[ 骨損傷の分類 (1) 外傷性骨折 正常な骨に外力が作用して骨組織の連続性が完全にまたは部分的に離断されたもの (2) 疲労性骨折 比較的軽度な負荷が繰り返し加わって発生下肢の疲労骨折は 10 代に好発 (16 歳にピークがある ) 中足骨 脛骨 腓骨 肋骨などに発生 (3) 病的骨折 骨に基礎疾

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10035 I-O1-6 一般 1 体外衝撃波 2 月 8 日 ( 金 ) 09:00 ~ 09:49 第 2 会場 I-M1-7 主題 1 基礎 (fresh cadaver を用いた肘関節の教育と研究 ) 2 月 8 日 ( 金 ) 9:00 ~ 10:12 第 1 会場 10037

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原因は不明ですが 女性に多く 手首の骨折後や重労働を行う人に多く見られます 治療は安静や飲み薬で経過を見ますが しびれが良くならない場合 当科では 小さな傷で神 経の圧迫をとる手術を行っており 傷は 3 ヶ月ぐらい経過するとほとんど目立ちません 手術 時間は約 30 分程度ですが 抜糸するのに約 1

対象 :7 例 ( 性 6 例 女性 1 例 ) 年齢 : 平均 47.1 歳 (30~76 歳 ) 受傷機転 運転中の交通外傷 4 例 不自然な格好で転倒 2 例 車に轢かれた 1 例 全例後方脱臼 : 可及的早期に整復

椎間板の一部が突出した状態が椎間板ヘルニアです 腰痛やあしに痛みがあります あしのしびれやまひがある場合 要注意です 対応 : 激しい運動を控えましょう 痛みが持続するようであれば 整形外科専門医を受診して 検査を受けましょう * 終板障害 成長期では ヘルニアとともに骨の一部も突出し ヘルニア同様

末梢神経障害

桜町病院対応病名小分類別 診療科別 手術数 (2017/04/ /03/31) D12 D39 Ⅳ G64 女性生殖器の性状不詳又は不明の新生物 D48 その他及び部位不明の性状不詳又は不明の新生物 Ⅲ 総数 構成比 (%) 該当無し Ⅰ 感染症及び寄生虫症 Ⅱ 新生物 C54 子宮体部

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骨に関する基礎知識 総論 図 1 骨の構造骨は, 骨膜, 関節軟骨, 血管 リンパ管, 神経, 骨質, 骨質中や表面に存在する細胞, 骨髄から構成される. 骨折を理解するためには, 正常な骨構造を理解し, 骨折により骨組織がどのように破壊されているかを想像する必要がある. 1 骨膜骨膜は, 筋の付着

TheShoulderJoint,2005;Vol.29,No.3: はじめに a 転位骨片を伴う関節窩骨折に対しては直視下に整復, 内固定を施行した報告が多いが, 鏡視下での整復固定の報告は比較的稀である. 今回我々は転位骨片を伴う関節窩骨折に腋窩神経麻痺を合併した1 例に対し,

遷延癒合した鎖骨骨折の保存的治療 田村哲也 1), 荻野英紀 2) 2), 長嶋竜太 1) 了德寺大学 健康科学部整復医療 トレーナー学科 2) 医療法人社団了德寺会 高洲整形外科 要旨鎖骨骨折は臨床上多く経験する骨折の一つであり, 保存的治療が原則とされている. 今回は遷延癒合した鎖骨骨折に対し保

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10038 W36-1 ワークショップ 36 関節リウマチの病因 病態 2 4 月 27 日 ( 金 ) 15:10-16:10 1 第 5 会場ホール棟 5 階 ホール B5(2) P2-203 ポスタービューイング 2 多発性筋炎 皮膚筋炎 2 4 月 27 日 ( 金 ) 12:4

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0. はじめに 当院でこれまで行ってきたメディカルチェックでは 野球選手のケガに対するアンケート調査も行 ってきました (P.4 表 1 参照 ) アンケート調査で 肘 ( ひじ ) の痛みを訴えていた選手は 高校生で 86.7% 小学生で 41.1% でした また 小学生に対しては 超音波 ( エ

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70% の患者は 20 歳未満で 30 歳以上の患者はまれです 症状は 病巣部位の間欠的な痛みや腫れが特徴です 間欠的な痛みの場合や 骨盤などに発症し かなり大きくならないと触れにくい場合は 診断が遅れることがあります 時に発熱を伴うこともあります 胸部に発症するとがん性胸水を伴う胸膜浸潤を合併する

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Ⅰ はじめに 柔道整復師が取り扱う骨折や脱臼などの外傷の治療の基本原則は非観血的療法である その中で通常は 観血的療法の適応となる外傷でも非観血的療法を行なう場合がある 今回は 観血的療法を選択すること が多い中手指節関節 以下 MCP関節 脱臼を伴った示指基節骨骨折に対し非観血的療法を行った症例を

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m A, m w T w m m W w m m w K w m m Ⅰはじめに 中手指節関節 以下 MP関節屈曲位でギプス固定を行い その直後から固定下で積極的に手指遠位指 節間関節 以下 DI P関節 近位指節間関節 以下 PI P関節の自動屈伸運動を行う早期運動療法 以下 ナックルキャストは

を優先する場合もあります レントゲン検査や細胞診は 麻酔をかけずに実施でき 検査結果も当日わかりますので 初診時に実施しますが 組織生検は麻酔が必要なことと 検査結果が出るまで数日を要すること 骨腫瘍の場合には正確性に欠けることなどから 治療方針の決定に必要がない場合には省略されることも多い検査です

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手首が痛い! 使いすぎなのか!? 仕事でパソコンを頻繁に使う 美容師や理容師ではさみを頻繁に使う 料理で包丁を頻繁に使う 演奏 裁縫 趣味など 手先を使う仕事やスポーツを行い 手首が痛い と訴えるほとんどの患者さんは 普通の人より手先を使うこが多いため 腱鞘炎は 使いすぎ によるといわれています 確

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肩関節第35巻第3号

退院患者数 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 合計 24 年度 年度

Ⅰはじめに 中節骨基部掌側骨折掌側板付着部裂離骨折 はPI P関節の過伸展によって生じる外傷で 日常でしばし ばみられるPI P関節背側脱臼に合併して発生することや単なる捻挫と判断されるなど 見逃されること が多く 骨癒合不全による掌側不安定性 運動痛および関節拘縮を起こすことがあるこの骨折に対する

(Carpus. Wikipedia Kienbock は外傷後の月状骨軟化症の X 線所見と臨床症状を詳細に報告した 彼は 外力により月状骨の血行が途絶 軟化 圧壊すると考えた 以来 Kienbock 病の病因に関しては大き

両手 X 線のオーダー スクリーニング 両手正面 + 両手斜位

施術料金表 (1 割負担額 ) 相談支援料算定あり 初検日 + 冷罨法料 初検日 ( 冷罨法料加算なし ) 冷罨法料 初検料 1,460 円 初検料 1,460 円 相談支援料 50 円 相談支援料 50 円 1 部位 760 円 85 円 2,355 円 240 円 1 部位 760 円 2,27

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の内外幅は考慮されず 側面像での高さのみで分類されているため正確な評価ができない O Driscoll は CT 画像を用いて骨片の解剖学的な位置に基づいた新しい鉤状突起骨折の分類を提案した この中で鉤状突起骨折は 先端骨折 前内側関節骨折 基部骨折 の 3 型に分類され 先端骨折はさらに 2mm

(4) 最小侵襲の手術手技である関節鏡視下手術の技術を活かし 加齢に伴う変性疾患に も対応 前述したようにスポーツ整形外科のスタッフは 日頃より関節鏡手技のトレーニングを積み重ねおります その為 スポーツ外傷 障害以外でも鏡視下手術の適応になる疾患 ( 加齢変性に伴う膝の半月板損傷や肩の腱板断裂など

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遺 伝 の は な し 1

6 腰椎用エクササイズパッケージ a. スポーツ選手の筋々膜性腰痛症 ワイパー運動 ワイパー運動 では 股関節の内外旋を繰り返すことにより 大腿骨頭の前後方向への可動範囲を拡大します 1. 基本姿勢から両下肢を伸展します 2. 踵を支店に 両股関節の内旋 外旋を繰り返します 3. 大腿骨頭の前後の移

はじめに 緩和ケア期には四肢や顔面 体幹部に浮腫を発症することがあります また発症していたリンパ浮腫ががんの進行で悪化することもあります がんの進行を抑える抗癌剤の一部には 副作 用で重症の浮腫を来すことがあります 緩和ケア期の浮腫の要因 病態は複雑で 癌性疼痛や神経麻痺 しびれなど 浮腫を治療する

健康な生活を送るために(高校生用)第2章 喫煙、飲酒と健康 その2

手指中節骨頚部骨折に対する治療経験 桐林俊彰 1), 下小野田一騎 1,2) 3), 大澤裕行 1) 了德寺大学 附属船堀整形外科 了德寺大学 健康科学部医学教育センター 2) 3) 了德寺大学 健康科学部整復医療 トレーナー学科 要旨今回, 我々は初回整復後に再転位を生じた右小指中節骨頚部骨折に対

2015 年度手術のうちわけ ( 実績 ) セキツイ脊椎 ナンブソシキ軟部組織 椎間板摘出術 35 アキレス腱断裂手術 40 内視鏡下椎間板摘出 4 腱鞘切開術 ( 関節鏡下によるものを含む ) 0 シュコンカン 脊椎固定術 椎弓切除術 椎弓形成術 ( 多椎間又は多椎弓の場合を含む )( 椎弓形成


アクソス ロッキングプレート カタログ

2012 年度リハビリテーション科勉強会 4/5 ACL 術後 症例検討 高田 5/10 肩関節前方脱臼 症例検討 梅本 5/17 右鼠径部痛症候群 右足関節不安定症 左変形性膝関節症 症例検討 北田 月田 新井 6/7 第 47 回日本理学療法学術大会 運動器シンポジウム投球動作からみ肩関節機能

2 片脚での体重支持 ( 立脚中期, 立脚終期 ) 60 3 下肢の振り出し ( 前遊脚期, 遊脚初期, 遊脚中期, 遊脚終期 ) 64 第 3 章ケーススタディ ❶ 変形性股関節症ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

10,000 L 30,000 50,000 L 30,000 50,000 L 図 1 白血球増加の主な初期対応 表 1 好中球増加 ( 好中球 >8,000/μL) の疾患 1 CML 2 / G CSF 太字は頻度の高い疾患 32

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ER・ICU 100のdon'ts−明日からやめる医療ケア

かかわらず 軟骨組織や関節包が烏口突起と鎖骨の間に存在したものを烏口鎖骨関節と定義する それらの出現頻度は0.04~30.0% とされ 研究手法によりその頻度には相違がみられる しかしながら 我々は骨の肥厚や軟骨組織が存在しないにも関わらず 烏口突起と鎖骨の間に烏口鎖骨靭帯と筋膜で囲まれた小さな空隙

Robinson 分類 ( 鎖骨遠位端の Neer 分類も含む ) 鎖骨近位端骨折の治療 通常保存治療で成績がよい しかし 2004 Robinson 8) の報告では受傷後 24 週の時点での偽関節率は 8,3% であった 転位が高度のもの (type1b) では 14.3% 転位のないもの (t

本研究の目的は, 方形回内筋の浅頭と深頭の形態と両頭への前骨間神経の神経支配のパターンを明らかにすることである < 対象と方法 > 本研究には東京医科歯科大学解剖実習体 26 体 46 側 ( 男性 7 名, 女性 19 名, 平均年齢 76.7 歳 ) を使用した 観察には実体顕微鏡を用いた 方形

一般問題 4,800 問の科目ごとの出題数 ( 第 1 回 第 24 回国家試験 ) 2 複合問題の実例 2 1 第 18 回 第 24 回国家試験において出題された一般問題のうち, 専門分野に該当する 315 問から臨床実地問題 ( 症例文章および画像などの資料から総合的に判断する

第 2 再審査請求の理由 第 3 原処分庁の意見 第 4 争 点 本件の争点は 請求人に残存する障害が障害等級第 14 級を超える障害等級に該当する障害であると認められるか否かにある 第 5 審査資料 第 6 事実の認定及び判断 1 当審査会の事実の認定 2 当審査会の判断 (1) 請求代理人は 本

表面から腫れがわかりにくいため 診断がつくまでに大きくなっていたり 麻痺が出るまで気付かれなかったりすることも少なくありません したがって 痛みがずっと続く場合には要注意です 2. 診断診断にはレントゲン撮影がもっとも役立ちます 骨肉腫では 膝や肩の関節に近い部分の骨が虫に食べられたように壊されてい

スライド 1

平成25年6月14日

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276 軟骨無形成症

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脛骨近位部骨折の治療 土田芳彦 脛骨近位部骨折についての緒言脛骨近位部骨折は骨端部から骨幹端部にかけての骨折であり 関節内外の骨折を含む 比較的低エネルギー損傷でも生じるが 高エネルギー損傷のことが多い この部位の骨折は よくある骨幹部骨折とは異なり治療が難しく 特別な注意を要する まず どのような

質疑回答 [ 肢体不自由 ] ( 肢体不自由全般 ) 1. 各関節の機能障害の認定について 関いずれか一方が該当すれば 認定可能で節可動域 (ROM) と 徒手筋力テスト (MMT) ある で具体例が示されているが 両方とも基準に該当する必要があるのか 2. 身体障害者診断書の 肢体不自由の状況 及

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相澤病院整形外科宮岡俊輔 山崎宏 磯部文洋 はじめに 短橈側手根伸筋 (ECRB) の剥離骨折は非常に稀な骨折である. 今回我々は ECRB 剥離骨折に合併した示指伸筋腱断裂を経験したので報告する. 症例 67 歳, 男性. 主訴 : 左示指伸展制限. 現病歴 : 自家用車運転中に対向車と正面衝突し

アレルギー性結膜疾患診療ガイドライン(第2版)

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顎下腺 舌下腺 ) の腫脹と疼痛で発症し そのほか倦怠感や食欲低下などを訴えます 潜伏期間は一般的に 16~18 日で 唾液腺腫脹の 7 日前から腫脹後 8 日後まで唾液にウイルスが排泄され 分離できます これらの症状を認めない不顕性感染も約 30% に認めます 合併症は 表 1 に示すように 無菌

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5. 予後病状は数十年にわたり徐々に進行し 広範囲の激しい疼痛に加え 脊椎や四肢関節の運動制限により日常生活動作は著しく制限されるようになる 約 1/3 の患者が全脊椎の強直 ( 竹様脊椎.bamboo spine.1 本の棒のようになる ) に進展する 併発する臓器病変や長期の薬物治療の影響も加わ

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本文/開催および演題募集のお知らせ

Transcription:

必修問題対策資料総論 柔理テキスト P24~85 1. 主要症候および損傷部の状態 (A) 骨折の症状 (1) 一般外傷症状 1 疼痛 2 直達性局所圧痛 ( 限局性圧痛 ) 3 介達痛 4 腫脹 5 機能障害 マルゲーニュの圧痛点 骨折部に限局しての強い圧痛 (2) 骨折の固有症状 1 異常可動性 2 軋轢音 3 転移と変形 (3) 全身症状 1 ショック症状ショックの 5P(1 顔面蒼白 2 虚脱 3 冷汗 4 脈拍触知不可 5 呼吸不全 ) (B) 骨折部の状態 (1) 開放性骨折 ( 複雑骨折 ) 創部と骨折部との交通があるもの細菌感染の危険性があり骨癒合が遅れる または骨癒合しない危険性あり (2) 閉鎖性骨折 ( 皮下骨折 単純骨折 ) 創部と骨折部との交通がないもの (C) 骨折の状態 (1) 完全骨折 骨組織の連続性が完全に離断されたもの (2) 不全骨折 骨の一部が損傷され 一部がなお損傷を受けずに連絡を保っているもの 1 亀裂骨折 ( 氷裂骨折 ) 氷やガラスに生じるヒビと同じような状態 頭蓋骨 肩甲骨 腸骨などの扁平骨に発生 2 若木骨折 ( 緑樹骨折 生木骨折 ) 幼児の特有の骨折 長骨に発生し骨が屈曲したもので 若木を折り曲げた状態に似ている 急性塑性変形 長骨の全長にわたって彎曲が変化するもの 受傷直後の Ⅹ 線映像では骨折線をみとめない 経時的に仮骨が出現 小児骨折で転位のある脛骨骨折時の腓骨や橈骨骨折時の尺骨などにみられる 3 陥凹骨折 幼児の特有の骨折 若木骨折の一種でピンポン玉を潰したような状態 完全骨折 陥没骨折 4 竹節状骨折 ( 隆起骨折 花托骨折 ) 幼児の特有の骨折 圧迫によって骨の一部を押し潰し骨折部が輪状に隆起して竹節状となる 幼小児の橈骨遠位端部などに発生 5 骨膜下骨折 不全骨折にあたる 骨質は完全に離断しているが骨膜の離断はされていないもの 生理的な骨形状を保ち 骨折線の確認できるもの 幼小児に多い 幼小児の脛骨骨幹部に発生する 安定性が良い 6 骨挫傷 海綿質の微細な骨折をいう 出血 浮腫 局所の血流増加を伴う MRI での検出が可能

[ 骨損傷の分類 (1) 外傷性骨折 正常な骨に外力が作用して骨組織の連続性が完全にまたは部分的に離断されたもの (2) 疲労性骨折 比較的軽度な負荷が繰り返し加わって発生下肢の疲労骨折は 10 代に好発 (16 歳にピークがある ) 中足骨 脛骨 腓骨 肋骨などに発生 (3) 病的骨折 骨に基礎疾患があって骨組織が脆弱になっているときにわずかな外力により発生 病的骨折の誘因となる基礎疾患 1 局所的誘因 : 転移性骨癌 骨肉腫 骨嚢腫 化膿性骨髄炎 骨巨細胞腫など 2 全身的誘因 : くる病 骨形成不全症 大理石病 骨粗鬆症 ページェット病 ( 変形性骨症 ) 上皮小体 ( 副甲状腺 ) 機能亢進症など [ 骨折線の方向方向によるによる分類 (1) 横骨折 骨折線が骨長軸に対して直角 ( 垂直 ) に走るもの螺旋骨折 斜骨折より整復後の短縮転位を生じにくい骨折面の接触面積が小さく仮骨形成は不利 (2) 縦骨折 骨折線が骨長軸に対して平行に走るもの (3) 斜骨折 骨折線が骨長軸に対して斜めに走るもの横骨折より整復後の短縮転位を生じやすい骨折面の接触面積は大きく仮骨形成には有利 (4) 螺旋状骨折 骨折線が骨長軸に対して螺旋状に走るもの (5) 複合骨折 1 骨片骨折 (T 字状骨折 Ⅴ 字骨折 Y 字骨折を含む ) 上腕骨遠位端部 大腿骨遠位端部また高齢者の粉砕骨折に含めることもある 2 粉砕骨折 : 多数の小骨片を有するもので 強大な外力によって発生 [ 骨折の数によるによる分類 (1) 単数骨折 1 本の骨が 1 カ所で骨折したもの (2) 複数骨折 ( 二重骨折 ) 1 本の骨が 2 カ所で骨折しもの (3) 重複骨折 1 本の骨が 3 カ所以上で骨折したもの (4) 多発骨折 2 本以上の骨が同時に骨折したもの

[ 外力の働いたいた部位部位によるによる分類 (1) 直達性外力 外力が直接働いた部位で骨折したもの 横骨折 粉砕骨折となる傾向がある (2) 介達性外力 外力が他の部位に誘導されて離れた部位で骨折したもの自家筋力によるゴルフの肋骨骨折や野球の投球骨折 腕相撲骨折など 斜骨折 螺旋状骨折となる傾向がある [ 骨折の経過経過によるによる分類 (1) 新鮮骨折 骨折直後からおおむね仮骨形成期までのもの (2) 陳旧性骨折 仮骨形成期以降のもの ( 治癒が遷延して変形や機能障害などの後遺症を呈する骨折も含む ) [ 外力の働き方によるによる分類 (1) 裂離骨折と剥離骨折 1 裂離骨折 筋 腱 靭帯などの牽引力によって発生 2 剥離骨折 骨の衝突 摩擦により発生 (2) 屈曲骨折 1 第 1 型 凹側に底辺を持つ三角形の骨片を生じる 骨片骨折 2 第 2 型 骨折線は凸側に始まり固定された方向へと斜めに走る 斜骨折 3 第 3 型 骨盤や胸郭などの骨輪を形成している部位に 2 方向から外力が働いて骨折 (3) 圧迫骨折 高齢者に多い 骨の長軸に軸圧 縦または横の裂隙 軸圧骨折 海綿質に富んだ椎体や踵骨などの短骨が完全に圧平 圧潰骨折 骨折端が相互に噛み合う 噛合骨折 咬合骨折 楔合骨折 椎体の圧迫骨折 踵骨骨折 小児の橈骨遠位端部の竹節状骨折など (4) 剪断骨折 ( 引き違い骨折 ) 横骨折二つの力が平行 しかも互いに反対方向かつ密接した力が働いたときに発生 (5) 捻転骨折長骨の一方が固定され他方に骨を捻転する力 または両端に相反する捻転力が働いたときに発生 上腕骨骨幹部の投球骨折 腕相撲骨折 スキーによる下腿骨骨折など (6) 粉砕骨折強大な外力が骨に働き多数の小骨片に粉砕したもの大きな外力や機械力 爆発 銃撃 櫟過など 開放性骨折になる事が多い (7) 陥没骨折扁平骨に発生する 外力を受けた部分に円形状に骨折線が生じて発生頭蓋骨骨折 腸骨骨折など (8) 破裂骨折頭蓋骨や椎骨にみられる 強い圧迫を受けて破裂する

(D) 脱臼の症状 (1) 一般外傷症状 1 疼痛 ( 持続性疼痛 )2 腫脹及び関節血腫 3 機能障害 (2) 固有症状 1 弾発性固定 ( 例 : ピアノキー症状 ) 2 関節部の変形 関節軸の変化 脱臼関節自体の変形 脱臼肢の長さの変化 関節腔の空虚及び骨頭の位置異常 (E) 脱臼の経過 反復性脱臼 外傷性脱臼に続発するもの肩 顎関節など 習慣性脱臼 外傷既往なし 軟骨発育不良 関節の弛緩など 随意性脱臼 本人の自家筋力によって脱臼し 原位置に復すこと (F) 軟部組織損傷の症状 (1) 捻挫定義 骨と骨の間に起こる急激がねじれ あるいは激しい外力による関節周辺の関節包や靭帯損傷をいう 1 靭帯 関節包の損傷 [ 症状 疼痛 腫脹 皮下出血斑 限局性圧痛 関節血腫 [ 分類 第 1 度 靭帯微小損傷 不安定性 (-) 第 2 度 靭帯部分断裂 不安定性軽 ~ 中等度 機能障害第 3 度 靭帯完全断裂 不安定性 (+) 機能障害 (++) [ 予後 Ⅲ 度は OPE が多い 2 関節軟骨損傷関節唇 肩関節 股関節関節円板 膝関節 胸鎖関節 顎関節 遠位橈尺関節 [ 症状 疼痛 可動域制限 ロッキング 骨折を合併している場合 関節血腫血管 神経を欠く 自己修復機能能力乏しい

必修問題対策資料 総論 1. 主要症候および損傷部の状態 (2) 挫傷 1 筋損傷 肉ばなれ 筋線維の正常な伸長範囲を越えた場合 ( 介達外力 ) 筋挫傷 圧迫力が働いた場合 骨化性筋炎を起こすこともある ( 直達外力 ) [ 症状 硬結 腫瘤 陥凹触知 伸長度の低下 筋力低下ミオグロビンやクレアチニンキナーゼなどの血中濃度 [ 分類 第 1 度 筋断裂 (-) 不快感 違和感 疼痛 (+) 第 2 度 部分断裂 一般的に肉ばなれ 陥凹 (+/-) 第 3 度 完全断裂 陥凹 (+) 2 腱損傷 断裂 と 炎症 と分けられる 柔軟性や疲労度にも大きな影響を受ける [ 症状 分類 第 1 度 腱断裂 (-) 疼痛 びまん性腫脹 圧痛第 2 度 部分断裂 疼痛 腫脹 圧痛 血腫形成 陥凹第 3 度 陥凹 筋力低下 皮下出血 3 神経損傷 [ 症状 運動神経障害 弛緩性麻痺 腱反射消失 or 減少 筋力低下 感覚神経障害 自律神経障害 発汗停止 血管障害 栄養障害 神経支配領域にシビレ感が走る徴候を チネル徴候 という [ サンダーランド分類 第 1 度 限局性の脱髄による伝導障害 ワーラー変性は起こらない第 2 度 軸索のみ損傷 損傷部より末梢に変性がおこる ( 以下同じ ) 第 3 度 軸索と神経内膜の損傷第 4 度 神経周膜も損傷第 5 度 神経上膜まで完全損傷 ワーラー変性 損傷部より遠位の軸索や髄鞘が変性に陥ること 4 血管損傷 [ 症状 阻血症状 (5P) Pain 疼痛 Paleness 蒼白 Pulselessness 拍動消失 Paresthesia 感覚異常 Paralysis 麻痺 [ セドンの分類 1. ニューラプラキシア 一過性の伝導傷害 ワーラー変性 (-) 完全に回復する 2. アクソノトメーシス 軸索断裂 (+) ワーラー変性 (+) 保存療法にて回復する 3. ニューロトメーシス ワーラー変性 (+) 過誤神経支配のリスク (+) 観血療法の適応