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LCC 低減を目的とした橋脚 RC 巻立てにおけるひび割れ制御設計法の構築と対策効果の検証 平成 28 年 9 月 15 日 ( 公財 ) 大分県建設技術センター大野禎亨 1 1 2 3 4 5 6 7 8 コンセプト背景 目的解決方法選定調査 解析方法調査 解析結果ひび割れ制御設計対策立案まとめ 2

建設時の品質不良 3 建設時の品質確保究極の予防保全 < 土木コンクリート構造物の劣化要因,3 省合同調査,1999 年 > アルカリ骨材反応 3% 凍害 2% 塩害 4% 不明 22% 配筋不良 29% コンクリート低品質 40% 出典 : 既存コンクリート構造物の健全度実態調査結果 1999 年調査結果,P68 4

大分県の現状品質が高いとは必ずしも言えない < 施工者アンケート調査に基づく品質不良発生頻度 > 59% 54% 橋台 BOX 38% 22% 8% 11% 8% 8% 0% 8% ひび割れ ( 補修の要否不問 ) ひび割れ引き渡し前 ( 要補修 ) ひび割れ引き渡し後 ( 要補修 ) 充てん不良 コールドジョイント 出典 : 当センター調べ,H25.8, 大分県下格付 A 級, 回答者 50 人, 橋台 50~54 工事,BOX52~53 工事 5 コンクリート分野の研究範囲 量とも既に膨大 <Google Scholar 学術論文検索ヒット数 2000 年以降 > 日本建築学会 土木学会 13100 コンクリート工学会 13200 7410 出典 : 筆者調べ,Google Scholar 検索, 検索日 2016.8.10, 引用部分含めず 6

二番煎じ 7 ギャップを埋める 8

研究 新技術 行政 大分県には必要ない ( 感情 ) コストに見合った効果と根拠 ( 論理 ) 9 研究 新技術 行政 県全体の品質向上 コストに見合った効果と根拠 10

1 2 3 4 5 6 7 8 コンセプト背景 目的解決方法選定調査 解析方法調査 解析結果ひび割れ制御設計対策立案まとめ 11 RC 既設躯体周囲を鉄筋コンクリートで巻立て曲げ せん断耐力, じん性向上を図る補強工法 1) <RC 巻立て工法の概要図 2)> 出典 :1) 国土交通省道路局国道 防災課 : 事務連絡 橋梁耐震補強における対策工法の選定の考え方 について,P7-8, 平成 21 年 3 月 31 日 2) 日経コンストラクション2008.12.26 号,P47 12

旧 JH 北海道支社ひび割れ確率 100% < 膨張材混和の全 40 橋でひび割れ確認 @JH 北海道支社 > 出典 : 谷口秀明ほか : 寒冷地における収縮補償用コンクリートの膨張特性, 膨張コンクリートによる構造物の高機能化 / 高耐久化に関するシンポジウム, 日本コンクリート工学協会,pp13-16,2003 年 9 月 19 日 13 未対策の大分県では? 14

補修コストで LCC 増大の可能性 < 注入工法による RC 巻立てのひび割れ補修コストの試算結果 > 1 橋脚当たり 平均 330 万円 < 算出条件 > 巻き立て高さ, 巻き立て表面面積は今回調査 N=52 の平均値 注入数量は W0.2mm,ρ1.67m/m2 で算定 注入数量は材齢 100 年の間に 430μ 超とならない橋脚の確率である 10% を割引いて考慮することで注入コストを平均化した 足場は巻き立て表面全面に施工 諸経費率は 1.7 将来価値から現在価値への割引は考慮せず 15 対策を急げ! だが問題が 1 対策は NEXCO オリジナルでしょ 2 NEXCO でもひび割れあり 3 乾燥収縮ひび割れ制御技術の進展 16

研究 新技術 行政 コストに見合った効果と根拠 17 1 2 3 4 5 6 7 8 コンセプト背景 目的解決方法選定調査 解析方法調査 解析結果ひび割れ制御設計対策立案まとめ 18

どうやってギャップ埋める? 1 実大施工実験 A 条件 B 条件 19 コストと時間厳しい制約 20

未来を予測 21 どうやってギャップ埋める? 2 条件 X からひび割れ Y を予測 X X 構造条件 構造条件 使用材料施工条件 Y Y 使用材料施工条件 環境条件 環境条件 22

既往研究なし自ら道筋たてるべし 23 ギャップを埋める道筋 STEP-1 実態調査 X 要因 Y 結果 構造条件 ひび割れ状況 使用材料 施工条件 環境条件 ひび割れゼロなら活動終了 24

ギャップを埋める道筋 STEP-2 統計解析 統計的ひび割れ予測モデル Y=aX1+bX2+cX3+ 25 ギャップを埋める道筋 STEP-3 ひび割れ制御設計 26

ギャップを埋める道筋 STEP-4 対策立案 工法選定条件 1. 示方書レベルにオーソライズ 2. 大分県下で実現可能 3. 低減効果が実績的に確認済み 4. コスト面でも合理的 27 1 2 3 4 5 6 7 8 コンセプト背景 目的解決方法選定調査 解析方法調査 解析結果ひび割れ制御設計対策立案まとめ 28

実態調査の方法 構造条件使用材料施工条件環境条件ひび割れ状況 設計図竣工図書竣工図書現地調査現地調査 29 ひび割れ状況現地調査の方法 ブロック分割 写真撮影 (1600 万画素 ) 遠望撮影 ( 光学 x60) 1.5m 30

画像解析 ひび割れ幅とひび割れ長さ水 0.1mm~0.2mm: 0.48m 青 0.2mm~0.3mm: 0.60m 緑 0.3mm~0.4mm: 0.04m 31 統計解析方法 多変量解析 数量化理論 Ⅰ 類 質的 量的データの混成分析可能 出典上田太一郎ほか :Excel で学ぶ回帰分析入門, オーム社, 平成 16 年 1 月 25 日 32

1 2 3 4 5 6 7 8 コンセプト背景 目的解決方法選定調査 解析方法調査 解析結果ひび割れ制御設計対策立案まとめ 33 近接 遠望 合計 45 7 52 H26.10~H26.12 34

構造条件鉄筋量 新設橋脚レベル < 鉄筋量の分布,N=52> 15 14 0 6 7 5 4 1 0 ~50 ~100 ~150 ~200 ~250 ~300 ~350 ~400 ~450 鉄筋量 kg/m3 35 使用材料コンクリートの配合 < コンクリートの示方配合,N=52> 示方書制限値 国交省通達 29 44 12 9 0 2 0 0 5 3 0 ~145 ~155 ~165 ~175 ~185 ~195 単位水量 kg/m3 ~47.5 ~50 ~52.5 ~55 ~57.5 水セメント比 % 出典 2012 年制定コンクリート標準示方書 施工編,pp83 国土交通省 : 土木コンクリート構造物の品質確保について, 国官技第 61 号, 平成 13 年 3 月 29 日 36

施工条件 1 リフト高さ < 打設 1 リフト高さの分布,N=52> 32 15 5 H 1.5 1.5<H 3.0 3.0<H 打設 1リフト高さm 37 環境条件周辺環境 18 < 周辺環境の分布,N=52> 10 10 8 6 道路 鉄道水域草地森林水辺 38

ひび割れ確率 100% < 調査橋脚のひび割れの有無,N=52> あり 100% 39 ひび割れ状況ひび割れ密度 < ひび割れ密度の分布,N=52> 26 7 10 3 5 1 0 ~1 ~2 ~3 ~4 ~5 ~6 ~7 ひび割れ密度 (m/m2) の区間 40

ひび割れ密度別ひび割れ状況 0.68 1.78 2.18 0.9m 3.49 4.82 5.83 41 ひび割れ状況最大ひび割れ幅 < 最大ひび割れ幅の分布, 近接 N=45> 19 JH 北海道支社 15 6 5 0 0.15 0.25 0.35 0.45 0.55 最大ひび割れ幅 (mm) の区間 出典 : 谷口秀明ほか : 寒冷地における収縮補償用コンクリートの膨張特性, 膨張コンクリートによる構造物の高機能化 / 高耐久化に関するシンポジウム, 日本コンクリート工学協会,pp13-16,2003 年 9 月 19 日 42

統計モデルひび割れ密度 ρc(m/m2) = -3.439 + 3.861 X1 : 引張強度 N/mm2 + -0.300 X2 : ヤング係数 kn/mm2 + 0.005 X3 : 収縮ひずみμ + 0.003 X4 : 鉄筋量 kg/m3 + 0.904 X5 : 繊維補強あり (1,0) + 0.000 X6 : 繊維補強なし (1,0) + 1.484 X7 : 周辺環境が道路 鉄道 (1,0) + 1.100 X8 : 周辺環境が草地 (1,0) + 0.509 X9 : 周辺環境が森林 (1,0) + 0.590 X10 : 周辺環境が水辺 (1,0) + 0.000 X11 : 周辺環境が水域 (1,0) + 0.273 X12 : 打設 1リフト高さm 自由度調整済み補正 R2やや高い 有意水準 Fが1% 以下で有意 回帰統計 重相関 R 0.815 重決定 R2 0.664 補正 R2 0.583 標準誤差 0.791 観測数 52 有意 F 4.7E-07 (1,0) は該当すれば Xn に 1 を, 該当しなければ 0 を入力 注記 ) 本モデルは, 影響度の微少な説明変数を削除して要因選択規準 Ruを最適にしたモデルである 削除した説明変数は次の通り 巻立て厚さ かぶり厚さ 施工時期 43 統計モデル最大ひび割れ幅 Wmax = -2.554 自由度調整済み補 + -1.206 X1 : 引張強度 N/mm2 正 R2やや低い 有意水準 Fが1% + 0.182 X2 : ヤング係数 kn/mm2 以下で有意 + 0.00014 X3 : 収縮ひずみμ + 0.003 X4 : かぶり厚さmm + 0.085 X5 : 周辺環境が草地 (1,0) + 0.058 X6 : 周辺環境が水辺 (1,0) 回帰統計 + 0.051 X7 : 周辺環境が森林 (1,0) 重相関 R 0.663 + 0.000 X8 : 周辺環境が道路 鉄道 or 水域 (1,0) 重決定 R2 0.440 補正 R2 0.295 + 0.050 X9 : 施工時期が春 (1,0) 標準誤差 0.073 + 0.045 X10 : 施工時期が冬 (1,0) 観測数 45 + 0.000 X11 : 施工時期が夏 秋 (1,0) 有意 F 0.00843 (1,0) は該当すれば Xn に 1 を, 該当しなければ 0 を入力 注記 ) 本モデルは, 影響度の微少な説明変数を削除して要因選択規準 Ruを最適にしたモデルである 削除した説明変数は次の通り 鉄筋量 繊維補強 打設 1リフト高さ 44

1 2 3 4 5 6 7 8 コンセプト背景 目的解決方法選定調査 解析方法調査 解析結果ひび割れ制御設計対策立案まとめ 45 ひび割れどこまで許容できる? < ひび割れ間隔とひび割れ幅の限界と安全範囲 > ひび割れ間隔 (mm) 700 600 500 400 300 200 安全 補修対象とならない限界 鉄筋の降伏に対する限界 鋼材腐食に対する限界 (= 中性化の限界 ) 100 0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40 0.45 0.50 0.55 ひび割れ幅 (mm) 限界値の設定条件 : 環境条件 : 汀線付近を除く全ての環境 / 補修対象とならない限界 : 大分県橋梁定期点検要領 ( 案 ) 付録 -2 主たる劣化要因及び対策区分の判定要領,P24, 平成 26 年 6 月 / 鉄筋降伏限界 : モデル :2012 示方書設計編式 (7.4.1),pp67 / 鋼材腐食限界 : モデル :2012 示方書設計編,pp144 46

密度が大きくなる調査時点 供用 100 年 ひび割れ間隔 (mm) 1000 900 800 700 600 500 400 300 200 100 0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 0.400.45 0.50 0.55 ひび割れ幅 (mm) ひび割れ間隔 (mm) 1000 900 800 700 600 500 400 300 200 100 0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40 0.45 0.50 0.55 ひび割れ幅 (mm) NG 44% NG 88% 47 収縮ひずみ の低減が有効 < ひび割れ密度モデル説明変数の影響度 > 3.59 3.22 ひび割れ密度 (m/m2) 1.08 0.90 0.00 1.48 1.10 0.51 0.59 0.00 0.27-1.85 48

収縮ひずみ低減策選定結果 1 膨張材 2 収縮低減剤 49 調査時点 供用 100 年 対策後供用 100 年 ひび割れ間隔 (mm) 1000 900 800 700 600 500 400 300 200 100 0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40 0.45 0.50 0.55 ひび割れ間隔 (mm) 1000 900 800 700 600 500 400 300 200 100 0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40 0.45 0.50 0.55 ひび割れ間隔 (mm) 1000 900 800 700 600 500 400 300 200 100 0.15 0.20 0.25 0.30 0.35 0.40 0.45 0.50 0.55 ひび割れ幅 (mm) ひび割れ幅 (mm) ひび割れ幅 (mm) NG 44% NG 88% NG 56% 収縮ひずみ算定条件 : 膨張材 : 既往の文献 1) から収縮ひずみを150μ 定量低減 ( 圧縮側にひずみが150μ 作用 ), 収縮低減剤との併用により膨張材の効果が損なわれることはない2) / 収縮低減剤 : 既往の文献 3) から収縮ひずみを15% 定率低減 / 出典 1) 土木学会 :2012 年制定コンクリート標準示方書 設計編,pp250 出典 2) 日本建築学会 : 膨張材 収縮低減剤を使用したコンクリートに関する技術の現状,P216,2013.7 出典 3) 日本建築学会 : 鉄筋コンクリート造建築物の収縮ひび割れ制御設計 施工指針 ( 案 ) 同解説,pp121,2006 年 2 月 ) 50

対策コストは補修コストに比べ 80% 安価 < 無対策時補修コストと対策コストとの比較, 万円 > 330 80% 安価 65 < 算出条件 > 将来価値から現在価値への割引は考慮せず膨張材は投入手間込みで +3000 円 /m3 収縮低減剤は材料費 600 円 /kgで使用量は7.5kg/m3を想定収縮低減剤の投入手間は1000 円 /m3( 協組ヒア ) 巻立てコンクリート体積は今回調査サンプルの平均値注入数量はW0.2mm,ρ1.67m/m2で算定注入数量は430μ 超とならない橋脚分を10% の確率を割引考慮諸経費率は1.7 無対策時補修コスト 事前対策コスト 51 まとめ 1 RC 巻立てひび割れ実態調査を実施 2 調査データにより統計的ひび割れモデルを構築 3 ひび割れ限界値を同定 4 調査時で既に44% の巻立てが限界値超え 5 供用 100 年内に88% の巻立てがNGの可能性 6 膨張材 + 収縮低減剤の使用で88% 56% に低減 7 対策コストは補修コストに比べて80% 安価 52

FIN 53