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H ( 木 ) H ( 水 ) H ( 金 ) H ( 金 ) H ( 土 ) H ( 月 ) H ( 月 ) H ( 木 ) H ( 金 ) H ( 火 ) H30.6.2

する保護者 ( 以下 支給対象者 という ) とする (1) 学校教育法 ( 昭和 22 年法律第 26 号 ) 第 81 条第 2 項に規定する特別支援学級に在籍する児童等の保護者 (2) 前号に掲げる児童等以外のものであって 学校教育法施行令 ( 昭和 28 年政令第 340 号 ) 第 22

日野市要保護及び準要保護児童生徒援助費支給要綱 平成 20 年 4 月 1 日制定改正平成 22 年 4 月 1 日日野市要保護及び準要保護児童生徒援助費及び特別支援教育就学奨励費支給要綱 ( 平成 6 年 4 月 1 日制定 ) の全部を改正する ( 目的 ) 第 1 条この要綱は 学校教育法 (

参考 平成 27 年 11 月 政府税制調査会 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する論点整理 において示された個人所得課税についての考え方 4 平成 28 年 11 月 14 日 政府税制調査会から 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する中間報告 が公表され 前記 1 の 配偶

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留意事項 ( 1) 賃金アップの方法 欄には 賃金の算定方法を下記から選択し記載してください 賃金アップが 毎月決まって支払われる賃金 の場合は 1 賃金アップが 毎月決まって支払われる賃金 + 臨時に支払われる賃金 の場合は 2 賃金アップの方法 欄において 1の 毎月決まって支払われる賃金 を選

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( 参考 ) 平成 29 年度予算編成にあたっての財務大臣 厚生労働大臣の合意事項 ( 平成 29 年 12 月 19 日大臣折衝事項の別紙 ) < 医療制度改革 > 別紙 (1) 高額療養費制度の見直し 1 現役並み所得者 - 外来上限特例の上限額を 44,400 円から 57,600 円に引き上

参考資料

(3) その他 全日制高校進学率の向上を図るため 更に公私で全体として進学率が向上するよう工夫する そのための基本的な考え方として 定員協議における公私の役割 を次のとおり確認する 公立 の役割: 生徒一人ひとりの希望と適性に応じて 多様な選択ができるよう 幅広い進路先としての役割を担い 県民ニーズ

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問 2 次の文中のの部分を選択肢の中の適切な語句で埋め 完全な文章とせよ なお 本問は平成 28 年厚生労働白書を参照している A とは 地域の事情に応じて高齢者が 可能な限り 住み慣れた地域で B に応じ自立した日常生活を営むことができるよう 医療 介護 介護予防 C 及び自立した日常生活の支援が

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時効特例給付制度の概要 制度の概要 厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に係る時効の特例等に関する法律 ( 平成 19 年 7 月 6 日施行 ) に基づき 年金記録の訂正がなされた上で年金が裁定された場合には 5 年で時効消滅する部分について 時効特例給付として給付を行うこととされた 法施行前

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市県民税所得課税証明書から年間所得金額を見る場合 平成 年度 ( 平成 年分 ) 市県民税所得課税証明書 住所 羽生市 134 番地 1 氏名 羽生田羽生子 所得の区分 所得金額 所得の区分 所得金額 総所得金額 330,000 所得控除金額 1,500,000 合計所得金額 330,000 課税標

[ 特別控除の一覧 ] 控除の内容 特定扶養親族控除 ( 税法上の扶養親族で満 16 才以上 23 才未満の扶養親族 ) 老人扶養親族 配偶者控除 ( 税法上の扶養親族で満 70 才以上の扶養親族 ) 控除額 1 人につき 250,000 1 人につき 100,000 障がい者控除寡婦 ( 夫 )

平成 29 年度 厚生年金保険法第七十九条の八第二項に基づく国家公務員共済組合連合会にかかる管理積立金の管理及び運用の状況についての評価の結果 概要 平成 30 年 12 月 財務省主計局給与共済課

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11総法不審第120号

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厚生局受付番号 : 九州 ( 受 ) 第 号 厚生局事案番号 : 九州 ( 国 ) 第 号 第 1 結論昭和 50 年 4 月 30 日から昭和 51 年 4 月 1 日までの請求期間 昭和 51 年 4 月 1 日から昭和 53 年 4 月 1 日までの請求期間 昭

豊橋市 PPP/PFI 手法導入優先的検討方針 効率的かつ効果的な公共施設等の整備等を進めることを目的として 多様なPPP/P FI 手法導入を優先的に検討するための指針 ( 平成 27 年 12 月 15 日民間資金等活用事業推進会議決定 ) に基づき 公共施設等の整備等に多様なPPP/PFI 手


資料 1 子ども 子育て支援新制度における利用者負担について 1 設定が必要な利用者負担額 1 号認定 認定区分対象該当施設 事業 3 歳以上保育が必要ない 2 号認定 ( 標準時間 ) 3 歳以上 2 号認定 ( 短時間 ) 保育が必要 3 号認定 ( 標準時間 ) 0~2 歳 3 号認定 ( 短

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教育支援資料 ~ 障害のある子供の就学手続と早期からの一貫した支援の充実 ~ 平成 25 年 10 月 文部科学省初等中等教育局特別支援教育課

保護者のみなさまへ

が成立するが 本件処分日は平成 29 年 3 月 3 日であるから 平成 24 年 3 月 3 日以降 審査請求人に支給した保護費について返還を求めることは可能であ る 第 3 審理員意見書の要旨 1 結論本件審査請求には理由がないので 棄却されるべきである 2 理由 (1) 本件処分に係る生活保護

現算定方式 現算定表は, 税法等により理論的に計算しました 新算定表は, 税法等における最新の料率を用いて理論的な計算を更新しました 新算定方式 ( 新算定表を用いずに個別に計算する方式 ) を用いる場合は, 源泉徴収票等で確認できる実額で認定することが適切です (3) 職業費について現算定方式 現

ポイント 〇等価尺度法を用いた日本の子育て費用の計測〇 1993 年 年までの期間から 2003 年 年までの期間にかけて,2 歳以下の子育て費用が大幅に上昇していることを発見〇就学前の子供を持つ世帯に対する手当てを優先的に拡充するべきであるという政策的含意 研究背景 日本に

02【通知案】年管管発 第号(周知・機構宛)

3. 提出書類 :( 返済特例措置適用承認申請書 および 返済計画表 と一緒に提出して下さい ) (1) 所得を証明する公的書類 ( 又は源泉徴収票 ) 申請の直前の連続 2 年分 例 ( 平成 年分 ) 再度の返済特例措置申請の方は 前回の申請時の前年収入額と再申請日の前年収入額 (2

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504 特定事業等に係る外国人の入国 在留諸申請優先処理事業 1. 特例を設ける趣旨外国人研究者等海外からの頭脳流入の拡大により経済活性化を図る地域において 当該地域における特定事業等に係る外国人の受入れにあたり 当該外国人の入国 在留諸申請を優先的に処理する措置を講じることにより 当該地域における

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災害公営住宅藤が原アパート入居者募集 ( 随時募集 ) 災害公営住宅入居者募集について 県営藤が原アパート5 号棟は, 東日本大震災により住宅を失った方のための公営住宅 ( 賃貸住宅 ) です 現在, 入居者を随時募集しています 申込書類を提出された方を先着順で受付しておりますので, どうぞお気軽に

障財源化分とする経過措置を講ずる (4) その他所要の措置を講ずる 2 消費税率の引上げ時期の変更に伴う措置 ( 国税 ) (1) 消費税の軽減税率制度の導入時期を平成 31 年 10 月 1 日とする (2) 適格請求書等保存方式が導入されるまでの間の措置について 次の措置を講ずる 1 売上げを税

3 保育の必要性の認定の対象とはならない場合 ( 例 : 専業主婦家庭等 ) どのような施設の利用が無償化の対象になりますか 3 歳から5 歳までの子供について 幼稚園 認定こども園 (4 時間相当分 ) は無償化の対象となります なお この場合 預かり保育は無償化の対象となりません このほか 就学

適用時期 5. 本実務対応報告は 公表日以後最初に終了する事業年度のみに適用する ただし 平成 28 年 4 月 1 日以後最初に終了する事業年度が本実務対応報告の公表日前に終了している場合には 当該事業年度に本実務対応報告を適用することができる 議決 6. 本実務対応報告は 第 338 回企業会計

2. 改正の趣旨 背景給与所得控除額の変遷 1 昭和 49 年産業構造が転換し会社員が急速に増加 ( 働き方が変化 ) する中 (1) 実際の勤務関連経費が給与所得控除を上回っても 当時は特定支出控除 ( 昭和 63 年導入 ) がなく 会社員は実際の勤務関連経費がいくら高くても実額控除できなかった

Transcription:

平成 29 年 (2017 年 )9 月 7 日 札幌市教育委員会 教育長長岡豊彦様 札幌市就学援助審議会 会長若松尚代 就学援助認定基準額及び支給費目等について ( 答申 ) 本審議会は 就学援助認定基準額及び支給費目等のあり方に関する諮問に応じ 慎重に 審議を重ねた結果 別紙のとおり結論を得たので答申いたします

1 基本的な考え方就学援助制度は 経済的理由によって就学困難と認められる児童生徒の保護者に対し 市町村が必要な援助を与える ことを定めた学校教育法第 19 条に基づくものである この制度は 教育の機会均等の精神に基づき すべての児童生徒が義務教育を受けることができるよう配慮し 実施しているものである 就学援助を実施することは市町村の義務であるが いかなる援助を行うかはそれぞれの市町村が定めることとされており 支給内容や援助対象者のとらえ方は市町村により異なる 市町村それぞれに財政事情 地域的事情もあり 必ずしも画一的な取扱とする必要はないが 他都市の実態や動向を十分に考慮し均衡のとれた制度運営を行いながら 永続的な制度の維持に向け配慮していくことが必要であると考える また 事業の実施にあたっては 貴重な税収の合理的執行として市民の理解を得られるものでなければならない 以上のような考え方を基本としながら 社会経済情勢などを総合的に判断して制度運営のあり方について検討する 2 本市の就学援助制度の現状と課題 (1) 認定基準額について本市の就学援助認定基準額には 一般限度額と住宅所有世帯に適用する特別限度額の二通りがあり 毎年 その前年の生活保護基準額に それぞれ1.10 1.05 の比率をかけて算定することを基本としている しかし 平成 25 年に生活保護基準額の大幅な引下げが決定し 就学援助制度に影響が及ぶこととなったことから 平成 26 年度開催の就学援助審議会において 認定基準額のあり方について審議を行った その結果 平成 27 年度以降は 認定基準額を生活保護基準額に連動させず 一定期間後にその時点の経済状況等を踏まえ あらためて見直しを行うことが望ましいとの答申がなされた このことを受け 教育委員会においては 平成 27 年度から3 年間は 生活保護基準額の引下げ前に定めた平成 26 年度の認定基準額を使用すると決定したところである 本審議会においては 平成 30 年度以降の認定基準額のあり方について検討を行った また 特別限度額については 昭和 55 年度開催の就学援助審議会において 住宅所有世帯の場合 非所有世帯と比較してローンの支払いと家賃とは家計支出の面では同一視できるが ローンの支払いはあくまで自己の財産形成のためのものであり いわゆる貯蓄と考えられること また 自動車所有世帯については それを維持管理する負担能力を持っているとの観点から 各々非所有世帯との間に格差を設けることもやむを得ない との判断により 昭和 56 年度より導入されたものである しかし 平成 26 年度開催の就学援助審議会において 自動車は 広く普及しているものであり資産の所有や贅沢品として考えるものではない との答申がなされ 平成 27 年度より 自動車所有世帯は一般限度額が適用されることとなった 同答申の中では 住宅所有世帯についても 今後の検討課題とする必要がある との意見が付

されたところである 本審議会においては 制度導入時と現在とでは住宅事情等が異なることから 現在の社会状況を踏まえ 住宅所有世帯の特別限度額適用の是非について検討を行った (2) 支給費目の追加について現在 札幌市の就学援助においては支給していない クラブ活動費 生徒会費 PTA 会費 などの費目について 市議会等から支給対象として追加すべきとの意見が寄せられている 平成 26 年度就学援助審議会における答申では 財源の問題や他都市の状況を鑑み 支給費目として直ちに追加することは困難とされたものの クラブ活動費 や 生徒会費 については 教育活動の一環として位置づけられていることなどから 支給費目に追加すべき事項として 支給方法の検討を進めるよう意見が付されたところである 本審議会においては 現在の札幌市の財政状況や他都市の状況等を踏まえ 支給費目の追加について検討を行った (3) 新入学児童生徒学用品費の入学前支給について就学援助の支給費目の一つである 新入学児童生徒学用品費 は 小学校及び中学校への入学準備金として支給している 就学援助の申請受付から審査終了までに要する期間の都合上 これまでは入学後の6 月に支給していた しかし 市議会等から 出費を必要とする入学前の時期に支給すべきとの意見があったことを受け 平成 28 年度 特に標準服や指定用品の購入費用がかかる中学校入学予定者 ( 既に就学援助の対象となっている小学 6 年生 ) に対しては 試行的に入学前の3 月に支給したところである ただし 小学校入学予定者に対する入学前支給については 就学援助の申請方法などの問題があり 実施が見送られている 本審議会においては 小学校入学予定者への入学前支給にかかる課題の整理を行い 実施の是非について検討を行った 3 審議結果 (1) 認定基準額について国は 平成 25 年に行われた生活保護基準の見直しが できる限り他制度に影響が及ばないようにすることを基本的考え方としており 各市町村に対し適切に判断 対応するよう求めている ( 平成 29 年 3 月 31 日付け28 文科初第 1870 号 ) 本審議会としては 平成 30 年度以降の認定基準額について 1 生活保護基準額が平成 25 年の基準に戻るまで現状の認定基準額を維持する 現状維持方式 2 前年の生活保護基準額に連動させることを前提に平成 25 年から平成 29 年までの生活保護基準額の引下げ相当額を認定基準額に加算する 生活保護連動 + 加算方式 3 比率を上げたうえで前年の生活保護基準額に連動させる 生活保護連動 + 比率アップ方式 の3 案を中心に検討を行った 検討の結果 生活保護連動 + 加算方式 は 今後の生活保護基準額の動向が読めない中 仮に下がることとなった場合には認定基準額も減額となる 減額の度合いによっては 就学援助受給者へ影響が大きくなることも考えられ 本審議会としては望ましくないとの結論に至った

また 生活保護連動 + 比率アップ方式 は 就学援助受給者数を現状より増やすことを目的とするものであるが 当然に費用の増加を伴うこととなる 札幌市の財政状況を踏まえると 受給対象の拡大と後述する支給費目の追加を同時に求めることは困難であり 受給対象の拡大よりは支給費目の追加を優先すべきと判断した 本審議会としては 就学援助受給者への不利益が生じない 現状維持方式 が望ましいと考える ただし 今後 生活保護基準額が大きく下がり 認定基準額との乖離が大きくなる事態が生じた場合には あらためて認定基準額のあり方を検討すべきであろう 一方 特別限度額についてであるが 制度が導入された昭和 56 年当時は 不動産価格が右肩上がりの状況にあり 持ち家は財産であるという考えが主流であった 現在は資産価値の上昇が見込みにくく 当時とは状況が異なる 就学援助制度は 資産の調査を行う生活保護制度とは異なり あくまで直近の家計状況が 子どもを就学させるのに必要な費用を賄えるような状況にあるかを判断するものである この視点において 住宅所有世帯と非所有世帯との間に生活状況の顕著な違いを見出すことはできなかった 特別限度額の廃止により就学援助受給者が増えることになるが このための財源の確保が可能な状況にあるならば 特別限度額は廃止することが望ましいと考える (2) 支給費目の追加について現状においても クラブ活動費 生徒会費 PTA 会費 の3 費目を支給している政令市は3 市のみである しかし 道内の都市に着目すると いずれの費目においても10 以上の市が支給対象としている 平成 26 年度就学援助審議会では ただちに支給費目を追加することは困難と判断されたところではあるが 道内市における支給費目の追加が増加傾向にあることや 平成 26 年に子どもの貧困対策法が施行され 全国的に子どもの貧困対策を強化すべきとの認識が広がっていることを踏まえ 就学援助受給世帯の負担軽減のため 上記 3 費目の追加に努めるべきと考える その中でも 中学生の全員が負担する 生徒会費 は 特に優先度の高いものであり その相当分を支給費目として最優先に追加すべきものと考える クラブ活動費 を支給する場合には 中学校の部活動加入者全員が負担することになる部活動振興会費相当額を PTA 会費 を支給する場合には その相当分 ( 若しくはその一部でも ) を支給額とすることが望ましい (3) 新入学児童生徒学用品費の入学前支給について入学準備金としての性格を有する新入学児童生徒学用品費については 入学前の時期に支給されることが望ましい 平成 28 年度に試行実施した中学校入学予定者への入学前支給では 特段の大きな問題が生じることはなかったことから 今後は正式に実施していくべきと考える 小学校入学予定者への入学前支給については 収入証明の発行時期や 支給後に市外の小学校に入学することになった者からの返金にかかる問題など いくつかの課題はあるが 既に実施している他都市の事例も参考としつつ 札幌市の状況に適した内容となるよう実施に向け検討を進めることを望む (4) 認定要件の適正化等について札幌市の財政状況は依然厳しい状況にあるが 認定要件の適正化等により費用を抑

えることも視野に入れながら 財源の確保に努めることを期待する 現状においては 収入が多いために児童扶養手当の支給が停止されている世帯であっても 2 年前に児童扶養手当を受給した実績があれば就学援助の対象となっているところであるが この取扱は他の認定要件との間の公平性を欠くものと考える 認定要件の適正化の一つとして 見直しを行うべきである また 所得種別間の公平性に鑑み 現在 世帯収入を算定する際に対象としていない年金所得についても 低年金者に配慮しつつ そのあり方について検討 見直しを行うことを求める これら認定要件の見直しが実現すれば 厳しい財政状況の中での財源確保にも資すると考える 併せて 既に支給対象となっている費目についても納税者の理解が得られるような合理的なものとなっているか 他都市の状況等を踏まえ 次回の就学援助審議会において検討を行うことを望む 4 その他これまで就学援助審議会は不定期に開催されてきたが 認定基準額が生活保護基準額の影響を受けることを鑑み 国における生活保護基準額の検証年度 (5 年に1 回 ) に合わせるなど定期的に開催することが望ましいと考える