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構造物の耐震性能を考慮した 地震時点検基準値の設定方法 鉄道地震工学研究センター 地震応答制御研究室 主任研究員 川西智浩 1

本日の発表 研究の背景 目的 提案する基準値設定手法の基本方針 - 損傷下限値 安全率の設定 - 柱 橋脚の損傷下限値の評価 安全率を考慮した点検基準値の設定 まとめ 成果の活用 2

研究の背景 地震後に適切な運転規制を行うためには 鉄道構造物に被害が生じているかどうかを短時間で見極める必要がある その方法は? (1) 構造物自体の揺れを直接計測 線状構造物のため 現実的ではない (2) 地表面の揺れと構造物情報を用いて構造物被害を推定 鉄道用地震情報公開システムに機能を追加実装中である (2019 年 7 月運用開始予定 ) (3) 地表面の揺れのみから 構造物被害の可能性を推定 地震時の揺れの指標値(SI 値 計測震度など ) と あらかじめ定められたしきい値 ( 点検基準値 ) を比較する方法 現在 鉄道事業者でよく用いられている 3

研究の背景 (3) の方法を用いて運転規制を行う場合 点検基準値をどう定めるかがポイントとなる 基本的には 損傷が生ずる際の揺れの下限値( 損傷下限値 ) に 安全率を見込んで点検基準値を設定することが多い 揺れの大きさ 損傷下限値 鉄道施設が損傷する下限の値 安全率 構造物位置 点検基準値 地震後に 点検実施を行うかどうかを決めるしきい値 4

研究の目的 点検基準値の設定手法 これまでの方法 揺れ 損傷下限値 全被害 運転支障を生ずるような過去の被害に対し 全被害形態の中で最小値のみ抽出 安全率 : 経験的に設定 点検基準値 柱 橋脚 柱 橋脚以外 電柱 (kine) (kine) (kine) 地震計 地震計 < 課題 > 構造物の耐震性能に関係なく基準値を一律に設定 構造物の耐震補強の効果が考慮できない構造物の耐震補強効果を考慮可能な基準値設定方法を開発する 5

提案する基準値設定手法の基本方針 被害形態毎に損傷下限値 安全率を分離して考え それぞれの評価結果に基づき基準値を設定する 地震計 地震計 揺れ 損傷下限値数値解析による評価 ( 本研究の対象 : 柱 橋脚 ) 柱 橋脚 ( 曲げ ) 柱 橋脚 ( せん断 ) 柱 橋脚以外電柱 (kine) (kine) (kine) (kine) 安全率 最小値 点検基準値曲げせん断柱 橋脚電柱 以外柱 橋脚 余裕度 被害に基づき被害形態毎に整理 安全率 : 余裕度の最小値 6

運転支障の要因となりうる被害形態の抽出 まず 橋梁 高架橋区間において 運転支障の要因となりうる被害形態を整理 抽出する 過去の地震において運転支障を生ずる被害が発生した箇所 橋梁 高架橋 ( 柱 橋脚 )< 曲げ> 橋梁 高架橋 ( 柱 橋脚 )<せん断 > 橋梁 高架橋 ( 柱 橋脚以外 ) 電柱軌道橋台 橋梁 高架橋区間における運転支障の影響要因 ( 損傷箇所 ) 土構造物自然斜面 ( 落石等 ) その他被害 ( ホーム笠石等 ) 7

柱 橋脚の損傷下限値の設定方法 高さ 幅等のパラメータ範囲を設定し 構造物を作成 pushover 解析を実施 周期 降伏震度を算定 構造物群データベース過去の観測地震動 揺れの指標値 <SI 値 (kine)> 0 5 0 各構造物の評価結果 損傷下限値の設定 例 : 塑性率 1 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 降伏震度 1.2 構造解析を実施して損傷を評価 構造物がある塑性率に達する際の揺れの大きさを指標値で明示 評価結果に基づき損傷下限値を設定 8

柱 橋脚の損傷下限値の評価結果 揺れの指標値 <SI 値 (kine)> 0 塑性率 1 塑性率 2 5 0 0.6 1.2 0.6 1.2 0 5 0 0 0 塑性率 3 塑性率 4 5 0.6 1.2 0 0.6 1.2 降伏震度 揺れの指標値 <SI 値 (kine)> 0 0 柱 橋脚の損傷下限値 塑性率 4 55 0 0.6 1.2 降伏震度 塑性率 3 塑性率 2 塑性率 1 損傷程度に応じた損傷下限値が評価可能 9

損傷下限値の評価結果の活用方法 (1) 基本的な活用法 構造物の塑性率と目的 ( 運転規制方法 ) との関係を定める 構造物の降伏震度から 損傷下限値を決定する 点検実施 を実施する損傷下限値 徐行運転 を実施する損傷下限値 揺れの指標値 <SI 値 (kine)> 目的に応じた損傷下限値の設定が可能 5 点検実施 徐行運転 0 0.6 1.2 降伏震度

損傷下限値の評価結果の活用方法 (2) 耐震補強の影響を考慮した損傷下限値の評価 水平震度 0.8 0.6 0.4 0.2 耐震補強前後における耐震性能の比較例 耐震補強後の限界点 ( 曲げ降伏発生点 ) 耐震補強前 耐震補強後 耐震補強により限界点が向上 揺れの指標値 <SI 値 (kine)> 70 60 40 30 20 柱 橋脚の損傷下限値 点検実施 0 0 0 200 300 水平変位 (mm) 耐震補強前の限界点 ( せん断破壊発生点 ) 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 補強前補強後降伏震度 耐震補強効果の反映が可能 11

損傷下限値の評価結果の活用方法 (3) 構造物条件の絞り込みによる損傷下限値の引き上げ評価対象となる路線の構造物パラメータ範囲が限定的な場合 元の構造物計算結果を パラメータに応じて絞り込める 揺れの指標値 <SI 値 (kine)> 0 柱高さ7-8m 柱幅 0.7-0.8mの構造物のみ抽出した場合塑性率 2の各計算結果 塑性率 1 の各計算結果 揺れの指標値 <SI 値 (kine)> 0 塑性率 2 の損傷下限値 塑性率 1の全構造物データ損傷下限値活用時の下限 構造物情報の活用に 全構造物データ よる下限値引き上げ 活用時の下限 5 5 0 0.6 1.2 0 0.6 1.2 降伏震度 降伏震度 12

安全率の評価 被害形態毎に余裕度(= 揺れの推定値 / 点検基準値 ) を整理 被害形態毎の余裕度のうち 最も小さい値を抽出 余裕度 1.0 現行の安全率 曲げせん断柱 橋脚電柱軌道橋台以外柱 橋脚 高架橋 橋梁 その他被害 柱 橋脚のせん断破壊の余裕度が最小であったとしても, 耐震補強後は せん断破壊以外の被害形態に影響を受ける 13

点検基準値の設定イメージ 提案法による構造物の耐震性能考慮 揺れの指標値 現行の点検基準値 耐震補強効果の反映 損傷下限値を被害形態ごとに設定 現行の安全率 曲げせん断柱 橋脚電柱軌道橋台柱 橋脚以外橋梁 高架橋 その他被害 補強後の最小値を抽出 現行の安全率で割り戻す 点検基準値の更新 耐震性能の向上効果を点検基準値に反映させることが可能 14

まとめ 構造物の耐震性能を考慮できる点検基準値の設定方法を示した 数値解析に基づく 柱 橋脚の損傷下限値の設定手法を開発した 徐行運転 点検実施など 目的に応じて柔軟に損傷下限値を設定することが可能になった 耐震補強の効果を見込んで損傷下限値を設定することが可能になった 構造物条件を絞り込むことで損傷下限値を引き上げることも可能になった 損傷下限値と安全率を考慮して 点検基準値を設定する方法を示した 上記の方法で損傷下限値を設定することにより 耐震補強を実施した場合に 基準値を引き上げることが可能になった 15

成果の活用 構造物条件を考慮して損傷下限値を設定し 安全率を考慮することにより 点検基準値を路線ごとに設定する 地震動指標値 構造物 A 構造物 B 構造物 C 安全率 従来の点検基準値 柱 橋脚の損傷下限値 キロ程 地震動指標値 柱 橋脚の損傷下限値の評価 B C A その他の箇所の損傷下限値 ( 過去被害から把握 ) 全被害形態を考慮した損傷下限値 点検実施 構造物の耐震性能を考慮した点検基準値 k hy 16

参考文献 川西智浩, 山田聖治, 室野剛隆, 和田一範, 是永将宏 : 構造物の耐震性能を考慮した地震時点検基準値の設定方法の提案, 鉄道総研報告,Vol.32,No.9,pp.41-46, 2018 17