共済年金は厚生年金に統一されます 平成 27 年 10 月から被用者年金が一元化されます 目次 Ⅰ 被用者年金制度の一元化 2 改正の趣旨 公務員等も厚生年金に加入し 2 階部分の年金は厚生年金に統一されます 制度的な差異については基本的に厚生年金に揃えて解消します 保険料率は厚生年金の保険料率に統

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被用者年金一元化法による追加費用削減について 昨年 8 月に社会保障 税一体改革関連法の一つとして被用者年金一元化法が成立 一元化法では 追加費用財源の恩給期間にかかる給付について 以下の配慮措置を設けた上で 負担に見合った水準まで一律に 27% 減額することとし 本年 8 月まで ( 公布から 1

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平成 27 年 10 月から全国市町村職員共済組合連合会 ( 以下 市町村連合会 1 ) が年金の決定 支払いを行います ~ 各種届出等の手続き及び各種相談は 今までどおり共済組合で行います ~ 平成 24 年 8 月 22 日に公布された 被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部

地方公務員等共済組合法及び被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律 < 趣旨 > 被用者年金一元化法附則第 2 条等を踏まえ 地方公務員共済年金の職域部分の廃止に伴い 地方公務員の退職給付の一部として 年金払い退職給付 ( 仮称 ) を設けるなど

資料1 短時間労働者への私学共済の適用拡大について

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第14章 国民年金 

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<ワンストップサービスの実現 ( 公的年金給付総合情報連携システム )> 一元化後に始まる厚生年金業務の実施形態のこと 4つの実施機関が保有する被保険者の情報を 日本年金機構の管理システムを通じて互いにやりとりできるようにする また 厚生年金の相談 請求 届出等を全ての窓口 または一度の手続きで済ま


退職後の医療保険制度共済組合の年金制度退職後の健診/宿泊施設の利用済組合貸付金/私的年金退職手当/財形貯蓄/児童手当個人型確定拠出年金22 共イ特別支給の老齢厚生年金老齢厚生年金は本来 65 歳から支給されるものです しかし 一定の要件を満たせば 65 歳未満でも 特別支給の老齢厚生年金 を受けるこ

年金支給開始年齢図 特別支給の ( 給料比例部分 ) 昭和 29 年 10 月 1 日生まれ以前 ~ 特別支給の退職共済年金 昭和 25 年 10 月 1 日生まれ以前 ~ 退職共済年金 経過的職域加算額 ( 旧職域部分 ) 退職等年金給付 ( 年金払い退職給付 ) 平成 27 年 9 月までの組合

一元化後における退職共済年金および老齢厚生年金の在職支給停止 65 歳未満の場合の年金の支給停止計算方法 ( 低在老 ) 試算表 1 年金と賃金の合算額が 28 万を超えた場合に 年金額の支給停止 ( これを 低在老 といいます ) が行われます 年金と賃金の合算額 (c) が 28 万以下の場合は

Microsoft Word ①概要(整備令)

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新規裁定当該期間 ( 月又は年度 ) 中に新たに裁定され 年金受給権を得た者が対象であり 年金額については裁定された時点で決定された年金額 ( 年額 ) となっている なお 特別支給の老齢厚生年金の受給権者が65 歳に到達した以降 老齢基礎年金及び老齢厚生年金 ( 本来支給もしくは繰下げ支給 ) を

(2) 再就職後 年金受給権が発生した場合正規職員無職一般企業無職 共済組合員 A 厚生年金 B ( 一般厚生年金 ) 退職 再就職 老齢厚生年金支給開始年齢 1 年金待機者登録 2 公的年金加入 ( 一部又は全額支給停止 ) 3 年金決定請求 1 退職した際は 年金の受給権発生まで期間がありますの

Taro-1-国民年金編2015  作成 

年金制度について 31

高齢者福祉

例 言 厚生年金保険被保険者厚生年金保険被保険者については 平成 27 年 10 月 1 日から被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律が施行されたことに伴い 厚生年金保険法第 2 条の5の規定に基づき 以下のように分類している 1 第 1 号厚生年金被保険者第 2


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52 (2) 再就職後 年金受給権が発生した場合正規職員無職一般企業 無職 共済組合員 A 厚生年金 B ( 一般厚生年金 ) 退職再就職老齢厚生年金支給開始年齢 1 年金待機者登録 2 公的年金加入 3 年金決定請求 ( 一部又は全額支給停止 ) 1 退職した際は 年金の受給権発生まで期間がありま

社会保障 税一体改革大綱(平成24 年2月17 日閣議決定)社会保障 税一体改革における年金制度改革と残された課題 < 一体改革で成立した法律 > 年金機能強化法 ( 平成 24 年 8 月 10 日成立 ) 基礎年金国庫負担 2 分の1の恒久化 : 平成 26 年 4 月 ~ 受給資格期間の短縮

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1 被用者年金制度一元化以降における公務員年金制度の現状 ⑴ 被用者年金制度の一元化 ( 平成 27 年 10 月 1 日施行 ) 平成 24 年 8 月に成立し 同月に公布された 被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律 により 平成 27 年 10 月より共済年金

表 2 イ特別支給の老齢厚生年金老齢厚生年金は本来 65 歳から支給されるものです しかし 一定の要件を満たせば 65 歳未満でも 特別支給の老齢厚生年金 を受けることができます 支給要件 a 組合員期間が1 年以上あること b 組合員期間等が25 年以上あること (P.23の表 1 参照 ) c

年金制度のポイント

(2) 国民年金の保険料 国民年金の第 1 号被保険者および任意加入者は, 保険料を納めなければなりません また, より高い老齢給付を望む第 1 号被保険者 任意加入者は, 希望により付加保険料を納めることができます 定額保険料月額 15,250 円 ( 平成 26 年度 ) 付加保険料月額 400

平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

260401【厚生局宛て】施行通知

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(2) 国民年金の保険料 国民年金の第 1 号被保険者および任意加入者は, 保険料を納めなければなりません また, より高い老齢給付を望む第 1 号被保険者 任意加入者は, 希望により付加保険料を納めることができます 定額保険料月額 16,490 円 ( 平成 29 年度 ) 付加保険料月額 400

はじめに 定年 は人生における大きな節目です 仕事をする 働く という観点からすれば ひとつの大きな目標 ( ゴール ) であり 定年前と定年後では そのライフスタイルも大きく変わってくることでしょう また 昨今の労働力人口の減少からも 国による 働き方改革 の実現に向けては 高齢者の就業促進も大き

Microsoft Word - T2-06-1_紙上Live_老齢(1)_①支給要件(9分)_

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第 2 節強制被保険者 1 第 1 号被保険者頻出 択 ( 法 7 条 1 項 1 号 ) 資格要件 日本国内に住所を有する20 歳以上 60 歳未満の者 ( 第 2 号 第 3 号被保険者に該当する者を除く ) 例 ) 自営業者 農漁業従事者 無業者など 適用除外 被用者年金各法に基づく老齢又は退

他の所得による制限と雇用保険受給による年金の停止 公務員として再就職し厚生年金に加入された場合は 経過的職域加算額は全額停止となり 特別 ( 本来 ) 支給の老齢厚生年金の一部または全部に制限がかかることがあります なお 民間に再就職し厚生年金に加入された場合は 経過的職域加算額は全額支給されますが

Microsoft Word - (差替)170620_【総務部_厚生課_櫻井望恵】論文原稿

[ 組合員期間等の特例 ] 組合員期間等については 年齢 職種などにより 過去の制度からの経過措置が設けられており 被用者年金制度の加入期間 ( 各共済組合の組合員期間など ) については 生年月日に応じて次表の年数以上であれば 組合員期間等が 25 年以上とみなされます 生 年 月 日 組合員期間

年金・社会保険セミナー

一元化後の公的年金制度の仕組み 平成 27 年 10 月に被用者年金制度の一元化が行われることにより 私学共済の年金制度にあった2 階部分の年金は厚生年金となり 職域部分は廃止されることになりました この廃止される職域部分にかわって 27 年 10 月以降の加入者期間分については 新たな3 階部分の

< 参考資料 目次 > 1. 平成 16 年年金制度改正における給付と負担の見直し 1 2. 財政再計算と実績の比較 ( 収支差引残 ) 3 3. 実質的な運用利回り ( 厚生年金 ) の財政再計算と実績の比較 4 4. 厚生年金被保険者数の推移 5 5. 厚生年金保険の適用状況の推移 6 6. 基

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老齢年金の繰下げ支給に係る支給開始時期の見直し 70 歳に達した後に繰下げ支給の申出を行った場合に 年金額は 70 歳の時点で申出を行った場合と変わらないにもかかわらず 申し出のあった月の翌月以降の年金しか支払われない扱いとしていることについて 繰下げの申出を行うまでの期間の給付も行うこととする (

国民年金

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老齢基礎年金 老齢基礎年金を受けられる方 老齢基礎年金は 原則として受給資格期間が 25 年 (300 ヵ月 ) 以上ある方が 65 歳になったときから受けられます 受給資格を満たしているときは 本人の希望により 60 歳から 70 歳までの間で年金を受け始める年齢を変更することができます (17

年金額の改定について 公的年金制度は平成 16 年の法改正により永久に年金財政を均衡させる従来の仕組みから おおむね ( 100 ) 年間で年金財政を均衡させる仕組みへと変わった この年金財政を均衡させる期間を 財政均衡期間 という これにより 政府は少なくとも ( 5 ) 年ごとに財政の検証をおこ

制度改正の概要について

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再任用と年金加入の関係をまとめると次のようになる ( 都道府県によって勤務形態は異なる ) 再任用の勤務形態フルタイム勤務 3/4 1/2 週の勤務時間 38 時間 45 分 29 時間 19 時間 15 分 共済年金 厚生年金 (2016 年 9 月 30 日まで ) 加入する年金 (2015 年

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2.3.2 公的年金制度の財源と支出 1年間の年金給付費はいくらなのか 公的年金制度の財源には保険料のほかに 積立金の運用収入や税金などがある 1年間でどれだけの金額が年金制度に使われているのでしょうか 以下の図 に 公的年金制度の財源と給付費を示します 財源については 保険料による

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8-1 雇用保険 雇用保険の適用基準 1 31 日以上引き続き雇用されることが見込まれること 31 日以上雇用が継続しないことが明確である場合を除き この要件に該当することとなります このため 例えば 次の場合には 雇用契約期間が31 日未満であっても 原則として 31 日以上の雇用が見込まれるもの

平成 30 年 2 月末の国民年金 厚生年金保険 ( 第 1 号 ) 及び福祉年金の受給者の 年金総額は 49 兆円であり 前年同月に比べて 7 千億円 (1.4%) 増加している 注. 厚生年金保険 ( 第 1 号 ) 受給 ( 権 ) 者の年金総額は 老齢給付及び遺族年金 ( 長期要件 ) につ

平成 30 年 1 月末の国民年金 厚生年金保険 ( 第 1 号 ) 及び福祉年金の受給者の 年金総額は 49 兆円であり 前年同月に比べて 6 千億円 (1.3%) 増加している 注. 厚生年金保険 ( 第 1 号 ) 受給 ( 権 ) 者の年金総額は 老齢給付及び遺族年金 ( 長期要件 ) につ

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被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案要綱第一改正の趣旨被用者年金制度については 多様な生き方や働き方に公平な社会保障制度を目指す平成二十四年二月十七日の閣議決定 社会保障 税一体改革大綱 に基づき 公的年金制度の一元化を展望しつつ 今後の制度の成熟化や少子 高齢

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受けているときは これらの年金総額が 230 万円となるように計算されます 計算例 1. 単一の共済年金が支給されている場合 事例 1 退職共済年金 + 老齢基礎年金を受給している方の場合 現在の年金額退職共済年金 210 万円老齢基礎年金 60 万円 (= 組合員期間に係る基礎年金相当額 ) 退職

時効特例給付制度の概要 制度の概要 厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に係る時効の特例等に関する法律 ( 平成 19 年 7 月 6 日施行 ) に基づき 年金記録の訂正がなされた上で年金が裁定された場合には 5 年で時効消滅する部分について 時効特例給付として給付を行うこととされた 法施行前

(2) 被用者年金の一元化によって変わったこと 平成 27 年 10 月から 公務員等が加入している共済年金が 民間企業に勤務する人が加入している厚生年金に統一されました 一元化後も 納めた保険料に応じて年金を受け取るという基本的なしくみは同じですが 保険料や年金額の算定方法が変わります また 共済

2 厚年と国年の加入期間がある人 昭和 36 年 3 月以前 20 歳未満および 60 歳以後の厚年の被保険者期間 昭和 36 年 3 月以前の厚年期間のみの人 坑内員 船員 ( 第 3 種被保険者 ) の場合 昭和 61 年 3 月までの旧船員保険の

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「公的年金からの特別徴収《Q&A

平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

図表 1 年金改革関連法案の概要 国民年金法改正案 ( 未成立 ) (1) 主要改正項目 2012 年度及び13 年度について 国庫は 年金特例公債 ( つなぎ国債 ) により基礎年金国庫負担割合 2 分の1と36.5%( 現在財源が手当てされている国庫負担割合 ) の差額を負担する 2012 年度

2906_0 概要

第 7 章 年金 福祉 1 年金 日本の公的年金制度は, 予測できない将来へ備えるため, 社会全体で支える仕組みを基本としたものです 世代を超えて社会全体で支え合うことで給付を実現し, 生涯を通じた保障を実現するために必要です 働いている世代が支払った保険料を高齢者などの年金給付に充てるという方式で

公的年金制度について 制度の持続可能性を高め 将来の世代の給付水準の確保等を図るため 持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律に基づく社会経済情勢の変化に対応した保障機能の強化 より安全で効率的な年金積立金の管理及び運用のための年金積立金管理運用独立行政法人の組織等の見直し等の

ファイナンシャル プランニングと倫理 関 連法規 Copyright (c) Akira Sugiyama all rights reserved 2

【作成中】2903_0 概要

Transcription:

地共済版 組合員向 共済年金は厚 生年金に統 一されます 平成27 年10月から 被用者年金が一元化されます

共済年金は厚生年金に統一されます 平成 27 年 10 月から被用者年金が一元化されます 目次 Ⅰ 被用者年金制度の一元化 2 改正の趣旨 公務員等も厚生年金に加入し 2 階部分の年金は厚生年金に統一されます 制度的な差異については基本的に厚生年金に揃えて解消します 保険料率は厚生年金の保険料率に統一されます 厚生年金事業は共済組合等もその役割を担います 標準報酬制に移行します Ⅱ 年金払い退職給付 の創設 2 3 4 6 6 7 9 共済年金の職域部分廃止後の新たな年金として 年金払い退職給付 が創設されます 9 Ⅲ その他の年金制度の改正 受給資格期間が短縮されます 産休期間中の保険料が免除されます 世代間公平の観点から 年金額の特例水準が解消されます 追加費用の削減のため 恩給期間に係る給付が引き下げられます 13 13 13 14 15 Ⅳ 年金関連法施行のスケジュール 16

Ⅰ 被用者年金制度の一元化 改正の趣旨 今回の改正の趣旨は 多様な生き方や働き方に公平な社会保障制度を目指す平成 24 年 2 月 17 日の閣議決定 社会保障 税一体改革大綱 に基づき 公的年金制度の一元化を展望しつつ 今後の制度の成熟化や少子 高齢化の一層の進展等に備え 年金財政の範囲を拡大して制度の安定性を高めるとともに 民間被用者 公務員を通じ 将来に向けて 同一の報酬であれば同一の保険料を負担し 同一の公的年金給付を受けるという公平性を確保することにより 公的年金全体に対する国民の信頼を高めるため 厚生年金制度に公務員及び私学教職員も加入することとし 厚生年金制度に統一することです 具体的には 厚生年金に公務員及び私学教職員も加入することとし 2 階部分の年金は厚生年金に統一すること 公務員等の保険料率を引き上げ 厚生年金の保険料率 ( 上限 18.3%) に統一するとともに 職域部分 ( 3 階部分 ) を廃止し 民間サラリーマン等との同一保険料 同一給付を実現すること 遺族年金の転給など 共済年金と厚生年金の制度的な差異については 基本的に厚生年金に揃えて解消すること です 2

第 Ⅰ 章被用者年金制度の一元化 公務員等も厚生年金に加入し 2 階部分の年金は厚生年金に統一されます 現在 民間企業に勤めている方は厚生年金に加入し 公務員や私立学校の教職員は共済年金に加入していますが 平成 27 年 10 月からは 公務員等も厚生年金に加入することとなります これにより 2 階部分の年金は厚生年金に統一されることとなります (2 階部分の給付設計は 現在 厚生年金も共済年金も同じです ) 現行 現在の公的年金制度の体系 ( 数値は 平成 23 年 3 月末 ) 3 階 2 階 1 階 厚生年金加入員数 3,441 万人 国民年金 ( 基礎年金 ) 職域部分 共済年金加入員数 442 万人 国家公務員共済 105 万人地方公務員共済 288 万人私立学校教職員共済 48 万人 第 2 号被保険者の被扶養配偶者 自営業者等 民間サラリーマン 公務員等 1,005 万人第 3 号被保険者 1,938 万人第 1 号被保険者 3,883 万人第 2 号被保険者等 6,826 万人 平成 27 年 10 月から 改正後 被用者年金一元化後の公的年金制度の体系 民間サラリーマン 3,441 万人 厚生年金国家公務員 105 万人地方公務員 288 万人私立学校教職員 48 万人 職域部分 は廃止 国民年金 ( 基礎年金 ) 第 2 号被保険者の被扶養配偶者 自営業者等 民間サラリーマン 公務員等 1,005 万人第 3 号被保険者 1,938 万人第 1 号被保険者 3,883 万人第 2 号被保険者等 6,826 万人 3

制度的な差異については基本的に厚生年金に揃えて解消します 厚生年金と共済年金は 遺族年金の転給制度 ( 次頁 5) など制度間の差異がありますが 基本的に厚生年金に揃えることで差異を解消します ❶ 被保険者の年齢制限 共済年金 厚生年金 年齢制限なし ( 私学共済除く ) 70 歳まで ❷ 未支給年金の給付範囲 共済年金 遺族 ( 死亡した者によって生計を維持していた配偶者 子 父母 孫 祖父母 ) 又は遺族がないときは相続人 厚生年金 死亡した者と生計を同じくしていた配偶者 子 父母 孫 祖父母 兄弟姉妹又は甥姪など 未支給年金 受給権者が死亡した場合 その者が支給を受けることができた給付でその支払いを受けなかったものがあるときに 遺族等に支払うものです ❸ 老齢給付の在職支給停止 共済年金 退職共済年金受給者が共済組合員となった場合 ( 賃金 + 年金 ) が28 万円を超えた場合 年金の一部又は全部を支給停止 3 階部分は支給停止 私学共済の退職共済年金受給者が私学共済加入者となった場合は 厚生年金と同様の方式 厚生年金 老齢厚生年金受給者が厚生年金被保険者となった場合 65 歳までは ( 賃金 + 年金 ) が 28 万円を超えた場合 年金の一部又は全部を支給停止 65 歳以降は ( 賃金 + 年金 ) が 46 万円を超えた場合 年金の一部又は全部を支給停止 退職共済年金受給者が厚生年金被保険者等となった場合 ( 賃金 + 年金 ) が46 万円を超えた場合 年金の一部又は全部を支給停止 4

第 Ⅰ 章被用者年金制度の一元化 ❹ 障害給付の支給要件 共済年金 保険料納付要件なし 厚生年金 保険料納付要件あり初診日の前々月までの保険料納付済期間及び保険料免除期間を合算した期間が 3 分の2 以上必要 保険料免除期間 国民年金の第 1 号被保険者 ( 自営業者等 ) が申請により保険料の納付を免除された期間です ❺ 遺族年金の転給 共済年金 先順位者が失権した場合 次順位者に支給される ( 例 : 遺族年金受給中の子供のいない妻が死亡したとき 一定の場合 その遺族年金が父母等に支給される ) 厚生年金 先順位者が失権しても 次順位以下の者に支給されない ( 例 : 遺族年金受給中の子供のいない妻が死亡すると その遺族年金は支給されなくなる ) 遺族年金の受給順位 年金を受給できる遺族の順位のことで 次の通りとなります 1. 配偶者 ( 妻又は夫 ) 及び子 2. 父母 3. 孫 4. 祖父母 遺族は 上記の者であって 組合員又は組合員であった者の死亡の当時 その者によって生計を維持していた者に限られます 5

保険料率は厚生年金の保険料率に統一されます 厚生年金及び共済年金の保険料率は 現在も毎年 0.354% ずつ引き上げられていますが この引上げスケジュールを法律に位置づけ 公務員は平成 30 年 私学教職員は平成 39 年に 18.3% で統一されます ( 厚生年金は平成 29 年に18.3% となる ) 厚生年金事業は共済組合等もその役割を担います 被保険者の記録管理 標準報酬の決定 改定 保険料の徴収 保険給付の裁定等を行う主体として 厚生労働大臣に加え 共済組合及び私学事業団 ( 共済組合等 ) も厚生年金事業を実施します 6

第 Ⅰ 章被用者年金制度の一元化 標準報酬制に移行します 保険料及び給付額の算定基礎は 標準報酬になります 標準報酬制への移行 現行 手当率制 給付額の算定基礎 = 給料月額 1.25 改正後 標準報酬制 標準報酬制 毎年 4 月から 6 月までの報酬の平均額を基に 標準報酬月額 を原則 年 1 回決定 ( 定時決定 という ) します これをその年の 9 月から翌年の 8 月までの各月の標準報酬月額とし 保険料等の算定基礎とする仕組みです 定時決定の他に 定期昇給等で報酬が大きく変動した場合には標準報酬月額を改定する 随時改定 等があります また 期末手当等の額を基に 標準期末手当等の額 を決定します 保険料等の算定基礎 標準報酬月額 等級表 に当てはめる 4 月 ~ 6 月の報酬の平均額 4 月の報酬 5 月の報酬 6 月の報酬 給料 実際の手当超勤手当 扶養手当等 給料 実際の手当 給料 実際の手当 経過措置として 制度開始時の平成 27 年 10 月 ~ 平成 28 年 8 月は 平成 27 年 6 月の報酬を基に標準報酬月額が決定されます 7

等級表 標準報酬月額等級 標準報酬月額 報酬月額 第 1 級 98,000 円 101,000 円未満 第 2 級 104,000 円 101,000 円以上 107,000 円未満 第 3 級 110,000 円 107,000 円以上 114,000 円未満 第 4 級 118,000 円 114,000 円以上 122,000 円未満 第 5 級 126,000 円 122,000 円以上 130,000 円未満 第 6 級 134,000 円 130,000 円以上 138,000 円未満 第 7 級 142,000 円 138,000 円以上 146,000 円未満 第 8 級 150,000 円 146,000 円以上 155,000 円未満 第 9 級 160,000 円 155,000 円以上 165,000 円未満 第 10 級 170,000 円 165,000 円以上 175,000 円未満 第 11 級 180,000 円 175,000 円以上 185,000 円未満 第 12 級 190,000 円 185,000 円以上 195,000 円未満 第 13 級 200,000 円 195,000 円以上 210,000 円未満 第 14 級 220,000 円 210,000 円以上 230,000 円未満 第 15 級 240,000 円 230,000 円以上 250,000 円未満 第 16 級 260,000 円 250,000 円以上 270,000 円未満 第 17 級 280,000 円 270,000 円以上 290,000 円未満 第 18 級 300,000 円 290,000 円以上 310,000 円未満 第 19 級 320,000 円 310,000 円以上 330,000 円未満 第 20 級 340,000 円 330,000 円以上 350,000 円未満 第 21 級 360,000 円 350,000 円以上 370,000 円未満 第 22 級 380,000 円 370,000 円以上 395,000 円未満 第 23 級 410,000 円 395,000 円以上 425,000 円未満 第 24 級 440,000 円 425,000 円以上 455,000 円未満 第 25 級 470,000 円 455,000 円以上 485,000 円未満 第 26 級 500,000 円 485,000 円以上 515,000 円未満 第 27 級 530,000 円 515,000 円以上 545,000 円未満 第 28 級 560,000 円 545,000 円以上 575,000 円未満 第 29 級 590,000 円 575,000 円以上 605,000 円未満 第 30 級 620,000 円 605,000 円以上 短期給付 ( 医療保険 ) の等級表とは区分が異なります 8

第 Ⅱ 章 年金払い退職給付 の創設 Ⅱ 年金払い退職給付 の創設 共済年金の職域部分廃止後の新たな年金として 年金払い退職給付 が創設されます 国家公務員について退職給付 ( 退職金 + 年金 ( 事業主分 )) の官民均衡を図る観点から 以下の対応を行う 公務員の退職給付の在り方については 人事院調査及び被用者年金一元化法附則第 2 条を踏まえ 共済年金職域部分と退職給付に関する有識者会議 において検討し 報告書がとりまとめられた 当面の退職給付の官民較差は 退職手当の支給水準の引下げにより調整 職域部分廃止後の官民均衡は 退職給付の一部として 年金払い退職給付 をゼロから保険料を積み立てて設けることにより確保 地方公務員についても同様に対応 ( 地方公務員等共済組合法等の一部改正法 ( 平成 24 年 11 月 26 日公布ー平成 27 年 10 月 1 日施行 )) 人事院調査 民 間 公 務 2015( 平成 27) 年 9 月末までに退職 移行期間中に退職 ( 現役の公務員 ) 2060 年頃に退職 ( 将来の公務員 ) 職域部分 243.3 万円 退職手当の引下げ 402.6 万円 2015( 平成 27 ) 年 10 月廃止が決定済 職域部分 ( 旧職域部分の経過支給 ) 年金払い退職給付 年金払い退職給付 企業年金 1,506.3 万円 退職手当 2,707.1 万円 退職手当 退職手当 退職手当 退職一時金 1,041.5 万円 2,547.7 万円 2,950.3 万円 9

年金払い退職給付 半分は有期年金 半分は終身年金 ( 65 歳支給 (60 歳から繰上げ可能 )) 有期年金は 10 年又は20 年支給を選択 ( 一時金の選択も可能 ) 本人死亡の場合は 終身年金部分は終了 有期年金の残余部分は遺族に一時金として支給 財政運営は積立方式 給付設計はキャッシュバランス方式とし 保険料の追加拠出リスクを抑制したうえで 保険料率の上限を法定 ( 労使あわせて1.5%) キャッシュバランス方式は 年金の給付水準を国債利回りや予想死亡率に連動させることにより 給付債務と積立金とのかい離を抑制する仕組み 公務に基づく負傷又は病気により障害の状態になった場合や死亡した場合に 公務上障害 遺族年金を支給 服務規律維持の観点から 現役時から退職後までを通じた信用失墜行為等に対する支給制限措置を導入 旧職域部分の未裁定者について 経過措置を規定 年金払い退職給付 のイメージ モデル年金月額約 1.8 万円 / 月 ( 想定 ) 積立方式 有期年金 (20 年間 ) 終身年金 参考 モデル年金月額約 2 万円 / 月 現行の職域部分 賦課方式 終身年金 モデル年金月額は 標準報酬月額 36 万円 40 年加入等一定の前提をおいて試算 公務上障害 遺族年金等 公務上障害 遺族年金 警察官や消防士等の公務員が 引き続き自らの身体への危険を顧みず職務に従事できるよう 公務に基づく負傷又は病気により障害の状態になった者に公務上障害年金を支給 公務に基づく負傷又は病気により死亡した場合 遺族に公務上遺族年金を支給 支給水準は 従来と同様 公務員の相互救済の観点から労使折半 ( 従来全額公費負担 ) 公務外 通勤の障害 遺族年金は設けない 旧職域部分 ( 未裁定分 ) 平成 27 年 10 月以降の退職者等に対し 職域部分の加入期間に応じて支給 ただし 平成 27 年 10 月以降に職域部分の加入期間を有する者が公務外で死亡した場合の遺族給付については 新たな年金との均衡を図る観点から 給付を見直し 10

第 Ⅱ 章 年金払い退職給付 の創設 職域部分と 年金払い退職給付 の違い 職域部分 年金払い退職給付 年金の性格 公的年金たる共済年金の一部 ( 社会保障制度の一部 ) 我が国の公的年金は (1) 国民皆年金 (2) 社会保険方式 (3) 世代間扶養という特徴を持ち 職域部分はその一部 退職給付の一部 ( 民間の企業年金に相当 ) 年金払い退職給付 は 全国民が基礎年金に加入するという 国民皆年金 の一環ではなく 世代間扶養 の仕組みもない 財政方式 賦課方式 現役世代の保険料収入で受給者の給付を賄う世代間扶養の方式 現役世代の減少により 保険料率が上昇するリスクあり 積立方式 将来の年金給付に必要な原資を予め保険料で積み立てる方式 現役世代の減少による影響を受けない 給付設計 従来の確定給付型 現役時代の報酬の一定割合という形で給付水準を決める方式 市場環境の悪化により 運用実績が想定利回りを下回った場合 保険料率が上昇するリスクあり キャッシュバランス型 国債利回り等に連動する形で給付水準を決める方式 市場環境が悪化した場合 国債利回り等に連動して給付水準が低下するため 保険料率の上昇リスクが小さい 保険料率 保険料率の上限なし 賦課方式 確定給付型という制度設計に加え 保険料率の上限がないため 保険料率の上昇に歯止めがかからないリスクあり 保険料率の上限 (1.5%) を法定 そもそも保険料率の上昇リスクが少ない制度設計であることに加え 保険料率の上限を法定 11

平成 27 年 10 月以降の年金給付 ( イメージ ) 現行 改正後 年金払い退職給付 旧職域部分 共済年金 共済組合が支給 共済組合が支給 厚生年金 基礎年金 日本年金機構が支給 基礎年金 日本年金機構が支給 12

第 Ⅲ 章その他の年金制度の改正 Ⅲ その他の年金制度の改正 受給資格期間が短縮されます 納付した保険料に応じた給付を行い 将来の無年金者の発生を抑えていくという観点から 年金の受給資格期間が10 年に短縮されます ( 施行 : 平成 27 年 10 月 ) 現行 受給資格期間 25 年 改正後 受給資格期間 10 年 産休期間中の保険料が免除されます 次世代育成支援の観点から 産前産後休業を取得した場合 年金保険料が免除されます ( 施行 : 平成 24 年 8 月から2 年以内に政令で定める日 ) 現行 改正後 産休期間中の保険料 支払う 産休期間中の保険料 免除される 13

世代間公平の観点から 年金額の特例水準が解消されます 過去 ( 平成 11~13 年 ) 特例法でマイナスの物価スライドを行わず 年金額を据え置き その後も物価の下落が続いたことなどにより 現在本来の年金額より2.5% 高い水準の年金額が支給されています この特例水準の年金額について 平成 25 年度から平成 27 年度の3 年間で段階的に解消されます ( 施行 : 平成 25 年 10 月から段階的に実施 ) 概念図 ( 仮に 3 年間物価 賃金が上昇も下落もしない場合 ) 特例 1.0% 2.5% 1.0% 0.5% 本来 24 年度 25 年度 (10 月 ~) 26 年度 27 年度 1.0% + 1.0% + 0.5% = 2.5% 物価 賃金が上昇した場合には 引下げ幅は縮小する 14

第 Ⅲ 章その他の年金制度の改正 追加費用の削減のため 恩給期間に係る給付が引き下げられます 追加費用財源の恩給期間にかかる給付 ( 下左図の網掛け部分 ) について 負担に見合った水準 ( 下右図を参照 ) まで一律に27% 減額されます ただし 1 減額率の上限は恩給期間も含めた共済年金全体の10% とする 2230 万円 / 年以下の給付 ( 恩給期間も含めた共済年金全体 ) は減額しないという配慮措置が設けられます ( 施行 : 平成 24 年 8 月から 1 年以内に政令で定める日 ) 追加費用について 追加費用の減額の考え方 昭和 37 年 12 月までに退職 過去 地方公共団体の負担 地共済法施行昭和 37 年 12 月 現在 恩給 恩給期間の本人負担は 2% であり 共済制度発足当初の本人負担 4.4% より低いことから 事業主負担を合わせた負担に見合って 27% 減額する (8.8-6.4) 8.8=27% 負担が少ない 昭和 37 年 12 月前採用昭和 37 年 12 月以降退職 地方公共団体等の負担 ( 追加費用 ) 保険料等の負担 共済年金 恩給納金 (2%) 本人負担 (4.4%) 昭和 37 年 12 月以降採用 保険料等の負担 共済年金 事業主負担に相当 (4.4%) 事業主負担 (4.4%) 恩給期間共済期間就職恩給期間共済期間 退職 追加費用 地方公務員共済の現行制度創設時 ( 昭和 37 年 12 月 ) に 従来の恩給制度から社会保険方式に切り替えられ 恩給期間分も共済年金として支給することとされました このため それまで保険料を負担していなかった恩給期間に係る共済年金の給付に要する費用については 地方公務員の恩給を地方公共団体が負担していたこととの均衡から 当時の事業主としての地方公共団体等が負担することとしています 15

Ⅳ 年金関連法施行のスケジュール (H27.10 まで ) 1 追加費用削減 4 産休期間中の保険料免除 5 特例水準解消 (3) H25.4.1 H26.4.1 H27.4.1 H28.4.1 H25.8 H25.10.1 H26.8 H27.10.1 公布から 1 年以内に政令で定める日までに施行 公布から 2 年以内に政令で定める日までに施行 2 特例水準解消 (1) 3 特例水準解消 (2) 6 受給資格期間短縮 被用者年金一元化 年金払い退職給付 創設 16

編集協力地方公務員共済年金制度研究会 禁無断転載 発行 ( 株 ) 社会保険出版社東京都千代田区猿楽町 1-5-18 平成 25 年 3 月発行