放射線に係る安全管理の体制 名古屋第二赤十字病院 瀬口繁信 第 50 回東海循環器画像研究会
第 1 条 11 第 2 項
2020 年 4 月施行
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_436723.html
主要な施設のアンケート結果に 基づいた現状報告 名古屋大学医学部附属病院植村武司 第 50 回東海循環器画像研究会
アンケートにご協力いただいた施設 トヨタ記念病院愛知医科大学病院愛知県厚生連安城更生病院一宮市立市民病院刈谷豊田総合病院岐阜大学医学部附属病院岐阜県立多治見病院公立陶生病院 三重県内の病院半田市立半田病院大同病院大垣市民病院藤田医科大学病院名古屋第二赤十字病院名古屋大学医学部附属病院 ( 順不同 ) 15 施設にご協力をいただきました
心臓領域 頭頸部領域 腹部領域 大よその年間症例件数 A 施設 B 施設 C 施設 D 施設 E 施設 F 施設 G 施設 H 施設 診断 650 613 1200 200 767 752 815 1013 治療 260 547 530 120 492 335 400 352 アブレーション 500 543 249 10 427 43 217 211 ヘ ースメーカ等埋込 160 246 209 30 183 70 85 98 診断 150 132 561 15 152 119 0 39 治療 200 49 259 10 52 53 0 39 診断 50 11 72 5 32 5 0 6 治療 300 55 282 25 185 40 0 59 EVT( 四肢末梢治療 ) 領域 120 131 75 100 178 28 26 109 ステントグラフト 140 25 65 5 70 0 4 3 TAVI 32 0 33 0 52 0 0 0 I 施設 J 施設 K 施設 L 施設 M 施設 N 施設 O 施設 診断 1100 720 361 900 900 547 954 心臓領域 治療 400 250 306 450 530 286 361 アブレーション 170 150 77 160 350 217 195 ヘ ースメーカ等埋込 17 60 71 130 100 105 52 頭頸部領域 診断 20 290 159 30 80 136 32 治療 11 140 121 5 90 207 30 腹部領域 診断 5 100 0 50 30 39 0 治療 75 350 48 40 200 424 55 EVT( 四肢末梢治療 ) 領域 120 80 63 100 80 98 27 ステントグラフト 30 0 18 50 40 94 0 TAVI 0 0 0 0 30 9 0
血管撮影装置について アンギオ装置導入率 C 社 P 社 S 社 総数 46 台 IVR-CT 装置導入率 C 社 S 社 P 社 HybridOR 導入率 C 社 P 社 S 社 総数 7 台 総数 10 台
血管撮影装置について 患者照射基準点における各手技の平均線量率 PCI 10.21mGy/min 心筋 ablation 5.25mGy/min 無理やりに算出 Neuro-IVR 11.68mGy/min Abd-IVR 6.65mGy/min Hybrid OR 6.73mGy/min 各施設のデータに大きなバラつきがある 視野サイズに規定がない 透視フレームレートに規定がない SID に規定がない
血管撮影装置について 視野サイズと線量について ( 実測値 ) 20 15 10 5 mgy/min 透視線量率 50 cm 0 40 30 20 10 視野サイズ ( 対角 ) 視野サイズと線量の関係は 指数関数的に変化します
各検査における装置の設定について トヨタ記念病院心臓アフ レーション下肢愛知医科大学病院透視レート愛知県厚生連安城更生病院撮影レート一宮市立市民病院刈谷豊田総合病院岐阜大学医学部附属病院頭頸部腹部岐阜県立多治見病院 5p/s 未満 --- 5p/s 未満 2 透視レート公立陶生病院 5-9p/s 12 5-9p/s 10 撮影レート 5p/s 未満 --- 5p/s 未満 2 5p/s 未満 1 5-9p/s 9 5-9p/s 12 5-9p/s 10 10-19p/s 6 10-19p/s 1 10-19p/s 4 5f/s 未満 --- 5f/s 未満 2 5f/s 未満 8 5-9f/s 2 5-9f/s 8 5-9f/s 1 10-19f/s 13 10-19f/s 5 10-19f/s 5 20f/s 以上 1 10-19p/s 3 10-19p/s 2 5f/s 未満 12 5f/s 未満 13 5-9f/s 2 5-9f/s 1 10-19f/s 1 10-19f/s ---
カテーテルレポートの記載について 心臓領域 全 15 施設がカテーテルレポートを作成 頭頚部領域腹部領域 10 施設がカテーテルレポートを作成 保存媒体 14 施設が電子保存 記載内容 多くの施設が透視時間と装置表示値 (AK 値 ) を記載 データの利用 カンファレンス 記録管理 統計解析線量管理 医療監査 前回のデバイス情報
スタッフに被ばく低減の啓発はしていますか? 啓発項目 術者 診療放射線技師 他スタッフ 防護衣の着用 15/15 15/15 15/15 個人線量計の着用 15/15 15/15 15/15 個人線量計を2つ着けている ( 不均等被ばく ) 13/15 12/15 9/15 個人線量計の正しい装着方法の指導 ( 胸腹部用はプロテクタの内 頭部は外等 ) 15/15 14/15 14/15 個人線量計の数値を知らせる 15/15 15/15 15/15 防護用具の活用 15/15 14/15 14/15 水晶体被ばくに対しては さらに啓発 注意をしている 10/15 11/15 10/15 検査室への不必要な入室を注意する 9/15 11/15 10/15 X 線管にスタッフが近いときは透視 撮影を控える 12/15 12/15 6/15 受光面をできるだけ近づける 15/15 14/15 12/15 絞りをできるだけ絞る 11/15 12/15 2/15 透視保存を活用する 15/15 13/15 2/15 勉強会 教育訓練の実施 9/ 15 12/ 15 12/ 15 線量分布等の資料提示 7/ 15 10/ 15 9/ 15
患者照射基準点などの線量測定を定 期的に行っていますか? 定期的に行っている施設は 11 施設 IVR 認定技師関連の測定が多い 凡そ 2 年に 1 回位か? 年 1 回 校正定数算出のため 最低半年に 1 回 またはプロトコル見直し をした時
術者防護用具について使用している物は? 体幹用プロテクター 15/15 甲状腺プロテクター 15/15 防護眼鏡 15/15 防護アクリルガラス 13/15 L 型プロテクタ 5/15 防護ラバーシールド 7/15 防護衝立 9/15 術者防護の 3 種の神器 ( プロテクタ ネックガード 防護メガネ ) は どの施設も揃えられている
水晶体防護の為の防護メガネの装着 率と検査中の立ち位置について 装着率 (%) 医師 66.7 看護師 5.0 診療放射線技師 8.3 その他スタッフ 5.0 防護メガネ装着率に大きな差があるが 多くの医療スタッフは 防護衝立の後や検査室外で業務をしているため 検査室内で 防護衝立にも守られてないスタッフは
JSNET2014 脳神経血管内治療における術者水晶体線量の現状 より 水晶体における 1 症例平均線量 法令内で可能な検査数 防護メガネ未装着時 0.319mSv (0.176mGy) 防護メガネ未装着時 防護メガネ装着時 0.100mSv (0.055mGy) 防護メガネは 0.07mmPb 防護メガネ装着時 現法令 150mSv/ 年 470 例 1500 例 提言線量限度 20mSv/ 年天吊り防護板なし 63 例 200 例 天吊り防護板あり 138 例 323 例 水晶体のしきい線量は 8Gy 0.5Gy と変更 経験上 ペースメーカや外科用 C- アームによるステントグラフトなどは注意が必要
放射線業務における眼の水晶体の被ばくに係る放射線障害防止対策について 水晶体の等価線量限度 1 年間 150mSv 5 年間平均で 1 年間 20mSv
放射線業務における眼の水晶体の被ばく に係る放射線障害防止対策について 通知を知っていたが 12 施設 対策に取り組んでいる 6 施設 具体的対策として 防護メガネの整備と追加購入低フレームレートの使用推奨防護についての教育医師に防護メガネの使用を促す
患者被ばく線量の把握は? 全 15 施設が 把握していると回答 線量推定方法は?( 複数回答可 ) 面積線量計 13 施設装置による最大線量の算出 8 施設線量管理システムによるの算出 3 施設スキンドーズモニタ 2 施設
患者防護用具について使用は? 患者防護用具の使用している施設は 6 施設 通常の防護エプロンなどを応用して使用 全患者に使用しているかは不明 名大は 主に妊婦の心カテ時に使用 小児循環器の検査は行っていない
IVR で被ばくを考慮した治療の上限は? ある と回答が 9 施設 技師からアナウンスしている施設が多い 上限の決定因子は? 多くの施設が 一定線量 (1Gy 2Gy 3Gy など ) に到達したら医師に通知 透視時間でも通知する施設もある 医師が判断する施設もある
放射線皮膚障害等を経験は? ある と回答した施設 4 施設 PCI(2011) 紅斑 色素沈着 頭部 IVR( 不明 ) 脱毛 PCI(2013) 白色壊死 頭部 IVR(2012) 脱毛 2010 年代になっても 放射線皮膚障害は起こっていた
IVR による被ばくの影響に関する説明 を患者さんに行ってますか? 診療放射線技師が被ばくの説明を行っている 医師が被ばくの説明を行っている 被ばくの説明を行っていない 不明 0 件 4 件 11 件
透視線量や撮影線量の決定方法 全施設の回答において 技師が調整にかかわっていることが分かった 医師 技師 5 施設 メーカー 技師 6 施設 メーカー 医師 技師 4 施設 線量の決定は 画質の決定でもあり 普段から画像を見ている診療放射線技師が必ず決定に関与していることがわかった
状況に応じて線量を変更する事は? ほとんどの施設で変更することがあると回答 低線量にする 透視 撮影レートを下げる 一定の線量を超える (2Gy or 3Gy) 高線量にする 短時間高線量にして視認性を上げる 視野サイズに応じて技師側で調整 医師と治療前に相談
線量管理システムについて 導入済み 4 施設 (DoseManeger :2 施設 ) (Radimetrics :1 施設 ) ( アゼモト SUZAKU:1 施設 ) 未導入 導入予定 検討している 5 施設 導入未定 予定なし 6 施設 約半数が現時点で導入を検討されており 注目度の高さが窺える
線量管理システムユーザー ( 私 ) からのお願い 装置メーカー各社様へ 線量管理システムは 装置からの RDSR を解析して線量情報を得ます X 線線量は 面積線量計にて測定された値を使用しているメーカーが多いと思われます しかし 面積線量計の誤差は JIS にて ±35% と規定されております 今後 血管撮影検査の線量管理を現状の方法で行うのであれば JIS にこだわらず精度を求めた校正をお願いいたします