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COP18 に向けて : よくある質問 Q1. 今年のカタール ドーハでの COP18 の焦点は何ですか? Q2. 交渉を進めるため, 日本はどのような貢献をしていくつもりですか? Q2-1. 二国間オフセット クレジット制度 とはどのようなものですか? Q2-2. 東アジア低炭素成長パートナーシップ構想 とはどのようなものですか? Q2-3. 日本は気候変動分野でどのような途上国支援を進めているのですか? Q3. 日本が京都議定書第 2 約束期間に参加しないという立場に変更はありませんか? Q4. 東日本大震災の影響で今後の原発利用が厳しくなる中, 日本は現行の京都議定書の下での マイナス 6% 目標は達成できるのですか? 1

れまでの交渉経緯という一連のCOP/CMP 決定が採択された こQ1. 今年のカタール ドーハでの COP18 の焦点は何ですか? 今年のカタール ドーハでの COP18 では, 昨年の COP17 で合意されたダーバン合意を着実に前に進めることが重要であり,1 ダーバンプラットフォーム特別作業部会 (ADP) の作業計画を策定して来年以降の ADP の交渉の段取りについて認識を共有することと,2 既存の 2 つの作業部会 (AW G-KP 及び AWG-LCA) の作業を終了させること, の二点が最大の焦点です 日本は, この二つを達成することによって, 2015 年の新しい法的枠組みに関する合意に向けて, 交渉の基礎的なアレンジメントを整えた という明確なメッセージを世界に発信することが COP18 で目指すべき成果であると考えています (1992 年気候変動枠組条約 (UNFCCC) 採択 (1994 年発効 ) 1997 年京都議定書採択 (COP3) 2005 年京都議定書発効 2013 年以降の約束期間のあり方を検討する作業部会 (AWG-KP) の設置 2007 年 バリ行動計画 (COP13) 新しい包括的な枠組みを議論する作業部会(AWG-LCA) の設置 2009 年 コペンハーゲン合意 (COP15) 先進国 途上国の削減目標 義務のリスト化などを明記したが, 正式なCOP 決定には至らず, 留意 されるにとどまる 2010 年 カンクン合意 (COP16) ) コペンハーゲン合意に基づいて各国が提出した削減目標 行動を正式なものとするとともに, MRV( 測定 報告 検証 ) に関するガイドラインの検討, 緑の気候基金の設立等を盛り込んだ COP/CMP 決定が採択された 2011 年 ダーバン合意 (COP17) 1 全ての国が参加する新たな枠組み構築に向けた作業部会 (ADP) の設置,2 京都議定書第 2 約束期間の設定に向けた合意,3 緑の気候基金の基本設計,4カンクン合意の実施, 2

Q2. 交渉を進めるため, 日本はどのような貢献をしていくつもりですか? COP18 で ADP の作業計画を策定し, また AWG-KP と AWG-LCA の作業を終了させるため, 日本は本年開催された各種関連会合の場での発言や UNFCCC に提出したサブミッション等において, 具体的な提案を行っています COP18 の機会にも, 具体的な知恵を出し, また各国とも緊密に連携しながら, 会議の成功に向けて努力していきます また, 日本自身の取組として, 今年で終了する京都議定書第 1 約束期間の下での マイナス 6% の目標達成に誠実に取り組んでいます その一環として今年は 再生可能エネルギー固定価格買取制度 や 地球温暖化対策のための税 を導入しました 今年 9 月に決定した 革新的エネルギー 環境戦略 においては, 政府は, 本年末までに, 2013 年以降の 地球温暖化対策の計画 を策定していく と記載されている 今後は, この戦略を踏まえ, 当該計画の策定を進め,2013 年以降も国内における削減に加えて, 森林等の吸収源対策や国際的な取組を積極的に進めていきます さらに, 温暖化対策を実質的に進めていくためには 技術, 市場, 資金 を総動員することが重要であるという観点から, 昨年の COP17 に際して発表した 世界低炭素成長ビジョン に基づいて, 東アジア低炭素成長パートナーシップ構想の推進や二国間オフセット クレジット制度の構築, 途上国に対する支援などの取組を進めていきます 3

Q2-1. 二国間オフセット クレジット制度 とはどのようなものですか? 我が国の優れた低炭素技術等を積極的に海外展開し, 世界全体での低炭素成長を実現していくとともに, 海外での削減 吸収量を日本の削減目標の達成に活用する制度として日本が提案しているものです 京都議定書の下のクリーン開発メカニズム (CDM) を補完するメカニズムとして検討しています 現在,2013 年度の制度運用開始を目指し, インドネシア, ベトナム, モンゴルなどの国々と制度構築に向けた協議を進めています 併せて, これまでに 30 カ国において, 制度の下でのプロジェクト発掘等のため, 様々な分野での実現可能性調査 実証事業を実施しています 二国間オフセット クレジット制度の概要 温室効果ガスの排出削減活動を幅広く対象にし 途上国の状況に柔軟かつ迅速に対応した低炭素技術移転や対策実施の仕組みを構築することにより 以下の実現を目指す 途上国への温室効果ガス削減技術 製品 システム サービス インフラ等の普及や対策実施を加速し 途上国の持続可能な発展に貢献 相手国における活動を通じて実現した温室効果ガス排出削減 吸収への日本の貢献を定量的に評価し 日本の削減目標の達成に活用 地球規模での温室効果ガス排出削減行動の促進を通じ 国連気候変動枠組条約の究極的な目的の達成に貢献 日本 技術 製品 システム サービス インフラ等 GHG 排出削減 吸収効果を定量評価し, 適切な MRV を実施 相手国 削減 吸収活動 日本の削減目標達成に活用 排出削減 吸収量 排出削減 吸収量 4

Q2-2. 東アジア低炭素成長パートナーシップ構想 とはどのようなものですか? 東アジアサミット(EAS) 地域は世界経済の成長センターであり, 米国, 中国, インドなどの大口排出国が集中する地域でもあります この地域において低炭素技術の普及を促し, 低炭素成長を推進することは, EAS 地域にとってのみならず, 世界全体にとっても有益です 日本は, こうした低炭素成長のための地域協力の枠組みとして, 東アジアサミット (EAS) の下で 東アジア低炭素成長パートナーシップ構想 を提唱し, 今年 4 月にはEAS 諸国の閣僚級の参加による 第 1 回東アジア低炭素成長パートナーシップ対話 を日本とインドネシアの共同議長により, 東京で開催しました この会合では,1 低炭素成長戦略の策定 実施のための協力,2 技術 市場の活用,3 域内のネットワーク構築, の3つの柱に沿って低炭素成長実現に向けた協力を進めることの意義が,EAS 諸国間で確認されました 今後は, 第 1 回会合の結果を踏まえて取組を進めるとともに, 来年春には第 2 回会合を日本とカンボジアが共同議長を務め, 東京で開催する予定です 世界の CO2 排出量 (2009 年 ) に占める EAS 諸国の割合 第 1 回東アジア低炭素成長パートナーシップ対話 中国 24% 米国 18% 東アジアサミット (EAS) 諸国計 63% インドネシア 1.3% 豪州 1.4% 韓国 1.8% 日本 3.8% インドロシア 5.5% 5.3% 出典 : IEA(2010) CO 2 Emissions from Fossil Fuel Combustion 5

Q2-3. 日本は気候変動分野でどのような途上国支援を進めているのですか? 気候変動交渉の前進を後押しするため, 日本は,COP15( コペンハーゲン ) の機会に2012 年までの3 年間で総額 150 億ドルの途上国支援策 ( 鳩山イニシアティブ ) を表明し, 着実に実施しています こうした支援は多くの途上国から高く評価され, 途上国における気候変動対策に貢献しています また, 特にアフリカや小島嶼国などの気候変動の影響に脆弱な国に対する支援に重点をおく必要があるため, 例えば, アフリカについては,2013 年のTICADVを念頭におきつつ, TICAD 低炭素成長 気候変動に強靱な開発戦略 ** の策定作業を進めています * 日本の短期支援の実績 ( 別紙 1) **TICAD 低炭素成長 気候変動に強靱な開発戦略策定 ( 別紙 2) 6

日本の短期支援の実績 別紙 1 排出削減等の気候変動対策に取り組む途上国, 及び気候変動の影響に対して脆弱な途上国を支援 官民あわせて概ね 150 億ドル ( 公的資金で概ね 110 億ドル ) の支援を実施することを表明 既に 132 億ドル以上の支援を実施 (2012 年 2 月末時点 ) 今後も, 国際交渉の進展状況及び国内の復興状況等を踏まえつつ実施 1. 幅広いかつ多様な支援 107 か国に対して 783 のプロジェクトを実施 グラントやローン, 技術協力等, 現地の経済状況 案件の内容にあわせ支援を実施 2. 適応を重視した無償資金協力 脆弱国の適応ニーズを踏まえ, 支援を実施 無償資金協力では, 緩和 (REDD+ は除く ) 約 19%, REDD+ 約 10%, 適応約 37%, 緩和 適応約 35% Mitigation other than REDD+ 388 712 REDD+ 199 Adaptation 750 Others Million US$ 脆弱国に対する支援は, アフリカ 13.9 億ドル LDC 9.2 億ドル 小島嶼国 (SIDS) 0.8 億ドル 3. 脆弱国に対する支援 なお, アフリカ LDC 向けの無償資金協力については, 適応分野の占める割合が 50% を超えている 700 600 500 400 300 200 100 0 354 331 98 83 153 129 12 25 38 Africa LDCs SIDs Adaptation REDD+ Mitigation other than REDD+ Million US$ 7

TICAD 低炭素成長 気候変動に強靱な開発戦略 < 目標 > アフリカ諸国による低炭素成長 気候変動に強靱な開発を支援 < 方針 >(1) 適応と緩和を統合した形での検討 (2) オーナーシップの強化 (3) 国際社会と民間部門のパートナーシップの強化 (4) 開発パートナーとアフリカ諸国間での調整の向上 個別セクターでの取り組み ( 優先的に実施されるべきプログラムの提案, 過去の支援 投資を通じたグッ ドプラクティス ( 含, 官民連携, マルチ バイ連携 ) の紹介 ) 1 エネルキ ー分野 ( 再生可能エネルキ ーの活用, エネルキ ーアクセスおよび省エネ ), 2 農業分野 ( 含, 食料安全保障問題 )3 森林分野,4 水分野 ( 含, 衛生 ),5 防災分野,6 運輸分野 分野横断的な課題への取組 1 能力開発の促進, 情報共有 政策対話の促進, 2 二国間オフセット クレジット制度の活用を含む資金調達 環境技術の活用 3 公的な資金を媒介とした民間資金の呼び込み BOP 事業の導入,4 広報の促進 参考 2011 年 5 月 TICAD 閣僚級フォローアップ会合 ( 於 : セネガル ダカール ) にて, アフリカ諸国との間で本戦略策定を決定 TICAD に参加する国際機関等を通じた支援や民間企業の投資を行う際の指針として活用し, アフリカ諸国への一層の投資 支援の呼び込みに貢献し, 我が国の技術の利用促進を通じた持続可能な低炭素成長の実現を目指す 2012 年 5 月にモロッコで開催された TICAD 閣僚級フォローアップ会合にて本戦略の中間報告を行った 現在, 最終報告にむけて作業を加速化 8

Q3. 京都議定書第 2 約束期間に参加しないという日本の立場に変更はありませんか? 国連気候変動枠組条約 (1992 年 ), 京都議定書 (1997 年 ) が策定された 1990 年代に比べ, 国際社会の構図は大きく変わりました 経済成長著しい中国, インドなどの新興国の温室効果ガス排出シェアは高まる一方です また, 米国は, 当初京都議定書に署名したものの, 国内で強い反対にあい, 結局京都議定書を批准しませんでした このため, 現行の京都議定書で排出削減義務を負っている国々のシェアは, 今や世界全体の 26% に満たないものになっており, 中国 (1 位 ), 米国 (2 位 ), インド (3 位 ) などは排出削減義務を負っていません こうした現状を踏まえて, 日本は, 全ての国が参加する公平かつ実効性のある新たな枠組みの構築を目指しており, こうした新たな枠組みの構築につながらない京都議定書の第 2 約束期間 (CP2) の設定には参加しないという日本の立場に変更はありません なお,CP2 に参加しないという日本の立場は, すでに昨年の COP17 の決定に明確に反映されています インド 4% 1997 年 ( 京都議定書採択時 ) CO2 排出量のシェア 41% 中国 14% その他 23% 日本 5% 米国 24% 排出削減義務あり 59% ( 米国含む ) 附属書 Ⅰ 国 ( 米国を除く ) 35% 1 米国は批准せず 2 中国の排出量の急成長 3 その他途上国の排出量拡大 インド 5% 2009 年 CO2 排出量のシェア その他 27% 74% 中国 24% 日本 4% EU 13% 排出削減義務あり 26% 米国 18% 附属書 B 国 ( 米国を除く ) 26% 出典 :IEA CO2 emissions from fuel combustion 2011 出典 : IEA(2010) CO 2 Emissions from Fossil Fuel Combustion 9

Q4. 東日本大震災の影響で今後の原発利用が厳しくなる中, 日本は現行の京都議定書の下での マイナス 6% 目標は達成できるのですか? マイナス6% の目標は2008 年から2012 年までの5 年間の平均で達成することになっており, データが出揃うのは2014 年になる見込みです 現在,2008 年から2010 年までの実績が出ていますが, この3 年間のみでいえば, 森林吸収量の目標及び京都メカニズム ( 注 ) クレジットの取得を踏まえると平均で基準年(1990 年 ) 比 10.9% 減という水準です 2011 年度,2012 年度の排出量も含めた5 年間の目標達成については, 電力需要の状況のほか, 経済活動の状況, 気候状況等, 予見が困難な要因に大きく影響を受けるものであるため, 現時点で見通しを示すことは難しいですが, 目標達成に向け, 引き続き真摯に取り組む方針です ( 注 ) 京都メカニズム : 他国での排出削減プロジェクトの実施による排出削減量等をクレジットとして取得し, 京都議定書上の自国の約束達成に用いる 10