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シンガポールにおける特許 審査での審査官面接 Ai Ming Lee ( 弁護士 ) Chang Jian Ming ( 弁理士 ) Dentons Rodyk 法律事務所 Willie Lim Dentons Rodyk 法律事務所は 1861 年に設立された シンガポールで最も歴史があり最大の法律事務所の一つである 約 200 名の弁護士が国内および海外の法律サービスを提供している Lee Ai Ming 弁護士は特許紛争を専門として著名雑誌でも高い評価を受けている Ming 弁理士および Lim 氏は幅広い分野において特許および意匠のアドバイスを行っている 1. 基礎情報 2017 年 9 月 15 日から新たな実務が開始されている これまで 特許審査における審査官と出願人との間の通信は見解書 審査報告書 ならびに シンガポール知的財産庁 (Intellectual Property Office of Singapore : IPOS) の e-ポータルを通じて所定の期限までに提出される意見書および補正書によって行われていた しかし 新たな実務では 審査官は e メール通信 電話面接 ならびに 対面面接を通じて出願人との情報交換を行うことができると規定され この新たな実務が開始されて以来 審査官は 自身が求める面接以外に 出願人が求める面接にも応じるようになっている 本論においては 審査官からの非公式な通信に関する手続や 出願人からの審査官面接のリクエストに関する手続を紹介する また 審査官が面接中に検討するであろうと思われる事項についても紹介していく 2. 審査官からの非公式な通信 1 2018.01.31

特許出願の審査過程で 審査官が出願人と連絡を取る必要があると考えた場合 審査官は出願人との非公式な通信を行うことができる 審査官が非公式な通信を行う時期は 見解書が発行される前または見解書に対する応答書が提出された後のいずれかである 審査官からの通信に対して出願人が応答する場合の応答期間は通常 1 か月である 審査官からの通信に出願人が回答するにあたってこの 1 か月を超える期間が必要な場合 出願人は審査官に応答期間の延長を求めることができる ただし 延長が認められるか否かは審査官の裁量である たとえば 出願人が見解書に対して所定の期間内に応答書を提出した後で 審査官からの通信を受けることがある その場合 審査官の通信で指定された期限内であれば 出願人は所定の応答期間が過ぎた後でも新たな応答書を提出することができる 審査官からの通信に対して出願人が応答書を提出した後 審査官は出願の審査をさらに進めることになる ただし 通信内容に関係のない答弁を考慮する義務は審査官にはないという点に留意すべきである このため出願人は 審査官からの通信の中で提示された問題点を克服するための意見書または補正書 ( もしくはその両方 ) のみを提出すべきであり 関係のない余計な補正を行ってはならない 審査官と出願人との間の通信は 通信方法に関わらず 全て公式記録簿の一部と なる 透明性を確保するため 電話面接や対面面接については審査官による面接議 事録が作成され 記録簿に記載される この記録簿は公衆の閲覧に供される 出願人が通信に応答しなかった場合 審査官は審査を続行するが この場合 審査官は実際に提出された応答書のみを考慮することになる このため 次の段階で発行される見解書には 審査官の否定的見解が含まれる可能性が高い さらに 見解書ではなく否定的な審査報告書とともに 拒絶意向通知書が発行される可能性もある 2 2018.01.31

3. 出願人からの審査官面接リクエスト 出願人は 見解書を受け取った後で審査官面接を求める申請書を提出することができる この申請書提出の時点で 協議するポイントを明記した議事案や関連があると思われる資料を提出する必要がある また 出願人は審査官との協議を電話面接と対面面接のいずれの形で行うかを選択できる たとえば 見解書の中で提起された特許性に関する拒絶が特定の補正によって克服されうるかという内容を協議したいと出願人が考えているのであれば その意向を議事案に明記した上で 実際の面接に先立って出願人が考えた補正案を審査官に提出し 事前に検討してもらうようにすべきである 必要に応じて 主張を簡潔に記した要約書を提出することもできる これにより 面接中に合意が形成される可能性が大幅に高まり 審査官と出願人の双方にとって有益な面接を実現することができる 一方 出願人が面接の場で補正案や関連の主張を提出した場合に 審査官が面接の中でそれらを踏まえた判断を下す可能性は 比較的低い 特許出願に関わる争点の複雑さを考えれば 審査官には検討の時間が必要なはずである この場合 審査官は補正案に対する意見表明を差し控えるかもしれない 面接の間にクレーム補正に関する合意がとれ 出願人がその補正をそのまま正式に提出した場合 審査官がさらに審査を進め 後に新たな問題 ( 出願に関連する先行技術や 補正後のクレームに含まれた誤り等 ) が見つからなければ 肯定的な審査報告書 および特許付与適格性通知を発行することになる 4. 面接時に審査官が検討すると思われる問題 審査官は一般に 面接の中で特許性に関わる拒絶を克服するために出願人が提示 した拒絶解消策について忌憚なく話し合い あるいは出願人とともに解消策を見出 すことに前向きである 面接が出願人のリクエストによるか審査官の発意によるか 3 2018.01.31

を問わず 面接の有用性の大部分は出願人と審査官の双方の事前準備にかかってい るという点に留意すべきである 審査官の発意による面接で協議される内容の例を以下にいくつか示す (a) 発明主題が先端技術に関係している場合 審査官はこの技術に関して 審査に役立つような説明を出願人に提供して欲しいと考えているかも しれない (b) 審査中のクレームに明瞭性に関する些細な問題があるのを除けば特許 付与が見込まれる場合 審査官は それらの問題を出願人と話し合いたいと考えているかもしれない また 明瞭性に関わる残りの問題を克服するために必要なクレーム補正書を提出するよう出願人に要求するかもしれない (c) 出願人と審査官との間で何度かのやりとりがあったにも関わらず審査 が進んでおらず 双方の見解の相違を埋めるのに面接が役立つだろうと審査官が考えた場合 審査官は可能な解決策や代替策を出願人と協議するために面接を提案するかもしれない 面接の結果が良好であれば 正式な応答書を提出するよう審査官が出願人に要求する可能性もある 出願人の申請による面接で協議される問題の例を以下にいくつか示す (a) 出願人が複数の応答方針を考えており それぞれの応答方針に関して 審査官の見解を聞きたい場合がある シンガポールでは 欧州等の審査と異なり 審査官の見解書に応答する際に出願人が主請求と副請求といった複数の請求を提出することは認められていない 出願人は 見解書に対して一つの応答方針のみを示した応答書を提出するしか 4 2018.01.31

ない そのため 特に応答方針によってクレームの保護範囲に大きな 影響が出る場合には どの応答方針を採用するかを決定するにあたっ て困難が生じる (b) 審査官側に技術に対する誤解があり 出願人が一定の技術的概念を審 査官に説明したいと考えている場合もある 状況によっては 審査官 との面接を通じてそれらの技術的概念を説明することが好ましい (c) 引用された先行技術に関して審査官が広すぎる解釈を採用している 場合 特に見解書をめぐる応答が数回交わされた後で 特許請求範囲 をより明確にして拒絶を克服するために必要な補正に関して審査官 と協議したいと出願人が希望することもある 5. 提案 審査の段階で審査官面接を行う機会があることで 特許審査の効率性を高め 特許審査に関する出願人の費用負担を削減できる可能性がある 出願人が審査官面接を申請する場合 出願人は面接の予定日案とともに 出願人が審査官と協議することを希望する関連文書資料を面接に先立って審査官に提出するよう心がけなければならない これは極めて重要な点である 審査官が決定に至る前に 出願人の提案を検討し 理解するために時間が必要とされる場合があるからだ 出願の主題が新規性と進歩性を備えていると出願人は考え そう確信しているが 審査官から何度も拒絶されているという場合には 審査官が引用した先行技術に関係する複雑な状況が存在する可能性や 明細書によるサポートや明瞭性などに関する別の問題が存在する可能性があるため 出願人は審査官面接を検討すべきである 参考情報 5 2018.01.31

シンガポール知的財産庁 2017 年通達第 6 号 (2017 年 8 月 22 日付 ) 2017 年 9 月 15 日以降に実施される審査官の発意による非公式な通信について ( 編集協力 : 日本技術貿易株式会社 ) 6 2018.01.31