必修問題対策資料総論 柔理テキスト P24~85 1. 主要症候および損傷部の状態 (A) 骨折の症状 (1) 一般外傷症状 1 疼痛 2 直達性局所圧痛 ( 限局性圧痛 ) 3 介達痛 4 腫脹 5 機能障害 マルゲーニュの圧痛点 骨折部に限局しての強い圧痛 (2) 骨折の固有症状 1 異常可動性 2 軋轢音 3 転移と変形 (3) 全身症状 1 ショック症状ショックの 5P(1 顔面蒼白 2 虚脱 3 冷汗 4 脈拍触知不可 5 呼吸不全 ) (B) 骨折部の状態 (1) 開放性骨折 ( 複雑骨折 ) 創部と骨折部との交通があるもの細菌感染の危険性があり骨癒合が遅れる または骨癒合しない危険性あり (2) 閉鎖性骨折 ( 皮下骨折 単純骨折 ) 創部と骨折部との交通がないもの (C) 骨折の状態 (1) 完全骨折 骨組織の連続性が完全に離断されたもの (2) 不全骨折 骨の一部が損傷され 一部がなお損傷を受けずに連絡を保っているもの 1 亀裂骨折 ( 氷裂骨折 ) 氷やガラスに生じるヒビと同じような状態 頭蓋骨 肩甲骨 腸骨などの扁平骨に発生 2 若木骨折 ( 緑樹骨折 生木骨折 ) 幼児の特有の骨折 長骨に発生し骨が屈曲したもので 若木を折り曲げた状態に似ている 急性塑性変形 長骨の全長にわたって彎曲が変化するもの 受傷直後の Ⅹ 線映像では骨折線をみとめない 経時的に仮骨が出現 小児骨折で転位のある脛骨骨折時の腓骨や橈骨骨折時の尺骨などにみられる 3 陥凹骨折 幼児の特有の骨折 若木骨折の一種でピンポン玉を潰したような状態 完全骨折 陥没骨折 4 竹節状骨折 ( 隆起骨折 花托骨折 ) 幼児の特有の骨折 圧迫によって骨の一部を押し潰し骨折部が輪状に隆起して竹節状となる 幼小児の橈骨遠位端部などに発生 5 骨膜下骨折 不全骨折にあたる 骨質は完全に離断しているが骨膜の離断はされていないもの 生理的な骨形状を保ち 骨折線の確認できるもの 幼小児に多い 幼小児の脛骨骨幹部に発生する 安定性が良い 6 骨挫傷 海綿質の微細な骨折をいう 出血 浮腫 局所の血流増加を伴う MRI での検出が可能
[ 骨損傷の分類 (1) 外傷性骨折 正常な骨に外力が作用して骨組織の連続性が完全にまたは部分的に離断されたもの (2) 疲労性骨折 比較的軽度な負荷が繰り返し加わって発生下肢の疲労骨折は 10 代に好発 (16 歳にピークがある ) 中足骨 脛骨 腓骨 肋骨などに発生 (3) 病的骨折 骨に基礎疾患があって骨組織が脆弱になっているときにわずかな外力により発生 病的骨折の誘因となる基礎疾患 1 局所的誘因 : 転移性骨癌 骨肉腫 骨嚢腫 化膿性骨髄炎 骨巨細胞腫など 2 全身的誘因 : くる病 骨形成不全症 大理石病 骨粗鬆症 ページェット病 ( 変形性骨症 ) 上皮小体 ( 副甲状腺 ) 機能亢進症など [ 骨折線の方向方向によるによる分類 (1) 横骨折 骨折線が骨長軸に対して直角 ( 垂直 ) に走るもの螺旋骨折 斜骨折より整復後の短縮転位を生じにくい骨折面の接触面積が小さく仮骨形成は不利 (2) 縦骨折 骨折線が骨長軸に対して平行に走るもの (3) 斜骨折 骨折線が骨長軸に対して斜めに走るもの横骨折より整復後の短縮転位を生じやすい骨折面の接触面積は大きく仮骨形成には有利 (4) 螺旋状骨折 骨折線が骨長軸に対して螺旋状に走るもの (5) 複合骨折 1 骨片骨折 (T 字状骨折 Ⅴ 字骨折 Y 字骨折を含む ) 上腕骨遠位端部 大腿骨遠位端部また高齢者の粉砕骨折に含めることもある 2 粉砕骨折 : 多数の小骨片を有するもので 強大な外力によって発生 [ 骨折の数によるによる分類 (1) 単数骨折 1 本の骨が 1 カ所で骨折したもの (2) 複数骨折 ( 二重骨折 ) 1 本の骨が 2 カ所で骨折しもの (3) 重複骨折 1 本の骨が 3 カ所以上で骨折したもの (4) 多発骨折 2 本以上の骨が同時に骨折したもの
[ 外力の働いたいた部位部位によるによる分類 (1) 直達性外力 外力が直接働いた部位で骨折したもの 横骨折 粉砕骨折となる傾向がある (2) 介達性外力 外力が他の部位に誘導されて離れた部位で骨折したもの自家筋力によるゴルフの肋骨骨折や野球の投球骨折 腕相撲骨折など 斜骨折 螺旋状骨折となる傾向がある [ 骨折の経過経過によるによる分類 (1) 新鮮骨折 骨折直後からおおむね仮骨形成期までのもの (2) 陳旧性骨折 仮骨形成期以降のもの ( 治癒が遷延して変形や機能障害などの後遺症を呈する骨折も含む ) [ 外力の働き方によるによる分類 (1) 裂離骨折と剥離骨折 1 裂離骨折 筋 腱 靭帯などの牽引力によって発生 2 剥離骨折 骨の衝突 摩擦により発生 (2) 屈曲骨折 1 第 1 型 凹側に底辺を持つ三角形の骨片を生じる 骨片骨折 2 第 2 型 骨折線は凸側に始まり固定された方向へと斜めに走る 斜骨折 3 第 3 型 骨盤や胸郭などの骨輪を形成している部位に 2 方向から外力が働いて骨折 (3) 圧迫骨折 高齢者に多い 骨の長軸に軸圧 縦または横の裂隙 軸圧骨折 海綿質に富んだ椎体や踵骨などの短骨が完全に圧平 圧潰骨折 骨折端が相互に噛み合う 噛合骨折 咬合骨折 楔合骨折 椎体の圧迫骨折 踵骨骨折 小児の橈骨遠位端部の竹節状骨折など (4) 剪断骨折 ( 引き違い骨折 ) 横骨折二つの力が平行 しかも互いに反対方向かつ密接した力が働いたときに発生 (5) 捻転骨折長骨の一方が固定され他方に骨を捻転する力 または両端に相反する捻転力が働いたときに発生 上腕骨骨幹部の投球骨折 腕相撲骨折 スキーによる下腿骨骨折など (6) 粉砕骨折強大な外力が骨に働き多数の小骨片に粉砕したもの大きな外力や機械力 爆発 銃撃 櫟過など 開放性骨折になる事が多い (7) 陥没骨折扁平骨に発生する 外力を受けた部分に円形状に骨折線が生じて発生頭蓋骨骨折 腸骨骨折など (8) 破裂骨折頭蓋骨や椎骨にみられる 強い圧迫を受けて破裂する
(D) 脱臼の症状 (1) 一般外傷症状 1 疼痛 ( 持続性疼痛 )2 腫脹及び関節血腫 3 機能障害 (2) 固有症状 1 弾発性固定 ( 例 : ピアノキー症状 ) 2 関節部の変形 関節軸の変化 脱臼関節自体の変形 脱臼肢の長さの変化 関節腔の空虚及び骨頭の位置異常 (E) 脱臼の経過 反復性脱臼 外傷性脱臼に続発するもの肩 顎関節など 習慣性脱臼 外傷既往なし 軟骨発育不良 関節の弛緩など 随意性脱臼 本人の自家筋力によって脱臼し 原位置に復すこと (F) 軟部組織損傷の症状 (1) 捻挫定義 骨と骨の間に起こる急激がねじれ あるいは激しい外力による関節周辺の関節包や靭帯損傷をいう 1 靭帯 関節包の損傷 [ 症状 疼痛 腫脹 皮下出血斑 限局性圧痛 関節血腫 [ 分類 第 1 度 靭帯微小損傷 不安定性 (-) 第 2 度 靭帯部分断裂 不安定性軽 ~ 中等度 機能障害第 3 度 靭帯完全断裂 不安定性 (+) 機能障害 (++) [ 予後 Ⅲ 度は OPE が多い 2 関節軟骨損傷関節唇 肩関節 股関節関節円板 膝関節 胸鎖関節 顎関節 遠位橈尺関節 [ 症状 疼痛 可動域制限 ロッキング 骨折を合併している場合 関節血腫血管 神経を欠く 自己修復機能能力乏しい
必修問題対策資料 総論 1. 主要症候および損傷部の状態 (2) 挫傷 1 筋損傷 肉ばなれ 筋線維の正常な伸長範囲を越えた場合 ( 介達外力 ) 筋挫傷 圧迫力が働いた場合 骨化性筋炎を起こすこともある ( 直達外力 ) [ 症状 硬結 腫瘤 陥凹触知 伸長度の低下 筋力低下ミオグロビンやクレアチニンキナーゼなどの血中濃度 [ 分類 第 1 度 筋断裂 (-) 不快感 違和感 疼痛 (+) 第 2 度 部分断裂 一般的に肉ばなれ 陥凹 (+/-) 第 3 度 完全断裂 陥凹 (+) 2 腱損傷 断裂 と 炎症 と分けられる 柔軟性や疲労度にも大きな影響を受ける [ 症状 分類 第 1 度 腱断裂 (-) 疼痛 びまん性腫脹 圧痛第 2 度 部分断裂 疼痛 腫脹 圧痛 血腫形成 陥凹第 3 度 陥凹 筋力低下 皮下出血 3 神経損傷 [ 症状 運動神経障害 弛緩性麻痺 腱反射消失 or 減少 筋力低下 感覚神経障害 自律神経障害 発汗停止 血管障害 栄養障害 神経支配領域にシビレ感が走る徴候を チネル徴候 という [ サンダーランド分類 第 1 度 限局性の脱髄による伝導障害 ワーラー変性は起こらない第 2 度 軸索のみ損傷 損傷部より末梢に変性がおこる ( 以下同じ ) 第 3 度 軸索と神経内膜の損傷第 4 度 神経周膜も損傷第 5 度 神経上膜まで完全損傷 ワーラー変性 損傷部より遠位の軸索や髄鞘が変性に陥ること 4 血管損傷 [ 症状 阻血症状 (5P) Pain 疼痛 Paleness 蒼白 Pulselessness 拍動消失 Paresthesia 感覚異常 Paralysis 麻痺 [ セドンの分類 1. ニューラプラキシア 一過性の伝導傷害 ワーラー変性 (-) 完全に回復する 2. アクソノトメーシス 軸索断裂 (+) ワーラー変性 (+) 保存療法にて回復する 3. ニューロトメーシス ワーラー変性 (+) 過誤神経支配のリスク (+) 観血療法の適応