AEO 制度について 1. 関税法違反等の状況 1 2.AEO の最新状況 4 3. 特例輸入者のベネフィット 7 平成 26 年 12 月 5 日 AEO セミナー 東京税関総括認定事業者管理官
1. 関税法違反等の状況覚醒剤の国内押収量全体に占める密輸押収量の割合 ( 平成 20~24 年累計 ) 関税法違反事件輸入事後調査実績 1,900kg 密輸押収量分 96% ( 注 )1. 密輸押収量には 税関が摘発した密輸事件に係る押収量の他 警察等他機関が摘発した事件で税関が当該事件に関与したものに係る押収量を含む 2. 警察庁 財務省 ( 関税局調査課 ) 厚生労働省 海上保安庁 ( 内閣府集計 ) 調べ 1
1. 不正薬物 関税法違反事件の取締り状況 ( 平成 25 年 ) 不正薬物約 1,007kg 押収量が 1 トンを上回るのは平成 16 年以来 9 年ぶり 覚醒剤 約 859kg 押収量は 大幅に増加押収量が 800kg を上回るのは 平成 12 年以来 13 年ぶり 麻薬事犯約 135kg 押収量は 大幅に増加 ( 前年比 12.4 倍 ) 大麻 約 13kg 押収量は 対前年比 90% 減 2. その他 北朝鮮関連事犯として 仕向地を韓国や中国と偽って 北朝鮮向けに中古タイヤや自動車を輸出したものを告発 知的財産侵害事犯として 痩身用マッサージ器や携帯電話用ケースの密輸入事犯を告発 平成 26 年 2 月 18 日財務省発表 平成 25 年の全国の税関における関税法違反事件の取締り状況 より 2
輸入事後調査実績 ( 平成 25 事務年度 ) 平成 25 事務年度 (H25.7~H26.6) 1. 輸入事後調査実施 3,614 者 2. 漏れ等のあった輸入者 2,427 者 3. 漏れ等に係る課税価格 888 億 2 千万円 関税等の追徴税額 84 億 2 千万円 追徴税額に含まれる重加算税額 1 億 4 千万円 4. 漏れ等により納税額の不足が多かった品目 (1) 肉類 (2) 電気機器 (3) 履物類 (4) 機械類 (5) 織物衣類 5. 主な漏れ等の内容 (1) インボイスに記載された決済金額以外の貨物代金の漏れ (2) 豚肉に係る高価 (3) 海外生産のために輸入者が輸出者に無償提供した材料費用などの漏れ (4) 輸入貨物に係るロイヤルティの漏れ (5) 低価インボイスによる輸入 平成 26 年 11 月 7 日財務省発表 平成 25 事務年度の関税及び内国消費税の内容の輸入事後調査結果 より 3
2.AEO の最新状況 AEO 事業者数の推移 600 500 400 300 200 9 7 4 3 76 87 3 62 42 1 28 16 69 82 95 101 112 117 73 77 79 83 87 89 運送業者 (H20.4) 通関業者 (H20.4) 倉庫業者 (H19.10) 輸入者 (H19.4) 輸出者 (H18.3) 100 231 239 242 247 238 238 0 H21 H22 H23 H24 H25 H26.12.3 現在 390 429 461 497 520 540 AEO 認定事業者の現状 ( 平成 26 年 12 月 3 日 ) 輸出輸入倉庫通関業運送合計 AEO 事業者 238 89 117 87 9 540 4
我が国の AEO 相互承認の現状 相手国の AEO 制度を相互に承認し 二国間の安全かつ円滑な物流を目指す AEO 相互承認に向けた取組みを推進 現在 我が国は米国 EU を含む 7 組の相互承認に署名 アジア諸国を中心に諸外国と制度の研究 構築支援を実施 署名済み わが国が協議 研究中 シンガポール 台湾 イスラエル ヨルダン インド 香港 カナダ 米国 スイス ノルウェー トルコ 韓国 EU アンドラ 中国 NZ マレーシア メキシコ AEO コンペンディアム (WCO 策定 :2014 年 4 月改訂版 ) 等を基に作成 5
3. 特例輸入者のベネフィット世界税関機構 (WCO) AEO ガイドライン に基づくベネフィット AEO 事業者に対するベネフィット 貿易の混乱または脅威の度合いの高い時期の特別措置 1. 脅威の度合いが高い状態の間 税関による優先的な取扱いを供与 2. 港湾又は国境の封鎖及び再開を要する事件の後の優先的な取扱い 3. 事件後 影響を受けた国々への輸出の優先 ( 世界税関機構 (WCO) AEO ガイドライン より引用 ) 非常時 国際物流のセキュリティを強化 一般の輸入者 厳重な審査 検査の実施 AEO 輸入者 審査 検査の優先的な取扱い 6
保税地域への搬入が不要に 一般の輸入者 保税地域 審査 検査 許許可可 輸送 本船扱い申請 承認 入港 審査 検査 許可 引き取り 本船扱いの申請には対象貨物等の条件があります AEO 輸入者が利用できる制度 本船入港前に輸入を行い 許可を受けることが可能 ( 積荷情報が提出されていることが条件 ) 保税地域への搬入が不要 積荷情報提出 許可 入港 リードタイムの短縮 審査 検査 引き取り 基本的に審査 検査が省略されます メリット 本船入港前に輸入許可を受けることができます! 保税地域への搬入が不要となります! リードタイムが短縮されます! 7
引取と納税の分離が可能に 一般の輸入者 引取り時の手続き 入港 輸入 納税 審査 検査 納税 輸入許可 引取り AEO 輸入者が利用できる制度 引取り時の手続 入港輸入輸入許可 引取り 原産地証明書 減免税関係書類 評価関係書類 納税 等 納税 ( 翌月末まで ) 引取と納税を分離することによって 書類を揃える時間ができ 適正な納税のための準備が可能に メリット 引取と納税を分離することができます ( 翌月末にまとめて納税することも可能 )! 納税や免税にかかる書類を提出する前に貨物の引取りが可能となります! 8
担保の軽減 4 月 1 日に輸入貨物を引き取るとしたら 一般の輸入者 包括納期限延長制度 4/1 7/31 ( 担保の提供が条件 ) 特定月 (4 月 ) 最大 4 か月分の担保 納期限の延長は 3 か月間 AEO 輸入者が利用できる制度 特例輸入制度 4/1 5/31 特例書の提出期限 ( 納税の期限 ) 7/31 財務状況などの条件を充足する場合 担保の提供を省略 2 か月分の担保 メリット 一定の条件のもと 貨物の引き取りにかかる担保が不要となります! 納期限延長制度を利用する場合 最大 2 か月分の担保が軽減できます! 9
加工再輸入減税制度 ( 暫 8) 手続の簡素化 AEO 輸入者になると 加工再輸入減税制度 ( 暫 8 制度 ) の諸手続が簡素化されます 一般の輸入者 提出 税 関 AEO 輸入者が利用できる制度 不要 提出 税関 メリット 輸出許可書及び契約書等 ( 返付用 ) は 写しでの提出が可能になります! 附属書の提出が不要になります! 確認書 ( 交付用 ) 及び生地見本等の提示が不要になります! 加工仕様書 加工指図書等の加工の詳細を記載した書類等及びマーキング仕様書や写真などの提出が不要になります! 個別評価書に 請求書 運賃明細書等の添付が不要になります! 10
通い容器に関する免税手続の簡素化 AEO 輸入者 AEO 輸出者両方の資格を取得すると 通い容器 ( リターナブルラックなど ) に関する免税手続が簡素化されます 一般の輸入者 提出 税 関 AEO 輸入者が利用できる制度 不要 メリット 提出 日本から輸出した通い容器を再輸入する場合 帳簿等の関係資料を事前提出が不要になります! 輸出書への材質等の記載が不要になります! 輸出許可書等の提示が不要になります! 税 関 外国から輸入した通い容器を再輸出する場合 再輸出貨物減免税明細書の提出が不要になります! 輸入許可書等の提出及び 再輸出減免税貨物の輸出の届出書 の提出が不要になります! 11
( 参考 ) 輸出入官署の自由化について 規制改革実施計画 ( 平成 25 年 6 月 14 日閣議決定 ) 通関手続における IT 利用推進に係る工程表を作成し 広く関係先の意見を聞きながら 通関手続のペーパーレス化を実現す るとともに 平成 29 年度の NACCS 更改時には 少なくとも特定輸出について 船積地にかかわらず一元的に NACCS に することによって輸出通関が完了するよう検討を行い 結論を得る ( 平成 25 年度検討 結論 ( 平成 29 年度まで順次実施 )) 官署の自由化に係る基本的方向性 適正通関の確保の観点から蔵置官署を官署とする原則は維持 AEO 輸出入 ( ) について 特例的に非蔵置官署へのを認める ( 関税法の改正 ) 通関業者の営業区域制限を廃止する ( 通関業法の改正 ) ( )AEO 輸出者に係る輸出及び AEO 輸入者に係る輸入並びに AEO 通関業者が取り扱う輸出入 現状 輸出入者 AEO 事業者による輸出入の場合 輸出入者 一般の輸出入の場合 通関業者の営業区域制限の廃止に伴うもの 輸出入者 蔵置官署 A 通関業者 委託 非蔵置官署 B 通関業者 自由化 蔵置官署 A 通関業者 委託 ( 選択可能 ) 非蔵置官署 B 通関業者 蔵置官署 A 通関業者 委託 ( 選択可能 ) 非蔵置官署 B 通関業者 貨物 貨物 ( 選択可能 ) 貨物 X 税関 Y 税関 X 税関 Y 税関 X 税関 Y 税関 12
( 参考 ) 関税法違反事件の紹介 13 覚醒剤密輸入事件 覚醒剤 24,293.76 グラムを石材に隠匿 覚醒剤 883.62 グラムを体内 ( 嚥下 ) に隠匿 商標権を侵害する携帯電話用ケースの密輸入事件