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カテゴリー別人数 ( リスク : 体格 肥満 に該当 血圧 血糖において特定保健指導及びハイリスク追跡非該当 ) 健康課題保有者 ( 軽度リスク者 :H6 国保受診者中特定保健指導外 ) 結果 8190 リスク重なりなし BMI5 以上 ( 肥満 ) 腹囲判定値以上者( 血圧 (130 ) HbA1

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330 先天性気管狭窄症 / 先天性声門下狭窄症 概要 1. 概要気道は上気道 ( 鼻咽頭腔から喉頭 ) と下気道 ( 気管 気管支 ) に大別される 指定難病の対象となるものは声門下腔や気管に先天的な狭窄や閉塞症状を来す疾患で その中でも先天性気管狭窄症や先天性声門下狭窄症が代表的な疾病である 多

Q2 はどのような構造ですか? A2 LDL の主要構造蛋白はアポ B であり LDL1 粒子につき1 分子存在します 一方 (sd LDL) の構造上の特徴はコレステロール含有量の減少です 粒子径を規定する脂質のコレステロールが少ないため小さく また1 分子のアポ B に対してコレステロールが相対

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第1 総 括 的 事 項

脂質異常症を診断できる 高尿酸血症を診断できる C. 症状 病態の経験 1. 頻度の高い症状 a 全身倦怠感 b 体重減少 体重増加 c 尿量異常 2. 緊急を要する病態 a 低血糖 b 糖尿性ケトアシドーシス 高浸透圧高血糖症候群 c 甲状腺クリーゼ d 副腎クリーゼ 副腎不全 e 粘液水腫性昏睡

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児に対する母体の甲状腺機能低下症の影響を小さくするためにも 甲状腺機能低下症を甲状腺ホル モン薬の補充でしっかりとコントロールしておくのが無難と考えられます 3) 胎児 新生児の甲状腺機能低下症 胎児の甲状腺が生まれながらに ( 先天的に ) 欠損してしまう病気があります 通常 妊娠 8-10 週頃

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330 先天性気管狭窄症 概要 1. 概要気道は上気道 ( 鼻咽頭腔から声門 ) と狭義の気道 ( 声門下腔 気管 気管支 ) に大別される 呼吸障害を来し外科的治療の対象となるものは主に狭窄や閉塞症状を来す疾患で その中でも気管狭窄症が代表的であり 多くが緊急の診断 処置 治療を要する 外科治療を

14栄養・食事アセスメント(2)

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(2) レパーサ皮下注 140mgシリンジ及び同 140mgペン 1 本製剤については 最適使用推進ガイドラインに従い 有効性及び安全性に関する情報が十分蓄積するまでの間 本製剤の恩恵を強く受けることが期待される患者に対して使用するとともに 副作用が発現した際に必要な対応をとることが可能な一定の要件

CQ1: 急性痛風性関節炎の発作 ( 痛風発作 ) に対して第一番目に使用されるお薬 ( 第一選択薬と言います ) としてコルヒチン ステロイド NSAIDs( 消炎鎮痛剤 ) があります しかし どれが最適かについては明らかではないので 検討することが必要と考えられます そこで 急性痛風性関節炎の

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ただ太っているだけではメタボリックシンドロームとは呼びません 脂肪細胞はアディポネクチンなどの善玉因子と TNF-αや IL-6 などという悪玉因子を分泌します 内臓肥満になる と 内臓の脂肪細胞から悪玉因子がたくさんでてきてしまい インスリン抵抗性につながり高血糖をもたらします さらに脂質異常症

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素の髄空内投与療法 ( ムコ多糖症 II 型 異染性白質ジストロフィーなど ) シャペロン療法 ( ファブ リー病 ) などが臨床治験中である 異染性白質ジストロフィー ムコ多糖症 III 型などでは 遺伝 子治療が臨床研究として行われており良好な結果が得られている 7. 研究班ライソゾーム病 (

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複製 転載禁止 The Japan Diabetes Society, 2016 糖尿病診療ガイドライン 2016 CQ ステートメント 推奨グレード一覧 1. 糖尿病診断の指針 CQ なし 2. 糖尿病治療の目標と指針 CQ なし 3. 食事療法 CQ3-2 食事療法の実践にあたっての管理栄養士に

からコントロールが不良の年長児では 前述の精神神経障害により生活面でトラブル となる場合もある 3. 成人期の主な臨床症状 治療と生活上の障害コントロール良好例では 通常の進学 就労や結婚が可能であり 生活上問題となるほどの明確な精神神経症状はない その他の問題としては 骨粗鬆症をきたしやすい 酸化


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蚊を介した感染経路以外にも 性交渉によって男性から女性 男性から男性に感染したと思われる症例も報告されていますが 症例の大半は蚊の刺咬による感染例であり 性交渉による感染例は全体のうちの一部であると考えられています しかし 回復から 2 ヵ月経過した患者の精液からもジカウイルスが検出されたという報告

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検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 F 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 青 細 ) 血液 3 ml 血清 H 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( ピンク ) 血液 6 ml 血清 I 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 茶色 )

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臨床調査個人票 新規 更新 158 結節性硬化症 行政記載欄 受給者番号判定結果 認定 不認定 基本情報 姓 ( かな ) 名 ( かな ) 姓 ( 漢字 ) 名 ( 漢字 ) 郵便番号 住所 生年月日西暦年月日 * 以降 数字は右詰めで 記入 性別 1. 男 2. 女 出生市区町村 出生時氏名 (

シトリン欠損症説明簡単患者用

負荷試験 検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 F 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 青 細 ) 血液 3 ml 血清 H 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( ピンク ) 血液 6 ml 血清 検体ラベル ( 単項目オーダー時 )

検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 F 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 青 細 ) 血液 3 ml 血清 H 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( ピンク ) 血液 6 ml 血清 I 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 茶色 )

婦人科63巻6号/FUJ07‐01(報告)       M

3 スライディングスケール法とアルゴリズム法 ( 皮下注射 ) 3-1. はじめに 入院患者の血糖コントロール手順 ( 図 3 1) 入院患者の血糖コントロール手順 DST ラウンドへの依頼 : 各病棟にある AsamaDST ラウンドマニュアルを参照 入院時に高血糖を示す患者に対して 従来はスライ

1 血中アンモニア高値 : 新生児 >120μmol/L(200μg/dl) 乳児期以降 >60μmol/L(100μ g/dl) 以上 2アニオンギャップ正常 (<20) であることが多い 3 血糖が正常範囲である ( 新生児期 >40mg/dl) 4BUN が低下していることが多い 5OTC 欠

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2017 年 2 月 1 日放送 ウイルス性肺炎の現状と治療戦略 国立病院機構沖縄病院統括診療部長比嘉太はじめに肺炎は実地臨床でよく遭遇するコモンディジーズの一つであると同時に 死亡率も高い重要な疾患です 肺炎の原因となる病原体は数多くあり 極めて多様な病態を呈します ウイルス感染症の診断法の進歩に

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ドパミン受容体遮断作用を示す抗精神病薬 舞踏運動治療薬としてテトラベナジンを使用する その他疾患 進行修飾治療として クレアチン CoQ10 リルゾール 胆汁酸誘導体 多糖体などの投与が試みられてい るが 現在のところ有効性は確立されていない 5. 予後 慢性進行性に増悪し 罹病期間は 10~20

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診療科 血液内科 ( 専門医取得コース ) 到達目標 血液悪性腫瘍 出血性疾患 凝固異常症の診断から治療管理を含めた血液疾患一般臨床を豊富に経験し 血液専門医取得を目指す 研修日数 週 4 日 6 ヶ月 ~12 ヶ月 期間定員対象評価実技診療知識 1 年若干名専門医取得前の医師業務内容やサマリの確認

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ルグリセロールと脂肪酸に分解され吸収される それらは腸上皮細胞に吸収されたのちに再び中性脂肪へと生合成されカイロミクロンとなる DGAT1 は腸管で脂質の再合成 吸収に関与していることから DGAT1 KO マウスで認められているフェノタイプが腸 DGAT1 欠如に由来していることが考えられる 実際

検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 F 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 青 細 ) 血液 3 ml 血清 H 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( ピンク ) 血液 6 ml 血清 I 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 茶色 )

10,000 L 30,000 50,000 L 30,000 50,000 L 図 1 白血球増加の主な初期対応 表 1 好中球増加 ( 好中球 >8,000/μL) の疾患 1 CML 2 / G CSF 太字は頻度の高い疾患 32

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免疫学的検査 >> 5E. 感染症 ( 非ウイルス ) 関連検査 >> 5E106. 検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 F 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 青 細 ) 血液 3 ml 血清 H 凝固促進剤

資料2 ゲノム医療をめぐる現状と課題(確定版)

血液 尿を用いたライソゾーム病のスクリーニング検査法の検討 に関する説明書 一般財団法人脳神経疾患研究所先端医療研究センター 所属長衞藤義勝 この説明書は 血液 尿を用いたライソゾーム病のスクリーニング検査法の検討 の内容について説明したものです この研究についてご理解 ご賛同いただける場合は, 被

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262 原発性高カイロミクロン血症 概要 1. 概要カイロミクロン代謝に必要な酵素の欠損や 輸送蛋白の欠損などにより 血中に異常にカイロミクロンが蓄積し 黄色腫 ( 発疹性黄色腫 ) や 時に急性膵炎を発症させる疾患である 脂質異常症の WHO 分類では Ⅰ 型 ( カイロミクロンの増加 ) およびⅤ 型 ( カイロミクロンと VLDL の増加 ) を呈し 高トリグリセリド血症を示す 原発性高カイロミクロン血症の原因となる疾患として リポ蛋白リパーゼ (LPL) 欠損症 アポリポタンパク C-Ⅱ 欠損症 アポリポタンパクA-Ⅴ 欠損症 GPIHBP1 欠損症 LMF1 欠損症 原発性 Ⅴ 型高脂血症が知られている いずれの疾患も血清トリグリセリド上昇により急性膵炎の発症 重症化リスクが高くなる 2. 原因原発性高カイロミクロン ( 食物由来の 中性脂肪に富む軽くて大きなリポ蛋白 ) 血症の遺伝的原因として カイロミクロン中の中性脂肪を分解する酵素であるリポ蛋白リパーゼ (LPL) あるいはこの分解反応に必要なアポリポ蛋白 CⅡ GPIHBP1 LMF1 の先天的欠損症がある アポリポタンパク A-Ⅴの遺伝子変異では トリグリセリド低下作用が障害され高カイロミクロン血症となる 原発性 Ⅴ 型高脂血症は原因不明である LPL 欠損症は常染色体劣性遺伝を示し 患者となるホモ接合体は約 50~100 万人に1 人とされる アポリポタンパク C-Ⅱ GPIHBP1 LMF1 および A-Ⅴ 欠損症はさらに頻度が低いとされている 3. 症状血清トリグリセリド値の上昇が主要な臨床所見である 血清トリグリセリド値が 1,000mg/dl を超えると急性膵炎の発症リスクが高まり 発症例ではほとんどが 2,000mg/dl を超えているとされる そのため 食後でも 1,500mg/dl を超えない程度にまで食事での脂肪摂取を制限する 小児期から脂肪摂取後時の膵炎による上腹部痛を繰り返す また 肝臓や脾臓の腫大がおきる 皮膚には発疹性黄色腫という小さなピンクがかった黄色い皮疹ができる 血清トリグリセリド値が 4,000mg/dl をこえると 網膜脂血症 ( 眼底検査で網膜血管が白色ピンク状に見える ) を呈する 4. 治療法高カイロミクロン血症に対しては 食事療法が中心となる 1 日の脂肪を 15~20g 以下 または総カロリーの 15% 以下にする脂質制限を行う 中鎖脂肪酸は小腸におけるカイロミクロン形成に関与しないため 高カイロミクロン血症の予防および治療に有効である LPL 欠損症 アポリポタンパク C-Ⅱ 欠損症に対しては薬物療法の効果は限定的である VLDL も上昇を示す成人例に対してはフィブラートを用いることがある 原発性 Ⅴ 型高脂血症では発症要因とされる環境因子 ( 糖尿病 飲酒 エストロゲンやステロイド補充 妊娠 利尿剤やβ 遮断薬 他疾患の合併 ) の是正を行い フィブラートおよびω-3 系多価不飽和脂肪酸製剤を用いる 1

海外では家族性 LPL 欠損症に対する遺伝子治療薬が近年認可されており 膵炎発作の減少効果が期 待されている 5. 予後 急性膵炎の発症 重症度により生命予後が左右される 要件の判定に必要な事項 1. 患者数約 300 人 2. 発病の機構不明 ( リポ蛋白リパーゼやアポタンパク C-Ⅱ GPIHBP1 LMF1 およびアポリポタンパク A-Ⅴの関与が考えられている ) 3. 効果的な治療方法未確立 ( 根本的な治療法はない 食事療法 ( 脂肪制限 中鎖脂肪酸 ) の他 薬物療法 ( フィブラート ω3 系不飽和脂肪酸製剤 ) が有効である場合がある ) 4. 長期の療養必要 ( 遺伝子異常を背景とし 代謝異常が生涯持続 治療に抵抗性で致死的合併症を伴うため ) 5. 診断基準あり ( 原発性高脂血症研究班による ) 6. 重症度分類先天性代謝異常症の重症度評価で 中等症以上を対象とする または 急性膵炎発作を直近 1 年に 1 回以上起こしている場合を重症とし 対象とする 情報提供元 原発性高脂血症に関する調査研究班 研究代表者自治医科大学医学部内科学講座内分泌代謝学部門教授石橋俊 2

< 診断基準 > Definite Probable を対象とする 原発性高カイロミクロン血症の診断基準 必須条件 :(1) および (2) を認め 鑑別診断 ( 下記 D) が除外される (1) 血清トリグリセリド値 1,000 mg/dl 以上 ( 空腹時採血 ( 食後 12 時間以上 )) *1 (2) カイロミクロンの証明 ( 血清静置試験 超遠心法 電気泳動法 HPLC 法による ) (*1: 血清を 4 で 24~48 時間静置した後に 血清の上清にクリーム層を認める ) 確定診断 (Definite): 必須条件に B あるいは C のいずれかの異常 ( 疾患関連あり ) が確認された場合 臨床的診断 (Probable): 必須条件に A の主症状のいずれかを認める場合 疑い例 (Possible): 必須条件のみ あるいは 必須条件に A の副症状を認める場合 A. 症状 < 主症状 > 1. 繰り返す腹痛 AND/OR 急性膵炎 2. 発疹性黄色腫 3. 網膜脂血症の存在 4. 肝腫大 AND/OR 脾腫大 < 副症状 > 5. 呼吸困難感 6. 神経精神症状 ( 認知症 うつ病 記憶障害 ) B. 検査所見 1. LPL 活性の欠損あるいは著明な低下 ( 正常の 10% 以下 ) ( ヘパリン静脈注射後血漿 脂肪組織生検検体 単球由来マクロファージ ) 2. アポリポ蛋白 C-II の欠損あるいは著明な低下 ( 正常の 10% 以下 ) 3. アポリポ蛋白 A5 の欠損あるいは著明な低下 ( 正常の 10% 以下 ) 4. LPL ヘパリン アポリポ蛋白 C-II に対する自己抗体の証明 C. 遺伝学的検査 1. リポ蛋白リパーゼ遺伝子の変異 2. アポリポタンパク C-Ⅱ 遺伝子の変異 3. GPIHBP1 遺伝子の変異 4. LMF1 遺伝子の変異 5. アポリポタンパク A-Ⅴ 遺伝子の変異 3

D. 鑑別診断 1. III 型高脂血症 2. 家族性複合型高脂血症 (FCHL) 3. 二次性高脂血症 ( アルコール多飲 ネフローゼ症候群 神経性食思不振症 妊娠 糖尿病 リポジストロフィー Weber-Christian 病 甲状腺機能低下症 先端巨大症 クッシング症候群 ネルソン症候群 薬剤 ( エストロゲン ステロイド 利尿薬 βブロッカー SSRI など抗精神病薬 痤瘡治療薬 HIV 治療薬 免疫抑制剤など ) その他高 TG 血症を来す疾患 ( 多発性骨髄腫 SLE 悪性リンパ腫 サルコイドーシスなど)) 4

< 重症度分類 > 先天性代謝異常症の重症度評価で 中等症以上を対象とする または 急性膵炎発作を直近 1 年に 1 回以上起こしている場合を重症とし 対象とする 先天性代謝異常症の重症度評価 ( 日本先天代謝異常学会 )( 一部改変 ) 点数 Ⅰ 薬物などの治療状況 ( 以下の中からいずれか1つを選択する ) a 治療を要しない 0 b 対症療法のために何らかの薬物を用いた治療を継続している 1 c 疾患特異的な薬物治療が中断できない 2 d 急性発作時に呼吸管理 血液浄化を必要とする 4 Ⅱ 食事栄養治療の状況 (a b いずれか1つを選択する ) a 食事制限など特に必要がない 0 b 軽度の食事制限あるいは一時的な食事制限が必要である 1 * 当該疾患についての食事栄養治療の状況は a または b とする Ⅲ 酵素欠損などの代謝障害に直接関連した検査 ( 画像を含む ) の所見 ( 以下の中からいずれか1つを選択する ) a 特に異常を認めない 0 b 軽度の異常値が継続している ( 目安として正常範囲から 1.5SD の逸脱 ) 1 c 中等度以上の異常値が継続している ( 目安として 1.5SD から 2.0SD の逸脱 ) 2 d 高度の異常値が持続している ( 目安として 2.0SD 以上の逸脱 ) 3 Ⅳ 現在の精神運動発達遅滞 神経症状 筋力低下についての評価 ( 以下の中からいずれか 1つを選択する ) a 異常を認めない 0 b 軽度の障害を認める ( 目安として IQ70 未満や補助具などを用いた自立歩行が可能な 1 程度の障害 ) c 中程度の障害を認める ( 目安として IQ50 未満や自立歩行が不可能な程度の障害 ) 2 d 高度の障害を認める ( 目安として IQ35 未満やほぼ寝たきりの状態 ) 4 Ⅴ 現在の臓器障害に関する評価 ( 以下の中からいずれか1つを選択する ) a 肝臓 腎臓 心臓などに機能障害がない 0 b 肝臓 腎臓 心臓などに軽度機能障害がある 1 ( 目安として それぞれの臓器異常による検査異常を認めるもの ) c 肝臓 腎臓 心臓などに中等度機能障害がある 2 ( 目安として それぞれの臓器異常による症状を認めるもの ) d 肝臓 腎臓 心臓などに重度機能障害がある あるいは移植医療が必要である ( 目安として それぞれの臓器の機能不全を認めるもの ) 4 5

Ⅵ 生活の自立 介助などの状況 ( 以下の中からいずれか1つを選択する ) a 自立した生活が可能 0 b 何らかの介助が必要 1 c 日常生活の多くで介助が必要 2 d 生命維持医療が必要 4 総合評価 ⅠかⅥまでの各評価及び総合点をもとに最終評価を決定する (1)4 点の項目が1つでもある場合 重症 (2)2 点以上の項目があり かつ加点した総点数が 6 点以上の場合 重症 (3) 加点した総点数が 3-6 点の場合 中等症 (4) 加点した総点数が 0-2 点の場合 軽症 注意 1 診断と治療についてはガイドラインを参考とすること 2 疾患特異的な薬物治療はガイドラインに準拠したものとする 診断基準及び重症度分類の適応における留意事項 1. 病名診断に用いる臨床症状 検査所見等に関して 診断基準上に特段の規定がない場合には いずれの時期のものを用いても差し支えない ( ただし 当該疾病の経過を示す臨床症状等であって 確認可能なものに限る ) 2. 治療開始後における重症度分類については 適切な医学的管理の下で治療が行われている状態で 直近 6ヵ月間で最も悪い状態を医師が判断することとする 3. なお 症状の程度が上記の重症度分類等で一定以上に該当しない者であるが 高額な医療を継続することが必要な者については 医療費助成の対象とする 6