はじめに 学校を取り巻く環境は, 社会や経済の変化に伴い, より複雑化 多様化しており, 学校には, これまで以上に子供たちに対するきめ細かな対応が求められております また, 情報化やグローバル化といった社会の急速な変化が進む中, 知識を活用し, 協働して新たな価値を生み出せるよう, 主体的な学びを

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( 県 p9) (5) 私立学校におけるいじめに対する対応県の私立学校主管部局において 重大事態があった場合等に適切に対応できるよう 体制を整備する ( 国 p20 31) (5) 私立学校におけるいじめに対する対応県の私立学校主管部局において 所管する学校における定期的なアンケート調査 個人面談の

(4) 生徒 保護者 地域に対する情報発信 いじめ防止基本計画 及び学校評価結果 ( 生徒 保護者 教員対象アンケート ) を学校経営案や本校ホームページ等に掲載し その取組を広く情報発信する (5) いじめ事案への対応 資料 2 ア初動いじめが疑われる問題行動の情報が入った場合 直ちに当該学年団

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平成21年度 指定管理業務評価シート(様式)

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学校における働き方改革取組方針 ( 平成 30 年度 ~ 平成 32 年度 ) 平成 30 年 7 月 広島県教育委員会

はじめに 学校を取り巻く環境は, 社会や経済の変化に伴い, より複雑化 多様化しており, 学校には, これまで以上に子供たちに対するきめ細かな対応が求められております また, 情報化やグローバル化といった社会の急速な変化が進む中, 知識を活用し, 協働して新たな価値を生み出せるよう, 主体的な学びを促す教育も推進する必要があります これらの対応を進める中で, 教員の業務は多様化し, 拡大している状況がございます このため, 本県においては, 平成 23 年 1 月に業務改善プロジェクト チームを設置し, 教員のモチベーションの向上, 子供と向き合う時間の確保を目指し, 教員の負担軽減や学校の業務改善を図る取組を実施してまいりました こうした取組により, 一定の成果が見られる一方, 教員の長時間勤務の抜本的な解消には至っておりません 国を挙げて働き方改革に向けた動きが加速する中, 学校における働き方改革を更に推進するため, 県教育委員会では, この度, 総合的な取組方針を策定することといたしました 保護者や地域の方々の理解も得ながら, 本方針に基づき, 取組を進めていきたいと考えております 広島県教育委員会教育長平川理恵

< 目 次 > Ⅰ 策定に当たって... 1 1 取組方針策定の趣旨... 1 2 学校の業務改善に係る県教育委員会のこれまでの取組... 1 Ⅱ 目指す姿 県教育委員会及び県立学校の役割... 3 1 目指す姿... 3 2 県教育委員会及び県立学校の役割... 3 Ⅲ 期間 目標... 4 1 期間... 4 2 目標 成果指標... 4 Ⅳ 取組の柱... 4 Ⅴ 取組内容... 5 1 学校 教員が本来担うべき業務に専念できる環境の整備... 5 2 部活動指導に係る教員の負担軽減... 6 3 学校における組織マネジメントの確立... 6 4 教職員の働き方に対する意識の醸成... 7 Ⅵ フォローアップ 市町立学校に係る支援... 8 1 フォローアップ... 8 2 市町立学校に係る支援... 8

Ⅰ 策定に当たって 1 取組方針策定の趣旨 (1) 現状 課題教員は, 授業以外にも成績処理などの教務事務, 印刷や諸費会計などの事務的な業務, 部活動の指導等に多くの時間を割いている実態がある また, いじめなどの生徒指導上の課題の複雑化 多様化や, 地域や保護者等からの要望への対応など, 教員に求められる役割が拡大しており, こうした状況が教員の長時間勤務の要因となっていると考えられる これまで学校の業務改善に係る様々な取組を進めてきた結果, 平成 29 年度に業務改善モデル校を対象に実施したアンケート調査では, 2(3) のとおり, 一定の成果が見られたものの, 子供と向き合う時間 が確保できていると感じる教員の割合については, 目標値である 80% に到達していない また,2 割以上の教員が1 週間当たり 60 時間以上の勤務を行っており, 長時間勤務の抜本的な解消には至っていない状況にある 子供と向き合う時間 授業 授業準備 教材研究 部活動 個別指導など, 児童 生徒の指導に 関係のある業務に従事する時間 (2) 取組方針策定の趣旨こうした課題の解決に向けて, 本取組方針を策定し, 教員が働きやすい環境を整備するとともに, 管理職を中心とした組織的な学校体制を構築し, 教職員一人一人の働き方に対する意識を醸成して, 県立学校における働き方改革を推進する 2 学校の業務改善に係る県教育委員会のこれまでの取組 (1) 平成 22 年度 ~ 平成 26 年度平成 23 年 1 月に事務局内に業務改善プロジェクト チームを設置し, 学校に対する調査 照会の精選, 学校で行っている業務の見直し, 業務改善事例集 等の発行, 民間コンサルティング会社を活用した現状分析等を実施した 1

(2) 平成 27 年度 ~ 平成 29 年度学校の活性化によって教育の質を向上させ, また, 学びの変革 を円滑に推進するため, これらの環境づくりの一方策として, 業務改善を位置付け, 教員が高いモチベーションを保ち, 子供と向き合う時間が確保されている状態を目指すこととした 学校における業務改善の取組のPDCAサイクルの確立に向け, 平成 27 年度から3 年間, 業務改善モデル校を指定し, 各学校において, 推進体制を整備し, 定期的なアンケートによる現状分析を踏まえた業務改善策の検討 実施に取り組んだ また, 県教育委員会としても, 教員の業務を補助する教務事務支援員の配置, 管理職のマネジメントスキルの向上に向けた研修の開催等の支援を実施した (3) 業務改善モデル校における取組結果業務改善モデル校におけるアンケートでは, 次のとおり子供と向き合う時間が確保できていると感じる教員の割合が 16 ポイント上昇し, 教員の1 週間当たりの時間外 持ち帰りの時間数も 2.9 時間減少した 平成 27 年度 ~ 平成 29 年度の県立学校のデータ 1 子供と向き合う時間が確保できていると感じる教員の割合 ( 目標値 80%) 平成 27 年 5 月 :52.2% 平成 30 年 1 月 :68.2%(16 ポイント上昇 ) 第 1 回 (5 月 ) 第 2 回 (10 月 ) 第 3 回 (1 月 ) 平成 27 年度 52.2% 62.6% 64.7% 平成 28 年度 61.9% 65.4% 66.9% 平成 29 年度 66.0% 70.5% 68.2% 2 教員の1 週間当たりの時間外 持ち帰りの時間数 平成 27 年 5 月 :20.9 時間 平成 30 年 1 月 :18.0 時間 (2.9 時間減少 ) 第 1 回 (5 月 ) 第 2 回 (10 月 ) 第 3 回 (1 月 ) 平成 27 年度 20.9 時間 21.1 時間 20.4 時間 平成 28 年度 21.4 時間 21.6 時間 19.8 時間 平成 29 年度 19.7 時間 19.0 時間 18.0 時間 2

3 持ち帰り時間を除いた教員の1 週間当たりの勤務時間が 60 時間 ( 月当 たりでは, 時間外勤務が約 80 時間 ) 以上の者の割合 平成 27 年 5 月 :30.5% 平成 30 年 1 月 :21.0%(9.5 ポイント減少 ) 第 1 回 (5 月 ) 第 2 回 (10 月 ) 第 3 回 (1 月 ) 平成 27 年度 30.5% 29.7% 29.1% 平成 28 年度 31.4% 31.9% 27.1% 平成 29 年度 25.8% 24.0% 21.0% Ⅱ 目指す姿 県教育委員会及び県立学校の役割 1 目指す姿 本方針に基づいた取組を進めることにより, 学びの変革 の円滑な実施, 学習指導要領の改訂や新たな教育課題等へ適切に対応できる学校体制を構築し, 教員の子供と向き合う時間を確保することで教育の質の向上を図る また, 教員以外も含めた学校全体の長時間勤務を縮減し, 一人一人が健康で生き生きとやりがいをもって勤務できる環境づくりを推進する 2 県教育委員会及び県立学校の役割 (1) 県教育委員会本方針を基に, 業務改善プロジェクト チームにおいて, 県立学校における教職員の働き方改革に向けた取組を検討 実施するとともに, 知事部局や関係機関等との連携を図る (2) 県立学校校長をはじめとした管理職のリーダーシップの下, 本方針に基づき, 教職員の共通理解を図った上で, 教職員の働き方改革に向けた取組を実施する 3

Ⅲ 期間 目標 1 期間 平成 30 年度 ~ 平成 32 年度 2 目標 成果指標 学校全体の働き方改革を進めることとするが, これまでの業務改善モデル校における取組結果等を踏まえ, 目標 成果指標としては, 教員の 子供と向き合う時間の確保 及び 長時間勤務の縮減 について, 設定する (1) 子供と向き合う時間の確保 子供と向き合う時間が確保されていると感じる教員の割合が,80% 以 上となることを目指す (2) 長時間勤務の縮減時間外勤務が月 80 時間を超える教員が,0 人となることを目指す ( 目標の達成に向けた取組を実施することで, 学校全体の長時間勤務の縮減も図る ) Ⅳ 取組の柱 上記の目標を達成するため, 次の 4 つの視点を柱として取組を推進 学校 教員が本来担うべき業務に専念できる環境の整備 部活動指導に係る教員の負担軽減 学校における組織マネジメントの確立 教職員の働き方に対する意識の醸成 4

Ⅴ 取組内容 1 学校 教員が本来担うべき業務に専念できる環境の整備 (1) スクール サポート スタッフの配置教員の業務を補助するスクール サポート スタッフを引き続き配置するとともに, 更なる充実に向けた検討を進める (2) 校務支援システム等 ICTの活用促進生徒の学籍, 出欠, 成績, 保健などの情報を統合的に管理する校務支援システムについて, 効率的な運用を図る また,ICT 機器を活用した業務の効率化について, 検討を進める (3) 各種計画, 事業, 調査 照会等の見直しア学校が作成する各種計画や県教育委員会が実施する各種事業, 調査 照会等を見直し, 精選や簡素化を図る イ新たな業務を付加する場合には, 過度な負担とならないよう配慮する (4) 研修の見直し等 教員の負担軽減の視点も踏まえた効果的な研修の在り方や実施時期な どの見直しを進めるとともに, 報告書等の簡素化を図る (5) 教材 指導案等の共有化 学校において教材 指導案等の共有化を進めるとともに, 全県的な教 材 指導案等の共有の仕組みづくりと内容の充実を図る (6) 支援が必要な子供 家庭への対応子供を取り巻く様々な課題等に対応するため, スクールカウンセラー, スクールソーシャルワーカー等の専門スタッフの配置や弁護士, 精神科医等の専門家チームの派遣など支援の充実を図る (7) 学校 教員が担う業務の整理, 家庭 地域との連携の推進 ア学校や教員が担う業務について, 役割分担や外部委託等, 業務の在り 方の検討を進める 5

イ部活動や勤務時間外の電話対応などに係る教員の負担軽減など, 保護者の理解を得た上で取組を推進する ウコミュニティ スクールなど, 学校が地域住民や保護者と教育目標を共有し, 組織的 継続的な連携を可能とする 地域とともにある学校づくり を進める 2 部活動指導に係る教員の負担軽減 (1) 運動部活動の方針 を踏まえた学校における活動方針の策定 徹底ア県教育委員会が策定した方針を踏まえ, 学校において, 運動部活動の方針を策定するとともに, 方針に基づいた部活動休養日や活動時間の徹底を図る イ文化部については, 今後策定予定の国のガイドラインを踏まえて方針を策定することとし, 当面は, 運動部活動の方針を準用して取り組む (2) 外部人材を活用した取組ア専門的な技術指導ができる外部指導者の派遣を行う イ部活動の指導, 引率等を行う部活動指導員の活用など運営体制の充実に向けた検討を進める (3) 外部団体等との連携 大会等の統廃合や大会運営の見直し等を関係機関 関係団体に働きか ける また, 各団体の上部団体への働きかけを国に要請する (4) 効果的な練習方法等の研修の実施 短時間でより効果的な練習方法等について, 研修を実施する 3 学校における組織マネジメントの確立 (1) 学校における自律的な業務改善 業務削減の推進ア学校経営計画に業務改善や教職員の働き方に関する項目を設定し, 管理職はその目標 方針に沿って学校経営を行う また, 学校関係者評価を実施し, 外部の視点を踏まえた取組の改善 充実を図る 6

イ校内の推進体制を整備した上で, PDCAサイクルに基づく業務改善 業務削減の取組を全校で進める ウ教職員一人一人の業務改善の意識を高めるために, 人事評価制度において, 各教職員が実施した担当業務の適正化の取組を積極的に評価するなど, 評価の活用を推進する エ学校に設置されている様々な委員会等について, 類似の内容を扱う委員会等の合同設置や構成員の統一など, 業務の適正化に向けた運用を徹底する (2) マネジメント研修の充実管理職及びミドル層に対する研修や専門研修等において, 教職員の組織管理や時間管理, 健康安全管理等をはじめとしたマネジメントに関する研修を実施し, マネジメントスキルの向上を図る (3) 教頭及び事務長等への専決事項の拡大 学校における意思決定の迅速化, 事務の効率化のため, 教頭, 事務長 等の専決事項の拡大等を検討する (4) 連絡会議の開催学校における働き方改革の推進に向け, 各学校の業務改善推進担当者等を集めた連絡会議を開催し, 実践事例等に係る情報共有, 改善策に係る協議等を実施する 4 教職員の働き方に対する意識の醸成 (1) 学校における勤務時間管理の徹底ア教職員の健康管理や長時間勤務の縮減に向け, 平成 30 年 4 月から運用開始した 県立学校教職員勤務時間管理システム により, 教職員の勤務時間を把握し, 適正な勤務時間管理を行う イ管理職は, 把握した勤務時間を踏まえて, 教職員と面談を行い, 必要に応じて保健管理医との面談を勧めるなど教職員の健康管理に努める また, ストレスチェック制度等を活用し, 教職員のセルフケアなどの取組を促すとともに, 職場のストレス要因の軽減を図る 7

ウ各学校で教職員の入退校に係る開錠 施錠時刻の目安を設定すること や, 教職員が自ら退校予定時刻を毎日設定することなどを通じて, 長時 間勤務の改善に向けた時間管理の意識改革に取り組む (2) 学校における定時退校日の推進 1 週間のうち平日 1 日は, 部活動休養日と併せた定時退校日を設定し, 教職員のワーク ライフ バランスを推進する (3) 一斉閉庁期間の設定ア 8 月のいわゆるお盆前後の3 日間を夏季一斉閉庁日とする イ一斉閉庁の期間の延長や夏季以外の長期休業期間中における閉庁期間の設定について検討する (4) 教職員全体に対する働き方改革に関する研修の実施管理職のみならず学校の教職員全体に対しても, 勤務時間を意識した働き方を浸透させるために, 県教育委員会主催の研修において, 働き方に関する内容の充実を検討する Ⅵ フォローアップ 市町立学校に係る支援 1 フォローアップ 取組の着実な実行を図るため, 勤務実態の調査や毎年度の取組の検証を行うとともに, 学校の状況や国の動向等を踏まえ, 随時方針の見直しを行う 2 市町立学校に係る支援 市町教育委員会に対し, 所管の学校における働き方改革の取組方針を策定するよう促すとともに, 市町立学校における教職員の働き方改革の推進に向け, 必要な支援を実施する 8