当院での経鼻内視鏡について

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Transcription:

当院での経鼻内視鏡検査に ついて 川口メディカルクリニック 大家昌源

初めに

経鼻内視鏡の歴史 年 オリンパス 富士フィルム ( 最初から全機種 4 アングル 2LG 5.9mm/5.9mm) 1995 GIF-N230(4 アングル 2LG 送気送水ノズルなし ) 6.0mm/6.0mm 2001 EG-470N/270N 4 アングル 2LG 2003 EG-470N5/270N5 操作部を軽量化 2005 2006 2007 2009 2010 GIF-N260(2 アングル 1LG 送気送水あり )4.9mm/5.2mm CCD 改良 GIF-XP260N(4 アングル 1LG)5.0mm/5.5mm 済生会採用 GIF-XP260NS(4 アングル 2LG) 5.4mm/5.8mm EG-530N CCD が変わり画質向上 EG-530N2 光量アップ送水ノズル改善 川口内科採用 EG-530NW レンズ改善視野角拡大画期的 川口内科採用

岡山県での経鼻内視鏡 オリンパス :2005 年 16 施設 2010 年 139 施設 富士フィルム :2005 年 5 施設 2010 年 90 施設

当院の内視鏡室 経鼻内視鏡 : 富士フィルムsapiencia EG530NW 経口内視鏡 :Olympus EVIS LUCERA SPECTRUM GIF type Q260 大腸内視鏡 :PCF type Q260AI

経鼻内視鏡のスペック OLYMPUS XP260NS FUJI EG530NW 先端部外径 5.4mm 5.9mm 軟性部外径 5.8mm 5.9mm 視野角 120 140 観察深度 3~100mm 4~100mm 鉗子口径 2.0mm 2.0mm

当院の上部消化管内視鏡検査数 2010 年 6 月 ~2011 年 9 月 (16か月) 計 1302 件そのうち経鼻 764 件 (58.7%) 経口 538 件 (41.3%) 経鼻挿入率 2010 年 6 月 ~2011 年 6 月 610/640 95.3%

経鼻内視鏡の利点 鎮静剤を使用しなくても嘔吐反射が少ない 嘔吐反射が少ないためじっくりと観察できる ( 例えば下咽頭や食道入口部 ) 嘔吐反射がないため繰り返し検査を受けてもらえる可能性が高い 検査中に話ができる 等

経鼻内視鏡の欠点 鼻の麻酔に時間がかかり 被検者の苦痛もある 画質の問題 ( 特に食道 ) 経口内視鏡よりも遠景の画質が劣るため 近接での観察が多くなり 撮影枚数が多くなり 観察に時間がかかる 反転での生検が困難な場合がある レンズ面のくもり 汚れがとれにくい 吸引がしにくい 処置ができない 鼻腔が狭いと鼻出血を来したり scope を挿入できない場合がある 術者の労力

経鼻内視鏡の使用上での印象 OLYMPUS は鉗子孔から注射器で水を注入すると水が外に漏れやすい 富士の EG530NW は視野角が広くなったため 画面が非常に明るく画質が向上しているという印象を与える OLYMPUS の scope は硬め 富士は柔らかい OLYMPUS は NBI 併用で食道病変の描出能が向上する期待がある ( 富士の FICE はどうか )

EG530N2 EG530NW

EG530N2 EG530NW

経鼻内視鏡の検証 利点嘔吐反射が少ない 苦痛は本当にないのか? ( アンケートで検証 ) じっくり観察できる 経口でじっくり観察しにくい部位については有効当院での胃癌発見の実情を紹介繰り返し検査を受けてもらいやすい アンケートで検証検査中話ができる 実際は緊張されていて話をしない患者さんが多い

経鼻内視鏡の検証 欠点鼻の麻酔 アンケートで検証画質の問題 ( 食道 ) 経鼻 +NBIまたはFICE 検査時間等術者の労力病変発見 後述レンズ面のくもり 汚れ 少しの工夫反転で生検しにくい 新しい生検鉗子 (sumius) 吸引しにくい 処置ができない 仕方ない鼻出血 挿入不可 後述

当院での内視鏡検査に関する アンケート項目 アンケート 年齢 性別 基礎疾患 ( 肝疾患 虚血性心疾患 糖尿病 脳梗塞等 ) 経鼻 経口 鎮静剤の有無 苦痛の程度 (visual analogue scale で数値化 ) 以前経口で施行し 今回経鼻で施行した症例においてどちらが楽で 次回はどちらを選択するか 鼻痛 鼻出血の有無

内視鏡アンケート 対象 : 平成 22 年 6 月 ~ 平成 23 年 6 月に川口メディカルクリニックで施行した上部消化管内視鏡検査 1,104 件中アンケート施行計 514 件年齢平均 61.1 歳 (15 歳 ~90 歳 ) 経口 + 鎮静なし 71 例 ( 男 35 女 36) 経鼻 + 鎮静なし 265 例 ( 男 129 女 136) 経口 + 鎮静あり 138 例 ( 男 36 女 102) 経鼻 + 鎮静あり 40 例 ( 男 16 女 24)

アンケート結果 VAS 平均 経口 + 鎮静なし 3.01 経鼻 + 鎮静なし 3.2 経口 + 鎮静あり 2.12 経鼻 + 鎮静あり 1.8 :p<0.01

アンケート結果 以前経口で施行し 今回経鼻で施行 した症例において 次回はどちらを選択するか 152 例中 139 例 (91.3%) で経鼻を選択

アンケート結果 経口経験済みで経鼻内視鏡を施行した 152 例の VAS 平均値 2.91 経口未経験で経鼻内視鏡を施行した 113 例の VAS 平均値 3.57 P<0.05 これらの結果からは経鼻のみ経験している場合はあまり楽とは感じていないが 経口を経験している場合では経鼻は楽と感じる?

アンケート結果 鼻痛 鼻出血について 鎮静剤なしの265 例中 81 例 (30.6%) が少し 2 例 (0.8%) が強いと回答 鼻出血は回答のあった305 例中 8 例 (2.6%) で少量ありと回答

経鼻内視鏡の鼻出血と 抗血栓薬 アンケートで鼻出血について回答があった 305 例中 8 例 (2.6%) に鼻出血ありと回答あり そのうち抗血栓薬を服用中 ( 休薬せず ) に経鼻内視鏡を施行した 24 例中鼻出血がみられた症例は 1 例 (4.2%) 抗血栓薬は経鼻内視鏡での偶発症である鼻出血の増悪因子にはならない?

当院での経鼻内視鏡麻酔 -1 スプレー法 硝酸ナファゾリン ( プリビナ )0.25ml を各鼻へ噴霧 血圧測定をして高血圧がなければ ( 大体 150mmHg 以下が目安 )4% キシロカイン 3.6ml+ ボスミン 0.4ml を作成し 半量ずつ各鼻に噴霧 ( 噴霧は 2 回に分ける 3 分間隔で行う ) キシロカイン総量 144mg

当院での経鼻内視鏡麻酔 -2 スティック法内視鏡で両鼻を観察して 鼻腔の広がりの良い法を選ぶ仰臥位で 2% キシロカインゼリー 4ml を選択した鼻に注入最初は嚥下してもらう 12Fr. のネラトンカテーテルにキシロカインゼリーを塗布 8% キシロカインスプレーを噴霧アルコールをとばしてから鼻へ挿入 1.5 分後 18Fr. のネラトンを同様にして挿入 キシロカイン総量大体 150mg 程度

鼻麻酔のアンケート ( スプレーかスティックか ) 計 43 名うち 35 名が回答 ( 男性 21 名女性 14 名 ) 年齢 34 歳 ~85 歳平均 67.3 歳 前回スプレー法で麻酔 今回スティック法で麻酔し GIF 後アンケートを実施した どちらの麻酔が良かったか? スプレー法 : 5 名 (14.3%) スティック法 : 21 名 (60%) 同じ : 9 名 (25.7%)

経鼻内視鏡の苦痛の内容 鼻麻酔のアンケート項目に経鼻内視鏡の具体的な苦痛を選択してもらった ( 複数回答可 ) 選択項目は 鼻麻酔 鼻痛 咽頭痛 お腹の張り 腹痛 吐き気 その他

経鼻内視鏡の苦痛 項目 人数 鼻麻酔 6 鼻痛 10 咽頭痛 6 腹部膨満 8 腹痛 0 吐き気 8

経鼻内視鏡の画質 診断能 胃癌については経鼻 経口で発見頻度 には差がなく 胃癌の発見には問題ないという報告が多い 食道癌も差はないという報告はあるが 実際どうか? 画像強調観察併用が有用か?

当院の早期胃癌発見の実績 2010 年 6 月 ~2011 年 9 月経鼻内視鏡件数 764 件経口内視鏡件数 538 件胃癌発見総数 15 件そのうち早期癌 14 件早期癌のうち経鼻 12 件 (1.57%) 経口 2 件 (0.37%)

経鼻内視鏡施行 早期胃癌

経鼻内視鏡と画像強調観察 経鼻内視鏡単独での診断能 胃癌では経口と遜色ないと思われ 同様の報告も多い 食道癌についても最近は経鼻と経口で診断能に差はないという報告も散見されるが 胃癌よりも診断は難しい 画像強調観察の手段を併用したい 最近経鼻 +NBI 次いで経鼻 +FICE の報告が増えている

早期食道癌症例 白色光 NBI

N B I ( Narrow band imaging) ヘモグロビンに吸収されやすい 415nm と 540nm の狭帯域の光を照射して粘膜表層の毛細血管や表面構造をより豊かに表現する

NBI+ 拡大内視鏡による 食道の IPCL 分類

F I C E (Flexible spectrum imaging color enhance) 白色光を生体に当てて 得られた画像データの中から R,G,B 各々任意の波長を抽出 割り当てをして画像を再構築する

経鼻 +FICE 通常観察 FICE

EG530NW+sapiencia EG530WR2+advancia

経鼻内視鏡と経口内視鏡 経鼻内視鏡では癌の存在診断は十分可能であるが 癌の病変範囲 深達度等を診断する までの精査には至らない場合もある 病変範囲や深達度を調べるためのより詳細な所見は経口 拡大 NBI or FICE を併用する必要がある 経鼻と経口 ( 拡大 ) の役割分担

経鼻内視鏡の応用 イレウス管 ENBD 胆道鏡 食道狭窄例でのPEG 増設 大腸狭窄例でのscope 挿入 等

しげちゃん

ミンクリアについて 初めての散布するタイプの消化管蠕動抑制剤 上部消化管内視鏡検査時の使用のみ適応 製品化される前はハッカ油 + ソルビタンモノパルミタート + 蒸留水の作成を薬局に依頼していた ( 各病院の倫理委員会での認可が必要 )

ミンクリア使用の印象 前施設で調剤して使用していたミントオイルより透明 ミントの香りが弱い ミンクリア散布後の泡の付着 ミンクリア散布後の粘膜所見の変化 食道や十二指腸の蠕動を抑制させるにはどのように使用すれば良いか? 大腸にはどうか ( 保険適応になるのか )? 追加投与は OK か? 1 回投与量 ( シリンジサイズ ) の増加は可能か?

ミンクリア散布後の泡立ち

ミンクリア散布後の粘膜変化

十二指腸蠕動抑制効果の検証 ミンクリアを従来の胃前庭部で散布する群と 前庭部で 10ml 上十二指腸角付近で 10ml 散布する群で 十二指腸下行脚蠕動の比較 Vater 乳頭の観察のしやすさで評価した

十二指腸蠕動抑制効果の検証 ミンクリア胃前庭部のみ散布群 (A 群 ) ミンクリア胃 十二指腸分配散布群 (B 群 ) 十二指腸 Vater 乳頭の観察のしやすさを 3 段階で評価 1: ほとんど見えない 2: 少し見える 3: 十分見える

十二指腸蠕動抑制効果の検証 A 群 (20 例 37 歳 ~80 歳平均 64.4 歳男性 10 例女性 10 例経鼻 15 例経口 5 例 ) B 群 (16 例 48 歳 ~83 歳平均 69.75 歳男性 7 例女性 9 例経鼻 14 例経口 2 例 ) A 群のscore 平均 1.8 B 群のscore 平均 1.68 有意差なし

まとめ 当院でのアンケート調査では経鼻内視鏡は経口経験者で苦痛があった患者さんにとっては良いが 経験のない患者さんでは鎮静剤併用の方がはるかに楽という評価となっている 鼻麻酔はスプレー法よりもスティック法を希望されるケースが多い 苦痛の原因としては鼻痛 腹部膨満 嘔気 鼻麻酔の苦痛等がある 偶発症である鼻出血は抗血栓薬服用の有無では左右されない 経鼻内視鏡の画質の問題は OLYMPUS の NBI 富士の FICE 等の画像強調観察を活用することで補える可能性があるが 経鼻は病変発見のために活用し 精査は経口 拡大内視鏡の役割と考える

最後に

御清聴ありがとうございました