認定看護師教育基準カリキュラム

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認定看護師教育基準カリキュラム

(目的)

介護における尊厳の保持 自立支援 9 時間 介護職が 利用者の尊厳のある暮らしを支える専門職であることを自覚し 自立支援 介 護予防という介護 福祉サービスを提供するにあたっての基本的視点及びやってはいけ ない行動例を理解している 1 人権と尊厳を支える介護 人権と尊厳の保持 ICF QOL ノーマ

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「手術看護を知り術前・術後の看護につなげる」

高齢化率が上昇する中 認定看護師は患者への直接的な看護だけでなく看護職への指導 看護体制づくりなどのさまざまな場面におけるキーパーソンとして 今後もさらなる活躍が期待されます 高齢者の生活を支える主な分野と所属状況は 以下の通りです 脳卒中リハビリテーション看護認定看護師 脳卒中発症直後から 患者の

摂食嚥下訓練 排泄訓練等を開始します SCU で行うリハビリテーションの様子 ROM 訓練 ( 左 ) と端坐位訓練 ( 右 ) 急性期リハビリテーションプログラムの実際病棟訓練では 病棟において坐位 起立訓練を行い 坐位耐久性が30 分以上となればリハ訓練室へ移行します 訓練室訓練では訓練室におい

認定看護師教育基準カリキュラム改正(案)の概要

脳卒中に関する留意事項 以下は 脳卒中等の脳血管疾患に罹患した労働者に対して治療と職業生活の両立支援を行うにあ たって ガイドラインの内容に加えて 特に留意すべき事項をまとめたものである 1. 脳卒中に関する基礎情報 (1) 脳卒中の発症状況と回復状況脳卒中とは脳の血管に障害がおきることで生じる疾患

9(1) 介護の基本的な考え方 9() 介護に関するこころのしくみの基礎的理解 9() 介護に関するからだのしくみの基礎的理解 9(4) 生活と家事 5 9(5) 快適な居住環境整備と介護 9(6) 整容に関連したこころとからだのしくみと自立に向けた介護 4 4 理論と法的根拠に基づき介護を行うこと

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平成 28 年 10 月 17 日 平成 28 年度の認定看護師教育基準カリキュラムから排尿自立指導料の所定の研修として認めら れることとなりました 平成 28 年度研修生から 排泄自立指導料 算定要件 施設基準を満たすことができます 下部尿路機能障害を有する患者に対して 病棟でのケアや多職種チーム

リハビリテーションを受けること 以下 リハビリ 理想 病院でも自宅でも 自分が納得できる 期間や時間のリハビリを受けたい 現実: 現実: リ ビリが受けられる期間や時間は制度で リハビリが受けられる期間や時間は制度で 決 決められています いつ どこで どのように いつ どこで どのように リハビリ

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脳卒中の医療連携体制を担う医療機関等における実績調査 調査内容 平成 28 年度の実績 ( 調査内容は別紙様式のとおり ) 別紙 1: 急性期の医療機能を有する医療機関用別紙 2: 急性期及び回復期の医療機能を有する医療機関用別紙 3: 回復期の医療機能を有する医療機関用別紙 4: 維持期の医療機能

3) 適切な薬物療法ができる 4) 支持的関係を確立し 個人精神療法を適切に用い 集団精神療法を学ぶ 5) 心理社会的療法 精神科リハビリテーションを行い 早期に地域に復帰させる方法を学ぶ 10. 気分障害 : 2) 病歴を聴取し 精神症状を把握し 病型の把握 診断 鑑別診断ができる 3) 人格特徴

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(目的)

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また リハビリテーションの種類別では 理学療法はいずれの医療圏でも 60% 以上が実施したが 作業療法 言語療法は実施状況に医療圏による差があった 病型別では 脳梗塞の合計(59.9%) 脳内出血 (51.7%) が3 日以内にリハビリテーションを開始した (6) 発症時の合併症や生活習慣 高血圧を

平成 28 年度診療報酬改定情報リハビリテーション ここでは全病理に直接関連する項目を記載します Ⅰ. 疾患別リハビリ料の点数改定及び 維持期リハビリテーション (13 単位 ) の見直し 脳血管疾患等リハビリテーション料 1. 脳血管疾患等リハビリテーション料 (Ⅰ)(1 単位 ) 245 点 2

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3 介護の基本 2 介護職の職業倫理 講師名資格等 兼任 瀬口知子 教員免許福祉 看護 有里さつき 教員免許福祉 看護 宮 ゆかり 教員免許福祉 3 介護の基本 3 介護における安全の確保とリスクマネジメント 教員免許福祉 瀬口知子 教員免許福祉 看護 有里さつき 教員免許福祉 看護 宮 ゆかり 教

このような現状を踏まえると これからの介護予防は 機能回復訓練などの高齢者本人へのアプローチだけではなく 生活環境の調整や 地域の中に生きがい 役割を持って生活できるような居場所と出番づくりなど 高齢者本人を取り巻く環境へのアプローチも含めた バランスのとれたアプローチが重要である このような効果的

124 皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症

科目名

124 皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症 概要 1. 概要皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症 (Cerebral Autosomal Dominant Arteriopathy with Subcortical Infarct and Leukoencephalopathy

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リハビリテーション歩行訓練 片麻痺で歩行困難となった場合 麻痺側の足にしっかりと体重をかけて 適切な刺激を外から与えることで麻痺の回復を促進させていく必要があります 麻痺が重度の場合は体重をかけようとしても膝折れしてしまうため そのままでは適切な荷重訓練ができませんが 膝と足首を固定する長下肢装具を

「手術看護を知り術前・術後の看護につなげる」

3 病型別 初発再発別登録状況病型別の登録状況では 脳梗塞の診断が最も多く 2,524 件 (65.3%) 次いで脳内出血 868 件 (22.5%) くも膜下出血 275 件 (7.1%) であった 初発再発別の登録状況では 初発の診断が 2,476 件 (64.0%) 再発が 854 件 (22

Clinical Indicator 2016 FUNABASHI MUNICIPAL REHABILITATION HOSPITAL

7 対 1 10 対 1 入院基本料の対応について 2(ⅲ) 7 対 1 10 対 1 入院基本料の課題 将来の入院医療ニーズは 人口構造の変化に伴う疾病構成の変化等により より高い医療資源の投入が必要となる医療ニーズは横ばいから減少 中程度の医療資源の投入が必要となる医療ニーズは増加から横ばいにな

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系統看護学講座 クイックリファレンス 2012年 母性看護学

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老年看護学実習

復習問題

2 片脚での体重支持 ( 立脚中期, 立脚終期 ) 60 3 下肢の振り出し ( 前遊脚期, 遊脚初期, 遊脚中期, 遊脚終期 ) 64 第 3 章ケーススタディ ❶ 変形性股関節症ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

3 介護の基本 (6 時間 ) 項目名 時間数 講義内容及び演習の実施方法 1 介護職の役割 専門性と多 職種との連携 各介護現場での介護職の役割を理解する 地域包括支援センター創設 の背景からチームアプローチの意味を理解する 家族による介護と専門職による介護の相違点を挙げながら 介護の専門性を理解

資料4 学士課程においてコアとなる看護実践能力と卒業時到達目標

4. 構成実習内容 実習時間 単位 実習場所 成人 Ⅰ 90 時間 2 単位 横浜新都市脳神経外科病院横浜旭中央総合病院東戸塚記念病院 菊名記念病院

SBOs- 3: がん診断期の患者の心身の特徴について述べることができる SBOs- 4: がん治療期 ; 化学療法を受けている患者の心身の特徴について述べることができる SBOs- 5: がん治療期 ; 放射線療法を受けている患者の心身の特徴について述べることができる SBOs- 6: がん治療期

3. 臨地実習 臨地実習時間数は 0 時間とした

看護師のクリニカルラダー ニ ズをとらえる力 ケアする力 協働する力 意思決定を支える力 レベル Ⅰ 定義 : 基本的な看護手順に従い必要に応じ助言を得て看護を実践する 到達目標 ; 助言を得てケアの受け手や状況 ( 場 ) のニーズをとらえる 行動目標 情報収集 1 助言を受けながら情報収集の基本

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認知症医療従事者等向け研修事業要領

地域包括ケア病棟 緩和ケア病棟 これから迎える超高齢社会において需要が高まる 高齢者救急に重点を置き 地域包括ケア病棟と 緩和ケア病棟を開設いたしました! 社会福祉法人 恩賜財団済生会福岡県済生会八幡総合病院

看護部 : 教育理念 目標 目的 理念 看護部理念に基づき組織の中での自分の位置づけを明らかにし 主体的によりよい看護実践ができる看護職員を育成する 目標 看護職員の個々の学習ニーズを尊重し 専門職業人として成長 発達を支援するための教育環境を提供する 目的 1 看護専門職として 質の高いケアを提供

褥瘡発生率 JA 北海道厚生連帯広厚生病院 < 項目解説 > 褥瘡 ( 床ずれ ) は患者さまのQOL( 生活の質 ) を低下させ 結果的に在院日数の長期化や医療費の増大にもつながります そのため 褥瘡予防対策は患者さんに提供されるべき医療の重要な項目の1 つとなっています 褥瘡の治療はしばしば困難

図表 リハビリテーション評価 患 者 年 齢 性 別 病 名 A 9 消化管出血 B C 9 脳梗塞 D D' E 外傷性くも幕下出血 E' 外傷性くも幕下出血 F 左中大脳動脈基始部閉塞 排尿 昼夜 コミュニ ケーション 会話困難 自立 自立 理解困難 理解困難 階段昇降 廊下歩行 トイレ歩行 病

透析看護の基本知識項目チェック確認確認終了 腎不全の病態と治療方法腎不全腎臓の構造と働き急性腎不全と慢性腎不全の病態腎不全の原疾患の病態慢性腎不全の病期と治療方法血液透析の特色腹膜透析の特色腎不全の特色 透析療法の仕組み血液透析の原理ダイアライザーの種類 適応 選択透析液供給装置の機能透析液の組成抗

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目次 1. 本指針の目的 1 2. 患者の問題点 障害の捉え方 対応の原則 2 3. あり方の全体像 ~ 業務プロセス オーバービュー ~ 1) オーバービューとは 3 2) オーバービューの構成 3 4. 多職種協働のポイント 5 1) 入院判定 5 2) 入院初日の流れ 5 3) カンファレンス

科目 2 介護における尊厳の保持 自立支援 (9 時間 ) 到達目標 評価のポイント介護職が 利用者の尊厳のある暮らしを支える専門職であることを自覚し 自立支援 介護予防という介護 福祉サービスを提供するにあたっての基本的視点及びやってはいけない行動等を理解している 介護の目標や展開について 尊厳の

NAGOYA EKISAIKAI HOSPITAL 名古屋掖済会病院

3 病型別 初発再発別登録状況病型別の登録状況では 脳梗塞合計が最も多く 3,200 件 ( 66.7%) 次いで脳内出血 1,035 件 (21.6%) くも膜下出血 317 件 ( 6.6%) であった 初発再発別の登録状況では 初発の診断が 3,360 件 (70.1%) 再発が 1,100

添削指導及び面接指導の指導方法書 1 添削指導 (1) 添削指導の進め方ア ) 指導の回数 9 回イ ) 課題の配布第 1 日目 ( スクーリング ) に全 9 回分を配布ウ ) 回答の提出期限指定通学日 ( スクーリング ) の当日まで提出する エ ) 評価方法提出された課題は 添削責任者の指導の

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事業者名称 ( 事業者番号 ): 地域密着型特別養護老人ホームきいと ( ) 提供サービス名 : 地域密着型介護老人福祉施設 TEL 評価年月日 :H30 年 3 月 7 日 評価結果整理表 共通項目 Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織 1 理念 基本方針

地域医療連携パスの概念

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1 発達とそのメカニズム 7/21 幼児教育 保育に関する理解を深め 適切 (1) 幼児教育 保育の意義 2 幼児教育 保育の役割と機能及び現状と課題 8/21 12/15 2/13 3 幼児教育 保育と児童福祉の関係性 12/19 な環境を構成し 個々 1 幼児期にふさわしい生活 7/21 12/

統合失調症患者の状態と退院可能性 (2) 自傷他害奇妙な姿勢 0% 20% 40% 60% 80% 100% ないない 0% 20% 40% 60% 80% 100% 尐ない 中程度 高い 時々 毎日 症状なし 幻覚 0% 20% 40% 60% 80% 100% 症状

Clinical Indicator 2017 FUNABASHI MUNICIPAL REHABILITATION HOSPITAL

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2018 年 3 月 15 日 株式会社千早ティー スリー 代表取締役谷口仁志 平成 30 年度診療報酬改定における重症度 医療 看護必要度関連の変更について 拝啓時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます さて 平成 30 年度診療報酬改定における施設基準等が 3 月 5 日に公開され 重症度

患者学講座第1講「医療と社会」

01 表紙

健康な生活を送るために(高校生用)第2章 喫煙、飲酒と健康 その2

表. 認定看護師認定更新者活動状況調査分野別調査対象及び回収状況 配布数 回収数更新 回目更新 回目更新回数不明計 回収率 (%) 救急看護 8 0. 皮膚 排泄ケア 集中ケア 8. 緩和ケア.0 がん化学療法看護. がん性疼痛看護 感染管理.9 糖尿病看護 0.0 不妊症看

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45101 看護学入門 1. 看護とは何かについて 定義 理念 役割から説明することができる 2. 看護の対象としての人間について説明することができる 3. 看護の提供のしくみ 看護の専門職として条件について説明することができる 4. サービス業としての看護について考え方を述べることができる 5.

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実務者研修 ( シラバス ) 鹿児島介護福祉アカデミー ウェルフェア 科目名 人間の尊厳と自立 到達目標 〇尊厳の保持 自立 自立の支援 ノーマライゼーション 利用者のプライバシーの保護 権利擁護など 介護の基本的な概念を理解している 項目名 人間の多面的な理解と尊厳 自立 自律の支援 人権と尊厳

岸和田徳洲会病院 当院では以下の研究に協力し情報を提供しております この研究は 国が定めた指針に基づき 対象となる患者さまのお一人ずつから直接同意を得るかわりに 研究の目的を含む研究の実施についての情報を公開しています 研究結果は学会等で発表されることがありますが その際も個人を特定する情報は公表し

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5. 死亡 (1) 死因順位の推移 ( 人口 10 万対 ) 順位年次 佐世保市長崎県全国 死因率死因率死因率 24 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 位 26 悪性新生物 350

脳循環代謝第20巻第2号

実務研修(研修記録シート)【茨城県社協版】

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平成26年度診療報酬改定 <リハビリテーション>

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2 脳卒中の医療連携体制 (1) 現状ア死亡の状況 十勝圏域では 平成 28 年に男性 142 人 女性 144 人 計 286 人が脳血管疾患を原因として死亡しており 死亡数全体の 7.4%( 全国 8.3% 全道 8.0%) を占め 死因の第 3 位となっています ( 図 1) 図 1 十勝圏域

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回数テーマ学習内容学びのポイント 2 過去に行われた自閉症児の教育 2 感覚統合法によるアプローチ 認知発達を重視したアプローチ 感覚統合法における指導段階について学ぶ 自閉症児に対する感覚統合法の実際を学ぶ 感覚統合法の問題点について学ぶ 言語 認知障害説について学ぶ 自閉症児における認知障害につ

脳血管疾患による長期入院者の受診状況~レセプトデータによる入院前から退院後5年間の受診の分析

4 介護 福祉サービスの理解と医療との連携 介護 福祉サービスの理解と医療との連携 3 1. 介護保険制度 (1) 介護保険制度創設の背景及び目的 動向 ケアマネジメント 予防重視型システムへの転換 地域包括支援センターの設置 地域包括ケアシステムの推進 () 仕組みの基礎的理解 保険制度としての基

1 保健事業実施計画策定の背景 北海道の後期高齢者医療は 被保険者数が増加し 医療費についても増大している 全国的にも少子高齢化の進展 社会保障費の増大が見込まれる このような現状から 一層 被保険者の健康増進に資する保健事業の実施が重要となっており 国においても 保健事業実施計画 ( データヘルス

能登における脳卒中地域連携

2 年次 以降 : 授業開始は 2 週目 ~ 平成 30 年度看護学専攻 ( 研究者育成コース ) 時間割 10:30-12:00 特別研究特別研究特別研究 特別研究特別研究特別研究特別研究 特別研究特別研究 特別研究 特別研究については 担当教員と相談の上決定する 修士課程 ( 医科学獣医科学専攻

クリニカルインディケーター 2017 の刊行にあたって 当院は開院以来 重症者にも対応できる医療 リハケア体制の整備 スタッフの量的および質的充実に向けた教育 研修体制の構築 チームアプローチの徹底や情報共有の強化 急性期病院および地域医療 介護との連携推進 生活 期リハの充実等 様々な取り組みを組

HSR第15回 勉強会資料

サービス担当者会議で検討し 介護支援専門員が判断 決定するものとする 通所系サービス 栄養改善加算について問 31 対象となる 栄養ケア ステーション の範囲はどのようなものか 公益社団法人日本栄養士会又は都道府県栄養士会が設置 運営する 栄養士会栄養ケア ステーション に限るものとする 通所介護

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認定看護師教育基準カリキュラム 分野 : 脳卒中リハビリテーション看護平成 27 年 4 月改正平成 28 年 7 月下線部追記 ( 目的 ) 1. 脳卒中患者およびその家族に対し QOL 向上を目指して 熟練した脳卒中リハビリテーション看護技術を用いた水準の高い看護実践ができる能力を育成する 2. 脳卒中患者およびその家族の看護において 看護実践を通して他の看護職者に対して指導ができる能力を育成する 3. 脳卒中患者およびその家族の看護において 看護実践を通して他の看護職者に対して相談対応 支援ができる能力を育成する ( 期待される能力 ) 1. 脳卒中急性期患者の脳組織への影響に対する臨床判断を的確に行い 病態の重篤化回避のためのモニタリングとケアが実 践できる 2. 脳卒中患者の急性期 回復期 維持期 ( 生活期 ) において 一貫した生活再構築のプロセス管理と セルフケア能力を高 めるための計画的な回復支援ができる 3. 脳卒中患者の機能障害に対して 急性期から病態に応じた活動性維持 促進のため 早期から廃用症候群予防を実践し 適切な早期リハビリテーション看護を実践できる 4. 脳卒中患者の高次脳機能障害が日常生活に及ぼす影響を予測し 生活の再構築のためのケアが実践できる 5. 脳卒中の発症 再発作予防のための健康管理について 患者及び家族に対して指導することができる 6. 脳卒中患者 家族の権利を擁護し 自己決定を尊重した看護を実践できる 7. より質の高い医療と地域連携を推進するため 多職種と協働し チームの一員として役割を果たすことができる 8. 脳卒中リハビリテーション看護の役割モデルを示し 看護職者への指導 相談対応を行うことができる 教科目内容時間数 共通科目 < 必須 > 1. 看護管理 2. リーダーシップ 3. 情報管理 4. 看護倫理 5. 指導 6. 相談 7. 文献検索 文献講読 8. 臨床薬理学 9. 医療安全管理 < 選択 > 10. 対人関係 * 共通科目 : 教科目のねらい 参照 小計 135 小計 当該分野では 臨床薬理学 医療安全管理 を必須とする 計 135(+) 脳卒中リハビリテーション看護 1

1. 脳卒中リハビリテーション看護概論 1) 脳卒中リハビリテーション看護の目標 対象 機能と特徴を知り 脳卒中リハビリテーション看護認定看護師の役割について理解できる 2)ICF(International Classification of Functioning, Disability and health) の概念に基づき障害を説明できる 3) 脳卒中における保健医療福祉の変遷と課題について理解できる 4) 脳卒中の医療制度 ( 診療報酬を含む ) を理解できる 5) 脳卒中リハビリテーション看護における看護倫理を理解できる 6) 脳卒中リハビリテーション看護におけるチーム医療を理解できる 1) 脳卒中リハビリテーション看護認定看護師の目標 対象 機能と役割 2)ICF(International Classification of Functioning, Disability and health) の概念と障害 3) 日本における脳卒中の動向 ( 人口動態調査 患者調査など ) 4) 脳卒中の保健医療福祉の変遷と課題 5) 脳卒中における医療制度と診療報酬 6) 脳卒中リハビリテーション看護における看護倫理 (1) 尊厳ある意思決定への支援 (2) 自尊心を重視した支援 7) 脳卒中リハビリテーション看護におけるチーム医療 (1) 多職種の専門性と役割 (2) チーム医療と多職種との協働 連携 (3) 他機関との連携 専門基礎科目 2. 脳卒中の病態生理と診断および治療 1) 脳と神経の正常な構造 機能とその障害のメカニズムについて理解できる 2) 脳梗塞 脳出血 くも膜下出血等の病態生理 診断および治療を理解できる 3) 重篤化回避のための急性期の意識 呼吸 循環 代謝管理と頭蓋内圧亢進予防管理 意識障害 呼吸障害 急性期合併症予防を理解できる 4) 脳卒中領域で使用される様々な薬剤の薬理作用を理解し 適切な薬剤の管理と効果および副作用の判断や相互作用について理解できる 1) 脳と神経の構造とメカニズム (1) 頭蓋内の構造 ( 大脳 間脳 脳幹 小脳 脳神経 脊髄 血管 脳室 脳脊髄液 ) とメカニズム (2) 中枢神経系と末梢神経系の構造とメカニズム (3) 頭蓋内圧とその亢進のメカニズム ( 脳ヘルニア 脳浮腫を含む ) 2) 脳卒中の分類と病態生理 診断および治療の理解 (1) 脳梗塞 ( 一過性脳虚血性発作含む ) (2) 脳出血 (3) くも膜下出血 (4) その他の脳血管障害 ( 脳動静脈奇形 もやもや病など ) 3) 脳卒中重篤化回避のための病態生理の理解と管理 (1) 脳卒中急性期の意識 呼吸 循環 代謝管理と頭蓋内圧亢進予防管理 (2) 脳ヘルニアによる意識障害と呼吸障害の管理 (3) その他の意識障害の管理 (4) 急性期合併症の管理 4) 脳卒中領域で用いられる薬物治療 (1) 薬物動態 (2) 脳卒中領域で用いられる主な薬剤 1 鎮静 鎮痛薬 2 血管作動薬 3 抗凝固 抗血小板薬等 4 頭蓋内圧降下薬 45 脳卒中リハビリテーション看護 2

専門基礎科目 3. 脳卒中機能障害とその評価 1) 脳神経系に関連するフィジカルイグザミネーション ( 感覚 / 運動機能 呼吸機能 循環機能 栄養 / 代謝機能 排泄機能 12 脳神経 ) を理解し アセスメントできる 2) 脳卒中による障害発生メカニズムを理解できる 3) 脳卒中における脳 / 神経機能のアセスメントについて理解できる 1) 脳神経系に関連するフィジカルアセスメント (1) 脳神経に関連するフィジカルイグザミネーションと基本的手技 ( 感覚 / 運動機能 呼吸機能 循環機能 栄養 / 代謝機能 排泄機能 ) (2)12 脳神経のフィジカルイグザミネーションと基本的手技 ( 第 Ⅰ~ 第 Ⅻ 脳神経 ) (3) 情報からのアセスメント 2) 脳卒中による障害発生メカニズム (1) 意識障害と呼吸障害 1 意識障害の種類とその鑑別 2 せん妄 認知症 高次脳機能障害の鑑別 3 異常呼吸の種類とその鑑別 (2) 運動障害 1 片麻痺 痙縮 固縮 筋萎縮 運動失調 反射 疼痛 姿勢制御など 2 歩行 移動に関する特徴的な動き (3) 高次脳機能障害失認 失行 注意障害 記憶障害 情動障害 遂行機能障害 (4) 摂食嚥下障害球麻痺 偽性球麻痺 (5) 排泄障害神経因性膀胱 (6) 言語障害失語症 構音障害 (7) 感覚障害表在感覚障害 感覚乖離 3) 脳卒中における脳 / 神経機能のアセスメント (1) 意識評価 (JCS/GCS) (2) 脳卒中総合評価 (NIHSS) (3) 脳卒中後機能障害評価 (Brunnstrom stage Ashworth scale) (4) 認知機能評価 (5) 日常生活の評価 (FIM Barthel Index) (6) 脳卒中の転帰の重症度評価 (modified Rankin Scale) (7) 心理状態の評価 ( うつ 意欲低下 無関心など ) (8) 失語症評価 (SLTA) (9) 失行評価 (10) 失認評価 (11) 摂食嚥下評価 45 脳卒中リハビリテーション看護 3

専門基礎科目 4. 脳卒中患者 家族の理解 1) 脳卒中発症が患者 家族にもたらす影響や脳卒中患者 家族が抱えるストレス等について 理論に基づき理解できる 1) 患者 家族の理解のための諸理論 (1) 危機理論 (2) ストレス理論 (3) 価値転換理論 ( 障害受容 ) (4) 学習理論 (5) セルフケア理論 (6) 適応理論 (7) 看護に活用できる心理 社会的理論 1 社会認知理論 2 レジリエンス 3 エンパワメント 4 セルフエフィカシー 5 発達理論 (8) 家族理論 30 小計 135 脳卒中リハビリテーション看護 4

専門科目 1. 脳卒中急性期重篤化回避の支援技術 1) 脳卒中発症後急性期の頭蓋内圧亢進を回避し 回復へつなげるための臨床判断を行い 重篤化回避のための支援を実践できる 2) 脳卒中発症後急性期における重篤化回避のためのモニタリングを実践できる 3) 急性期合併症予防支援技術を理解し実践できる 4) 急性期から開始する廃用症候群予防技術を理解し実践できる 5) 脳卒中患者とその家族に対する看護ケアと判断に関する説明責任について理解できる 1) 脳卒中発症後急性期管理 (1) 発症から回復へのプロセス管理 (2) 重篤化回避と臨床判断 2) 重篤化回避のために厳密なモニタリングが必要な状況とケア (1) 急激な頭蓋内圧亢進と脳浮腫 (2) 人工呼吸器装着と離脱時 (3) 脳卒中の周術期 ( 開頭術 脳血管内治療 脳室 脳槽ドレナージ ) (4) 脳梗塞の rt-pa 治療 (5) くも膜下出血の再破裂と脳血管攣縮の予防 3) 急性期合併症予防の支援技術 (1) 意識 神経障害とケア (2) 呼吸障害とケア ( 誤嚥性肺炎 窒息予防を含む ) (3) 循環障害とケア ( 深部静脈血栓予防を含む ) (4) 栄養管理とケア (5) 体液管理とケア 4) 急性期から始める廃用症候群予防技術 (1) 体圧調整とポジショニング ( 車椅子含む ) (2) 呼吸リハビリテーション (3) 座位耐性訓練 (4) 背面開放座位訓練 (5) 関節可動域維持訓練 ( 整髪動作訓練を含む ) (6) 筋力低下予防 筋力維持訓練 ( 床上腰上げ訓練含む ) 5) 脳卒中患者とその家族に対する看護ケアと判断に関する説明責任 45 2. 早期離床と日常生活活動自立に向けた支援技術 1) 急性期の運動支援とリスクについて理解できる 2) 早期離床と基本的動作獲得への支援技術を実践できる 3) 日常生活活動自立への支援技術を実践できる 1) 急性期の運動支援とリスク (1) 可動性の障害に伴う身体機能への影響 (2) 運動量の低下した状態とその予防 (3) 運動の禁忌とリスク管理 2) 早期離床と基本的動作獲得への支援技術 (1) 運動の影響とリスク管理 1 抗重力運動の開始判断とその適応 2 訓練実施のため基準 (Anderson 土肥の基準等 ) (2) 体位変換 早期座位保持から立位保持への支援 (3) 移乗 移動動作の支援 45 脳卒中リハビリテーション看護 5

3) 日常生活活動自立への支援技術 (1) 補装具 自助具の種類と使用方法 (2) 日常生活動作の自立と代償手段獲得における支援技術 1 食事動作 2 移乗 移動動作 3 更衣動作 4 清潔動作 5 排泄動作 6 入浴動作 専門科目 3. 生活再構築のための支援技術 1) 運動機能障害患者の生活再構築支援を実践できる 2) 高次脳機能障害者の生活再構築支援を実践できる 3) 急性期 回復期 維持期 ( 生活期 ) を通したリスク管理を実践できる 1) 運動機能障害者の生活再構築支援 (1) 主体性回復への支援と家族への指導 (2) 運動機能障害患者がもたらす日常生活への影響と生活の再構築に向けた支援 2) 高次脳機能障害者の生活再構築支援 (1) 言語障害がもたらす日常生活への影響と生活の再構築に向けた支援 (2) 失行 失認症等がもたらす日常生活への影響と生活の再獲得に向けた支援 (3) 記憶障害 注意障害がもたらす日常生活への影響と生活の再獲得に向けた支援 3) リスク管理 (1) 転倒 転落予防対策 (2) チューブ類の誤抜去予防対策 (3) 誤薬予防対策 (4) 離棟予防対策 30 4. 脳卒中患者への社会的な支援技術 1) 脳卒中患者と家族が生活を再構築し 維持していくための全人的ケアと社会的な支援を理解し 実践できる 2) 脳卒中患者の社会復帰に向けた多職種チームを結成し 協働できる 3) 在宅生活の継続に向けた地域医療連携 退院調整を実践できる 4) 脳卒中患者が活用可能な社会資源について理解できる 5) 脳卒中の発症と再発作の予防のための患者 家族指導を実践できる 1) 脳卒中患者の全人的ケアと社会的支援 (1) 尊厳ある意思決定への支援 (2) 患者と家族の社会復帰への準備 2) 社会復帰に向けた多職種チームの結成と協働 3) 在宅生活の継続に向けた地域医療連携 退院調整 4) 脳卒中患者が活用可能な社会資源 (1) 社会保障制度の活用 ( 障害者総合支援法 身体障害者手帳 障害者医療費助成制度など ) (2) 介護保険制度の利用 (3) 患者会 ( ピアサポートの活用 ) の紹介 (4) 地域健康教室の活用 ( 転倒予防教室 再発作予防教室 在宅廃用症候群予防教室など ) (5) 装具 車椅子 住宅改修における公的支援の活用 脳卒中リハビリテーション看護 6

専門科目 5) 脳卒中発症と再発作の予防 (1) 脳卒中発症 再発作予防のための生活調整 (2) 脳卒中発症と再発作の予防のための患者 家族指導 小計 135 脳卒中リハビリテーション看護 7

学内演習 1. 学内演習 1) 脳卒中患者の事例を基にアセスメントを行い 具体的な看護計画を立案することができる 2) 専門職チームにおける役割を踏まえ 脳卒中リハビリテーション看護を実践できる 3) 認定看護師の役割を理解し 看護職を対象にした指導 相談対応を実施 評価できる 4) チームカンファレンスの方法を理解し 企画 実施 評価ができる 5) 臨地実習での受け持ち患者の看護実践を客観的 論理的に考察し ケースレポートにまとめることができる 6) チームカンファレンスやケーススタディを通して 自身のあり方と課題を明確にすることができる 1) 事例による看護過程の展開 (1) 脳卒中急性期にある患者の事例 (2) 重篤な脳卒中で意識障害 呼吸障害のある患者の事例 ( 呼吸器からの離脱を含む ) (3) 脳卒中の回復期 維持期 ( 生活期 ) にある患者の事例 排尿自立支援 ( エコーを用いた残尿測定 自己導尿に関する指導を含む ) 2) 看護職者に対する指導 (1) 問題の明確化 (2) 企画 実施 (3) 評価 3) 看護職者に対する相談対応 (1) 問題の明確化 (2) 企画 実施 (3) 評価 4) チームカンファレンスの企画 運営 (1) チームカンファレンスの企画 1 目的 2 参加者の構成 3 開催時期 (2) チームカンファレンスの実際 (3) 臨地実習で企画 参画したチームカンファレンスの評価 5) ケーススタディ臨地実習での看護実践事例について ケースレポートにまとめる 6) プレゼンテーションチームカンファレンスやケーススタディを通し 脳卒中リハビリテーション看護における自己の課題分析を行い 今後の活動の場において脳卒中リハビリテーション看護にかかわる自身の活動のあり方を発表する 60 実習 2. 臨地実習 1) 脳卒中リハビリテーション看護分野において 熟練した看護技術や知識を活かした看護を実践できる 2) 他の看護職者及び医療チームとの間に円滑な人間関係を保ち 指導 相談対応を実践できる 3) 地域医療連携を推進することができる 1) 実習課題および内容 (1) 脳卒中患者の看護過程 (2) 専門技術 1 重篤化回避モニタリング技術 2 急性期の運動支援技術 3 急性期廃用症候群予防技術 4 生活の再構築支援技術 (3) 高次脳機能障害ケア (4) 意識障害ケア (5) 呼吸障害ケア (6) 看護師および他職種へのコンサルテーション (7) 患者 家族指導 (8) 退院調整 連携 (9) チームカンファレンスの企画 参画 180 脳卒中リハビリテーション看護 8

実 習 2) 実習において以下の状況の 2~3 事例を受け持ち 看護過程を展開する (1) 脳卒中急性期 (2) 脳卒中による呼吸障害 (3) 脳卒中による運動機能障害 (4) 脳卒中による高次脳機能障害 (5) 在宅療養中の脳卒中患者 ( 見学実習可 ) 小計 240 共通科目 135 時間 (+ 時間 ) 専門基礎科目 135 時間 専門科目 135 時間 演習 / 実習 240 時間 総時間数 645 時間 (+ 時間 ) 脳卒中リハビリテーション看護 9