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目 的 大豆は他作物と比較して カドミウムを吸収しやすい作物であることから 米のカドミウム濃度が相対的に高いと判断される地域では 大豆のカドミウム濃度も高くなることが予想されます 現在 大豆中のカドミウムに関する食品衛生法の規格基準は設定されていませんが 食品を経由したカドミウムの摂取量を可能な限り

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表紙

隔年結果

Ⅳ 花き

窒素吸収量 (kg/10a) 目標窒素吸収量 土壌由来窒素吸収量 肥料由来 0 5/15 5/30 6/14 6/29 7/14 7/29 8/13 8/28 9/12 9/ 生育時期 ( 月日 ) 図 -1 あきたこまちの目標収量確保するための理想的窒素吸収パターン (

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Ⅳ 花き

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『緑のカーテン《育て方マニュアル

数ふやすことが出来ます. また, さし木苗は実生苗よりも早く開花結実する特徴もあります. 1 さし木の時期 常緑樹:6~7 月,9 月中 下旬 落葉樹:2 月中旬 ~3 月上旬 草本性植物: 栄養繁殖しているときならいつでもよい 熱帯性観葉植物:5~9 月それ以外は加温が必要 2 さし穂の調整 樹木

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水稲いもち病当面の対策                   

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ほ場台帳 ( 生産団体用 : 作成例 ) 品目名記入年月日平成年月日 生産管理責任者名 作型収穫始月旬収穫終月旬 ほ場番号生産者名所在地栽培面積収穫予定 a 計人 a - 2 -

Transcription:

サネリ Senecio hybridus(willd.)regel キク科 1 経営的特徴と導入方法サネリは 冬から春にかけての代表的な鉢花として親しまれている 従来サネリは 小中輪で単調な色彩のものが多く 面白味に欠けていたが 近年 大輪の色彩豊かな品種が市場に出回るようになり 人気が高まってきた 表 1 10a 当たり旬別所要労働時間 ( 単位 : 時間 ) 月 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月旬中中中中中中時間 15.0 43.0 15.0 15.0 23.0 35.0 55.0 50.0 35.0 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月合計中中中中中中 10.0 25.0 15.0 15.0 173 165 15.0 23.0 15.0 15.0 123 115 995.0 ( 注 )1. 山梨県農業経営指標 Ⅰ( 果樹 花き )(1999.3) 2. 出荷鉢数 8,000 鉢 /10a 春出し (3 月出荷 ) 2 生理生態的特性と適応性サネリはカナリ諸島原産のキク科植物で シネラリとも呼ばれている 和名を富貴ギクといい 冬から春にかけての定番鉢物となっている 現在栽培されている系統の元となった品種はギリスで育種されたものであるが 販売されている品種のほとんどは日本国内で育種されたものである 性質は暑さを嫌い 日本のような蒸し暑い夏は枯死する場合がほとんどである そのため本来は宿根草であるが 取り扱いは夏まきの1 年草となっている 生育適温は10~16 で 0 で凍害 25 以で生育が阻害される 花芽分化は 短日条件で行われるが 温度との関わりが深く 5~10 6 週間の低温期間が必要とされている 高温では花芽分化が阻害されると言われているが 温度域については明らかではない - 374 -

3 作型と品種 作型 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 10~11 月出 加温 し栽培 12~1 月出 し栽培 加温 2~4 月 出し栽培 加温 (1) 作型 10~11 月出し栽培 :6 月旬頃播種し 10~11 月に出荷する作型 12~1 月出し荷栽培 :7 月旬頃播種し 12~1 月に出荷する作型 2~4 月だし栽培 :9 月旬頃播種し 2~4 月に出荷する作型 (2) 品種 小輪から大輪 早生から晩生と品種は多岐に及ぶ 早生系 ( 年内 ) 中生系 (1~3 月 ) 小輪系 (2.5~3 cm) ホップシリーズ ーリーパーフェクション 中 大輪系 極早生鴻巣系 エキストラシリーズ (4~6 cm) スプリングハーモニーうららメロディープラネットカーニバル 巨大輪系 (8cm 以 ) 福だるま 早晩性は種苗メーカーのカタログによる - 375 -

図 1 中生大輪品種 カーニバルシリーズ 4 栽培 (1) 育苗 播種準備 播種用土は水保ち 水はけ共によいものを用いる 市販の用土でもかまわないが 自分で調整するときは土と有機質資材を等量に混合したものを用い 土壌消毒は必ず行う phは6.0 程度でよいと考えられる 肥料に関しては サネリは生育初期の養分吸収量がごく少ないため 無肥料で良い プラグトレーを利用すると後の移植時に労力が軽減されるが 種子が非常に細かいため 播種機がない場合は箱播きが無難である 播種 播種準備のところでも述べたが 種子が1 ml で2,000~2,500 粒と微細なため 箱播きにする 大きめの育苗箱 (50 30 6cm) では500 粒前後薄く播種をする かん水は 底面吸水で行うが水を溜めたままにしない ( 蒸れ防止のため ) 播種後は覆土をせず 発芽適温 15~20 を考慮して 遮光した涼しい場所で管理する ただし暗黒にはしない 発芽後の管理 発芽までの期間は 1 週間程度であるが 育苗期間は播種から 1 か月程度である かん水は発芽までは乾 かさないように行い 発芽が揃ったら 表土が乾きはじめたらかん水するようにする 多湿は蒸れにより 立ち枯れ症状が出たり 徒長の原因となる 肥料については鉢げまで特に必要なく 地力だけでまかな - 376 -

えるが 無肥料の市販用土を用いたときなどは 極端に葉色が薄くならぬよう 適宜ごく薄い液肥を施す (2) 鉢げ準備 用土の準備 サネリは赤土や田土のような重い土を好む これをベースに腐葉土などの有機質資材を等量近く混入する 物理性に心配があるときは 全体量の1 割程度もみがらくん炭等を混入する このように調整した用土は播種時同様消毒を行う (3) 施肥サネリは初期の養分吸収量が少なく 生育中盤から直線的に増加する このため初期に肥料が多いのは好ましくなく EC 値で0.8mS/cm を超えると生育抑制が発生する 窒素レベルでみれば 必要量は 1g 程度であるが 全て基肥として混入するのではなく 基肥は3 割程度に押さえ残りの7 割は追肥で行いたい また基肥は緩行性を用いる (4) 鉢げ 第 1 回目 播種後 1 か月もすると 本葉 2~3 となり移植の適期となる 2.5~3 号のポリポットに鉢げをする 第 2 回目 第 1 回目の鉢げから 1 か月半もすると ポットいっぱいに生育している このころ 5 号鉢程度に仕 げの鉢げをする (5) 鉢げ後の管理 かん水 鉢げが終わったら 鉢底から水が流れ出るまでたっぷりとかん水を行う その後は用土表面が乾きは じめてからかん水する どちらかといえばやや乾燥気味に管理する 光線管理 夏場の高温期には遮光を行い気温をげる努力をするが 秋以降は十分太陽光線に当て 徒長のない しまった草姿に仕げる 温度管理 夏場は 25 以にならぬよう換気や遮光を行い なるべく涼しく管理をする 秋以降は生育適温 10~ 16 を目標に加温し 最低温度が5 以にならぬようにする ただし花芽分化に5~10 の低温に約 6 週間遭遇しなければならないため 年末出荷は10 月中旬以降 2~3 月出荷では12 月末 ~1 月から出荷期に応じて10 ~13 の加温を行う - 377 -

エ 追肥 葉色をみながら適宜液肥によって行う 薄目のものを回数でコントロールするようにする 鉢げ用土 の準備のところでも述べたが 必要とする窒素成分の 7 割 つまり 0.7g 分を複数回に分けて追肥をする 特に開花が近づく頃 多めに施肥されるようにする 5 主要病害虫とその防除対策 (1) 病害 苗立枯病 幼苗の地際部が褐色に腐敗し 倒伏する 坪枯状に発生することもある 病原菌は Rhizoctonia 属菌が 記録されている 健全な用土を用い は種床が過湿にならないように管理する 灰色かび病 葉 花梗 花弁に発生する 水浸状の変色した病斑ができ 後に灰色のかびを生じる 発生の特徴と防除法は共通事項参照 うどんこ病 葉に白色紛状の小斑点ができ 次第に葉全面が白い粉で覆われる 発生の特徴と防除法は共通事項参照 (2) 虫害ワタブラムシ ザミマ類 ハダニ類等が加害するが 他の害虫も含めて県内では不明な点が多い 6 調製 出荷 出荷適期は市場により異なるが 中 大輪系のもので 5~6 輪程度が開花したときである 鉢の汚れを拭き 取り 枯れ葉を取り除いてからの出荷となる また葉の傷みを軽減させるため 出荷袋に入れて出荷する 参考 引用文献 1) 浅野昭 農業技術体系花卉編 8 1 2 年草 農山漁村文化協会 ( 平成 6 年 ) 2) 竹田幸正 卯柳重光 鉢物栽培技術マニュル 2 巻 誠文堂新光社 ( 平成 6 年 ) - 378 -

サネリ栽培ごよみ 10~11 月出荷 12~1 月 1 月旬 ( 保温程度 ) 2~4 月 2 栽 培 の 要 点 摘 要 生育 作業 生育 作業 1. 作型 5 中 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 10~11 月 加温 出荷 6 中 12~4 月 加温 播種出荷 ( 注 ) : 播種 : 鉢げ : 出荷 7 中 発 播種 1 2. 播種 芽 (1) 温 度 : 発芽までは15~20 前後とする 25 以になる時期の播種は 鉢げ 避ける 8 中 (2) 水管理 : 発芽までは絶対に乾燥させないよう管理する 生 播種 2 3. 用土の準備 育 鉢げ1 (1) 長期間にわたり物理性が変化することのない用土を用いる 9 中 仕げ 団粒化された土壌をベースにする 比率は土壌 5 割 腐葉土 5 割 さら 生 に全体量の1~2 割十和田砂やもみがらくんたんを混入 育 鉢げ2 (2) 生育初期の吸肥力は弱いため無肥料とする phは5.5~6.0を目標に矯正 10 中 出荷始め 仕げ1 する 開 4. 鉢げ 花 (1) 1 回目は播種後 1 週間程度で2.5~3 号ホ リホ ットへ定植する 11 中 期 仕げ2 (2) 2 回目はホ ット内に十分根が回り地部が充実したときで 5 号仕げ鉢 に定植する 1 回目の定植から 1 か月半ほど経たときである 出荷 1 5. 定植後の管理 12 中 (1) 温度 :10~11 月出荷では保温程度でも栽培可能である 12 月以降の出 荷の作型では最低 5 以を保つように加温する 花芽分化ま では 10 以にしない その後は生育に応じて 10~13 に加温 1 中をする (2) かん水 : 用土表面が乾き始めたら 鉢底から水が出るまでたっぷりとか 出荷 2 ん水をする 2 中 (3) 追肥 : 葉色が淡くなってきたら追肥をする 追肥はごく薄い液肥を用 を用い 回数でコントロールする 開花が近づいたら多めに施 用する 3 中 6. 出荷 市場にもよるが 5~6 輪前後開花したときが出荷適期となる 枯れ葉や傷んだ花等を取り除き 鉢の汚れを落として出荷する 葉の傷み 4 中を軽減するため出荷袋に入れて出荷する - 379 -