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学校等におけるインターネットライブ配信の実践 実践の概要平成 13 年度の 外部講師による講演のライブ配信についての研究 において, インターネットライブ配信をするための基本的な技術は確立できた 平成 14 年度は, その成果と課題をもとに, 県内の学校や公共施設でいくつかの実践を行った その結果, 当センターとは異なる環境で行うライブ配信のための改善点が明らかになるとともに, 学校等からのライブ配信の運用方法及び配信内容の在り方について考察が進められた [ キーワード ] 情報教育ストリーミングライブインターネット 1 テーマ設定の理由昨年度の研究では, 県情報教育センターからのライブ配信の可能性を探ったが, 以下のようないくつかの改善すべき課題が明らかになった メディアの特性上, 配信側から視聴者へ一方向の配信しかできない 教育利用を推進するためには双方向の仕組みが必要である 事前準備の在り方や, ネットワーク等の障害発生時の対応が不可欠である ライブ という性格上, 現場の臨場感を視聴者に伝え, 視聴者の参加意識を高める必要がある このような課題を解決して, 学校等が主体となり, 無理なく独自のコンテンツをライブ配信し, より表現力の高い情報発信ができないかと考えた 2 実践の目的学校や公共施設からライブ配信の実践を行うことにより, 課題や問題点を明らかにし, 学校等におけるライブ配信の運用方法及び配信コンテンツ を提案する さらに, その結果から今後のインターネットライブ配信の普及について考える 3 実践内容 (1) ライブ配信の実践本年度, 表 1の 5 本のライブ配信を行った この中から特徴的な実践を紹介し, 学校等からのライブ配信を考察する 1 ア エ ウ エ サーバ管理者研修 外部講師講演 (H14.5.16 県生涯学習センター ) IT 活用事業 ~ 未来教育ライブ~ (H14.6.28 県立高松農業高等学校 ) どこでも参観日 (H14.10.10 県生涯学習センター ) 見せます! 丸ごと! ネットで研修 ディジタルコンテンツ TV 会議で未来授業 (H14.11.11 新見市立西方小学校 同実小学校) 新見で IT あいてー ( 開放講座 ) (H14.12.3 まなび広場にいみ ) 表 1 本年度の実践 RealProducer から送られたストリーミングファイルを視聴者の RealPlayer に配信するサーバソフト プレーヤーパソコン RealPlayer インターネットへ カメラ サーバコンピュータ RealSystem Server エンコードコンピュータ RealProducer プレーヤーパソコン RealPlayer カメラから入力された映像及び音声をストリーミング配信可能なファイル形式に変換し RealServer へ送信するソフト 図 1 ストリーミングライブ配信のしくみ 67

ア IT 活用事業 ~ 未来教育ライブ~ 岡山県立高松農業高等学校と島根県加茂町立加茂小学校をTV 会議で結び, 交流学習を行っている模様を, 当センターから職員 2 名と配信機材を持ち込みライブ配信した 配信場所は岡山県立高松農業高等学校で, 午前は屋外の牛舎前, 午後は教室と二ヵ所になったため, 配信用機材は乗用車の荷室にセットして移動が出来るよう工夫した 岡山県立高松農業高等学校 図 2 配信のイメージ 学校インターネット 3 導入校へ LIVE 配信 ( 約 60 校 ) 情報政策課の配信サーバ Ì 配信サーバÏ 県情報政策課の配信サーバを使用した Ì 配信対象 Ï 学校インターネット3( 次世代 ITを活用した未来型教育研究開発事業 ) の各学校の教職員 Ì 配信目的 Ï 学校インターネット3 参加校に対して,TV 会議を使った交流学習の実践例を紹介し, 積極的な活用を促す Ì 概要及び成果 Ï 学校インターネット3 参加校の教職員が,TV 会議を使った交流学習の様子を視聴することにより,TV 会議システムの活用を啓発することができた 屋外からのライブ配信を試行することができた インターネット回線は屋内からハブを中継して配信現場まで延長した 延長距離は約 150 メートル 配信機材を移動させて, 異なる場所から配信できた 午前の配信場所は牛舎前 ( 写真 1), 午後は室内となり, 配信機材を約 100 メートル移動させる必要があった そのため, 乗用車の荷室に配信機材をセットして移動できるように工夫した ( 写真 2) 今後の屋外からの配信の可能性を確認できた Ì 課題 Ï 乗用車の荷台のスペース上, バックアップ用の配信機材を準備することができず, 障害に対応できる体制を整えることができなかった 今後の屋外からの配信に対応するため, ノートパソコンを使用するなど, 機材のスリム化を検討しなければならない 荒天時の対策が必要である 写真 1 牛舎前の配信現場 68 写真 2 車にセットされた配信用機材

イどこでも参観日岡山市立伊島小学校の6 年生は, 毎週水曜日, 隣接する県生涯学習センターのPC 教室において, パソコンを利用した授業を行っている 参観日にこの授業を行い, その模様をライブ配信した 保護者等の自宅へ配信 Ì 配信サーバÏ 県情報政策課の配信サーバを使用した Ì 配信対象及び目的 Ï 都合で参加できにくい保護者 県生涯学習センター情報政策課の配信サーバ 図 3 配信のイメージ 特に遠方の出張先や職場で休憩中の保護者に視聴してもらうことによって, 学校の教育活動に関心を持っていただくきっかけを作る 都合で学校に行くことができない児童学校様子や授業の雰囲気をリアルタイムに共有することができる 学校評議員会, 学校に出かけられない地域の学校関係者等学校の様子を知っていただく機会を作り, 学校と地域のコミュニケーションを図るきっかけを作る 遠隔地の先生や教員養成系大学の学生参観日を公開することにより, 授業研修として活用できる Ì 概要及び成果 Ï 授業開始と同時にライブ配信を始めた しかし, 開始から 10 分程度でサーバの不調により配信することができなくなった 全力でサーバの復旧を試みたが, 配信サーバが遠隔地にあるため現地ではどうすることもできない状態が続いた サーバ管理者に連絡が取れ, 予備のサーバコンピュータに切り替え配信は復旧したが, 授業時間には間に合わなかった 事前の配信テストと当日午前のテストで確認を行っていたにも関わらず本番で障害が発生した 本番で発生した障害を回避するためのバックアップ体制の重要さを痛感した わずかの時間ではあるが, 視聴した保護者からは, 今後もこのような取り組みを行い学校と家庭の連携を深めて欲しいという意見があった Ì 課題 Ï サーバコンピュータとエンコードコンピュータ, 及び配信に関わるビデオカメラ, オーディオミキサー等, 可能な限り予備を準備しておき, 障害発生時, 迅速に対応する必要がある 少なくとも本番時にはサーバコンピュータの保守要員を確保しておき, サーバのリブート等の対応がとれる体制が必要である 写真 3 PC 教室後部に展開した配信用機材 69 写真 4 授業参観の様子をライブ配信

ウ 見せます! 丸ごと! ネットで研修 ~ディジタルコンテンツ TV 会議で未来授業 ~ 新見市立西方小学校と同実小学校をTV 会議で結んで, 交流学習を行い, 後半はT V 会議で研究協議を行った その模様を市内の小中学校 28 校にライブ配信し, 校内研修を実施した この実践では, インターネットの掲示板を使い, 視聴者が意見を書新見市立西方小学校き込み, 閲覧できるようにした 阿新広域ネットワーク 新見市の配信サーバ イントラネット内の小中 28 校に配信 図 4 配信のイメージ Ì 配信サーバÏ 新見市の配信サーバを使用した Ì 配信対象 Ï 阿新広域ネットワーク ( 地域イントラネット ) の小 中学校 28 校の教職員 Ì 配信目的 Ï 地域イントラネットを利用したTV 会議活用授業を, 市内の小中学校の教職員に公開することで, 未来型授業への取り組みを促す さらに研究協議も視聴することで校内研修を実施することができる Ì 概要及び成果 Ï 地域イントラネットの 100Mbps 以上の高速回線を利用することで, 非常にクオリティの高い映像を安定して配信することができた 児童も一緒に視聴していた小学校があった 近隣の学校の活動を視聴したことで, 親近感や連帯感を持ち, 地域での学校のつながりを感じたようである インターネットの掲示板を準備した 双方向のしくみを持たせたことで, 授業を視聴した先生方から数多くの感想や意見が寄せられた さらに, それらを後半行われた研究協議に反映させることによって, ライブ配信を視聴した先生方の参加意欲が高まった 配信場所に予備のサーバコンピュータとエンコードコンピュータをそれぞれ準備した 配信後半, エンコードコンピュータの不調により, 配信画像が大きく乱れはじめたが, 即座に予備のエンコードコンピュータに切り替えたことにより, 障害を最小限に抑えることができた Ì 課題 Ï エンコードコンピュータの障害となった原因を明らかにし, 途切れることなく映像を配信することができる体制を作る必要がある 写真 5 TV 会議の授業をライブ配信 70 写真 6 TV 会議の研究協議もライブ配信

エ新見でITあいてー ( 開放講座 ) 当センターが県内 6 ヵ所で実施している開放講座のひとつを まなび広場にい, み のパソコン教室で4 日間行い, 初日の様子を 新見市教育委員会アワー として紹介した 阿新広域ネットワーク まなび広場にいみ 新見市の配信サーバ イントラネット内の小中 28 校に配信 図 5 配信のイメージ Ì 配信サーバÏ 新見市の配信サーバを使用した Ì 配信対象 Ï 阿新広域ネットワーク ( 地域イントラネット ) の小 中学校 28 校の教職員 Ì 配信目的 Ï 教育委員会からの広報をライブ配信で行うことによって, 地域イントラネットの有効活用を図る Ì 概要及び成果 Ï 非常にクオリティの高い映像を安定して配信することができ, あらためて地域イントラネットの回線品質の高さを実感できた 教育委員会からのお知らせや, 県情報教育センターの事業紹介をリアルタイムに伝えることができた 開放講座の会場の雰囲気や, 参加されている先生方の生の声を紹介することができ, 開放講座参加への啓発活動ができた 今年度, 最後の実践となり, これまでの実践の経験から, 準備から本番までスムーズに運営することができた 新見市の地域イントラネット回線を使うのは今回が 2 回目である 1 回目の実践の際, 視聴する各学校のパソコン設定に苦労したが, 今回はその心配はなかった 単発の実践で終わると効果よりも労力が大きくなることがあるが, 継続することの意義を確認できた 新見市教育委員会アワー として, 教育委員会が主体となり運営することができた Ì 課題 Ï 配信時間が 30 分と短い時間にもかかわらず, 多くのスタッフと機材を展開しなければならなかった これならできるかも といった気軽な装備で配信できるような工夫が必要である 写真 7 パソコン教室の外に設置した操作卓 71 写真 8 研修の様子をインタビューを交えて配信

4 実践の考察 (1) 一方向から双方向へライブ配信という性格上, 情報は配信する側から視聴する側への一方向である そこで, インターネットの掲示板を使い, 視聴者が配信側にリアルタイムに質問や意見を送る手段を試行した これにより, 視聴者の参加意識が強まり活発な意見交換ができた 今後は, このような双方向の特徴を生かせる内容を考えていきたい (2) トラブルへの対応今回実践したライブ配信は, テレビ放送で言えば生放送と同じである 途切れることなく映像 音声を配信することが必須となる これには, トラブルが発生した際に迅速な対処ができるよう準備をしておかなければならない そのために, 予備のサーバコンピュータやエンコードコンピュータをすぐに運用できるよう二重三重のバックアップ体制が必要である どこでも参観日 以降の配信では, サーバコンピュータ, エンコードコンピュータ, 配信機材など, 可能な限り代替機を準備した 今後の普及に向けて配信機材等, 規模の縮小は必須であるが, このようなバックアップ体制は行っていく必要がある (3) 現場の臨場感ライブ配信は, 何らかの理由で会場に行くことができない人たちに対して配信することが前提となっている したがって視聴者に対して, 現場の臨場感をいかに伝えるかが視聴数を左右する そのためには複数のビデオカメラやマイクを使い, 必要に応じて切り替える必要がある これには多くのスタッフと機材を使うことになり, 学校が気軽に取り組もうといった環境作りとは相反する 今後は, 最小限の機材で現場の臨場感を伝えるための工夫が必要である そのためには, ハードウェアだけでなく, 視聴者を意識した配信側の配慮なども必要である 5 学校等からの配信 (1) 配信に必要な機器等ライブ配信に必要なハードウェアとソフトウェアの詳細については, 平成 13 年度研究紀要第 2 号を参考にしていただき, ここでは概要を紹介する アハードウェア サーバコンピュータ( 必須 ) ビデオカメラと接続可能なエンコードコンピュータ ( ) ビデオカメラ( ) ビデオスイッチャー オーディオミキサー今年度の実践は, 以上のように高価な撮影機材を複数使う大規模なものであった できるだけクオリティの高い映像と音声を配信し, 多くの視聴者に見てもらいたいという考えからである しかし, 学校等で無理なくライブ配信を行うためには, できるだけ少人数 低予算で配信ができ, 学校が主体となっていつでも運用できることを目指していく必要がある そのためには, たとえば,1 台のビデオカメラで視聴者を引きつけるような撮影テクニックが必要である イソフトウェア サーバソフト エンコードソフトウスタッフ サーバコンピュータ監視要員 1 名 エンコードコンピュータのオペレータ 1 名 ビデオスイッチャーのオペレータ 1 名 オーディオミキサーのオペレータ 1 名 カメラマン数名以上が今年度の実践に要した人員である 学校からライブ配信を行う際に, この人数はかなりの負担になると考えられる できれば, 放送委員会や放送部といった組織で運営することが望ましい エ配信に必要なインフラ視聴者は多数いるので, より多くの視聴者にクオリティの高い映像を配信するためには, 100Mbps 以上の超高速のインターネット環境に配信サーバが接続されている必要がある 県立学校においては, 県情報教育センターや県情報政策課のサーバを利用することも可能である (2) 配信コンテンツ技術的な問題点は改善されつつあるが, 今後はどのような内容を視聴者に配信するかが重要になってくると考えられる 従来も運動会や文化祭などの学校行事をライブ配信する例はあったが, 視聴者を意識せず, 配信側から一方的に配信していたことが多い 今後は, ライブ というリアルタイムな特徴を生かし, 双方向の仕組みを持たせた 67

内容でなければ視聴者にとってのメリットは少ない ここでは, 本実践から得られた成果や課題から, 今後のライブ配信のコンテンツを提案する ア研究授業の配信 期待される成果学校に居ながらにして, 遠隔地の学校で行われている授業を見ることができる イ研究協議会の配信 期待される成果学校に居ながらにして, 遠隔地で行われている研究協議会を視聴することができる また, インターネットの掲示板等を利用することにより, 視聴者参加型の協議会を実施することができ, 幅広い意見交換が可能となる さらに, インターネットでアンケート処理の仕組みを持たせることで, 協議会に多くの意見を反映することができる ウ学校紹介番組の配信 期待される成果学校の取り組みや児童 生徒の活動など, タイムリーな話題を地域の学校に紹介し, 感想や意見をもらうことにより, 地域の学校の交流を行うことができる また, 少人数, 小規模の学校では, 校外の多くの同級生と交流できるきっかけとなる 6 今後に向けて 5の (2) で挙げた例以外にもライブ配信が有効な内容はあるはずである 今後は以下のキーワードを元に, 教師や児童 生徒にとって教育的な内容を考えていきたい ライブ配信の手軽さ VOD 配信の場ビデオカメラに記録撮影合は図 6のような手順が必要である 撮影した映像をコンピュータに保存この処理はある程編集度の時間がかかり, ( 必要があれば ) 教師にとっては負担となる これがインターネット用にファイル変換簡単に配信時間内で完結できるようサーバに転送な配信内容 図 6 VOD 配信の流れ 同じ時間の共有配信側と視聴する側は同じ時間を共有することができる その連帯性を生かした配信内容 情報伝達の早さライブ配信はその名のとおりリアルタイムに動画や音声を配信することができる その即時性を生かした配信内容 7 おわりに今年度行った実践から, 今後のインターネットライブ配信の方向性を探ることができた 特に新見市で行った実践では, 地域イントラネットの活用という面からも意義があったと考えられる また, 岡山県では今秋をメドに 岡山情報ハイウェイ の通信速度を国内最速の最大 10 ギガビットにアップするとともに, 兵庫, 鳥取の 情報ハイウェイ と直結する予定である このようなインフラの整備は各自治体で進められており, 動画配信を始めとするマルチメディアコンテンツの活用に大きな期待が寄せられている しかし, インターネットライブ配信の教育利用の可能性は未知数な面が多いと考えられている 今後はその可能性を探るため, さらに多くの実践を積み重ね, ライブ配信の良さ 効果を先生方にお示し, その有効性を実証していきたい そうすることによって教育でのライブ配信の意義が明確になっていくと考えている < 参考文献 > (1) 平成 13 年度研究紀要第 2 号岡山県情報教育センター (2) RealSystem iq Server 8 アドミニストレーションガイド (3) RealProducer Plus 8.5 ユーザーガイド (4) RealVideo 8 によるブロードバンドコンテンツの作成方法 (5) RealVideo8 と RealAudio8 の推奨エンコード設定 (3) から (6) はリアルネットワークスの Web ページよりダウンロード (6) リアルネットワークス http://www.jp.real.com/index.html なお, 岡山県情報教育センターでは, 次の者が本実践に当たった 岡野和真指導主事 ( 主査 ) 熊代徹指導主事 68

資料本年度, 当センターが実施した実践で使用した機器構成を紹介する ( 写真 10) 1 トランシーバ今年度後半の実践から, カメラマンとビデオスイッチャーのオペレータ等の連絡用に購入した カメラマンが複数いる場合は, どのカメラの映像がライブ配信されているのかを知るためや, ビデオスイッチャーのオペレータからカメラマンへの指示など, 非常に便利な機器であった 2 ビデオカメラ 3CCD の DV カメラを 2 台使用した 3 ビデオカメラ接続ケーブル今年度前半の実践では, ビデオカメラとビデオスイッチャー間の接続は市販のS 端子ケーブルかコンポジットケーブルを使用した しかし, 長さに限りがあり, 思うようなカメラワークを行うことがで写真 9 ビデオバランきなかった これを解決するために BLACK BOX 社の ビデオバラン ( 写真 9) という製品を購入した これはカテゴリ 5 の LAN ケーブルが使用できる変換コネク タで, 最大で 610 メートルの延長が可能である これにより, 新見で IT あいてー ( 開放講座 ) の実践のように, 会場内にはカメラだけ入り, 会場外のスペースにビデオスイッチャーやエンコードコンピュータを展開し, 狭い会場に対応することができた 4 モニタービデオカメラが撮影している映像を確認する 特に複数のカメラを切り替えて配信する場合は効果的であった 5 ビデオスイッチャー複数のビデオカメラを使用して配信する場合に映像を切り替えるため使用した 6 ワイヤレスアンプスピーカーワイヤレスアンプスピーカーのマイクで授業者や発表者の音声を拾い, それを有線でオーディオミキサーに送信する これにより, 明瞭な音声を収集することができた 7 オーディオミキサー複数の音声を細かくコントロールでき, 高品質の音声をエンコードコンピュータに入力することができた 8 エンコードコンピュータ入力された映像と音声をライブ配信可能なファイル形式に変換してサーバコンピュータに送信する 2 8 4 6 1 5 3 7 写真 10 配信に使用した主な機材 69