概要 核燃料サイクル研究会は 東京電力福島第一原子力発電所事故以降 不透明な日本の核燃料サイクル政策について 国内 国際両方の視点から見直すことを目的として発足した 研究会は民間有識者 9 名から構成され 2013 年 8 月から検討を始め 国内の専門家を招いた 6 回の研究会開催 欧米韓の専門家を

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第 2 日 放射性廃棄物処分と環境 A21 A22 A23 A24 A25 A26 放射性廃棄物処分と環境 A27 A28 A29 A30 バックエンド部会 第 38 回全体会議 休 憩 放射性廃棄物処分と環境 A31 A32 A33 A34 放射性廃棄物処分と環境 A35 A36 A37 A38


1. のれんを資産として認識し その後の期間にわたり償却するという要求事項を設けるべきであることに同意するか 同意する場合 次のどの理由で償却を支持するのか (a) 取得日時点で存在しているのれんは 時の経過に応じて消費され 自己創設のれんに置き換わる したがって のれんは 企業を取得するコストの一

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とを目指す必要がある このためには以下の10 領域における政策課題に取組む必要がある また 分類 Ⅳに分類される意見に基づく場合であっても 原子力施設の廃止措置やこれまで原子力発電の利用に伴い発生した放射性廃棄物の処分の取組に関するこれらの領域における政策課題に取組まなければならない (1) 福島第

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2. 主要な政策課題領域原子力発電の利用に関する意見が分類 Ⅰ Ⅱ Ⅲのいずれに分類されるものであっても 国民に安心をもって原子力発電の利用を受け入れていただくことを目指す必要がある このためには以下の10 領域における政策課題に取組む必要がある また 分類 Ⅳに分類される意見に基づく場合であっても

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御意見の内容 御意見に対する電力 ガス取引監視等委員会事務局の考え方ることは可能です このような訴求は 小売電気事業者が行うことを想定したものですが 消費者においても そのような訴求を行っている小売電気事業者から電気の小売供給を受け 自らが実質的に再生可能エネルギーに由来する電気を消費していることを

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従って IFRSにおいては これらの減価償却計算の構成要素について どこまで どのように厳密に見積りを行うかについて下記の 減価償却とIFRS についての説明で述べるような論点が生じます なお 無形固定資産の償却については 日本基準では一般に税法に準拠して定額法によることが多いですが IFRSにおい

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A23 A24 A25 A26 A27 A28 A38 A39 燃料再処理 A40 A41 A42 A43 第 3 日 休 憩 総合講演 報告 3 日本型性能保証システム 燃料再処理 A29 A30 A31 A32 A33 A34 A35 燃料再処理 A36 A37 燃料再処理 A44 A45 A4

いる 〇また 障害者の権利に関する条約 においては 障害に基づくあらゆる差別を禁止するものとされている 〇一方 成年被後見人等の権利に係る制限が設けられている制度 ( いわゆる欠格条項 ) については いわゆるノーマライゼーションやソーシャルインクルージョン ( 社会的包摂 ) を基本理念とする成年

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整力を確保する一方 小売部門が GC までの自社需要の想定誤差に対する予備力を確保する対 応をしていることから 一部の旧一般電気事業者については 送配電部門と小売部門が確保し ている予備力の合計値が 調整力公募制度開始以前と比較して増加している ( 卸電力取引所活性化の必要性 ) 旧一般電気事業者の

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平成 29 年 4 月 12 日サイバーセキュリティタスクフォース IoT セキュリティ対策に関する提言 あらゆるものがインターネット等のネットワークに接続される IoT/AI 時代が到来し それらに対するサイバーセキュリティの確保は 安心安全な国民生活や 社会経済活動確保の観点から極めて重要な課題

Transcription:

日米原子力協定と核燃料サイクル 報告書 平成 26 年 2 月 28 日 核燃料サイクル研究会 座長遠藤哲也

概要 核燃料サイクル研究会は 東京電力福島第一原子力発電所事故以降 不透明な日本の核燃料サイクル政策について 国内 国際両方の視点から見直すことを目的として発足した 研究会は民間有識者 9 名から構成され 2013 年 8 月から検討を始め 国内の専門家を招いた 6 回の研究会開催 欧米韓の専門家を招いたワークショップの開催 及び米国の主要な原子力政策関係者との会談を実施し 日本の核燃料サイクルの現状と問題点 及び国際的な評価を捉えた 本報告書はこれまでの検討結果をまとめ中間報告するものである

1. はじめに 福島第一原子力発電所の事故以来 原子力発電 ( 原発 ) のあり方が問われてきた 特に原発依存からの脱却が社会的な論点であるが 社会並びに電力供給システムコストや地球環境負荷 地政学的リスク 持続可能性といった視点が重要である 現在のところ 電力各社は火力発電能力を増強しているが 燃料調達コスト (2010 年度実績に比べ 2012 年度は 3.1 兆円増 2013 年度は 3.6 兆 1 ) 中長期的な安定性 及び地球環境問題との整合性などの観点から 持続可能性に疑問符が付かざるを得ない 再生可能エネルギーの供給能力及び安定性に限界があり 厳格な安全基準と危機管理を適用した上での原子力発電の一定程度の維持は より現実的な選択肢の一つと考えられる 大きな課題となってゆくのが 核燃料サイクルのあり方 とりわけ再処理と再処理によって抽出されたプルトニウムの利用とその説明責任である 日本は具体的な利用目的のない 余剰のプルトニウムは持たないとの方針を内外に宣言している 2 プルトニウム利用の本命である高速炉は短期的には実現は難しく また 原発の増設が難しく 厳格な安全基準に満たない原子炉が廃炉になってゆく場合 MOX 使用済燃料の扱いなどを考えると 従来の核燃料サイクル計画の前提が成り立たなくなって来る可能性がある 日本は現在海外 ( 英仏 ) 及び国内に合計約 30 トンの核分裂性分離プルトニウムを持っている 他方 上述のとおりプルトニウムの利用は高速炉が本命であるものの現実には軽水炉でのプルサーマルが主流であり しかもプルサーマルも期待通りには進んでいない このような状態が続くと上記の方針に従い 六ヶ所再処理工場の稼動さえ政策的に難しくなって来る プルトニウム バランスの維持が困難になって来ると 国際社会からその利用と処分に関する具体的な計画が求められることになろう 現にそのような声も上がりつつある これまでも 米国はプルトニウム バランスについて高濃縮ウランの拡散とあわせ核不拡散及び核セキュリティ上重大な関心を払って来た これに関し 原子力利用に関するわが国の基本スタンス すなわち核不拡散政策および核燃料サイクル政策の堅持をしっかりした基本的な政策をもって国内外に提示し 余剰プルトニウムは決して持たず 使いきることを鮮明にすることが重要である あわせて 今後 具体的消費計画については プルサーマル計画の進展の節々に当たって的確に公表 発信することが肝要である 1

1988 年度に難航の末発効した日米原子力協定の包括事前同意制度は 日米両国間の信頼関係 核不拡散体制の遵守と強化に対する日本の貢献に基づくもので 30 年の満期後の協定のゆくえは 右二点に大きく影響されるものと思われる いずれにせよ 今後の日本の核燃料サイクル政策を構想していくうえで前提となるのが 何よりも核不拡散への配慮 すなわちプルトニウム バランスへの考慮である 少なくともプルトニウム バランスの見通しについて 実施可能な計画と説明責任を果たすことが不可欠である 説明責任を果たすことを通じて 国際社会 特に日米間の信頼関係を維持していく必要がある そのため プルトニウム バランス実現方法の模索 本件に関する米国の官民双方の動向の把握 日米間の信頼関係の強化に努めなければならない 核燃料サイクル研究会は 東京電力福島第一原子力発電所事故以降混迷する日本の原子力発電 核燃料サイクル政策について 国内 国際両方の視点から タブーを取り払った議論を通じ見直すことを目的として発足した 研究会は民間有識者 9 名から構成され 2013 年 8 月から検討を始め 国内の専門家を招いた 6 回の研究会開催 欧米韓の専門家を招いたワークショップの開催 及び欧米の主要な核燃料政策関係者との会談を実施し 日本の核燃料サイクルの現状と問題点 及び現在の国際的な評価を捉えた 本報告書はこれまでの検討結果をまとめ報告 3 するものである 1 経済産業省総合資源エネルギー調査会基本政策分科会電力需給検証小委員会報告書 2013 年 10 月 2 プルトニウムの利用目的の明確化のための措置 ( 原子力委員会決定 2003 年 8 月 ) プルトニウムの利用目的を明確に示すため 原子力委員会は 以下の基本的考え方を満たす措置を実施することが必要であると考える この措置により明らかにされた利用目的の妥当性については 原子力委員会において確認していくこととする 1 プルトニウム利用計画の公表電気事業者は プルトニウムの所有者 所有量及び利用目的を記載した利用計画を毎年度プルトニウムを分離する前に公表することとする 利用目的は 利用量 利用場所 利用開始時期及び利用に要する期間の目途を含むものとする ただし 透明性を確保する観点から進捗に従って順次 利用目的の内容をより詳細なものとして示すものとする 2 利用計画の変更プルトニウム利用計画が国内外に対する透明性の向上のための手段として実効性を有するためには 最新の状況をふまえた利用計画とすることが必要である そのため 電 2

気事業者のプルサーマル計画の進捗状況 日本原燃の再処理工場等の稼働状況等により利用計画への影響が懸念される場合には 電気事業者及び日本原燃は 取るべき措置についての検討を行い 必要があれば利用計画の見直しを行うこととする 3 本報告書は 日米原子力協定の満期が来る 2018 年 7 月までにはかなりの時間があり また米国の関係筋からの直接反応 コメント等も出ておらず それらは満期が近づくにつれて出てくることが予想されるので 報告書は 2015 2016 2017 年と順次内容をアップデートしていくべきと考えている 3

2. 満期の近づく日米原子力協定と満期後の選択肢 満期の近づく日米原子力協定と満期後の選択肢として 次の 4 つが考えられ る 1 2 3 4 現行協定第 16 条に従い自動延長させる 但し 日米いずれか一方が 6 か月 前に文書によって通告することによって 協定を終了させることができる 現行協定をそのまま相当期間 ( 例えば 20 年から 30 年 ) 延長させる法律手続を とる これには 日米両国の議会による承認を必要とする 米国については 原子力法 (1954) 第 1 123 により協定案上程後条 90 日議会日内に不承認決議が 行われないことが要件である 現行協定を大幅に改定し 新協定を締結する 例えば 現行協定の包括事前 同意制度を個別同意制度に変える新協定を締結する 現行協定を 16 条に従って終了させ 新協定がないまま無協定状態になる 各選択肢のそれぞれについて課題は例えば次の通り 1 2 3 4 これは最も平易な方法かもしれないが いつ協定が終了されるかわからず 日米の原子力協力関係が不安定な状況に置かれる恐れがある これは 日本の核燃料サイクルを安定した基盤に置くためには適切なオプションと思われる しかし このためには米側について言えば行政府及び議会のポジティブな態度が不可欠である 現行協定は少なくとも日本にとって根本的な変更を加える必要はないが 日本としても現行協定より有利な点があれば追加を主張すべきであろう 他方 米側の主張により再処理に対し個別同意制度が再び導入されたりすると 大規模な商用再処理施設の運用は困難となる 原子力協力関係をもつ日米間で その枠組みともいうべき原子力協力協定がなくなり 無協定状態になることは望ましいことではない もっとも仮に協定が終了しても 現行協定下のいくつかの規制は引き続き残るので 日米間の法的関係が全くなくなってしまうわけではない 1 米国原子力法 (1954) 第 123 条において二国間原子力協定について規定されている これに基づく二国間協定のことを通称 123 協定 と呼んでいる 4

3.2018 年以降 如何に包括事前同意制度を維持するか (1) 日米の信頼関係の強化現行協定は 米国行政府内の一部の反対 議会の核不拡散強硬派の抵抗にあって 悪戦苦闘の交渉の結果成立したものだが その成功の理由は何処にあったのだろうか その一つは 日本が原子力の開発 利用を厳格に平和目的に限り その証として保障措置を誠実に実施してきたこと また世界の核不拡散体制の強化に貢献してきたことが認められたからであると思われる 今一つは この理由の方がより重要ではなかったかと思われるが 日米間の信頼関係であったのではないか 交渉の行われた 1980 年代は 日米間で貿易 経済摩擦が激しく燃え上がった時期であったが 米ソ冷戦下で安全保障面での日米関係は極めて良好であった 原子力協定は 日本の目からはエネルギー協定だが 米国の目からは基本的に安全保障 ( 核不拡散はこの一面である ) であり 当時はこの点が最も重要であった レーガン 中曽根関係はこの点を象徴したものであった 2018 年以降も核燃料サイクルに包括事前同意制度を維持していくには 何よりも日米の信頼関係が必要不可欠である 日米関係においては安全保障の面が引き続いて大切だが グローバル化の進む現在では それに止まらず広範な面での信頼関係 協力関係が求められよう 5

(2) 日本の原子力政策の透明化 核燃料サイクルの必要性についての説明 プルトニウム バランスの維持日米協定の今後の在り方などについては 協定満期の 2018 年までまだ時間があることもあって 米国の関係筋で問題になっていないが 日本のプルトニウム バランス問題は頻繁に取り上げられている 日米協定とプルトニウム バランスの問題は結び付けられる恐れがある 日本は 余剰プルトニウム すなわち利用目的のないプルトニウムは持たないとの方針を内外に表明している (2003 年 8 月原子力委員会決定 ) しかし高速炉の見通しがはっきりしない現在 当面のプルトニウム利用はプルサーマルが本命となっている 当初 2010 年頃までに 16-18 基の軽水炉でプルサーマルを実施する計画であったが 福島事故の影響もあり計画は順調に進んでいない 保有するプルトニウムを如何に消費するか 遠からず技術的には稼働が可能となる六ヶ所村の再処理工場の操業を如何にするか プルトニウム バランスの維持について 実施可能な計画を提案する必要がある なお プルトニウム バランス問題に関して その背景として日本の原子力政策 とくに核燃料サイクル政策 ( 高速炉の見通し 第二再処理工場の見通し 使用済燃料の中間貯蔵などを含む ) について 明らかにしてゆくことが必要である 6

註 1 プルトニウム バランスの現状 ( 核分裂性分離プルトニウム (Pu fis) について ) プルトニウムの供給 1 海外における保有 英国及び仏国 23-24 トン Pu fis 国内 6-7 トン Pu fis( 研究開発用及び民生用 ) 合計 2 六ヶ所再処理工場による生産 約 30 トン Pu fis フル稼働時 年 800 トンの使用済燃料の処理の段階 プルトニウムの消費 1 2 プルサーマル 通常の軽水炉 フル MOX 炉 ( 大間 ) 高速炉 もんじゅ 4-5fis/ トン年 Pu 0.4-0.5 fis/ トン年 / Pu 基 1.1 fis/ トン年 / Pu 基 0.5 トン fis/ 年 Pu / 基 註 2 米国要人の日本のプルトニウム バランスについての発言 ( 要約 ) 1 カントリーマン ( 米国国際安全保障 不拡散担当国務次官補 ) 原子力平和利用と核不拡散 核セキュリティに係る国際フォーラム ( 日本原子力研究 開発機構主催 2013 年 12 月 3-4 日 於東京 ) において 次のように提言を行った 日本は 原子力利用をどうするかについて 日本国民のみならず世界のパートナーに対 しても責任ある決断を下す必要がある 米国は日本のパートナーとして 日本が核燃料サ イクルのバックエンドに関する政策 特に六ヶ所村再処理施設やプルトニウム処分の方策 の検討を行うに際して (i) 公開性 透明性の確保 (ii) 政治的な現実だけでなく 経済的 な現実や技術的な現実の直視 (iii) 日本の核燃料サイクル政策が地域及びグローバルな核 不拡散取組に与える影響を考慮すること を期待したい また 同氏は鈴木原子力委員長代理との会談 (2013 年第 14 回原子力委員会資料第 2 号 ) の中で以下の言及を行ったと 鈴木委員長代理は報告している 特に MOX 燃料を使用する原発が存在せず その見通しもない中で 六カ所再処理施設を稼働することは 米国にとって大きな懸念となりうる と指摘され 特にイランの核問題や米韓原子力協力の問題に影響を及ぼすことで 米国にとっても困難な事情につながる可能性があると指摘された さらに 日本が 経済面 環境面での理由がないままに再処理活動を行うとすれば これまで日本が不拡散分野で果たしてきた役割 国際社会の評価に大きな傷が付く可能性もあり 状況を注視している と強い関心があることを指摘され 7

た 2 モニッツ ( 米国エネルギー省長官 ) エネルギー安全保障と政策: 日米協力の将来 ( 笹川平和財団主催 2013 年 10 月 31 日 於東京 ) において プルトニウム バランスについて次のように言及 日本は原子力の平和的利用を主導してきましたが 同様に 核兵器の拡散に反対する世界のリーダーでもあります 米国は今も プルトニウムの分離と 消費または処分との間でバランスをとる必要があると考えます 原子力の不確実な将来のことを考え この点について日本が直面する問題は認識しています しかし 米国はプルトニウムの分離と消費のバランスという原則を日本が長期にわたり支持してきたことを歓迎してきましたし この政策と一致する計画策定の重要性を強調したいと思います 3 フェッター ( 前米ホワイトハウス科学技術政策局次長 ) 及びヒッペル ( 米プリンストン大学名誉教授 ) 核燃料サイクルを考える~ 日本の選択はどうあるべきか ( 朝日新聞社 プリンストン大学主催 ) において 以下の提言を行った 分離プルトニウムは核テロを起こそうとするものにとっての標的になると指摘 核不拡散に対する日本の信頼を高め 原子力の安全性を改善し 原発のコストを下げるためにも 分離プルトニウムの保有量を最小限にし 貯蔵 輸送に対するセキュリティーを強化することなどを掲げた 4 ダニエル ポネマン ( 米エネルギー省副長官 ) 鈴木原子力委員長代理との会談 (2013 年第 14 回原子力委員会資料第 2 号 ) の中で以下の言及を行ったと 鈴木委員長代理は報告している 六ヶ所再処理施設について 操業時期が近いとの認識から MOX 燃料を装荷して プルトニウムを消費できる原子力発電所がどれくらい速やかに立ち上がるかを大きな関心をもって注視している 今後 消費する予定がないまま 再処理により新たな分離プルトニウムのストックが増えることにならないか大いに懸念を有している との意見を述べられた 5 アリソン マクファーレン ( 米原子力規制委員長 ) 鈴木原子力委員長代理との会談 ( 第 14 回原子力委員会資料第 2 号 2013 年 ) の中で以下の言及を行ったと 鈴木委員長代理は報告している プルトニウムを消費できるプラントがどれだけ再稼働できるのか 分離プルトニウム在庫量が増加することにならないか 大きな関心をもって注視している と指摘された 8

6 原子力協定に関する米連邦議会上院の公聴会米連邦議会上院の外交関係委員会は 2014 年 1 月 31 日原子力協力協定に関する公聴会を開催した 議会は オバマ政権下において UAE やイランに対する原子力協力協定 (123 協定 ) の方針への懸念を示し 議会の役割強化の必要性を述べるものであった なお 日本に関するコメントはこの中では出ていない 9

(3) 核セキュリティ米国は テロリストが核兵器を入手する脅威への措置強化を最重要課題の一つと位置づけ 各国と協力して 核セキュリティサミット や 核テロリズムに対抗するためのグローバル イニシアティブ など様々なメカニズムを推進してきた 我国については 従来から 安全 核セキュリティに関する規制組織の独立性 内部脅威対策について懸念が示されており 多量の分離プルトニウム MOX 燃料を保有するために 今後さらなる核セキュリティの強化が求められてくるものと思われる 規制組織の独立性の重要性については 奇しくも福島事故により強く認識され 独立規制組織の設立に繋がり脆弱性の改善に貢献することになった 一方 内部脅威対策については IAEA INFCIRC225Rev5 を取り入れた関連法令改訂り一部改善は見られたものの 特に個人の信頼性確認に関しては未だに諸外国に後れを取っている 核セキュリティに関する NGO である NTI(Nuclear Thr Initiative) が 2014 年 1 月に発表した核セキュリティ状況の国別ランキングによると 個人の信頼性調査に係る評価項目 (Personnel Vetting) において 国は 25 ヵ国 (1kg 以上の高濃縮ウラン 分離プルトニウム MOX 新燃料保有国 ) 中ウズベキスタンと並び最下位とされている 2 また 我国は核兵器保有国を除けば世界で唯一 一連の核燃料サイクル施設保有が認められた国であり 多量の分離プルトニウム MOX 燃料を保有している 特に米国の専門家からは 一層の物理的防護 核セキュリティの強化の必要性が指摘されている 3(2) で記載のように 米国では我国の今後のプルトニウム バランスについての懸念が高まりつつあり 先の見通しのないままのプルトニウム蓄積量の増加は核セキュリティ上でも一層問題になってくる恐れがある 我国は核セキュリティの面で 目に見える対策を早急に打ち出していく必要がある 2 Nuclear Threat Initiative, NTI Nuclear Materials 10

(4) 日米原子力協力の推進米国は使用済燃料のワンススルー方式の政策を進めつつも リサイクルシステム ( クローズドサイクル ) の技術の保持 育成を国際協力を活用しながら研究機関において続けてきた 特に 核燃料サイクル関係では 我が国はもんじゅ 常陽はじめ燃料関係のホット研究施設も所有しており これらを利用して米国との研究協力が続けられている 具体的には もんじゅを用いた高速炉プラントの保障措置技術に関し米国との共同研究等を進めてきた 今後もんじゅにおいて 日米仏でマイナーアクチニドの燃焼の共同研究も計画されている 更には これまで原子力産業界間のメーカベースの技術力連携が図られているが 今後福島事故の溶融燃料処理等の協力も進められていく 溶融燃料処理技術はもとより 保障措置 核セキュリティーの研究開発の協力も進展が期待できる これらにより未来志向の連携をより一層強め 日米の原子力活動でのパイプ を太くして 日米の原子力協力を推進していくことが重要である 11

4. 米国二国間原子力協定の動向米国の提供する資機材や核物質を利用しての平和目的の活動に対する包括事前同意が付与されているのは 米国が諸外国と結んでいる原子力協定の内 NPT の非核兵器国では日本との協定のみである 他方で アラブ首長国連邦 (UAE) との協定では 核不拡散 核セキュリティを重視する立場から 濃縮 再処理の権利の放棄を盛り込んでおり 米国政府はこの UAE との協定を ゴールド スタンダード として他国との協定のひな形としようともくろんでいた しかしながら実際には 各国との固有の事情が絡み 濃縮 再処理の権利の放棄を 123 協定に盛り込むことは難しい状況が見られる サウジアラビアやベトナムとの交渉でもこの点をめぐって米国と両国との間に見解の相違が存在する また 韓国との関係においてもその点に留意する必要がある 原子力大国であり 米国と協力関係の深い韓国が核燃料サイクル 再処理について日本と同等の制度を導入すべく 最高首脳レベルまで上げて目下米国と必至の交渉を行っている 現行の米韓協定が有効期限は 2014 年までであり 自動延長事項がないので とりあえず 2 年間単純延長し 2016 年 3 月で満期となる その間に交渉を取りまとめることが期待されている 韓国側は 包括同意を認めるように米国側に要求するが 米国は核不拡散 核セキュリティの観点から例外が設けられないとの厳しい態度で終始している 米韓の交渉の早期妥結が望まれるところであるが 韓国の求めるパイロプロセッシング ( 乾式再処理 ) について一種の 妥協的 な解決策を模索中のようである 12

5. まとめ 満期の近づく日米原子力協定と満期後の選択肢として 下記の4つが考えられる 選択肢特徴課題 1 自動延長 2 相当期間延長 3 大幅改定 4 満期終了 現行協定第 16 条に従い自動延長 平易な方法かもしれないが いつ協但し 日米いずれかが六か月前の定が終了されるかわからず 不安定通達によって 協定終了可能 な状況に置かれる恐れがある 現行協定を相当期間延長 日米両日本の核燃料サイクルを安定した国議会の承認必要 米国について基盤に置くために適切な選択肢 米は 協定案上程後 90 日議会日内に側の行政府 議会のポジティブな態不承認決議がないことが要件 度が不可欠 現行協定を大幅に改定し 新協定現行協定は日本にとって根本的なを締結する 例えば 現行協定の変更の必要はないが 再処理に対し包括事前同意制度を個別同意制度個別同意制度が導入されると大規に変える新協定を締結 模な商用再処理施設運用は困難に 現行協定を 16 条に従って終了さ無協定状態になることは望ましくせ 新協定がないまま無協定状態はないが仮に協定が終了しても現に 行協定下規制の幾つかは残る 2018 年以降 日米間の包括事前同意制度を維持するために 以下の点が重要である (1) 日米の信頼関係の強化 (2) 日本の原子力政策の透明化 核燃料サイクルの必要性についての説明 プルトニウム バランスの維持 (3) 核セキュリティレベルの向上 (4) 日米原子力協力の推進 日米原子力協定の満期が来る 2018 年 7 月までにはかなりの時間があることから 現時点では米国の関係筋からの直接反応 コメント等も出ていないが それらは満期が近づくにつれて出てくることが予想される 本報告書は上記項目について特に着目し 2015 2016 2017 年と順次内容をアップデートしていくべきと考える 13

別添 1 核燃料サイクル研究会メンバー メンバー氏名 遠藤 哲也 浅田 正彦 伊藤 隆彦 岡﨑 俊雄 谷口 富裕 柳澤 務 大和 愛司 秋山 信将 相楽 洋 役職座長元国際原子力機関 (IAEA) 理事会議長元原子力委員会委員長代理委員京都大学教授委員中部電力株式会社顧問元原子力委員会委員委員日本原子力研究開発機構 (JAEA) 元理事長委員東京工業大学特任教授 IAEA 原子力安全 セキュリティ局前事務次長委員 JAEA フェロー委員日本原燃株式会社技術最高顧問幹事一橋大学教授幹事 東京工業大学助教 i

別添 2 核燃料サイクル研究会活動履歴 1. 研究会 (1) 第 1 回核燃料サイクル研究会日時 : 2013 年 8 月 7 日 10-12 時 場所 : 日本国際問題研究所大会議室内容 : 本研究会の目的説明 各委員より我が国の原子力の抱える問題 核燃料サイクル等についての意見を出し 研究会の検討事項を策定した (2) 第 2 回核燃料サイクル研究会日時 : 2013 年 8 月 28 日 10-12 時 場所 : 日本国際問題研究所大会議室内容 : 我が国のプルトニウム需給関係の見通しについて議論した 日本原燃株式会社田中治邦専務を講師に迎え 六ヶ所再処理工場に関する情報提供をいただき これに関する質疑応答を行った (3) 第 3 回核燃料サイクル研究会日時 : 2013 年 9 月 3 日 10-12 時 場所 : 日本国際問題研究所大会議室内容 : 原子力委員会委員長代理鈴木達治郎氏を講師に迎え 核燃料サイクル政策の考え方について 原子力委員会における議論を中心にご講演をいただき これに関する質疑応答を行った (4) 第 4 回核燃料サイクル研究会日時 : 2013 年 10 月 21 日 14-16 時 場所 : 日本国際問題研究所大会議室内容 : 遠藤 伊藤 秋山委員によるワシントン DC 等出張報告があった 2018 年に満期を迎える日米原子力協力協定を念頭において 日本の原子力政策 とりわけ核燃料サイクル政策の在り方について 米国政策担当者 研究者などと意見交換の結果が報告された (5) 第 5 回核燃料サイクル研究会日時 : 2013 年 11 月 27 日 15-17 時 場所 : 日本国際問題研究所大会議室内容 : 12/2 のワークショップについて Agenda の打ち合わせと 成果報告書の取りまとめに関して打ち合わせを行った (6) 第 6 回核燃料サイクル研究会日時 : 2014 年 2 月 7 日 15-17 時 場所 : 日本国際問題研究所大会議室内容 : 12 月に開催されたワークショップ及び 原子力平和利用と核不拡散 核セキュリティに係る国際フォーラム の報告と 成果報告書の内容の精査を行った ii

2. ワークショップの開催ワークショップ名 : Workshop of the Taskforce on `Nuc 日時 : 2013 年 12 月 2 日 10:30-16:45 場所 : 日本国際問題研究所大会議室出席者 ( 敬称略 ): < 米国 > Thomas Countryman ( 米国国務省国際安全保障 不拡散担当補 ) Robert Einhorn ( 元国務省不拡散担当特別顧問 ブルッキングス研究所 ) Joonhong Ahn ( 米国カリフォルニア大学バークレー校原子力工学専攻教授 ) Jason Evans( 在日本米国大使館一等書記官 ) < 韓国 > Robyug Park ( 韓国外務省韓米原子力協定交渉担当大使 ), I Hwang ( 韓国ソウル大学原子力工学専攻教授 ), < 日本 > 核燃料サイクル研究会委員 < オブザーバー > 韓国外務省 在日本米国大使館 在日本フランス大使館 在日本英国大使館 日本の関係省庁 日本原子力研究開発機構 エネルギー経済研究所 電気事業連合会内容 : 以下の 2 つのテーマに関する議論が行われた ; (1)Nuclear fuel c and nuclear nonproliferation and security (2 regional cooperation: Seeking an internatio effectively address 3S concerns 3. 米国出張による核燃料サイクル政策専門家との意見交換出張期間 : 2013 年 9 月 22 日 ( 日 ) から 29 日 ( 日 ) まで訪問先 : ケンブリッジ (MA) ワシントン DC 目的 : 2018 年に満期を迎える日米原子力協力協定を念頭において 日本の原子力政策 とりわけ核燃料サイクル政策の在り方について 政策担当者 研究者などと意見交換する 面会相手 : ハーバード大学ジョン F ケネディ スクール Managing Atom プロジェクトにおける非公開セミナー ( 主たる出席者 : マーティン マリンプログラム部長 オリー ハイノネン ( 元 IAEA 保障措置局事務次長 ) ゲリー セイモア ( 元米国安全保障局不拡散担当上級部長 ハーバード大学 ) マシュー バン など約 20 名 ) ウィリアム マーティン元エネルギー省副長官 チャールズ ファーガソン (Federation of American Scie 長 ) エリオット カン国務省不拡散担当副部長 ( 日本担当 ) iii

コリー ヒンダスタイン Nuclear Threat Initiative 副理か二名同席 ) エドワード ヘルド米国エネルギー省国家核安全保障局 ( 核セキュリティ担当 スティーブ アオキ同席 ) シーラ スミス外交評議会日本部長 ロビン サコダアーミテージ インターナショナルパートナー マーク ナッパー国務省日本部長 ( ヒックス経済担当官同席 ) ロバート アインホーン元国務省不拡散担当特別顧問 ブルッキングス研究所 ローレンス シャインマンモントレー国際研究所名誉教授 ジェフリー ルイスモントレー国際問題研究所不拡散センター部長 電事連ワシントン事務所 中部電力ワシントン事務所 iv