメラ 2 台, パナソニック社製デジタルビデオカメラ 1 台を使用した. 設置方法は, 鉄棒の側方 15 m の位置に2 台, 鉄棒の正面 14 m の位置に 1 台, それぞれ2.8 m の高さに設置し撮影を行った.. 実験課題および被験者.. 実験課題実験は, 各被験者に自分のやりやすい方法で アドラーひねり倒立 を 3 回実施してもらい, 第 1 種公認審判員資格取得者 3 名により 最も良い実施 を採用した... 被験者被験者は順天堂大学体操競技部および企業スポーツ体操競技部員より, 全国的な大会においてアドラーひねり倒立を演技に組み入れている者 3 名を熟練者として選出し, 現在練習段階にある者 3 名を未熟練者として選出した. 被験者のプロフ 図 1 アドラーひねり倒立の運動経過 ( 被験者 B)

熟練者識している未熟練者14 順天堂大学スポーツ健康科学研究第 12 号 (2008) ィールについては表 2 の通りである (2007 年 7 月 27 日現在 ). 表 2 A 21 163 者被験者主な競技歴熟年齢身長 ( 歳 ) (cm) B 23 163 練大会団体 3 位未熟練C 20 160 D 18 165 E 20 172 F 19 168 被験者のプロフィール 2007 年ユニバーシアード競技大会第 2 次選考会出場 2006 年全日本学生体操競技選手権大会団体 7 位 2006 年全日本体操競技選手権 2006 年全日本ジュニア体操競技選手権大会鉄棒 3 位 2006 年全日本体操競技選手権大会団体 3 位 2006 年関東学生新人体操競技選手権大会団体 3 位. 資料および考察方法.. 資料デジタルビデオカメラで収録した試技は, コンピューターに取り込み, 第 1 種公認審判員資格取得者 3 名による 最もよい実施 と報告された試技の連続局面図を作成して原資料とした ( 図 1 参照 ). さらに,IC レコーダーに収録した自己観察報告をまとめた. 表 3 は自己観察報告をまとめたものである... 考察方法原資料を基に熟練者 3 名の実施と, 未熟練者 3 名の実施について被験者間における実施を以下の 4 つの考察視点を設け, モルフォロギー的観点から比較考察を行った. 肩が鉄棒に対して水平時の局面 肩が鉄棒に対して垂直時の局面 離手局面 軸手の移動 表 3 自己観察報告 被験者 A 被験者 B 被験者 C 質問事項 1 2 3 4 5 バーに脚を入れるときにどの様なことに注意していますか 腰が回転しないように, 足先から入れるように意識している 少し足先に勢いを付けた状態で行うように意識している 真下付近に来たときひねり始めるときにどの様なことに注 ( 手を離すとき ) に意していますか はどの様なことに注意していますか 真上に出せるように, あまり下でためないようにしている 軸腕を上に引っ張るようにして, 同時に腰を伸ばすように意識している 天井と鉄棒を見て方軸手を素早くずらす向付けをするようにように意識した意識している 脚を真下方向に動かバーをしならせるよ左肘 ( 軸腕 ) をしっすように意識していうに意識しているかりと引くように意る識している ひねっている時にはどの様なことに注意していますか アドラーひねりを行う際に, 特に注意していることはありますか 特に意識していない脚を入れる際に腰が回転してしまわないように意識している 出来るだけ体を反らさないように意識している 左手 ( 軸手 ) を左方向にずらすように意識している ひねり始めるときに足先を先行させて体を伸ばすように意識している 倒立になったときに体をしめるように意 スピードが速くなり特に意識していない体を反らないように被験者 D すぎないように意識意識しているしている 被験者 E 体が回転しないように意識している 脚を入れたらすぐにしっかり腰を伸ばす出すように意識してように意識しているいる 特に意識していない手を離すタイミングが遅くならないように意識している 特に意識していないしっかり腰を伸ばしてひねるように意識している 被験者 F スピードが速くなり体を伸ばすタイミン体を伸ばす方向をな動きが前方向に流れアドラーひねりの動すぎないように意識グが遅れないようにるべく上方向になるないように意識してきを上下運動にするしている意識しているように意識しているいるように意識している

順天堂大学スポーツ健康科学研究第 12 号 (2008). 結果および考察比較考察するための 4 つの考察視点における局面及び動作について, 熟練者である被験者 A B C のそれぞれの局面及び動作を比較した結果, ほぼ同様の傾向が見られた. また, 未熟練者である被験者 D E F のそれぞれの局面及び動作の比較においても同様の傾向が見られた. 全被験者の中で最も出来栄えが高い被験者と最も出来栄えの低い被験者を, 第 1 種公認審判員資格取得者 3 名によって選出した結果, 最も出来栄えが高いと評価されたのは被験者 B であり, 最も出来栄えが低いと評価されたのは被験者 E であった. そこで本論では最も出来栄えの高い被験者 B と最も出来栄えの低い被験者 E の局面図及び動作から, 結果ならびに考察を進めることとする. なお, 本文中における腰角度とは, 肩点と腰点を結んだ線分と腰点と足首点を結んだ線分のなす角度のことを示す. 上体傾斜角度とは, 懸垂時の上体 ( 真下にぶら下がっている局面 ) を 0 とし, 上体が回転方向に傾斜した角度を示す.. 肩が鉄棒に対して水平時の局面この局面は, 前方車輪から両脚を両腕の間に入れる局面である. 表 4 より, 熟練者群においては被験者 A は腰角度 18.4, 上体傾斜角度 191.1 で 表 4 肩が鉄棒に対して水平時の局面における腰角度および上体傾斜角度 18.4 被験者 B 49.0 204.7 被験者 C 25.6 190.1 被験者 D 40.8 212.7 被験者 E 23.4 218.7 被験者 F 21.7 205.0 15 あった. 被験者 B は腰角度 49.0, 上体傾斜角度 204.7 であった. 被験者 C は, 腰角度 25.6, 上体傾斜角度 190.1 であった. 一方, 未熟練者群における被験者 D は腰角度 40.8, 上体傾斜角度 212.7 であった. 被験者 E は腰角度 23.4, 上体傾斜角度 218.7 であった. 被験者 F は腰角度 21.7, 上体傾斜角度 205.0 であった. 上記より, 熟練者と未熟練者との腰角度を比較すると, 各被験者間においてばらつきが見られ, 技術的傾向を見出すことはできなかった. しかし, 上体傾斜角度においては熟練者の方が未熟練者に対し, 上体傾斜角度が小さい傾向にあった. すなわち, 倒立位から身体の回転をある程 図 2 肩が鉄棒に対して水平時の局面

16 順天堂大学スポーツ健康科学研究第 12 号 (2008) 度抑制しながら行われていることが見られた. また, 自己観察報告においても, 被験者 A は 腰が回転しないように足先から入れるように意識している と報告し, 被験者 C は 脚を真下方向に動かすように意識している と述べており, 熟練者では身体の回転を抑制するためのコントロールを行っていることが伺える. 一方, 未熟練者である被験者 D F は, スピードが速くなりすぎないように意識している と述べており, 身体の回転の抑制を意識してはいるものの, 図 2 図 3 より足の入れが早く, 熟練者と比べ身体が回転していることが見られる. 上記のことから, 肩が鉄棒に対して水平時の局面, すなわち両脚を両腕の間に入れ始める局面に おいては, 身体が回りすぎないように回転を抑制することが, アドラーひねり倒立 にとって有効な技術の一つであると考えられる. アドラーひねり倒立 という技は, 運動の終了時に倒立位になることが求められており, 身体の回転を抑制することは次に続く倒立への 運動の先取り ( 注 1) という観点からも有効な技術であると推察される.. 肩が鉄棒に対して垂直時の局面表 5 より, 熟練者群における被験者 A は腰角度 28.4, 上体傾斜角度 227.7 であった. 被験者 B は腰角度 22.5, 上体傾斜角度 230.4 であった. 被験者 C は腰角度 14.4, 上体傾斜角度 241.0 であった. 表 5 肩が鉄棒に対して垂直の時局面における腰角度および上体傾斜角度 腰角度 ( ) 上体傾斜角度 ( ) 熟練者被験者 B 22.5 230.4 被験者 A 28.4 227.7 図 3 肩が鉄棒に対して水平時の被験者 B と被験者 E の比較 被験者 D 16.2 240.2 被験者 E 21.1 239.1 被験者 F 27.4 240.6 図 4 肩が鉄棒に対して垂直時の局面

順天堂大学スポーツ健康科学研究第 12 号 (2008) 一方, 未熟練者群における被験者 D は腰角度 16.2, 上体傾斜角度 240.2 であった. 被験者 E は腰角度 21.1, 上体傾斜角度 239.1 であった. 被験者 F は腰角度 27.4, 上体傾斜角度 240.6 であった. 上記より, 肩が鉄棒に対して垂直時の局面における熟練者と未熟練者との腰角度を比較すると, 熟練者の方が大きい傾向にあった. すなわち, 熟練者は未熟練者に対し腰の曲げが少なく, すでに腰を伸ばし始めていることが伺える. 一方, 上体傾斜角度においては熟練者の方が未熟練者に対し, 上体傾斜角度が小さい傾向にあった. すなわちこの局面においても身体の回転を抑 図 5 肩が鉄棒に対して垂直時の被験者 B と被験者 E の比較 17 制しながら行われている傾向が見られた. また, 自己観察報告において最も出来栄えが高い被験者 B は, 天井と鉄棒を見て方向付けをするように意識している と報告している. 一方, 最も出来栄えが低い被験者 E は, 脚を入れたらすぐに出すように意識している と述べており, 未熟練者である被験者 E と比べ熟練者である被験者 B は真下で懸垂を行っているときに次の動作の先取りをしていることが伺える. 上記のことから, 肩が鉄棒に対して垂直時の局面, すなわち真下で懸垂している局面においては, 身体の回転を抑制しながら腰を伸ばし始めることが有効であると考えられる. この局面において ( 図 4 図 5), 身体の回転を抑制し, 腰を伸ばし始めることは アドラーひねり倒立 を倒立位に成功させるために 運動の先取り 運動伝導 ( 注 2) の観点から有効な技術であると推察される. また, 真下での懸垂体勢時に腰を伸ばし始めることにより, 早い時期に倒立位を確認し, 方向を定めることができるものと考えられる.. 離手局面表 6 より, 熟練者群における被験者 A は腰角度 139.9, 上体傾斜角度 200.7 であった. 被験者 B は腰角度 135.7, 上体傾斜角度 187.8 であった. 被験者 C は腰角度 134.1, 上体傾斜角度 204.6 であった. 図 6 離手局面

18 順天堂大学スポーツ健康科学研究第 12 号 (2008) 一方未熟練者群における被験者 D は腰角度 101.3, 上体傾斜角度 244.1 であった. 被験者 E は腰角度 123.5, 上体傾斜角度 217.8 であった. 被験者 F は腰角度 101.8, 上体傾斜角度 231.9 であった. 上記より, 熟練者と未熟練者との腰角度を比較すると, 熟練者の方が腰角度が大きく, 腰を伸ばしている傾向が見られた. 一方, 上体傾斜角度においては熟練者の方が上体傾斜角度が小さく, 身体の回転を抑制しながら実施している傾向が見られた ( 図 6 図 7). 図 8 は離手局面における縦方向からの局面図である. この局面において熟練者と未熟練者を比較すると, 全熟練者において離手時にひねりを開始していることが顕著に見られた. 一方, 全未熟練 者においては離手時に, まだひねりが開始されていないことが見られた. 自己観察報告においては, 熟練者である被験者 A C は, 軸腕( 注 3) をしっかり引っ張るように意識している と述べている. また, 熟練者である被験者 B は 軸手 ( 注 3) を素早くずらすように意識した と述べており, 熟練者は 軸腕と軸手の操作 を意識的に行っていることが伺える. さらに, 被験者 A は腰を伸ばすことについても意識していると報告している. 一方, 未熟練者は軸腕を引っ張る動作や軸手の操作について言 表 6 離手局面における腰角度および上体傾斜角度 腰角度 ( ) 上体傾斜角度 ( ) 熟練者被験者 B 135.7 187.8 被験者 A 139.9 200.7 被験者 D 101.3 244.1 被験者 E 123.5 217.8 被験者 F 101.8 231.9 図 7 離手局面における被験者 B と被験者 E の比較 図 8 離手局面 ( 縦方向 )

順天堂大学スポーツ健康科学研究第 12 号 (2008) 及しておらず, 被験者 E のみ しっかり腰を伸ばすことを意識している と報告している. 以上のことから, 離手局面においては身体の回転を抑制しながら腰を伸ばすことが有効であると考えられる. 身体の回転に関しては, 離手局面後に身体の回転を抑制することは困難であると考えられるため, 離手局面において身体の回転を抑制し, 方向を倒立位へ定めることは, 次に続く 運動の先取り が行われているものと推察される. さらに熟練者は 軸腕と軸手の操作 について述べており, 被験者 A C は 軸腕を上方向に引っ張る と報告している. これは身体の回転を抑制しながら身体を上方向に引っ張るようにして軸腕をまげることが, 身体の方向を倒立位へ向ける動作にとって有効に働いているものと推察される. さらに軸腕を曲げ, 身体を上方向に引っ張る動作を行うことは, 軸腕を伸ばしたままの動作と比べると, 鉄棒が身体の近くにあり, ひねり動作を行う際に素早いひねりを可能にするものと推察される. 腰を伸ばす動作に関しては, 考察視点 (2) の肩が鉄棒に対して垂直時の局面においてすでに腰を伸ばし始めていたものを, さらに伸ばすことにより, 身体軸を一つにしているものと推察される. 腰が曲がったままでのひねり動作は, 上体の動きと下体の動きが異なった動きをするため, 合 19 目的的ではない. 腰を伸ばすことで身体軸を一つにし, より効率的にひねり動作を行えると考えられる.. 軸手の移動軸手の移動についてみてみると, 熟練者群において被験者 A は44 cm, 被験者 B は26 cm, 被験者 C は30 cm であった. 一方, 未熟練者群において被験者 D は35 cm, 被験者 E は27 cm, 被験者 F は14 cm であった. 上記より, 全被験者において軸手の移動が見られ, この動作は アドラーひねり倒立 にとって不可欠な技術であると考えられる. しかし, 移動の幅に関しては各被験者間においてばらつきが見られ, 技術的傾向を見出すことはできなかった. 自己観察報告においては, 熟練者は 軸手を素早くずらすようにした, 軸手を左方向にずらすように意識している と述べている. アドラーひねり倒立は, 離手時に片手を離しひねりを行う技であり, 軸手は鉄棒を握ったままである. さらに, ひねりを行うことで身体を180 反転させることにより, 軸腕が身体の中心から外れてしまい, 倒立になったときに身体が横にブレてしまう. そのため, 軸手をひねりの方向とは反対方向に移動することにより, 倒立になったときの身体の横へのブレを修正していると考えられる. このことはアドラーひねり倒立を成功させるための現時点に 図 9 軸手の移動

20 順天堂大学スポーツ健康科学研究第 12 号 (2008) おける有効な技術であると推察される.. 結論本研究により, 次のようなアドラーひねり倒立の有効な技術が示唆された. 肩が鉄棒に対して水平のときの局面においては, 身体の回転を抑制する. 肩が鉄棒に対して垂直のときの局面においては, 身体の回転を抑制し, 腰を伸ばし始める. このことは, 倒立位への 運動の先取り という観点から, 有効な技術である. 離手局面においては, 身体の回転を抑制し, ひねりを開始しながら腰を大きく伸ばす. このことは方向を倒立位に定め, より効率的なひねり動作にとって有効である. また, 軸腕を曲げ身体を上方向に引き上げることにより, 素早いひねり動作を可能とする. 軸手をひねり方向と反対に移動させることは, 倒立位における身体の横へのブレを修正するうえで有効である.. 今後の課題 アドラーひねり倒立 の技術解明には解決しなければならない研究課題は多い. 研究を進める中で, 倒立位から脚を入れる技術と, 倒立位にならずに脚を入れる技術の相違. 軸腕を曲げずに伸腕のまま実施する技術やひねり時に軸手を移動させない技術の開発. さらに, 発展技である アドラー 1 回ひねり倒立 との関連性等, この研究をベースとした発展的課題が浮かび上がった. 注 ( 注 1) 運動の先取りとは, 次に続く運動課題をめざして, 先行する運動経過全体に同調を示すことである. どんな準備局面でも, 主要局面の先取りが存在し, 不完全であれば主要局面に有効に働かない. 運動がうまくできない人の動きを運動の先取りのカテゴリーから観察すると, 熟練者は宙返りの着地の際, 宙返りの後半には視覚で着地面をとらえ, 安全にまた確実に着地することが出来る. ま た, 球技や格闘技等のベテラン選手は他者の動きをはっきりと共感することが出来るので, 相手のチームと味方のチームの動きや対戦相手の動きを予測することが出来る. このことから, 初心者はベテラン選手に勝つ可能性は低いと言える 15). ( 注 2) 人間の身体は可動性に富む多くの関節からなり, 個々の関節部分はきわめて多様な仕方で動く. 運動は全ての関節が同時に開始されるものではなく, その経過にはある 順次性 すなわち動きの伝わり方がある. 運動伝導は, ボールを投げる 蹴るような運動に見られるような, 胴体から四肢 ( 腕 脚 ) や頭部への伝導と, 四肢 ( 腕 脚 ) や頭部から胴体への伝導の 2 つの形態がある. 運動がうまくできない人の動きを運動伝導のカテゴリーから観察すると, 初心者は多くの関節を有機的に結びつけることが出来ず, 動きの順次性が不完全な形態でしか見られないことが多い 15). ( 注 3) 本研究における 軸手 と 軸腕 とは, 身体を反転させるときに軸となる腕と手である. 鉄棒上を実際に移動させているのは 手 であり, ここでは 軸手 と表現した. 一方 軸腕 は, 自己観察報告において 軸腕を引っ張る というような表現があり, 腕を曲げるような操作も行っているため, ここでは 軸腕 と表現した. 文献 1) 朝岡正雄 スポーツ運動学序説, 不昧堂出版 東 京 216 268 2) Borrmann. G ÄUber Forschungsmethoden im Geräatturnen, In Zur Theorie und Parazis der Käorperkultur, 1957 3) Code of points Artistic Gymnastics for men: International Gymnastics Federation 1985 4) Code of points Artistic Gymnastics for men: International Gymnastics Federation 1989 5) Code of points Artistic Gymnastics for men: International Gymnastics Federation 2001 6) Code of points Artistic Gymnastics for men: Interna-

順天堂大学スポーツ健康科学研究第 12 号 (2008) 21 tional Gymnastics Federation 2006 7) 金子明友 体操競技, 講談社 東京 175 177, 181, 210 211 1971 8) 金子明友 体操競技のコーチング, 大修館書店 東京 112 116, 1988 9) 金子明友 わざの伝承, 第 1 版, 明和出版 東京 2002 10) 研究部報 9 号, 日本体操協会 東京 17 19, 1965 11) 研究部報 34 号, 日本体操協会 東京 4 5, 1974 12) 研究部報 56 号, 日本体操協会 東京 8 9, 1986 13) 研究部報 60 号, 日本体操協会 東京 53 54, 1988 14) 研究部報 88 号, 日本体操協会 東京 グラビア, 2002 15) Meinel. K 著 金子明友訳 スポーツ運動学, 第 1 版, 大修館書店 東京 1981 16) Meinel. K 著 金子明友訳 動きの感性学, 第 1 版, 大修館書店 東京 1998 17) 竹本正男 男子 体操競技, 成美堂出版 東京 224, 1972 平成 19 年 10 月 9 日 平成 19 年 12 月 18 日 受付 受理